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渉 外 保 険 契 約 に お け る 国 際 私 法 問 題

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(1)し. が. ぎ. 渉外保険契約における国際私法問題. は. む. す. び. し. が. き. 土. 井. 輝. 生. 渉外保険契約における国際私法問題. 凶四七︵三二五︶. 国保険会社の締結する保険契約にも︑外国的要素がふくまれることが多い︒このような事件においては︑すべて︑法. ︵二︶. 険会社の営業も活発となつた︒外国保険会社や外国保険会社内国営業所の締結する保険契約においてはもちろん︑内. ︵一︶. 戦後︑国際通商・交通がひんぽんとなつたこととあいまつて︑渉外保険契約の数も増加し︑わが国における外国保. は. 被害者の直接保険金請求権の準拠法. 出訴期間制限条項の効力の準拠法. 保険者の代位権の準拠法. 外国保険会社内国営業所の締結する保険契約の準拠法. 保険契約の準拠法. 五 四 三 二 一.

(2) 論. 説︵土井︶. 一四八︵三二六︶. 律関係の準拠法決定の問題が発生するが︑他の国際私法問題と同様に︑その解決はかならずしも容易ではない︒. 保険契約の種類は︑国際物品売買に付随して締結される海上保険契約ばかりでなく︑火災保険・自動車損害保険・. 信用保険その他各種の損害保険や︑生命保険など︑多様であるρ保険契約に関係する当事者も︑直接契約締結にあた. つた当事者ばかりではない︒保険の目的も︑契約の種類によつて性質を異にする︒また︑保険契約事件の解決には︑. 保険の技術的性質も考慮しなければならない︒したがつて︑渉外保険契約にあらわれる各種の国際私法問題は︑個別. 的に詳細に検討しなければならないが︑そのいとぐちとして︑ここでは︑戦前・戦後をつうじて︑わが国の裁判所が. ︵一︶. 保険契約における渉外的法律関係の懇様について︑山戸﹁保険契約に関する準拠法﹂私法九号二二〇頁︑三浦義道﹁国際. 上杉幸重﹁総説﹂損害保険実務講座六巻一一頁︒. 判決した少数の渉外保険事件をとりあげ︑それらにあらわれた問題を整理し︑一応の解決をこころみた︒. ︵二︶. 保険契約法研究﹂中央大学五十周年記念論文集法律之部二二九頁Q. 保険契約の準拠法. 保険契約に外国的要素がふくまれている場合には︑その成立および効力については︑法例第七条にしたがい︑当事. 者の意思によつて定められる準拠法によらなければならない︒保険契約に準拠法について明示の定めがある場合に. は︑これによるべきことはいうまでもない︒たとえば︑イラン国テヘラン港から神戸港にむけ船積された棉花を目的 ︵一︶ とするスイス保験会社の締結した保験契約に︑イギリス法に準拠する合意のあつた例がある︒.

(3) 保険契約自体の準拠法の指定と区別しなければならないのは︑保険約款の解釈に関する補助的準拠法の措定であ. る︒横浜からワソドンおよびハンブルグにむけた貨物を目的として︑日本の保険会社が英文の保険証券を用いて締結. した海上保険契約について︑準拠法は行為地法たる日本法であるとしたのち︑﹁本件保険契約二基キ発行セラレタル. 保険証券ニハ本証券記載ノ印刷セラレタル部分ノ解釈二関シ保険金ノ支払並二損害ノ決定二付テハ本保険ハ英国ノ法. 令慣習二従フヘキ旨ノ記載アルヲ以テ右ノ事項二関シテハ前掲原則二反シ特二英国ノ法令及慣習ニヨルヘキ旨ノ合意 ︵二︶ 力契約当事者間二成立シタルモノト認定スルヲ相当トス﹂とした判例がある︒また︑横浜からサイゴンにむけて船積. された貨物を目的とLて︑日本の保険会社が締結した海上保険契約には︑右のような明文の条項はなかつたが︑裁判. 所は︑ ﹁一般二海上保険業者力英文ヲ以テ保険証券ヲ発行シタル場合ハ契約約款ノ解釈二付英国法ノ規定並慣行二準 ︵三︶. 拠スヘキ事実タル慣習アルコト明ニシテ被保険者タル被控訴人力本邦人二非サル本件二在リテハ反証ナキ限リ此ノ慣. 習二依ル意思アリタルモノト推定シ得ヘシ﹂と判示している︒これらはいずれも︑保険契約自体の準拠法をイギリス 法としたものではない︒. 法例第七条一項の適用にあたつて︑当事者の明示の準拠法指定がない場合には︑あらゆる事情を考慮して︑契約締. 結にあたつて当事者が有していたと思われる黙示意思の探求︑それが不明の場合には︑その意思を推定ないし擬制し. なければならない︒外国保険会社内国営業所の締結した保険契約は別として︑前記横浜からロソドンおよびハンブル. 一四九︵三二七︶. グむけの貨物を目的とする日本の保険会社の締結した海上保険契約や︑アメリカ合衆国の保険会社の締結した海上保 ︵四︶ 険契約については︑行為地法として︑それぞれ日本法およびアメリカ合衆国の法律が適用されている︒ 渉外保険 契 約 に お け る 国 際 私 法 問 題.

