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佐藤友幸 第1

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131

イギリスにおけるコモンロー上の伝聞法則(1)

一一伝聞法制改革前史一

佐藤友幸

第1 本稿の目的

第2 コモンロー時代のイギリスにおける伝聞法則の概要 1 伝聞法則の適用範囲

(1) Sub'amaniam判決(1956年)

ァ.事実関係 イ.判決内容 ゥ.本判決の位世付け (2) RaKen判決(1971年)

ァ.事実関係 イ.判決内容 ウ.本判決の位置付け

(3) その他の判例

(4) Cross&Thpperの記述 2 伝聞例外の創出に関する状況

(1) 概況

(2) Myers判決(1965年)

ァ.事実関係 イ.判決内容 ゥ.本判決の位置付け

(3) Myers判決以降の立法動向

第3 「黙示的主張」をめぐる展開

第4 まとめ−コモンロー時代における伝聞法則の問題点

(以上、本号)

第1 本稿の目的

刑訴法320条1項によって原則として証拠能力が否定される伝聞証拠の定

義は、 「公判期日外の供述を内容とする供述または書面であり、かつ、供述

内容の真実性を証明するために用いられる証拠」などと一般的に理解されて

(2)

132 早稲田大学大学院法研論集第170号(2019)

(1)

いる。このような供述証拠には、知覚・記憶・表現・叙述の各過程(供述過 程)に誤謬の危険性が認められ、原則として反対尋問等の手段によってこれ らの信用性をテストする機会が与えられなければならないということがその

(2)

根拠とされる。

しかし、この定義はもとより絶対的なものではなく、いわゆる「心理状態 の供述」のように、公判期日外の供述を供述内容の真実性を証明するために 用いる場合であるにもかかわらず、これを伝聞証拠とすることに異議が唱え

(3)

られている類型も存在する。 「心理状態の供述」については、これを非伝聞

(4)

証拠と理解する見解が優勢であるとされているが、その論者も、 「心理状態 の供述」が、先に述べた定義を当てはめれば伝聞証拠であるといい得ること

(5)

自体は認めている。それでもなお、 「心理状態の供述」には、証拠能力を認 める必要性が高いということを前提として、 これについては、原供述者の知 覚・記憶の過程は問題とならず、表現・叙述の過程一供述証拠に固有の問 題ではないため、一般的な関連性の問題として処理すれば足りる−のみが 問題となるに過ぎないことから、誤謬の危険性が小さいという実質上の理由

(6)

により、非伝聞証拠と理解するべきと論じているのである。

刑訴法320条以下の伝聞法則に関する規定の母法たるアメリカ法において は、 「心理状態の供述」は伝聞証拠であると理解されており、現在のアメリ

力連邦証拠法を規律している連邦証拠規則(FederalRulesofEvidenCe)でも、

(7)

これが伝聞証拠となることを前提に明文上伝聞例外規定が設けられているた

(8)

め、 日本においてもこれが定義上は伝聞証拠に該当すると理解されているの

は自然の成り行きであると思われる。

「心理状態の供述」に関する以上の議論から明らかとなるのは、供述証拠

について、知覚・記憶・表現・叙述の各過程の全てについて問題があるわけ

ではないとしても、そのいずれかに誤謬の危険性が認められる場合には、伝

聞証拠該当性の問題が生じ得るということが、現代の日本において当然の前

提として共有されているということである。そして、 とりわけ誤謬の危険性

が高いとされる知覚・記憶の過程についていずれも反対尋問等の手段によっ

(3)

イギリスにおけるコモンロー上の伝聞法則(1) (佐藤) 133 てテストできない場合には、当該供述証拠は定義上も実質上も伝聞であると いうことについても、前提として共有されていると考えられる。

(9)

ところが、近年、 イギリス−−伝聞法則を生み出した国であり、アメリカ を含むあらゆる英米証拠法圏の国における伝聞法則がここに由来すると一般

(10)

的に考えられている一において、伝聞法則に関して、刑事手続の領域で注

(11)

目に値する立法的改革が実現された。すなわち、 イギリスの刑事手続におけ る伝聞法則を規律する包括的な制定法である2003年刑事司法法(Criminal

JusticeAct2003)−以下、 「2003年法」とする−第11編第2章において、

伝聞法則の適用範囲について明文規定が設けられ、伝聞法則の適用を受ける

(12)

証拠の範囲が著しく狭まったのである。とりわけ2003年法の解釈として具体 的に注目されるのは、例えば、他者に公開することを予定していない日記帳

(13)

に書かれた性犯罪被害の事実の記戦や、携帯電話のメモリ内に残された備忘

(14)

録用の連絡先記録について伝聞法則が適用されないとする判例が出現したこ とである。これらの証拠はどちらも、供述内容の真実性が問題となる場合に は、知覚・記憶・表現・叙述の過程の全てについて誤謬の危険性が認められ

