放送大学文化科学研究科 福島大学共生システム理工学類
根 本 秀 一
福島大学共生システム理工学類黒 沢 高 秀
福島県生活環境部自然保護課藤 原 かおり
はじめに
2011年3月11日14時46分,牡鹿半島の沖合を震源と する東北地方太平洋沖地震(マグニチュード9.0)が 発生し,東日本の太平洋沿岸を大津波が襲った(原口・ 岩松 2011)。この津波と地盤降下により,海岸部で の植生のうち海岸林および砂浜植生に被害がおよんだ (永幡 2012,長島・西条 2012)。海岸林では特に防 潮のために植林されたクロマツ林は被害が大きく,青 森県三沢市,岩手県陸前高田市,宮城県仙台市,名取 市,山元町,福島県相馬市,いわき市など各地で壊滅 が報告されている(永幡 2012,長島・西条 2012, 長島 2012,原 2012)。砂浜植生は場所により,津 波の直接的な影響や河道の変化を通じた間接的な影響 により浸食され,生育基盤ごと消失しているのが観察 されている(永幡 2012,西条・長島 2012,長島・ 西条 2012,原 2012)。一方で砂浜が広く残された 場所もあり,そのような場所では海浜植物が生存して いるのが確認されている(永幡 2012)。また,海岸 の自然植生の回復や(平吹 2012),津波跡地でのあ る種の絶滅危惧植物の繁茂などの報告も(原 2012), 断片的になされている。 海岸には砂浜,岩石海岸,塩性湿地などの特殊な環 境があり,それぞれの環境に適した固有の植物が生育 している(奥田 1997)。一方で,海岸は人間による 環境改変の圧力の高い場所で,開発などによって生育 地が失われやすい場所である(角野・遊磨 1995,加 藤 1999)。そのため,海岸の植物の一部は絶滅危惧 種や準絶滅危惧種に指定されている。 現在,震災で破壊された防潮堤や保安林を復旧する 工事が進んでいる。復旧工事に際して,海岸の生物多 様性に十分な配慮がされずに行われることが懸念され ている(永幡 2012,平吹 2012,鷲谷 2012)。生 物多様性JAPANは2012年7月に「災害と生物多様性: 災害から学ぶ,私たちの社会と未来」と題したフォー ラムを行い,「生物多様性に配慮した復興への取り組 みについての緊急アピール」を取りまとめて環境大臣 に提出した(中村他 2012)。植生学会は2012年8月 に「仙台平野の海岸林の復興事業に関わる緊急の要望」 を林野庁仙台森林管理署署長等に,2012年12月に「東 日本大震災後の海岸林復興事業に関する緊急要望書」 を林野庁関東森林管理局長などに提出し(http:// www.sasappa.co.jp/shokusei/earthquake-related. html),防潮林の再生に当たっては,津波以前の生態 系や現在の立地環境に十分に配慮することなどを要望 している。日本生態学会生態系管理専門委員会は,植 生学会企画委員会,日本水産学会水産環境保全委員会 と連名で,「津波被災地での防潮堤建設にあたっての 自然環境への配慮のお願い(申立書)」(http://www. esj.ne.jp/esj/Activity/2012Bouchotei.html) を 2012 年 10月に岩手県知事と福島県知事に,11月に宮城県知事 に提出し,防潮堤建設に当たって生態系からの恩恵が 大きく損なわれないよう事前調査を十分に行うことな どを要望している。 復旧事業を進めるにあたって,海岸の生物多様性に資
料
東日本大震災後の福島県南部海岸の
絶滅危惧植物等およびその生育地の状況
配慮するには,絶滅危惧種等の震災後の生育状況の把 握が必要である。岩手県環境保健研究センター地球科 学部は岩手県沿岸部の希少植物調査を2011年7月から 8月にかけていち早く行い,2012年7月26日に結果を インターネットで公開した(http://www.pref.iwate. jp/view.rbz?cd=40311)。 宮 城 県, 福 島 県 な ど で も, 地域の植物研究会などを中心に,活発に調査が行われ ている。 福島県では福島第一原子力発電所の事故による放射 性物質の拡散への対応などにより,海岸の復旧事業の 着手が遅れており,現在各地の防潮堤の復旧工事や海 岸防災林再生のための盛土・植林事業の計画が立案さ れているところである。復旧事業の計画段階で絶滅危 惧種の分布等について詳細に把握し,海岸の生物多様 性に配慮しておくことは,保全の実効性が高く,地域 の特性を生かしたまちづくりにもつながると考えら れる。 本研究では,復旧事業の計画段階で海岸の生物多様 性に配慮できるよう,福島県南部の海岸において福島 県レッドデータブック(福島県生活環境部環境政策課 2002,以下福島県RDBと略記)に掲載されている絶 滅危惧植物等の生育状態を調査し,種類ごとの状況, および生育地ごとの状況を記録した。その結果に基づ き,震災復旧工事等で配慮すべき事項をまとめた。
方 法
福島県双葉郡富岡町からいわき市までの太平洋沿岸 を2011年3月から2012年11月に踏査し,福島県RDB(福 島県生活環境部環境政策課 2002)で絶滅危惧植物等 に指定された植物で自生するものの種類,株数,生育 状況,生育場所の緯度経度を記録した。調査した絶滅 危惧植物は可能な限り採集を行い,さく葉標本を作製 した。標本は同定の後,福島大学共生システム理工学 類生物標本室FKSEに保管した。崖の上で採集が困難 なもの,天然記念物指定等で採集が禁止されているも の,個体数が少なく採集により絶滅が心配されるもの については,目視確認に留めた。花壇のシャリンバイ 等,明らかに植栽とわかるものは調査対象に含めな かった。調査は東北地方太平洋沖地震以降に実施した が,福島第一原子力発電所事故に伴う立ち入り制限区 域にある富岡町のみ地震以前の2011年3月の調査記録 を用いた。 なお,いわき市小名浜の津波観測点における最大波 は3.3m(気象庁平成23年3月14日報道発表資料「い わ き 市 小 名 浜 」 の 津 波 観 測 点 の 観 測 地 に つ い て http://www.jma.go.jp/jma/press/1103/14c/tsunami_ onahama.html),いわき市平四ッ波字石森電子基準点 の本震(M9.0)に伴う地殻上下変動量は,-50㎝であっ た( 国 土 地 理 院http://www.gsi.go.jp/chibankansi/ chikakukansi40005.html)。震災により,いわき市四 倉ではクロマツ植林が大規模に枯死し,いわき市鮫川 では砂浜が大きく消失した(永幡 2012)。結 果
