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飼料作物での遮光によるワルナスビの耕種的防除法に関す る研究 誌名 ISSN 著者 巻 / 号 石川県畜産総合センター研究報告 = Bulletin of the Ishikawa Prefectural. Livestock Research Center X 織部, 治夫表, 俊雄

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Academic year: 2021

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飼料作物での遮光によるワルナスビの耕種的防除法に関す

る研究

誌名

誌名

石川県畜産総合センター研究報告 = Bulletin of the Ishikawa Prefectural.

Livestock Research Center

ISSN

ISSN

1347913X

著者

著者

織部, 治夫

表, 俊雄

堂岸, 宏

巻/号

巻/号

43号

掲載ページ

掲載ページ

p. 12-21

発行年月

発行年月

2013年3月

農林水産省 農林水産技術会議事務局筑波産学連携支援センター

Tsukuba Business-Academia Cooperation Support Center, Agriculture, Forestry and Fisheries Research Council Secretariat

(2)

飼料作物での遮光によるワルナスビの耕種的防除法に関する研究

織部

治夫

、表

俊雄

、堂岸

3 1

石川県畜産総合センター、

石川県県央農林総合事務所、

石川県農林業公社

Cultural Control of Horsenettle (

Solanum carolinense

L.) by Shading with Forage Crops

Haruo Oribe

1

, Toshio Omote

2

, Hiroshi Dougan

3

キーワード:ワルナスビ、耕種的防除、遮光

草丈の高い飼料作物を栽培することによって、その遮光により強害外来雑草のワルナスビを防除する方法につ いて検討した。 始めに、長さ10 ㎝のワルナスビの根片を 2007 年 5 月 28 日に地下に埋設し、その後 3 年間、春先の萌芽後また は開花後から晩秋までの期間に遮光率が異なる 3 種類(50,75,95%)の遮光ネットで植物体を被覆し、ワルナスビ の地上部および根の生育を観察した。その結果、遮光率が高いほど地上部および根の生育は抑制された。 次に、ワルナスビの根片を埋設した区画にスーダングラスとイタリアンライグラスの連続栽培およびリードカ ナリーグラスを単作栽培し、混播牧草地にワルナスビの根片を埋設した区画を比較対照とし、ワルナスビの地上 部および根の生育を観察した。スーダングラスを栽培した区画の 1 番草刈取り 20 日前における地上 3.5 ㎝の照度 は、遮光率95%の遮光ネットで被覆した区画の照度よりも低くなった。スーダングラスとイタリアンライグラスの 連続栽培区画に埋設したワルナスビの根の重量は埋設 2年目以降、混播牧草区のワルナスビの根と比べて低い傾 向であり、また埋設 3 年目にはワルナスビの根は観察されなかった。リードカナリーグラスの普通播、厚播の栽 培区画に埋設 3 年目のワルナスビの根の重量は混播牧草栽培区画のワルナスビに比べ低い傾向であった。 以上のことから、ワルナスビの周囲にワルナスビよりも草丈が高い飼料作物を栽培し、遮光することにより、 生育を抑制できることが示唆された。 Ⅰ ⅠⅠ Ⅰ 緒緒 緒緒 論論論論 1 9 8 0 年 代 以 降 、 全 国 的 に 蔓 延 し て い る 北 米 南 部 原 産 の ワ ル ナ ス ビ (S o l a n u m c a r o l i n e n s e L . )( 西 田 , 2 0 0 2 ) は 、 多 年 生 の 雑 草 で 防 除 が 困 難 で あ る 。石 川 県 内 に お い て も 、飼 料 作 物 作 付 け 総 面 積 の3 . 7 % に あ た る 約 3 4 h aに ワ ル ナ ス ビ が 発 生 し て い る( 石 川 県 農 林 総 合 事 務 所 調 べ , 2 0 1 1 )。 そ の 状 況 は 、 全 国 の 傾 向 と 同 様 で 、 ワ ル ナ ス ビ は 公 共 育 成 牧 場 や 酪 農 家 の 牧 草 地 に 侵 入 し て 繁 茂 し 、場 所 に よ っ て は 群 落 化 し て い る と こ ろ も 見 受 け ら れ る 。ワ ル ナ ス ビ の 草 地 へ の 侵 入 は 牧 草 の 収 量 を 低 下 さ せ る 。ま た 、牧 草 の 刈 取 り か ら サ イ レ ー ジ 等 の 調 製 段 階 に お い て ワ ル ナ ス ビ が 混 入 す る こ と に よ る 牧 草 の 嗜 好 性 の 低 下 も 問 題 と な っ て い る 。 宮 崎( 2 0 0 5 )は 、ワ ル ナ ス ビ は 根 系 に よ り 栄 養 繁 殖 を 行 う 雑 草 で あ り 、そ の 根 は 肥 厚 し て 広 く 深 く 伸 長 し 、そ こ か ら の 茎 葉 の 発 生 が 難 防 除 の 主 要 因 で あ る と 考 え て い る 。ま た 、除 草 剤 を 使 っ た 防 除 法 に つ い て も 研 究 が 行 わ れ て い る 。 永 年 草 地 圃 場 に お い て 、単 年 処 理 で ワ ル ナ ス ビ の 地 上 部 を 枯 死 さ せ る 薬 剤 は あ る が 、根 を 完 全 に 枯 死 さ せ る こ と は で き な か っ た 、ま た 、圃 場 試 験 に お い て は M D B A 等 の 薬 剤 を 適 期 連 年 処 理

