要 旨
DC 論は戦略経営論の研究領域において、近年最も注目を集めているトピックの一つであ る。非常に多くの研究が提出されている一方で、DC の性質や競争優位との関係性を巡って 研究者間でなおも議論が対立しているのが実情である。
本稿は DC 論における諸学説について企業家の役割に着目しながら整理するとともに今後 の研究の方向性について模索する。DC 論の代表的なアプローチであるティースの所説は企 業家精神を DC の中心的な構成要素に位置付けながら、企業家による機会の知覚、活用とい う点から企業の競争優位の構築と維持の説明を試みている。ところがティースの所説におい ては企業家がなぜ、あるいはいかにして機会を知覚ないし活用することができるのかという 点について多分に曖昧さを残しているのである。こうした課題を克服するためには、企業家 論における不確実性や企業家的判断等の諸概念を摂取することが求められるだろう。
1. はじめに
Di Stefano et al.(2010)が計量書誌学の手法を用いて明らかにしたように、ダイナミッ ク・ケイパビリティ(以下 DC)論、とりわけその理論研究が戦略経営論の研究領域におけ る近年最も注目を集めているトピックの一つである。このように DC 論が関心を集めている 理由の一つは、DC 論が「環境変化への反応あるいはその創出を通じて、いかにして企業は 競争優位を持続させることができるのか(Helfat and and Peteraf 2009 p.91)」を解明する という戦略経営論における「最も中心的で難解な課題の一つ(p.91)」に取り組んでいるこ とにあるだろう。
DC 論は資源ベース論(Barney 1991; Peteraf 1993)に対する不満から出発した(Teece et al. 1990, 1997; Teece and Pisano 1994)。すなわち、資源ベース論は「急速に変化する環 境下において、特定の企業はいかにして、またなぜ競争優位を構築することができるのか
(Teece et al. 1997 p.509)」について十分に明らかにしてこなかったとして、その理論的枠 組みの拡張の必要性を訴える。彼らは自らが提起した問題に応えるために、DC 概念を導入
ダイナミック・ケイパビリティ論の課題と展望
加納 拡和
─ 企業家の役割に着目しながら ─
し、「急速に変化する環境に対処するために、内外のコンピタンスを統合、構築、再構成す る企業の能力(p.516)」と定義づけた。
Teece et al(1997)の研究論文が提出されてから、DC 概念の精緻化と拡充に向けて多く の研究が提出されてきた(Teece 2007, 2012, 2014; Helfat et al. 2007; Winter 2003; Zollo and Winter 2002, Zahra et al. 2006)。ところが Easterby-Smith et al.(2009)をはじめ少 なからぬ研究者が指摘しているように、DC の性質や競争優位との関係性を巡って研究者間 でなおも議論が対立、錯綜している。
Teece(2007, 2012, 2014)は企業家精神を DC の主な構成要素であるとみなし、DC が非 ルーティン的あるいは創造的な活動において用いられると論じる。企業家精神に着目する研 究は外部環境が企業パフォーマンスに与える影響を認めつつも、「(企業内部の)DC の構築 と行使こそが企業の成功(あるいは失敗)の中核をなす(Teece 2007 p.1320)」として DC を競争優位の源泉と位置付けている。
他方で、ティースらが DC 概念を導入した当初の意図とは対照的に、DC 論のいくつかの 理論研究(Eisenhardt and Martin 2000; Helfat et al. 2007; Winter 2003)は DC が企業の競 争優位に資するかという点について懐疑的なスタンスを採っている。これらの研究は詳細な 点において差異はみられるが、DC を企業ないし組織のレベルから捉え、反復的でパターン 化した組織ルーティンから構成されることを強調している。
このように DC の性質や競争優位との関係性を巡る議論の対立がみられるが、これらの論 点はまさに「DC 概念を実り豊かに構築、検証、応用する上で鍵となる(Easterby-Smith et al. 2009 p.2)」といわれている。したがって、DC 論の諸学説の系統的な整理が必要である だろう。もちろん Ambrosini and Browman(2009)等の DC 論の理論研究の整理を試みる 研究も提出されてはいるものの、企業家の役割を強調する今日的な諸研究(Teece 2012, 2014)はその対象に含まれてはいない。したがって本稿は DC 論の諸学説間の関係を系統 的に整理するとともに DC 論の今後の展望を吟味する。
本稿は 3 つのパートから構成される。まず、DC 論の原初的な研究(Teece and Pisano, 1994; Teece et al. 1990, 1997)に立ち返りながら、DC 論が出現した背景を明らかにする。
次に、DC 論の理論研究(Eisenhardt and Martin 2000; Teece 2007, 2012, 2014; Helfat et al. 2007; Winter 2003; Zollo and Winter 2002)について、とりわけ最も頻繁に引用されて いるティースの所説を中心に吟味することを通じて、DC 論の諸学説の整理を試みるととも にその限界を示す。最後に、DC 論の今後の展望についてティースの所説において強調され ている企業家の役割に着目しながら検討する。