21地点において福島県RDB(福島県生活環境部環境 政策課 2002)で絶滅危惧種に指定された植物8種類 と,準絶滅危惧種に指定された植物11種類の生育が確 認された(図1,付記1)。内訳は,絶滅危惧Ⅰ類に 指定された植物が3種類(コモウセンゴケ,ハマゴウ, エゾノコギリソウ),絶滅危惧Ⅱ類に指定された植物 が5種類(シャリンバイ,ハマナス,ツボクサ,ハマ ボウフウ,ミズアオイ),準絶滅危惧種に指定された 植物が11種類(ハマナデシコ,ハマアカザ,ハマハタ ザオ,エゾノレンリソウ,オオバグミ,カワヂシャ, エゾオオバコ,シロヨモギ,コハマギク,ツワブキ, イガガヤツリ)であった。また,福島県RDB発行後 に新種記載された,福島県いわき市の海岸固有種の ハッタチアザミが確認された。考 察
1.確認された絶滅危惧植物 コモウセンゴケは,日当たりのよい酸性の湿地に はえる多年草である(佐竹他 1982a)。福島県に おいては,海岸の開発や園芸用採取により減少した ため絶滅危惧Ⅰ類に指定されている(福島県生活環 境部環境政策課 2002)。現在知られているのは富 岡町といわき市の各1ヶ所の自生地のみである(堀 1998,根本 2012)。富岡町の自生地は,小良ヶ浜 港へ続く道路の崖に群生しており(堀 1998),東 北地方太平洋沖地震前の2011年3月6日の時点では 生育が確認されたが,2012年12月現在,福島第一原 子力発電所事故に伴い立ち入りが制限されているた め,津波の影響を受けたかは不明である。 ハマゴウは,海岸の砂浜に群生する落葉小低木で ある(佐竹他 1989b)。福島県においては,海岸 の開発や防波堤の築造により減少したため絶滅危惧 Ⅰ類に指定されている(福島県生活環境部環境政策図1.2011年∼2012年に福島県双葉郡富岡町からいわき市までの太平洋沿岸で絶滅危 惧植物の生育が確認された地点.A:富岡町小良ヶ浜,B:楢葉町前原 木戸 川河口,C:いわき市久ノ浜町末続字下長沢,D:いわき市久ノ浜町末続字深谷, E:いわき市久ノ浜町金ヶ沢,F:いわき市久ノ浜町殿上岬,G:いわき市久 ノ浜町江ノ網,H:いわき市四倉町海水浴場,I:いわき市四倉町仁井田,J: いわき市平夏井川河口,K:いわき市平新舞子海岸,L:いわき市平沼ノ内漁港, M:いわき市平薄磯,N:いわき市平豊間漁港,O:いわき平豊間兎渡路,P: いわき平豊間合磯,Q:いわき市小名浜下神白,R:いわき市小名浜三崎公園,S: いわき市佐糠町鮫川河口左岸,T:いわき市錦町須賀,U:いわき市勿来町海 水浴場.国土地理院の電子国土Webシステムから配信された地図をもとに作成. D D II N S N S A B C E F G H J K L M O P R Q T U
課 2002,いわき自然塾 2006)。今回の調査では, いわき市四倉町下仁井田と平新舞子で確認された。 いずれの自生地も砂地に群落をなしているが,防潮 堤の近くに生育しており,復旧工事を行うにあたっ ては配慮が望まれる。また,いわき市四倉町の海水 浴場でも生育を確認したが,福島県植物誌編さん委 員会(1987)には記録が無く,道の駅よつくらがイ ベントとして苗を植栽しているため,人為分布であ ると思われる。苗の由来に関する記録は見つけられ なかったが,聞き取りによれば,四倉町下仁井田で 採集したものを植栽しているという。絶滅危惧種の 安易な植栽を行わないよう,普及啓発が必要である。 エゾノコギリソウは,北地の草原にはえる多年草 である(佐竹他 1981)。福島県では産地が局限さ れているため絶滅危惧Ⅰ類に指定されている(福島 県生活環境部環境政策課 2002)。現在知られてい るのは広野町といわき市の各1ヶ所の自生地のみ で,いわき市の自生地は分布の南限である(山内 2010,根本 2012)。今回の調査で確認したのはい わき市平豊間合磯の海蝕崖で,3株が生育していた。 生育状況の詳細は根本(2012)に報告がある。 シャリンバイは,主として海岸にはえる常緑低木 である(佐竹他 1989a)。福島県では海岸の開発 や園芸用採取により減少が著しいため絶滅危惧Ⅱ類 に指定されている(福島県生活環境部環境政策課 2002)。今回の調査では,いわき市久ノ浜町殿上岬 の海蝕崖上で1株確認された。いわき市平新舞子, 塩屋崎,小名浜下神白では,植栽されたものから逸 出して野生化しており,自生のものがあっても区別 が困難な状態になっている。 ハマナスは,海岸砂地に生じ,大群落をつくる落 葉低木である(佐竹他 1989a)。福島県の海岸に は か つ て 点 々 と 大 き な 群 落 が あ っ た( 小 此 木 1922)。しかし,現在は産地が局限している上,海 岸開発により減少しているため絶滅危惧Ⅱ類に指定 されている(福島県生活環境部環境政策課 2002)。 大和田・堀(2002)はいわき市内から5ヶ所,いわ き自然塾(2006)は3ヶ所のハマナス自生地を報告 しているが,今回の調査では,これらのうちの平夏 井川河口,平薄磯,小名浜下神白,錦町須賀の4ヶ 所で確認された。いわき市錦町鮫川河口右岸にあっ たとされる自生地は,津波で自生地が流出して確認 できなかった。