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自動 詞 使 役 と他 動 詞 に 関 す る 中 間 言 語 に つ い て
浅 山 佳 郎
1.序 論
1.1問 題 の 所 在
本 稿 は,日 本 語 学 習 者 が 形 成 して い る 中 間 言 語 を 再 構 成 す る こ と を 目 的 とす る。 中 間 言 語 と は,あ る時 点 で 学 習 者 が 形 成 し て い る 目標 言 語 の 体 系 で あ る1)。 取 り上 げ る の は,中 国 語 を 母 語 と す る 中 級 以 上 の 日本 語 学 習 者 に お け る,自 動 詞 使 役 と他 動 詞 と い う他 動 的 表 現 の 文 法 で あ る。
野 田(1991)に よ れ ぽ,ヴ ォ イ ス の 対 立 に は,文 法 的 な ヴ ォ イ ス と 中 間 的 な ヴ ォ イ ス と語 彙 的 な ヴ ォ イ ス が あ る2)。 文 法 的 な ヴ ォ イ ス と は ,
「作 る一 作 られ る」 「満 足 す る 一 満 足 させ る」 の よ うな ,使 役 の 「セ ル, サ セ ル 」 と受 動 の 「レ ル,ラ レル 」 に よ っ て 対 立 を 表 す も の で あ る 。 中 間 的 な ヴ ォ イ ス と は,「 壊 す 一 壊 れ る 」 「預 け る 一 預 か る」 の よ うな,自 動 詞 形 と他 動 詞 形 に よ っ て 対 立 を 表 す も の で あ る。 語 彙 的 な ヴ ォ イ ス と
は,「 殺 す 一 死 ぬ 」 「勝 つ 一 負 け る」 の よ うな,形 態 的 に は 共 通 し な い が 意 味 的 ・構 文 的 に 対 立 を表 す も の で あ る。 こ れ ら の うち,文 法 的 な ヴ ォ
イ ス は 生 産 的 で あ る が,中 間 的 な ヴ ォ イ ス は 生 産 性 が 低 く,語 彙 的 な ヴ ォ イ ス は 生 産 性 を 持 た な い。 ま た,3種 類 の ヴ ォ イ ス は基 本 的 に 同 じ 働 き を 持 ちr互 い に 競 合 す る が,語 彙 的 な ヴ ォ イ ス が 優 先 さ れ,中 間 的
な ヴ ォ イ ス が そ れ に 次 ぎ,文 法 的 な ヴ ォ イ ス が 後 に な る。
本 稿 は,野 田 に よ る以 上 の 議 論 を 前 提 とす る。 こ の 前 提 に 従 え ぽ ,当 面 の 課 題 で あ る 他 動 詞 と 自 動 詞 使 役 の 使 い 分 け に つ い て は,以 下 の 例 文3)の よ う に,同 一 の 意 味 を 示 し う る 自 動 詞 使 役 よ り他 動 詞 の 方 が 優 先 す る と い う こ とが で き る 。
(1)a?こ の あ た りが ゴル フ場 に され る。
bこ の あ た りが ゴ ル フ場 に な る。
$4
と ころで,こ れ は 日本 語 を母 語 とす る話 者 に お い て形 成 され て い る言 語 体 系 で あ る。 日本 語 を母 語 とす る話 者 に お い て は,語 彙 的 ・中 間 的 な
ヴ ォイ スが 優 先 す るが,日 本 語 の学 習者 の 中 間言 語 と して は どの よ うに な っ て い るの か。 本 稿 は この 問題 を扱 う。
な お,中 国語 の使 役 は,使 役 動 詞 「使 ・譲 ・叫 」 な どを加 えて,生 産 性 の高 い文 型 的 処 理 に よ っ て作 られ る。 ま た,中 国語 で は,対 格 目的語 (受 事 賓 語)を と る動 詞 を 「及 物 動 詞 」 と呼 び,そ れ を と らな い動 詞 を
「不 及 物 動 詞 」 と呼 ぶ 。 これ が ほ ぼ他 動 詞 と自動 詞 に 当た る と考 え る こ とが で き るが,日 本 語 の 「開 く一 開 け る」 の よ うな共 通 の形 態 を持 つ 自 他 動 詞形 の対 立 は ほ とん どな い。 また構 文 的 に も動 詞 に後 置 され る名 詞 句 は,対 格 目的 語 に 限 ら ない4)。
1.2仮 説
学 習 者 に誤 用 が起 こる の は,中 間 言 語 の体 系 が不 完全 だ か らで あ る。
本 稿 の課 題 で あ る他 動 詞 と 自動 詞 使 役 に つ い て は,以 下 の2点 で,学 習 者 の 中 間 言 語 が 不 完 全 で あ る と考 え る こ とが で き る。第1点 は,あ る動 詞 が他 動 詞 か 自動 詞 か と い う各 語 に つ い て の情 報 が 不 完 全 な こ とで あ り,第2点 はsあ る文 が他 動 詞 を用 い る のが よい か 自動 詞 使 役 を用 い る の が よい か とい う文 構 造 につ い て の判 断 が 不 完 全 な こ とで あ る。