2. DC 論の生成とその背景
2.1 資源ベース論に対する批判
本章では DC 論研究がいかなる知的背景から生じたのか、またその原初的な研究について 概観したい。DC 論の原初的な諸研究(Teece et al. 1990, 1997; Teece and Pisano 1994)は 資源ベース論(Barney 1991; Peteraf 1993)に対する批判から出発している。
Peteraf and Barney(2003)によれば、資源ベース論は企業間のパフォーマンスの違いを 文字通り企業間の資源の違いの結果として捉えるフレームワークであるという(1)(p.310)。
資源ベース論の代表的な研究の一つである Barney(1991)は産業内において企業がコント ロールする資源が異質的であり、企業間で完全には移動可能ではないために、その異質性が 持続するという 2 つの前提から出発する(p.101)。まず、企業間の資源の異質性の前提に立 てば、企業間のパフォーマンスの違いは企業が保有する資源の効率性(2)の違いから生じ、
競争優位は稀少で優れた企業特殊的資源から生じるといえる(Peteraf and Barney 2003 p.311)。次いで、後者の資源の不完全な移動可能性という前提は競争優位の持続可能性に関 わる。Lippman and Rumelt(1982)や Rumelt(1984)が論じた資源の不完全な模倣可能性 や因果関係の曖昧さが生じる場合、資源の異質性は持続することになる。かくして Barney
(1991)は持続的競争優位をもたらす上で満たさなければならない 4 つの資源の属性を明ら かにする(3)。
(a)機会を活用する、あるいは企業環境における脅威を中和するという意味において 価値のあるものでなければならない。(b)企業の現在及び潜在的な競争において希少な ものでなければならならない。(c)不完全に模倣可能でなければならない。(d)そして 価値があるが希少でも不完全に模倣可能でもない、戦略的に同等の資源の代替物が存在 しえない(pp.105-106)。
このように、資源ベース論は持続的競争優位を競合企業による優位性の模倣が停止した均衡 状態と捉えながら(Barney 1991 p.102)、持続的競争優位をもたらす資源の属性を特定する
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(1) Peteraf and Barney(2003)によれば、資源ベース論以外のアプローチは市場支配力、共謀、戦略的行 動に焦点を当てているという。
(2) ここにおいて効率性をもたらす資源とは、他の企業よりも節約的な生産を実現し、あるいは顧客ニーズ
をより充足させる資源を指す(p.311)。
(3) Barney(1991)が主張した、持続的競争優位の源泉をもたらす資源の属性はその頭文字から VRIN 基 準と呼称されることもある。
ことに関心を向けてきたのである。
しかしながら、DC 論の原初的な研究(Teece et al. 1990, 1997; Teece and Pisano 1994)
はその理論的枠組みの拡張の必要性を訴えている。Teece and Pisano(1994)によれば、資 源ベース論は半導体産業や情報サービス、ソフトウェア産業などの変化が激しく、グローバ ル規模で競争が生じている産業における成功企業を十分に説明することができないと指摘す る。資源ベース論からは価値のある技術的資産を蓄積し、知的財産権を保護するべきである という戦略的なインプリケーションを得ることができる(p.538)。ところが、変化や競争の 激しい環境下における成功企業の特徴は「内外のコンピタンスを効果的に調整、再活用する マネジメント・ケイパビリティと相まってタイムリーな感応性、迅速で柔軟な製品イノベー ション(p.538)」にあると観察したうえで、これらの成功企業を理解する上で静態的な資源 ベース論では不十分であるという。かくして、「急速に変化する環境下において、特定の企 業はいかにして、またなぜ競争優位を構築することができるのか(Teece et al. 1997 p.509)」
を理論的に解明する必要があるとして、DC 論研究が始動するのである。
2.2 DC 論の原初的な研究
まず Teece and Pisano(1994)は、彼らの想定する変化や競争の激しい環境下において は「企業特有のコンピタンスを改善する、あるいはコンピタンスの新規的で独特なドメイン を構築するケイパビリティの差異が長期的な競争的帰結の形成に決定的な役割を果たす
(p.552)」と推論する。その上で、ティースらはこの種のケイパビリティを DC と呼称する のである。