また,いわき市四倉町海水浴場,平 豊間,佐糠町においてハマナスの生育が確認された が,自生か植えられたものか判断できなかった。い わき市平薄磯の豊間中学校校門の花壇に植栽されて いるハマナスは,自生していたものに由来するとさ れるが(夏井 1993,いわき自然塾 2006),今回 の調査においても現存が確認された。いわき市平新 舞子,泉町サンマリーナ跡,小浜町小浜漁港,勿来 町海水浴場では,ハマナスが植栽されており,一部 は逸出し野生化している。別の地域由来の植物の植 栽や野生化は,近くの自生個体群に遺伝的な撹乱を もたらすおそれがある(倉本 1986)。県内で残さ れた数少ない自生地付近へのハマナス植栽を行うべ きではないと考えられる。 ツボクサは,山野の低地にはえる多年草である(佐 竹他 1982a)。福島県が北限であり,人の踏みつ けや海岸浸食により減少しているため絶滅危惧Ⅱ類 に指定されている(福島県生活環境部環境政策課 2002)。今回の調査では,いわき市平新舞子と,小 名浜三崎公園のクロマツ林床で確認され,いずれの 産地においても個体数は多かった。葉が普通種カキ ドオシによく似た地味な植物であり,絶滅危惧種と 気が付かないまま損傷することがないよう,管理者 等へ自生地の周知が必要であると考えられる。 ハマボウフウは,海岸の砂地にはえる多年草で, 栽培もされ,若葉は刺身のつま,若芽は酢の物に用 いる(佐竹他 1982a)。福島県では海岸の開発や 食用の採取により減少しているため絶滅危惧Ⅱ類に 指定されている(福島県生活環境部環境政策課 2002)。かつてはほとんどの海岸で絶滅状態となっ たが(いわき自然塾 2006),今回の調査では,8ヶ 所の海岸で合計10,000株以上確認された。食用に採 取されていたものが,福島第一原子力発電所事故に 伴う放射性物質汚染の影響で採取されなくなり,個 体数が回復したのではないかと思われる。 ミズアオイは,沼や水田などにはえる多年草であ る(佐竹他 1982b)。福島県では河川改修や遷移 の進行により減少しているため絶滅危惧Ⅱ類に指定 されている(福島県生活環境部環境政策課 2002)。 今回の調査では,楢葉町前原の休耕田に群生してい るのが確認されたほか,いわき市平夏井川河口で1 個体が見られた。楢葉町の自生地は,震災前には周 辺地域も含めて確認されていなかったため(山内幹 夫 私信),津波で土壌がかく乱され埋土種子が芽 生えたと思われる。夏井川河口においても震災前に ミズアオイは見られなかったが,上流の平地区には ミズアオイの自生地があり,埋土種子が発芽した可 能性のほか,上流の個体群から種子が流下して芽生
えた可能性もある。 ハマナデシコは,ふつう海岸にはえる多年草であ る(佐竹他 1982a)。福島県では海岸の開発など により減少しているため準絶滅危惧に指定されてい る(福島県生活環境部環境政策課 2002)。今回の 調査では,いわき市久ノ浜町の4ヶ所で確認された。 個体数は合計数百株である。この他,いわき市平新 舞子,平沼ノ内では,民家の庭に植栽され,一部が 防潮堤や砂浜へ逸出して生育しているのを確認 した。 ハマアカザは,海岸の砂地にはえる1年草である (佐竹他 1982a)。福島県では海岸の開発などによ り減少しているため準絶滅危惧に指定されている (福島県生活環境部環境政策課 2002)。今回の調査 では,いわき市久ノ浜町金ヶ沢1ヶ所で5個体のみ 確認された。 ハマハタザオは,海岸の砂地にはえる越年草であ る(佐竹他 1982a)。福島県では海岸の開発や護 岸工事などにより減少しているため準絶滅危惧に指 定 さ れ て い る( 福 島 県 生 活 環 境 部 環 境 政 策 課 2002)。今回の調査では,いわき市久ノ浜町末続海 岸1ヶ所で5株のみ確認された。 エゾノレンリソウは湿った草地にはえる多年草で ある(佐竹他 1982a)。福島県では産地が限られ ている上に土地の造成や遷移の進行により減少して いるため準絶滅危惧に指定されている(福島県生活 環境部環境政策課 2002)。今回の調査では,いわ き市平夏井川河口のヨシ原で3株確認された。 オオバグミは,海辺に生育する常緑低木である(佐 竹他 1989b)。福島県が北限で,浜通りにややま れに産するが,海岸の開発や道路工事により減少し ているため準絶滅危惧に指定されている(福島県生 活環境部環境政策課 2002)。今回の調査では,い わき市内各地でふつうに観察された。現時点で絶滅 の危険性は低いと思われる。 カワヂシャは,川岸,溝のふちや田にはえる越年 草である(佐竹他 1981)。福島県では河川開発や 河川改修により減少しているため準絶滅危惧に指定 されている(福島県生活環境部環境政策課 2002)。 今回の調査範囲ではいわき市平夏井川河口のヨシ原 において5株確認された。近くに特定外来生物のオ オカワヂシャVeronica anagallis-aquatica L.が1株見 られた。両種は雑種のホナガカワヂシャ V. x myri-antha Tos.Tanakaを 生 じ る こ と が 知 ら れ て い る (Tanaka 1995)。今回雑種と思われる個体は確認 されなかったが,オオカワヂシャを早期に駆除する と共に雑種の有無に注意を払う必要があると思われ る。 エゾオオバコは海岸砂地にはえる多年草で,全体 に白色の軟毛がやや密生する(佐竹他 1981)。福 島県では海岸の開発などにより減少しているため準 絶滅危惧に指定されている(福島県生活環境部環境 政策課 2002)。今回の調査では,いわき市内の4ヶ 所で合計40株程の自生が確認された。 シロヨモギは,海岸の砂地にはえる多年草で,全 体 に 軟 毛 が あ っ て 雪 白 色 を し て い る( 佐 竹 他 1981)。