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奨励賞応募演題

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Academic year: 2021

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(1)

ECRS 鼻茸組織中好酸球における CD69 分子の発現と分子機能的役割

尹  泰貴,神田  晃,小林 良樹,朝子 幹也,岩井  大

関西医科大学耳鼻咽喉科・頭頸部外科 好酸球性副鼻腔炎(ECRS)は,高頻度に喘息を合併する上下気道にわたる難治性好酸球性炎症疾患である。上気道にお ける炎症局所である鼻茸組織には,好酸球が高度に浸潤・活性化し,本疾患の病態形成に重要な役割を果たしている。しか し,浸潤した好酸球の活性化メカニズムや,その活性化の程度と疾患重症度・病態形成との関連は十分にはわかっていない。 我々は,鼻茸組織中好酸球の活性化の程度を評価するために,血球系細胞の活性化マーカーである CD69 分子の発現を,同 一患者における末梢血好酸球とで比較検討した。結果,組織好酸球に発現する CD69 分子は末梢血好酸球と比較し増強して おり,さらにはその発現量と疾患重症度に強い相関があった。近年,CD69 分子は血球系細胞の活性化マーカーだけではな く, その分子自体の機能的役割にも注目されている。その分子機能的役割を解明するため,活性化した好酸球に発現する CD69 分子を架橋刺激したところ,好酸球特異的組織障害タンパク質が脱顆粒することを我々は見出した。この結果は,好 酸球に発現する CD69 分子が活性化だけでなく,好酸球性副鼻腔炎の病態形成に重要な役割を果たすことを示している。こ の好酸球に発現する CD69 分子シグナルのメカニズムを解明する事で,好酸球性副鼻腔炎に対する新しい治療法の開発につ ながると期待される。我々は,活性化した好酸球に発現する CD69 分子の機能的役割をさらに評価したので,これを報告する。 第 38 回日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー学会 プログラム・抄録集より転用

(2)

©2020 Japan Society of Immunology & Allergology in Otolaryngology

1.はじめに

従来の組織生検は,検査手技が煩雑で,侵襲的であり, そのため反復して組織をとることは非常に困難である。さ らに組織の評価法は採取した組織の評価のみしかできず, 免疫染色などの方法などにおいてもその判定は限局的であ る。さらに原発巣によっては解剖学的に組織採取が困難な 場合もある。一方,最近注目されている,Liquid Biopsy と いう分野は,採血という,検査手技が非常に簡単で,比較 的非侵襲的であり,解剖学的に困難な場所の腫瘍性病変の 評価も可能な点が利点として挙げられる。採血なので,反 復して行うこともでき,腫瘍の特性を包括的に評価できる ツールとしての可能性が示唆されている。Liquid Biopsy の ターゲットは,癌組織から末梢血中に漏れ出た末梢血循環 癌細胞(Circulating tumor cell; CTCs)や Circulating cell-free DNA,MicroRNA などであるが,それら癌関連物質を末梢 血から分離して,診断や癌のスクリーニング,予後の予測 や,有効な治療法の選択,さらに治療中のモニタリングに 応用できると考えられている。今回我々は Liquid Biopsy の中でも CTCs について研究したので,ここに報告する。

2.対象と方法

頭頸部扁平上皮癌と診断された未治療の 44 名を対象と した。 方法としては,まず患者末梢血 7.5 ml を採取し,Cell Sieve 社の 7 μm の微細な孔があいたフィルターに血液を低 圧濾過する。1 枚目のフィルターには,孔を通り抜けられ ない CTCs と白血球が捕獲される。次に 1 回濾過した血液 を再回収して,もう一度 Cell Sieve 社のフィルターで低圧 濾過して,再度濾過されない白血球が捕獲できる。1 枚目 のフィルターと 2 枚目のフィルターからそれぞれ RNA を 抽出,濃縮して,RT-qPCR で評価した。 解析は,まず KRT19,EPCAM,EGFR,MET の 4 つの上 皮系マーカー発現による CTCs の同定を行った。 次に CTCs が陽性であった場合,cell growth 関連遺伝子 (PIK3CA, CCND1),EMT 関連遺伝子(SNAI1, VIM),cancer

stemness 関連遺伝子 (CD44, NANOG, ALDH1A1),immune regulation 関連遺伝子 (CD47, CD274, PDCD1LG2) の 10 遺 伝子発現について解析し,各癌関連遺伝子の molecular profiling を行い, 予後を含めた臨床因子との関連を評価 した。 この際,2 枚目の白血球フィルターをコントロールとし て 2–ΔΔCt法を用いて,各癌関連遺伝子の発現を解析して いる。

