現代日本の文芸関係者のもつ図書館観の一断面 : 雑誌『図書館の学校』巻頭エッセイの分析 図書館はどうみられてきたか・5((文学・文化編))
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(2) 甲南女子大学研 究紀 要第 40号. 文学 ・文化編 (2004年 3月. トル,全 体 の文字数. されて きてい る3。 これ まで 「図書館 はどうみ られて きたか」 とい うテ ―マでは,テ レビ ドラマや ミステ リ作家の図書館観 に. ). (百 の位以下 は切. り捨 て),の 順。 へ 01.2000。 1 林望 1949「 図書館 行 こ う」 (講 演)約 29,000字 ‖. ついて,個 々の作品内容 や,作 家 の見解 を取 り上げて. 02.2000.2. 分析 して きた。今回は,図 書館 との関係 が話題 となっ. 12,100字 J 03.2000。 3 阿刀 田高 1935「 図書館 ア ト・ ラ ンダム」. てい るこの時期 に,現 代 日本の文芸関係者 に「図書館. 約 H,100字 勢. は どうみ られてきたか」 を示す見解が,同 一のメデ イ アに,連 続的 に,一 定期間 にわたって掲載 された もの. 04.2000。. 4. として,雑 誌 『図書館 の学校』 の巻頭 エ ッセイをとり. 05.2000.4. 雑誌 『図書館 の学校』. 2000年 1月 に創 刊 され た,雑 誌 『図 書 館 の 学 校』 刊 )は ,「 NPO図 書館 の 学校」 と「TRC(図 書館 流通 セ ンター)」 が,「 編集 0発 行」 としてクレジッ ト. 07.2000.6. されていた。その巻頭 には,図 書館 に関連 したエ ッセ. 08.2000.6. イが一篇 か ら二篇. (と. o9.2000。. 7. ざまな作家や小説作品 と図書館 との関係 について記述 してい るが,こ れは,雑 誌 『図書館 の学校』 に「図書 館 のある風景」 (2000年 5月 ∼10月 )と して連載 され ・ 。2003年 4月 には,誌 面 たものが もとにな っている が大幅 にリニ ュアル され,継 続 して掲載 されてい る連 載記事 もあるが,文 芸関係者 に よる巻頭 エ ッセ イは 2003年 3月 までで,そ れ以 降は掲載 されてい ない"。 図書館 に対す る作家 の見解が話題 となってい るこの 時期 に,図 書館関係 の同一雑誌 に,集 中的に掲載 され たエ ッセイを分析す ることで,現 代 の文芸関係者 に図. 目黒 考 二 1946「 図書 館 員 をめ ざ した若 ° き日の こ と」約 9,600字. 鶴 見俊 輔 1922「 図書 館 か ら図 書 館 へ」 約 6,800字 ". きには三篇),毎 号掲載 されて. きた。 たとえば,小 田光雄 の 『図書館逍遥』 は,さ ま. 串間努 1963「 個 人 メデ イアに活用 !極. 私的図書館利用法」約9,700字 9 06.2000.5. (月. 吉村昭 1927「 図書館 が なけれ ば,小 説 は書け ません」 (イ ンタビュー)約 2,700 ど 字. あげ,分 析 の対象 とした。. 2。. 出 久 根 達 郎 1944「 図 書 館 が 学 校」約. 柏 木博 1948「 情 報 の 宇 宙 ° 楽 しみ」約 3,300字 約 5,400字 ". 10.2000。. 7. 荒 川洋 治 1949「 図書館 には行 か な い」 耐 約 3,400字. H.2000.8 山口昌男 1931「 図書館 との 出会 い」約 6,100字 12.2000。 8 石川准 1956「 視覚障害者 の読書 ス タイ H). ル 電子 テキス トの時代」約 2,500字 ロ. 13.2000。. 8. あんばいこう 1949「 酒場 と図書館」約 700 字. 種村季弘 1933「 明 る い 図書館 ・暗 い 図 円 書館」約 3,400字. 9. 長 山靖生 1962「 図書館 が生 活 の リズム をつ くる」約 6,300字 い. のマ イナーチ ェンジを行 なって きてお り,こ の論文 で. 16.2000.10阿. ). テに色 文字 で 「図書館 の学. 校」)が 使 われて い た 2000年 1月 か ら2001年 4月 ま で (2001年 5月 か らの題 字 は タテ黒 字 「図書館 の学. 約. 3.雑 誌 『図書館 の学校』巻頭 エ ッセイの分析. 字数 は ,(一 行 の文字数 )× (行 数 )の 概算 による。 左 か ら,整 理番号 ,掲 載年 月 ,作 家名 ,生 年 ,タ イ. 1956「 電子時代 の 図書館 の役. 割 を考 える」約 3,200字. 口 ). H小. │1洋 子 1962「 図書館 とア ンネ ・フラ り ンク」約 3,200字 隧 19.2000.11石 川九楊 1945「 図書館 とコンサ ー トホ ). ―ル」約 5,200字 D 20.2000.12 山之口洋 1960「 仇敵にして戦友」 約 3,300. 3-1 分析対象 今 回 と りあげ た もの は ,次 の通 り。 なお ,全 体 の文. 部謹也 1935「 図書館 で過 ご した 日々」 4,800字 Ю. 17.2000。 10中 西秀彦. 校」,2003年 4月 か らは ヨコ黒字 「図書館 の 学 校」) 18.2000。 に掲載 された 30点 あまりを分析対象 とした。. B). 14.2000.9 15.2000。. (タ. 書館 )の. 荒俣宏 1947「 図書館 はお もしろ くない」. 書館 が どう「み られて」 い るのかについて,そ の一断 神 面 を明 らかに しようと試みた 。なお,こ の雑誌 は, 今 回 (2003年 4月 )の リニュ アル以 前 に も,何 回 か は,創 刊 時点 の題字. (図. 字. 21.2000.12. 20. 山本 昌代 1960「 ふ りむ け ば 図書 館」約 劉. 3,200字. ). 22.2000。 12月 ヽ池 昌代. 1959「 図書 館 の こ とを何 も知.