(4) 論. 説︵土井︶. 一五〇︵三二八︶. 法例第七条の解釈としては︑結果は右にあげた例のように行為地法によるとするのとおなじであつても︑特別の事情. のある場合はともかく︑一般的には︑保険契約の大量契約・附合契約的性質に着目し︑あわせて保険契約の技術的特. 質を考慮して︑契約の中心地である保険会社の本店所在地の法によるとするのが︑理論としてはより合理的であろう︒. 一般に︑個品運送契約のような︑多数の当事者を相手とする大量的・附合的契約の準拠法の決定については︑契約. 内容の決定権が企業経営者たる一方の当事者のみに存し︑相手方当事者の意思の介入する余地のないのが通常である. から︑当事者による別段の意思表示のないかぎり︑契約を成立させるうえに優勢な地位にたつ当事者の意思のみを考 ︵五︶ 慮し︑本店所在地法に指定意思をみいだすことになる︒. 保険契約は︑このような附合契約の典型的なものである︒保険会社は︑統一的計画にもとづいて︑同一の定型的約. 款をもちいて︑多数の当事者と契約を締結するのであるから︑抵触法的取扱いにおける法律関係の統一的解釈が必要. であり︑準拠法指定意思を探求するにあたつては︑単独の保険契約だけでなく︑一連の保険契約の集団に着目しなけ. ればならない︒ここでは個々の保険契約者の国籍︑契約締結地︑履行地︑保険の目的の所在地︑保険事故の発生地な. どは︑第二義的に考慮されるにすぎない︒保険者の締結する保険契約が︑その本店所在地法と密接に関係すること. は︑保険契約の附合契約的性質ばかりでなく︑保険の技術的構造によつてもうらづけられる︒すなわち︑保険者は︑. その業務について本店所在地の法律の規制をうけ︑主務官庁の厳格な監督のもとに︑経済上同種の危険にさらされる. 多数の者と契約を締結し︑統計にもとづいて︑危険団体の一部のものがうける損害を分担させる組織を構成させるも. のてあつて︑技術的・法律的に統一的取扱いを必要とするからである︒実際に準拠法の指定を行なうについても︑保.

(5) ︵六︶. ︵一︶. 東京控判昭和七年二一月二七日︵法律新聞三五三一号一五頁︑国際私法例集下一〇五五頁︶︒. 東京地判昭和三四年六月二三目︵下級民集一〇巻六号一七一頁︶Q. 険会社の本店所在地法を採用し︑その旨の規定をおくことが多い︒. ︵二︶. この種の約款について︑山. 戸・海事国際私法論二四七ー五四頁︑貿易実務講座五巻﹁貿易と保険﹂六〇頁︑第一編﹁海上保険﹂︑第三章﹁英文海上保. 東京控判昭和一五年四月二四目︵法律新聞四五八七号一二頁︑国際私法例集下一一〇五頁︶︒. 険証券と約款の解説﹂︑実方・国際私法概論二三〇頁Q ︵三︶. ︵四︶ 上掲︑東京控判昭和七年一二月二七目は︑目本の保険会社が締結した海上保険契約について︑﹁本件契約二於テハ其準拠. 法二関シ何等ノ定メナカリシモノナレハ行為地法タル日本法ヲ以テ準拠法トナスヘキモノナル旨主張シ被控訴人モ亦之ヲ認. モ亦. 本件当事者問二争ナキトコロニシテ右ハ法例第七条ノ趣旨二徴スルモ蓋シ至当ノ見解ナリ﹂とする︒上掲︑東京地判昭和三. メテ特段ノ事由ナキ限リ本件契約ノ成立及効カハ行為地法タル日本法ニヨリ決スヘキモノナリト主張スルヲ以テ此ノ点. 四年六月二三日においては︑日本むけ棉花について︑アメリカ合衆国の保険会社が同国の荷送人と締結した海上保険契約に. ︵五︶. 土井﹁米国保険会社東京営業所と米国会社の締結した信用保険契約の準拠法﹂ジユリストニ一一号六九頁︵一九六〇年︶︑. 久保・国際私法概論一六八頁︒. つき︑契約締結地たるアメリカ合衆国の法律が適用されると原告が主張し︑裁判所は黙示的にこれを肯定する︒. ︵六︶. 山戸・上掲私法九号二一一五−六頁︑三浦・上掲二三四ー五頁QQQ肉菩①一℃↓箒Oo昌語99■ 毒2 ︾Oo睡b震9守①ω窪亀鴇. Qo860︵一30︶嚇国葺ω梓卑8FU器即一く讐<o邑3Φ歪昌伊q巽8拝ら︵一〇〇︒O︶噺一空8鼠9ω①ωのoP↓吋鉱叡鐙曾驚巴留の. 一五一︵三二九︶. ︒ ︶w譲o鼻ギ一く舞①国昌什興葛ぎ奏一富妻湊O︵Na 一〇㎝O︶︒ 器ω霞き8ω8畦oω貸oのo昌母o淳ヰ弩ゆ巴の①障㈱o︒O卜︵一〇ω︒. 渉外保険契約における国際私法問題.

