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ハウス栽培パッションフルーツの栽培技術開発 第5報. 紫系統パッションフルーツの結果に及ぼす花粉親と花粉貯蔵法の影響: 沖縄地域学リポジトリ

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(1)

Title

ハウス栽培パッションフルーツの栽培技術開発 第5報. 紫

系統パッションフルーツの結果に及ぼす花粉親と花粉貯

蔵法の影響

Author(s)

松田, 昇; 島袋, 清香; 松村, まさと; 伊地, 良太郎

Citation

沖縄農業, 43(1): 11-19

Issue Date

2009-08

URL

http://hdl.handle.net/20.500.12001/4721

Rights

沖縄農業研究会

(2)

松 田 昇1)・島 袋 清 香2)・松 村 まさと2)・伊 地 良太郎2)

(1)沖縄県農業研究セ ンター, 2)沖縄県農業研究セ ンター名護支所)

NoboruMATSUDA,SayakaSHIMABUKU,MasatoMATSUMURA,RyotaroICHI:

Developmentoftechniquesforcultivatingpassionfruitingreenhouse. 5.Effectofmaleparentandpollenstorageonfruitset

inthepurplepassionfruit(Passiflora edulis Sims ).

要 約 紫系統パ ッシ ョンフルーツ (以後紫系統 と記 す)は自家受粉で結果するが,沖縄県でハウス 栽培されている紫系統は,曇雨天 目に自家受粉 して も結果率が低下 し,生産が不安定である. 本試験では紫系統 の結果安定 と品質向上を図 るため,他家受粉 における花粉親の選抜 と花粉 の貯蔵条件 について検討 した.花粉親の違いに よる平均結果率は,他家受粉で65.2%以上であっ たのに対 し, 自家受粉で14.7%であった.また, 他家受粉で も南十字星の組み合わせの結果率が 高か った.花粉 の発芽率は貯蔵温度0,5およ び10℃で高 く, シリカゲルを入れた乾燥状態で はいずれの温度で も低かった. また,葯か ら分 離 し5℃で貯蔵 した花粉は,9日間高い結果率 を維持 し,果実品質は紫系統 の新鮮花粉 に比較 しやや劣 ったが,商品化果実が生産でき十分実 用性があるものと考 え られた. これ らの ことか ら,曇雨天 日に南十字星の花 粉 を受粉すると結果率が高まる.花粉貯蔵は, 花粉 を葯か ら分離 し,温度5℃で乾燥 を避ける 必要がある. Abstract Purplepassion fruitssetfruitfrom self

-pollination, however the purple passion fruitscultivatedingreenhousesinOkinawa havelow fruitpercentageeven when self

-pollinated in cloudy,rainy weather,and theproductionisunstable.

Inthisstudy,theselectionofpollenpar entin cross-pollination and storagecondi -tionsofpollen wereexamined fわrfluiting stabilityandqualityImprovement .Theav-eragefruitpercentages,based on the dif -ferencein pollen parent,wereover65.2% for cross-pollination and 14.7% for self

-pollination.In crossIPOllination,the fruit percentagewashigherwhen crossingwith theMinamiJyujisei(Southern Cross)pas -sion fluit.Thegermination rateofpollen washighinthestoragetemperaturesof0, 5andl

O

℃ andlow in drycondition with

silica gelatany temperature.The pollen isolated fゝom anthers and stored at 5℃ maintainedhighfruitpercentagefわr9days. Although the fruit quality was slightly

(3)

12 沖縄 農 業 第43巻 第1号 (2009)

lowercomparedtothatofthefresh pollen ofpurple passion fiuit,itwasconsidered thatcommercializedfiuitroduction ispos -sibleandfeasible.