福島県では海岸の開発などにより減少して いるため準絶滅危惧に指定されている(福島県生活 環境部環境政策課 2002)。福島県内では,相双地 域の海岸に分布しているとされていたが(福島県生 活環境部環境政策課 2002),今回の調査で,いわ き市四倉町海水浴場に1株自生しているのが新たに 確認された。 コハマギクは,海岸の岩上にはえる多年草である (佐竹他 1981)。福島県では園芸用採取や海岸の開 発などにより減少しているため準絶滅危惧に指定さ れている(福島県生活環境部環境政策課 2002)。 今回の調査では6ヶ所の海岸で崖地に群生している のが確認された。いわき市久ノ浜町金ヶ沢と平豊間 漁港においては,イエギクとの雑種であるミヤトジ マギクChrysanthemum x miyatojimense Kitam.が混生 していた。イエギクは野生のキク属とよく交雑して 自然雑種をつくることが知られている(中田他 1987,中田他 2001)。また,キク属内では緑化の ために植栽された外来シマカンギクと自生のノジギ クが雑種をつくり,さらに戻し交雑が行われている 可 能 性 が 示 唆 さ れ て い る( 中 田・ 伊 藤 2003, 2009)。このため,この場所でも自生のコハマギク の遺伝的撹乱が心配される。 ツワブキは,海岸の岩上や礫地,崖などにはえる 多年草である(佐竹他 1981)。福島県では海岸の 崩壊,海岸の開発,園芸用の採取により減少してい るため準絶滅危惧に指定されている(福島県生活環 境部環境政策課 2002)。今回の調査では,いわき 市内の5ヶ所に群生しているのが確認された。また, いわき市平新舞子海岸においては,栽培からの逸出 と思われる個体の生育を確認した。 イガガヤツリは,主として海岸にはえる多年草で ある(佐竹他 1982b)。福島県では海岸の開発に より減少しているため準絶滅危惧に指定されている
(福島県生活環境部環境政策課 2002)。今回の調査 範囲では,2ヶ所で確認したほか,新舞子海岸内陸 の駐車場や川原に多数の自生が見られた。 ハッタチアザミは,いわき市波立海岸で発見され (門田 2010),Kadota(2009)により新種記載され た植物である。波立海岸以外では見つかっておらず, 分布域が極めて狭くかつ個体数が少ないため,絶滅 が心配される植物である(門田 2010)。2009年の 時点では波立海岸で2ヶ所が確認されたが(門田 2010),今回の調査では,1ヶ所は自生地が消失し, 残る1ヶ所で5株の生育を確認したのみであった。 なお,地域の自然保護活動として,自生地から得た 種子を育てたハッタチアザミの苗の販売などが行わ れており,生物多様性保全の観点からは悪影響が懸 念される。 2.絶滅危惧植物が確認された地点の状況 調査範囲の21地点で絶滅危惧植物の自生が確認さ れた(図1)。そのうち19地点がいわき市に集中し ているのは,福島第一原子力発電所事故に伴う立ち 入り制限で双葉郡での調査期間が限られたこと,双 葉郡の海岸は海蝕崖が連続しており,調査できな かった海岸が多いことに起因している。 富岡町小良ヶ浜(図2A)では,コモウセンゴケ が確認された。自生地は小良ヶ浜港へ続く道路の崖 で,震災前から廃港となっている。この場所はコモ ウセンゴケが確実に現存する県内唯一の場所である ので,放射性物質の除染や道路拡張工事などで損傷 することがないよう,自治体等に周知を行うことが 必要である。 楢葉町前原の木戸川河口(図2B)では,休耕田 にミズアオイとイガガヤツリが確認された。自生地 は約100m四方の休耕田であった。震災では津波を 被ったと推定され(原口・岩松 2011),土壌がか く乱されたことにより,一時的に絶滅危惧植物が生 育できる環境が出来たものと考えられる。 いわき市久ノ浜町末続字下長沢(図2C)では, ハマナデシコ,ハマハタザオ,エゾオオバコ,コハ マギクが確認された。海蝕崖の麓にコンクリート護 岸と消波ブロックが配置されており,崖との間に土 砂が溜まり,絶滅危惧植物の生育地となっていた。 コンクリート護岸が一部破損しているため,補修工 事に際しては植生を損傷しないよう配慮が求めら れる。 いわき市久ノ浜町末続字深谷(図2D)では,ツ ワブキが確認された。 いわき市久ノ浜町金ヶ沢(図2E)では,ハマナ デシコ,ハマアカザ,コハマギクが確認された。ハ マアカザはこの海岸以外で確認できなかった。コハ マギクと共に,イエギクとの雑種であるミヤトジマ ギクが混生しており,交雑が広がらないよう駆除を する必要があると考えられる。 いわき市久ノ浜町殿上岬(図2F)では,シャリ ンバイとツワブキが確認された。シャリンバイは海 蝕崖の縁に自生しており,崩落により消滅する可能 性がある。 いわき市久ノ浜町江ノ網(図3A)では,ハマナ デシコ,エゾオオバコ,コハマギク,ハッタチアザ ミ,ツワブキが確認された。ハッタチアザミはこの 海岸が唯一の自生地であり,震災前は弁天橋の傍と, トンネルをひとつ隔てた駐車場の2ヶ所で確認され ていた。しかし,弁天橋の個体群は消滅していた。 エゾオオバコは駐車場の砂利に多数自生しており, コハマギクは北向きの崖の上に自生していた。ハマ ナデシコとツワブキは崖地に群生しており,国道の 法面にも多数生育していた。 いわき市四倉町の海水浴場(図3B)では,ハマ ボウフウとシロヨモギが確認された。ハマナスも生 育しているが,震災前の情報がなく自生か植栽か不 明である。また,ハマゴウが植栽されていた。ハマ ボウフウは砂浜に広く分布し個体数が多いが,シロ ヨモギは1株しか発見できなかった。ハマヒルガオ やコウボウシバなどからなる広い砂丘植生を有して おり,絶滅危惧植物も含め植生全体の保全が望ま れる。 いわき市四倉町仁井田(図3C)では,ハマボウ フウとハマゴウが確認された。周辺の海岸線では砂 浜がほとんど見られないが,自生地の周囲だけ消波 ブロックと防潮堤の間に350×25mの砂浜が残って いた。また,防潮堤の陸側に,イガガヤツリが見ら れた。防潮堤の補修工事を行うと砂浜が消滅する恐 れがあるため,工事に際しては保全対策が必要であ ると考えられる。 いわき市平の夏井川河口(図3D)には,自生と されるハマナスの茂みがあり(大和田・堀 2002), 震災後も無事が確認された。またヨシ原には,エゾ ノレンリソウ,カワヂシャ,ミズアオイが確認され た。一帯はコアジサシ(福島県RDB 絶滅危惧Ⅰ類) の営巣地となっており,立ち入り制限期間を設ける など保全対策が図られている。