(6) 説︵土井︶. 二 外国保険会社内国営業所の締結する保険契約の準拠法. 一五二︵三三〇︶. 険約款︑保険料・責任準備金の算出方法を記載した書類の提出が要求され︵同法四条︶︑企業の組織および業務に. 条︶︑責任準備金および支払備金に相当する財産の所有︵同法一四条︶などの要件が課せられ︑免許の申請には︑保. される︒これによつて︑外国保険事業者が大蔵大臣から営業の免許をうけるためには︑一定金額を供託し︵同法八. 国においては︑外国保険事業者に関する法律︵昭和二四年法律一八四具・︶およびその施行規則︵昭和二六年︶が適用. わが国はもちろん︑大多数のヨー・ッパ︑ラテン・アメリカ諸国においては︑外国保険会社は︑所定の要件にした ︵二︶ がつて営業の免許をうけることを要し︑その締結する保険契約は︑強制的に内国法規の規制に服せしめられる︒わが. 格な国家の監督に付せられ︑ここで支店ないし営業所は︑その締結する多数の保険契約の中心となるのである︒. をつうじて保険契約を締結する場合には遮断され︑支店ないし営業所の業務はわが国政府の管理のもとにおかれ︑厳. なる︒換言すれば︑前節に述べた本店所在地法の適用は︑外国保険会社がわが国における支店・営業所または代理店. 規制が行なわれ︑その結果︑営業所の締結する保険契約は本店の業務から切断され︑わが国と密接に関連するものと. 反対となる︒つまり︑その支店または営業所が︑部分的に保険契約の中心となるからである︒ ︵一︶ わが国には多くの外国保険会社が営業所を設けているが︑その内国営業にたいしては︑わが国の厳格な監督および. 密接に関連するという事実は︑この保険会社が外国に支店または営業所を設置して業務を行なう場合には︑まつたく. 保険契約が大量的に保険会社の住所地に集中して締結されることから︑保険契約は保険会社の住所地法ともつとも. 論.

(7) ︵三︶ ついては︑商法や保険事業法が適用される︵同法一〇条︑一八条︑一九条︶︒このように︑外国保険会社の営業にたい. する内国法規の適用︑事業資金にたいする厳格な規制などによつて︑国際的保険事業は︑それぞれの国において分離. し︑独立企業単位となる結果をもたらされる︒これは︑内国支店ないし営業所が本店から独立した法人であるか否か. とは︑直接関係しない︒かくして︑わが国において︑外国保険会社が内国支店ないし営業所をつうじて締結する保険 ︵四︶. 契約は︑支唐ないし営業所の所在地法である内国法ともつとも密接な関係をもつことになり︑したがつて︑これを準. 拠法とするのが当然の帰結となる︒しかし︑以上のように︑私契約にたいする国家的規制が強化されても︑準拠法の 決定における当事者自治が基本原則であることには︑かわりがない︒ ︵五︶. 判例には︑イギリス保険会社日本支店が目本人当事者と締結した火災保険契約における普通保険約款の効力につい. て︑わが国の法律を適用した例がある︒カナダ保険会社日本支店が日本人と締結した生命保険契約にもとづく保険金 ︵六︶. 請求事件においては︑裁判所は準拠法に言及することなく︑当事者は保険契約の締結にあたつて普通保険約款による. 意思を有していたと判断する︒後述の米国保険会社東京支店と締結した信用保険契約にもとづく保険金請求事件にお ︵七︶ いては︑裁判所は準拠法についてなんら言及しないが︑日本法を適用するものと解される︒おなじく後述の︑米国保. 険会社東京支店が日本に居住する米国人と締結した自動車損害保険契約にもとづき︑被害者が直接保険会社にたいし ︵八︶. て保険金支払を請求した事件においては︑判決は保険契約の準拠法に言及しないが︑全体の論旨から︑アメリカ合衆. 国の法律を準拠法と考えているようにも思われる︒これらの保険契約は︑外国保険会社日本営業所が締結したもので. 一五三︵三三一︶. あるが︑さらに保険を付した危険の所在地も日本であることに注目し︑契約準撫法は日本法とすべきである︒ 渉外保険契約における国際私法問題.