DC という名称には、これまでの戦略経営論においてこれまで関心が向けられてこなかっ た 2 つの点を強調する意図があるという。まず「ダイナミック」は環境が流動的であること を意味する。そのような環境下では製品化に要する時間やタイミングが決定的であり、イノ ベーションのペースが加速度的で、将来の競争や市場の状況が予測困難であることが強調さ れる(Teece and Pisano 1994 p.538)。また、「ケイパビリティ」は変化する環境に対処する 上で、企業内外の組織的スキル、資源、ファンクショナルなコンピタンスを適切に採用、統 合、再構成することが鍵になることを強調する意図があるという(p.538)。かくしてティー スらは DC を「急速に変化する環境に対処するために、内外のコンピタンスを統合、構築、
再構成する企業の能力(Teece et al. p.516)」と定義づけるのである。
一方でティースらは、この 1997 年に提出された研究論文は、「単に DC アプローチのア ウトラインをスケッチしただけである(Teece et al. 1997 p.530)」と位置付けたうえで、更 なる理論研究が必要であると訴える。このティースらの要請に応えるように、DC を巡る多 くの理論的な研究(Collis 1994; Eisenhardt and Martin 2000; Helfat et al. 2007; Teece 2007, 2012, 2014; Winter 2003; Zollo and Winter 2002)が提出されるようになり、DC 概
念の精緻化と拡張が図られるのである。
3. DC 論の発展と課題
3.1 組織ルーティンとしての DC
Teece et al(1997)以降、DC を巡って数多くの理論的な研究が提出されたが、分析レベ ル並びに DC の捉え方の点から DC 論の理論研究を大きく 2 つの潮流に分類することができ る。まず、DC を企業ないし組織のレベルから捉え、反復的でパターン化した組織ルーティ ンから構成されることを強調する研究(Eisenhardt and Martin 2000; Helfat et al. 2007;
Winter 2003; Zollo and Winter 2003)とよりミクロ的な視点から企業家精神を DC の主な 構成要素であるとみなし、DC が非ルーティン的あるいは創造的な活動において用いられる と論じる研究である(Teece 2007, 2012, 2014)。
まずは前者の研究について簡潔に吟味したい。Eisenhardt and Martin(2000)は DC を「市 場変化に適合あるいは創造するために資源を利用する企業のプロセス、とりわけ資源を統 合、再構成、獲得、売却するプロセス(p.1107)」と定義付ける。その上で DC 論や資源ベー ス論に対してしばしば寄せられる、概念の曖昧さや同義反復に陥っているという批判を回避 する必要があると論じる(4)。それゆえ、彼女らは DC が「同定可能で具体的なルーティン から構成される(p.1107)」というスタンスを採る。具体的には、製品開発やアライアンス、
戦略的意思決定に関するルーティンが DC に該当すると論じている。
Zollo and Winter(2002)や Winter(2003)は進化経済学の観点からアプローチを試みる。
ケイパビリティは「高次のルーティン(あるいはルーティンの集合体)(Winter 2000 p.983)」
から構成され、特定のタスクやアクティビティを遂行する能力であると捉える。その上でケ イパビリティはオペレーショナル・ケイパビリティと DC に峻別することができるという。
前者は組織が特定の時点において「生計を立てる(Winter 2003 p.992)」ための収益をもた らすが、対照的に後者は変化に関係するという。彼らは DC の源泉を組織学習に求めながら、
DC を「学習されて、安定した集合的な活動のパターンであり、それを通じて組織が有効性 の改善を求めて体系的にオペレーティング・ルーティンを生成し、修正する(Zollo and Winter p.340)」ものとして捉えている。
Helfat et al(2007)は DC を「資源ベースを意図的に創造、拡張、修正する組織の能力
(p.4)」と定義付ける。この定義における「意図的」という表現において、DC と機械的な低 次のルーティンや運命論的なアプローチとの区別が強調されている。彼女らは企業ないし経
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(4) Eisenhardt and Martin(2000)は DC 論や資源ベース論に対する代表的な批判的研究として、Priem and Butler(2001)や Williamson(1999)を挙げている。
営者の意図性を強調する一方で、Zollo and Winter(2002)や Winter(2003)らと同様に DC はあくまでも反復的でパターン化した要素から構成されると主張する。
これらの諸研究は観点や定義に差異が見られるが、DC と競争優位の関係を巡って懐疑的 な見解を示している。とりわけ、Witner(2003)は DC 概念を巡る曖昧さや混乱のいくつ かは、DC が変化に対する万能性、あるいは持続的競争優位を確約するものとして取り扱わ れていることに起因すると論じている(p.994)。
Eisenhardt and Martin(2000)は DC をベストプラクティスとみなすことができるとして、
企業間において等結果的あるいは代替可能であることから、DC から生じる優位性は持続可 能ではないという。また、Winter(2003)は DC の構築と維持に生じる費用に着目し、「企 業にとって(一次的な)DC に投資することは必ずしも有利に働かない(p.993)」と主張する。
