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日本研究の「うち」と「そと」 : 台湾からの視点(アジア・太平洋研究センター主催講演会)

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Academic year: 2021

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南山大学アジア・太平洋研究センター報 第 14 号 ―  ―24

アジア・太平洋研究センター主催講演会

日 時:2018 年 12 月 6 日(木) 場 所:Q 棟 5 階  51,52 会議室 テーマ:日本研究の「うち」と「そと」―台湾からの視点― 報告者:辻本 雅史(中部大学副学長・現代教育学部長,京都大学名誉教授) 講演の概要 1.台湾へ! 2.国立台湾大学・文学院日本語文学系 3.日本研究センター(台湾大学文学院付属日本研究中心)立ち上げ 4.日本研究中心の趣旨 5.日本研究中心の活動 6.台湾の文脈―ある学生の作文より― 7.日本研究の「うち」側のもつ問題点―自省を込めて― 結び  本講演会では,2012 年から 2017 年までの 5 年間,台湾に滞在し,国立台湾大学文 学院日本語文学系教授として教育・研究活動に従事された講演者・辻本雅史氏の実践 的な経験に即して,台湾における日本研究の現状とその特徴について,報告がなされ た。  具体的には,まず「1.台湾へ!」にて京都大学を早期退職し,国立台湾大学で教 育・研究に携わることを辻本氏がなぜ選択したのか,その決断の背景が述べられ, アジア太平洋研究センター報_第14号_c.indb 24 2019/06/18 12:47:12

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―  ―25 日本研究の「うち」と「そと」―台湾からの視点―(辻本 雅史) 「2.国立台湾大学・文学院日本語文学系」では,台湾大学における「日本語文学系」 (学科に相当)の位置付けと,その特徴が紹介された。その上で,「3.日本研究セン ター立ち上げ」,「4.日本研究中心の趣旨」,「5.日本研究中心の活動」では,台湾大 学在職中の大きな取り組みとして,台湾大学の文学院(学部に相当)に「日本研究中 心」(「日本研究センター」)を設置する計画に,辻本氏が中心的なメンバーとして参 画された経験が語られた。すなわち同センターの立ち上げの目的は,国際的交流を念 頭に台湾における日本研究の拠点を形成することであり,具体的には「台湾的特色」 と「東アジア的視点」をもつ「国際日本研究」の構築が目指され,そのために若手研 究者の育成,日本語による学術叢書の発行,人文科学や社会科学など諸学問間の柔軟 な連携の道を探ることが具体的な実践課題とされたという。そして 2013 年 11 月のセ ンターの開設からの約 5 年間で,日本,韓国,中国など東アジアの有力研究機関 8 か 所との協定の締結,毎年 2 回~ 3 回の国際シンポジウムの開催,海外研究者を招いて の 40 回を超える学術講演会の開催,29 巻にのぼる日本研究叢書の編集・発行など, 同センターの活発な研究活動について,スライドを駆使しての紹介があった。  その上で「6.台湾の文脈」では,「台湾人のアイデンティティ」構築という問題を 自己のアイデンティティの構築の問題として捉えて,その複雑さを語る一人の学生の 作文を題材に,台湾の多様な民族構成に加えて,政治的状況にも関連した「外省人」・ 「本省人」という意識が絡み合う台湾社会のアイデンティティをめぐる状況が説得的 に論じられた。とりわけ外来政権の統治史という側面を持つ台湾史の特徴や,日本の 植民地支配からの解放後の脱植民地化過程における複雑な歴史体験について深い考察 がなされた。その上で,台湾で日本研究を行う意味は,まさにこのような台湾の文脈 に拠って立つ日本研究であることであり,その意味で日本における日本研究とは異な るものであり,ややもすれば内向きの議論となりがちな日本における日本研究を相対 化し,「複数形の日本研究」,「国際日本研究」を推進する可能性について,積極的な 展望が述べられた。  このような視点は,「7.日本研究の「うち」側の持つ問題点」において,さらに展 開された。辻本氏は,日本における日本研究の問題点について,考察対象であるはず の「日本」を自明の存在としていく研究姿勢など,無意識・無自覚の前提にもとづく 「「他者」を意識しない完結した世界」,すなわち内部に閉じた「一国研究」に陥りが ちだという点を指摘し,それを鋭く批判するとともに,より開かれた日本研究の構築 にむけて台湾をはじめ東アジア諸地域における日本研究との連携の必要性が説得的に 論じられた。 (文責:松田 京子) アジア太平洋研究センター報_第14号_c.indb 25 2019/06/18 12:47:12

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