(3) 佐藤. らない」約 2,600字. く見 当 はず れ」 と現在 の 図書館評価 の あ り方 に疑 間 を. 2υ. 23.2001.1 星野智幸 1965「 魅惑的な異界」約 3,300 字劉 約 5,200字 25。. のは」約 3,100字. 29. 26.2001.2 きたや まよう こ 1949「 著作権 につい て 絵本作家 の立場 か ら」約 2,300字. 10,000字 前後 で ,図 書館 に関連 の あ る内容 もか な り多 く含 まれて い る。. 2つ. 字. 28.2001.3 夏 目房之介 1950「 マ ンガ にお け る図書 =28). 中村稔 1927「 図書館 ・文学館あれ これ」 約 3,100字. 02。. 出久根 1944は ,冒 頭 に,司 馬遼 太郎 の 「古 本. 屋 と図書館 が 自分 の学校 だった」 との言葉 をひ き「私. 偵 官」糸 勺4,200鋼. は古本屋 は,有 料 の 図書館 だ ,と 思 ってい る。書物 の 保存 を,客 にゆだねる。 この一 点 だけが ,図 書館 と異. 2". 30.2001.4 内堀弘 1953「 棚作 り」約 1,500字 31.2001.4 松本圭 二 1965「 ビネ ガー博 士 の ラクラ 30. フ イル ム ・ア ー カイブの 仕 3,900字 釘. ク健康 法. (こ. 3-3 創刊 直後 ,数 ケ月 間 に掲 載 され た長文 エ ッセ イ 創刊直後 に掲 載 された ,02.出 久根 1944,03。 阿刀 田 1935,05.串 間 1963,06.目 黒 1946,の エ ッセ イ は,そ の後 の時期 に載 った もの よ りも長 く,分 量 的 に. 20. 27.2001.3 別 役 実 1937「 近 所 の 図 書 館」約 3,300. 事」約. の現状 を批 半Jし てい る33)。. 20. 2001.2 長 田弘 1939「 問 われな けれ ばな らない. 29.2001.4. 呈 して い る。 開館 時 間 や 閲覧 サ ー ビス な どに つ い て も,海 外 の 図書館 の事例 を引 きなが ら,日 本 の 図書館. 2001.1 東 秀紀 1951「 大英 図書館 の イ ラ ン人」. 24。. 95. 毅彦 :現 代 日本 の 文芸 関係 者 の もつ 図書館 観 の一 断面. ). の後 ,本 論文 中でそれぞれのエ ッセイを取 り上. げる際 には,整 理番号 ,作 家名 ,生 年 ,を 示す). なる」 と述 べ る。周知 の よ うに,こ の著者 は長期 にわ た って古本屋 を経営 した経験 があ り,そ の こと もこ う した文 章 に表 われて い る と思 われる。著者 と図書館 の 関係 につい ては ,小 学校 三年 生 の ころに移動図書館 を 利用 した こ と,中 学校 卒業後 上 京 し,吉 本屋 の店員 に な った後 に利用 した 日比谷 図書館 の こ と,な どが述べ られて い る。 また 「ベ ス トセ ラー の面倒 までみ る必 要. 3-2 林望 の見解 これ らの中で,01.林 1949の ものは,例 外 的 に 講演 をそのまま記録 した ものであ り,長 さも飛 び抜け て長 い。林 は,作 家 ・書誌学者 であ り,「 図書館 は無. 「名著 は ,保 存 す べ きだろ う」 と述 べ る。「現在 の私 は 図書館 に出かける こ とは,め った にない。 しか し,私. 料貸本屋 か」 とい う タイ トルの文章 を雑誌 『文藝春. に もまた,図 書館 と古本屋 が ,自 分 の学校 だ った な. 秋』2000年 12月 号 に発 表す ることで,こ の種 の議論. としみ じみ思 うので あ る」 と結 ばれ る。. ,. が展開されるきっか けをつ くった一人で もある30。. が 図書館 にあるか ど うか」 とし,古 本屋 での経験 か ら 利 用 の 少 な さだ け で 廃 棄 に まわす こ とに疑 間 を呈 し. ,. 03.阿 刀田 1935は ,国 立 国会図書館 に勤務 した経. 冒頭 か ら林 は,活 字離 れ,現 代国語 の教科書 ,な ど. 験 をもっている。 自宅 の近 くに開館 した,杉 並区立図. につい て持論 を述べ た後 ,「 図書館 には図書館 の別 の. 書館 の分館が 「著述業者 であ る私」 にとつて「職業的. 使命 が」あ るとして,具 体的 に自説 を展開 してい く。. な文献利用 に もちゃん と役 立 ってい る事 実」 を紹介. 「公共図書館」 の役割 は,大 学図書館 な どの「研究図. し,図 書館 の ネッ トワー クについて「このあた りに. 書館」 とは,異 なる としなが らも,ベ ス トセ ラー は 「せいぜ い三冊買 えば」 よ く,「 図書館 の使命 は」「ど. 普遍的 な図書館利用法 のヒン トが潜 んでい るように思 える」 と述 べ る。 また,資 料 の整理 ・活用 法 につ い. れほど質の高 い本 をそろえて持 っているか」 にあると. て,自 身の体験 をまじえて紹介 し,「 図書館 との タイ アップを考 える こと」 をポイ ン トとしてい る。 ただ し. し,「 本当 に心ある運営 をするのであれば」「選書委員. ,. 会 な り,運 営委員会 とい うもの を」「市 内 の識者 に」. 「 リファレンス ・ブ ック」 につい ては「 よい もの を身. 依頼 し,推 薦 して もらう取 り組 みがあっていい」 とす. 近 にそろえてお くほ うが よろ しい」「 もちろん図書館. る。「図書館 予算 の使 い 方 とい う もの につい て つ い て,公 共 の図書館 であろ うとも,や は リー定 の誇 りと. にも」あ るが「この手 の ものは,そ ば近 くにあるほ う があ りが たい」 としてい る。『無料貸本屋』 とい う言. い うものが なければいけない」 とい うのが彼 の主張 の. 葉 につい ては,「 図書館員 とはなんなんだろ うか ?」. 基本である。 また,図 書館 は「あんま り意味 の ない人 がた くさん寄 って何冊利用 したなんてい うことを誇 っ. と問い を設定 し,「『貸 し本屋 と変 わ りあ りませ んね』 と,ち ょっぴ り嘆いてい た図書館員がいた。娯楽のた. て も仕方がない」「数量 で考 える とい うことは まった. めに図書館 に足 を運ぶ人が増 えて くれば. (も. ちろんよ.
(4) 甲南女 子大学研 究紀 要第 40号. い こ とだ)そ んな感 じを抱 くケ ース も多 い だろ う。 図 書館 の仕事 は根源 的 に町の貸 し本屋 と変 わ りない部分. 文学 ・文化編 (2004年 3月. ). 04.吉 村 1927「 図書館 が なければ,小 説 は書 け ませ ん」. を相 当 にた くさ ん持 って い る し,あ え て 私 見 を言 え. 小説の題材 について調べ るため地方 を旅行 し,図 書. ば ,『 それが ど う した ?い い じゃな い』 な の だ。公 立. 館 に立 ち寄 ることが多 い。「図書館 には とて も優秀 な. 図書館 は規模 の 大 きい ,上 等 な貸 し本 屋 で あ る」「だ. 人が多 い」「ある都市 の文化度 は,そ こにある図書館. が ,そ こで働 く図書館 員 を して ,町 の貸 し本屋 と異 な. で きまる」「知識 の豊かな人をきちんと置 いてほ しい」. らせ る もの は」「文献 に対 す る知 識 ,教 養 ,ゆ と りの. と述べ てい る。. よ うな もの」 だ として い る。. 07.鶴 見 1922「 図書館 か ら図書館へ」. 串 間 1963は ,「 小 学校 三 年 生 (昭 和 四 十 七 年 ). 留学 した 1930年 代 のアメ リカで,ハ ー ヴァー ド大. の と き,自 宅 の近所 に新 しい市 立 図書館 が で き」「一. 学図書館 を利用 した。 また,戦 時下 の海外 での体験. 回 の 貸 し出 し冊 数 は一 人 あた り二 冊 まで」 だったが. や,戦 後京大 の人文科学研究所 に勤 め,京 大 の図書館. 05。. ,. 家族 の 名前 を使 って借 りた こ とな ど,具 体的 に利用経. を使 えるようになったことなどを紹介 してい る。現在. 験 につ い て くわ し く紹 介 して い る。「一 週 間 に一 回 は. は 「大学 をやめる と大学図書館 には入 りに くくな る」. 必ず通 い , リクエ ス トカー ドもバ ンバ ン出 して ,読 み. とし「歩 いて十分 ほどの岩倉図書館. た い本 を湯 水 の よ うに買 って もらってい た」 こ とをあ. ることがあ」 り,そ こで,知 人の著書 に遭遇 した こと. げ ,当 時 ,専 門的 な本 を リクエ ス トした ことについ て. を述べ る。. 「い まだ った ら,そ の 手 の 本 は 国会 図書 館 で 読 むか. ,. 県 立 図書館 に リクエ ス トす る とか ア タマ を働 かせ るだ. 08.柏 木 1948「 情報 の宇宙 「一九九七年 に,パ. (京 都 )を. (図 書館 )の. たずね. 楽 しみ」. リに新 しい国立図書館. (BN)が. 割分担 な どわか りは しない。読 み た い 本 であれば向 こ. 完成」 し,こ の施設 によって,現 在 ,あ らゆる情報が 電子的な信号 に,書 物 とは異なった形式 で,保 存 ・検. う見ず に注文す るだけだ。図書館側 とて ,ま さか小 学. 索 ・閲覧が可能 となったことを紹介す る。それで も. 生が専 門書 の よ うな もの を リクエ ス トす る とは予想 も. 図書館 の楽 しみ とは,そ の情報 (書 物)の 棚 の前 で. ・ 。 また ,現 在 して い なか っただろ う」 と述 べ て い る の ,文 献調査 と図書館利用 につ い て も,実 例 をあげて. 物質 としての情報 を手 にとり,あ れこれ とブラウジ ン グ (拾 い読み)が で きることであ る, と述べ る。. くわ しく述 べ て い る。 そ の 中で は,国 会図書館 で 時 間. 09.荒 俣. ろ う。 しか し子 どもには ,地 域 図書館 が 持 ってい る役. ,. ,. 1947「 図書館 はお もしろ くない」. を有効 に活用 す る方法 を紹 介 した り,「 図書館 の 役 割. 地元 にある小図書館 には発見 がないのでお もしろ く. 分担 を考 える こ とが 大事」 で あ る と述 べ て い る部分 も. ない,東 京都立中央図書館や国会図書館 にでかけると. あ る。. きは,い つ も胸が ワクワクす る楽 しみが あ る, とす る。最近 ,日 本 の大学図書館 で貴重 な発見 に遭遇 した. ,大 学卒業後 「図書館 員 になろ う」 と考 えた ころの こ とをは じめ と して ,過 去 の体験 を語 る。現 在 は,編 集者 と して 『図書館読本』 を刊行 した. 例 を紹介 し,最 後 には,地 域 の図書館 にも新 たな発見 の可能性が ひそんでい ることを述べ てい る。. 際 ,「 全 国 二 四六 二 館 の公 共図書館 にア ンケ ー トを依. 10.荒 川 1949「 図書館 には行 かない」. 日黒 1946は. 06。. 頼」 し「設 問数 四四項 目。 回収数 は五一七館」 であ っ. 「借 りた ものを読 む と落ち着 かない。本 は借 りる も. た体験 か ら,図 書館 の実情 につい ては じめて知 った こ. のではな く買 うものだと思 っている」 ことか ら,図 書. とを紹 介 して い る。利用す る立 場 と しては「資料類 は そ の とき役 立 てば いいので ,永 遠 に持 ってい る必 要 は. 館 で借 りて読 むばか りだ と「本 に対す る判断力が育た な くなる」 と主張す る。 ただ し,い い図書館 の実例 と. な く,そ うい う ときは 図書館 が い ちばん いい」 と し. して,「 現代詩資料館 ・ まほろば」 を紹介 してい る。. さらに都立 中央 図書館 が ,調 査 の 質問 に電話 で 回答 し. H.山 口 1931「 図書館 との出会 い」. ,. て くれ る こ と,を 知 ってお どろ い た こ とも述 べ られて. Aと Bの 対話形式 で,Aが 質問者 ,Bが 山口,と い う設定 になってい る。 自身 と図書館 との関わ りにつ. い る。. いて,小 学校 の図書室 は,鍵 がかか っていて入 ったこ. 3-42000年. 1月 か ら 2001年 4月 まで に掲 載 され た. エ ッセ イの概 要 他 の著者 の エ ッセ イについ て ,図 書館 と関連 の あ る 部分 を中心 に要約す る と,以 下 の ようになる。. とはな く,中 学三年 の ときに,貸 本屋 で本 を借 りるよ うにな ったことを述べ る。知人 との出会 いの話 ,『 薔 薇 の名前』 にまつ わる話,な どを紹介 した後 ,現 在 は 学長 をしてい る大学 で「山口文庫」 とい う名称 で,個.