From these,itwasconcluded that,the fruitpercentagebecomeshigh ifpollinated with theMinamiJyujlSeipassion fruitin cloudy,rainyweather,andthepollenmust beisolatedfiom anthersandstoredat5℃ forpollenstorage. 緒 言 紫 系統 は 自家和合性 で あ り (Akamineら, 1959;Rose,1990;石畑,1981), 生産現場 に おいて 自家 の花粉 を用 いて人工受粉 を行 って い る.松 田 ら (2005,2008)は,沖縄県で栽培 さ れて いる紫系統 の 自家受粉 による結果は,ハ ウ ス内にもかかわ らず気象条件が影響す るため, 受粉 日によってかな りふれが大 き く,その原 因 として花柱 内での花粉管 の伸長程度が影響 して いる とし,結果率 を高めるには他家受粉が有効 である ことを報告 して いる. そのため, 自然開花期 の3月上旬か ら6月下 旬 (大域 ら,1997;松 田 ら,2005), 電照栽培 の冬期か ら春期 の開花期 に曇 り,雨な どの気象 変動が多 い ことか ら,生産 の安定 と品質 の向上 を図るには,結果率 を高める花粉親 を選抜す る 必要がある. また,系統 間によって開花期 に早 晩があることか ら,新鮮花粉が得 られない日は, 結果性 の高い花粉親 の花粉 を貯蔵 し人工受粉 を 行 う必要がある. そ こで,本試験では,花粉親 の選抜 と花粉 の 貯蔵条件 につ いて検討 したので報告す る. 材料及び方法 沖縄県農業研究セ ンター名護支所 内の無加温 ビニ ール ハ ウス (ハ ウス外 壁 を周 年 に渡 り1 mmネ ッ トで被覆) にお いて2006年9月に定植 した紫系統 を供試 した.整枝法はつ り下げ型垣 根 整枝 法 (畦 幅1mX株 間3mX高 さ1.6m) とした. 試験 1.花粉親の違 いが結果 に及ぼす影響 2006年12月12日か ら21日の間 に,花粉親別 の 目別結果率 を調査 した.花粉親は紫系統 の 自家 花粉,県 内で栽培 されて いる黄系統,キ ングル ビー (商品名)および南十字星 (商品名) を用 いた.紫系統 の花は各処理日の前 日に除雄後袋 かけを し, 開花 当 日に供試花粉 を受粉 し,再び 袋かけを した.供試花数は 1区5花 の3反復 と し,受粉5日後 に結果 を調査 した.果実特性は 12月19日に受粉 した果実 を調査 した.ハ ウス内 の温度 は最高が30℃ を 目安 に側窓 を開け調整 し た.その他 の管理は県 の栽培指針 に準 じた.ハ ウス 内温度 はおん どと り

J

r

で測定 した. 日照 時間,降水量は名護市 のアメダス測定値 を用 い た. 試験2.南十字星の花粉 による受粉が結果 に及 ぼす影響 南十字星 の花粉 の実用性 を検 討す るため,2 月10日か ら3月13日 (以後前期 と記す) と5月 2日か ら5月15日 (以後後期 と記す) に,南十 字星の花粉 を受粉 した結果率 と紫系統 の花粉 を 受粉 した結果率 を調査 した.試験方法 は試験1 と同様 に行 い,供試花数は各受粉 日とも20花 と した.ハ ウス内の温度はおん どと りJrで測定 し た. 試験3.南十字星花粉の貯蔵温度 と湿度が花粉 発芽 に及ぼす影響 2006年2月15日に開花 した南十字星よ り開葯

(4)