DC の構築には「専門化した資産への長期間に渡るコミットメント(p.993)」を伴い、活動 のパターン化が広範囲で詳細なものになるにつれて、そのコミットメントの費用は高くなる と推測する。ところが、その成否は経営者の意図ではなく、専ら外部環境(市場)によって 決定されると論じる。つまり、DC の構築と維持に投資をしても、それに見合った収益が得 られない可能性も想定されるのである(5)。かくして、Winter(2003)は「富に関する一般 的なルールは存在しない(There is no general rules for riches)(p.994)」という結論に帰 着する。Helfat et al(2007)も DC の改善と維持に投資が必要であるものの、ケイパビリティ から生じる優位性及びその持続可能性は外部環境に規定されるために、DC は持続的競争優 位を確約するものではないと主張する。
3.2 企業家精神としての DC
ティースは DC を組織ルーティンとみなす諸研究とは対照的に「DC が高次のルーティン にのみ存するという見解を棄却する(Teece 2014 p.338)」と論じ、企業家精神が DC の中 心的な構成要素であると主張する(Teece 2007, 2012, 2014)。ティースによれば、企業家 精神は「機会の知覚と理解、物事の開始、物事の結合に関する新規的で優れた方法の発見に 関わる(Teece 2007 p.1346)」という。つまり、ティースの所説は個人ないし少数の経営者 のスキルや知識も DC の主な構成要素であるとみなすとともに、DC が非ルーティン的ある いは創造的な活動において用いられると主張する(Teece 2012)。
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(5) Winter(2003)は DC に依らずとも、非パターン的、非反復的な「アドホックな問題解決(p.992)」
によっても環境変化に対処することができるという。それは「消火活動(p.992)」に準えられる、「ハ イペース、偶発的、日和見的でおそらく創造的な満足のいく代替的な行為に関する探索(p.992)」的な 問題解決の手法である。Winter(2003)において、このアドホックな問題解決はその構築と維持に費 用を伴わないために、DC と比較してより低位な費用で環境変化に対処することができるかもしれない と論じられている。
ティースの所説は企業家論、企業の行動理論、取引費用経済学、進化経済学等多くの知的 潮流に依拠しており(Teece 2009 pp.82-83)、議論が広範囲に及んでいるが、以下では彼が 強調する企業家と競争優位の関係性に着目しながらティースの所説の整理を試みたい。
Teece(2007)は DC が急速に変化する環境下において「企業独自の資源ベースを継続的 に創出、拡張、改良、保護し、そして適切な状態を維持するために利用される(p.1319)」
と論じる。彼は企業のパフォーマンスがある程度は外部環境に影響を受けることを認めつつ も、「(企業内部の)DC の構築と行使こそが企業の成功(あるいは失敗)の中核をなす
(p.1320)」として DC を競争優位の源泉と位置付けている。その上で、競争優位の基礎とな る DC を価値の創出と獲得の段階に応じて「(1)機会や脅威を知覚、形成する能力、(2)機 会を捕捉する能力、(3)企業の無形、有形資産を向上、結合、保護し、そして必要に応じて 再構成することを通じて競争力を持続させる能力(p.1319)」、すなわちセンシング(sens- ing)、シージング(seizing)、トランスフォーミング(transforming)という一連の能力に分 解する(6)。
まず、ティースが想定する競争や変化の激しい環境下では、消費者のニーズ、技術的機会、
競合企業の活動は絶えず変化しており、企業は将来の機会を知覚ないし形成する、センシン グ の 能 力 が 不 可 欠 に な る。Teece(2007) は 2 つ の 種 類 の 企 業 家 機 能(Kirzner 1973;
Schumpeter 1934)から機会が発見ないし形成されるという。Kirzner(1973)によれば、
市場参加者の不完全知識あるいは市場無知を仮定すると、市場において不均衡、すなわち「売 手は実際に販売できる価格よりも低い価格で販売し、買手は確実に調達できる価格よりも高 い価格で購入している(p.41)」状態が発生する可能性が生じるという。そこにおいて、裁 定取引を通じた利潤の獲得の可能性が生じるために、未だ気付かれていない利潤機会をいち 早く発見する「敏捷性(p.41)」に企業家の役割を見出している。次に、Scumpeter(1934)
は新結合の遂行を担うものとして企業家を捉えている。企業家は新結合を実現することで、
市場の均衡を破壊し一時的に独占的利潤を享受することができるという。それゆえ、DC 論 はカーズナーやシュンペーターが論じる利潤機会の発見や新結合の遂行という企業家的機能 を果たすことを通じて獲得することができるカーズナー的レントやシュンペーター的レント に関わる(Teece 2007 p.1344)。
次いで機会が知覚されたならば、新たな製品、サービスを市場に投入することを通じて、