中 間言 語 に は母 語 の影 響,つ ま り母 語 の転 移 を想 定 す る こ とが 可能 で あ る。 これ に よ って学 習 者 の作 る 日本 語 文 に あ る程 度 の予 測 を立 て る こ とが で き る。 極 め て単 純 化 した予 測 をす れ ば,前 述 した 第1点 に つ い て は,も と も と動 詞 の 自他 に関 す る情 報 が不 完全 で あ るの だ か ら,母 語 が 他 動 詞 な の で 目標 言 語 で も他 動 詞 を選 択 す る とい う転 移 は 予 測 で き な い。 しか し,動 詞 が取 る名詞 句 に与 え られ る助 詞 に母 語 が転 移 す る可 能 性 は予 測 で き る。 母 語 が他 動 詞 の=場合 に は 「ヲ」 が,自 動 詞 の場 合 に は
「ガ」 が 選 ばれ る とい う可 能 性 で あ る。 い っ ぽ う,第2点 に つ い て は, 母 語 が使 役 文 で あ る場 合 に丁 目標 言 語 の 日本 語 で も動 詞 に 「せ る,さ せ
る」 が 加 わ り,そ うで な い 場 合 に はた だ の 動 詞 が 現 れ る とい うか た ち で,母 語 が 転移 す る可 能 性 が あ る。
これ に対 して,中 間 言 語 に対 す る母 語 の強 い影 響 を認 め な い こ と も可 能 で あ る。 この場 合 前 述 した第1点 につ い て は,学 習 者 の作 る文 を予 測
自動詞使役と他動詞に関する中間言語について85 す る こ とは不 可 能 で あ る。 い っぽ う,第2点 に つ い て は,次 の よ うな予 測 が可 能 とな る。 使 役 は動 詞 に 「せ る,さ せ る」 を加 え る とい う文 法 的 な方 法 に よ っ て産 出 され るが,他 動 詞 形 また は 自動 詞 形 は 各動 詞 ご とに 辞 書 に記 述 され る情報 に基 づ い て産 出 され る。 前 者 は生 産 性 が 高 いが 後 者 は低 い。 体 系 が 不 完 全 な 中間 言 語 で は,生 産 性 の高 い言 語 型 式 の ほ う が 容 易 に作 られ るの で,使 役 が 優 先 す る とい う予 測 で あ る。
よっ て,自 動 詞 使 役 か他 動 詞 か とい う他 動 的表 現 に関 す る 中間 言 語 と して は,2つ の仮 説 を立 て る事 が で き る。 強 い母 語 の 転 移 を認 め る もの と,強 い母 語 の転 移 を認 め な い もの で あ る。
仮 説1:も し強 い母 語 の転 移 を認 め る と,母 語 が使 役 の場 合 は使 役 が 現 れ る こ とが多 く,母 語 が 他 動 詞 の場 合 は 使役 が 現 れ な い
こ とが 多 い。
仮 説2:も し強 い母 語 の転 移 を認 め な い と,生 産 性 の高 い使 役 が優 先 す る の で,母 語 が他 動 詞 で も自動 詞 使 役 で も,使 役 が 現 れ
る こ とが 多 い。
1.3手 順
分 析 の対 象 とす る資 料 は,中 国語 を母 語 とす る 日本語 学 習 者 の 日本 語 作 文 で あ る。 学 習者 は大学 お よび大 学 院 の学 生 で,日 本語 の 学 習 に お い て は 中 級 か ら上 級 に 位 置 す る。 人 数 は53人,作 文 数 は80本 ,調 査 年 は 1986年 か ら1988年,調 査 場 所 は中 華 人 民 共 和 国 の ハ ル ビ ソ工 業 大 学 で あ る。 この資 料 か ら使 役 に か か わ る例 文 を採 集 した。 採 集 した 例 文 に は誤 用 と正 用 の2種 類 が あ る。
これ らの例 文 の約 半 数 に つ い て は,作 文 を書 い た学 習 者 自身 に そ の意 味 を 中 国 語 で 調 査 して あ る5)。さ ら に,資 料 か ら採 集 した例 文 の うち,
中 国語 で の意 味 の調 査 を行 えな か った もの につ い て は,調 査 を 行 った も の を参 考 に,中 国 語 を母 語 とす る教 師 の助 けを 得 て,そ の意 図 を推 測 し た 。 よ って,デ ー タ と して は,同 一 の意 味 を持 つ 日本 語 と中 国語 の例 文 が あ る。 以 下 の行 論 で は,日 本 語 作 文 か ら採 集 した も との例 文 を 「実 現 形 」 と呼 び,調 査 また は推 測 した 中 国 語 で の 意 味 を 「表 現 意 図」 と呼 ぶ 。
前 述 の仮 説 を検 討 す るた め に,実 現 形 と表 現意 図 を 「自動 詞 使 役 文 」
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と 「他 動 詞 文 」 に分 けた う}で,そ れ ぞ れ の組 み 合 わ せ の分 布 を見 る。