(5) 佐藤. 毅彦 :現 代 日本 の文芸 関係者 の もつ 図書館 観 の一 断面. 人 の 所 蔵 資 料 を学 生 に 開放 して い る こ とを紹 介 して い る。. 「図書館 とい える部屋 を初めてみ たのは中学一年生 の とき」「中学校 で も高等学校 で も図書委員 とな り 図書館 の世話 をす る役 目」 を した。大学 に入 る と ,. 12.石 川准 1956「 視覚障害者 の読書 ス タイル 電子. ,. 「視覚障害者 の読書 ス タイルが この二〇年間 に大 き. 「一橋大学 の図書館 だけでな く,慶 應や東大 の 図書館 も利用 して い た」 こ とやフ留学 したボ ン大学 の 図書. く変化 した」 ことの実例 を紹介す る。以前 は,読 みた い本があると点字図書館 に電話 して,録 音図書 ・点字. 館 ,就 職 した小樽商科大学 の図書館 を紹介 し,「 歩 き まわ ってい るとい ろい ろな発見がある」 とす る。「私. 図書 を確認 し,そ れ らの ものがない と,ボ ラ ンティア か 図書館 に,録 音 ・点訳 を依頼 して い た。い まは. が 図書館 を最 も利用 した のは」若 い 頃,ビ ー ル会社. テキス トの時代」. 「コンピュー タを使 って読書」す るようにな り,「 文字. で,売 り上げを調べ るアルバ イ トをしなが ら,早 めに 終 えて「千代 田区の図書館 へ 行 った り」 し,「 各 区 の. 情報 を音声化 した り点字 に変 えた りす る種 々のソフ ト ウエ アが搭載」 された コンピュー タを使 って情報 にア. 図書館 をか な り渡 り歩 いた」 ことを述 べ る。現在 は 「図書 の発注 によって多 くの図書 を借 出す ことがで き. ,. クセスす るようになった ことが紹介 される。. るようになったことは結構 なことである」 としてい. 13.あ んばい 1949「 酒場 と図書館」. る。. 「過疎 の村 に図書館 を」 と不 要 になった本 を募 っ. 17.中 西 1956「 電子時代 の図書館 の役割 を考 える」. た,秋 田の青年 たちの運動 についてふれ,マ スコミで. 「今後 の図書館 の役割 を考 える ときブリタニ カオン. 大 きな話題 になって,三 〇万冊 を超 える本があつ まっ たことを紹介す る。結局 は「善意 の ゴ ミ」 を送 られる. ライ ンが示唆的」 で あ るとし,「 おそ ら く地域図書館 での,小 説本 の貸 し出 しといつた役割 は しばらく残 る. ことになって しまった事例 を,超 美談 に仕立 てて垂れ. だろ う」 が 「現行 の本 のまわ りにあ る産業や仕組 みは. 流 したマス コ ミの,活 字 や図書館 に対す る盲 目的な信. 印刷屋 も含めて大 きくかわらざるをえない」 とす る。 「『本』 とい う物理媒体」 は,そ れだけで,読 むことが で きる ことが特徴 のひとつ で あ り,「 電子時代 にあ つ. 仰 こそが問題だとしてい る。. 14.種 村. 1933「 明 るい図書館 ・暗 い図書館」. た, しか し小体 な学校図書館」 であ ったとする。やが. て」「新 たな 図書館 の役 割 は」「電子 媒体 の 実体 化」 「電子 デー タを電子 デー タの ままで保存 して い く」 こ. て「闇市 の古本店が 『私 の図書館』 」 にな り,「 ネ 申田の. と,「 子供達 と『本』 の仲介 をす る場所 で あ る こ と」. 大橋 図書館 に出入 り」 した。「その後 もさほ どまとも. などにある と述べ る。. に図書館 の利用 を した記憶 はない」「東大教養学部 の. 18.小 り ‖1962「 図書館 とア ンネ・フランク」. 旧一 高図書館」 の「ガラスは大方 が 割 れた ままだ っ. 「私 が住 んでい る倉敷」 の近隣,真 備町 (ま びち ょ う)の 「町立図書館 がオープ ン したのを記念 しての. 「生 まれては じめて入館 した図書館」 は「荒 れ果 て. た」 とい う。理想 は「人口三十万人 くらいの中都市。 自分 の関心分野 の文献 の完備 した図書館があ り,快 適 な閲覧室 と礼儀 をわ きまえた同好 の閲覧者たちに恵 ま れて一 日の大半 をそ こで過 ご し」「 とび きり優秀 な司. 講演依頼」 を引 きうける。「講演会」 の会場 へ 出向 く と「小川洋子 フェア として私 の本 が並べ られてい た」 「 自分 の本 が 図書館 に並 んでい るのを見 るのは,作 家 として一番 の喜 びだ」 とする。 19。 石川九楊 1945「 図書館 とコンサ ー トホール」. 書が」 い るところだ とす る。 15。. ,. 長山 1962「 図書館 が生活の リズム をつ くる」. 著者 は,大 学時代 に,紹 介状 を発行 して もらって 他校 の図書館 で も明治 ・大正期の雑誌 のバ ックナンバ. 「図書館 は言 うまで もな く,『 モノの館』なのである ことが 近年忘 れ られて い る」 と述 べ る。予算 が 少 な. ー を閲覧 した経験 がある。現在はプロの物書 きではな. い, とい うのは事実 だが予算全体 の うち「図書購 入費. く,歯 科医 として,地 方都市 (北 関東 の小都市 )に 在 住 してい る。古書 は 目録 ,ホ ームページで入手 で きる. が十五 %に 対 し,人 件費 は六〇%前 後」 であ ることの. ,. が,問 題 は新刊書 で,田 舎 の本屋 には文庫 ,雑 誌な ど. 問題 を指摘す る。「実際 に利用す る経験 上 言 えば,極 端 に高価 な書物 ,稀 槻書 ,大 型 の全集や叢書 ,あ るい. 以外 はならばない, とす る。「私 はなるべ く新刊 は図. はそれぞれの分野 で古典的 な価値ある底本等 ,手 元 に. 書館 で借 りて読 み,そ の うえで手元 に置 かねばならな い本 を限定 して注文するようにしてい る」 とい う方法. 置 くことので きない書物 が確実 に,で きれば身近 にあ ることが図書館へ の期待」 であるとし,さ らに,図 書. をとっていることを紹介 してい る。. 館 と東 アジアの文明 ・文化 との関係 を論 じている。. 16。. 阿部 1935「 図書館 で過 ご した日々」. 20。. 山之口 1960「 仇敵 に して戦友」.