その機会に対処しなければならない(Teece 2007 p.1326)。それゆえ、開発や商業化活動へ の投資が必要になり、シージングの能力が重要な意味を持つ。最後に、企業の持続的な成長 の鍵は、企業の成長や市場や技術の変化に応じて資産や組織構造の再結合や再配置する能
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(6) Teece(2007)はセンシング、シージング、トランスフォーミングの各能力を支持する、スキル、プロ
セス、手続き、組織構造、決定のルール、規律を DC のミクロ的基礎と呼ぶ。
力、つまりトランスフォーミングの能力にあるという。
ティースはこれらのシージング、トランスフォーミングを実行する上でも、新結合の遂行 に関わる、資産のオーケストレーションという経営者の企業家的機能が見出されると論じて いる(Teece 2009, 2014)。市場が十分に機能する場合には、経営者の役割は極めて限定的 になるといえよう。ところが、不可避的に出現に失敗する、あるいは存在したとしても薄い 市場(7)になる無形資産や共特化資産の市場においては、企業内部での資源配分が必要になる。
まず、Teece(1981, 1985)において強調されているように、無形資産、とりわけノウハ ウはインセンティブ問題ないし移転費用の問題から市場での取引が困難である。また、共特 化資産とは資産の価値が、他の特定の資産と共同で利用する場合に高まる資産であり
(Teece 1986)、具体的には、研究開発投資や特異的な資産が含まれる。それらの共特化資 産は取引主体間での評価が異なるために、あるいは特異的で供給が乏しいために、市場を通 じた調達が困難であることが想定される。
このように無形資産や共特化資産においては市場が存在しない、あるいは存在したとして も薄い市場になる。それゆえ、外部市場に最善の用途に向けた資源配分を期待することはで きず、無形資産や共特化資産の構築や整合化を企業内部で行うことで価値を創造する余地が 見出される。加えて、それらの資産のオーケストレーションは限定的にしかルーティン化さ れえないために、経営者固有の企業家的な機能とみなされる(Teece 2007, 2012)。つまり、
資産のオーケストレーションは経営者の DC に含まれるのである(Teece 2009)。
経営者は資産のオーケストレーションを通じて、共特化資産の独特な配置を生み出すこと によって、高度に革新的で差別化された製品やサービスの開発、あるいは独特な方法による 費用の削減等の新結合を実現することができる(p.72)。この資産のオーケストレーション を通じた資産の独特な配置は共特化資産の補完性や特異性ゆえに、競合企業は直ちには模倣 が困難であるという。このようにティースの所説は、企業家による機会の知覚、資産のオー ケストレーションを通じた機会の活用という視点から企業の競争優位の構築と維持の説明を 試みている。
3.3 ティースの所説の課題
ティースの所説は企業レベルの持続的な競争優位を説明することをその目的と位置付け、
競争優位の源泉を企業家精神としての DC に求めている。つまり、ティースらは企業家によ る利潤機会のセンシング、並びにその機会を活用するための資産のオーケストレーションを 通じて企業は変化や競争が激しい環境下で競争優位を構築し、維持することができると主張 しているのである。
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(7) 薄い市場とは取引量が乏しく、取引の成立が困難な市場を指す。
上述の通り DC を組織ルーティンとみなす諸研究(Eisenhardt and Martin 2000; Helfat et al. 2007; Winter 2003)は DC が企業の競争優位に貢献するかという点について批判的な議 論を展開していることを確認した。こうした DC と競争優位の関係を巡る議論の対立は、
DC の捉え方の差異を反映したものと思われる。他方で、企業家の役割に着目する DC 研究
(Ambrosini and Browman 2009; Zahra et al. 2006)においても DC と競争優位の関係を巡っ て疑義が示されている。したがって、ティースの所説において企業家精神としての DC と競 争優位の関係は明確にされているかという点は検討に値するだろう。
Ambrosini and Browman(2009)や Zahra et al(2006)(8)は、DC によって企業は企業家 が知覚した機会に沿って資源を再構成することが可能になるかもしれないが、それは企業の 成功や生存を確約するものではないだろうと論じている。企業家が外部環境について正確に 知覚するとは限らず、その知覚に誤りがある場合には企業のパフォーマンスが損なわれるか もしれない(Ambrosini and Browman 2009 p.39)。あるいはケイパビリティの構築や既存の 資源の再構成には少なからぬ費用を伴う(Zahra et al. 2006 p.927)ために、DC は企業に 必ずしも成功を確約するものではないと考えられる。