(8) 論. ︵九︶. 説︵土井︶. 一五四︵三三二︶. 外国の立法例にも︑保険者の本拠地外にある営業所の締結する保険契約は︑ その営業所の所在地法によると規定す. ︵三︶. ︵二︶. ︵一︶. 土井・上掲ジユリスト一二一号六九ー七〇頁︑山戸・上掲私法九号一三八−九頁︑三浦・上掲二三五頁︒. 損害保険実務講座七巻七八頁︒. ω園 び〇一︸o昏︒息妹●§篭ミ縛ωωど昌 刈ρ. 長崎正造﹁日本損害保険市場﹂損害保険実務講座二巻二二八頁︒. るものがある︒. ︵四︶. 大判大正四年一二月二四日︵民抄録六三巻二二七八四頁︑国際私法例集下一〇三九頁︶は︑外国保険会社日本営業所と日. つぎのように判示する︒﹁普通保険約款ハ保険業者力予メ之ヲ定メテ主務官. ︵五︶. 本人当事者の締結した火災保険契約について︑. 庁ノ認可ヲ受ケ保険契約ヲ為スニ当リ相手方ト特約ヲ為ササル普通一般ノ場合二於テ其契約ノ内容ト為スヘキ約款ニシデ保. 険業法二依リ又外国保険会社二付テハ明治三十三年勅令第三百八十号二依リ営業免許ノ条件トシテ必ス適当二之ヲ定メ主務. 官庁ノ認可ヲ要スルモノトス⁝⁝火炭保険契約当事者ノ一方タル保険者力我国二於テ営業スル以上ハ其内国会社ナルト外国. 会社ナルトヲ問ハス筍モ当事者双方力特二普通保険約款二依ラサル旨ノ意思ヲ表示セスシテ契約シタルトキハ反証ナキ限リ. 其約款二依ルノ意思ヲ以テ契約シタルモノト推定スヘク本件事実ノ如ク我国二於テ火災保険事業ヲ営メル外国会社二対シ其. 会社ノ作成二係ル書面ニシテ其会社ノ普通保険約款二依ル旨ヲ記載セル申込書二保険契約者力任意調印シテ申込ヲ為シ以テ. 火災保険契約ヲ為シタル場合二於テハ仮令契約ノ当時其約款ノ内容ヲ知悉セサリシトキト難モ一応之二依ルノ意思ヲ以テ契. ︵六︶. 東京地判昭和三〇年一〇月五日︵下級民集七巻一〇号=二一頁︶︒. 東京地判昭和七年七月一五日︵法律評論二一巻商法五六六頁︑国際私法例集上四三一頁︶︒. 約シタル モ ノ ト 推 定 ス ル ヲ 当 然 ト ス ︒ ﹂. ︵七︶.

(9) 一九二五年ポーランド共和国国際私法第八条五号および一九四八年チエコスロヴアキア共和国国際私法第四六条二号は︑. ︵八︶ 東京地判昭和三七年七月二〇日︵判例時報三一一号二〇頁︶︒. ︵九︶. 一九四〇年モンテヴイデオ条約国際商法第一二条は︑﹁陸上保険契約は契約締結時における保険の. 保険契約の準拠法は保険者の本拠地法とし︑保険者の本拠地外にある代理店の締結する保険契約については︑代理店の本拠 地法によると規定する︒. 目的たる財産の所在地法に準拠し︑生命保険契約については︑保険会社またはその支店ないし代理店の住所地の法に準拠す. る﹂と規定するQ一九一九年ヴエルサイユ平和条約附属書第三︑十三も︑﹁後二至リ敵国ト為リタル国二設立セラレタル保. 保険者の代位権の準拠法. ヤ. 険会社ノ支店ノ締結シタル生命保険契約ノ効カハ条約二反対ノ規定アル場合ヲ除クノ外其ノ支店所在地ノ法令二依ル﹂と規 定する︒. 三. ヤ. 各国の保険法は︑保険者が︑保険契約にしたがつて︑保険の目的たる財産の損失をてん補して保険金を支払つたと. ぎには︑その保険者に︑支払保険金額の限度において︑債務不履行によると不法行為によるとをとわず︑損失につい. て責任を負う第三者にたいする被保険者の権利を代位行使する権利︵の暮3讐まb︶を認めている︒わが国の商法も︑ 第六六二条にこれを規定する︒. この代位権は︑保険者と当該第三者の権利関係から生ずるものではなく︑補償契約としての保険契約の特質にもと. づくものであつて︑被保険者のみから伝来し︑被保険者の権利においてのみ︑強行できるものである︒したがつて︑. 一五五︵三三三︶. 被保険者が訴権を有しない場合には︑保険者にはなにも移転しない︒この保険者の代位権は︑保険契約の効力として 渉外保険契約における国際私法問題.

(10) 論 説︵土井︶. 一五六︵三三四︶. 発生するものであるから︑代位権の成立要件.内容・行使などについては︑保険契約の準拠法によることになる︒. 保険者の代位権について︑国際私法上とくに間題となるのは︑代位権の準拠する保険契約の準拠法と︑代位権によ. つて保険者に移転すべき被保険者の第三者にたいする権利の準拠法が異なる場合である︒ ︵一︶. この間題を提起するのが︑外国の保険会社三社が︑日本の荷受人に代位し︑日本の倉庫会社にたいして提起した損. 害賠僕請求事件である︒原告ら外国保険会社は︑外国から神戸港にむけ︑日本商社を荷受人とした棉花を保険目的と. ヤ. ヤ. して︑積出港から神戸港をへて荷受人に引渡されるまで︑およびその途中の運送期問︑棉花のうけるすべての損害を. てん補する旨の保険契約を︑積出地の商社と締結したのである︒この棉花が神戸港到着後︑被告の倉庫に保管中︑火. 災によつて焼失したため︑原告らは荷受会社に保険金を給付したのち︑後者の被告倉庫会社にたいする損害賠償請求. 権を代位行使して︑訴を提起した︒原告らは︑保険契約の準拠法上︵アメリカ合衆国およびイギリスの法律︶当然. に︑保険金支払の限度において︑荷受会社に代位して︑被告にたいする損害賠償請求権を取得したと主張した︒裁判. 所は︑原告らの代位権の準拠法についてなんら言及することなく︑原告らが代位権を有することを前提として︑代位 ︵二︶ 権行使の客体である荷受人の被告にたいする請求権の有無について判断するにとどまる︒. この事件において︑原告の代位権の対象となるのは︑荷受人の被告にたいする権利であり︑原告が主張する債務不. 履行および不法行為にもとづく損害賠償請求権は︑ともに日本法に準拠するものである︒ここで︑保険者の代位権が. 成立するか否か︑その内容・行使の方法︑効果などについては保険契約の準拠法そのものによるとしても︑相手方第. 三者︵被告︶との関係について︑被保険者と第三者︵荷受人と被告︶の権利関係の準拠法をいかなる限度において考.