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す る こ と で 、経 年 的 に ワ ル ナ ス ビ 発 生 本 数 を 抑 え る こ と が で き た と す る ( 小 野 ら , 2 0 0 4 ) 報 告 や 牧 草 地 に 使 用 可 能 な 除 草 剤 を 用 い て 防 除 効 果 を 検 討 し た 結 果 、チ フ ェ ン ス ル フ ロ ン メ チ ル 水 和 剤 、D B N粒 剤 が 生 育 を 一 定 期 間 抑 制 し た が 、 完 全 防 除 は 困 難 で あ っ た と い う 報 告( 荒 木 と 矢 田 部 , 2 0 0 7 ) を は じ め 、 除 草 剤 を 用 い た 試 験 は 数 多 く 行 わ れ て い る が 、完 全 防 除 ま で に は 至 っ て い な い 。 し か し 、 近 年 、 串 田 と 谷 田 ( 2 0 0 2 ) は ス ー ダ ン 型 ソ ル ガ ム は 高 い 遮 光 効 果 が あ り 、 ワ ル ナ ス ビ の 乾 物 重 量 、本 数 を 少 な く し た と 報 告 し て い る 。 ま た 、 吉 尾 ら ( 2 0 0 0 ) は 、 ワ ル ナ ス ビ が 侵 入 し て い る ト ウ モ ロ コ シ 圃 場 ( 条 間 7 0㎝ 株 間 2 0㎝ で 栽 培 ) に イ タ リ ア ン ラ イ グ ラ ス お よ び ヘ ア リ ー ベ ッ チ を 播 種 し 、ト ウ モ ロ コ シ 収 穫 時 の ワ ル ナ ス ビ の 発 生 状 況 を 調 査 し た 。 そ の 結 果 、 イ タ リ ア ン ラ イ グ ラ ス をa当 り0 . 6 ㎏ ま た は ヘ ア リ ー ベ ッ チ をa 当 り0 . 4㎏ 播 種 す る こ と に よ り ワ ル ナ ス ビ の 乾 物 重 量 が 1 割 程 度 低 下 し た と し て い る 。さ ら に 、オ ー チ ャ ー ド グ ラ ス が 生 育 し て い る コ ン テ ナ に 播 種 し た ワ ル ナ ス ビ は 、出 芽 率 、生 存 個 体 数 お よ び 生 育 が 抑 制 さ れ た と 報 告 さ れ て い る( 農 林 水 産 省 草 地 試 験 場 , 1 9 9 6 )。 こ の よ う に ワ ル ナ ス ビ は 遮 光 に よ っ て あ る 程 度 、生 育 が 抑 え ら れ る こ と が 明 ら か に な っ て い る 。し か し 、こ れ ら は い ず れ も 単 年 の 研 究 で あ り 、こ の よ う な 遮 光 を 単 年 だ け で な く 複 数 年 続 け る こ と で ワ ル ナ ス ビ の 防 除 に 一 層 の 効 果 が 現 れ る こ と が 期 待 さ れ る 。そ こ で 、本 研 究 は 、飼 料 作 物 を 栽 培 す る こ と に よ る 遮 光 効 果 を 複 数 年 継 続 し て 利 用 す る こ と で ワ ル ナ ス ビ の 防 除 法 に つ い て 検 討 し た 。 Ⅱ ⅡⅡ Ⅱ 材 料 お よ び材 料 お よ び 方 法材 料 お よ び材 料 お よ び方 法方 法方 法 1 . 生 育 段 階 調 査 オ ー チ ャ ー ド グ ラ ス が 優 占 し て い る 混 播 牧 草 地 に お い て ワ ル ナ ス ビ が 蔓 延 し て い る 箇 所 か ら ワ ル ナ ス ビ の 萌 芽 1 0 個 体 を 選 定 し 、 平 成 1 9 ~ 2 1 年 の 3 年 間 、 毎 年 、 生 育 段 階 に つ い て 観 察 お よ び 調 査 を 行 っ た 。 生 育 段 階 の 特 定 は 1 0個 体 中 、2個 体 以 上 が 萌 芽 、 着 蕾 、 開 花 、 結 実 の 各 生 育 段 階 に 達 し た 時 点 と し た 。 2 . ネ ッ ト で の 遮 光 に よ る 抑 制 試 験 2 m × 2 mの 裸 地 を 1区 画 と す る 試 験 区 を 設 け 、 1 0 ㎝ の 長 さ に 切 断 し た 直 径 7 ~ 1 5 m m の ワ ル ナ ス ビ 根 片 を 1 個 ず つ 2 0 0 7 年 5月 2 8 日 に 地 下 1 0 ㎝ に 埋 設 し た 。 そ の 後 、 2 0 0 7 年 に は 開 花 か ら 1 1 5日 間 ( 7月 2 3日 か ら 1 1月 1 4日 ま で )、

