第3節 説明するカを育む算数授業
1.授業の構想
◎目 的
パターン発見問題を活かした算数授業において,説明する力を育むことができるこ とを検証する。
○単元名 きまりを見つけて(6年生)
○実施日. 平成22年11月15目(火)
○対象児童 兵庫教育大学附属小学校6年3組(男子16名,女子16名)
○指導案
主 な 学 習 活 動
1 本時の流れを知る。
①審査員の先生の紹介
②採点基準の発表
③発表会・
④審査結果と講評(審査員から)
2 それぞれのグル』プが発表する。
・どのような説明が「分かりやすいのか
指導上の留意点
を考えながら発表する。
・他の班のよい所を探る。
3 審査結果と講評を聞く。
・「1位 ○グループ ○点」
4 学習の振り返りをする。
・説明する活動について振り返る。
・本時の流れを子どもたちに伝える。
・採点基準を発表することで,評価を意 讃した発表ができるようにする。
r !川1 川1 川口!1 1 1ノ川11
、 、
!○採点基準 !
. l
i①分かりやすいか i、 、
!②3分の時間を守っているか !
口 1
i③全員が発表に携わっているか i、 、
し、1,1/1,1〃、1,1,1,1,1,1,1/1』
発表者
子ども 審査員 子ども
2.授業の発話記録
(審査委員の先生方の紹介をする)
審査員の先生方:國岡先生(兵庫教育大学)
兵庫教育大学附属中学校の先生2名
兵庫教育大学大学院生4名(内,現職教員3名)
T1:説明コンテストの説明をします。
T2:どんな問題を解いたのかを審査員の先生方に説明してくれる子。
C1:はい。1段目から1,3,5とピラミッド型に並んでいる図形があります。そ の図形の段数より上の数の個数(磁石の)を求めます。今私たちがやるのは,30 段目より上の数を求めていきます。(図3−5)
問題①
● 1段目
●●● 2段目 ●●●●● 3段目 ●●●●●●●4段目
左のように磁石を並べて いきます。30段目まで並 べるとき,磁石は全部で いくっいりますか。
図3−5 A,B,C,D班が説明する問題
丁3:問題2の説明をしてくれる子。
C2:1番目とか2番目とか3番目とかあるんだけど,まず,1番目はダイヤの形に なって,2番目はまわりの数がだんだん増えていくんだけれど,それが1番,2 番,3番,… と20番目までやると,磁石は全部で何個になるんでしょうと いう問題です。(図3−6)
問題②
●
● ●
● ○
●
●
●
●
●
●
●
● ●
●
1番目 2番目 3番目
左のような順番で磁 石を並べていきます 20番目まで並べると 全部でいくっ入りま
すか。
図3−6 E,F,G,H班が説明する問題
丁4:という問題をそれぞれ1時間ずっ使って解きました。先生方に説明の仕方,
どういうふうに解いたのかをグループごとに説明していきます。それぞれの先 生,一人20点の点数で,採点基準は,分かりやすいか,時間を守っているか
などの3つです。2分30秒経ったらベルを鳴らします。3分経ったら2回鳴ら
します。3つ目は全員話しているかです。では,A班から準備をしてください。<A班>
CA:今からA班の説明を始めます。
CAl:まず,ここに磁石があるのは分かりますか。この磁石が三角形に並んでいま す。この磁石が一段目だと磁石の数は1個です。2段目の磁石の個数は3個で3 段目の磁石の個数は5個で,4段目の磁石の個数は7個です。ここまでいいで
すか?この磁石は,1段目から2段目までの磁石の数は2つ増えていること
は分かりますか。同じように2段目から3段目も磁石の数は2つ増えています。このように考えると30段目までの磁石の数は59個になります。ここまでいい
ですか。
CA2:さっきも説明してくれたように,.この個数を筆算で表したのがこれです。こ れは1段目の1で,これ30段目の59で,(上は)1段目から30段目で(下は)30 段目から1段目になります。ここまではいいですか。それを簡単にしたのがこ
れで,これは4段ですけど、1段目と4段目を足すと8個,2段目と3段目を 足すと8個,8×2をすると16個になります。なのでこれは足すと60になっ
て,それが30個できます。ここまではいいですか。CA3:この60が30個というのは,60まで数える中で,奇数が30個あるので30と いうことにもなります。これを式に表すと60×30で合計が1800になります。