図2.2011年∼2012年に太平洋沿岸で絶滅危惧植物の生育が確認された地点⑴.A:富岡町小良ヶ浜(2011 年3月6日撮影),B:楢葉町前原木戸川河口,ミズアオイが青い花を咲かせている(2012年8月16日 撮影),C:いわき市久ノ浜町末続字下長沢(2012年6月21日撮影),D:いわき市久ノ浜町末続字深 谷(2012年7月23日撮影),E:いわき市久ノ浜町金ヶ沢,白い花がコハマギクである(2012年11月5 日撮影),F:いわき市久ノ浜町殿上岬(2012年10月16日撮影). A B C D E F
図3.2011年∼2012年に太平洋沿岸で絶滅危惧植物の生育が確認された地点⑵.A:いわき市久ノ浜町江ノ 網(2012年8月25日撮影),B:いわき市四倉町海水浴場(2012年8月2日撮影),C:いわき市四倉 町仁井田(2012年8月25日撮影),D:いわき市平夏井川河口(2012年6月21日撮影),E:いわき市 平新舞子海岸(2012年8月21日撮影),F:いわき市平沼ノ内漁港(北側)(2012年6月29日撮影). A B C D E F
いわき市平の新舞子海岸(図3E)では,ハマボ ウフウとハマゴウが確認された。ハマボウフウは, 砂浜に広く分布しており個体数が多かった。ハマゴ ウは,防潮堤付近に4ヶ所の自生地が見られた。新 舞子海岸から沼ノ内にかけて広い砂丘植生が広がっ ており,海岸植物の種類も多いため,一体的な保全 が望まれる。防潮堤にはシャリンバイとハマナスが 植栽されており,防潮堤近くの砂浜や松林に逸出が みられた。ハマナスは夏井川河口の自生地に近く, 遺伝的な撹乱が懸念されるため,生物多様性の保全 の視点からは除去すべきと考えられる。 いわき市平の沼ノ内漁港では,漁港北側の崖(図 3F)に,コハマギクとエゾオオバコが確認された。 また,賽の河原と呼ばれる洞窟付近の崖(図4A) には,コハマギクとエゾオオバコが生育していたほ か,希少な植物としてヒメオニヤブソテツとハマゼ リが確認された。 いわき市平薄磯では,豊間中学校校門の花壇(図 4B)に自生由来のハマナスが植栽されていた。ま た,国民宿舎跡(図4C)に自生のハマナスが1株 残っていた。防潮堤より海側では砂浜が侵食されて おり,海岸植生はオカヒジキとオニハマダイコンな どが僅かに見られるのみであった。 いわき市平の豊間漁港(図4D)では,県道の法 面にコハマギクが確認された。イエギクとの雑種で あるミヤトジマギクが混生しており,交雑が広がら ないよう駆除をする必要があると考えられる。 いわき平豊間兎渡路(図4E)では,防潮堤と消 波ブロックの間にハマナスの生育が確認された。た だし,震災前の情報が無く,自生か植栽か判断でき なかった。 いわき平豊間の合磯(図4F)では,海蝕崖にエ ゾオオバコ,エゾノコギリソウ,ツワブキが確認さ れた。エゾノコギリソウは,現在生育が確認できる 中で南限となっており,分布上重要な個体群として 保全が望まれる。 いわき市小名浜下神白では,いわき海星高校前の 砂浜(図5A)にハマナスとハマボウフウが自生し ているのが確認された。また,南側の海蝕崖の下(図 5B)にもハマナスの自生があった。 いわき市小名浜の三崎公園(図5C)では,ツボ クサ,コハマギク,ツワブキが確認された。 いわき市佐糠町の鮫川河口左岸(図5D)では, ハマボウフウが確認された。ハマナスも生育してい るが,震災前の情報がなく自生か植栽か不明である。 いわき市錦町須賀(図5E)では,ハマナスとハ マボウフウが確認された。 いわき市勿来町の海水浴場(図5F)では,ハマ ボウフウが確認された。ハマナスが植栽されており, 逸出には注意が必要であると思われる。 3.海岸の絶滅危惧植物保全のために配慮すべき事項 海岸の絶滅危惧植物は生育地点が限られているも のが多く,今回の調査対象植物でもハッタチアザミ は全国で1ヶ所,エゾノコギリソウとコモウセンゴ ケは県内で2ヶ所,ハマゴウやハマナスは県内で 数ヶ所しか生育していない。このような植物は,小 規模の工事でも絶滅する可能性がある。このような 生育地点が限られる絶滅危惧植物の自生地を確実に 把握し,自生地を公共事業等の計画区域に入らない よう図るべきであると考えられる。 今回の調査で絶滅危惧種であるハマゴウ,シャリ ンバイ,およびハマナスの植栽や栽培株の野生化が 確認された。一般に,自生地の近くに他の地域由来 の株を植栽することは,自生個体群に遺伝子汚染の 危 険 が 生 じ る と 考 え ら れ て い る( 小 林・ 倉 本 2006)。ハマゴウの植栽が「地域の自然保護活動」 としてイベントで行われたように,絶滅危惧植物の 植栽は,生物多様性の知識がない中で,善意で行わ れることがある。このような自然破壊を招きかねな い善意の行動がこれ以上行われることのないよう, 研究機関と地元自治体,団体,住民などの連携や, 普及啓発が重要であると考えられる。 調査範囲で福島県RDBに記録がある絶滅危惧植 物のうち,ハマカキランやマツバランなどは今回の 調査で確認することができなかった。また,2年の 期間では調査できなかった海岸があり,同じ海岸で も季節により別の絶滅危惧植物が確認される可能性 もある。そのため,今後も調査を継続してゆく必要 があると考えられる。また,今回は震災前の状況に ついて調べていないため,震災によってどのような 植物が消滅,あるいは減少し絶滅のおそれが高まっ たかについて,議論ができなかった。文献の調査や 未発表資料の発掘により,震災前の絶滅危惧植物の 状況を明らかにしていく必要があると考えられる。