これ は,以 下 の よ うな考 えに基 づ くもの で あ る。 仮 説1に 従 って,も し 母 語 か らの転 移 を強 く認 め るな ら ぽ,表 現意 図 と実 現形 は対 応 す る はず
で あ る か ら,表 現 意 図 と実 現 形 が ともに 「自動 詞 使 役 文 」 か と もに 「他 動 詞 文 」 とな る組 み 合 わ せ に相 関分 布 が 現 れ る はず で あ る。 また仮 説2 に従 って,も し母 語 か らの 強 い転移 を認 め な い な らぽ,表 現 意 図 に か か わ らず,実 現 形 が 「自動 詞 使 役 文」 とな る組 み 合 わ せ に偏 向 した 分布 が 現 れ るはず で あ る。
な お,表 現意 図 で 「自動 詞 使 役 文 」 と分 類 した もの の なか に,1例, 自動 詞 で は な い もの が 含 まれ て い るが,使 役 構 文 で あ り,ま た 実 現形 が 自動 詞 使 役 文 で あ る の で,議 論 の都 合 上 こ こ に含 め る6)。また,実 現形 とな る 日本 語 の 自他 の分 類 は,本 来 の 日本語 の 自他 で は な く,作 文 の作 者 の判 断 に基 づ く。 よ って 自動 詞 使 役 の誤 用 文 で は,他 動詞 を 自動 詞 と み な した 例 が2例 ふ くま れ7),他 動 詞 の 誤 用 文 で は,6例 全 て が 自動 詞
を他 動 詞 とみ な した もの で あ る8}。これ らの動 詞 の 自他 は,作 文 の 作 者 の意 識 に基 づ い て判 断 した もの で,正 し くは 「自動 詞 とみ な した 動 詞 の 使 役 文 」 「他 動 詞 とみ な した文 」 とな るが,や は り議 論 の都 合 上,「 自動 詞 使 役 文 」 「他 動詞 文 」 と して あつ か う。
さ らに,分 類 に は 「そ の 他 」 とい う項 目を加 えた。 これ は表 現 意 図 に 使 役 が含 まれ て い るが,実 現形 と して は 自動 詞 使 役 文 で も他 動 詞 文 で も
な く,自 動 詞 文 に よっ て表 され た もの が1例 存 在 す るた め で あ る9)。
2.本 論
2.1資 料 の 整 理
資二料 か ら採 集 した 自動 詞 使 役 に か か わ る誤 用 の うち,自 動 詞 使 役 と他 動 詞 の 使 い分 け に関 す る誤 用 は13例 あ る10}。
さ らに,資 料 か ら 自動 詞 使 役 に か か わ る正 用 を13例 採 集 した。 この13 例 は実 現 形 と表 現 意 図 の 両 方,ま た は どち らか に 使 役 を含 む もの で あ る。 加 えて,議 論 上 の要 請 と して,表 現 意 図 が 「他 動 詞 文 」 で か つ実 現 形 も 「他 動 詞 文 」 で あ る組 み 合 わ せ も採 集 しな けれ ば な らな い。 これ は 表 現 意 図 と実 現 形 の い ず れ に も使 役 を含 ま な い もの で あ る。 しか し,こ の組 み 合 わ せ は,広 く採 集 す る と,目 的 格 名 詞 句 を持 つ全 て の他 動 詞 文
自動詞使役 と他動詞に関す る中間言語について8ア に な り,そ の 採 集 は議 論 に と っ て 無 意 味 で あ る。 よ っ て,こ こ で は 使 役
と関 係 す る他 動 詞 文 に 限 定 す る 。 つ ま り,実 現 形 の 日本 語 文 と し て は, 自動 詞 使 役 文 で も 同 一 の 意 味 を表 す 文 を 作 り う る が,出 現 し て い る の は 他 動 詞 文 の形 の も の で,か つ 表 現 意 図 に 使 役 を 含 ま な い文 に 限 定 す る。
以 下 の例 の よ うな 文 で あ る。
(2)a b (3}a b
こ れ らの 例 文 は,
含 ま な い 。 同 時 に こ の 日本 語 文 は (2')夢 を 実 現 さ せ た 。
(3')夜,自 習 を 終 わ らせ る。
の よ うに,自 動 詞 使 役 で も ほ ぼ 同 じ意 味 を 表 す こ と が で き る。 こ う した 文 を,表 現 意 図 と 実 現 形 の 両 方 が 「他 動 詞 文 」 と な る 例 と し て 採 集 し た 。 これ が19例 あ る。 よ っ て,分 析 対 象 と な る の は,誤 用 が13例,正 用 が32例 で あ る。
な お,表 現 意 図 に つ い て は,誤 用 の13例 の うち,作 文 の 作 者 に 直 接 調 査 し た もの が8例,推 測 し た も の が5例 で あ る 。 ま た,使 役 を 含 む 正 用
13例 の うち,直 接 調 査 し た も の が8例,推 測 した も の が5例 で あ る。
夢 を実 現 した 。 実 現 了 理 想.
夜,自 習 を終 え る。
晩上 結 束 自習.