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ま た 2 0 0 8 年 、 2 0 0 9 年 に は 萌 芽 か ら 1 8 3 日 間 ( 2 0 0 8 : 4月3 0日 か ら 1 0月2 9日 ま で 、 2 0 0 9 : 5 月 1 7日 か ら1 1月 1 5日 ま で )、遮 光 ネ ッ ト( 大 豊 化 学 工 業 株 式 会 社 )で 被 覆 し た 塩 化 ビ ニ ー ル パ イ プ 製 の 枠( 1 m × 1 m × 1 m )を ワ ル ナ ス ビ に 被 せ た 。 遮 光 率 が5 0 % 、 7 5 % 、 9 5 % の 3種 類 の 遮 光 ネ ッ ト を 各 区 に つ き 1 種 類 を 用 い 、 遮 光 率 を 5 0 % 、 7 5 % 、 9 5 % と す る 3 区 を 設 定 し 、 各 区 に つ き 3反 復 実 施 し た 。遮 光 期 間 終 了 の 翌 日 に 草 丈 、 茎 数 、 冠 部 被 度 ( 2 0 0 9年 は 測 定 せ ず )、 生 草 重 量 お よ び 乾 物 重 量 を 測 定 し た 。冠 部 被 度 の 測 定 は 、 地 上 1 mの 高 さ に お け る 試 験 区 画 4㎡ に 対 す る ワ ル ナ ス ビ が 占 有 し て い る 面 積 を 百 分 率 で 表 し た 。ワ ル ナ ス ビ 根 片 の 埋 設 か ら4年 目 の 平 成 2 2 年 1 0月 2 0 日 に 根 片 を 掘 り 起 こ し た 。 埋 設 し た 根 片 の 重 量 お よ び 径 は 5 0 % 区 1 6 . 1 ± 1 . 4 g : 1 2 . 0 ± 0 . 8 ㎜ 、 7 5 % 区 1 5 . 5 ± 1 . 4 g : 1 3 . 2 ± 1 . 4㎜ 、9 5 % 区1 7 . 0 ± 1 . 7 g:1 3 . 2 ± 0 . 2㎜ で あ っ た 。な お 、照 度 の 測 定( 地 上3 . 5㎝ )は 2 0 0 8 年 7月 5日 に 実 施 し 、照 度 計( 横 河 メ ー タ & イ ン ス ツ ル メ ン ツ ( 株 ) 5 1 0 0 2型 ) を 用 い た 。 3 . 飼 料 作 物 に よ る 抑 制 試 験 2 m × 2 mを 1区 画 と す る 試 験 区 を 設 け 、各 区 画 に 長 さ 1 0㎝ に 切 断 し た ワ ル ナ ス ビ 根 片 を 1個 ず つ 地 下 1 0 ㎝ に 埋 設 し 、 同 じ 区 画 内 で 牧 草 を 栽 培 し た 。 牧 草 の 種 類 に よ り 、 ( 1 ) ス ー ダ ン グ ラ ス お よ び イ タ リ ア ン ラ イ グ ラ ス の 連 続 栽 培 区 ( S G + I R G 区 )、 ( 2 ) リ ー ド カ ナ リ ー グ ラ ス の 単 作 区 ( R C G区 ) を 設 け た 。 こ の 両 区 に そ れ ぞ れ 既 存 の 混 播 牧 草( ペ レ ニ ア ル ラ イ グ ラ ス 、オ ー チ ャ ー ド グ ラ ス 、ク ロ ー バ )圃 場 に ワ ル ナ ス ビ を 埋 設 し た 2 m × 2 mの 区 画( M I X区 )を 対 照 区 と し た 。さ ら に ス ー ダ ン グ ラ ス お よ び リ ー ド カ ナ リ ー グ ラ ス は 播 種 密 度 の 違 い に よ り 普 通 播 き( 播 種 量 : ス ー ダ ン グ ラ ス1㎏ / a 、リ ー ド カ ナ リ ー グ ラ ス 0 . 1 5 ㎏ / a ) と 厚 播 き ( 播 種 量 : ス ー ダ ン グ ラ ス 1 . 5㎏ / a 、リ ー ド カ ナ リ ー グ ラ ス 0 . 3㎏ / a )を 設 定 し た 。イ タ リ ア ン ラ イ グ ラ ス の 播 種 量 は 0 . 2 5㎏ / aと し た 。 こ れ ら の 区 は 将 来 の ワ ル ナ ス ビ の 根 片 の 掘 起 し 時 期( 埋 設 か ら 1年 目 、 2 年 目 、 3年 目 ) に よ っ て 更 に 3区 に 分 け 、 1区 あ た り 3反 復 で 実 施 し た 。 根 片 の 重 量 お よ び 径 は 各 区 と も 9 本 の 平 均 ± 標 準 偏 差 でS G + I R G区 普 通 播1 1 . 9 ± 1 . 3 g:1 0 . 6 ± 1 . 0㎜ 、 S G + I R G 区 厚 播 9 . 8 ± 1 . 8 g : 1 0 . 0 ± 0 . 8 ㎜ 、 R C G 区 普 通 播 8 . 2 ± 0 . 4 g:6 . 8 ± 0 . 6㎜ 、R C G厚 播8 . 4 ± 0 . 2 g : 7 . 9 ± 0 . 7 ㎜ 、 S G + I R G 区 の 対 照 と し て の M I X区8 . 5 ± 1 . 2 g : 9 . 1 ± 1 . 2㎜ 、 R C G区 の 対

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照 と し て の M I X区 8 . 4 ± 0 . 5 g:8 . 1 ± 0 . 5㎜ で あ っ た 。 S G + I R G 区 は 、 2 0 0 7年 春 に ス ー ダ ン グ ラ ス の 播 種 を 行 う と 同 時 に ワ ル ナ ス ビ 根 片 を 埋 設 し た 。R C G区 は 、2 0 0 7年 秋 に リ ー ド カ ナ リ ー グ ラ ス を 播 種 し 、翌 春 に ワ ル ナ ス ビ 根 片 を 埋 設 し た 。 S G + I R G区 の 対 照 と な るM I X区 、R C G区 の 対 照 と な る M I X区 と も 、そ れ ぞ れ 、試 験 区 と 同 じ 日 に ワ ル ナ ス ビ 根 片 を 埋 設 し た 。各 区 と も 牧 草 刈 取 と 同 時 に ワ ル ナ ス ビ を 一 緒 に 刈 取 り 、ワ ル ナ ス ビ の 草 丈 、乾 物 重 量 を 調 査 し た 。ま た 、埋 設 か ら 1年 目 、 2 年 目 、 3年 目 に そ れ ぞ れ ワ ル ナ ス ビ の 根 を 掘 起 こ し 、根 の 重 量 を 測 定 し た 。ま た 、 1番 草 刈 取 予 定2 0日 前 の 平 成2 0年7月 5日 に ス ー ダ ン グ ラ ス 、リ ー ド カ ナ リ ー グ ラ ス 、混 播 牧 草 の 区 画 の 地 上 3 . 5 ㎝ に お け る 照 度 を 測 定 し た 。 Ⅲ ⅢⅢ Ⅲ 結 果 お よ び 考 察結 果 お よ び 考 察 結 果 お よ び 考 察結 果 お よ び 考 察 ワ ル ナ ス ビ の 生 育 段 階 の 推 移 の 結 果 を 表 1 に 示 し た 。 萌 芽 の 時 期 は2 0 0 7年 は 5月 1 8日 、 表1 ワルナス ビの生育段階の推移 萌芽期 着蕾期 開花期 結実期 2007 5/18 6/4 6/18 7/16 2008 4/30 5/27 6/12 7/2 2009 5/17 6/2 6/15 7/13 2 0 0 9 年 は 5 月 1 7 日 と ほ と ん ど 同 じ で あ っ た が 、 2 0 0 8 年 は 4月 3 0 日 で 2 0 0 7 、 2 0 0 9年 に 比 べ 、 1 7 、 1 8 日 早 か っ た 。 こ れ は 気 温 が 、 2 0 0 8 年 は 3月 中 旬 か ら 4月 中 旬 に か け て 高 く 推 移 し た こ と 、 4月 上 ・ 中 旬 の 降 水 量 が 2 0 0 8年 は 2 0 0 7 、 2 0 0 9 年 に 比 べ て 多 か っ た こ と が 影 響 し て い る と 考 え ら れ た 。ま た 、2 0 0 8年 は 1月 中 旬 か ら3 月 上 旬 に か け て 気 温 が 2 0 0 7 、 2 0 0 9 年 よ り も 2 ~ 4 ℃ 低 く 推 移 し た が 、 こ の 時 期 の 低 温 は ワ ル ナ ス ビ の 萌 芽 の 時 期 に 影 響 し な か っ た 。着 蕾 の 時 期 は 2 0 0 7年 が6月 2日 、 2 0 0 9年 が 6月 4日 で ほ ぼ 同 じ で あ っ た が 、 2 0 0 8 年 は そ れ ら よ り も 6 ~ 8 日 早 か っ た 。 こ れ は 前 述 の よ う に 萌 芽 期 も 2 0 0 8 年 が 早 か っ た こ と に よ る と 思 わ れ る 。 平 成 2 0 0 7 、 2 0 0 9年 は 萌 芽 か ら 着 蕾 ま で1 6 、 1 7 日 を 要 し た が 、 2 0 0 8年 は 2 7日 要 し て い る こ と か ら 、い く ら 萌 芽 が 早 く て も5月 末 以 降 に な ら な い と 着 蕾 し な い と 推 測 さ れ た 。開 花 期 は 3年 と も ほ ぼ 同 じ 時 期 ( 6月 1 2日 か ら 6月 1 8日 ) で あ っ た 。こ の こ と か ら 萌 芽 期 、着 蕾 期 の 時 期 が 異 な っ て も 開 花 期 は ほ ぼ 同 じ 時 期 に な る こ と が 推 察 さ れ た 。 宮 崎( 2 0 0 5 )は 萌 芽 可 能 温 度 範 囲( 1 5 ~ 2 0 ℃ ) で も 、正 常 な 根 か ら 茎 葉 は 発 生 し な い が 、茎 葉

