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S-S結合でポリペプチド鎖の両端を連結したリゾチーム変異体の部分秩序構造

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Academic year: 2021

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S-S結合でポリペプチド鎖の両端を連結したリゾチ

ーム変異体の部分秩序構造

著者

笠井 健一

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2009年度 修士論文要旨

S-S 結合でポリペプチド鎖の両端を連結したリゾチーム

変異体の部分秩序構造

関西学院大学大学院理工学研究科

物理学専攻 瀬川研究室 笠井 健一

ニワトリ卵白リゾチームには4本のS-S結合が存在する。この全てを還元した後に、S-S結合 を再生させながらリゾチームをリフォールディングさせる実験を行うと、途中に未架橋のCys残 基をもつ再生中間体が現れる。この再生中間体の構造を平衡状態で調べるために、瀬川研究室で は、遺伝子組み換え技術によりS-S結合を欠損させた変異体を系統的に作製して研究を行ってき た。今回、笠井は Cys6 と Cys127 間の S-S 結合だけを 1 本保持する1SS[6-127] 変異体(今後1SS-1 変異体と呼ぶ)を作製し、その部分秩序構造を探る研究を行った。129 残基から成るリゾチーム において、タンパク質主鎖のちょうどN末端とC末端をつないだ形をとっている。 ヘリックス含量の指標となるfar-UV CDスペクトルのモル楕円率 [θ]220 は、水溶液中で1SS-1 変異体に対してだけ僅かな違いが存在するもののその差は小さく、4 種の1SS変異体に対して、 どれも無秩序鎖に特徴的な CD スペクトルであった。さらにグリセロールを高濃度に添加した場 合でも、一般にヘリックス含量は大きく増大するが、1SS 変異体間の相違はほとんど見られなか った。一方、立体構造秩序度を示すnear-UV CDスペクトルでは、1SS-1変異体にのみ明らかな違 いが現れた。グリセロール濃度が大きくなるにつれて[θ]265 の値が大きく減少し、[θ]290 の値が 僅かに増大した。これより、1SS-1の部分秩序構造は他の 1SS変異体に比べて、より天然類似の 構造に近づいていると推定された。さらに、誘導された部分秩序構造の程度を残基ごとに評価す るため、高濃度グリセロール水溶液中で1SS-1変異体のH/D交換反応を実行し、DMSO溶液中で 2 次元 NMR スペクトル(1H-15N-HSQC)を測定するという方法によって、NH基由来の交差ピー ク体積の減少の時定数から、残基ごとの H/D 交換反応に対するプロテクションファクター(P.F.) を求めた。グリセロール濃度を70%程度にしても、1SS-3(Cys64-Cys80 間の S-S 結合だけ存在 する)や1SS-4(Cys76-Cys94 が存在)変異体では、P.F.値が全残基に渡ってほぼ一様に10程度 に増大するにすぎなかったのに比べて、50%グリセロール存在下の 1SS-1 変異体では、特定のア ミノ酸残基の領域で P.F.値が 100 程度に増大することが分かった。その領域は、S-S 結合の位置 から予想されるAヘリックスやC末端の310ヘリックス領域ばかりでなく、Bヘリックスやβ3ス トランド領域に及ぶことが分かった。この実験結果は、Cys6-Cys127 という S-S 結合が存在する場 合、グリセロール添加によって誘導された 2 次構造間の空間的相互作用が生まれて、誘導された ヘリックス構造の安定性が特定のアミノ酸領域で増強されたということ示している。グリセロー ルが存在しない場合でも、ほぼ無秩序鎖の状態とはいえ、1SS 変異体間の残留構造の相違は存在 していて、グリセロール添加がその潜在的な相違を顕在化させたと考えている。

参照

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