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前十字靭帯再建術後の筋回復に影響を 与える因子の検討

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Academic year: 2022

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(1)早稲田大学審査学位論文 博士(スポーツ科学)概要書. 前十字靭帯再建術後の筋回復に影響を 与える因子の検討 -大腿四頭筋を中心とした多面的研究-. A Study of Factors Affected to the Muscle Recovery after the Anterior Cruciate Ligament Reconstruction -A Multifaceted Research for the Quadriceps Femoris-. 2012年1月 早稲田大学大学院. スポーツ科学研究科. 櫻井 敬晋 Takakuni,SAKURAI 研究指導教員:. 福林. 徹. 教授.

(2) 【緒言】 前十字靭帯(以下ACL)の損傷は,ノンコンタクトスポーツ,コンタクトスポーツ両方において 多くみられる傷害で,スポーツパフォーマンスに大きな影響を与えるため,スポーツ外傷では最 も注目されている疾患の一つである.本論文では,ACL再建術後の大腿四頭筋に対し,①基礎的 研究として,ACL再建術後の大腿四頭筋の筋回復過程の縦断的解析,②関節水腫発症が大腿四頭 筋筋回復へ与える影響,③術後リハビリテーションを遅延させる要因である浮腫に対する三次元 振動刺激の浮腫軽減効果の検討,④拮抗筋電気刺激による遠心性収縮を伴う運動連鎖筋力増強法 のアスレティックリハビリテーションへの応用,という4つの観点から検討を進めた.. 研究1:ACL再建術後における大腿四頭筋の回復過程の多角的観察 目的:生理学的な側面と形態学的な側面の両方からACL再建術後の大腿四頭筋の形態および筋 活動の変化を観察し,その詳細な回復過程を明らかにすることを目的として,ACL再建患者の大 腿四頭筋の筋体積および固有筋力の変化,膝伸展トルク,大腿直筋,外側広筋,内側広筋の筋放 電量の縦断的な計測評価を行った. 結果:ACL再建術後の大腿四頭筋の回復過程において,筋体積の減少に比べ筋出力の減少が術 後早期に特に大きく,固有筋力は術後低下し,徐々に回復基調を示すものの固有筋力低下は術後6 カ月程度まで続いた.膝屈曲角度別の比較では90deg膝屈曲位よりも45deg膝伸展位において筋力, 筋放電量の低下がみられ,筋放電量の低下は初期に内側広筋に有意に大きく,9カ月経過しても健 側と同等まで回復しなかった. 考察:筋力の回復には筋萎縮を防ぐだけではなく,関節内からの感覚神経系の回復及び円滑な 神経筋協調運動の獲得が重要であると推測された.. 研究2:関節水腫がACL再建術後の大腿四頭筋の筋回復に与える影響 目的:生体電気インピーダンス法(bioelectrical impedance analysis:以下BIA)を用い,関節水 腫を簡便に定量評価する手法を検討するとともに,ACL再建術後の関節水腫が筋回復に及ぼす影 響をbioelectrical impedance 値(以下BI値),筋力,筋体積の観点から検討することを目的とした. 結果:インピーダンス法は,関節水腫を判別する一つの手法として有用であると考えられた. また術後初期から中期に筋トルク,筋放電量(以下 I-EMG)及び筋体積が低下した. I-EMG は, 術後 5 カ月でも水腫有群が水腫無群より有意に低い値を示した. 考察:ACL 再建術後に発症する関節水腫は,筋回復を遅らせる一つの要因となることが示唆さ れ,術後やリハビリテーションにおける関節水腫をより早期に鎮静化させることが重要であると.

(3) 考えられた.. 研究 3:ACL 再建術後の浮腫発症例を想定した軽減法の検討-三次元微細振動刺激を用いた検証目的:ACL再建術後に発症する浮腫に対して三次元微細振動刺激の有用性を検討することを目 的とし研究を行った.その評価にはBIAを用いて下肢水分量を推定し,三次元微細振動刺激が浮 腫を軽減する効果の有無について検討した. 結果:振動刺激を加えなかった場合にはBI値の増加は認められなかった.一方,振動刺激を加 えた場合にはBI値の増加が認められ,局所的水分量が減少した. 考察:三次元微細振動刺激が局所的水分量を減少させ、浮腫を一定時間軽減する効果があるこ とを示唆しており,ACL再建術後リハビリテーション期に発症しうる浮腫に対し有効な軽減法で あると考えられた.. 研究4:ACL再建術後筋回復に対する拮抗筋電気刺激を用いたリハビリテーションの応用 目的:ACL再建術後の筋機能低下に対する新たなリハビリテーションメニューの確立を目的と し,拮抗筋電気刺激による遠心性収縮を伴う運動連鎖筋力増強法をACL再建術後のアスレティッ クリハビリテーションに応用し,その効果を検討することとした. 結果:コントロール群に比べ拮抗筋電気刺激群は,膝伸展トルク,I-EMGの値が有意に高い傾 向を示した. 考察:通常のアスレティックリハビリテーションに比べ,拮抗筋電気刺激による筋力強化法は 術後早期の筋回復に効果的な結果が得られた.さらに,I-EMGの結果より神経筋協調機能に対し ても,一定の効果があると推測される.. 【総括】 ACL再建術後における大腿四頭筋の筋機能の低下を,膝関節と中枢を介する神経筋活動から多 角的に捉え,再建術後から競技復帰への過程における問題点や障壁を抽出し,かつその予防や損 傷からの早期復帰に至る多面的な検討を行えたと考える.本研究成果により,ACL損傷患者のみ ならず,リハビリテーション医療従事者,アスレティックトレーナーおよびスポーツ指導者に対 し,ACL再建術後の大腿四頭筋の筋機能の回復の重要性を提言出来たと考える..

(4)

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