る証拠である。それゆえ、先に述べたような日本法の前提からは、このよう な判例を理解することはきわめて困難である。

(15)

2003年法第11編第2章は、法律委員会(IawCommssion)が1997年に公表

(16)

した報告書における勧告に基づいて制定されたものである。また、この報告 書において、法律委員会は、伝聞法則の存在根拠を踏まえた詳細な理論的分

(17)

析を加えており、その分析の結果として、適用範囲に関する勧告を行ったの である。したがって、その内容は、当否の問題は置いておくとしても、一定 の理論的根拠を有するものであると考えられる。要するに、 2003年法は、理 論的な裏付けもなしに伝聞法則の適用範囲を大幅に制限したものではないと

いえる。

以上をまとめると、 イギリスの伝聞法則には、以下のような特徴が認めら

れる。

①日本法の母法であるアメリカ法の伝聞法則がこれに由来している。

(4)

134 早稲田大学大学院法研論集第170号(2019)

②日本法の議論の前提に疑問を投じるような内容の改革が実現された。

③その改革内容についての一定の理論的根拠が存在する。

したがって、 2003年法の制定やその運用をめぐる議論を中心とした、近時 のイギリスにおける伝聞証拠に関する規律を参照することによって、 日本の

(18)

伝聞法則の議論に新たな理論的視座がもたらされることが見込まれる。

もっとも、 2003年法による改革の内容を検討する前提として、改革以前の イギリスの状況を理解することが必要であることはいうまでもない。そこ

で、本稿では、 2003年法の内容の検討に立ち入る準備作業として、それに必 要な範囲で、 2003年法が制定される前の時代一以下、 「コモンロー時代」

(19)

とする−におけるイギリスの伝聞証拠の規律の歴史をたどり、改革が促さ

れた要因を分析する。

具体的には、第2において、伝聞法則の適用範囲は従来どのように理解さ れていたのかを検討する。さらに、伝聞法則の適用範囲と不可分の問題とし て、伝聞例外はどのような形で設けられていたのかを検討する。第2では、

個別の議論の内容について詳細に論じるのではなく、 コモンロー時代の伝聞 法則はいかなる状況にあり、 また、いかなる問題点が認められていたのかと いう視点からの整理を試みる。その上で、第3において、 「黙示的主張」の 伝聞証拠該当性−これが改革の重要なテーマの一つとなった−をめぐる

判例の展開について説明することとする。

第2 コモンロー時代のイギリスにおける伝聞法則の概要

1 伝聞法則の適用範囲

(1) Subramaniam判決(1956年)

イギリスでは、 2003年法の制定まで刑事手続における伝聞法則の適用範囲

を規定する制定法は存在しておらず、司法上の個別的判断が重ねられること

を通じて、その範囲が次第に明らかにされていった。そのような状況の中

(5)

イギリスにおけるコモンロー上の伝聞法則(1) (佐藤) 135 で、 コモンロー時代のイギリスにおいて、伝聞法則の適用範囲についての一 般的基準を示したリーディングケースとして著名な判決が、以下に掲げる

(20)

Subramaniam判決である。

ア.事実関係

被告人Subramaniamは、弾薬の違法所持の訴因で訴追された。その事実 審理において、 Subramaniamは、弾薬を所持していたことを認めつつ、以

下のような弁解を行った。すなわち、自分は、テロリストに捕まり、強迫を 受けて(underduress)行動していたため、その間の弾薬所持について責任

を負わないというものである。その上で、 Subramaniamは、テロリストが

自身に話した内容について証言することを申し出た。しかし、事実審裁判官 は、両者の会話の証拠は伝聞証拠に当たるため、当該テロリストが公判廷で 証言しない限りは許容されないとして、その申し出を退けた上で、

Subramaniamに有罪判決を下した。

枢密院(PnvyCouncil)は、 これが伝聞証拠に該当しないと判断した上で、(21)

SubramanizDmの上訴を認容し、有罪判決を破棄した。L.M、D.deSilva裁判

(22)

官による意見の要旨は以下の通りである。

イ.判決内容

L.M.D・deSilva裁判官は、 まず、伝聞法則について以下のような一般論を

(23)

述べた。

「自ら証人として召喚されていない者によって、証人に対してなされた供 述の証拠は、伝聞である可能性も伝聞でない可能性もある。その証拠の目的 が供述の中に含まれる事項の真実性の証明であるときは、当該証拠は伝聞で あり許容されない。その証拠によって、供述の真実性ではなく、その供述が なされたという事実を証明するために申し立てられるときは、当該証拠は伝 聞ではなく許容される。」

その上で、 Subramgmiamとテロリストとの間の会話を証言する目的につ いて、大要以下のような分析がなされた。(24)

供述がなされた後の証人や居合わせた人物の心理状態や行為を検討する際

(6)

136 早稲田大学大学院法研論集第170号(2019)

