• 検索結果がありません。

支配株主の責任と少数者株主の保護

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "支配株主の責任と少数者株主の保護"

Copied!
5
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

博 士 ( 法 学 ) 藤 原 雄 三

学 位 論 文 題 名

支配株主の責任と少数者株主の保護

    学位 論文 内容の 要旨

  近年 わが国 にお いては 株式会 社制度 が普及 し, むしろ 濫用さ れる事 態か 出現している。株式会 社制 度の濫 用には ,実質 的に は零細 な個人 企業で しか ないの に,個 人株主 が支配 株主になって株 式会 社成り をする 場合が ある が,こ のほか にも法 人企 業が支 配株主 になっ て株式 会社を子会社に して 利用し たり, あるい は子 会社さ らには 孫会社 を設 立し, これら の複数 の会社 で会社集団を形 成し て,こ の集団 の支配 株主 として 株式会 社制度 を利 用する 場合が ある。 ところ で株式会社制度 が濫 用され ている 場合に は会 社債権 者を保 護する 必要 があり ,その ために 支配株 主に被支配会社 の債 務にっ いて責 任を負 わす べきで あると 考えら れて いる。 しかし ,この ような 思考は株主の間 接有 限責任 ,正確 には株 主は 会社債 務にっ いては 無責 任であ るとす る伝統 的な株 式会社法理論に 矛盾 するの で,こ の矛盾 をい かに解 決すべ きかが 問題 になる 。他方 ,被支 配会社 において部外株 主あ るいは 局外株 主ナょ どと も呼ば れている少数者株主は,支配株主の会社管理に従わざるをえな い弱 い立場 にある ので, この ような 立場にある少数者株主を保護すべきであると考えられており,

その ために どのよ うな手 段を 講ずべ きかも 問題と なっ ている 。これ らの問 題を取 り上げて,本研 究は ,株式 会社制 度が濫 用さ れてい る場合 には支 配株 主の責 任はい かにあ るべき かにっいて考察 し , あ わ せ て 少 数 者 株 主 の 保 護 は い か に 実 現 さ れ る べ き か に っ い て 検 討 し て い る 。   とこ ろで, わが 国の商 法にお いては 支配従 属関 係にあ る会社 に関す る規 制および会社集団に関 する 規制が きわめ て不備 であ り,判 例がそ の不備 を補 完する 努カを してい る。そ れでまず「序章   わが 国の商 法と 企業結 合―債 権者お よび少 数者 株主・ 社員と 係わら せて ←」において,会社が 他会 社と結 合関係 にある 場合 の法律 関係に 現行商 法を 適用す ると, いかに 規制さ れるかにっいて 概観 した。 っいで 企業結 合に 対する 現行商 法の不 備を 補うた めに, 判例が 法人格 否認の法理を適 用し て従属 会社の 債権者 の保 護をは かって いるの で, 法人格 否認の 法理が いかな る理論であるか を紹 介し, この法 理が結 合企 業関係 にある 会社に 適用 された 事例を 取り上 げて考 察した。また最 近で は結合 企業に 対する 商法 の不備 を改め るため の立 法作業 が営ま れてい るので ,昭和六ニ年五 月に 法務省 民事局 参事官 室か ら公表 された 「商法 ・有 限会社 法改正 試案」 中の関 連項目を取り上

36

(2)

げて検 討し てみた 。

  っ い で 「 第 一章 株 主 の間 接有 限責任 と直接 責任へ の拡 張」に おいて は,個 人が支 配株 主とし て会社 を支 配して いる場 合,親 会社が 子会 社を支 配して いる場 合, および ,支配企業ないし支配 会社が 企業 集団な いし会 社集団 を支配 して いる場 合に共 通する 問題 として ,現存する法制度ない し法理 論を 適用す ること によっ て,被 支配 会社・ 子会社 および 企業 集団な いし会社集団を形成す る会社 の債 務を弁 済すべ き責任 を,支 配株 主に負 わせる ことが 可能 である か否かにっいて考察し た。

  「第 二章コ ン.ソ ェルン にお ける支 配株主 の責任 」にお いて は,企 業集団ないし会社集団いわ ゆるコ ンツ ェルン がいか なる方 法で構 成さ れるか を検討 し,コ ンツ ェルン において支配株主はい かなる 権限 をもっ かを吟 味した 。また この 権限と の関連 で支配 株主 はいか なる責任を負うべきで あると 考え られて いるか にっい てのヨ ー口 ッパ諸 国にお ける立 法・ 学説お よび判例の動向も概観 した。 そし てコン `ソェ ルンの 管理にっいて権限をもつ者は,コンツェルンにおいて従属的地位に あ る会 社 の 債 務 にっ い て 責 任 を負 う べ き で あ ると主 張す るAnne Petitpierre・Sauvainの 見解 を紹介 した 。