3.結果

1)CTCs の同定と臨床因子との関連 44 名中 28 名(63.6%)で CTCs が同定された。CTCs が 陽性であった患者は,治療抵抗性(p=0.0363),局所再発 例(p=0.0151),短い Progression-Free Survival(p=0.0107) と有意に相関を認めた。また,MET 陽性 CTC は,短い Progression-Free Survival(p=0.0426)と有意な相関を認め た。 2)CTCs の molecular profiling と臨床因子との関連 CTCs 陽性患者の 28 名において,cell growth 関連遺伝子 と,EMT 関連遺伝子,Cancer stemness 関連遺伝子,immune regulation 関連遺伝子の 10 遺伝子の発現を評価した。CTCs 陽性患者間において,各癌関連遺伝子の発現は hetero-geneity が存在した。 さ ら に CD274(PD-L1) 陽 性 CTCs を 有 す る 患 者 は, CD274 (PD-L1) 陰 性 CTCs を 有 す る 患 者 よ り, 有 意 に

頭頸部扁平上皮癌患者における循環癌細胞の同定とその臨床意義

多田 紘恵,髙橋 秀行,桑原 有紀,近松 一朗

群馬大学医学部耳鼻咽喉科・頭頸部外科

Detection of circulating tumor cells and its clinical significance

in head and neck squamous cell carcinoma

Hiroe Tada, Hideyuki Takahashi, Yuki Kuwabara, Kazuaki Chikamatsu

Department of Otolaryngology-Head and Neck Surgery, Gunma University Graduate School of Medicine

第 38 回日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー学会 奨励賞応募演題 S-5

(3)

(PD-L2) の 2 遺伝子を除く 8 遺伝子で K-means 法を用いて クラスタリングし,高発現群と低発現群の 2 群に分けで臨 床因子との関連を解析したところ Stage に有意差を認めた (P=0.0228)。つまり,進行病期では癌関連遺伝子が高発 現群の CTCs が有意に同定されたことを示す。

4.考察

既に CTCs の存在は予後に関与するという報告がある。 本研究においても頭頸部癌でも同様に CTCs の存在はいく つかの予後不良因子となることがわかった。また頭頸部癌 組織において,c-Met の高発現は予後不良であると 2019 年 に報告があり1),本研究においては CTCs に c-Met が発現し ていることが予後不良因子であった。 さらに CTCs における各癌関連遺伝子の発現には患者間 で heterogeneity が存在し,進行期症例において,各癌関連 最後に PD-L1 陽性の CTCs が予後良好因子であった。 PD-L1 の発現は複数の因子によって調整されているが, PD-L1 の発現は多くの腫瘍組織浸潤 T リンパ球の遊走を惹 起し,このことは癌微小環境における抗腫瘍免疫作用に良 好な因子となるため,CTCs の PD-L1 の発現は癌局所にお ける免疫環境を反映している可能性があると考えられた。 以上のとおり,頭頸部扁平上皮癌において CTCs の存在 は予後不良因子であり,バイオマーカーとして期待でき る。また CTCs に発現した癌関連分子遺伝子発現を解析す ることは,予後予測や治療法の選択に活用でき,将来的に Precision medicine へ応用できる可能性がある。

参考文献

1) Li L, Sun Z, et al. Role of c-Met expression on prognosis of head and neck cancer: A literature review and meta-analysis. Head Neck.

(4)

©2020 Japan Society of Immunology & Allergology in Otolaryngology

High-dimensional single cell analysis を用いた PI3Kγ 阻害による

腫瘍増殖抑制機構の解明と臨床応用

高橋 秀行

1,2

,近松 一朗

1

,Judith A. Varner

2 1群馬大学大学院医学系研究科耳鼻咽喉科・頭頸部外科学

2Moores Cancer Center, University of California

High-dimensional single cell analysis elucidated the mechanism

of tumor suppression via PI3Kγ inhibition

Hideyuki Takahashi

1,2

, Kazuaki Chikamatsu

1

, Judith A. Varner

2

1 Department of Otolaryngology-Head and Neck Surgery, Gunma University Graduate School of Medicine 2 Moores Cancer Center, University of California