ここまでいいですか。でも30段目までこれは2回使っているのは分かります か。これを求めているのは片方だけなので,(チーン)ここで半分にするため に,÷2をします。
C7:そうなると式は,1800÷2となって,さっきも言ってくれたけど÷2をして,
900になります。
C8=これでA班の説明を終わります。
<B班>
欄㌃、
纏 一・ 1一}
灼 CB1:今からBの解き方を説明します。
CB2:まずはじめに例として,5段までのピラミッド型があります。でも30段だと ややこしくなって,解きにくくなります。それでも私たちは,今から点でで きた三角形をある違う方法で解いていきます。
CB3:さあどんな形でどんな形をつくるのか。みなさんも一緒に考えてみましょう。
CB3:1番,ひし形。
CB3:2番,長方形
CB313番,正方形
CB3:4番,平行四辺形CB3:正解だと思うものに手を挙げてください。
CB311番,ひし形。2番,長方形。3番,正方形。4番,平行四辺形。正解は1,
ひし形ではなくて4番,平行四辺形です。
CB4:ここまでは分かりましたか。三角形を2つ使って平行四辺形にしました。
CBl:底辺はこの三角形の数を数えてみると,59個です。(ひっくり返した三角形 の)頂点の1を足して60にします。高さはこの底辺と垂直になるように線を 引いて,そこを数えてみると30になりました。
CB2:この問題の式は,底辺×高さなので60×30で1800になりました。でもこの1 800は三角形を2個使って平行四辺形になっているので,÷2をします。1800 ÷2は900こです。分かりましたか。質問などありませんか。
C :これで終わります。
<C班>
CC1:今から三角形の中にあるOの個数の求め方を説明します。
CC2:まず,最初に,ここに三角形がありますね。この三角形の緑色の半分を移動 させたら四角形になるのは分かりますか。
CC3:次に四角形の公式を使います。この場合だとこの四角形の場合だとこの○一 つを1平方センチメートルとして考えて計算します。そしてそれで公式を使 うと縦×横でこの四角形のOの個数を求めることができます。ここまではい いですか。
CC4:最後に縦×横をします。縦×横というのはこの3段だったら縦の点の数は3 個で横の点の数の数も3個です。だから縦X横だから3×3で9個なります。
CCl:この考え方を使って6段のピラミッドを考えます。この式と答えが分かる人 はいますか。
C :この場合は高さが6だから6×6で36です。
CCl:正解です。30段の場合は,縦は30で横は30となります。だから,30×30
=900で900個となります。<D班>
C
CD1:
CD2:
CD3:
CD4:
今からD班のやり方を説明します。
Dのやり方は三角形を半分に分けて,その半分にしたのをこことここになら して考えるやり方です。それをやるには,一番下の30段目の数を求めなけれ ばいけません。
まず,30段目の磁石の数を求めます。例えば,2段目の磁石の数を求めるた めには,1段目の1と1段目の2を足した3という数が磁石の数になります。3
段目の磁石の数は,2段目の2と3段目の3を足した5という数が3段目の 磁石の数になります。この要素を使って,29段目の29と30段目の30を足
した59という数が30段目の磁石の数になります。
次に,この下の数59と1段目の1を足すと,60になります。次に,2段目
の3と29段目の57を足せば60になります。このようにどんどんならしていくと3段目と27段目も60になって全部60 になります。それで60というのは2段を組み合わせてつくっているので,全 部で30段あってその半分の15個あることになります。だから,60のかたま
りが15個あることになります。式は60×15になります。それを計算すると 900になります。
<E班〉
CE:今からE班の説明を始めます。
CEI:僕たちは,このひし形を正方形2つにして求めることにしました。
CE2:でもここが1つ足りないですね。このまま解いていったらややこしいですね。
ここに○が一つあるとして計算します。
CE3=ひし形を4つの三角形に分けます。三角形を2つずつ組み合わせて正方形2 つをつくります。