  「 第 三 章 従 属会 社 に おけ る少 数者株 主の株 式買取 請求 権」に おいて は,会 社が支 配株 主の意 思にし たが って管 理され るので 不利な 立場 におか れる従 属会社 の少 数者株 主を保護するために,

出資を 回収 して会 社から 容易に 脱退で きる ように する目 的で, この ような 少数者株主に,会社に 対する 株式 買取請 求権を 認める ことの 可否 にっい て検討 した。 そし て,こ の場合の株式買取り価 額はい か程 に評価 される べきか にっい ても 吟味し てみた 。

  「 第 四 章 コ ンツ エ ル ンと 株式 買取請 求権」 におい ては ,企業 集団な いし会 社集団 いわ ゆるコ ンツェ ルン 内で従 属的地 位にあ って集 団を 形成し ている 会社の 少数 者株主 の保護の問題を取り上 げてい る。 すなわ ち,こ のよう ナょ少数者株主は,会社が集団を支配する株主の意思にしたがって 管理さ れる ので不 利な立 場にお かれる ので あるが ,この ことに 不満 をもつ 少数者株主が出資を回 収して 会社 から脱 退する ことを 望むの であ るなら ば,そ れを確 実に 実現さ せるために,会社に対 する株 式買 取請求 権を認 めるこ との可 否に っいて 論じた 。そし て保 護を一 層強化するために,集 団の支 配株 主に対 して請 求でき る株式 買取 請求権 を,こ のよう な少 数者株 主に認めるべきか否か にっい ても 考察し た。ま た,企 業集団 ない し会社 集団に っいて は, 集団の 形成および管理を保護 するた めに ,支配 企業ナ ょいし 支配会社が集団内で従属的地位にある会社の少数者株主から,その 保有す る株 式を強 制的に 買い上 げる株 式買 取請求 権を認 める国 もあ るが, このような場合にも会 社から 排除 される 少数者 株主を 保護す る必 要があ るので ,この 保護 はいか にあるべきかにっいて

37

(3)

も 考察し た。

  ち なみに 企業 集団に っいて は,ド イツ株 式法 が最も 整備さ れた立 法で あると評価されている。

そ れ で 「 第五 章 ド イ ツ株 式法の 企業集 団」に おいて は, 一九六 五年株 式法を 取り 上げて 制定当 初 の企業 集団規 制にっ いて 考察し てみた 。しか し最 近のヨ ー口ッ パ共同 体においては,加盟国の 会 社法を 調整す るため に幾 っかの 指令が 公表さ れて いるが ,ドイ ツにお いては,これらの指令を 国 内 法 化 する た め に 商 法典 の 改 正 が 行 われ て い る 。 それ で , こ の改 正にっ いて も紹介 した。

  ま たフラ ンス におい ても, ヨーロッパ共同体の.指令を国内法化するために商事会社法を改正し て , 会 社 集団 に 関 す る規 制を整 備する 立法作 業が営 まれ ている 。それ で「第 六章 フラン ス商事 会 社法の 会社集 団」に おい て,フ ランス の商事 会社 法が企 業およ び会社 集団をいかに規制してい る かにっ いて, その概 略を 紹介し た。

学位論文審査の要旨

  本論文 は,わ が国の 商法 におけ る企業 結合法 制は いかに あるべ きかに っいて,この問題にっい て 立法 ないし 立法に っいて 議論 のされ ている ヨーロ ッパ諸 国お よびヨ ーロッパ共同体の動向の詳 細 な検 討を通 じて, これを 提示 しよう とする もので ある。

  わが国 の商法 は,企 業は 法的に 独立し た単一 体で あるこ とを前 提にし て,企業をめぐる法律関 係 を規 制して おり, 法人企 業が 支配株 主にな って株 式会社 を子 会社に したり,あるいは子会社さ ら には 孫会社 を設立 し,こ れら の複数 の会社 で会社 集団を 形成 して, この集団の支配株主として 株 式会 社制度 を利用 する場 合, っまり ,結合 企業あ るいは 企業 集団な いし会社集団にっいてはわ ず かし か規制 してい ない。 この ような 株式会 社制度 の利用 が濫 用にわ る場合には会社債権者を保 護 する 必要が あり, そのた めに 支配株 主に被 支配会 社の債 務に っいて 責任を負わせるべきである と 考え られて いる。 しかし この ような 思考は ,株主 の有限 責任 ,正確 には株主は会社債務にっい て は無 責任で あると する伝 統的 な株式 会社法 理論に 矛盾す るの で,こ の矛盾をいかに解決すべき か が問 題にな る。ま た,被 支配 会社に おいて は,部 外株主 ある いは局 外株主などとも呼ばれてい

‑38

二 児

弘 龍

藤 塚

近 大

授 授

教 教

査 査

主 副

(4)

る少数 者株 主は, 支配株 主の会 社管 理に従 わざる を得な い弱い 立場 にある ので,このような立場 にある 少数 者株主 も保護 すべき であ ると考 えられ ており ,その ため にはど のような手段を講ずる べきか が問 題とな る。

