JAIST Repository: ポリプロピレンの劣化開始反応に与える触媒残渣の影響
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(2) C17a5 . ポリプロピレンの劣化開始反応に与える触媒残渣の影響 中村 和彦(寺野研究室) . 【緒言】ポリプロピレン(PP)は、成型加工性に優れる、安価である、環境に優しい等の優れた長所を 有しているが、容易に劣化するという欠点がある。そのため、PP の劣化に関しては様々な研究が行なわ れているが、劣化開始反応の詳細については、ほとんど明らかになっていない。その理由として、従来 の劣化試験で用いられている試料では様々な不純物が混入しているため、劣化開始反応そのものに関す る知見を得ることが困難であった点が上げられる。本研究ではポリマーの合成を始め全ての実験を不活 性ガス雰囲気下で行ない、触媒残渣が熱および光劣化開始反応に与える影響についての知見を得ること を目的とした。 【実験】PP の合成は MgCl2 担持型 Ziegler 触媒を用い、助触媒としてトリエチルアルミニウム(TEA) 、 電子供与体としてシクロヘキシルメチルジメトキシシラン、溶媒としてトルエンを用い、常圧スラリー 重合法で行なった。重合の停止はモノマー供給を止め、窒素フローによる残存モノマーの除去により行 なった。触媒残渣量を変化させるため、重合停止後、触媒および助触媒にトルエン、エタノール/塩酸を 用いて洗浄を行ない、30℃で減圧乾燥したものを試料とした。なお、触媒活性は 26kg/mol-Ti、13C-NMR 測定により求めた mmmm 分率は 95.6mol%であった。 光劣化条件は光源にキセノンランプを用いて、光の波長 300∼800nm、光の強度 550Wm-2、温度 63℃、 窒素または空気雰囲気下で所定時間行なった。熱劣化条件は成形加工時を想定して温度 200℃、劣化時 間 20 分、窒素雰囲気下とした。触媒残渣量は誘導結合プラズマ(ICP)分光測定を用いて算出した。劣化 進行は GPC 測定による分子量の変化、FT-Raman 測定による C=C 結合を用いて評価した。 【結果と考察】重合停止後、トルエン洗浄を行なった場合の触媒残渣量は、Al のみが約 1/3 まで減少し た。Fig.1 ならびに Fig.2 に GPC 測定を用いて PP 洗浄の有無による熱、光劣化への影響を調べた結果を 示す。初めに、窒素雰囲気下で触媒残渣が全て残存した PP を使って光劣化を試みた所、劣化の進行が 確認されなかった。このことから、光による劣化の開始は起こらないことが分かった。 そこで、熱劣化試験を試みた所、洗浄した時には劣化の進行が見られなかったのに対し、洗浄なしで は劣化が進行していた。これらの結果から、熱劣化開始要因として Al 化合物が関与していることが示 唆された。また、FT-Raman 測定の結果から C=C 結合の生成が確認され、PP 主鎖の切断(β-scission)が 起きていることが分かった。これらのことから、劣化は TEA と高温な熱がかかることにより開始する と推察された。以上の結果より、光劣化と熱劣化では開始要因が異なるということが明らかとなった。 Virgin Unwashed. Virgin Washed Unwashed. . 4 . 5 . 6 7 10 10 10 Molecular weight Fig.1 GPC curves of photo-degraded PPs. 10 . 4. 5 . 6 7 10 10 10 Molecular weight Fig.2 GPC curves of thermal-degraded PPs . 10 . Keywords ポリプロピレン、Ziegler 触媒、劣化開始反応、触媒残渣 . .
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