CE1式が20×20+21×21:841です。841−1=840840個になります。
CE2:この式の説明をするんだけど,まず20×20というのは,さっきつくった正 方形の1辺×1辺のことで,それを計算することで正方形の黒い磁石の数が 分かります。こっちの21×21というのもこっちと同じように正方形の磁石 の数を表しています。それを足すことによって全体が求まります。いいです
かここまで。この841から1を引きますね。この1というのは最初に説明し
たようにまん中が黒い磁石のことです。勝手に増やしてしまったからここで 841から1を引いて840になりました。<F班>
CF:今からF班の説明をします。
CF1:僕たちは式や図を使って計算しました。この4というのは,この黄緑の部分 を表しています。8は黄色の磁石の部分のことを表しています。12というの は青の磁石のことを表しています。16というのは4段目の数のことを表して います。ここまでで4ずつ増えているのは分かりますか。こんな感じで20段 日までやっていくと80になります。
CF2:さっき4から80までに2倍しているっていうことが分かったので,それを 式にしていきます。まず一番最初の4から20番目までの80までをかいて,
次には逆に20番目の80を一番最初にかいて,一番上の4をかきます。これ で計算していくと,4+80で84になります。次は,8+76で84になります。
ここの2つは答えは同じです。このまま20番目まで計算のやっていくと答え は全部84になります。
CF3:先ほど答えは84になるっていうことを説明してくれました。なので,1番か ら20番までこの式で全部計算していくと84が20個できることがわかりま す。それを式で表すと84が20個できるのでかけ算になります。なので84×
20をして1680になります。
CF4:ここまでは,この4から80までの数を足したもののが2つあるので,本当 に求めたいのはひとっだけだから,84×20÷2となります。計算すると840 個です。
<G班>
CG:今からGの説明を始めます。
CG1:まず,この形を三つに分けます。
CG2:三つに分けると二等辺三角形と細長い図形が一つできます。
CG3:まず20段目までを考えます。
CG4:1段目が1個で,2段目が3個,3段目が5個と続いていって,最終的に20
段目が39個になります。CG1:この1,3,5というのは個数を表していて,この個数が奇数になっていて,39 まであって,39までを全部で20個あって,なぜ20個がというと個数が39 個のときに,20段目まであるから39個ということが分かります。それで,
これを逆にしたら39個,37個,35個となって,最終的に1となって,上下 を足すとすべて40になります。この40が20個あります。
CG2:例えば,1+2+3+4+5というのは,さっきやってくれたように逆にひ
っくり返して足すとすべてが6になります。すべてが6なので6×5になり ます。CG3:しかし,2つたしているので,÷2をしなければいけません。だから6×5
÷2=15です。CG4:そして,40×20個をするんだけど本当はひとつでいいのに2つたしている から÷2をします。そして400になります。そして,下の部分は,1段目が1 つ,・… 20段目が39個,同じように足すと,400になります。最後に残
った1行は数えると40個で,今までの数をすべて足すと400+400+40で
840個になります。CG:これでG班の説明を終わります。
<H班〉
CH :
CH1:
CH2:
CH3:
CH4:
僕たちHはこの図を使って説明します。
まず,緑色は1番目です。次に,黄色は2番目で,青色は3番目です。緑色 は4個で,黄色は8個で,青色は12個あるということがこの表で分かると
思います。
ここまでこの磁石で何個かということがわかりました。そのときに,全部4 つずつ増えていて全部4の段だということがわかります。また,2倍,3倍す
ることにより,個数も2倍,3倍となり全部比例していることがわかります。
この4の段,比例を使って,20段まで求めていきたいと思います。
それで,この図は全部比例しているってことは分かりますか。20段目まで 比例しているということを考えると個数は80個になります。その80個とい
う数をつくるために,1段目の4個と19段目の76個を足すと80個になりま