直後の花粉 を採取 した.新鮮花粉は,葯か ら筆 で分離後,0.1gず つ薬包紙 に分包 し, 1処理 区につき5袋作成 した.試験は100mlのポ リ容 器 内に花粉 のみを入れたシリカゲルな し区と花 粉および2gのシ リカゲル をともに入れた区を 設定 した.温度条件は,-20,0,5,10および 20℃ とし,恒温器 に分けて貯蔵 した.花粉発芽 率の調査は,花粉採取直後,貯蔵 1日後,2日 後,3日後,6日後および12日後 にポ リ容器 よ り花粉 を 1袋ずつ取 り出 し行 った.1区当た り 3プ レパ ラー トの寒天培地 (石畑,1983) をス ライ ドグラスに垂 らし,冷却後 に花粉 を置床 し たのち,湿 らせた濾紙 を底に敷 いたシャー レ-の中に並べて密封 し,25℃で24時間培養 した後 に調査 した.発芽は花粉管が花粉 の直径以上伸 長 した ものをカウン トした.温度 と湿度はポ リ 容器 に温湿度計 (おん どとり) を挿入 し測定 し た. 試験4.南十字星花粉の貯蔵形態 と温度が結果 に及ぼす影響 2007年3月16日に開花 した南十字星の花 を 用いた.花粉は葯に付着 した状態 (未分離花粉) と衛か ら分離 した状態 (分離花粉) に分けた. これ らの花粉 を薬包紙 に包み, 1処理 につき 6 袋作成 し,100mlのポ リ容器 に入れ密封 した. 貯蔵温度は-5,0,5℃ としで 恒温器 内で貯蔵 した.花粉 を貯蔵3日,5日,7日,9日, 12 日, 16日後 に 1袋ず つ取 り出 し, 1時間以 内 にハウス内で栽培されている紫系統 に綿棒で受 粉 した.受粉 に用 いた花は開花前 日に除雄 し, 袋掛けを行 い,受粉後 も交雑 を避けるため袋掛 けを行 った.なお,対照区は紫系統の当 日開花 した新鮮花粉 を受粉 した. 結 果 試験 1.花粉親の違 いが結果 に及ぼす影響 花粉親の違いによる結果率を表 1に示 した. 12月19日を除き,いずれの受粉日において も花 粉親の違 いによって,結果率に有意な差がみ ら れた. 自家受粉の結果率は,12月19日に66.7% と高 く,その他 の受粉 日は6.6%以下 と低かっ た.他家受粉 の結果率は,黄系統の受粉で,12 月18日0%,21日46.6%と低 く,その他 の受粉 日で86.7%以上 と高かった.キ ングル ビーの受 粉では12月18日で結果がみ られないが,その他 の受粉 日で93.3%以上 と高 くなった.南十字星 の受粉では,いずれの受粉で も高い結果率を示 した. 12月19日に受粉 した果実の特性 を表 2に示 し た.花粉親の違 いによ り,果実特性 に有意な差 がみ られた. 自家受粉,黄色系の花粉 を受粉 し た果実重 は57.6g以下 で, キ ングル ビー と南 十字星 の花粉 を受粉 した果実重 は81.6g以上 であった. 受粉 日の気象概況 を表3,ハ ウス内の最高温 度,最低温度および 日照時間の推移 を図1に示 した.試験期間中の気象は,12月19日のみ晴れ でその他 の 日は曇雨天であった.ハウス内の温 度は,12月19日で比較的高 く推移 したが,その 他の受粉 日は低 く推移 した. 表1.花粉親の違いが結果に及ぼす影響. 受 粉 日 平均結 12/12 12/1512/1812/19 12/21 果率 % % % % % %

紫系統 oob 66b oob 667 oob 147

黄系統

l

Oa 928a OOb 867 466a 652

キングルビー1

0

0

0a1000a OOb 1

0

0 933a 787 南十字星 1

(

Oa1000a 733a 1

0

0 933a 933

有意性 料⊂ ** * ns *

注)料 ,書は肩付きの異 なるア ルファベ ット間で

(5)

14 沖縄 農 業 第43巻 第1号 (2009) 表 2.花粉親の違いが果実特性に及ぼす影響 (12月19日) 花粉親 果実重 長径 短径 種子数 果汁量 糖 ∩ b b a a m 6 6 8 7 6 9 6 5 4 4 5 5 m -,: G , qN qL,, 9 4 2 1 4 5 6 6 g b b a a 6 6 4 6 6 7 6 1 4 5 8 8 個 815b l01.Oa 195.8a 170.Oa 3 1 5 1 5 4 5 5 ∩ b b a a O 6 8 9 4 9 9 0 1 1 2 3

