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13 .双対空間

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Academic year: 2022

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7 9 日講義参考資料

次回は7月17日(火)です.

次回講義中に授業アンケートを行うのでインターネットにア クセスできる端末がある人は持ってきてください.

左に太い線(←)が引っ張ってある箇所は 発展的内容, そ れ以外は 基礎的内容 です.

このノートはホームページ

http://www.kurims.kyoto-u.ac.jp/˜shimizu/LectLC2018.html

(google検索:「清水達郎」+「RIMS」+「線形代数」)から

ダウンロードできます.

11 .同値関係と商空間

f :V1→V2を線型写像とする.kerf ⊂V1V1の線形部分空 間であった.f :V1/kerf Im(f)⊂V2を,

f([x]) =f(x)

で定める.

定理11.1. f は矛盾なく定義されていて,しかも線形同型写像で

ある.このff が誘導する写像という.

Proof. (前半:矛盾なく定義されていること) [x] = [x]とする とx−xkerf よりf(x−x) = 0.よって,

f([x]) =f(x) =f(x)−f(x−x) =f(x(x−x)) =f(x) =f([x]).

よってf([x])は[x]の代表の取り方に寄らない.

(後半1:線形写像であること) f(a[x]+b[y]) =f([ax+by]) = f(ax+by) =af(x) +bf(y) =af([x]) +bf([y]). 

(後半2:同型写像であること) 全単射であることを言えば よい.

全射性:任意のy∈Im(f)に対しx∈V1が存在しf(x) =yを 満たす.よってf([x]) =f(x) =y.

単射性: 単射であることを示す.f([x]) = 0とすると,f([x]) = f(x) = 0よりx∈kerf.よって[x] = [0].([0]はV1/kerfの零 元である).

(2)

12 .体

これまで線形空間はQ上,R上,C上などを考えてきたが,こ れらは体と呼ばれる演算付き集合の例である.線形代数はもっと 一般の体に対して展開できる.

定義12.1. 集合Kに加法+ :K×K→Kと乗法·:K×K→K が定義され,以下を満たすとき体(field)という.

(1) 任意のa, b∈Kに対しa+b=b+a,

(2) 任意のa, b, c∈Kに対しa+ (b+c) = (a+b) +c,

(3) (零元の存在) 0 K が存在し,任意の a K に対し

a+ 0 = 0 +a=a,

(4) 任意のa∈Kに対し−a∈Kがただ一つ存在しa+(−a) = (−a) +a= 0,

(5) 任意のa, b∈Kに対しab=ba, (6) 任意のa, b, c∈Kに対しa(bc) = (ab)c,

(7) (単位元の存在) 0 と異なる元1 K が存在し,任意の

a∈Kに対しa1 = 1a=a,

(8) 任意の0 ̸= a K に対しa1 K がただ一つ存在し aa1=a1a= 1,

(9) 任意のa, b, c∈Kに対しa(b+c) =ab+ac.

例えばR,Q,Cは体であるが,Mn(C)は体ではない(行列の積 は可換ではないし,一般に乗法に関する逆元を持たない).Z

±1以外の0でない元が乗法に関する逆元を持たないため体では ない.

. 自然数nに対し部分集合nZZ nZ={nm|m∈Z}

で定め,同値関係 na n b a−b nZで定める.

Z/nZ=Z/∼nにはZの加法と乗法がそのまま移植される:

[a] + [b] = [a+b],[a][b] = [ab].

命題 12.2. pが素数のとき,Z/pZは体である.

Proof. 条件の(8)以外は明らか.(8)を示す.a∈ Z, a̸∈pZ 対し[a][b] = [1]となるb∈Zが存在することを示せばよい.写像 ma :Z/pZZ/pZma([b]) = [ab]で定める.maは単射であ る.実際,[ab] = [ab]とすると[a(b−b)] = [0]であるが,pが素 数でa̸∈pZであるからb−b∈pZである.よって[b] = [b].