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表2 遮光試験におけるワルナス ビの草丈、茎数、冠部被度、生草重量および乾物重量 草丈 茎数 冠部被度 生草重量 乾物重量 草丈 茎数 冠部被度 生草重量 乾物重量 草丈 茎数 生草重量 乾物重量 ( ㎝) ( 本) ( %) ( g) ( g) ( ㎝) ( 本) ( %) ( g ) ( g ) ( ㎝) ( 本) ( g) ( g) 5 0% 区 7 9 .7 1 .0 4 .2 1 4 0 .7 3 4 .3 1 1 7 .7 3 .7 3 0 .4 a 3 4 8 .2 a 69 .1 a 9 5.8 3 .0 1 8 6 .4 3 7 .9 7 5% 区 7 7 .7 1 .0 3 .4 1 3 1 .4 2 7 .9 1 5 2 .7 2 .7 2 0 .0 ab 2 6 8 .9 a b 50 .2 ab 9 2.2 2 .3 1 3 4 .1 2 6 .8 9 5% 区 4 6 .7 1 .0 0 .4 2 1 .1 4 .6 96 .3 2 .0 4 .8 b 56 .5 b 10 .7 b 6 9.7 2 .3 5 1 .8 1 0 .4 異符号間に有意差あり(P< 0 .0 5 ) 遮光率 1 年目( 2 0 0 7 ) 2 年目( 2 0 08 ) 3 年目( 2 0 0 9) を 地 上 部 だ け 刈 り 取 る と 切 除 し た 茎 か ら の み 茎 葉 が 再 生 す る と 報 告 し て お り 、ワ ル ナ ス ビ の 地 上 部 の 刈 取 を 行 わ な か っ た 本 調 査 で は 、毎 年 6月 以 降 に は こ の 報 告 と 同 様 に 、 茎 葉 の 発 生 は 認 め ら れ な か っ た 。 遮 光 に よ る 抑 制 試 験 の 結 果 を 表 2 に 示 し た 。 遮 光 率 が 高 く な る に つ れ て ワ ル ナ ス ビ の 草 丈 お よ び 生 草・乾 物 重 量 は 低 く な る 傾 向 が 見 ら れ た 。な か で も 遮 光 率9 5 % 区 は5 0 % 区 に 比 べ て 、2 年 目 の ワ ル ナ ス ビ の 地 上 部 の 生 草 重 量 、乾 物 重 量 お よ び 冠 部 被 度 は 有 意 に 低 く な っ た 。 実 生 ワ ル ナ ス ビ は5 0 % 遮 光 条 件 下 で は 、 地 上 部 、地 下 部 と も 無 遮 光 条 件 と 同 等 に 生 育 し 、7 5 % 以 上 の 遮 光 条 件 下 で は 生 育 は 著 し く 低 下 す る も の の 、 主 根 長 は9 5 % 遮 光 条 件 下 に お い て も 播 種 後 9 5日 目 に は 約4 0㎝ ( 平 均 径1 . 8 m m ) ま で 伸 長 し た ( 浦 川 と 出 口 , 1 9 9 9 ) と 報 告 さ れ て い る 。本 研 究 で も 遮 光 率7 5 % 区 は5 0 % 区 に 比 べ て 、 有 意 差 は な か っ た も の の1 、2年 目 の 冠 部 被 度 、 1 、 2 、 3年 目 の 生 草 重 量 、 乾 物 重 量 に つ い て 低 い 傾 向 で あ っ た 。 9 5 % 区 は 7 5 % 区 よ り も さ ら に 生 育 は 低 下 し 、 有 意 差 は な か っ た が 、 1 、 2 、 3 年 目 の 草 丈 、 生 草 重 量 、 乾 物 重 量 お よ び 1 、 2 年 目 の 冠 部 被 度 は 低 い 傾 向 で あ っ た 。 9 5 % 区 に お け る 2年 目 の 冠 部 被 度 、生 草 重 量 、乾 物 重 量 は 5 0 % 区 と 比 べ 、 有 意 に 低 下 し た 。 9 5 % 区 は 根 の 埋 設 後 、 3年 間 、 連 続 し て 遮 光 し た に も か か わ ら ず 、 根 は 存 在 し て い た 。 遮 光 に よ る 抑 制 試 験 に お け る ワ ル ナ ス ビ 根 の 重 量 を 表 3に 示 し た 。 表3  遮光試験における埋設時および掘起時の ワルナスビ根の重量( g/ 4 ㎡) 埋設 堀起 ( 2 0 0 7 .5 .2 8 ) ( 2 0 1 0 .1 0 .2 0 ) 遮光率5 0 % 区 1 6 .1 4 2 .0 2 .6 1 遮光率7 5 % 区 1 5 .5 1 3 .4 0 .8 6 遮光率9 5 % 区 1 7 .0 1 1 .2 0 .6 6 区分 堀起/ 埋設 2 0 0 7年5月2 8日 の ワ ル ナ ス ビ 根 の 埋 設 か ら お よ そ 3年 半 後 の 2 0 1 0年 1 0月 2 0日 に 根 を 掘 り 起 こ し た 。 遮 光 率5 0 % 区 で は 掘 起 時 の 根 の 重 量 は 埋 設 時 の 2 . 6倍 で あ っ た 。 一 方 、 遮 光 率7 5 % 区 お よ び9 5 % 区 で は 掘 起 時 の 根 の 重 量 は 埋 設 時 よ り 小 さ か っ た 。遮 光 率 が 高 く な る ほ ど ワ ル ナ ス ビ の 根 の 生 育 抑 制 効 果 は 大 き く な る と 考 え