すね。次に,2段目の8個と18段目の72個を足すと80個になりますね。ま
た同じように3段目の12個と17段目の68こを足すと80個になりますね。このように80個のグループはlO個できます。けれどもグループをつくって いく中で,10段目の40個はグループをつくる中で余ってしまったので,こ の40個は後で足します。
みんなが言ってくれたことを式にまとめます。80×10というのは80が1O こあるので80×10になります。そしてそれを計算すると800になります。
でも1O番目の40が取り残されているので,800+40=840となります。だ から840個になります。
T5 審査結果を発表します。
A:105点B:95点 E11OO点 F:115点
C:130点D:85点 G:90点H:105点
T6 取り組んでみての感想を言って下さい。
C3 取り組むときに,ただ発表するだけではなく,相手のことを考えて,どうい うふうに発表したり聞いたりしたらよいのかを考えてつくっていったのが良 かったと思います。
C4 私も似ていて,自分が分かっていても相手が分からないかもしれないからど んな伝え方をしたらいいのかよく伝わるのかを考えて資料をつくったりみん なで発表の練習でここをこうしたらいいんじゃないとできたからよかった。
C5 聞き手の方なんだけど,いっもはあまり話を聞いていないんだけど,必死 になって負けたくないから聞いていたからそれがすごい良かったと思いま す。
C5 資料をつくっていって時間をはかっていって短かったら協力して改善してい けて良かったと思います。
C6 この狭い教室にこんな僕たちの説明,採点してくれるだけのためにいろい ろな所から集まっていただきありがとうございました。
◎國岡先生から
毎週授業を見させてもらったんですが,今日は普段の算数の授業とは全然違う発 表のコンテストです。各班のいろいろと工夫された発表を聞かせていただいて楽し かったです。みんなもいろいろな班の発表を聞いて分かりやすい所とか分かりにく い所とかが分かったと思います。こういうカも算数の力です。問題を解く力も大切 だけども,自分が解いた解き.方を分かりやすく説明する,整理してきちんと見やす いものをつくっていくというのは算数のカとなりますので,これからも機会があっ たらこういう活動を取り入れて下さい。
3.授業の考察
(1)本時に表出した説明するカ
①数,式,図,表,グラフなど様々な表現の手段を使うという視点から
C班の発表は,審査員の評価が最も良かった。下の図は,この班の発表資料である。
発話記録は,以下のとおりである。
CC2:
一CC3:
CC4:
CC1:
C CC11
まず,最初に,ここに三角形がありますね。この三角形の緑色の半分を移 動させたら四角形になるのは分かりますか。
次に四角形の公式を使います。この場合だとこの四角形の場合だとこの〇 一つを1平方センチメートルとして考えて計算します。そしてそれで公式
を使うと縦×横でこの四角形の○の個数を求めることができます。ここま ではいいですか。
最後に縦×横をします。縦×横というのはこの3段だったら縦の点の数は3
個で横の点の数の数も3個です。だから縦×横だから3×3で9個なりま
す。
この考え方を使って6段のピラミッドを考えます。この式と答えが分かる 人はいますか。
この場合は高さが6だから6×6で36です。
正解です。30段の場合は,縦は30で横は30となります。だから,30×30
=900で900個となります。
発表資料と発話記録から,この班が高い評価を受けた要因を考察した。それは,
・操作をしながら,三角形が正方形になることを証明している。
・●一つ分を1平方センチメートルとして考えている。
・操作と式と図の表現を関連づけている。
・「初めに」「次に」「最後に」と三段論法で説明している。
・1段の場合,3段の場合,6段の場合を示してから,その考え方を30段の考え方 に活かしている。(帰納的な考え方を使っている)
②帰納的,演緯的に考え説明するという視点から
2番目に評価が高かったのが,F班の発表である。発表資料と発話記録は以下のとお
りである。
CF2:まず一番最初の4から 20番目までの80までをかいて,次には逆に20番目 の80を一番最初にかいて,一番上の4をかきます。これで計算していく