(6) 甲南女子大学研究紀要第 40号. 「作家 にとって図書館 は,仇 敵 で あ り,戦 友 で もあ る」 とし,「 駆け出 し作家 の場合 ,そ もそ も図書館 に. 文学・文化編 (2004年 3月. ). はわか らない, とい う。 が ,以 後 の消虐、. 25.長 田 1939「 問 われなければならないのは」. しか作品がない」 とい う。小説 の取材 には「ず いぶ ん な時間 と労力 と費用 を調べ ものに費 や した」「資料本. ける」文化であ り,教 育社会 としての「育 てる」力 を. は,で きる限 り買 い集 めて手元 に置 くことに して い. な くして きたとする。それ らの真中 に「繋 ぐ」文化 が. る」 が,「 月 に二 ,三 度 は図書館 に足 を運 ぶ。家 か ら. あ り,そ れが 「蓄 える」文化 につ なが る。「蓄 える」. くるまで十五分ほどの ところに,市 川市中央図書館が. 文化 をになって きたのは「図書館 の思想」である, と. あ って,こ こは市 の図書館 としては充実 した四十五万 冊 の蔵書 を備え, レファレンス・サ ービスの質 も比較. する。. 的高 い か ら,普 段 の調 べ もの に重宝 して い る」 とす る。 また「パ リの新国立図書館」 について紹介 してい. 26。. きたや ま 1949「 著作権 につい て 絵本作家 の立 場 か ら」. 「最初 のオ リジナル絵本 を出版 してか ら二十五 年以 上 になる」 が,「 公共図書館 か ら著作権使用許諾 の依. る。 21。. 情報 の時代 とい うイメージの社会では,中 心 は「分. 山本 1960「 ふ りむけば図書館」. 頼書」が くると,依 頼書 に「『誠 に勝手 なが ら著作権. 高校 の図書室や大学 の図書館 について紹介 し,卒 業. 使用料 につ きましては,ご 免除 ください ます よう併せ. した後 は,「 紅葉坂 の県立図書館 に通 つて よ く本 を借. てお願 い 申 し上げ ます』 」 と記 されてい ることを紹介. りた」 こと,国 立市 の「アパー トか ら徒歩数分 の距離 にある市立 図書館へ 出かけるようになった」 ことを紹. してい る。「著作権使用料 として最初 か ら予算 の枠 の 中に入 れることはで きないの だろ うか」 と述べ る。. 介 してい る。理想 の図書館 は「カウンターが無人か ロ. 27.別 役. ボ ッ トがいて応対 し,児 童書 コーナーは本館 と別 にす る」 ことだ としてい る。 22。. 小池 1959「 図書館 のことを何 も知 らない」. 1937「 近所 の図書館」. 「近所 に図書館 が」あ り,そ こか ら著作 につい ての 講演 を依頼 される。たいていは断 つているが ,「 そ の 図書館 だとわかった とたん,何 か断 ってはいけない よ. 「地域 の図書館 にもっともよく通 つたのは,中 学 生. うな気が して,引 き受けて しま」 う。その後 「図書館. の ころ」 で,「 大人 にな ってか らは引越 しも多 く,そ. として利用すべ く訪 ねるようになった,と い うわけで. のたびに様 々な町の図書館 に足 を運んだ」 ことを述べ. はない」「 しか し,そ れはそれで いいの だろ う。そ れ. る。「 ミステ リー作家 や出版社 に とって,図 書館 は敵. らがそこに在 ると考 えるだけで,何 とはな しに私 は安. で ある と聞い たことがある」「ある図書館 では,人 気. 心するのである」 とい う。. 作家の話題作な どは,同 じものを一度 に五冊 くらいそ. 28.夏 目 1950「 マ ンガにお ける図書館」. ろえていた」 ことか ら「勝手独 自な物差 しで測 つた本. 海外 での 日本 マ ンガについて「経済的 にも情報 とし. の選定があ って もいい と思 う。万人 に開 かれた図書. て も日本 にあまり還元 されてい ない」現状 を紹介 して. 館 ,そ のこと故 に,逆 にひずみが生 まれて しまうのだ ろ うか」 と述べ る。. い る。マ ンガは「雑誌 で読 み捨 てられ,単 行本 は読 ん. 23。. 星野 1965「 魅惑的な異界」. 子 どもの時 「本 の家 ,す なわち図書館 に住 みたい と. だら売 り飛 ばす もので しかな く,だ か ら図書館 の対象 で ある よ り」新古書店 ,喫 茶店 で扱 われて きた とす る。「出版全体へ のシェアの大 きさを考 えれば,図 書. 思 った」 ことがあるとい う。現在 ,切 望 してい ること. 館が マ ンガ を収容す る度合 い は相当低 いの だ と思 う」. は,「 ネッ ト上で各図書館 の蔵書 を検索 で きる」「取 り. が,「 市場競争 の 中で消 えてい き,読 めな くな って し. 寄せの注文 をオ ンライ ンで可能」 になることである。. まう名作 マ ンガを読めるようにする ことは,図 書館 の. 東京 の世田谷区に住 んでい るが「探 してい る本 を発見. 文化的機能の一つではないか」 と述べ る。. で きないこ とが増 えた し,心 ときめ く本 との偶然 の出. 29.中 村 1927「 図書館 0文 学館あれこれ」. 逢 い もめ っ きり減 った」「い まや私 の図書館不信 は大 きす ぎて,自 分 で も処理で きない ほどだ」 と述べ る。. 24.東 1951「 大英図書館 のイラン人」. 「懐 か しい図書館」 として「旧制 中学 の 図書館」 と 「旧制一高の図書館」 をあげてい る。「い までは図書館 を利用す ることは一年 に一度 あ るか ど うか に過 ぎな. 「二十年前 ロン ドン大学 に留学」 してい たが,あ る. い」 が 「高価す ぎた り,冊 数が膨大 にす ぎるような辞. 「 イラ ン人の クラスメー トのことは忘 れ られない」 と. 書 ,事 典 の類」 を図書館 で利用 してい る。「私 の住居. する。彼 に誘われて,ブ リテ イッシュ・ライブラリー. に近 い大宮市立図書館 は私 の生活 に不可欠の施設 であ. に出かける。後 に,一 度 だけその図書館 で偶然会 った. る」 と述べ る。「公共図書館では誰が どの よ うに購入.