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表4 飼料作物による抑制試験の実施時期およびワルナス ビの草丈・ 乾物重量 ワルナスビ ワルナスヒ ゙ ワルナスヒ ゙ 草丈 乾物重量 草丈 乾物重量 草丈 乾物重量 草丈 乾物重量 ( ㎝) ( g/ 4 ㎡) ( ㎝) ( g/ 4 ㎡) ( ㎝) ( g/ 4 ㎡) ( ㎝) ( g/ 4 ㎡) SG+ IRG区 普通播 5 / 2 8 5 / 2 8 4 1 1 1 .6 5 5 4 .1 1 0 / 4 1 0 / 5 4 / 2 15 / 1 6 7 9 2 .8 4 6 4 .1 9 / 2 5 1 0 / 6         厚播 5 / 2 8 5 / 2 8 6 0 4 .5 4 5 1 .8 1 0 / 4 1 0 / 5 4 / 2 15 / 1 6 6 3 5 .7 6 3 1 7 .7 9 / 2 5 1 0 / 6 MIX区    混播牧草 — 5 / 2 8 4 5 2 .5 4 5 5 .7 1 0 / 4 — 4 / 2 15 / 1 6 6 6 6 .2 4 7 1 2 .7 9 / 2 5 — ※ 播種量( SG( 普通播: 1 .0 ㎏/ a、厚播: 1 .5 ㎏/ a) 、I RG( 0 .2 5 ㎏/ a) ) SG:スーダングラス  I RG:イタリアンライグラス  MI X:混播牧草

SG1番草刈取時( 8 / 2 6 ) SG2番草刈取時( 1 0 / 7 ) ワルナスヒ ゙ MI X2番草刈取時( 8 / 2 6 ) MIX3番草刈取時( 1 0 / 7 ) 草丈 乾物重量 草丈 乾物重量 ( ㎝) ( g/ 4 ㎡) ( ㎝) ( g/ 4 ㎡) SG+ IRG区 普通播 ― ― 6 / 2 2 ― ― ― 1 0 / 2 2         厚播 ― ― 6 / 2 2 ― ― ― 1 0 / 2 2 MIX区    混播牧草 4 2 2 4 — 3 5 2 4 4 2 4 1 0 / 2 2 2 0 0 7 ワルナスビ ワルナスヒ ゙ ワルナスヒ ゙ 草丈 乾物重量 草丈 乾物重量 草丈 乾物重量 草丈 乾物重量 ( ㎝) ( g/ 4 ㎡) ( ㎝) ( g/ 4 ㎡) ( ㎝) ( g/ 4 ㎡) ( ㎝) ( g/ 4 ㎡) RCG区 普通播 9 / 2 1 5 / 1 5 4 9 1 .7 4 3 1 .8 9 / 2 5 4 0 6 .4 4 4 1 4 .0 1 0 / 2 2       厚播 9 / 2 1 5 / 1 5 5 5 2 .2 4 8 2 .3 9 / 2 5 3 6 2 .2 2 7 2 .0 1 0 / 2 2 MIX区  混播牧草 — 5 / 1 5 3 5 1 .7 4 0 2 .3 9 / 2 5 3 8 6 .1 4 6 3 0 .0 1 0 / 2 2 ※ 播種量( 普通播: 0 .1 5 ㎏/ a、厚播: 0 .3 ㎏/ a) RCG:リードカナリーグラス MI X:混播牧草