と,4+80で84になります。次は,8+76で84になります。ここの2つ
は答えは同じです。このまま20番目まで計算のやっていくと答えは全部84 になります。CF3:先ほど答えは84になるっていうことを説明してくれました。なので,1番 から20番までこの式で全部計算していくと84が20個できることがわかり ます。それを式で表すと84が20個できるのでかけ算になります。なので84 ×20をして1680になります。
CF4:ここまでは,この一
Sから80までの数を足したもののが2つあるので,本
当に求めたいのはひとつだけだから,84×20÷2となります。計算する と840個です。この班は,式や言葉を使って演繹的に説明している。1番目から20番目までの個 数を1つのまとまりとして,それらの2つ分の総数を出し,後で2つに分けることを 式に言葉を添えて丁寧に説明している。
③他者が共感できる考えの拠り所とする公共性社会性のある根拠の視点から B班は,資料を使いながら,以下のような説明をした。
CB2:
CB3:
CB3:
CB4:
CB1:
CB2:
三角形をある違う方法で解いていきます。
正解だと思うものに手を挙げてください。
1番,ひし形。2番,長方形。3番,正方形。4番,平行四辺形。正解は1,
ひし形ではなくて4番,平行四辺形です。
ここまでは分かりましたか。三角形を2つ使って平行四辺形にしました。
底辺はこの三角形の数を数えてみると,59個です。(ひっくり返した三角 形の)頂点の1を足して60にします。高さはこの底辺と垂直になるよう に線を引いて,そこを数えてみると30になりました。
この問題の式は,底辺×高さなので60×30で1800になりました。でもこ の1800は三角形を2個使って平行四辺形になっているので,÷2をしま す。1800÷2は900こです。分かりましたか。質問などありませんか。
B班の根拠の拠り所は,「三角形の2つ分の面積は,平行四辺形の面積である」と いう倍積変形の考えで,聴き手は十分に共感できるであろう。また,その変形の仕方 をクイズ形式にすることで,聴き手にその考えの拠り所を明確に意識させようという 工夫がなされている。
(2)考察
本授業では,パターン発見問題を活かした算数授業において,説明する力を育むこ とができることを検証することが目的であった。ここで使ったパターン発見問題は,
問題解決力を育むための授業と同様の教材である。
この授業を実践するにあたっての留意点は二つある。
一っ目は,「説明コンテスト」という場を設定したことである。このような場を設 定することで,子どもたちは,明確に評価される立場になり,そのことは,子どもた ちの説明するカの向上につながると考えた。さらに,評価基準として,①分かりやす いか,②3分を守っているか,③全員が発表しているか,を設けることで,班の中で 一人ひとりの表現が磨かれることに期待した。
二つ目は,一度,クラスで解決した問題の説明を再構成する活動として設定したこ とである。このような活動を取り入れたのは,今度の新学習指導要領で求められる説 明する力とは,はじめて解く問題の解決の仕方を説明するだけではなく,解決した問 題をどのように解いたのか,分かりやすく説明する力のことであると考えたからであ
る。
実際の授業では,いろいろな姿が見られた。
まず,説明コンテストの準備する段階で,数,式,図,表,グラフなど様々な表現 の手段を変えていく姿が見られた。これは,聴き手にとってどんな表現がよいのかを 探っていたからだと考える。その結果,B班の発表で見られたような「操作と式と図 の表現を関連づけている姿」「『初めに』『次に』『最後に』と三段論法で説明してい る姿」へとつながっていた。
次に,帰納的,演繹的に考え説明する姿が多く見られた。特に,パターン発見問題 ならではの,少ない場合で考え,それを多い場合で考えるという帰納的に考える説明 が当たり前のようになされていた。これは,よりよい思考法として定着している姿だ
といえる。
以上を踏まえて,パターン発見問題を活かした算数授業において説明する力を育む ことができたのか,成果と課題を以下に示す。
〈成果>
○問題を解決した後に,解決過程を振り返り,再構成し,説明するという活動をする ことで,子どもたちの表現力,数学的な考え方を使って説明する力などが育まれる。