(7) 佐藤. 毅彦 :現 代 日本 の文芸 関係 者 の もつ 図書館 観 の一 断面. すべ き本 を選んで も,た ぶん一部 か らは非難 を免れな. 部分 もある。. い だ ろ う」「私 は普通 の市民 には入 手 で きな い よ う. 02.出 久根 1944は ,本 の選別 につい て「読者 にゆ. な,高 価 な事典 ,辞 書類 ,学 術書や少部数 のす ぐれた. だねるの も一方法 で,要 望 の多い書物 を購入す る。ベ. 出版物 などを備 えてほ しい」 とす る。. ス トセラーに希望 が集中す るのは当然 だが,ベ ス トセ. 30.内 堀 1953「 棚作 り」. ラーの面倒 までみる必要が図書館 にあるか どうか」 と. だ」 とす る。ある老人 との出会 い を紹介 し,こ の老人. 述べ ,一 定 の時期 をす ぎれば,『 ブ ックオフ』 な どの 新古書店 で百円で買 えるベ ス トセ ラー よ り,「 む しろ. は「図書館 のカー ド箱 のようだった。記憶 はいつ も魅. 高価 な本 を購入すべ きだろう」 とす る。. 「本屋 は棚作 りと言 うけれ ど,そ れは古本屋 も同 じ. 力的 な無駄 にあふれていて,気 がつ くと私 はそ こか ら. 19。. 石川九楊 1945は 「大衆 に人気 があるか らと言. って,ベ ス トセ ラー本 や マ ンガ本 や ビデオや cDを. 思 い もよらない本や雑誌 を探 し」 た とい う。 31.松 本 1965「 ビネ ガー博士 の ラクラク健康法. フ. イルム ・アーカイブの仕事」 勤務先 の「福 岡市総合図書館 フイルムアーカ イブ」. 所蔵 して貸出せばいい と言 うわけではあるまい。大衆 の娯楽 については民間の書店 や貸本屋 に委 ね,図 書館 は大衆 の 日常的思考 のために価値あ る本 を備 えるべ き だろ う」 と述べ てい る。. での様子 を,風 刺的な筆致 で紹介 してい る。. 21.山 本 1960は 「ベ ス トセ ラー本 を開架式書庫 に 4。. 図 書 館 に つ い て の コ メ ン トの 諸 相. 五冊 も十冊 も並べ てお くことが豊かさか」 と疑間を呈 し,「 そんな文句 をい う者 は来 な くていい と図書館 の. これ らのエ ッセイで,ベ ス トセラーの複本購入 と. ,. 方がい うか も知 れない」 と述べ てい る。. 図書館 での資料選択 に関す る′ 点を中心 に,現 代 の図書. 22.小 池 1959は 「ある図書館 では,人 気作家 の話. 館 について話題 になってい る トピックについて どの よ. 題作 などは,同 じものを一度 に五冊 くらいそろえてい. うな記述 をしてい るかを分析 し,そ れぞれの筆者 と図. た。 こうい うことは,貸 しビデオ店 では,当 た り前 に. 書館 との関わ りについて考察 した。. やる ことだが,公 共施設 で行 なわれてい るとは意外 だ った。読 みたい人が殺到す る時期 を過 ぎたら,五 冊 の. 4-1 図書館 でのベ ス トセラーの扱 い と複本購入 につ. 揃 えは無駄 にもなるはず だ」 と述べ てい る。. 23.星 野 1965は 「い まや私 の 図書館不信 は大 きす. い ¬C. 01.林 1949は ,公 共図書館 につい て「住民サ ー ビ. ぎて,自 分 で も処理で きないほどだ。館内の壁 に貼 っ. スが とい うことが 第一義」 で あ り,「 ある程度 ベ ス ト. てあ る予約本 ベ ス トテ ンを見 るたびに,百 貨店バーゲ. セラー」「 を揃 えて,一 般市民 の利用 に供 す る とい う. ン会場 を連想する。棚 を見て も,こ れなら本屋へ行 け. のは,納 税者サ ー ビス とい う意味 か ら見 て も正 しい」 と述べ ている。 しか し,「『五体不満足』 」「を五 〇冊 も. ば よかった と後悔す る。図書館 で あ る理 由が ないの. 六 〇冊 も」買 い,そ れで も市民 は「なか なか借 りられ. だ」 と述べ る。 ただ「無料貸本屋化 の責任 の一端 はベ ス トセ ラーばか りを要求す る倶1に もある」 との指摘 も. ない」 し,「 流行が去 った時 には,一 冊 だ け しか残 さ. なされてい る。. ない」 で「四九冊 は」「廃棄す る」 の な ら,そ の予算. 29。. 中村 1927は 「過 日,ハ リー・ポ ッターの読者. で「日の当たらない本」「地道な学術書」「まじめに書. が何 か月か待 たなければ図書館 か ら借 りられない と報. かれたけれ どもた くさんは売 れなかった本」「を買 え たか もしれない」 とす る。ベ ス トセ ラーは「せいぜい. 道 されてい た」「発行部数が百万部 をはるかに越 える ような,ハ リー・ポ ッター・シリーズの如 きを公共図. 三冊買 えばよろ しい」「いつ で も貸出中で借 りられな い と思 った ら,他 の本 を読 むか もしれない」 し「あ き. 書館 は利用者 に提供すべ きだろうか」 と述べ てい る。 こうした主張 を並べ ると,こ の雑誌 に掲載 されたエ. らめて買 うか もしれない」「ベ ス トセ ラー をた くさん. ッセイの筆者 のすべ てが ,ベ ス トセ ラーの複本購入 に. 買えば,そ れだけ本 が貧弱 になる」 と主張 してい る。. 批判的であるかの ような印象 を受けるが,必 ず しもそ. また「単 にベス トセラー を読 みたい なんて人は, もう. うではない。やや異 った視点 か らの見解 を次 にあげ. 相手 にしな くていい」「『五体不満足』なんて ものを. る。. ,. 喜 んで五〇冊 も買 って閲覧者 に見せてい るのは,こ れ. 20。. 山之口 1960は 「新刊 のベ ス トセラー を大量 に. はまった く図書館 の使命 の怠慢 と言 うべ きものです。. 複本購入 した りす れば,そ ういった作者 はた しかに甚. 私 はそれはもう自殺行為 だ と思 い ます」 と述べ てい る. 大 な金銭的被害 を受 け るだろ う。 で も,ぼ くの よ う.
(8) 甲南女子大学研究紀要第 40号. 100. 文学 ・文化編 (2004年 3月. ). に,売 り上げ冊数が全 国の書店数 にも満たない駆け出. が 図書館 のステー タス を決める として,「 本当 に心 あ. し作家の場合,そ もそ も図書館 に しか作品がない地域. る運営 をするのであれば」「選書委員会 な り,運 営委. があった りするわけで,図 書館 に置かれて多 くの読者. 員会 とい うものを」「市内 の識者 に」依頼 し,推 薦 し. に作品 と名前 を知 って もらえる ことのほ うが大切 だ」. て もらう取 り組 みが あ っていい,「 図書館 の 司書 の. と述べ ている。. 方 々といって も,す べ てに日配 りで きかねますので. ,. 09.荒 俣 1947は 「一 回読 んだ ら捨 てて しまうよう. 本屋 の見計 らいで持 って きた」本 ばか りが入って しま. なベス トセラーや ノヴェルズ類 は,地 元 の図書館 か ら. うか ら「こぼれた ものを積極的 に拾 い集 める」必要が. 借 りて読 むほうがはるかに経済的 だろ う」「そ うい う. ある と述べ てい る。. 意味か らす る と,多 様 な図書館 が林立 して い る現状. 02。. 出久根 1944は 「図書館 は,本 なら何 で も置 け. は,当 然 とい えば当然 の結果である」 としてい る。 た. ばよい ものではない。書物置 き場ではないのだ。そん. だ し,そ うした図書館 は「どうもお もしろ くない。限. な こ とをすれば,破 裂す る。選別 しなけれ ば,な ら ぬ」 とする。一定 の時期 が くればベ ス トセラーなどは. りな く,お もしろ くないの で あ る」「地域 の 図書館」 「には,ふ しぎと,発 見がない」 と述べ ている。 阿刀田 1935は 「娯楽 のため に図書館 に足 を運. 03。. ぶ 人が増 えて くれ ば. (も. ちろん よい ことだ)」 として. 新古書店 で格安 で売 っているか ら「 この値 で求 め られ る本 を,図 書館 が備 えなければな らない もの か ど う か,だ 。 む しろ高価 な本 を購入すべ きだろう」 と述べ. い る。. る。 また「名著 の評判が高 い」森銑三著 『明治東京逸 聞史』 の ような図書 を,「 十年 に二人の貸出」 とい う. 4-2. ベ ス トセ ラーの複本購 入 に反対 す る作 家 の見解 を先. 利用 の少 なさで廃棄 にまわす ことに疑間 を呈 し,「 名 著 は,保 存すべ きだろう」 と述べ る。. に紹 介 したが ,そ う した観点 に立 つ と,資 料選択 に対. 19.石 川九楊 1945は ,「 いつ ごろか らか知 らな い. 図書館 の資料選択 につい て. が,入 館者数や本 の貸出回転数が図書館活動の評価基. して も,独 自の主張が提 示 され る こ とになる。 林 1949は 「図書館 の使命 は」「 どれほ ど質 の高. 準 となって きてい る」「利用度 が高 まる ことは図書館. い 本 をそ ろ えて持 って い るか」 にあ り,「 本 当 に読 み. にとって望 ましい には違 い ない」 としなが ら「それ ら. た くて も買えない ような本 をそろえるべ き」 とす る。. を基準 に置けば図書館 の蔵書が貸出回転率 の高 い,い. 01。. 