このような疑義に応えるためには、ティースの所説は企業家がなぜ、またいかにして利潤 機会を知覚し、活用することができるのかを十分に明確にする必要があるだろう。ところが この点に関して、ティースは Kirzner(1973)や Schumpeter(1934)の企業家論を援用し ながら、企業家による利潤機会の発見や新結合の遂行について言及しているものの、それら がなぜ、あるいはいかにして実現するのかという点については多分に曖昧さを残している。
この点を踏まえるならば、ティースの所説は、DC と競争優位の関係を十分に明らかにして いるとは言い難い。
4. DC 論の展望
4.1 企業家的行為と利潤機会
企業家に関する諸研究を紐解いていくと、ティースの所説における DC と競争優位の間の 関係が不明瞭であるという限界は、企業家の役割を見出す上で Kirzner(1973)や Schum- peter(1934)に依拠していることに起因するように思われる。Demsetz(1983)が端的に 指摘しているように、両者の研究は、結局のところ企業家固有の利潤機会を発見ないし創出 するための行為が何かを十分に明らかにしていないのである。
まずシュンペーターは企業家の役割を新結合の遂行に求めているが、彼の展開する枠組み
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(8) Zahra et al(2006)は DC を「主要な意思決定者が適切であると認識、判断した方法で企業の資源やルー ティンを再構成する企業の能力(p.918)」と定義付ける。
はワルラス的な一般均衡理論を基礎としており、その静態的な経済循環を破壊する経済主体 として登場する企業家は、さながら不自然で強引な解決をもたらす「機械仕掛けの神(deus ex machina)(p.275)」として登場するという。実のところ、シュンペーターの研究上の焦 点は国民経済体系の変化にあり、企業家自体を分析や研究の対象として位置付けているわけ ではないのである。
また、カーズナーは企業家による利潤機会の発見を路上に落ちている紙幣の発見に準えな がら、企業家による利潤機会の発見は「いかなる理由もなしに(Kirzner 1973 p.48)」に実 現されるものであり、「いかなる投資も必要としない(p.48)」と論じる(9)。Demsetz(1983)
は利潤機会に対して受動的で「時間や労力、その他の資源の意図的で集中的な投資を伴わな い(p.277)」カーズナー的企業家を単なる「幸運(p.277)」と呼ぶことを提案する。
このように、カーズナーとシュンペーターの両者の企業家論が抱える限界は、企業家がい かなる行為を通じて利潤機会を発見ないし創出するのかが明らかにされていないという点に あり、この限界がティースの所説にも引き継がれているように思われる。したがって、ティー スの所説は企業家固有の行為とは何か、その企業家行為と利潤機会はいかに関連付けること ができるかという点に目を向けなければならない。
少なからぬ企業家研究において論じられているように、企業家の行為と利潤機会の関係性 が明確にするためには、不確実性の状況下における意思決定、すなわち企業家的判断
(Entrepreneurial Judgment)に着目する必要があるだろう(Casson 1982, 2005; Demsetz 1983; Foss and Klein 2012; Klein 2008)。ここでいう不確実性とは Knight(1921)におい て測定可能なリスクと峻別された、測定不可能で非定量的なものを指す(p.20)。前者の測 定可能なリスクは、それに対して保険をかけることを通じた完全な計画を排除しないために 利潤を招来しない。他方で、「事物の本質的で絶対的な予測不可能性(p.311)」の結果生じ る不確実性に利潤の発生の根拠を求めることができるという。つまり不確実性は将来に関す る無知をきたすために、予測不可能な経済的変化、とりわけ価格変化を伴う。生産活動に時 間を要することを所与とすれば、過去に投じた要素価格と将来受け取る製品価格の差異に基 づく利潤が生じることになる(Klein 2008)。かくして利潤は「不確実な将来を他者よりも 正確に予測した報酬(Klein 2008 p.180)」として理解することができる。
不確実性の状況下において、企業家は将来の市場の状況を予測することを通じて利潤を追 求するとみなされる。ところが、不確実性ゆえに企業家の「将来に関する期待は本質的に主 観的なものとなる(Klein 2008 p.180)」だろう。とりわけ、利潤を追求する企業家の抱く 知覚は他者とは異なるものになる(Casson 1982 p.14)。企業家の判断はその主観的で特異
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(9) Kirzner(2009)において回顧しているように、Kirzner(1973)の関心は企業家自体ではなく、市場 プロセスにおける均衡化を説明することにある。
的な性質ゆえに限界生産物という点から評価されず、企業家は将来の消費者の需要や市場の 状況に関する将来の期待に基づいて、自ら資源に投資しなければならない。このようにして 企業家は不確実性を負うために、利潤は企業家に帰属するのである。要約すれば、企業家は 常に「投機家(Mises 1949 p.288)」であり、「企業家的利潤が生じる唯一の源泉は、消費者 の将来の需要を他の人々よりも正確に予測できる企業家の能力である(p.288)」といえよう。