に、その供述がなされたという事実が、内容の真実性とは全く無関係に関連 性を有することがしばしばある。本件では、テロリストが上訴人に対して行

ったとされる供述は、その内容が真実であろうがなかろうが、上訴人がそれ

を信じた場合には、従わなければ殺されるという恐怖を引き起こし得る。し たがって、本件における上訴人の証言は、その内容の真実性とは無関係に関

連性を有し、許容される。

ウ.本判決の位置付け

本判決は、上記のように伝聞法則の適用範囲に関する一般論を示し、その

(25)

判断に際して証拠の目的を踏まえる必要があることを明らかにしており、そ

(26)

の内容は多くのイギリスの文献において引用されている。本判決によって、

当該証拠が、証拠提出者が証明しようとする目的との関係で、その内容の真 実性を問題としない場合には、伝聞証拠に該当せず、−関連性など、その 他の観点からも許容性に問題がないと認められる限りにおいて−許容され

(27)

るということが示された。

(2) Ratten判決(1971年)

コモンロー時代のイギリスにおける、伝聞法則の適用範囲をめぐるもう一 つの代表的判例は、 1971年に枢密院が下し、翌年の公式判例集に収録された

(28)

Ratten判決である。この判決は、 SUbramnniam判決とは異なり、重要な一

般的基準を示す類の判例ではないが、事例判決として著名なものである。

ア.事実関係

被告人R21tenは、 自宅で妻を射殺したとして、謀殺の訴因で訴追された。

その事実審理において、Rattenは、確かに、 自分が銃を発砲したことによ って妻は死亡したが、これは銃を磨いている際に暴発した事故であったと説 明した。さらに、証拠調べによって、事件の日の午後1時12分から1時20分 までの間に当該発砲がなされたことが認定されたところ、Rattenは、その

8分間に、 自宅から電話が発信されたことはないと述べていた。

これを受けて、訴追側証人として、地域の電話交換局の電話技手が証言を

(7)

イギリスにおけるコモンロー上の伝聞法則(1) (佐藤) 137

(29)

行った。その証言内容を整理すると以下の通りであった。

①事件の日の午後1時15分ごろ、Ratten宅からの電話を受けた。

②証人は、 「番号をお願いします」と述べた。

③女性の声で返事がなされた。

④その女性はヒステリックな状態で咽び泣いていた。

⑤その女性は、 「警察を呼んでください」と話し、それから電話が切れた。

この証言を踏まえた上で審理がなされた結果、Rattenに有罪判決が下さ れた。そこで、Rattenは、電話技手の証言は伝聞証拠に当たり、排除され るべきであるとして、上訴を行った。枢密院は、これは伝聞証拠には当たら

(30)

ず、仮に伝聞証拠に当たるとしても、 レス・ジェステー(7Esges"2)の伝聞 例外として許容されるとして上訴を棄却した。伝聞証拠該当性の問題につい ての、枢密院のWilbelfOrce裁判官による意見の要旨は以下の通りである。(31)

イ.判決内容

WilbelTMorce裁判官は、 まず、証拠が「証言的に(testimonially)」用いられ る場合に限り伝聞の問題が生じるとしてSubramaniam判決を引用した上で、

上記の①から⑤のように、証言内容を5つに区分けした。そして、これが伝

(32)

聞証拠に該当するかという点について大要以下のように判断した。

まず、①から③の事実は、午後1時12分から1時20分までの間に自宅から 電話が発信されたことはないというRattenの言い分に反駁するものである

から、関連性一この意味での関連性を、 「関連性①」とする−を有する。

さらに、Rattenの自宅には、Ratten,被害者、そして両名の子どもという

3名しかいなかったという事実を踏まえれば、電話の声の主は被害者である

ことが示唆されるところ、これを前提とすれば、④および⑤の事実は、被害

者が恐怖に陥っていたことを証明し得るものとして関連性−この意味での

関連性を、 「関連性②」とする−を有する。これらは、電話が掛けられた

という事実を説明し完全なものとする(explainandcompletethefactofthecall

bemgmade)ために関連性を有し必要な証拠である。

(8)

138 早稲田大学大学院法研論集第170号(2019) ウ.本判決の位置付け

本判決の内容のうち、関連性①についての判断は一般に正当であると考え られているが、関連性②については、 「電話が掛けられたという事実を説明 し完全なものとする」ということの意味内容が判然としないこともあり、評 価が分かれているところである。というのも、被害者が恐怖に陥っていたと いう事実自体を証明することで、発砲が事故であるというRattenの言い分

(33)

に反駁することができるという考え方も可能であるが、他方で、被害者の認

識内容を問いたださなければそのような反駁はできないとする見方もあり得

(34)

るためである。

このように、その妥当性については見解が分かれるところであるが、本判

決は、 Subramaniam判決で述べられた一般論を踏まえて証拠の目的を分析

しており、難解な事例の代表例として取り上げられるものである。

(3) その他の判例

また、伝聞法則の適用範囲について、他には、以下の重要な点が判例上確

(35)