「どん な地味 な本であれ,売 れない よ うな本 であれ. ,. わゆるベ ス トセラーや文庫 ,新 書等安直 な書物 の購入. 図書館 に行けば見 られると,こ うい うことが図書館 の 存在理由でな くて どうしますか」「図書館予算 の使 い. へ と向かい,逆 に学術書や専門書 の購入度が低下 し. 方 とい うものについてついて,公 共の図書館 であろ う. か」 と問題視 してい る。そ して 「実際 に利用す る経験. とも,や は リー定 の誇 りとい うものが なければい けな. 上言えば,極 端 に高価 な書物 ,稀 親書 ,大 型 の全 集や. い」 とい うのが林 の主張 である。 まず,第 一に優先 し て購入すべ きもの として,「 基礎的な工具書」「ツール. 叢書 ,あ るい はそれぞれの分野 で古典的 な価値ある底. ブ ックス」 をあ げ,そ れ は「辞 書 とか 事 典 ,索 引」. ,. 図書館 は貸本屋化 を進める ことは明白ではないだろ う. 本等 ,手 元 に置 くことので きない書物が確実 に,で き れば身近 にあることが図書館へ の期待 である。国会図. 「どん な研究 をす るにも必ず必要な もの」 である とす. 書館 と同程度 の図書館 が各地方 ブ ロ ックにひとつ,で きれば一県 に一箇所あればいい。そ こでゆ っ くり調べ. る。 また「ちょっと古 くなった逐次刊行物」 も手 に入 りに くいので図書館 での提供 を望んでい る。つ ぎに優. 物が で きるとい うのが理想 である」 と述 べ る。「図書 館が学者や物書 き用 のためにだけあればいい と言 うわ. 先すべ きもの としては「研究図書館 は,学 術書 とか学 術論文 の類 ,研 究書」 などを,「 公共図書館 はそ うい. けで はない。大衆 のために必要である」 としなが らも. 「類書」「図鑑 ,図 録」「古典体系 の ような全集叢書類」. うもの を買 う理由はない」 が,「 あい まい な言 い方 で すけれ ど」「 まじめな本 を」購入すべ きであ り,「 教養 的な本 ,あ るい は昔 の本 の復刻本」「そ の時期 をはず す ともう手 に入 らな くなる とい うよ うな少部数刊行 物」「内容が非常 にす ぐれ てい るので永久的 に持 って いて保存 されて しかるべ きだろうとい うような内容 の もの」が事例 としてあげ られてい る。資料 の取捨選択. 「大衆 に人気 があるか らと言 って,ベ ス トセ ラー本 や マ ンガ本 や ビデ オや CDを 所蔵 して貸 出せ ば いい と 言 うわ けではあるまい」「大衆 の娯楽 につい ては民 間 の書店や貸本業 に委ね,図 書館 は大衆 の 日常的思考 の ために価値 のあ る本 を備えるべ き」 とす る。. 23.星 野 1965は ,東 京 の世 田谷 区 に住 んで い るが 「い まや私 の図書館不信 は大 きす ぎて,自 分 で も処理 で きない ほどだ。館内の壁 に貼 ってある予約本 ベス ト.
(9) 佐藤 毅彦 :現代 日本 の文芸関係者 の もつ図書館観 の一断面. テ ン を見 るたびに,百 貨店 バ ー ゲ ン会場 を連想す る。. 意識 に直裁 にひびいて くる」 と述べ てい る。. 棚 を見 て も,こ れ な ら本屋 へ 行 け ば よか った と後悔 す. 4-3 現在 の図書館利用 について. る。 図書館 で ある理 由が ないの だ」 と述 べ てい る。 29。. 中村 1927は ,新 刊書 につい て「図書館が どの. では,こ の雑誌 の巻頭 エ ツセイの筆者 たちは,現 実. ように購入す る本 を選択 してい るのか」疑間 を呈 し. の公共図書館 の実態 をどの程度理解 した上で,先 に示. 「公共図書館 では誰が どの ように購入すべ き本 を選 ん. したような見解 を述べ ているのか。た とえば,次 にあ. で も,た ぶん一部 か らは非難 を免れないだろ う」 と述. げるのは,過 去 はともか く,現 在 は図書館 をほ とん ど. べ る。「公共図書館 のばあい,私 は普通 の市民 には入. 利用 していない とい うケースである。. ,. 手で きない ような,高 価 な事典 ,辞 書類 ,学 術書や少. 02.出 久根 1944「 現在 の私 は図書館 に出かける こ. 部数 のす ぐれた出版物 などを備えてほ しい と思 ってい. とは,め ったにない」. る」「公 共 図書館 が この種 の 図書 を購 入 して くれれ ば,せ っか く価値高 いの に,商 業的 に採算が とれない. 荒俣 1947「 地域 の図書館 が,ま るで託 児所 の ような風景 に変 わ りだ してからとい うもの,地 元 にあ. ため発行 で きない図書 も発行 しやす くなるにちがい な. る小図書館 には,足 を向けた ことが ない」. 09。. い」 とす る。その選択 には見識が必要で 「そうい う方. 10.荒 川 1949「 子供 の ころは別 として も,お とな. 針 をとると,公 共図書館 の利用者 の数 は減 る」 とい う. になってか ら図書館 にでかけた ことはほとんどない。. 事態 になって も,異 論 にた じろがない ような姿勢が重. 自分 の もの にな らない 本 を読 む気持 ちになれない」 「借 りた ものを読 む と落 ち着かない。本 は借 りるもの. 要 だ とす る。 これ らに示 されてい るように,公 共図書館 での資料 選択 につい ては,一 定 の基準 による選択 が必 要 で あ. ではな く買 うものだ と思 っている」. 21.山 本 1960「 今住 んで い る街 の 図書館 へ は,あ. 固人では入手 しに りもむ しろ「質の高 い」「高価 な」「イ. まり足 を運ばな くなった。高校 以前 ,本 は買 って読 む 方 だったのを次第 に思 い出 した らしい。図書館 を居心. くい」資料 を優先すべ きだ との方 向性 が 示 されて い. 地がいい とも感 じな くな った」. り,ベ ス トセラーの ように利用者 の希望が多い ものよ. る。. 22。. 小池 1959「 借 りなければ返 さな くていい」「図. やや質の異 なる見解 として,次 の ものが ある。. 書館 か ら足が遠のい た」「私 は図書館 の ことを何 も知. 06.目 黒 1946は 「現在 ,中 学や高校 の 図書室 には. らない。図書館 の本 は,一 体 , どの ような仕組 みで そ こに置 かれるに至 ったのか。選定方法や古 い本 の行. たとえば宮部 みゆ きとか,天 童荒太 とか,馳 周星 の本. ,. は置 いてあるのだろ うか。ち ょっと興味がある」 と述 べ てい る。 また,雑 誌 を編集 してい く際 に「掲載 され. 方 ,司 書 の方 はそこで何 をして何 を考 えてい るのか」. てい る座談会 の発言 でハ ッとしたのは, リクエス トに. 一年 に一度あるか どうかに過 ぎない」. ひたす ら応 えてい るだけで本 はまんべ んな く揃 うとあ る司書 の方が断言 してい る くだ りで,な るほどと感心. 29.中 村 1927「 い までは図書館 を利用す る こ とは また現在 の図書館 に対 して,不 満 ,不 信感 ,あ きら め,な どを表明 してい るケース を次 にあげる。. して しまった」 とし,「 数年前 にある地方都市 の公共. 01.林 1949「 小 金井市 の 図書館」 は「隣 の三 鷹 市. 図書館 の貸出 ラ ンキ ングを見 てい た ら,ベ ス ト20の. や ら小平市 ,府 中市 なんか と比べ ま して も」「三多摩 中最低 の レベ ルであ って,何 かを調べ ようと思 ってガヽ. 半分 以上 もジュブナイル文庫 が占めてい た」「それは ない だろ とい う気持 ちが私 の 中 にあった」「ところが 今回の座談会でその司書 の方 は,図 書館 は市民 が支え て くれるもので,な らばその市民 の リクエス トに応 え. 金井図書館 に行 って,そ れに対応す る文献があったた め しがあ りません」° 23。 星野 1965「 東京 の世 田谷 区」 に居住 して い る. ることが大事 なのでは ない か,と 発言 してい る」「本 の保存 か ら貸出へ , とい う七 〇年代 以 降の大 きな流れ. が,図 書館 で「探 してい る本 を発見で きないこ とが増. を背景 に置 け ば,こ れが正論 で あ る こ とが見 えて く. った」 ". えた し,心 ときめ く本 との偶然 の出逢 い もめ っき り減. る」「定価 五〇〇円以下 の本 ばっか り借 りるなよとい. 一方,実 際 に現在 の図書館 をよく使 っていて,そ れ. うのは,図 書館 は本 の保存 をして くれ るところだ とい. が文章 を執筆す る上で も有効 に機能す る施設 であ るこ. う私 の古 い考 え方が生み出 した偏見であ り,も はやそ. とを述べ ている事例 もある。. うい う時代 ではない」「 もっと開かれた図書館 にす る. 03.阿 刀 田 1935は 「一年 あ ま り前 ,自 宅か ら三百. ために奮闘 してい る図書館員 の生の声 は,旧 弊 な私 の. メー トルほどの ところに杉並区立図書館の分館が増設.