1.はじめに

腫瘍微小環境には多様な免疫細胞が存在し,癌細胞と密 接に相互作用しているが,なかでも腫瘍関連マクロファー ジは免疫抑制作用や血管新生作用を通じて癌の進展に寄与 している1)。このため,マクロファージの形質転換やリク ルートメント阻害,貪食作用の賦活といった,腫瘍関連マ クロファージ標的とした新たながん免疫療法の開発が盛ん に行われている。Myeloid 細胞に特異的に発現する Pi3-kinase のサブユニットである Pi3-Pi3-kinaseγ (PI3Kγ) は,癌関 連マクロマージ(TAM)のフェノタイプを決定するスイッ チの役割を果たしており,PI3Kγ 阻害により免疫刺激性マ クロファージ(M1-TAM)の誘導を介した抗腫瘍効果が得 られることを,我々は以前に報告した2)。Akt と mTOR を 通じた PI3Kγ シグナルは NFκB を阻害する一方で C/EBPβ を活性化し,マクロファージを免疫抑制性に誘導する。逆 に PI3Kγ の選択的阻害は NFκB の活性化と C/EBPβ の抑制 を通じて,免疫刺激性に誘導する。今回我々は,PI3Kγ の 阻害を通じて誘導された免疫刺激性のマクロファージが腫 瘍抑制効果を発揮するメカニズムを詳細に検討した。

2.対象と方法

マウス HPV 陽性頭頸部扁平上皮癌細胞マウスモデル HPV 陽性頭頸部扁平上皮癌細胞(HPV+MEER) を wild type (WT) ならびに Pik3cg–/–C57BL/6 マウスに皮下注射し た。形成された腫瘍を day 20 前後で分離,機械的破砕な らびに酵素で処理し,密度勾配遠心分離法で debris・死細 胞を除去し単核細胞浮遊液を調整した。同時に流入リンパ 節・脾臓を採取し,細胞浮遊液を調製した。一部の実験 系 で は, 脾 臓 細 胞 よ り Pan T Cell Isolation Kit II, mouse (Miltenyi Biotec) を用いて T 細胞を分離し,HPV+MEER

細胞と混合し別の WT マウスに皮下注射した。 Mass cytometry(CyTOF) 腫瘍より調整した細胞浮遊液に,死細胞の染色・非特異 的 Fc レセプターの blocking を行ったうえで,微量元素で 標識した抗体カクテルを加え,細胞を染色した。染色 後,インターカレーター染色を行ったのち,CyTOF Helios シ ス テ ム (Fluidigm) で 測 定 し た。 測 定 し た デ ー タ は FlowJo ソフトウェア (Treestar) で処理したのち,R (The R Foundation for Statistical Computing)を用いて解析した。

Single cell RNA sequencing

腫瘍より調整した細胞浮遊液より The chromium Single Cell 3′ Reagent(V3 Chemistry) を用いてシングルセルライ ブラリを作成し,HiSeq4000(Illumina)で RNA-sequencing を行った。得られた fastqファイルをThe Cell Ranger analysis pipeline(10× genomics)で処理した後,R Seurat パッケー ジを用いて解析した。

Flow cytometry

細胞浮遊液に,死細胞の染色・非特異的 Fc レセプター の blocking を行ったうえで,蛍光色素で標識した抗体を 用いて染色した。Cytokine, transcription factor については Foxp3/Transcription Factor Staining Buffer Set(eBioscience) を用いて細胞内染色を行った。細胞染色後, BD LSRFortessa Flow Cytometer(BD Biosciences)で解析し,得られたデー タを FlowJo ソフトウェアで解析した。

(5)

抽出した。iScript cDNA Synthesis Kit (Bio-Rad) を用いて RNA より cDNA を生成し,SYBR® Green Master Mix(Bio-Rad) を用いて RT-PCR を行った。相対的遺伝子発現を 2-ΔΔCt method を用いて検討した。 ELISpot assay HPV 陽 性 頭 頸 部 扁 平 上 皮 癌 細 胞(HPV+MEER) を Pik3cg–/–C57BL/6 マウスに皮下注射し,腫瘍と脾臓を分離 し前述の方法で処理した。腫瘍より CD11b+ マクロファー ジを CD11b MicroBeads, human and mouse(Miltenyi Biotec) を用いて分離した。前述の方法で脾臓より分離した T 細胞 とともに Mouse IFN-γ ELISpot BASIC kit(ALP) (Mabtech) を用いて ELISpot assay を行った。刺激には PepMixTM HPV 16(Protein E7) (JPT Peptide Technologies) を用いた。抗 IL-12 抗体もしくはコントロール IgG を加え培養した。

3.結果

マウス頭頸部癌モデルを用いた腫瘍浸潤免疫細胞の mass cytometry 解 析 で は,Pik3cg–/–マ ウ ス に お い て M1-TAM の増加および CD8+ T 細胞の増加,B 細胞の減少を認 めた。同モデルを用いた single cell RNA sequence 解析では,