(11) 慮すべきかが間題となる︒わが国においては︑債権者代位権について︑この問題が議論されているにとどまる︒これ ︵三︶. については︑保険契約ばかりでなく︑客体たる権利の準拠法によつても︑代位権が認められなければならないとする. 見解がある︒これによれば︑保険契約の準拠法にくわえて︑代位権の客体たる債権の準拠法である日本法においても. ︵四︶. 代位権が認められるかを判断するため︑商法第六六二条を累積適用して︑はじめて代位権の成立を認めることにな. る︒しかし︑保険者の代位権は保険契約の準拠法の効果として発生し︑被保険者の保険金の受領と︑第三者からの損. 害の回復という二重の利得を防止することを目的とするものであるから︑その成立要件は保険契約の準拠法を適用し. て判断すれば十分である︒被害者が加害者の不法行為責任を免除し︑かつ保険金を受領した場合に︑その被保険者は. 保険金を返還しなけれぼならないかといった問題も︑保険者と被保険者の関係の準拠法によればよい︒つまり︑債権 ︵五︶ 者代位権についてもいえるように︑保険者の代位権の成立には︑保険契約の準拠法のみを適用すべぎである︒また︑. この結論の方が︑保険契約における取引の安全により適合すると考えられる︒この場合︑対象となる債権の準拠法に ︵六︶ おいて︑保険者の代位権が認められなくても︑結果は異ならない︒. このことは︑代位権の客体である債権の準拠法をまつたく無視すべきことを意味するものではない︒けだし︑代位. 権の効果として︑被保険者の権利が法律上保険者に移転するのであるから︑そのような権利移転が可能でなければ︑. 代位権の行使は実現しないからである︒この移転性については︑当該債権の準拠法にとわなければならない︒つま. り︑債権者代位権の場合には︑譲渡不能︑差押不能︑一身専属として移転不能とされる権利があるからであり︑保険. 一五七︵三三五︶. 契約においても︑この点を考慮する必要がおこるのである︒すなわち︑第三者との権利関係において︑代位の対象た 渉外保険契約における国際私法間題.

(12) 論. 説︵土井︶. 一五八︵三三六︶. る権利が一般的に移転可能であるかを︑その準拠法によつて判断すればよいのである︒これが代位権の客体たる債権. 準拠法の最大限度の適用である︒もちろん︑第三者が行使すべき抗弁権の種類︑内容および代位権の客体たる権利の. 時効などは︑もつぽらこの債権準拠法によつて決定される︒以上述べたことは︑海上保険ばかりでなく︑傷害保険︑. 自動車損害保険などあらゆる損害保険において︑また民法の債権者代位︑弁済者の法定代位︑損害賠償者の代位︑弁. 上掲︑東京地判昭和三四年六月二三日︵下級民集一〇巻六号一六五頁︶︑土井﹁外国保険会社が日本荷受人に代位し︑日. 済をなした保証人の代位などにおいて生ずる︑法律上の債権移転の問題である︒ ︵一︶. 被告倉庫会社の荷受人にたいする責任について︑小町谷﹁神戸港における倉庫営業者と棉花の輸入者と溺締結する輸入棉. 本倉庫会社に対してなす損害賠償請求と準拠法﹂ジユリストニニ九号七九頁︵一九六一年︶︒ ︵二︶. 債権者代位権についてこの立場をとるもの︑江川・国際私法二四四−五頁︑桑田﹁債権の対外的効力・変更・消滅﹂国際. ニ四三号八二頁︵一九六二年︶o. 花荷捌契約の性質ー倉庫営業者が保管中の棉花の火災による損害に対する右契約に基く責任と免責約款の効力﹂ジユリスト. ︵三︶. 私法講座二巻四八七頁︑実方・上掲二五二頁︒久保・国際私法論三六三頁は︑﹁代位権行使の方法のみは貴務者の権利の準. オランダの判例には︑ドイツ保険局が︑オランダ領土内において鉄道事故のため負傷したドイツ郵政局員にたいし︑ドイ. 拠法のみに依る﹂とする︒累積適用の当否を疑問とするもの︑折茂・国際私法︵各論︶一四七ー八︑一六一−二頁︒ ︵四︶. ツ社会保障制度にもとづいて年金の支払いをなしたのち︑後者に代位して︑オランダ鉄道会社にたいし︑不法行為による損. 害賠償を請求したが︑類似の事件においてオランダ法は代位権を認めないという理由で︑請求を棄却したものがある︒. =鼻︾ヨ馨窪3ぎ︵︾℃邑一ρお置︶Z﹂・Qo2︵お旨︶・ラーベルは︑同様の事件に関するスイス連邦裁判所の判決︵ωρ.