謝 辞
本研究にあたり,福島県植物研究会の湯澤陽一博士, 菅野修三氏,櫛田正行氏,佐々木公一氏,深瀬元靖氏,図4.2011年∼2012年に太平洋沿岸で絶滅危惧植物の生育が確認された地点⑶.A:いわき市平沼ノ内漁港(賽 の河原)(2012年8月17日撮影),B:いわき市平薄磯(中学校花壇)(2012年7月19日撮影),C:い わき市平薄磯(国民宿舎跡)(2012年6月21日撮影),D:いわき市平豊間漁港(2012年11月1日撮影), E:いわき平豊間兎渡路,自生か植栽か不明なハマナスの赤い果実が見える(2012年7月19日撮影),F: いわき平豊間合磯(2012年11月2日撮影). A B C D E F
図5.2011年∼2012年に太平洋沿岸で絶滅危惧植物の生育が確認された地点⑷.A:いわき市小名浜下神白 (砂浜)(2012年7月6日撮影),B:いわき市小名浜下神白(崖下)(2012年7月20日撮影),C:いわ き市小名浜三崎公園(2012年8月22日撮影),D:いわき市佐糠町鮫川河口左岸,ピンク色はハマナス の花(2012年7月24日撮影),E:いわき市錦町須賀(2012年7月11日撮影),F:いわき市勿来町海 水浴場(2012年6月22日撮影). A B C D E F
古川眞智子氏,堀富男氏,湯澤幸代氏,株式会社地域 環境計画の浜田拓氏には現地調査に同行していただ き,調査方法についてご指導いただきました。以上の 方々に御礼申し上げます。本研究の一部は福島県自然 保護課の平成24年度緊急雇用創出事業「地域生物多様 性基礎調査」における調査の一部についてまとめたも のである。また,一部は福島大学うつくしまふくしま 未来支援センター環境エネルギー部門環境共生担当の 事業の一環として行われた。
摘 要
2011年から2012年に,福島県南部の海岸に自生する 絶滅危惧植物の生育状況を調査した。その結果,エゾ ノコギリソウ,コモウセンゴケ,ハマゴウ,シャリン バイ,ツボクサ,ハマナス,ハマボウフウ,ミズアオ イの8種類の絶滅危惧種と,イガガヤツリ,エゾオオ バコ,エゾノレンリソウ,オオバグミ,カワヂシャ, コハマギク,シロヨモギ,ツワブキ,ハマアカザ,ハ マナデシコ,ハマハタザオの11種類の準絶滅危惧種, および固有種のハッタチアザミの生育が確認された。 これに基づき,絶滅危惧種の生育が確認された21ヶ所 を震災復旧工事等で配慮すべき地点として示した。ま た,県内で生育地点が数ヶ所以内と限られるハッタチ アザミ,エゾノコギリソウ,コモウセンゴケ,ハマゴ ウ,ハマナスの自生地を確実に把握し,自生地が公共 事業等の計画区域に入らないよう図るべきであるこ と,ハマゴウ,シャリンバイ,ハマナスの自生地の近 くに他の地域由来の株を植栽されることを防ぐため, 連携や普及啓発が重要であるとの指摘を行った。 引用文献 いわき自然塾.2006.ふくしまの滅びゆく植物たち. 歴史春秋出版,会津若松. 大和田惟元・堀富男.2002.いわき海岸におけるハマ ナス自生地の現状.EQUAL 15:58-63. 奥田重俊(編).1997.生育環境別日本野生植物館. 小学館,東京. 加藤真.1999.日本の渚 ― 失われゆく海辺の自然 ― . 岩波書店,東京.Kadota, Y. 2009. Taxonomic studies of Cirsium (Aster-aceae)in Japan XXI. Four new species from Honshu, central Japan. Bulletin of the National Museum of Nature and Science, Series B, Botany 35 : 189-203. 門田裕一.2010.私と福島県産アザミとの関わり ― とくにイワキヒメアザミとハッタチアザミについ て.フロラ福島(27):1-10. 角野康郎・遊磨正秀.1995.エコロジーガイド ウェッ トランドの自然.保育社,大阪. 倉本宣.1986.伊豆大島のフロラ特性とそれに対応し た植栽手法 ― 「自生植物」植栽による生物学的 撹乱とその防止.応用植物社会学研究(15):17-24. 小林達明・倉本宣.2006.生物多様性保全に配慮した 緑化植物の取り扱い方.「動かしてはいけない」 という声に応えて.In 小林達明・倉本宣(編), 生物多様性緑化ハンドブック 豊かな環境と生態 系を保全・創出するための計画と技術,pp.13-57.地人書館,東京. 小此木忠七郎.1922.福島縣史蹟名勝天然記念物調査 報告第一 磐城海岸ニ於ケル玫瑰自生地ノ現状. 福島縣,福島. 西城光洋・長島康雄.2012.2011年東北地方太平洋沖 地震津波後の蒲生干潟の地形変遷.仙台市科学館 研究報告(21別冊):1-4. 佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎・亘理俊次・冨成忠 夫(編).1981.日本の野生植物 草本Ⅲ合弁花類. 平凡社,東京. 佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎・亘理俊次・冨成忠 夫(編).1982a.日本の野生植物 草本Ⅱ離弁 花類.平凡社,東京. 佐竹義輔・大井次三郎・北村四郎・亘理俊次・冨成忠 夫(編).1982b.日本の野生植物 草本Ⅰ単子 葉類.平凡社,東京. 佐竹義輔・原寛・亘理俊次・冨成忠夫(編).1989a. 日本の野生植物 木本Ⅰ.平凡社,東京. 佐竹義輔・原寛・亘理俊次・冨成忠夫(編).1989b. 日本の野生植物 木本Ⅱ.平凡社,東京.