ワルナスヒ ゙ 草丈 乾物重量 草丈 乾物重量 ( ㎝) ( g/ 4 ㎡) ( ㎝) ( g/ 4 ㎡) RCG区 普通播 測定せず 1 .2 5 9 .7 2 1 .2 1 0 / 2 0       厚播 測定せず 1 .2 6 1 .8 2 4 .4 1 0 / 2 0 MIX区  混播牧草 測定せず 1 .6 5 0 .6 8 2 .8 1 0 / 2 0 根 掘起 根 掘起 I RG 播種 RCG 播種 根片 埋設 根 掘起 2番草刈取時 ( RCG、MI Xとも9 / 2 4 ) ( RCG、MI Xとも7 / 2 5 ) ( RCG、MI Xとも6 / 1 2 ) 3番草刈取時 ( RCG、MI Xとも1 0 /7 ) 2年目( 2 0 0 9 ) IRG 刈取 SG 播種 2番草刈取時 5 3 .8 区分 SG1番草刈取時( 8 / 1 3 ) SG2番草刈取時( 1 0 / 3 ) 1年目( 2 0 0 8 ) MI X2番草刈取時( 8 / 3 ) 1番草刈取時 MIX3番草刈取時( 1 0 / 3 ) 区分 根 掘起 区分 1年目( 2 0 0 7 ) SG1番草刈取時( 7 / 2 5 ) SG2番草刈取時( 9 / 2 4 ) 2年目( 2 0 0 8 ) MI X1番草刈取時( 7 / 2 5 ) MIX2番草刈取時( 9 / 2 4 ) I RG 播種 SG 播種 根片 埋設 ― ― SG播種 IRG2番草刈取時( 5 / 2 8 ) 3年目( 2 0 0 9 ) 草丈 ( ㎝) 根 掘起 乾物重量 ( g/ 4 ㎡) MIX1番草刈取時( 5 / 2 8 ) 8 0 .8 2番草刈取時 ( RCG、MIXとも7 / 2 7 ) 乾物重量 ( g/ 4 ㎡) 3年目( 2 0 1 0 ) 3 6 .6 草丈 ( ㎝) 3 6 .2 1番草刈取時 ( RCG、MIXとも6 / 3 ) 区分 1 9 .2 2 6 .4 根 掘起 3番草刈取時 ( RCG、MI Xとも9 / 1 5 ) 3 7 .8 ら れ た 。ま た 、遮 光 ネ ッ ト で 被 覆 し た ワ ル ナ ス ビ は 開 花 し た が 、 結 実 し な か っ た 。 飼 料 作 物 に よ る ワ ル ナ ス ビ 抑 制 試 験 の 結 果 を 表 4 に 示 し た 。 S G + I R G 区 で の ワ ル ナ ス ビ の 生 育 は 1 年 目 、2 年 目 の ス ー ダ ン グ ラ ス の 1 番 草 、 2番 草 の 刈 取 時 と 時 期 を ほ ぼ 同 じ く す る 混 播 牧 草 の 2番 草 、 3番 草 の 刈 取 時 の ワ ル ナ ス ビ の 草 丈 、 乾 物 重 量 に お い て M I X 区 と 同 等 か ま た は M I X 区 よ り も 高 か っ た 。 し か し 、 3 年 目 に は ワ ル ナ ス ビ は 地 上 に 認 め ら れ な か っ た 。 R C G区 に お い て は 、 1年 目 の 草 丈 、 乾 物 重 量 はM I X区 と 有 意 差 は 認 め ら れ な か っ た 。 2年 目 の 秋 か ら ワ ル ナ ス ビ の 生 育 はR C G区 がM I X区 よ り も 低 下 し た 。 3年 目 の3番 草 刈 取 時 に お い て はR C G区 の ワ ル ナ ス ビ の 乾 物 重 量 は M I X 区 よ り も 低 下 し た 。 S G + I R G 区 で は 、 試 験 開 始 か ら 最 初 の 2 年 間 は M I X区 に 比 べ 、ワ ル ナ ス ビ の 生 育 に 差 は 認 め ら れ な か っ た が 、 3 年 目 に は 地 上 に ワ ル ナ ス ビ は 認 め ら れ な か っ た 。 飼 料 作 物 抑 制 試 験 に お け る 飼 料 作 物 の 草 丈 の 推 移 を 表 5に 示 し た 。S G + I R G区 、R C G区 、M I X 区 ど の 区 に お い て も 牧 草 の 草 丈 は 常 に ワ ル ナ ス ビ の 草 丈 よ り も 高 く 推 移 し た 。ス ー ダ ン グ ラ ス 、リ ー ド カ ナ リ ー グ ラ ス と も 普 通 播 と 厚 播 と で 、 草 丈 に 差 は な か っ た 。 飼 料 作 物 抑 制 試 験 に お け る ワ ル ナ ス ビ の 根 の 重 量 を 表 6に 示 し た 。S G + I R G区 、R C G区 お よ びM I X区 と も 埋 設 か ら1年 目 に は ワ ル ナ ス ビ の

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表5 飼料作物による抑制試験における飼料作物の草丈の推移 ( 単位: ㎝) 測定日 3 / 2 5 4 / 2 1 5 / 1 2 6 / 2 6 / 1 2 7 / 2 4 / 1 7 5 / 8 7 / 2 7 8 / 2 6 1 0 / 7 イタリアンライグラス 2 8 .7 9 4 .7 7 8 .4 ス ーダングラス  普通播 7 3 .5 1 5 4 .7 1 3 6        厚播 7 7 .8 1 5 1 1 4 5 .5 混播牧草 1 9 .5 1 0 6 3 5 .6 9 0 .2 9 4 .2 6 3 .6 測定日 3 / 2 5 6 / 1 2 7 / 2 9 / 2 4 5 / 8 5 / 1 8 6 / 1 2 1 0 / 7 7 / 2 7 リードカナリーグラス  普通播 1 0 .5 6 1 .6 8 4 .6 7 2 .8 1 0 8 .4 6 7 5 9 8 3 .2         厚播 1 1 .2 6 2 .6 7 9 .4 6 9 1 0 5 .7 6 7 5 7 .5 8 3 .1 混播牧草 9 7 .9 8 3 .2 8 3 .5 6 4 5 5 .5 3年目( 2 0 0 9 ) 3年目( 2 0 1 0 ) ス ーダ ングラス +イタリアン ライグラス 連続栽培区 リード カナリーグラス 区 1年目( 2 0 0 7 ) 2年目( 2 0 0 8 ) 1年目( 2 0 0 8 ) 2年目( 2 0 0 9 ) 表6  飼料作物による抑制試験におけるワルナス ビ根の重量 ( g /4㎡) 埋設時 ス ーダングラス (SG) +イタリアンライグラス ( IRG) 区 普通播 11 .9 1 9.7 ( 1 .7 ) 6.4 ( 0.5) 0 (0 .0 ) 厚播 9 .8 1 1.4 ( 1 .2 ) 19 .8 ( 2.0) 0 (0 .0 ) 混播牧草( MIX) 区 8 .5 1 9.8 ( 2 .3 ) 47 .3 ( 5.6) 9 9 .6 (1 1 .7 ) リード カナリーグラス (RCG) 区 普通播 8 .2 9 .1 ( 1 .1 ) 18 .9 ( 2.3) 1 4 .7 (1 .8 ) 厚播 8 .4 1 2 ( 1 .4 ) 1 8 ( 2.1) 4 4 .4 (5 .3 ) 混播牧草( MIX) 区 8 .4 1 1.8 ( 1 .4 ) 1 4 3 ( 1 7.0) 1 54 (1 8 .3 ) (   ) : ワルナス ビ根の埋設時に対する重量比 1 年目 2 年目 3 年目 区分 根 の 重 量 は 平 均1 . 5倍( 1 . 1 ~ 2 . 3 )に 増 加 し た 。 S G + I R G 区 で は 、 2 年 目 に は 普 通 播 の 区 画 の ワ ル ナ ス ビ の 根 の 重 量 は 埋 設 時 よ り も 小 さ く な っ た が 厚 播 の 区 画 の 根 は2倍 、 M I X区 の 根 は 埋 設 時 の 約 5倍 に 増 加 し た 。 3年 目 に は 普 通 播 、厚 播 と も に ワ ル ナ ス ビ の 根 は 認 め ら れ な か っ た 。 1 ~ 3 年 目 に か け て M I X 区 の ワ ル ナ ス ビ の 根 の 重 量 は 増 加 し た 。 R C G区 に お い て は 普 通 播 、厚 播 と も ワ ル ナ ス ビ の 根 の 重 量 が2年 目 に は 埋 設 時 の2倍 程 度 に 生 育 し た が 、M I X区 で は 、 1 7倍 と 生 育 が 著 し か っ た 。 3年 目 に は R C G ( 普 通 播 )区 で は 、2年 目 よ り や や 小 さ く な り 、R C G ( 厚 播 ) で は2年 目 の2倍 に 生 育 し た 。 M I X区 で は ワ ル ナ ス ビ の 根 は2年 目 か ら3年 目 に か け て や や 大 き く な っ た 。 こ れ ら の こ と か ら 、 S G + I R G 区 お よ び R C G 区 で はM I X 区 に 比 べ る と 、 ワ ル ナ ス ビ の 根 の 生 育 は 抑 制 さ れ 、 S G + I R G 区 の 方 が R C G区 よ り も 抑 制 効 果 は 大 き か っ た 。 遮 光 ネ ッ ト 内 お よ び 飼 料 作 物 に よ る 抑 制 試 験 の 区 画 の 照 度 を 表7に 示 し た 。 遮 光 率5 0 % 区 の 照 度 は 裸 地 の 照 度 の 2 . 9 % 、 7 5 % 区 で は 2 . 7 % 、 9 5 % 区 で は 1 . 9 % に 大 幅 に 低 下 し た 。 測 定 日 は 7 月 5 日 で 、 S G + I R G 区 で は ス ー ダ ン グ ラ ス が 1 番 草 刈 取 2 0日 前 の 旺 盛 に 繁 茂 し て い る 時 期 で