(10) 甲南女子大学研究紀要第 40号. 102. 文学 。文化編 (2004年 3月. ). された。蔵書 は少 ない けれ ど,私 は よ く利用 して い. 理 な システム作 りは破綻す る」「資料調査 のバ ックボ. る。 とて も重宝 してい る」 とい う。「著述業者 で あ る. ー ンには,膨 大な文献 カー ドの存在がある」 としてい. 私 と資料 との関わ りは当然 のことなが ら普通 の人 よ り. る。 これは「本 の備忘 カー ド」 で「このカー ドには. ず っと深 い」「職業が らい ろい ろな資料 を幅広 く利用. 書名,作 者,出 版社 ,刊 行年 ,定 価 を書 くのは もちろ. しなければならない」「仕事 なのだか ら本当 に必 要 な. んだが,参 考図書 の 『所蔵』先 も記入す る」「図書館. もの なら糸 目をつ けない」「そ うい う私 の立場 か ら言. 名 をゴム印でつ くってお り,そ れを押 してい る」 とい. えば,創 設間 もない,そ れゆえに蔵書 の不十分な図書. う。そのカー ドの作 り方 は「参考文献表 ,新 聞広告. 館 は,ほ とん ど利用価値 が ない よ うに思 われが ちだ が,さ にあ らず ,ち ょい ちょい通 っている」 と述べ て. 『これか ら出る本』,雑 誌 の書評 ,図 書館 の新着図書 ニ. い る。「杉並 区 では. (他. 区 の こ とは詳 らかで ない が. ). ,. ,. ュース などを見て情報 を入手 したら,す ぐにカー ドを 作成」 し,「 千葉市立図書館 にある コンピュー タ端末. 区立図書館 の ネッ トワー クが整備 され,う まく機能 し. で,市 立 図書館 の どこに所蔵 されてい るか調べ ,あ れ. てい るようだ。近所 の図書館 だけでは不十分 だが,区 立の中央図書館等 々は長 い歴史を持 ち十分な蔵書 を保. ばその 図書館 名 の はん こ を押 し,分 類 番号 (NDC) を書 く」「ない場合 は千葉県立図書館 へ行 き,書 名別. 持 してい る」 か ら,分 館 で,コ ンピュータ検索 を行 な. 図書 カー ドボ ックスか ら検索す る。県立図書館 にもな. い,中 央図書館 にある ことが分 かれば「翌 日の午後 に. い場合 は,国 会図書館や神奈川県立 の川崎図書館 (社 史が充実 してい る)で 検索す る (市 立 ・県立図書館 に. はカウ ンターの うしろの書棚 に求 める資料が並んでい る」 と述べ ,具 体例 として最近 ,全 集 の うちの一冊 を この方法 で利用 した ことを紹介 してい る。そ して「こ. あると分か った本 も一応検索する)」 とい う。「所蔵先 別 にカー ドを分け」 てお き「国会図書館へ行 くときに. のあた りに,普 遍的な図書館利用法 の ヒン トが潜んで. は国会図書館 のカー ドだけを,川 崎図書館 に行 くとき. い るように思 える」「なに しろ蔵書 の少ない 図書館 が. には川崎 のカー ドを持 って行 く」「 どこに も所蔵 され. 職業的な文献利用にもちゃんと役立 っている事実が こ. てい ない本 は 『購入希望』へ分類 し,年 代 が古 くて絶. こにはっ き りとある」 と して い る。 また,図 書館 の. 版 の本な ら『古本屋 で探す』へ分類す る。『購入希望』. 「 リファレンス」 については,「 どの分野 で もかまわな. で も,お 金には限 りがあるので,な るべ く図書館 にリ. い。あ る分野 について明 るい図書館員が,な ん とな く. クエス トして買 って もらっている」 とい う。その際 に. いて くれそ うな気配,そ れが図書館 と貸 し本屋 との決. 「大衆小説やサブカル本な ら市 立 図書館 に,学 術書 は 県立図書館 にと, リクエス トは図書館 のカラーで使 い. 定的 なちが い なのだ」 と述べ る。. 05.串 間 1963は ,実 際 の調査 と図書館利用 につい て,実 例 を挙げなが ら以下のように, くわ しく紹介 し. 分 ける」「図書館 の役割分担 を考 える ことが大事」 だ とする。. てい る。「例 えば,即 席食品の歴史 を調 べ たい とフ ト. 06.目 黒 1946は ,「 個人的にも筆名を使 って評論 を. 思 った とき,私 は まず,国 会図書館 に向 か」 い,「 主. 書 い て い るので,そ の資料 関係」 で利用 して い る。. に書籍や業 界紙 ,社 史 を資料 として使」 って,「 NDC. 「原則的 には本 は購入す る主義 なので,新 刊 を借 りに. 本十進分類法)の 索引書 で,調 べ たい分野 の 図書. い くことはないが,絶 版本が必要になるときには,真. 番号 の当た りを付 け,一 階にある,蔵 書 カー ドボ ック ス を引 き出 しごと引 き抜 き,カ ー ドをた ぐりなが ら必. っ先 に図書館へ」行 くとい う。「資料類 はその とき役. (日. 立てばいいので,永 遠に持 っている必要 はな く,そ う. をもとに書籍 カウンターで資料 を請求す る」 ことを紹. い うときは図書館 が い ちばんいい」 とし, 必要な音Б 分 ペー ジだ けの ときは,図 書館 のほ うが便利 で あ が数. 介 してい る。「資料 を受 け取 ったあ と,私 は抄録作 り. り,具 体例 として調 べ もの を して い た際 に利用 した. に入る。資料 を読みなが ら,重 要な記述 ,有 用な情報. 『男鹿市史』『 日本競馬史』などを図書館 で利用 した経 験 を述べ てい る。 また「本 に関す る雑誌 を発行 してい. 要な文献 を探 し,『 文献 カー ド』 を作 る。そ の カー ド. をリー フに書 き出す」「この とき注意 してい るのは. ,. 一 リーフに一テーマ とい う原則 を守 ること」「本 を執. る会社 の仕事 で も図書館 の存在 を欠かす ことはで きな. 筆 する とか,原 稿 を依頼 されたとき,私 はそれに関連 す るリー フを各バ イ ンダーか ら抽出 し,パ ソコンに入. い」 として,編 集作業 の際 に「原稿 に引用文があった. 力す る。大 ていは,年 表 になることが多 いので,こ れ. 館 にお世話 になる」「図書館 が存在 しなか った ら我 々. を もとに文章 と しての 肉付 け を して い く」「これ を. の仕事 は成 り立たない と言 って も過言ではない」 と述 べ ,都 立中央図書館が,調 査 の質問 に電話 で回答 して. 『知的生産』 のための方法 と意識 した ことはない」「無. りするとすべ て現物 をあたる」 ので「そのたびに図書.