Z/pZは有限集合なので単射ma は全射でもある.よって特に ma([b]) = [a][b] = [1]となるb∈Zが存在する.

(3)

例えばZ/2Zは集合としてはZ/2Z={0,1}で,演算は 0 + 0 = 0,0 + 1 = 1 + 0 = 1,1 + 1 = 0,

0·0 = 0,0·1 = 1·0 = 0,1·1 = 1

となる.Z/2Zでは[1] = [1]であるため,加法と減法は同じ演 算になる.Z/2Zは,何かの例を考えたり,問題を簡単にしたい ときにしばしば用いられる.

. M2(Z/2Z)には24= 16個の行列が属していて,例えば ( 1 1

0 1

) ( 0 1 1 1

)

=

( 1 0 1 1

)

である.

13 .双対空間

Kを体とする.K上の線形空間V, W に対し L(V, W) ={f :V →W |f は線形写像} とおく.

補題 13.1. f, g∈L(V, W),a∈Kに対し

(af+g)(x) =af(x) +g(x), ∀x∈V

によって加法とスカラー倍を定めると,L(V, W)はK上の線形 空間である.

零写像0∈L(V, W)を任意のx∈V に対して0(x) = 0として 定める.0は線形空間L(V, W)の零元である.

. (1) L(Kn, Km)=Mm,n(K).

(2) 線形同型φ : L(K, V) = V が,φ(f) = f(1)で与えら れる.

定義13.2. 線形空間V に対し,L(V, K)V の双対空間といい,

記号V=L(V, K)で書く.

以降V は有限次元線形空間とする.(前回までの講義でも断り 無く線形空間は有限次元であったが,今回は特に有限次元を仮定 した議論を多用するのであえて強調しておく)

V の基底x1, . . . , xnに対し,x1, . . . , xn ∈Vを,

xi(xj) =δij

で定める.∑

jajxj∈V に対し,

xi(∑

j

ajxj) =ai

(4)

である.

命題 13.3. x1, . . . , xnVの基底である.

Proof. Vを生成すること:

任意のf ∈Vと任意の∑

iaixi∈V に対し,

f(

i

aixi) =∑

i

aif(xi) = (∑

i

f(xi)xi)(∑

i

aixi)

なのでf =∑

if(xi)xi である.よってf ∈ ⟨x1, . . . , xnであり,

V=⟨x1, . . . , xn. 一次独立であること:

iaixi = 0とすると任意のjに対してaj = (∑

iaixi)(xj) = 0.

x1, . . . , xnx1, . . . , xnの双対基底という.φx:V →Vφx(∑

i

aixi) =∑

i

aixi

で定めると,φxは線形同型写像である.この線形同型写像は基底 x={x1, . . . , xn}の取り方に依存するように見える.実際依存す ることが知られている.

Vの双対空間(V)を簡単の為V∗∗と書く.V =V, V= V∗∗であるからV =V∗∗であるが,この同型は実は基底の取り 方に依らない『自然な』ものである:

定理 13.4. φ:V →V∗∗φ(x) = (f 7→f(x))とおくと,V の 任意の基底x1, . . . , xnに対しφ(xi) =x∗∗i (= (xi))が成り立つ.

特にφは線形同型写像である.

Proof. 任意のjに対してφ(xi)(xj) =xj(xi) =δij=x∗∗i (xj)で ある.よってφ(xi) =x∗∗i .

V =L(K, V) 双対←→ V=L(V, K)

注意. φ : V V∗∗ の定義に基底は用いていないので,φは基 底に寄らない『自然な』線形同型である.他方VVの間には

『自然な』同型は存在しない.

注意. V が無限次元のときは定理13.3,13.4は成立しない.