日本 語 と しては他 動 詞 文 で あ り,表 現 意 図 に も使 役 を
2.2誤 用 文 の 分 布
誤 用 の13例 は,次 の表1の よ うに分 布 す る。 数 値 は そ の組 み 合 わ せ に 所 属 す る例 文 の数 で あ る。 な お,表 現意 図 が 「他 動 詞 」 で実 現 形 が 「そ
表1誤 用例 文の分布
実現形
自動詞使役 他 動 詞 そ の 他 表
現 意 図
自動詞使 役 s 0 0
他 動 詞 1 s
㎜
そ の 他 0
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の 他 」 に な る もの,表 現 意 図 が 「そ の 他 」 で 実 現 形 が 「他 動 詞 」 に な る も の,表 現 意 図 と実 現 形 の 両 方 が 「そ の 他 」 に な る も の は,本 稿 で の 議 論 とか か わ ら な い の で,未 採 集 で あ る。 表 で は 「 」 と示 した 。
この 誤 用 の 表 か ら は,母 語 の 強 い 転 移 を 支 持 す る相 関 を 見 る こ とが で き る。 つ ま り,表 現 意 図 が 自動 詞 使 役 の 場 合,そ れ を 誤 っ て 他 動 詞 で 実 現 す る もの は な く,全 て 自動 詞 使 役 文 と し て 実 現 さ れ て い る。 表 現 意 図 が 他 動 詞 の 場 合 も,そ れ を 誤 っ て 自動 詞 使 役 で 実 現 し た もの は1例 だ け で あ り,他 は 全 て 他 動 詞 文 と し て 実 現 さ れ て い る。 こ の 表 で 見 る か ぎ
り,母 語 が 使 役 で あ る か 他 動 詞 で あ る か は 中 間 言 語 に転 移 して い る。
以 下 は,誤 用 の 例 文 で あ る。 そ れ ぞ れaが 採 集 した 実 現 形 の 文,bが 表 現 意 図 の 文 で あ るll)。 な お,bが()で 囲 ま れ て い る も の は,表 現 意 図 を 直 接 調 査 した の で は な く,推 測 した もの で あ る。 ま ず,表 の 上 段 の 左 端 に 分 類 され る,表 現 意 図 が 自動 詞 使 役 文 で 実 現 形 も 自動 詞 使 役 文
と な る 誤 用 例 で あ る。
(4)a*子 供 を 寝 らせ る。
b譲 骸 子 睡 下.
(5)a?我 が 国 を 強 大 な 国 に な らせ る こ とが で き る 。 b能 使 我{門成 為 強 国.
(6)a*運 送 費 に 省 か せ る こ と が で ぎ る。
b能 使 運 費 最 省.
(7)a*ハ ル ビ ソ の 郊 外(の 景 色)は 人 々 を 憧 れ させ る。
b(恰 爾 濱 郊 外(的 風 景)令 人 神 往.)
(8)a*月 光 が 冴 え て,山 脈 は銀 色 に な り,神 秘 的 な 感 じ を させ る。
b(清 涼 的 月 光 下,山 脈 塗 上 了 銀 色,譲 人 有 神 秘 的 感 覚.)
(9)a*工 業 生 産 を 自動 制 御 し て,そ れ に 人 々 の 望 む と お りに 自動 運 転 させ る。
b(自 動 地 控 制 工 業 生 産,使 他 按 照 人 イ門的 願 望 自動 運 転.)
これ ら の 例 文 は,正 し く は,優 先 的 に選 択 され るべ き語 彙 的 ま た は 中 間 的 な ヴ ォ イ ス に よ っ て 実 現 さ れ な け れ ぽ な ら な い 。 し か し,表 現 意 図 に は,全 て 「譲,使,令 」 と い っ た 中 国 語 の 使 役 を 示 す 動 詞 が 用 い られ て お り,そ れ が 文 法 的 な ヴ ォ イ ス と し て 転 移 し た と 考 え る こ と が で き る。 な お,(7>の 「憧 れ る 」 に は 「憧 れ る 惹 きつ け る」 と い う語 彙 的 な
自動 詞 使 役 と他 動 詞 に関 す る中 間 言 語 に つ い て8g
ヴ ォイ スの対 立 が,(8)の 「感 じが す る」 に も 「感 じがす る/感 じを与}
る」 とい う語 彙 的 な ヴ ォ イ スの対 立 が存 在 す る。
注 目す べ き な の は,(9)を 除 く と,こ れ らの誤 用 が全 て和 語 動 詞 で あ る 点 で あ る。 漢 語 動 詞 に は 自他 同形 の もの も多 いが,和 語 動 詞 は 中 間的 ・ 語 彙 的 な ヴ ォイ ス対 立 を持 つ もの が 多 い。 中 間 的 ・語 彙 的 ヴ ォイ スの 習 得 は各 語 お の お の につ い て の辞 書 的 な情 報 の 獲 得 な の で,学 習者 へ の 負 担 が大 き い。 よっ て これ らの誤 用 は,中 間言 語 に お け る中間 的 ・語 彙 的 ヴ ォイ ス,つ ま り動 詞 の 自他 性 の情 報 が 完全 で な い こ とが,和 語 動 詞 に お い て 強 く現 れ るた め で あ ろ うと考}る こ とが で き る。
次 は,表 の 中段 の左 端 に分 類 され る,表 現 意 図 が 他 動 詞 で実 現 形 が 自 動 詞 使 役 とな る誤 用 例 で あ る。
⑩a*子 供 に起 き させ る。
b叫 醒 核 子.