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例.保全生態学研究 8:169-174. 中田政司・伊藤隆之.2009.個体群が拡大したノリ面 緑化現場の外来シマカンギク(キク科).分類 9: 55-59. 中田政司・須藤晃延・谷口研至.2001.キクとの雑種 を含むワカサハマギク個体群の14年後の追跡調 査.保全生態学研究 6:21-27. 中田政司・田中隆荘・谷口研至・下斗米直昌.1987. 日本産キク属の種:細胞学および細胞遺伝学から 見たその実体.植物分類,地理 38:241-259. 中村俊彦・北澤哲弥・杉田博樹(編).災害と生物多 様性.災害から学ぶ,私たちの社会と未来.生物 多様性JAPAN,東京. 永幡嘉之.2012.巨大津波は生態系をどう変えたか 生きものたちの東日本大震災.講談社,東京. 夏井芳徳.1993.ハマナスが消えた ― ひとつの昭和 史として ― .神谷漣文庫,いわき. 根本秀一.2012.いわき市における分布限界植物の新 産地.フロラ福島 (28):57-60. 原正利.2012.津波による陸上植生への影響.グリー ン・エージ(465(2012年9月号)):8-11. 原口強・岩松暉.2011.東日本大震災 津波詳細地図 下巻 福島・茨城・千葉.古今書院,東京. 平吹喜彦.2012.砂浜海岸エコトーンにおける震災復 興.グリーン・エージ(465(2012年9月号)): 24-27. 福島県植物誌編さん委員会(編).1987.福島県植物誌. 福島県植物誌編さん委員会,いわき. 福島県生活環境部環境政策課(編).2002.レッドデー タブックふくしまⅠ ― 福島県の絶滅のおそれの ある野生生物 ― (植物・昆虫類・鳥類).福島 県生活環境部環境政策課,福島. 掘富男.1998.福島県新産植物と稀産植物の新産地⑸. フロラ福島 (16):27-30. 山内幹夫.2010.双葉郡南部において確認した希産植 物.フロラ福島 (27):15-20. 鷲谷いづみ.2012.震災後の自然とどうつきあうか. 岩波書店,東京.
付記1.2011∼2012年に福島県南部の太平洋沿 岸(双葉郡富岡町よりいわき市まで)で生育 が確認された絶滅危惧植物等。 学名と和名は「YList」(米倉・梶田.2003.BG Plant .和名- 学名インデックス http://www.bg.s.u-tokyo.ac.jp/bgplants/down-load.php)に従った。学名の後の[ ]内に,環境省のレッドリス トおよび福島県のレッドデータブックのカテゴリ(生物多様性情報 システムhttp://www.biodic.go.jp/rdb/rdb_f.html ,福島県生活環境 部環境政策課 2002)を記した。「Ⅰ類」,「Ⅱ類」,「準」はそれぞ れ絶滅危惧Ⅰ類,Ⅱ類,準絶滅危惧を示す。標本および目視は採集 者(確認者)名,標本番号,採集(確認)日を記した。標本はいず れも福島大学共生システム理工学類生物標本室FKSEで保管されて いる。 被子植物 双子葉植物 離弁花類 ナデシコ科 CARYOPHYLLACEAE
ハマナデシコ Dianthus japonicus Thunb.[福島県準]
いわき市久ノ浜町末続字下長沢,海岸の草地(S.Nemoto 248, Jul. 23, 2012) いわき市久ノ浜町金ヶ沢,海岸の草地(S.Nemoto 245, Jul. 23, 2012) いわき市久ノ浜町東町,コンクリート護岸(S.Nemoto 246, Jul. 23, 2012) 自生か植栽か不明 いわき市久ノ浜町江ノ網,国道法面(S.Nemoto 247, Jul. 23, 2012) アカザ科 CHENOPODIACEAE
ハマアカザ Atriplex subcordata Kitag. [福島県準]
いわき市久ノ浜町金ヶ沢,砂浜(S.Nemoto 目視, Nov. 5, 2012)
モウセンゴケ科 DROSERACEAE
コモウセンゴケ Drosera spathulata Labill. [福島県Ⅰ類] 富岡町小良ヶ浜(S.Nemoto 目視, May 6, 2011) アブラナ科 CRUCIFERAE
ハマハタザオ Arabis stelleri DC. var. japonica(A. Gray)F.Schmidt [福島県準] いわき市久ノ浜町末続字下長沢,海蝕崖下(S.Nemoto 236, Jun. 21, 2012)
バラ科 ROSACEAE
シャリンバイ Rhaphiolepis indica(L.)Lindl. ex Ker var. umbellata (Thunb.)H.Ohashi [福島県Ⅱ類]
いわき市久ノ浜町殿上岬,海蝕崖(S.Nemoto 344, Oct. 16, 2012)
ハマナス Rosa rugosa Thunb. [福島県Ⅱ類]
いわき市四倉町海水浴場,砂浜(S.Nemoto 目視,Aug. 4, 2012) 自生か植栽か不明 い わ き 平 夏 井 川 河 口, 川 原(S.Nemoto 233, Jun. 12, 2012) いわき市平薄磯,国民宿舎跡(S.Nemoto 232, Jun. 12, 2012) いわき市平薄磯,豊間中学校花壇(S.Nemoto 目視, Jun. 12,2012) 地域個体由来植栽 い わ き 平 豊 間 兎 渡 路, 砂 浜(S.Nemoto 234, Jun. 12, 2012),(S.Nemoto 271, Jul. 19,2012) 自生か植栽か 不明 いわき市小名浜下神白,海蝕崖下(S.Nemoto 226, Jun. 21,2012),(S.Nemoto 231, Jun. 21, 2012) いわき市佐糠町鮫川河口左岸,砂浜(S.Nemoto 目視, Jul. 14,2011) 自生か植栽か不明 い わ き 市 錦 町 須 賀, 砂 浜(S.Nemoto 目 視,Jul. 14, 2012) マメ科 LEGUMINOSAE
エゾノレンリソウ Lathyrus palustris L. var. pilosus(Cham.)Ledeb. [福島県準] いわき市平夏井川河口,ヨシ原(S.Nemoto 79, Jul. 5, 2011)