【例】1変数多項式のなす線形空間 K[x] ={

n

i=0

aixi| ∀n≥0,∀ai∈K}

は基底1, x, x2, . . .を持つがその双対1, x,(x2), . . .K[x]の 生成系になっていない.例えばK[x] ∋f, f(∑

iaixi) = ∑

iai は1, x, . . .の線形結合では表せない.

(5)

実はV が無限次元のとき,定理13.3,13.4の写像に限らず,一 般にV ̸∼=V, V ̸∼=V∗∗であることが知られている.

【例】Z/2Z[x]と,Nの有限部分集合全体からなる集合との間 に全単射がある.一方(Z/2Z[x])とNの部分集合全体からなる 集合との間に全単射がある.Nの有限部分集合全体の集合と部分 集合全体の集合の間には全単射が存在しないことが知られている.

前回講義した対称双一次形式の一般化である双一次形式を導入 しておく.V, WK上の有限次元線形空間とする.

定義 13.5. b : V ×W K が双一次形式であるとは,任意の v ∈V, w∈W に対しb(·, w) :V →K, b(v,·) :W →Kが線形 写像であるときをいう.

定義を言い換えれば,双一次形式b:V ×W →Kは2つの線 形写像を与える:

lb:V →W, lb(v) =b(v,·), rb:W →V, rb(w) =b(·, w).

定義 13.6. 双一次形式b : V ×W K が非退化であるとは,

lb, rbが共に単射であるときをいう.

V, W は有限次元で,dimV = dimV,dimW = dimWなの で次が従う.

命題13.7. K上の有限次元線形空間V, Wの間に非退化双一次形

b:V ×W →Kが存在するとき,lb:V →W, rb:W →V は線形同型である.

この命題の応用を2つ述べる.

応用1

補題 13.8. e:V ×V →Ke(x, f) =e(x)で定めるとき,e は非退化双一次形式である.

Proof. le:V →V∗∗が単射であること: le(x) = (f 7→ f(x)) = 0∈V∗∗とすると,任意のf ∈Vについてf(x) = 0である.こ こからx= 0が従う(各自確かめよ).

re:V→Vが単射であること: re(f) = (e(·, f) :V R) = f である.

13.9. (基底に依らない)『自然な』線形同型V =V∗∗がある.

応用2

補題 13.10. R上の有限次元線形空間V 上の対称双一次形式

b:V ×V Rが非退化(=対応する対称行列が正則)であれば,

(6)

bは双一次形式としても非退化である.

Proof. V の基底をひとつ取りRnと同一視しておく.bは適当な

正則対称行列Sによって

b(x, y) =xTSy

と書かれる.lb : Rn (Rn) は,lb(x)(y) =xTSy, x, y∈Rn で与えられる.あるxに対しlb(x) = 0とすると,任意のyに対 しlb(x)(y) = xTSy = 0である.yとして特にy = S1xを取 ると,

0 =lb(x)(S1x) =xTx=∥x∥2.

よってx= 0.したがってlbは単射である.rbが単射なのも同様 に示される.

13.11. V を有限次元実内積空間とすると,VVの『自然 な』同型が以下で与えられる:

V 7→V, x7→(y7→(y, x)).

つまり,内積があると線形同型V = V が自然に得られる.

よって任意の線形写像f :V Rは『V のある一つの元との内積 をとる写像』として実現される:

定理 13.12 (Rieszの表現定理). V を有限次元実内積空間とす る.任意のf ∈Vに対し元af ∈V がただ一つ存在し

∀x∈V, f(x) = (x, af) を満たす.

練習問題 線形空間P2 ={a0+a1x+a2x2 | ai R} に内積 (·,·)を次で定義する(これが内積であることは各自確かめよ.):

(f, g) =

[1,1]

f(x)g(x)dx.

E∈P2E(f) =f(0)で定義するとき,E(g) = (g, fE)が任意 のgに対して満たされるようなfE∈P2を求めよ.

次回:授業アンケート,行列の指数関数,その他補足

参照

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