*****

n.sns 注)軸.*は肩付きの異なるアル77へ'ット間でそれぞれ1%、5%水準 で有意性 が あることを示す。 表3.天気概 況. 月 日 午前天気概 況午後 降水量(mm) 日照時間(hr) 12/12 曇り.小雨 曇り 8 1.1 12/15 曇り 曇り 0 1.6 12/18 曇り 曇り.小雨 2.5 2.3 12/19 晴れ 晴れ 1 9,1 注)沖縄

象台測候値 試験2.南十字星の花粉 による受粉が結果 に及 ぼす影響 結果率の推移 を図2に示 した.紫系統 を受粉 した平均結果率は,前期で15.5%,後期で23.9 %を示 し, いずれの時期 もば らつきが大 き く安 定 しなか った. これ に対 し南十字星の平均結果 率は,前期でで87.3%と安定 した結果率を示 し, 後期でば らつ きがみ られ るものの74.6%であっ た. 心や㌔謹〆 証 せ\㌔ ㌔㌔ ㌔ ㌔ ㌔ ㌦㌔ bt烏 や 受柑 E] 図2.南十字星の花粉による受粉が結果に及ぼす影響. ♂ ♂

㌔ ㌔ ㌔ ㌔ ㌔ ㌔ ㌔ ㌔ 時 間 図

1

.

ハウス内

度の推移. 試験3.南十字星花粉の貯蔵温度 と湿度が花粉 発芽率 に及ぼす影響 ポ リ容器 内の温度 と湿度 の測定値 を表4,貯 蔵温度 と湿度が花粉発芽率 に及ぼす影響 を表5 に示 した.採取直後 の花粉 の発芽率は58.1%で あった.貯蔵1日後か ら6日後 まで0℃, 5℃ お よび10℃ 区は-20℃, 20℃ 区よ りも発芽率が 高か った. また, 0℃, 5℃ お よび10℃ 区間で は,貯蔵3日後 に差がみ られたが,一定の傾向 はみ られなかった.一方,貯蔵湿度 については, 貯蔵1日後か らシリカゲル 区の発芽率が0%∼ 4.7%と急激 に低下 し, 貯蔵3日後 で は発芽率 が0%となった. シリカゲルな し区の発芽率は, 0, 5お よび10℃ にお いて貯蔵6日後 で は11.4 -22.9%と貯蔵 日数が経過す るにつれて低下 し た. また,貯蔵1日後か ら 6日後 まで交互作用 がみ とめ られた.

(6)

表4.ポリ容器内の温度および湿度. 処理 区 ポリ容器内実測 温度 シリカゲル 温度(oc) 湿度(%) 有り 04±01 157±26 無 し 08±01 830±06 有り 46±01 138±15 無 し 41±03 876±39 有り 105±02 126±18 無 し 103±05 871±08 有り 210±03 132±1.1 無 し 209±17 768±18 表5.南十字星花粉の貯蔵温度と湿度が花粉発芽率に及ぼす影響. 処理 区 貯蔵期間別の発芽率 (%) 温度(oc)シリカゲル 貯蔵前 1日後 2日後 3日後 6日後 12日後 有り 581