こ こに 分類 され るの は この1例 の み で あ る。 た だ し この 「叫醒 」 と い う動 詞 は,「 弦 子 」 が 後 置 され て い る の で他 動 詞 とみ な す こ とが 可 能 で あ るが,ま た 「叫」 は使 役 構 文 を作 る動 詞 で もあ り,「 叫 骸 子 醒 過 来 」 とい った使 役構 文 が 「叫 醒 骸 子 」 とほ ぼ 同義 で あ る こ とか ら,こ れ を使 役 性 の他 動 詞 文 とみ なす こ と も十 分 に考 え られ る。 よ って,こ の他 動 詞 文 は使 役 性 を 本 来 的 に強 く持 った もの で あ り,純 粋 に他 動 詞 文 の表 現 意 図 を 自動 詞 使 役 文 で 実 現 した もの と は言 い難 い。
次 は,表 の 中段 の中 央 に分 類 され る,表 現 意 図 が 他 動 詞 で実 現形 も他 動 詞 とな る誤 用 例 で あ る。
㈲a*朝 食 を済 む 。 b吃 完 早 飯.
働a*会 話 の 水 準 を 向上 す る。
b提 高 会 話 水 平.
X13)a*効 率 を向 上 す るべ きです 。 b応 該 提 高 効 率.
(14)a*性 能 を 向 上 す る。
b(提 高 性 能.)
㈲a*友 好 関 係 を発 展 す る。
b(発 展 友 好 関 係,)
go
⑯a*要 求 を 満 足 で き な い 。 b(不 能 満 足 工 廠 的 要 求.)
これ ら は,格 助 詞 「ヲ」 が あ る と こ ろ か ら見 て,全 て 他 動 詞 と し て 用 い られ た 誤 用 で あ る と考 え る こ とが で き る。し か しrの お の の 動 詞 は本 来 全 て 自動 詞 で あ り,正 し くは 自動 詞 使 役 に 訂 正 さ れ な け れ ぽ な ら な い 。
2.3正 用 文 の 分 布
正 用 の32例 は,次 の 表2の よ うに 分 布 す る。
表2正 用例 文の分布
実現形
自動詞 使役 他 動 詞 そ の 他 表
現 意 図
自動詞使役 6 0 1
他 動 詞 6 19
そ の 他 0
この表 か らは,母 語 の転 移 を支 持 す る相 関 と と もに,生 産 性 の高 い使 役 文 へ の傾 斜 を見 る こ とが で き る。 つ ま り,表 現 意 図 が 自動 詞 使 役 の場 合 は,誤 用 と同様 に,そ の意 図 を他 動 詞 で 実 現 した もの は な く,全 て 自 動 詞 使 役 で実 現 され た もの ぼ か りで あ る。 そ の意 味 で,母 語 の強 い転 移
を認 め る こ とが で き る。 しか し… 方,表 現 意 図 が 他 動 詞 の場 合,意 図 を 自動 詞 使 役 で実 現 した例 が,6例 あ る。 これ は,他 動 詞 を表 現 意 図 とす る例 の約4分 の1を 占め る。 こ こに は,表 現 意 図 の単 純 な転 移 だ け で な く,他 動 的 表 現 と して の使 役 へ の傾 斜 を 認 め る こ とが で き る。 強 い他 動 性 の意 識 が,形 式 的 に 生産 性 の 高 い使 役 形 式 を よ り容 易 な もの と して選 択 した もの で あ ろ うと考 え る こ とが で き る。
以 下 は,正 用 の例 文 で あ る。 や は りまずs表 現 意 図 が 自動 詞 使 役 で実 現 形 も 自動 詞 使 役 とな る例 で あ る。
(17)a b (18)a
b
人 間 を 自由 に生 活 させ る。
譲 人椚 自 由 自在 地 生 活.
学 生 た ち を楽 し く生 活 させ る。
譲 学 生偲 毎 天 都 快 快 楽 楽.
自動 詞 使 役 と他 動 詞 に 関す る中 間 言 語 につ い てg・
X19)a b (20)a
b (21)a
b X22)a
b
誤 用 の例 文 と比 較 す る と,
応 す る中 間的 ヴ ォイ ス を持 た な い の で,語 彙 的 な ヴ ォイ ス を持 つ 動 詞 以 外 は,他 動 的 表 現 と して は使 役 が正 しい形 式 とな る。 よ って和 語 動 詞 と 比 べ る と,表 現 意 図 の 使 役 が 転 移 した 自動 詞 使 役 文 が 正 用 とな る可 能 性 が高 くな る と考 え る こ とが で き る。
な お,伽)の 「実 現 す る」 は 自他 両 用 で あ り,自 動 詞 使 役 の 「夢 を 実現 させ る(せ しめ る)」 と他 動 詞 の 「夢 を実 現 す る」 が と もに 成立 す る。
次 は,表 現 意 図 が 他 動 詞 で実 現 形 が 自動 詞 使 役 とな る例 で あ る。
a b a b a b a b a b a b
gJ﹂壕に﹂2Uワー00⑫ρW⑫⑫角ψ角い
人 を興 奮 させ る。
令 人 振 奮
夢 を実 現 せ しめ る。
使 夢 得 以 実 現
犯 罪 者 を働 か せ る。
(譲 罪 犯労 働.)
私 の小 さ な心 を急 が せ た 。 (使 我 的 幼 小 的 心着 急.)