→つまり,パターン発見問題を活かした算数の授業は,授業の目的を変えることで,
説明する力を育てることができる。
<課題>
○一人ひとりの説明するカは育まれたのかどうかを評価する必要がある。
→評価の方法を探りたい。
第4章本研究のまとめと今後の課題
第1節 本研究のまとめ
本節では,各章のまとめと,全体的なまとめを行う。
1.各章のまとめ
第1章では,本研究の目的を述べた。
第1節では,子どもたちの現状と課睡をPISA調査と全国学力状況調査の結果から明 らかにした。
第2節では,調査結果から求められることになった思考カ・判断力・表現力につい て記述した。
第3節では,パターン発見問題の可能性について述べた。
第2章では,本研究に関わる先行研究について述べた。
第1節では,問題解決についてまとめた。まずは,算数・数学教育における問題解 決の意味,問題解決と算数教育の目標の関連を述べた。次に,教師の説明だけによる 講義形式の授業と問題解決型授業を比較し,その長所と短所を考察した。そして,問 題解決型授業のタイプとして「方法型」,「特設型」,「設定型」について述べた。最 後に,問題解決ストラテジーの具体をあげ,その役割について述べた。これにより,
問題解決についての知見を広げることができたと考える。
第2節では,数学的な考え方についてまとめた。まずは,数学的な考え方とは何か について述べた。次に,数学的な考え方を育成することの重要性を述べた。さらに,
片桐の数学的な考え方を整理した。これにより,数学的な考え方の具体をっかむこと ができたと考える。
第3節では,説明する活動についてまとめた。まずは,説明する活動の目的を述べ た。次に,説明する活動の重要性を述べた。最後に,説明する活動の事例を考察した。
第3章では,パターン発見問題を活かした算数授業において,問題解決力,数学的 な考え方,説明する力を育むことができるかどうかを実験授業を通して検証した。
第1節では,問題解決力を育む授業の構想,発話記録,授業の考察を述べた。同様 に,第2節では,数学的な考え力を育む授業について,第3節では,説明する力を育 む授業について述べた。
2.全体的なまとめ
本研究の目的は,「パターン発見問題を活かした算数授業によって,問題解決力,
数学的な考え方,説明する力を育むことができるのかを明らかにすること」であった。
これらに関して,筆者は以下のような見解を得た。
問題解決力を育むことを目的とした授業では,以下のような発話記録で分かるよう に,「きまりを探す」「パターンを探して一般化する」という問題解決のストラテジ ーが表出した。
CB1
CB2
T14
CB2
1段目は1個2段目は3個…
1段目は1個2段目は3個だから和は4個です。ここまでは分かります
か?4というのは,2段目の2×2をしたら4になりますよね。1段目は1,2 段目は3,3段目は5なので全部足したら9になります。ここまでついてきて来られた人?
3段目の3×3をしたら9になります。4段目も4×4=16と出せますね。
だから,30段目も30×30で900となります。
その他にも,「対称性を活用する」「簡単な数にしてみる」といった問題解決のス
トラテジーも見られた。
以上から,次のようなことが言える。
○グループでの話し合いは,互いに考え方を交流し,補う学習として成立していた。
○ピラミッド型のパターン発見問題は,問題解決のストラテジーが頻出した。
つまり,パタ』ン発見問題は,2章1節で述べた石田(1991,p.171)のよい問題の5 つの条件を満たしている。
数学的な考え方を育むことを目的とした授業では,パターンを見つける過程におい て,問題把握の段階では,例えば,以下のような考え方が表出した。
S81もし,3という文字の一辺一辺が,1mだったら5人というのはありえ
るんだけど,一辺が分からないので分からない。これは,「特殊化の考え方」である。これ以外にも,「類推する考え方」,「仮定す る考え方」,「不都合を指摘するため反例をあげる考え方」「演繹的な考え方」などが 表出した。
以上から次のようなことが言える。
○教師が問題の提示の仕方を工夫する(例:条件不足にする)と,子どもたちは,「類 推する考え方」や「仮定する考え方」をする。