0

0 0

0 0

0 0

0 0

0

無し 581

0

0 0

0 0

0 0

0 0

0

有り 581 47

0

0 0

0 0

0 0

0

無し 581 354 31.8 294 114

0

0

有り 581 11 無し 581 508

0

9

0

0

19 2

0

16

0

0

0

0

0

. 0

0

22 有り 581

0

0

無し 581 435 4 5

0

0

1 9

0

22

0

0

0

0

0

. 2 1 47 有り 581

0

0

無し 581 187

0

9

0

4

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0

0

貯蔵温度 有意性Z)貯蔵湿度 交互作用 S S S n n n

*

*

*

I

f

1

I

f

*

=

2

1

漢)数値は主要因でまとめた平均値を示す Z)二元配置分散分析による **は1%レベル.*は5%レベルで有意差あり 試験4.南十字星花粉 の貯蔵形態 と温度が結果 率 に及ぼ す影響 貯蔵形態 と貯蔵温度 が結果 に及ぼす影響 を表

6

, 分離 花粉 の貯 蔵 温度 が平均果 実重 に及ぼ す 影 響 を図3, 花粉貯蔵9日後 に受粉 した果実特 性 を表7に示 した. 貯蔵前 の南十字 星 の新鮮花粉 を受粉 した結果 率 は

1

0

0%

で あ った. 貯蔵

3

日後 か ら

0

℃ お よ び

5

℃ 区は

,-

5

℃ 区よ りも結果率が高 い傾 向が み られ た. また

,0

℃ お よび

5

℃ 区間で は,貯 蔵9日後 まで差がみ られ なか ったが,貯蔵12日 後 で は

0

℃ 区で のみ結果がみ られ た.花粉 の貯 蔵形態で は,貯蔵 3日後 か ら分離花粉 と未分離 花粉 の結果率 に有意 な差 が認 め られ た.未分離 花粉 は貯蔵

3

日後 に

0%

か ら

1

3

.

3%

とな り,急 激 に低下 した.分離花粉 は,貯蔵9日後 まで高 い結果率 を示 した. また,貯蔵3日後 か ら交互 作用が認 め られた.貯蔵花粉 を受粉 した平均果 実重 は,貯蔵3日後 か ら開花 当 日の新鮮花粉 を 受粉 した果実 よ り小 さ くな る傾 向がみ られた.

-

5

℃ お よび

0

℃ 区は

5

℃ 区よ りも果実重が減少 す る傾向がみ られ

5

℃ 区では減少率が小さかっ た.果実 の長径,短径,果汁量,種子数 につ い て も,紫系統 の新鮮花粉 よ り劣 る傾 向を示すが,

5

℃ 区にお いては他 の貯蔵 区 に比べ紫 系統 の新 鮮花粉 に近 い値 を示 した.

(7)

16 沖縄 農 業 第43巻 第1号 (2009) 表6.南十字星花粉の貯蔵温度 と形態が結果 に及ぼす影響. 処理 区 貯 蔵 期 間 別 の 結 果 率 (%) 温度 貯蔵形態 貯蔵前 3日後 5日後 7日後 9日後 12日後 16日後 分離花粉 1000 733 866 533 46.6 00 00 未分離花粉 1000 00 00

0

0 0

0

00 00 分離花粉 10 未分離花粉 10 分離花粉 10 未分離花粉 10 0 1000 1000 100.0 86.6 533 0 0.0 0.0 0.0 0.0 0.0 0 1000 1000 100.0 93.3 00 0 133

0

00

0 0

0 0

0

貯蔵温度

*

* * *

*

*

有意性Z) 貯蔵形態 ** ** **

*

*

*

交互作用

* * *

*

*

S S S n ∩ ∩ 注)数値は主要因でまとめた平均値を示す Z)二元配置分散分析による **は1%レベル,*は5%レベルで有意差あり 0日後 3日後 5日後 7日後 貯蔵 日数 9日後 図3.分離花粉の貯蔵温度が平均果実重 に及ぼす影響. 表7.花粉の貯蔵温度 と形態が果実特性 に及ぼす影響 (花粉貯蔵9日後) 処理区 果実重 種子 仙{ーノAヒ T.」土 ⊥.∩一.. EJ空 を Jー 果汁量 糖 酸 _・..て芯訂 温度 貯蔵形態 平均重 対照比 長径 短径 小目王 11F] 'TA 粒数 対照比 -5oC OoC 5℃ g % mm mm ml % 個 % 分離花粉 431C 426 482b 461b 112b 178 23 553b 225 未分離花粉 一 分離花粉 496b 490 575ab 508b l53b 167 23 76lb 309 未分離花粉 一 分離花粉 828a 818 629ab562ab 273ab 163 22 1923a 782 未分離花粉 -紫系新鮮花粉 (対照) 1011a l000 69.2a 627a 395a 164 22 2457a loo° 有意性