(13) Q・. oサ亀き. 一六四−五頁︒ω緯醸9↓蚕凶叡蝕似Bo暮巴お. 一〇一ω︶紹切O蝉自ミ︸ω℃声風ω旨一︶とともに︑これをあやまつたアプーチだと批判する︒ω肉筈①一. ω下Q. o. ︵男Φび︒鱒Q. 辱ミ讐. 債権者代位権について同旨︑川上・仏蘭西国際私法︵現代外国法典叢書︶ 一3︒y. スイスには︑あぎらかにこの立揚をとる判例があるQイタリヤ会社を荷受人とし︑スイス船に積載したセルローズの貨物. 出訴期間制限条項の効力の準拠法. 渉外保険契約における国際私法問題. 一五九︵三三七︶. この種の合意は︑約款文言の表現はともあれ︑その実質は債権者の権利行使を時間的に制限する合意であるから︑. 法に関するものか︑訴訟上のものかという︑法律関係性質決定の問題が生ずる︒. ような条項の効力は︑いかなる国法によつて決定するかという問題が提起される︒その前提として︑この条項は実体. 会社がこれをもつて抗弁とし︑反対に︑原告保険金請求者がその条項の効力を争そうという形をとる︒そこで︑この. 限条項を挿入することがある︒具体的な事件においては︑この期間が経過したのち提起された訴について︑被告保険. 損害保険約款には︑保険会社にたいする保険金請求の訴は一定の期間内に提起すべきことを規定した︑出訴期間制. 四. Q︶園切O中頃QQ一噂Q るQ閃P ︵ 霞 餌 矯 8 一 譲 Q Q旧Q Q 肉呂9愚︒ら騨裟博︑黛9蕊9 QQ. 法第七二条のように︑保険者の代位権を不法行為にもとづく損害賠償請求権に限定しないため︑原告の代位訴権を認めてい. 償を請求した事件において︑スイス連邦裁判所は︑保険契約の準拠法たるイタリヤ商法第四三八条一項が︑スイス保険契約. が船の沈没によつて滅失し︑イタリヤ保険会社が荷受人に保険金を支払つたのち︑これに代位して︑スイス船会社に損害賠. ︵六︶. α①警o一江簿①醤蝕8箪且鼠①ミ贔︒8︵ωΦq. ︵五︶. §.

(14) 論. 説︵土井︶. ︵一︶. 一六〇︵三三八︶. 時効期聞を短縮する合意と同様︑実体法に関する合意と解すれば︑その効力は︑保険契約の準拠法によつて︑決定す. べぎことになる︒保険契約の準拠法たる外国法によつてこれが有効とされる場合には︑法例第三〇条により︑わが国. の公序に遠反するか否かがさらに問題となる︒反対に︑これを法律の定める出訴期限をさらに制限する手続的性質の ものと解すれば︑その効力は法廷地法によつて判断すべきことになる︒. 例としてまずあげられるのは︑米国会社東京営業所が︑米国保険会社東京支店にたいして提起した信用保険契約 ︵二︶ ︵臣①ξ一霧畦き8︶にもとづく保険金講求事件である︒保険約款第五条には︑保険契約者は︑保険金請求の書類を交. 付したのち六ヵ月経過後においては︑保険者にたいしていかなる訴訟手続もとつてはならないという規定があつた︒. 原告は︑﹁本件保険契約は日本法に準拠するものであるところ右第五条の規定は原告の訴権を不当に制限するもので. 公序良俗に反し民法第九〇条により無効である﹂と主張したのにたいし︑裁判所は︑﹁かかる合意は訴訟制度の目的. に鑑み一般的に云つて何等公序良俗に反する謂れはなく︑叉本件に於ける期間も特に不当な制限とは認められない﹂ と判示している︒. つぎの判例は︑米国保険会社東京支店と東京に居住する米国人が締結した自動車損害保険契約にもとづく︑被害者. ︵三︶ の保険金請求事件である︒保険証券︵ぼ邑αqけ>暮o旨o匡o℃〇一一藷︶は︑﹁条件﹂の第一三項において︑﹁会社に対す. る訴は︑被保険者の支払義務が︑現実の審理を経てなされた︑被保険者敗訴の判決により︑又は被保険者︑被害者及. び会社の三者の合意によつて︑最終的に決定された後でないと︑提起することができず︑叉︑いかなる場合にも︑そ. の訴は︑右の判決又は合意の後︑一ニヵ月以内に提起しなければならない﹂と規定していた︒裁判所は︑﹁この条項.