(9)

表7  遮光ネット内および牧草地の照度

( ルクス )

遮光率5 0 % 区

9 3 3

( 2 .9 )

遮光率75 % 区

8 6 9

( 2 .7 )

遮光率9 5 % 区

6 3 3

( 1 .9 )

裸地

3 2 ,6 3 3

( 1 0 0 .0 )

ス ーダングラス ( SG) + イタリアンライグラス ( IRG) 区

普通播

4 9 5

( 1 .5 )

ス ーダングラス ( SG) + イタリアンライグラス ( IRG) 区

厚播

3 9 0

( 1 .2 )

混播牧草( MIX) 区

2 ,3 1 3

( 7 .1 )

リード カナリーグラス ( RCG) 区         

普通播

1 ,4 9 3

( 4 .6 )

リード カナリーグラス ( RCG) 区         

厚播

1 ,0 5 6

( 3 .2 )

混播牧草( MIX) 区

3 ,5 8 1

( 1 1 .0 )

あ り 、 R C G 区 も 同 様 の 圃 場 状 況 で あ っ た 。 S G + I R G区 、R C G区 の 照 度 は と も に 裸 地 の 照 度 の 4 . 5 % 以 下 で あ っ た 。R C G区 の 照 度 はM I X区 の1 / 3 で あ り 、 M I X区 に 比 べ て ワ ル ナ ス ビ の 生 育 は 抑 制 さ れ 、そ の 効 果 は 試 験 開 始 か ら2年 目 に 認 め ら れ た 。 ま た 、 S G + I R G 区 の 照 度 は 、 普 通 播 、 厚 播 と も R C G区 の 普 通 播 、 厚 播 の 1 / 3 、 M I X区 の 1 / 4程 度 で あ り 、遮 光 の 効 果 は3年 目 に 現 れ た 。こ の こ と か ら ス ー ダ ン グ ラ ス は リ ー ド カ ナ リ ー グ ラ ス よ り 遮 光 効 果 が 高 く 、そ の 照 度 は 遮 光 率 9 5 % 区 よ り 低 い こ と が 確 認 さ れ た 。 M I X 区 の 照 度 は 遮 光 率 5 0 % 区 よ り も 高 く 、 ワ ル ナ ス ビ に 対 す る 被 覆 の 効 果 は 小 さ い と 考 え ら れ た 。本 研 究 で は 、ワ ル ナ ス ビ の 根 片 を 埋 設 す る と 同 時 に ワ ル ナ ス ビ よ り も 草 丈 が 高 く な る イ タ リ ア ン ラ イ グ ラ ス 、ス ー ダ ン グ ラ ス お よ び リ ー ド カ ナ リ ー グ ラ ス を 播 種 し て 、ワ ル ナ ス ビ の 生 育 状 況 を 調 査 し た 。 そ の 結 果 、 M I X区 で は 、 ワ ル ナ ス ビ の 地 上 部 が 活 発 に 生 育 し た が 、S G + I R G区 、 R C G区 で は 飼 料 作 物 が 土 壌 表 面 を 被 覆 す る こ と で 内 部 の 照 度 が 低 下 し 、ワ ル ナ ス ビ の 生 育 は 低 か っ た 。 特 に S G + I R G 区 で は 、 3 年 目 に は 根 お よ び 地 上 部 が 観 察 さ れ な か っ た 。こ れ ら の こ と か ら 、飼 料 作 物 の 栽 培 に よ る ワ ル ナ ス ビ の 生 育 抑 制 効 果 が 認 め ら れ 、 特 に ス ー ダ ン グ ラ ス + イ タ リ ア ン ラ イ グ ラ ス 体 系 で は 顕 著 で あ っ た 。本 研 究 で リ ー ド カ ナ リ ー グ ラ ス を ワ ル ナ ス ビ の 生 育 抑 制 飼 料 作 物 と し て 利 用 し た の は 、こ れ ま で に 報 告 が な く 、北 信 越 、特 に 北 陸 の 多 雪 地 域 に お い て は 重 要 な 基 幹 牧 草 の 一 つ で あ る こ と に よ る 。 リ ー ド カ ナ リ ー グ ラ ス に よ る ワ ル ナ ス ビ の 生 育 抑 制 効 果 は ス ー ダ ン グ ラ ス + イ タ リ ア ン ラ イ グ ラ ス 体 系 と 比 べ 低 か っ た が 、 2年 以 上 継 続 す る こ と で 、 高 く な っ た 。 小 野 ら ( 2 0 0 4 )は 、永 年 草 地 で 夏 期 に ワ ル ナ ス ビ に 除 草 剤 処 理 し 、秋 期 に イ タ リ ア ン ラ イ グ ラ ス や オ