○各白の方法の発表,比較の段階を踏まえると,子どもたちの「演繹的な考え方」,
「帰納的な考え方」が表出する。
つまり,パターン発見問題は,多種多様な数学的な考え方が表出する教材となる可 能性を秘めている。
説明するカを育むことを目的とした授業では,まず,説明コンテストの準備する段 階で,数,式,図,表,グラフなど様々な表現の手段を変えていく姿が見られた。こ れは,聴き手にとってどんな表現がよいのかを探るていたからだと考える。その結果,
B班の発表で見られたような「操作と式と図の表現を関連づけている姿」「『初めに』
『次に』『最後に』と三段論法で説明している姿」へとつながっていた。
次に,帰納的,演繹的に考え説明する姿が多く見られた。特に,パターン発見問題 ならではの,少ない場合で考え,それを多い場合で考えるという帰納的に考える説明 が当たり前のようになされていた。これは,よりよい思考法として定着している姿だ
といえる。
以上から,次のようなことが言える。
○問題を解決した後に,解決過程を振り返り,再構成し,説明するという活動をする ことで,子どもたちの表現力,数学的な考え方を使って説明する力などが育まれる。
つまり,パターン発見問題を活かした算数の授業は,授業の目的を変えることで,
説明する力を育てることができる。
第2節今後の課題
本節では,前節で述べた本研究のまとめを踏まえて,今後の課題を以下に述べる。
パターン発見問題を活かして,問題解決力を育むために
・クラス全体としては,多種多様な問題解決ストラテジ]が頻出したが,一人ひとり が積極的に他者の問題解決ストラテジーを獲得しようとする姿が見られたわけでは
ない。
したがって,今後は,指導だけではなく,獲得された問題解決ストラテジーに関す る評価のあり方を考えたい。
パターン発見問題を活かして,数学的な考え方を育むために
・パターン発見問題だからこそ表出する数学的な考え方があるのかどうかは現段階で は分かっていない。
・答えが明確になると関心・意欲・態度が低下した児童がいた。
したがって,今後は,多種多様な考え方を認め合える学習集団を形成する必要があ
る。
パターン発見問題を活かして,説明する力を育むために
・一lひとりの説明する力は育まれたのかどうかを評価する必要がある。
したがって,今後は,説明するカを評価する方法を探りたい。
おわりに
本研究では,パターン発見問題を活かした算数授業のあり方を探った。現段階では,
パターン発見問題を算数授業の中でうまく活用することで,子どもたちの様々な力(問 題解決力,数学的な考え方,説明する力)が育まれることを実験授業で確かめること ができたのではないかと考えている。
しかし,まだ,課題はたくさん残している。教材を集めたり,開発したりすること。
そして,評価する方法を考えることなどである。
今後は,本研究で得られた知見を基に,学校現場での実践的な研究を通して,この 研究を進めていきたい。幸い,著者の勤務する地域は,小学校と中学校の交流人事が さかんであり,ほとんどの教員は,双方を行き来する。その特徴を活かしていきたい と考えている。
最後になりましたが,本研究を進めるにあたり,適切な教示及び示唆,そして懇切 丁寧に,また根気強くご指導をしてくださいました國岡高宏先生に心からお礼申し上 げます。そして,様々な機会を通して適切な示唆を与えてくださいました崎谷眞也先 生,加藤久恵先生をはじめ数学教室の先生方に深く感謝申し上げます。加えて,実験 授業や参観授業を通して,様々な助言を与えてくださった國岡ゼミの福井武彦さん,
上月幸代さん,伊達筆さん,八木遼子さん,貴重な情報を与えてくださった自然系数 学教室の院生の方々,そして,遅くまで一緒に修士論文作成をし,助言をしてくださ った兵庫教育大学附属小学校算数部の植日ヨ悦司さん,森春樹さん,中地吉人さん,永 念仁貴さん,有吉克哲さんに心から感謝申し上げます。さらに,兵庫教育大学附属小 の子どもたち,いつも算数授業をともに創ってくれてありがとう。
また,この大学院に派遣してくださいました兵庫教育大学,附属小学校に派遣して くださいました岐阜県教育委員会に深く感謝を申し上げます。
2012年1月10日
参考・引用文献
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