こうした不確実性並びに企業家的判断に関する洞察をティースの所説に組み入れるなら ば、企業家が知覚する将来の利潤機会はあくまでも主観的なものであり、その機会を捕捉す るための資産のオーケストレーションはまさに不確実性を負う企業家的判断として理解する ことができる。このような視点に立てば、企業家精神に基づく DC は競争優位の構築や維持 を確約するものではなくなる。ところが、これまで DC 論において曖昧にされてきた企業家 固有の行為と利潤との関連性は明瞭になるといえよう。つまり、果敢な不確実性の負担こそ が企業家固有の役割であり、企業家による将来の予測が結果的に見て他者よりも正確であっ た場合に利潤が企業家に帰属するのである。
実のところ、Teece(2014)において DC 論は「イノベーション、不確実性、そして不均 衡(p.344)」を強調するオーストリア学派経済学と親和的であると論じている。また、
Teece(2014, 2016)、Teece et al.(2016)等の今日的な DC 論の研究においては不確実性 概念について言及されるようになった(10)。それゆえ、ティースの所説は企業家論、とりわ けオーストリア学派経済学の企業家研究における不確実性や企業家的判断の概念を摂取する ことを通じて、その理論的枠組みを精緻化していくことが求められるだろう。
4.2 不確実性概念と DC 論
ただし、Teece(2014, 2016)、Teece et al.(2016)に見られるように不確実性概念を DC 論に組み入れるならば、企業家的行為と利潤機会の関係性は明瞭になる一方で、ティー スの所説にとってはある種のジレンマに陥ることにもなりかねない。実は、オーストリア学 派経済学の企業家研究においても不確実性概念の取り扱いについて、特に当該概念を積極的 に導入すべきであるかどうかという点を巡って議論が別れている(Kirzner 1982, 1985, 2000; Rothbird 1985; Lachmann 1986)。本稿では紙幅の関係上、イスラエル・カーズナー
(Israel Kirzner)の企業家論における不確実性の取り扱いを簡潔に吟味したい。彼の企業家 論は不確実性の役割を看過していると激しく批判され、また彼自身も不確実性概念の重要性 を認めつつも、決して自身の企業家論において不確実性の概念を積極的に強調しなかった。
その理由として、不確実性概念を導入することに伴うジレンマを指摘している(Kirzner
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(10) Teece(2014, 2016)、Teece et al. (2016)においては「深い不確実性(deep uncertainty)」と表現され ている。ただし、それらの諸研究においてはなぜ不確実性概念が導入されたのか、またその影響につい ては十分に説明されていない。
2000)。
Kirzner(1973)はなぜ、またいかにして市場が機能するのかという市場プロセスを解明 することに関心を置く(11)。彼の主張は、企業家が利潤機会を発見することを通じて市場は 均衡化するというものであった。他方で、Kirzner(1973)における不可解ともいわれる企 業家の描写については非常に多くの批判が寄せられている(Demsetz 1983; Rothbird 1985;
Lachmann 1976, 1994)。カーズナー的企業家による利潤機会の発見は路上に落ちている紙 幣の発見に準えられ、その発見には熟慮や探索、物的資産の所有を一切必要としない、きわ めて受動的なものとして捉えられている。このような企業家の概念化において、一切の不確 実性を想定していないという点に批判の焦点が当てられているのである。
Kirzner(1985, 2000)はこうした批判に対して、企業家の役割を論じる上で不確実性概 念が重要であることは認めている。完全競争モデルにおいて経済主体の行為は所与の諸条件 によって決定づけられるものの、不確実性の下で企業家は自由で能動的な意思決定が可能に なるという。その一方で、不確実性概念を導入することで、市場の均衡化の説明を試みるカー ズナーにとってジレンマに陥ると指摘する(Kirzner 2000 p.61)。カーズナーによると、不 確実性の状況下では将来は不可知であるために、「人々の想像力や人々の期待を支配する制 約が存在しない(p.61)」ことを意味するという。つまり、そうした状況下では将来の市場 の状況は合理的に予測ないし計算できるものではないために、企業家が想像力を基に抱く期 待は収束するというよりもむしろ無限定的に拡散することになる。したがって、不確実性が 企業家的行為における本質的な要素であるならば、企業家精神の発揮は成功のみならず失敗 も不可避的に帰結し、市場を混沌状態に陥れることすらも想定される。このような視点に立 てば、不確実性概念の導入によって企業家精神が市場の均衡化をもたらすという主張はもは や理論的に保証することができなくなるのである(p.64)。
こうしたカーズナーの不確実性の取り扱いに関する見解を踏まえるならば、ティースの所 説は不確実性概念の導入を図ることで企業家の自由で能動的な意思決定の余地を見いだすこ とができるが、他方で DC を競争優位の源泉と主張することが困難になりかねないというこ とが示唆される。