グミ科 ELAEAGNACEAE
オオバグミ Elaeagnus macrophylla Thunb.[福島県準]
いわき市平豊間字洞,道路法面(S.Nemoto 369, Nov. 1, 2012) いわき市平豊間字塩場,トベラ林(S.Nemoto 385, Nov. 2, 2012) いわき市小名浜小屋ノ内,林縁(S.Nemoto 407, Nov. 7, 2012) セリ科 UMBELLIFERAE ツボクサ Centella asiatica(L.)Urb. [福島県Ⅱ類] いわき市小名浜三崎公園,道路法面(S.Nemoto 238, Jul. 12, 2012),(S.Nemoto 397, Nov. 5, 2012)
いわき市平新舞子浜,松林(S.Nemoto 350, Oct. 26, 2012) ハマボウフウ Glehnia littoralis F.Schmidt ex Miq. [福島県Ⅱ類]
いわき市四倉町 海水浴場,砂浜(S.Nemoto 目視, Aug. 4, 2012) いわき市四倉町仁井田,砂浜(S.Nemoto 目視, Aug. 4, 2012) い わ き 市 平 新 舞 子 浜, 砂 浜(S.Nemoto 260, Jun. 29, 2012) いわき市平沼ノ内,砂浜(S.Nemoto 261, Jul. 5, 2012) いわき市小名浜下神白,砂浜(S.Nemoto 目視, Jun. 21, 2012) いわき市佐糠町鮫川河口左岸,砂浜(S.Nemoto 目視, Jun. 24, 2011) いわき市錦町須賀,砂浜(S.Nemoto 目視,Jul. 14, 2012) いわき市勿来町 海水浴場,砂浜(S.Nemoto 目視, Jul. 14, 2012) 被子植物 双子葉植物 合弁花類 クマツヅラ科 VERBENACEAE ハマゴウ Vitex rotundifolia L.f. [環境省準 福島県Ⅰ類] いわき市四倉町海水浴場,砂浜(S.Nemoto 目視,Jun. 24,2012) 植栽 いわき市四倉町下仁井田,砂浜(S.Nemoto 274, Aug. 25, 2012) いわき市平新舞子浜,砂浜(S.Nemoto 253, Aug. 11, 2012),(S.Nemoto 254, Aug. 11, 2012),(S.Nemoto 255, Aug. 11, 2012),(S.Nemoto 256, Aug. 11, 2012) ゴマノハグサ科 SCROPHULARIACEAE
カワヂシャ Veronica undulata Wall. [環境省準 福島県準] いわき市平夏井川河口,ヨシ原(S.Nemoto 265, Jul. 27, 2012)
エゾオオバコ Plantago camtschatica Cham. ex Link[福島県準] いわき市久ノ浜町末続字下長沢,海蝕崖(S.Nemoto 227, Jun. 21, 2012)
Aug. 25, 2012) いわき市平沼ノ内漁港,海蝕崖(S.Nemoto 230, Jul. 13, 2012) いわき市平薄磯賽の河原,海蝕崖(S.Nemoto目視, Aug. 17, 2012) キク科 COMPOSITAE
エゾノコギリソウ Achillea ptarmica L. subsp. macrocephala (Rupr.) Heimerl [福島県Ⅰ類]
いわき市平豊間合磯,海蝕崖(S.Nemoto 277, Aug. 4, 2012)
シロヨモギ Artemisia stelleriana Besser [福島県準]
いわき市四倉町海水浴場,砂浜(S.Nemoto 277, Aug. 4, 2012)
コハマギク Chrysanthemum yezoense Maek. [福島県準]
いわき市久ノ浜町末続字下長沢,海蝕崖(S.Nemoto 目視, Nov. 5, 2012) いわき市久ノ浜町金ヶ沢,海岸の草地(S.Nemoto 347, Oct. 25, 2012) ミヤトジマギクと混生 いわき市久ノ浜町江ノ網,海蝕崖(S.Nemoto 目視, Oct. 25, 2012) いわき市平沼ノ内漁港,海蝕崖(S.Nemoto 403, Nov. 5, 2012) いわき市平薄磯賽の河原,海蝕崖(S.Nemoto 目視, Aug. 17, 2012) い わ き 市 平 豊 間 漁 港, 法 面(S.Nemoto 349, Oct. 25, 2012),(S.Nemoto 367, Nov. 1, 2012),(S.Nemoto 402, Nov. 12, 2012) ミヤトジマギクと混生
いわき市小名浜三崎公園,法面(S.Nemoto 396, Nov. 5, 2012)
ハッタチアザミ Cirsium yamauchii Kadota
いわき市久ノ浜町江ノ網,林縁(S.Nemoto 323, Oct. 4, 2012) ツワブキ Farfugium japonicum(L.)Kitam. [福島県準] いわき市久ノ浜町末続字深谷,海蝕崖(S.Nemoto 目視, Oct. 4, 2012) いわき市久ノ浜町殿上岬,海蝕崖(S.Nemoto 目視, Oct. 16, 2012) いわき市久ノ浜町江ノ網,海蝕崖(S.Nemoto 目視, Oct. 4, 2012) いわき市平豊間合磯,海蝕崖(S.Nemoto 382, Nov. 2, 2012) いわき市小名浜三崎公園,法面(S.Nemoto 目視, Nov. 5, 2012) 単子葉植物 ミズアオイ科 PONTEDERIACEAE
ミズアオイ Monochoria korsakowii Regel et Maack
[環境省準 福島県Ⅱ類] 楢葉町前原木戸川河口,休耕田(S.Nemoto 282, Aug. 16, 2012) いわき市平夏井川河口,ヨシ原(S.Nemoto 目視,Jul. 27, 2012) カヤツリグサ科 CYPERACEAE
イガガヤツリ Cyperus polystachyos Rottb. [福島県準]
楢葉町前原木戸川河口,休耕田(S.Nemoto 303, Sep. 1, 2012)
いわき市四倉町下仁井田,駐車場(S.Nemoto 293, Aug. 28, 2012)