立されている。

第一に、司法手続においてなされた証言についても、それが当該証言内容

の真実性を証明するために、他の裁判所において証拠として提出される場合

(36)

には、伝聞法則が適用される。第二に、公判で証言する証人自身の公判廷外 供述が、当該証言の信用性を高めるものとして提出される場合にも、伝聞法

(37)

則が適用される。第三に、刑事事件において、訴追側ではなく、被告人側が

証拠を提出するということが、伝聞法則を適用しない理由とはならない。

(38)

(4) Cross&Tapperの記述

以上に代表される諸判例の内容をまとめ上げ、コモンロー時代の伝聞法則 の適用範囲を一般的に説明したものとして、 イギリス証拠法の代表的体系書 であるCross&'IhpperonEvidence‑以下、 「Cross&'Inpper」とする−

(39)

における以下の記述がある。

(9)

イギリスにおけるコモンロー上の伝聞法則(1) (佐藤) 139

「当該手続において口頭で証言している人によってなされる供述以外のあ らゆる供述は、供述されるあらゆる事実または意見の証拠として許容されな

l,、 (anystatementotherthanonemadebyapersonwhilegivingoralevidenceinthe

proceedingsisinadmissibleasevidenceofanyfactoropmionstated)。」

この記述は、当時のイギリスの最高裁判所に相当する貴族院(Houseof

(40)

Lords)の裁判官によっても受け容れられたものである。さらに、 これは、

(41) (42)

法律委員会の諮問書および報告書においても引用されており、コモンロー時 代のイギリスにおいては判例を総括したものとして確立した地位にあったと

いってよい。

なお、 「供述されるあらゆる事実または意見の証拠」には、供述されるあ

らゆる事実または意見の内容の真実性の証拠となるもの、 という意味が込め

(43)

られている。要するに、Cross&'Iapperの記述は、公判廷で証言されてい ない当該証拠が、その内容の真実性の証明のために用いられるかどうかとい う観点で伝聞証拠該当性が判断されるということが端的に示されているもの

であるといえる。

2伝聞例外の創出に関する状況

(1) 概況

コモンロー時代のイギリスにおける伝聞例外は、個別の事件に応じた司法 上の判断および個別具体的な立法によって創出されていた。司法上創出され た伝聞例外の代表例として、公文書中の記載、 レス・ジェステーに該当する とされる供述、不利益事実の承認、 自白などが存在していた。また、制定法 上の伝聞例外の代表例としては、銀行帳簿の写しを、その記録の対象たる事 項、取引、収支計算の証拠として用いることを認めた1879年銀行帳簿証拠法 (Bankers'BooksEvidenceActl879)などが存在していた。しかし、こうした 形で創出されていった伝聞例外は、不明確かつ体系性を欠くものであり、 き わめて複雑であるという問題点が認識されていた。また、証拠価値の高い伝

聞証拠が伝聞例外に当たらず排除されることも珍しくなく、その合理性にし

(10)

140 早稲田大学大学院法研論集第170号(2019)

(44)

ぱしば疑問が投げかけられてきた。そのような状況の下で、 1965年に貴族院

(45)

によって下された画期的な判決が、以下で説明するMyers判決である。

(2) Myers判決(1965年)

ア.事実関係

被告人Myersは、盗品譲受罪および詐欺共謀罪などの訴因で訴追された。

その事実審理において、訴追側はMyersが以下のような手口の犯罪を行 った旨の立証を行った。すなわち、Myersは、あらかじめ故障車両を安価 で購入しておき、 さらに盗難車両一以下、 「本件盗難車両」とする−を

入手し、購入した故障車両を修理したように偽装した。その上で、Myers は本件盗難車両を、故障車両を修理したものと称して売却したという手口で ある。審理では、Myersが売却した車両と本件盗難車両の同一性が争点と なり、訴追側は、本件盗難車両の製造業者の従業員で、製造記録の内容の管 理責任者であった者を証人として召喚したところ、その従業員は、本件盗難

車両の製造記録の内容について証言した。

ここで証言され許容性が問題となった記録一以下、 「本件記録」とする

−は、 自動車製造の流れ作業に従事する従業員が記入したカードの写真を 載せたマイクロフイルムである。このカードには、製造過程で本件盗難車両 のシリンダー片に刻印されていた番号が具体的に書かれてあった。この記録 によって、製造業者によって作成された車両、すなわち本件盗難車両のシリ ンダー片の番号と、売却された車両のシリンダー片の番号が一致することが 証明されるため、車両の同一性が肯定され、Myersの犯罪を証明すること ができると考えられた。なお、事実審時点では本件盗難車両の製造から既に 3年経過しており、本件記録を作成した従業員を特定することができず、 し たがって当該従業員が自ら本件記録の内容について証言することが事実上不