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(11) 新古典派経済学は完全合理性を仮定することでこの問題について分析してこなかったと指摘したうえ
で、市場参加者の不完全知識を仮定して、その状況においてなぜ、またいかにして市場が機能するかに ついて考察を進める。ただし、市場参加者の不完全知識の状況下においては行為者が誤りを犯すために 完全な均衡状態は達成されないと論じる。それゆえ、あくまでも市場がいかにして均衡状態に近づくか という均衡化を説明することに分析の焦点を当てている。
5. 結 論
本稿の貢献として以下の 2 点を挙げることができる。まず、本稿は DC 論の理論研究にお いて議論が対立、錯綜した状況において、DC 論が生成した背景から今日的な研究に至るま で DC 論の所説の系統的に整理した。また、企業家論の諸研究を紐解くことでティースの所 説が抱える限界が生じた原因、及びその克服方法とその影響を明らかにすることを通じて今 後の展望を示した。
DC 論は静態的で均衡論的な資源ベース論に対する批判から出発し、変化や競争が激しい 環境下で企業はいかにして競争優位を持続させることができるのかを明らかにすることをそ の目的と位置付けた。DC 論における原初的な研究(Teece et al 1997)を契機として、DC 論の理論研究において多くの研究が提出されているが、DC の捉え方や DC との関係性を巡っ て研究者間で議論が対立している。本稿は企業家精神を DC の主な構成要素と位置付ける ティースの所説に焦点を当てた。
ティースの所説について吟味したところ、企業家による利潤機会の知覚、活用という点か ら企業の競争優位の構築や維持の説明を試みているものの、なぜ、またいかにして特定の企 業家がそれを実現することができるのかについては曖昧さを残しているのである。企業家に よる行為と利潤機会の関係を明瞭にするためには不確実性の状況下における企業家的判断の 概念の導入が必要であることが明らかになった。企業家が不確実性を負うことによって初め て、利潤の獲得の可能性が開かれるという点は強調に値するといえよう。他方で不確実性の 導入は、企業家的行為が利潤のみならず損失も帰結するために、DC が競争優位の源泉であ るというティースの主張を弱めてしまうことにもなるというジレンマがもたらされてしまう。
本稿の議論を踏まえると、今後の研究課題として、不確実性概念の導入を通じて非決定論 的な色合いが強まる DC 論をいかにモデル化することができるのかを検討する必要があるだ ろう。戦略経営論の研究領域としての発展は「組織的な成功と失敗の理由を説明ないし予測 する理論の構築に大いに依存する(Rumelt et al. 1991 p.7)」と言われており、ティース自 身も「企業レベルの経時的な競争優位の源泉を説明すること(Teece 2007 p. 1320)」を DC 論の目的に掲げている。したがって、DC 論はこうした要請と動態性や不確定性をもたらす 不確実性概念の導入をいかに両立させることができるのかを模索しなければならない。
こうした課題についてオーストリア学派経済学の代表的な研究である OʼDriscoll and Rizzo(1985)を参考にすれば、一つのアプローチとして、「緩い決定論(loose determin- ism)の基盤の上に創造的な意思決定の範囲を設ける(p.31)」ようにモデル化することが考 えられる。不確実性の状況下では合理的な予測や計算が成り立たず、行為者の予想ないし期 待は無限定である(Loasby 1976 p.217)。したがって、行為者を企業家精神等の創造性を発
揮するものとしてだけではなく、制度やルーティンに従う、あるいは優れた行為者の行為を 模倣すると捉えることで行為の安定性の基盤を得ることができる。このように行為者を捉え ると不確実性に伴う無限定性を完全に除去できないにしても大いに縮減することが可能にな るのである(OʼDriscoll and Rizzo 1985)。換言すれば、このようなアプローチを通じて、
行為者の行為は制度やルーティン、模倣によって「緩く決定づけられる」一方で特定の範囲 内で企業家精神を発揮しうる非決定論的なモデル化の余地が見出されるのである。
事実、ティースは企業家精神を DC の主な構成要素と位置付けているが、DC は組織ルー ティンと企業家精神の結合であると論じており(Teece 2014 p.338)、Teece(2007)にお いてセンシング、シージング、トランスフォーミングという一連の DC を補強する組織プロ セスや意思決定ルールから成るミクロ的基礎が列挙されている。こうしたアプローチを適用 するのであれば、DC 論は不確実性概念を導入する上で、経営者の行為を「緩く決定づける」
安定性の基盤としてのルーティンや組織プロセスないしミクロ的基礎、競合企業の模倣行為 等をより詳細に特定する必要があるだろう。同時に、これまでのティースの所説(Teece 2012)において経営者による企業家的な創造性の発揮が強調されているが、その範囲も特 定しなければならない。こうした試みによって、カーズナーが懸念した企業家が抱く期待の 無限定的な拡散とそれに起因する誤りや損失の可能性を排除できないにしても大いに縮減し ながら、DC 論に不確実性概念を導入することが可能になると思われる。
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