*

* *

*

NS NS ** 漢)**.*は肩付きの異なるアルファベット問でそれぞれ1%、5%水準で 有意性があることを示す

(8)

考 察 沖縄県で栽培 されて いるパ ッシ ョンフルーツ を供試 し,紫系統 との交雑和合性 を検討 した結 果,南十字星の受粉 区で平均結果率が高 く,平 均果実重が大 きか った. 沖縄県で栽培 されて いる紫系統 の 自家受粉 に よる結果率は0%∼63%の範囲にある (松 田ら, 2005). また, 自家結果性 の低 い系統は他家受 粉 に よ っ て 高 ま り, 果 実 特 性 も よ くな る

(AkamineandGirolame,1959).

本試験では,紫系統 の 自家受粉 区で結果率が 12月19日の晴天 目に高かった ものの,その他の 受粉 日では0.0%∼6.6%の範囲であ り,平均結 果率で14.7%と既報告の範囲内であった.一方, 他家受粉 区は, 自家受粉 区よ り結果率が高い こ とか ら,既報告 と一致 した. また,南十字星は いずれ の受粉 日で も高 く,安定 した結果率 を示 し紫系統 と交雑和合性が高い系統 と推察 された. 平均果実重,長径,短径,種子数および果汁量 は,キ ングル ビー と南十字星の花粉 の受粉 区で 良 く,黄系統および 自家受粉 区 とに有意な差が み とめ られた. この結果は,19日の環境条件下 で紫系統 の花柱 内にお いて,キ ングル ビー と南 十字星の花粉管伸長力が良 く,黄系統および紫 系統 の花粉管伸長 力が低下 し,果実特性 に影響 した もの と考 え られ た (松 田 ら, 2009;Ho andShii,1986). また,南十字星花粉の実用性 を確認す るため, 2月10日か ら3月13日と 5月 2日か ら 5月15日 に受粉 した結果,南十字星の受粉 は,紫系統 の 自家受粉 よ り高い結果率 を維持 した ことか ら, 実用性があるもの と考 え られた. 以上の ことか ら,紫系統 の 自家花粉で結果率 の低下す る状況で も,南十字星の花粉 を用 いた 他家受粉 区は高い結果率 を示 し,紫系統果実の 出荷最低基準 を60g (階級 :S)以上 とすれば, 花粉親 として実用化可能 と考 え られた. 花粉貯蔵条件 として温度 と湿度 の影響 を調査 した報告は多 いが,パ ッシ ョンフルーツの花粉 貯蔵 に関 しての報告 はみあた らない.花粉 を低 温 の乾燥状態で短期貯蔵がで きるものには,キ ウイ フルーツ (渡辺 ら,1989) とメロンおよび スイカ (宮地 ら,1977)な どがある.一方,低 温で乾燥 させず に貯蔵で きるもの として,ナ シ お よび カキ (脇坂,1963), ドラゴ ンフルーツ (Mustard et al, 2006) が な どが あ る . Mustardら (2006)は, ドラゴンフルーツの花 粉で,乾燥状態 をさけ温度5℃で 8日間貯蔵が 可能である と報告 している. 本試験では,試験 1および2の結果を踏まえ, 南十字星花粉 の貯蔵温度 と湿度 について検討 し た結果, シ リカゲル な し区の0℃,5℃および 10℃ にお いて,6日間程度 の短期貯蔵であれば 可能で ある と考 え られ た.一方,-20℃ お よび 20℃ において シ リカゲルの有無 にかかわ らず, 貯蔵1日後か ら発芽率が低下 し,極端な低温か 高温 になるにつれ急速 に低下 した. この ことか ら,南十字星の花粉貯蔵 は, ドラゴ ンフルーツ の報告 (Mustardetal,2006;脇坂 ら,1963) に近 い結果 とな り,極端な低温 と高温および乾 燥状態での保存 は避 ける必要があると考 え られ た. 花粉 の貯蔵形態 として, メロンでは花粉 を葯 に付着 した状態 (未分離) と分離 した状態 (分 離) の花粉 を-3℃∼10℃ の低温で貯蔵 し,そ の 花粉 を用 いて交配 した ところ,-3℃∼ 0℃の分 離花粉で結果率が良 く,新鮮花粉 と大差 のない 果実が得 られた としている (加藤 ら,1992). 本試験では,花粉 の採取作業 の簡易化 をはか るため貯蔵形態 を検討 した ところ,分離花粉で いずれの温度で も結果率が高 く,未分離花粉で 結果 しなか った.その要因 として,未分離花粉