可能な状況にあった。

事実審裁判官は、本件記録に関する証言を許容した上でMyersに有罪判

決を下した。有罪判決を受けてMyersが上訴したところ、貴族院は、 3対

(11)

イギリスにおけるコモンロー上の伝聞法則(1) (佐藤) 141

(46)

2でその許容性を否定した。判決内容のうち、以下で説明する点が重要であ る。

イ.判決内容

(47)

まず、本件記録が伝聞証拠に該当し、既存の司法上または制定法上の伝聞

(48)

例外のいずれにも当たらないという点については、反対意見を述べた裁判官

も含む5名全員の裁判官が一致した。

その上で、本件記録の許容性を否定する立場に立った3名の裁判官は、司 法上伝聞例外を創出することは限界に達しており、今後は伝聞例外の創出は 専ら議会に委ねられるべきであるとして、新たな司法上の伝聞例外の創出を

(49)

拒絶した。

そして、その3名の裁判官のうち、Reid裁判官は、そのような結論に至

った理由について、大要以下のように説明した。すなわち、貴族院で行い得 ることまたは行うべきことには限界がある。司法上の新たな伝聞例外の創出 は、伝聞法則の適用に不確実性をもたらすため、行うべきではない。望まし い解決を導くことのできる唯一の方法は、法制度全体についての広範な調査 に基づいた立法であり、 また、そのような調査を実施する機は熟していると

(50)

考えられるとの説明である。

ウ.本判決の位置付け

本判決は、まず、本件記録が伝聞証拠に該当し、かつ、本件記録がいかな る伝聞例外にも該当しないという点を認めたものである。そして、その上 で、貴族院自らが司法上新たな伝聞例外を創出する途を閉ざしたという点に 重大な意義が認められる。

本件記録で証明しようとする事項は、 「本件盗難車両のシリンダー片の番 号」であるところ、本件記録中の番号は、製造業者の従業員がこれを視認し た上でカードに記録した供述であり、その内容の真実性を証明するために用

いられる。したがって、確かに、本件記録は伝聞証拠に当たる。

そして、本判決は、司法上も、当時の制定法上も、いかなる伝聞例外にも 該当しなかったことから、その許容性を否定した。しかし、本件記録が作成

(12)

142 早稲田大学大学院法研論集第170号(2019)

される過程において、従業員が虚偽の番号をカードに記入する動機、すなわ ち、叙述の真筆性を歪める要素は想定しがたかった。また、従業員は番号を 視認してすぐにこれをカードに記入するものであったため、記憶に関しても ほとんど問題とならない。このことを踏まえると、本件記録は、従業員によ る番号の観察の正確性、すなわち、知覚の正確性については誤謬の危険性が 残るものの、全体としては誤謬の危険性が小さいものであったと認められ る。また、仮に本件記録を作成した従業員を特定して記録内容について証言 させることが可能であったとしても、事実審公判は本件記録作成の3年後に 開かれたものであるのだから、反対尋問等の手段によって記録内容を十分に

吟味することは不可能である。むしろ、本件盗難車両のシリンダー片の番号

という証明しようとする事実との関係では、当該従業員の証言よりも本件記

録の方が優れた価値の高い証拠であることに疑いはない。

このように、証拠価値の観点から優れた証拠までも排除することになるた め、反対意見では、裁判官の裁量によってこれを許容する権限が認められる

(51)

べきであるなどと主張されていた。また、実務界および学界の多くの論者か らも、本判決は激しい批判を受けた。すなわち、本判決により、伝聞法則

は、−本来は性質上信頼できない証拠を排除するために発案されたもので

あったはずなのに−もはや信頼できる証拠までも排除してしまう硬直的な

(52)

ルールとなってしまったとの批判である。

なお、本判決を受けて、議会は応急措置として1965年刑事証拠法 (CIimin21EvidenceActl965)を制定し、一定の取引および業務の記録を刑事 手続において許容する規定を設けた。それによって、本件記録のような業務

(53)

記録の証拠の許容性自体は認められることとなった。

(3) Myers判決以降の立法動向

ここまで説明したように、Myers判決によって、立法以外に伝聞例外を 創出する手段は失われた。しかし、結論として、その後も、 2003年法の制定

に至るまで、刑事手続に関する包括的な伝聞例外規定の立法は実現しなかっ

(13)

イギリスにおけるコモンロー上の伝聞法則(1) (佐藤) 143

(54)

た。

確かに、その間に、書証に関して広く伝聞例外規定を設ける改革は実施さ

れた。すなわち、 まず、 1984年警察・刑事訴訟法(PoliceandCriminal

(55)

EvidenceActl984)で、伝聞証拠に該当する書証につき、一定の要件を充足

するものの許容性が認められ、 さらに、 1988年刑事司法法(CIiminalJustice

Actl988)で、書証の許容性が一層拡大された。しかし、これらの立法は、

新たに伝聞例外体系を構築するといったものではなく、 また、書証とそれ以 外の伝聞証拠との間に明確な差異が設けられ、均衡を失しかねないという問

題点も認識されていた。なお、その間にも、伝聞例外の不明確性・体系性の

(56)