(15) は︑﹃ノー・アクシ・ン・クローズ﹄と呼ばれるだけに︑被害者の告訴権︑或は︑出訴に対する制限を規定したもの. と見られるが故に︑その意味に於て︑訴訟法に関する合意と解すべぎであると考えられる︒もしそうだとすれば︑か. ような告訴権叉は出訴の制限に関する︑訴訟上の合意は︑法廷地法たる我が国の民事訴訟法に照らし︑無効であると. 謂わなければならない﹂と判示している︒この判示は︑右条項後段の出訴の期間を制限する規定もふくめて論ずるも のと解してよいであろう︒. 大陸法における債権の消滅時効や除斥期間︑英米法における出訴期限︵猷旨§一自98ぎ霧︶は︑債権そのもの ︵四︶. の運命に関するから︑実体法上のものとして︑その成立および効力は憤権の準拠法によるとするわが国をふくめて大. 陸法の立場を一貫するとすれば︑このような合意は時の経過による実体的権利の消滅・制限に関するもの︑すなわ. ち︑保険契約にもとづく保険金請求権の行使を制限する実体法上のものと性質決定し︑その効力は保険契約の準拠法. によつて判断するのが妥当であろう︒しかして︑これが法例第三〇条にいう法廷地たるわが国の公序に違反するかに ︵五︶. ついては︑債権の消滅時効の期間を短縮する合意とおなじく︑とくに不当なものでないかぎり︑一般的には公序に反. しないと解する︒右にあげた二件については︑いずれも目本法を契約準拠法とすべぎであつて︑第一の判決のよう. に︑このような合意は日本法においても有効であると解する︒このことは︑外国保険会社が︑外国保険事業者に関す. る法律にしたがい︑保険約款を提出して主務大臣から営業の免許をうけて事業を行なつていることによつても︑うら. づけられる︒第二の判例における︑いわゆる﹁ノー・アクション・ク・ーズ﹂︵89ぎロ号岳①︶も同様に︑保険金. 一六一︵三三九︶. 請求権という実体法上の権利の行使に条件を設けるものとして︑その効力は保険契約の準拠法によって判断すべきで 渉外保険契約における国際私法問題.

(16) あ ((ろ. 論. O. 説︵土井︶. 東京地判昭和三七年七月二〇日︵判例時報三一一号二〇頁︶︒. 土井﹁債権の消滅時効の準拠法﹂綜合法学五巻一〇号六二頁︒. 一六二︵三四〇︶. この種の合意は︑わが国においては︑ひろく訴訟上の合意とよばれているものの一つであり︑とくに強行規定に反し︑ま. きは︑被害者は︑保険会社にたいして︑保険金額の限度において︑損害賠償の支払を詰求することができると規定す. わが国の自動車損害賠償保障法︵昭和三〇年法律九七号︶第一六条は︑自動車保有者の損害賠償責任が発生したと. 五 被害者の直接保険金請求権の準拠法. 月号二一ー二頁︑兼子・民事法研究一巻二四三頁︒. はじめて︑裁判所がその当否について判断することになるQ染野﹁訴訟に関する合意とその問題点﹂綜合法学一九六〇年八. 存在自体が直接当然に訴訟上の効果を生ずるものではなく︑訴訟において︑当事者が請求または抗弁の内容として陳述して. た直接裁判権の行使を害することがないかぎり︑もちろん契約自由の原則のもとに許容されるQしかし︑このような契約の. ︵五︶. ︵四︶. ︵三︶. 小町谷﹁会計係の不正行為に対する信用保険における告知事項﹂ジユリストニ六五号一七〇頁︵一九六三年︶︒. するものであつた︒中酉正明﹁信用保険における監査手数料等の因果関係﹂商事法務研究一九六二年一一月五日号一〇頁︑. 東京地判昭和三〇年一〇月一五日︵下級民集七巻一〇号一二二頁︶︑土井・上掲ジリストニ一一号六九頁Qこの保険契約 め ヤ は︑原告が東京において雇用する会計係が︑原告の金円を窃取・横領した揚合に︑原告かうけた損害をてん補することを約. わが商法第六六三条は︑保険金支払義務の消滅時効期間を二年と規定するQ. oじう.

(17) ︵一︶. る︒これは︑アメリカ合衆国では︑不法行為の被害者が加害者の保険者にたいして有する直接訴権︵臼話983b︶. とよばれているもので︑国際私法上は︑保険者の所属する国の制定法が︑その国で締結される保険契約について︑保. 険者にたいし︑被害者に直接損害賠償をなす義務を課している場合に︑その国のそとで損害をうけた第三者にたいし. ても︑保険者はこのような義務を負うか︑また︑不法行為地法がこのような規定を設ける場合には︑外国で保険契約 ︵二︶ を締結した外国の保険者も︑被害者にたいして直接損害賠償義務を負うか︑といつたことが問題となる︒その解決に は︑被害者保護という政策的考慮をはらう必要もでてくる︒ ︵三︶. 前節において引用した︑米国保険会社東京支店が︑東京に居住する米国人と締結した自動車損害保険契約にもとづ. く︑被害者の保険金請求事件が︑これに関するただ一つの判例である︒裁判所は︑保険契約者米国人の被害者にたい. する責任について︑不法行為地法たる目本法を適用して判断するが︑これは法例第二条の規定から当然のことであ. る︒ところが︑原告被害者の保険者にたいする保険金請求権については︑これを債権者代位権にもとづくものである. として︑まずこの代位権が実体法上の権利か訴訟法上の権利かの性質決定を間題とし︑つぎに︑アメリカ合衆国にお. いては︑被保険者の本店所在地法たるニューヨーク州においても︑加害者の居住地と推断されるカンサス州において. も︑被害者は保険会社にたいして直接保険金請求の訴を提起しうることを認めている︒そして︑﹁我が国に於ては︑. 債権者代位権の制度を︑訴訟法規の適用をうける制度であると解するが故に︑この種の制度が︑亜米利加合衆国内に. 一六三︵三四一︶. あると否とに拘らず︑法廷地法たる目本民法を適用し﹂︑原告が被保険者に代位して︑保険者にたいして行使する保 険金支払の請求は適法であると判断する︒ 渉外保険契約における国際私法問題.