漢 語 動 詞 が多 い点 が 異 な る。 漢 語 動 詞 は対
㈱ は ⑳ の 誤 用 と 同 じ 動 詞 で あ る 。 とい う意 識 よ り,
あ る 可 能 性 が 残 る。 ま た,㈱ は⑳ と 同 じ動 詞 で, る。
ご飯 を済 ませ る。
吃 完午 飯
学 生 を社 会 に適 応 させ る。
培 養 学 生 適 応 社 会.
手 に よっ て溶 接 棒 を移 動 させ る。
由人 的 手 移 動 鐸 条.
二 龍 山(の 風 景)は ま るで 大連 の 海辺 の よ うに 人 を迷 わ せ る。
(二 龍 山(的 風 景)好 像 大 連 的 海 辺 那様 迷 人.) 自動 化 を発 展 させ る。
(発 展 自動 化.)
目標 を実 現 させ る。
(実 現 目標.)
これ と㈱ の 「人 を迷 わせ る」 は使 役 学 習 者 に よ っ てパ ター ソ と して記 憶 され て いた 形 式 で 自他 両 用 の 動 詞 で あ
92
な お,表 現 意 図が 他 動 詞 で実 現 形 も他 動 詞 の例 文 は,そ の例 を② と(3) で挙 げ て お り,総 数 も多 い の で省 略 す る。
2.4中 間 言 語 と 目標 言 語 の分 布
前項 まで は,誤 用 例 文 と正 用 例 文 の分 布 お よ びそ の検 討 を 行 った。 学 習者 の中 間 言 語 は,こ れ ら誤 用 と正 用 の和 で あ る。 本項 で は,そ の 中 間 言語 全 体 を 目標 言 語 とな る 「正 しい」 日本 語 との対 比 か ら考}る 。 こ こ で い う 「正 しい」 日本 語 とは,誤 用 で は な い とい う意 味 で あ り,具 体 的 に は,誤 用 を正 した 訂 正 文 と正 用 の和 で あ る。 訂 正文 と正用 例 文 は 日本 語話 者 の 言 語 と して 「正 しい」 と認 め うる もの で あ り,そ の 意 味 で学 習 者 に とって の 目標 言 語 全 体 とな る。 一 方,誤 用 例 文 と正用 例 文 はそ の 時 点 で12)学習者 が形 成 して い る中 間 言 語 全 体 で あ る。
以 下 の表3は,誤 用 と正 用 の両 者 を あわ せ た例 文 の 分布 を しめ す もの で,表1と 表2の 合 計 で あ る。 これ は 中 間言 語 の分 布 を示 す 。 また表4 は,訂 正 した誤 用 と正 用 を あわ せ た例 文 の分 布 を示 す もの で あ る。 これ は 目標 言語 の 分 布 を示 す 。 表 の構 成 は表1・ 表2と 同様 で あ るが,() 内 は,各 表 現意 図 の 中 で 占め るそれ ぞ れ の実 現 形 の 割合 で あ る。 また最 下段 は合 計 で あ る。
表 現意 図 を お い て合 計 だ け を見 る と,表3の 中 間言 語 で は実 現形 に 自 動 詞 使 役 を 使 用 す る割 合 が42%で あ る の に対 し,表4の 目標 言 語 で は 40%で あ る。 ほ んの わ ず か で あ るが,中 間言 語 の ほ うが,実 現形 に 自動 詞 使 役 を使 用 す る割 合 を高 くして い る。 この表 で扱 った例 文 は全 部 で45 例 で あ るが,そ の表 現 意 図,す なわ ち 中 国語 文 で は,自 動 詞 使 役 が13例 で29%,他 動 詞 が32例 で71%で あ る。 これ は,目 標 言 語 とな る 日本語 で の 自動 詞 使 役 の 使 用 率 が,母 語 とな る中 国語 よ り1割 程 度 高 い こ とを意 味す る。 中 間 言語 はそ の 目標 言 語 よ りさ らに 自動 詞 使 役 を多 く用 い て い
る。
各 表 現 意 図 毎 に見 る と,表4の 目標 言 語 で は,実 現 形 に 自動 詞 使 役 を 使 用 す る 割 合 が 約40%〜50%で あ り,他 動 詞 を 使 用 す る割 合 が 約50%
〜60%で あ る。 こ こに は表 現 意 図 に よ る大 きな差 が な い。 一 方,表3の 中 間言 語 で は,表 現意 図 が 自動 詞 使 役 の場 合,実 現 形 で の 自動 詞 使 役 の 使 用 率 が ほぼ100%で,他 動 詞 の 使 用 は な い。 これ に対 し,表 現 意 図 が
自動詞 使 役 と他 動 詞 に関 す る 中間 言 語 に つ い てg3
表3中 間醤語 の分布
実現形
自動詞使役 他 動 詞 そ の 他 表
現 意 図
自動 詞使 役 12(92%) oCO%) 1(8%) 他 動 詞 7(22%) 25(78%)
一
そ の 他 0
『
一 一合 計 19(42%) 25(56%) 1(2%)
表4目 標署語 の分布
実現形
自動詞使役 他 動 詞 そ の 他 表
現 意 図
自動詞使役 sCos/) 6(46%) 1(8%) 他 動 詞 12(38%) 20(63%)
そ の 他 U }…
合 計 18(40%) 2fi(58%) 1(2%)