欠如の一因となっていた個別具体的な立法による伝聞例外の創出の動きは止

(57)

まらなかった。

(1)松尾浩也『刑事訴訟法(下)j (弘文堂、新版補正第2版、 1999年)44頁

参照。

(2) 字藤崇ほか「刑事訴訟法」 (有斐閣、第2版、2018年)370頁以下〔堀江

慎司〕参照。

(3) この問題に関する論稿は多数存在するが、本稿の直接の目的はこれを論

じることではないため、近年の代表的なものとして、以下の文献を挙げるに

とどめる。

大谷直人「伝聞法則について」原田國男ほか編「刑事裁判の理論と実務

−中山善房判事退官記念」 (成文堂、 1998年)259頁、大澤裕「伝聞証拠の

意義」松尾浩也=井上正仁編『刑事訴訟法の争点」 (有斐閣、第3版、 2002 年) 182頁、堀江慎司「『心理状態の供述」について」三井誠ほか編「鈴木茂 嗣先生古稀祝賀論文集(下)」 (成文堂、 2007年)451頁。

(4)光藤景皎「伝聞概念について」同『刑事証拠法の新展開」 (成文堂、

2001年)248頁。

(5) 古江頼隆『事例演習刑事訴訟法」 (有斐閣、第2版、 2015年)325頁以下

参照。

(6) 大澤・前掲注(3) 184頁など。

(7) なお、連邦証拠規則の日本語訳のうち、 2011年12月までの改正を反映す

るものとして、田邊真敏訳『アメリカ連邦証拠規則」 (しクシスネクシス・

ジャパン、2012年)がある。

(14)

144 早稲田大学大学院法研論集第170号(2019)

(8) 連邦証拠規則803条(3)。

(9) 本稿において、 「イギリス」とは、 「イングランドおよびウエールズ」を

指す。

('0) なお、 イギリスの伝聞法則の成立過程に関する近年の日本語文献とし て、津村政孝「イギリス証拠法の成立一一伝聞法則を中心として−証拠法 研究ノート (1)」学習院法務研究2号(2010年)65頁がある。

(11) なお、民事手続においては、1938年証拠法(EvidenceActl938)、 1968年 民事証拠法(CivilEvidenceACtl968)による段階的な立法を経た上で、鮫 終的に1995年民事証拠法(CMIEvidenceActl995)によって伝聞法則を廃 止するという改革が実現されている。民事手続における改革もイギリス証拠 法の構造に多大な変容をもたらすものであり、 また、 しばしば刑事手続と比 較されるため、重要な事項であると考えられるが、本稿では、ひとまず、議 論の対象を刑事手続に限定することとする。

(12) 2003年法115条。

(13) Rv.N[2006]EWCACrim3309;Rv.Knight[2007]EWCACrim3027.

(14) Rv.Smgh[2006]EWCACIim660.

(15) 1960年代に、法の各分野に基本的再検討を加え、法を簡素化し現代化す るための改革をなすべきだという提唱がなされた。法律委員会は、その法改 革の中心となる機関として1965年法律委員会法(LawCommissionsACt l965)によって創設され、 自らのイニシアティブによって法改革の問題を取 り上げる権限を付与された。以上につき、田中英夫『英米法総論(上)』 (東

京大学出版会、 1980年) 184頁参照。

(16) LawCommission,EvidenceinCriminalProceedings:HearsayandRelated Topics(ReportNo245,Cm3670,Junel997).

(17)".Partm.

(18) なお、改革内容を詳細に説明するわけではないが、いわゆる証人審問権

の問題をめぐるイギリス国内裁判所と欧州人権裁判所との間の折衝について

論じる前提として、それに必要な限度で2003年法の伝聞法則の内容を紹介す る日本語文献として、小山雅亀「研究ノート :イギリスの裁判所と欧州人権

裁判所との伝聞法則をめぐる「対話」−Al‑Khawaja判決およびHorncasUe 判決を中心に−」西南学院大学法学論集48巻3=4号(2016年)349頁、

同「公判期日前の証人尋問制度再考の必要性一欧州人権裁判所とイギリス の裁判所との対話からの示唆一」井田良ほか編「浅田和茂先生古稀祝賀論

文集(下)」 (成文堂、 2016年)273頁がある。

1

(15)

イギリスにおけるコモンロー上の伝聞法則(1) (佐藤) 145 (19) 「コモンロー」の概念は多義的であるところ、本稿では、 この語を、制

定法によって包括的な規律が設けられている状況と対比される、判例法中心 の状況を示すものとして用いる。 「コモンロー」の概念の多義性について、

田中・前掲注(15) 6頁参照。

(20) Subramaniamv・PublicProsecutor[1956] 1WLR965.