Pik3cg–/–マウスにおいて M1-TAM の増加,effector CD8+ T

細胞の増加,Exhausted CD8+ T 細胞の減少,活性型 NK 細 胞の増加を認め,各サブセットに特徴的な発現変動遺伝 子が多く同定された。同モデルで Flow Cytometry による腫 瘍浸潤 T 細胞の解析を行ったところ,CD8+ T 細胞,特に Granzyme B を高発現する活性化 CD8+ T 細胞の増加と, exhausted T 細胞の減少を認めた。 一方,Pik3cg–/–マウスの二次リンパ組織(流入リンパ 節・脾臓)における T 細胞の解析では,WT と比較し顕著 なナイーブ T 細胞からエフェクターメモリー T 細胞への増 加が認められた。さらに,これら脾臓の T 細胞を分離し腫 瘍細胞とともに別の WT マウスに皮下注射すると,WT マ れた TAM が T 細胞免疫系を活性化させるメカニズムを検 討した。腫瘍組織の RT-PCR では Pik3cg–/–マウスにおいて M1-like 遺伝子の中でも特に IL12B の発現が亢進していた。 IL12B は Th1 シグナルを誘導する主要な因子であることか ら,形質転換されたマクロファージより分泌される IL-12 が T 細胞免疫系の活性化に関与しているという仮設を立て た。この仮説のもと,腫瘍モデルマウスに抗 IL-12 抗体を in vivo で投与したところ,Pik3cg–/–マウスにおける腫瘍増 殖抑制効果が打ち消された。さらに,Pik3cg–/–マウスの HPV+MEER 腫瘍より分離したマクロファージと脾臓より 分離した T 細胞を E7 ペプチド刺激下に ex vivo で培養し, 腫瘍特異的 IFNγ 産生 T 細胞の数を ELISpot assay で評価し た。抗 IL-12 抗体を加えた場合,IFNγ を産生する抗原特異 的 T 細胞の数がコントロール抗体を加えた場合と比較し著 明に減少した。

4.考察

以上の結果より,マクロファージの PI3Kγ 阻害により, M1-like に形質転換されたマクロファージが IL-12 を分泌 することで Th1 シグナルが増強され,その結果生じたエ フェクター T 細胞の活性化により抗腫瘍効果をもたらすと 考えられた。また,腫瘍微小環境のみならず二次リンパ組 織においても腫瘍細胞に強力に反応する T 細胞免疫の活性 化が生じており,全身性の抗腫瘍免疫の活性化が生じてい ると考えられた。

参考文献

1) Noy R, Pollard JW. Tumor-associated macrophages: from mecha-nisms to therapy. Immunity. 2014; 41(1): 49–61. doi 10.1016/ j.immuni.2014.06.010.

2) Kaneda MM, Messer KS, et al. PI3Kγ is a molecular switch that controls immune suppression. Nature. 2016; 539(7629): 437–42.

(6)

©2020 Japan Society of Immunology & Allergology in Otolaryngology

腸内細菌叢と吸入性抗原の感作の関連について

―岩木健康増進プロジェクト 2016 の結果から―

野村 彩美,松原  篤

弘前大学大学院医学研究科耳鼻咽喉科学講座 【背景】腸内細菌叢はアレルギー疾患等との関連が注目されている。今回我々は腸内細菌叢と吸入性抗原の感作の関連につ いて検討した。 【方法】プロジェクト健診に参加した 1109 名を対象に抗原特異的 IgE 値を測定し,クラス 1 以上を感作群とした。腸内細菌 叢は次世代シークエンサーを用いて 16S rDNA 領域の解析を行い,当該細菌の構成比を算出し,感作との関連について統計 解析を行った。 【結果】20∼49 歳では,スギの感作群は未感作群より Bacteroidales が有意に高値で,HD1 は未感作群で感作群より Lacto-bacillales が有意に高値だった。Bacteroidales, Bifidobacteriales, LactoLacto-bacillales を高値群と低値群に分け,3 種類のうち 2 種類 の細菌を組み合わせて比較すると, Lactobacillales や Bifidobacteriales が高値かつ Bacteroidales が低値な群は, Lactobacillales や Bifidobacetriales が低値かつ Bacteroidales が高値な群に比べて HD1 の感作率が有意に低下していた。

【考察】Bifidobacterium や Lactobacillus はプロバイオティクスとしてアレルギー性鼻炎の症状を緩和したという報告が散見さ れる。今回は Lactobacillales や Bifidobacteriales の割合が高いと吸入性抗原の感作が低下し,Bacteroidales の割合が高いと感 作されやすいという結果が得られ,腸内細菌叢の構成が吸入性抗原の感作に関与していることが示唆された。(この研究は 弘前大学大学院医学研究科社会医学講座との共同研究として行われた。)

第 38 回日本耳鼻咽喉科免疫アレルギー学会 プログラム・抄録集より転用

参照

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