他 動 詞 で あ る場 合,実 現形 で の 自動 詞 使 役 の使 用 率 が 約20%,他 動 詞 の 使 用 率 が約80%と な り,表 現 意 図 に よ る差 が 大 き い。 この か た よ りは, 中 間 言 語 で は,表 現意 図 と… 致 す る形 式 の ほ うに実 現形 が 偏 向す るた め で あ る と考 え る こ とが で き,強 い母 語 の転 移 を示 す もの で あ る。
しか し,表 現 意 図 と実 現 形 が一 致 す る場 合 を 見 る と,自 動 詞 使 役 で は,目 標 言 語 で約50%で あ る の が 中 間 言 語 で ほ ぼ100%に な り,そ の 差 が2倍 で あ るの に対 し,他 動 詞 で は,目 標 言 語 で約60%で あ る の が中 間 言 語 で は 約80%に しか な らず,そ の差 は1.3倍 で あ る。 この 違 い は,表 現意 図 は 自動 詞 使 役 で あ るが 実 現 形 は他 動 詞 で な けれ ば な らな い6例 が,中 間 言 語 で は 全 て 表 現 意 図 と同 じ 自動 詞 使 役 で 実 現 され て い る の に,表 現意 図 は他 動 詞 で あ るが 実 現形 は 自動 詞 使 役 で な けれ ぽ な らな い 12例 の うち,表 現 意 図 と同 じ他 動 詞 で 実 現 した もの が3割 の5例 しか な い た め で あ る。 この かた よ りは,中 間 言 語 で は,生 産 性 の 高 い形 式 の ほ
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うに実 現 形 が偏 向す るた め で あ る と考}る こ とが で き,母 語 の転 移 が生 産 性 に よ って制 限 され て い る こ とを示 す もので あ る。
この 両者 は次 の よ うに ま とめ る こ とが で き る。 つ ま り,中 間 言語 に母 語 は転 移 す る。 た だ し,そ の転移 は,生 産 性 の高 い ほ うで は実 現形 を ほ
ぼ完 全 に決 定 す る力 を持 つ が,生 産 性 の低 い ほ うで は や や お ち る。 生産 性 の低 い 中 間 的 ・語彙 的 ヴ ォイ ス が 中間 言 語 と して は形 成 され て い な い
か らで あ る。 この場 合,中 間 言 語 と して は,母 語 の 転 移 に代 わ って}処 理 形 式 の 生産 性 の判 断 が実 現 形 の決 定 に関与 す る。
2.5語 種 の 問 題
2.2項,お よ び2.3項 で の 例 文 の 検 討 で 見 た よ うに,各 誤 用 お よ び 正 用 に は,和 語 と漢 語 とい う語 種 に よ る か た よ りが 見 ら れ る。 次 の 表
5は,実 現 形 ご と に,和 語 と漢 語 の 分 布 を 示 し た も の で あ る。 表 現 意 図 は,こ の 問 題 に 直 接 か か わ ら な い の で,表 を 作 る要 素 と して は取 り上 げ な い 。
和 語 動 詞 は 中 間 的 ・語 彙 的 ヴ ォ イ ス の 対 立 を 持 つ もの が 多 い。 一 方, 漢 語 動 詞 は 中 間 的 ヴ ォ イ ス 対 立 を 持 た ず,自 他 両 用 の もの も 多 い。 この た め,自 動 詞 使 役 を 実 現 形 とす る誤 用 は 和 語 動 詞 に 多 く な る。 優 先 す べ き 中 間 的 ・語 彙 的 ヴ ォ イ ス が あ る の で,文 法 的 ヴ ォ イ ス に よ る 処 理 を 行 っ た 場 合,誤 用 と な る可 能 性 が 高 い か らで あ る。 表 で も和 語 が6で あ る の に 対 し漢 語 は1で あ る。 … 方,自 動 詞 使 役 を 実 現 形 とす る 正 用 は 漢 語 動 詞 に 多 くな る。 優 先 す べ き 中 間 的 ・語 彙 的 ヴ ォ イ ス が な い の で,文 法 的 ヴ ォ イ ス に よ る処 理 を 行 っ て も,正 し く な る可 能 性 が 高 い か ら で あ
る 。 表 で は 和 語4に 対 し漢 語8と な っ て い る。 和 語 と漢 語 と い う語 種 の 差 が,誤 用 と正 用 の 別 に か か わ る こ と に な る。
表5語 種 別の実現形
自動詞使役 他 動 詞 そ の 他 和語 漢語 和語 漢語 和語 漢語
誤 用 6 1 1 5 0 0
正 用 4 8 10 9 1 0
自動詞使役と他動詞に関する中間言藷について95 これ に対 して,他 動 詞 を実 現 形 とす る場 合 はや や 異 な る。 他 動 詞 を 実 現 形 とす る誤 用 に和 語 が1例 と少 な い の は,中 間 言 語 と して は,中 間 的 ・語 彙 的 ヴ ォイ スが形 成 され て い な い か らで あ る。 中 間 的 ヴ ォ イス の 他動 詞 形 また は語 彙 的 ヴ ォイ スの他 動 詞 が 知 識 と して形 成 され て い な け れ ぽ,中 間 的 ・語 彙 的 ヴ ォイ ス を持 つ 和 語 動 詞 の選 択 自体 が 少 な くな る。