(21) 本判決時点では、枢密院司法委員会qudicialCommitteeofthePriW Council)がイギリス本国を除くイギリス連邦諸国および海外領土の裁判所 に対する上告裁判所としての権能を有していた。そして、これは、 イギリス 本国との関係では上級裁判所には当たらなかった。しかし、枢密院司法委員 会の裁判官と貴族院の裁判官は事実上ほとんど同じであり、控訴院以下のイ ギリスの裁判所は、枢密院司法貝会の判決を非常に尊重し、説得的先例

(persuasiveprecedent)として事実上これに従うのが通例であった。以上に つき、田中和夫「英米法概説」 (有斐閣、再訂版、 1981年) 157頁参照。な お、 2005年憲法改革法(ConstimtionalRefbnnAct2005)が施行されてから は、 この権能は新設の連合王国最高裁判所(SupremeCourtoftheUnited Kingdom)に移管されている。この点につき、小山貞夫編著「英米法律語辞 典』 (研究社、 2011年) 596頁参照◎本件は、当時のイギリス保護領マラヤ連 邦ジヨホール州において発生した事件であり、事実審理はマラヤ連邦の裁判 所で行われていたが、上記の理由により、枢密院によって判断がなされてお り、さらに、 イギリス本国においても事実上の拘束性のある判例として認め

られていた。

(22) 枢密院は、理論上は裁判所ではなく国王の諮問機関である。そして、そ の判決も、理論上は国王に対する助言であるので、通常は5名の裁判官によ

って裁判が行われるものの、反対意見は公表されず、唯一の意見が発表され るのみであるという慣例が1966年まで存続していた。以上につき、田中・前

掲注(21) 139頁参照。本判決においても、意見として発表されたものは、

L.M、D.deSilva裁判官によるもののみであった。

(23) SubIamaniamv.PubHcProsecutor,""Iznote20,at970.

(24) 乃堀.

(25) 日本法における「要証事実」または「立証事項」に相当する用語とし て、 イギリスでは、 「証拠の目的(pumose/obiectoftheevidence)」という

言い回しが多用される。 「要証事実」および「立証事項」の意義について、

宇藤ほか・前掲注(2)378頁〔堀江〕参照。

(26) 上記の一般論を引用する文献として、例えば、AChoo,Hearsayand

(16)

146 早稲田大学大学院法研論集第170号(2019)

Conh・ontationinCIiminal'ITials(1996),at2などがある。

(27) なお、 イギリスでは、このような場合の当該証拠は、 「原証拠(original evidence)」と表現されることが多い。例えば、 I.Dennis,TheLawof Evidence(6thed.2017),at700では、名誉穀損に当たる供述(deamatoly statement)を行ったことの証拠について、供述内容の真実性とは無関係に、

そのような供述を行ったこと自体を証明するための「原証拠」として許容で きるという例が挙げられている。

(28) Rattenv.R[1972]AC378.

(29) 以下の①から⑤までのナンバリングは、〃.at387におけるWilbeIfOrce 裁判官による整理に従っている。

(30) 供述が出来事に付随してなされたためにねつ造や誤認の危険性が小さい

場合などに判例上認められていた伝聞例外の総称である。ただし、その類型

は多様であり、厳密な定義付けがなされているわけではないとされる。この

点につき、Denms,s"Panote27,at759‑761参照。

(31) Subr2maniam判決とは異なり、本判決の時点では、枢密院では反対意 見が公表されないという慣例は改められていたが、意見として発表されたも のは、WilbeIfOrce裁判官によるもののみであった。

(32) Rattenv.R,stjPcnote28,at387‑388.

(33) Denms,s"anote27,at702‑703.

(34) Choo,s""note26,at80‑82.

(35) Denms,s"@note27,at685‑686における整理を参照した。

(36) Rv.Eriswell (Inhabitants) (1790) 3TermRep707;Hainesv.Guthrie

(1884)13QBD818.

(37) イギリスの体系書やモノグラフイーにおいて、この点を明示した特定の 判例が掲げられているわけではない。むしろ、これは古くより確立していた

原則として紹介されることが一般的である。以上につき、 Choo,s""note

26,at47‑51;JRSpencer,HearsayEvidenceinCriminalProceedings(2nded.

2014)paras.12.1‑12.10;RMunday,Cross&TapperonEvidence(13thed.

2018)at587‑590参照。

(38) Rv.Tumer(1975)61Cr.App.R67;Rv.BlasUand[1986]AC41HL (39) Cross&'Ihpperの版ごとに、記述の細部に違いは見られるが、ここで

は、その最新版の以下の箇所における記述を掲げた。Munday,s""note37,

at563.