(10)

ー チ ャ ー ド グ ラ ス 等 を 追 播 し 、飼 料 作 物 被 度 を 高 め る こ と で ワ ル ナ ス ビ の 発 生 を 抑 え る こ と が で き る と 提 案 し て い る 。本 研 究 で も 同 様 の 結 果 が 得 ら れ 、イ タ リ ア ン ラ イ グ ラ ス 、ス ー ダ ン グ ラ ス 、リ ー ド カ ナ リ ー グ ラ ス の 栽 培 に よ り 被 度 が 高 ま っ た こ と に よ っ て 、結 果 的 に 照 度 が 低 下 し 、ワ ル ナ ス ビ の 生 育 抑 制 効 果 が 認 め ら れ た 。 本 研 究 に お け る 耕 種 的 防 除 法 は 、除 草 剤 を 使 用 し な い こ と か ら 環 境 に 配 慮 し た 農 薬 費・労 働 費 の 節 減 に つ な が る 技 術 と し て 有 望 で あ る と 考 え ら れ た 。 本 研 究 で は 、 1 0 ㎝ の ワ ル ナ ス ビ 根 片 に 対 す る 防 除 技 術 の 開 発 を 試 み た が 、今 後 は ワ ル ナ ス ビ が 広 く 群 落 化 し て い る 圃 場 に お け る 本 技 術 の 適 用 が 課 題 で あ る と 考 え ら れ る 。 Ⅳ ⅣⅣ Ⅳ 引 用 文 献引 用 文 献 引 用 文 献引 用 文 献 荒 木 創・矢 田 部 憲 一 . 除 草 剤 に よ る ワ ル ナ ス ビ 防 除 効 果 の 検 討 . 新 潟 県 農 業 総 合 研 究 所 畜 産 研 究 セ ン タ ー 研 究 報 告 . 1 6 : 6 - 8 . 2 0 0 7 . 串 田 晴 彦・谷 田 重 遠 . 高 品 質 粗 飼 料 安 定 生 産 技 術 の 確 立 ― ス ー ダ ン 型 ソ ル ガ ム の 遮 光 に よ る ワ ル ナ ス ビ の 防 除 技 術 ― . 岡 山 県 総 合 畜 産 セ ン タ ー 研 究 報 告 . 1 3 : 1 1 - 1 5 . 2 0 0 2 . 宮崎桂. 多年生雑草ワルナスビ(S o l a n u m c a r o l i n e n s eL . ) の 根 系 に よ る 栄 養 繁 殖 . 根 の 研 究 . 1 4 ( 3 ) : 9 9 - 1 0 4 . 2 0 0 5 . 西 田 智 子 . 飼 料 畑・草 地 に お け る 外 来 雑 草 の 侵 入 . 日 本 草 地 学 会 誌 . 4 8 ( 2 ) : 1 6 8 - 1 7 6 . 2 0 0 2 . 農 林 水 産 省 草 地 試 験 場 . オ ー チ ャ ー ド グ ラ ス 草 地 で の 外 来 雑 草 ワ ル ナ ス ビ の 生 育 特 性 . 草 地 飼 料 作 研 究 成 果 最 新 情 報 . 1 2 : 2 5 - 2 6 . 1 9 9 6 . 小 野 晃 一 ・ 前 田 綾 子 ・ 田 澤 倫 子 ・ 星 一 好 ・ 星 一 美 . 採 草 地 に お け る 外 来 雑 草 ワ ル ナ ス ビ に 対 す る 除 草 剤 連 年 処 理 試 験 . 栃 木 県 畜 産 酪 農 研 究 セ ン タ ー 試 験 研 究 報 告 書 . 1 - 7 . 2 0 0 4 . 浦 川 修 司・出 口 裕 二 . 実 生 ワ ル ナ ス ビ の 生 育 及 び 栄 養 繁 殖 能 力 の 獲 得 時 期 . 研 究 成 果 情 報 生 産 環 境 ・ 畜 産 — 草 地 関 東 東 海 農 業 . J 1 0 9 1 A . 2 5 6 - 2 5 7 . 1 9 9 9 . 吉 尾 卓 宏 ・ 関 正 博 ・ 津 田 公 男 . 飼 料 畑 に お け る ワ ル ナ ス ビ 防 除 方 法 の 開 発 . 茨 城 県 畜 産 試 験 場 研 究 報 告 . 3 0 : 1 3 - 1 6 . 2 0 0 0 .

(11)

Summary

Summary

Summary

Summary

Methods of controlling the imported weed

horsenettle by forage crops were examined.

On May 28,2007, horsenettle roots(10cm)

were partially buried underground. After

blooming, the plants were covered by one of

three types of shade netting

shade ratios

50%,75%,and 95%

.

Next,

Sudangrass

(

Sorghum sudanense

Stapt.)

and

Italian

ryegrass

(

Lolium

multiflorum

Lam.)were cultured in one plot

(2m

×

2m)

of

horsenettle,

and

reed

canarygrass (

Phalaris arundinacea

L.) in

another. In the Sudangrass plot luminance

3.5cm above ground was lower than that

under 95% shading. Horsenettle roots were

lighter in the Sudangrass/Italian ryegrass

plot than in the reed canarygrass plot.

In the 3 years that have since passed no

growth of buried horsenettle roots was

observed in the former plot, while in the

latter, growth was observed but not

extensively.

It is suggested that culturing tall forage

参照

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○社会福祉事業の経営者による福祉サービスに関する 苦情解決の仕組みの指針について(平成 12 年6月7 日付障第 452 号・社援第 1352 号・老発第

検索対象は、 「論文名」 「著者名」 「著者所属」 「刊行物名」 「ISSN」 「巻」 「号」 「ページ」

リスト発表 2022 年 10 月 21 日(金)予定 Smile Tennis College ホームページに掲載

〔追記〕  校正の段階で、山﨑俊恵「刑事訴訟法判例研究」

被保険者証等の記号及び番号を記載すること。 なお、記号と番号の間にスペース「・」又は「-」を挿入すること。

三 危険物(建築基準法施行令(昭和25年政令第338号)第116条第1項の表の危険物