よ って他 動 詞 を実 現形 とす る誤 用 に,た また ま漢 語 動 詞 が多 くな るの で あ る。 正 用 に つ い て見 れ ぽ,正 用 は高 度 な知 識 が 中 間 言 語 と して完 成 し て い る こ とを意 味 す るの で,和 語 漢 語 に よ る差 が 大 き くな い。
3.結 論
以上 の 議 論 か ら,自 動 詞 使 役 と他 動 詞 に関 す る中間 言 語 は,仮 説1と 仮 説2の 両 方 を折 衷 した 形 で,以 下 の よ うに構 成 され る。
中 間的 ・語 彙 的 ヴ ォイ ス は生 産 性 の低 い個 別 の 情 報 で あ るが,文 法 的 ヴ ォ イス の使 役 は生産 性 の高 い形 式 で あ る。 使 役 は中 国 語 で も生 産 性 の 高 い文 型 的 な処 理 で作 られ,そ れ に比 べ て動 詞 の 自他 は生産 性 を ほ ぼ持 た な い。 母 語 が生 産 性 の 高 い形 式 で あ り,そ れ に対 応 す る と学 習 者 が 考 え る 目標 言 語 も生 産 性 の 高 い形 式 で あ る と き,母 語 は転 移 す る。 しか し,母 語 が 生産 性 の低 い形 式 で あ り,そ れ に対 応 す る と学 習者 が考 え る 目標 言 語 の形 式 が や は り生 産 性 の低 い形 式 で あ る と きに は,転 移 は 弱 ま り,目 標 言語 で よ り生 産 性 の高 い形 式 が 現 れ る可能 性 を持 つ 。
注
1)日 本 語 学 習 者 の 中 間 言 語 に つ い て は,渋 谷(1988)長 友(1993)な ど を 参 照 。
2)以 下 の 記 述 は,野 田(1991)PP ‑211‑212,pp.219‑223に よ る 。 3)野 田(1991)p.223の 引 く 例 。
4)詳 し く は 楊(1989)pp.28‑33,pp,120‑131,pp .157‑178}劉 ほ か (1983)pp.94‑95,pp,448‑449,李(1993)pp.S‑9,AP416‑425な ど を 参 照 。
5)こ の 中 国 語 で の 意 味 は,完 成 し た 日 本 語 作 文 に つ い て 調 査 し た も の で , 母 語 転 移 で は な く,日 本 語 か ら 中 国 語 へ の 逆 転 移 で あ る 可 能 性 も あ る 。 6)以 下 に 挙 げ た 例 文(8)で,「 譲 人 有 感 覚 」 は,不 定 の 名 詞 「人 」 を 主 格 と
し て,所 有 の 動 詞 「有 」 を 使 っ た も の で あ る 。
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7)以 下 に挙 げ た例 文 の(6)と(9)であ る。 た とsぽ(6)の 「運 送 費 を 省 かせ る」
とい う誤 用 例 で は,日 本 語 の 「省 く」 は他 動 詞 で あ る が,表 現 意 図 に
「使 運 費 省 」 とあ るの で,「 省 く」 を 自動 詞 扱 い して い る と見 る。
8)以 下 の例 文(11)から⑯ で あ る。 た と え ぽ,㈲ の 「友 好 関 係 を発 展 す る」
の 「発 展 す る」 は,正 し い 日本 語 と し て は 自 動 詞 で あ る が,格 助 詞
「ヲ」 が 使 わ れ て い るの で,他 動 詞 扱 い して い る と見 る。
9)「 使 自己 的 生 活 変 得=豊富 多 彩 」 を表 現 意 図 とす る 「自分 の生 活 が 豊 か に な る」 とい う文 で あ る。
10)そ の他 の誤 用 に関 し て は,浅 山(1993)を 参 照 。 な お,本 稿 で は も と とな る資 料 を増 や した の で,誤 用 の数 は この論 文 とは異 な る。
11)本 稿 で の 中 国 語 の 表 記 は,日 本 語 との 対 比 の便 を考 え て,日 本 で用 い られ る漢字 体 に よった 。
12)こ こで は中 国語 話 者 が2〜7年 間前 後 の学 習 を終 えた 段 階 で あ る。
参 考 文 献
浅 山佳 郎(1993).「 中 国語 話 者 の 日本 語 作 文 に見 られ る 「セ ル/サ セ ル文 」 に 関す る誤 用例 分 析 」.秋 草 学 園 短 大 紀 要10号
長 友 和 彦(1993).「 日本 語 の中 間 言 語 研 究 一概 観 一」,日 本語 教 育81号 野 田 尚史(1991).「 文 法 的 な ヴ ォイ ス と語 意 的 な ヴ ォイ ス の 関 係 」 仁 田 義
雄 編.『 日本 語 の ヴ ォ イス と他 動 性 』 所 収 くろ しお 出版 渋 谷 勝 巳(1988).「 中間 言 語 研 究 の現 況」.日 本 語教 育64号 李 臨 定(1993).『 中 国語 文 法 総 論 』.光 生 館
劉 月華,播 文 娯,故 騨(1983)『 実 用 現 代 漢 語 語 法 』.外 語 教 学 与 研 究 出版 社.北 京
楊 凱 栄(1989).『 日本 語 と中 国 語 の 使 役 表 現 に関 す る対 照 研 究 』.く ろ し お 出 版