(40) Shalp[1988]1WLR7,atllにおいて、Harvens裁判官がこの記述を支

(17)

イギリスにおけるコモンロー上の伝聞法則(1) (佐藤) 147 持する意見を述べた上、同判決の他の裁判官がこれに同調している。ただ

し、厳密には、Harvens裁判官が支持した内容は、 1988年当時の版のもので あったため、そこでは、 「供述(statement)」の語は「主張(assertion)」と されており、 また、 「意見(opmion)」の語は含まれていなかった。

(41) 法律委員会は、作業報告を公表した上であらかじめ各界の反応を確認 し、それを踏まえて改革を提案するという慎重な方式をとっている。この点 につき、庭山英雄「民衆刑事司法の動態」 (成文堂、 1978年) 13頁以下参照。

伝聞法則をめぐる改革についても、法律委員会は、報告書を公表する以前

に、以下の諮問晋(consultationpaper)を公表した上で、実務家や証拠法学 者などの専門家による意見を募っていた。LawCommission,Evidencein CriminalProceedings:HearsayandRelatedTopics(ConsultationPaperNo

l38,1995).

(42)".para.2.3,IawCommission,s"7Iznotel6,para.2.2.

(43) Munday,s""note37,at563では、 この記述がSubramaniam判決を踏

まえたものであることが明示されている。

(44) 以上につき、大澤裕「イギリス刑事司法の改革(13)刑事手続における 書証(その1)」ジュリスト974号(1991年)76頁以下参照。なお、 2003年法

118条(2)により、 コモンロー上の伝聞例外は廃止されたが、そのうち一 部は、同条(1)で列挙された上で維持されている。

(45) Myersv.DPP[1965]AC1001HL本判決を紹介した日本語文献として、

大澤・前掲注(44)77頁がある。

(46) なお、本件記録の許容性を否定しても、それ以外の証拠によって陪審は

Myersの有罪を確信するであろうとして、上訴自体は棄却されている。

(47) Myersv・DPP,s"Mznote45,atlO22では、 Reid裁判官が、この点につい

ては裁判官の間で異論がなかった旨を説明している。

(48) 本件記録の作成過程を踏まえると、その作成者を特定することは事実上

不可能であったが、仮に本件記録の作成者が死亡していたとすれば、本件記 録は、コモンロー上の伝聞例外である業務記録に該当し、許容することが可 能であった。〃.atlO38.

(49)".atlO22perLordReid,1028‑1029perLordMor㎡sofBorth‑y‑Gest,

1034perlprdHodson.

(50)〃・atlO21‑1022.

(51)〃・at39perLoldPearce.

(52) このような趣旨の批判について紹介し、説明するものとして、例えば、

(18)

148 早稲田大学大学院法研論集第170号(2019)

Spencerbs""note37,at8‑9;Dennis,s""note27,at687‑688がある。

(53) 同法は、伝聞例外を包括的に規定する法律ではなく、あくまでも本判決 を受けてパッチワーク的に伝聞例外を規定したものに過ぎない。イギリスに おける制定法の特徴として注意しなければならないとされているのは、制定 法国である日本の制定法と異なり、たとえその名称が一般的なものとなって いても、必ずしも、一般的な法則を定立するものではなく、法則の一部に変 更を加えたに過ぎない、ということが多いという点である。以上につき、田 中・前掲注(21)201頁参照。

(54) もっとも、伝聞法則について根本的な改革を図ろうという動きが存在し なかったわけではない。1972年に、 「刑事法改訂委員会(CriminalLaw RevisionCommittee)」が、証拠法の改革に関する「第11報告普(Eleventh

"port)」を公表し、伝聞法則についても大規模な改革の提案を行ったのが、

その代表的な例である。しかし、この第11報告書は、黙秘権を実質的に制限 する提案内容について批判が集中し、事実上の廃案に追い込まれた。さら に、黙秘権の問題に議論が集中した結果として、伝聞法則に関する議論は乏 しかったとされる。以上につき、大澤・前掲注(44)79‑80頁参照。第11報 告書の公表からその事実上の廃案に至るまでのイギリス国内での議論の展開 を詳細に紹介した文献として、庭山・前掲注(41)がある。

(55) この法律の日本語訳として、土屋正三「イギリスの新『警察及び刑事証 拠法」略説(1)〜(9。完)」警察研究56巻11号3頁、同12号15頁、 57巻2

号18頁、58巻1号19頁、同3号22頁、同4号16頁、同5号19頁、同6号22 頁、同7号31頁(1985〜1987年)、法務省大臣官房司法法制調査部編(三井 誠=井上正仁訳) 「イギリス警察・刑事証拠法/イギリス犯罪訴追法」 (法曹

会、 1988年)がある。

(56)大澤裕「イギリス刑事司法の改革(15)刑事手続における書証(その

3 .完)」ジユリスト978号(1991年) 144頁参照。

(57) IawCommission,s""note41,AppendixCでは、網羅的ではないと断 りが入った上で、30の種々雑多な(miscell2neous)制定法上の伝聞例外規定 が列挙されている。そして、そのうち19の規定はMyeIs判決以降に制定さ

れたものである。

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