(18) 論. 説︵土井︶. 一六四︵三四二︶. この事件は︑米国保険会社の日本支店が日本に居住する米国人と︑後者が日本で所有する自動車について︑前記自. 動車損害賠償保障法による強制保険とは別個に︑任意に締結し︑日本国内に効力を限定する保険契約であり︑また不. 法行為地も日本である︒この場合︑保険契約の準拠法を日本法とすべぎことについては︑すでに述べた︒抵触法上と. くに問題となるのは︑被害者の保険者にたいする直接保険金請求権が実体法上の権利か訴訟法上の権利か︑また︑実体. 法上の権利であるとしても︑保険契約の効果として発生する権利か︑不法行為にもとづく権利であるかの︑法律関係. の性質決定である︒この直接請求権は︑損害賠償ないし保険金を請求するものであるから︑実体法上の権利と解すべ. きである︒これを債権者代位権であるとして︑訴訟上の権利と性質決定する裁判所の見解には︑賛成しがたい︒外国 ︵四︶ においては︑不法行為地法によるとする判例や学説もあるが︑これは不法行為地法と保険契約の準拠法とが国を異に ︵五︶ し︑かつ前者ではこの権利を認めるが︑後者ではこれを認めない場合に︑被害者保護の見地から実益がある︒本件に. おいては︑被害者の保険者にたいする保険金請求権は︑保険契約の第三者におよぼす効果として︑保険契約の準拠法. によるとするのが妥当であろう︒いずれにしても︑本件原告の請求権は日本法に準拠するものとなるから︑問題は︑ ︵六︶. 制定法に被害者の直接請求権を認める明文の規定がなくても︑これを認めるべきかという︑わが国保険法の解釈に関. するものとなる︒ここで論じたことは︑アメリカ合衆国やヨー・ッパ大陸のように︑州際ないし国際自動車交通のひ. 商法 第 六 六 七 条 も 同 様 の 規 定 で あ る ︒. んぱんな地域で︑とくに重要な問題となつている︒ ︵一︶. ︵二︶ アメリカ合衆国における州法の規定︵9お9♪9ご眉ω鈷ε8ω︶の抵触問題について︑O﹃89ヨ児08費870ユo・名o気.

(19) ヤ. ヤ. き幾諄8Go●保険契約によつて︑不法行為地において被保険者にあたえた損害をてん補することが約束されている揚合に. bQ勾昏Φ一︸Oo昌臣90賄U帥名ω8ω6︵一〇癖刈y. 上掲︑東 京 地 判 昭 和 三 七 年 七 月 二 〇 日 ︒. 簿&国8ωρ9ω①の餌且鼠壁鼠一ω8α︒孟算︒騰ピ四誘翫一︵藤①α二︒竃ゾ ︵三︶ ︵四︶. ︵五︶. は︑不法行為地の島お9碧餓8の訂98を適用して被害者の直接請求権を認めるぺぎで︑これに反対すべき十分な理由は. 商法第六六七条の原則を責任保険契約一般におよぽすことは︑解釈論としてはやや困難であるが︑責任保険は窮極的には. ない︒すなわち︑法律の適用によつて︑保険金請求権が加害者から被害者に移転するにすぎないからである︑とする︒ ︵六︶. 被害者の損害賠償を可能ならしめる機能を有するものであるから︑立法論としては被害者の直接保険金請求権を規定するの. び. がのぞましいとされる︒大森・保険法二二一−二頁︒. す. 渉外保険契約における国際私法問題. 一六五︵三四三︶. 約について︑それぞれの特質にもとづき︑再検討を要する問題である︒また︑保険契約からは︑若干の判例について. さらに︑国家の監督・規制の程度や︑保険を付した危険の所在地も考慮しなければならない︒これは︑各種の保険契. 合には︑その附合契約的性質や保険会社にたいする国家の監督・規制を重要視すべぎことを述べた︒このためには︑. 保険契約の準拠法の決定については︑当事者自治が基本原則であることにはかわりはないが︑明示の指定のない場. も︑外国においては判例・学説の対立・混乱があらわれており︑一致した結論はみいだされない︒. 現在までにわが国の裁判所が判決した渉外保険事件の数は多くないが︑そこに提起されたいずれの間題について. む.

(20) 論 説︵土井︶ ︵一︶. 一六六︵三四四︶. 指摘したように︑保険契約自体とは別個に︑抵触法的考察をなすべき各種の法律関係が派生する︒再保険契約や保険 ︵二︶. 証券の証券的効力の間題もある︒保険契約の公益性からいかなる問題が発生するか︑とくに準拠法の決定における意. 思主義の可否も検討しなければならない︒ここにおいては︑保険契約に関する国際私法問題の基本的解決方向をしめ. 上掲︑東京控判昭和七年一二月二七日︑大判昭和一三年八月三一日︵法律新聞四三二三号一六頁︑国際私法例集下一〇九. したにとどまる︒ ︵一︶. 山戸・上 掲 私 法 九 号 二 二 九 頁 o. 八頁︶参照︒ ︵二︶.

(21)

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