  本論 文は, 先ずこ の問題 にっ いてわ が国の 商法の 規制 の現状 にっい て,その不備であることを 指摘し ,判 例によ るその 補完の 努力 ,そし てさら に立法 の動向 にっ いて, 概観する。これは序章 であり 導入 部であ るが, 筆者の 長年 の研究 の成果 の集大 成であ る第 一章以 下第六章までをふまえ ての, 筆者 の態度 を示す もので ある 。

  第一 章株主 の間接 有限責 任と 直接責 任への 拡張お よび 第二章 コンツ ェルンにおける支配株主の 責任は ,各 国でど のよう な既存 の法 制度な いし法 理論に よって ,株 式会社 制度を濫用する者に対 し社会 債務 にっい ての責 任を負 わせ ようと してい るか, また, 企業 集団な いし会社集団,いわゆ るコン .ソ ェルン におい て,支 配株主がいかなる権限をもっか,さらにコンツェルンの管理権限を もつ者 は, コンツ ェルン 内で従 属的 地位に ある会 社の債 務にっ いて 責任を 負うべきであるとの主 張 を,Anne Petitpierre−Sauv ainが その 著書で 整理し ている ところ に従 って, アメリ カおよ びヨー 口ッ パ諸国 にっい て,検 討し 考察を 加える 。

  第三 章従属 会社に おける 少数 株主の株式買取請求権,第四章コンツェルンと株式買取請求権は,

第二の 問題 ,っま り従属 会社の 少数 株主の 株式買 取請求 権にっ いて ,まず ,その請求原因,それ と抵触 する 局面を もつ株 式会社 法の 諸原則 との関 係およ びどの よう な場合 に株式買取請求権を認 めるべ きか ,また ,従属 会社の 少数 者株主 に株式 買取請 求権を 認め る必要 性,株式の評価にっい て,広 く比 較法的 に考察 し,こ れを 認める ことの 可否に っいて 検討 し,次 いで,コンツェルンに おける 従属 会社の 少数者 株主に 支配 株主に 対する 株式買 取請求 権を 認める べきであるとのソーバ ン夫人 の主 張する ところ に従っ て, この広 義の株 式買取 請求権 にっ いて, 立法例およびこれをめ ぐる問 題点 にっい て考察 する。

  第五 章ドイ ツ株式 法の企 業集 団では ,企業 集団の 規制 に関す る最も 整備された立法であるとさ れるド イツ 株式法 にっい て,そ の制 定当初 の規制 がいか に運用 され ,どの ような問題点が指摘さ れてい るか にっい て考察 する。 その 中で情 報公開 にっい ては, 近時 のヨー ロッパ共同体の会社法 調 整 の た め の 指 令 を 国 内 法 化 す る た め の 商 法 典 の 改 正 に っ い て 紹 介 し て い る 。   第六 章フラ ンス商 事会社 法の 会社集 団では ,フラ ンス におい て,会 社集団をめぐる法律関係に っいて いか なる問 題提起 がなさ れ, そして 最近の 立法に よって いか なる解 決がはかられているか を紹介 し, これに っいて 検討し てい る。

  以上 ,本論 文は, 会社法 にお ける企 業結合 規制に っい て,株 式会社 制度の濫用の場合の支配株

39

(5)

主の会社債権者に対する責任と従属会社の少数者株主の株式買取請求権のニっの問題にっいて,

ヨ―口ッパ共同体の各国会社法の調整を前にしてのドイツ,フランスにおける運用,立法の状況 の紹介および前半のスイスの研究者のこの問題にっいての研究を土台とする克明な比較法的研究 を内容とするものである。本書の序章に書かれているように,わが国においても,昭和49年の改 正以来,親子会社,株式の相互持ち合いにっいて規定がおかれ,昭和62年に公表された商法・有 限会社法改正試案においてまさに支配株主等の責任が改正点となったが,平成2年の商法と有限 会社法の改正ではとり上げられなかった。本論文は,この意味で,学界に多大の貢献をするもの であり,また,立法においても重要な参考文献となるものである。

参照

関連したドキュメント

会社法 22

睡眠を十分とらないと身体にこたえる 社会的な人とのつき合いは大切にしている

第14条 株主総会は、法令に別段の 定めがある場合を除き、取 締役会の決議によって、取 締役社長が招集し、議長と

① 新株予約権行使時にお いて、当社または当社 子会社の取締役または 従業員その他これに準 ずる地位にあることを

各新株予約権の目的である株式の数(以下、「付与株式数」という)は100株とします。ただし、新株予約

公益社団法人高知県宅地建物取引業協会(以下「本会」という。 )に所属する宅地建物

等に出資を行っているか? ・株式の保有については、公開株式については5%以上、未公開株

関係会社の投融資の評価の際には、会社は業績が悪化