(9)

18 沖縄 農 業 第43巻 第1号 (2009) は,貯蔵 中にや く殻 に含 まれ る水分 の影響で劣 化 し (加藤,2007), 発芽 に影 響 した もの と推 察 され た.分離花粉 の平均果実重 は,貯蔵温度 が低 くな るほ ど, また,貯蔵期 間が長 くな るほ ど小 さ くな る傾 向がみ られ, メロン (加藤 ら, 1992)の報告 と異な る結果 とな った. 葯か ら分離 した貯蔵花粉 を受粉 した平均果実 重 は,貯蔵3日後 か ら開花 当 日の新鮮花粉 を受 粉 した果実 よ り小 さ くな る傾 向がみ られた.-5 ℃ お よび0℃ 区は5℃ 区よ りも果実重が減少す る傾 向がみ られ,5℃ 区で は減 少率 の程度 が小 さか った.果実 の長径,短径,果汁量,種子数 につ いて も,紫 系統 の新鮮花粉 よ り劣 る傾 向 を 示す が,5℃ 区 にお いて は他 の貯蔵 区 に比べ紫 系統 の新鮮花粉 に近 い値 を示 した. 以上 の結果,曇雨天 日に南十字星 の新鮮花粉 を紫 系統 に受粉す る と,安定 した結果が得 られ る ことが 明 らか にな った.栽培 にお いて は,南 十字 星 を受粉樹 として数本混植 し,新鮮花粉 の 人工受粉が可能な状況 に してお くとよい. また, 南十字星 の新鮮花粉 が得 られ な い日は貯蔵花粉 の利用が有効 な手段 と考 え られた.花粉 の貯蔵 法 として,花粉 を葯か ら分離 し,乾燥 な し状態 の5℃ で9日まで保存 が可能で ある ことが明 ら か にな った. この方法 は家庭用冷蔵庫 の野菜保 冷室が5℃ 前後 で ある ことか ら,栽培 にお いて 簡 易 に活用可能で あ り実用性が高 い もの と考 え られた. 謝 辞 本研究 は農林水産省高度化事業 にお いて実施 した.試験遂行 にご協力頂 いた農業研究セ ンター 名護支所熱帯果樹担 当職員 の方 々 に心か ら厚 く 感謝致 します. 引用文献

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表 4 .ポリ容器内の温度および湿度. 処理 区 ポリ容器内実測 温度 シリカゲル 温度( o c) 湿度( %) 有り 04±01 1 57±26 無 し 08±01 830±06 有り 46±01 1 38±15 無 し 41±03 876±39 有り 1 05±02 1 26±18 無 し 1 03±05 871±08 有り 210±03 1 32± 1

参照

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