(11) 佐藤. 毅彦 :現代 日本 の文芸関係者 の もつ図書館観 の一断面. 103. くれ るサ ー ビス を知 ってお どろい た ことについ て もふ. じゃな くて, もっと主体的 に,本 当 は何 を しなければ. れて い る。. いけないか とい うことを,深 甚 の反省 を加 えて考 え直. 20.山 之 口 1960は ,「 月 に二 ,三 度 は図書館 に足 を 運 ぶ 。家 か ら くる まで十五分 ほ どの ところに,市 川市. してみる,そ うい う図書館 が これか らは出て くるべ き」 だ としてい る。. 中央 図書館 が あ って ,こ こは市 の 図書館 としては充実. 06.目 黒 1946は 「定価 五〇〇円以下 の本 ばっか り. した四十五万冊 の蔵書 を備 え, レフ ァレ ンス ・サ ー ビ スの 質 も比較 的高 い か ら,普 段 の調 べ もの に重宝 して. 借 りるなよとい うのは,図 書館 は本 の保存 を して くれ るところだとい う私 の古 い考 え方が生み出 した偏見で. い る」 とい う。「 ここに な い 本 は ,広 尾 の 都 立 中央 図. あ り, もはやそうい う時代 ではない」 とする。. 書館 か,国 立 国会図書館」 で探すが ,閉 架式 で,複 写. 阿刀田 1935は ,「 図書館 に所蔵 されている本 を わざわざ自分で持つことはない」「図書館 とのタイア. 依頼 を利用す ると,時 間 と複写代がかか るが「ぼ くが 探す よ うな 日本語 の本 な ら,こ れでた い て い見 つ か る」 と述べ てい る。 このように,文 芸関係者 で も,実 際 に公 共図書館 を 利用 してそのサ ービス に充足感 を感 じてい ることが エ ッセイに描 かれてい るのであ り,こ う した人 たち ,. は,ベ ス トセ ラーの複本購入 に反対 した り,「 高価 な」 「個人 で買 えない」資料 を図書館 が収集す るべ きだ. 03。. ップを考 えること」が必要とする。ただし「リファレ ンス・ブックを充実させること」 については「よい も のを身近 にそろえてお くほうがよろしい」「もちろん 図書館 にも」あるが「この手のものは,そ ば近 くにあ るほうがあ りがたい」 として,そ うした資料は4固 人で 購入 してい るとい う。具体例 として『日本国語大辞. 現在 の図書館 の資料選択 に異議 をとなえてい るエ ッセ. 典』 (小 学館),『 角川 日本地名大辞典』 (角 川書店), 『世界名著大辞典』 (平 凡社),『 国書総 目録』 (岩 波書 店),『 日本人物文献 目録』 (平 凡社),『 内容細 目・作. イの筆者 は,ほ とんどが,現 在 は図書館 を利用 してい ないか,自 らの要求す るサ ー ビスが図書館 で提供 され. 品論文図書目録』 (図 書館流通センター)な どがあげ られている。. ,. とは必ず しも言 ってい ないのである。先 に紹介 した. ,. てい ないこ とに失望 してい る人たちなのである。 た とえば,国 立国会図書館での対応 についてふれて. 5.お わ り に. い る例 で も,次 のような違 いがある。 林 1949は 「大英図書館 で も,ケ ンブ リッジで. 1979年 に NHKで 放映 され,そ の後 も何 度 か再放. も」司書 が閲覧者 の席 に本 を持 ってい くことを紹 介. 送 された,向 田邦子原作 『阿修羅 のごと く』が ,映 画. し, 日本で は「みんな司書 とい うものは出納台 の とこ. 化 され,2003年 秋 に公 開される ことになった. 01。. 1)。. この. しだあゆみ)が ,図. ろにふんぞ り返 っていて」「閲覧者 は貴重 な時間 をた. ドラマでは,四 人姉妹 の三女. だの順 番待 ちで待 たされて,無 駄 に してい ます」「そ. 書館 に勤 めてい るキャラクタに設定 されてお り,映 画. の諸悪 の根源 は国会図書館」「あそ こに行 くと待 つ 時. の公開に先立 って,NHK衛 星放送 (BS H ch)で ,2003. 間ばつか り長 くて,全 然 なんにも勉強で きない」 とす る。. 年 7月 に再放送 された。あいかわらず ステ レオタイプ の女性図書館員が,最 近 のテ レビ画面 に登場 してい た. 串間 1963は 「利用者が多 い ため,請 求 した書 ・ 籍 雑誌 が出て くるまでに時間がかかる」「十七時 の. わけである。 また,同 じく,2003年 夏 に松浦亜弥が 歌 った 『Good― bye夏 男』 の歌詞 には,「 図書館 でバ イ. 閉館時間な どあ っとい う間 だ」 としなが ら,「 時間 を. トしてた ら」「イメー ジで 『ま じめな子』 にキ ャラ設 υ 定 されちゃた」 とい うフレーズが使 われてい た 。 一 方 ,2003年 春 に刊行 された 『知 のテ ーマパ ー ク. 03。. 有効 に活用す る方法」 として,図 書 と雑誌 の資料請求 票 の 出 し方 を工 夫 した り,一 般研 究室 を利用す る と 「二〇時 まで利用可能」であることを紹介 してい る。 また,図 書館 と個人蔵書 の関係 や図書館の将来像 に ついての見解 を次 にあげる。. 01.林 1949は 「図書館 の使命 は」「どれほど質の高. (い. お もしろ図書館 であそぶ』 に,高 野文子 による「エ ッセ ー・図書館 は,は ず か しい マ ンガ・る きさん」 が掲載 されてい る。「るきさん」 の ネームでは,「 十年 前 と比べ て図書館 は変 った。 まずパ ソコンがはいった はけ っこうあ. い本 をそろえて持 っているか」 であ り,取 捨選択が図. し,そ のかわ り喫茶室がな くなった. 書館 のステー タスを決 める,と い う。「図書館が ただ 座 っていて どんどん閲覧者が増 える,増 やすためにベ. ったの よ)。 かわ らないのは鉛筆 の短 い ことと,職 員. ス トセ ラー をた くさん置 くなんてい う,そ うい う方向. (前. さんの笑顔 だわね」「一番変 わったのはお客 さんか し ら。前 は来 てなかった人が来 るようになった」 と述べ.
(12) 甲南女子大学研究紀 要第 40号. 文学 ・文化編 (2004年 3月. ). られてい る3。. の ,調 査研究 のため に必要 な資料 が ,「 そ の場 で」 開Π. 今回分析対象 としたエ ツセイの著者の一人である目 黒孝二は,そ の著書 『だか らどうしたとい うわけでは. 座 に」提供 され る こ とを最優先 に考 えて い る6そ のた. ないが。 』 の中で,「 幼 いころから図書館 を利用 した こ とがほ とん どない」「なんだか 『コワイところ』 の よ. で ,ベ ス トセ ラー や娯楽 の本 を求 めて 図書館 にや って. うな気が していた。その 『コワイところ』 とい うイメ ー ジは,当 時 の図書館 が持 っていた 『威厳』 と無縁 で. て よい ,「 待 つ のが い や な ら自分 で購 入す れ ば よい で. はない と今 なら納得する」 (p.128)「『中小都市 におけ. 至上 の もの とす る」考 え方 で あ る と言 えるので はない. ト)』 の結論 は」「今. か 。今 回分析対象 と したエ ッセ イの筆者 で も,実 際 に. る公共図書館の運営. (中 小 レポー. め に,資 料 費 をその分 野 の 資 料 に重 点 的 に使 う一 方 くる利 用者 は,「 待 たせ れ ば よい」 か ら複 本 は 少 な く はない か」 とす る。 それ は「 自 らの 要求 のみ を正 当 で. か ら振 りかえる と『利用者至上主義 &貸 出至上主義』. 図書館 を利 用 して い る人 た ちが ,図 書館 の 協 力体 制. の もとだ と言 われて も仕方の ない ところはあるが,貸. や ,単 純 な分担収集 とは異 なる意味 での 図書館 ご との. し出す ことよ りも本 を大事 に取 ってお くことを第一義. 役割分担 を理解 した上 で ,身 近 な図書館 に依 頼 した資. にする旧来の考 え方 に対す る明確 な反旗 であ り,革 命. 料 が 届 くの を待 ってい た り,求 め る資料 の 内容 に よっ. 的な宣言 だった事実 は消えない。幼 い私が感 じた図書. て 図書館 を使 い分 け る ことを主張 して い るの とは対照. 館 の怖 さは,つ まり貸出 しより保存 を大事 にする旧来. 的 であ る。. の 図書館 が 持 っていた威厳 に対す る恐怖 だった とも言. 雑誌 『図書館 の学校』 に掲載 され たの巻頭 エ ツセ イ. え るので あ る」「図書館 が 多 くの 利 用者 に 開放 され て. には ,図 書館 の状況 を一 定程度理解 して い る言説 も含. そ の威厳 を捨 てた こ とが はた して よか つた こ となのか. まれて い るのであ り,そ う した考 え方 が 文芸 関係者 全 体 に広が っていか ないの は ,図 書館 のが わ に も責任 が. 4。. ど うか は別 の話」 (p。 134)で あ る と述 べ て い る. 文芸 関係者 の イメ ー ジす る図書館 につい ては ,一 部. ない とは い えない 。公貸権 の 問題 に関連 して ,図 書館. の 人 たちはか つ ての 「威厳」 の あ る図書館 に復 す る こ. 協 会 な どが 中心 となって ,公 共図書館 の実態調査 が 実. とを求 めて い る, と言 って もいい だろ う。知 的階層 な. 施 され る こ とになったが ,そ う した具体 的 な状況 を示. ど,限 られた少 数 の 人 たちが ,調 査 ・研 究 目的 で利用. して ア ピールす る こ とが重 要 な ので あ る. す る ,目 的 の は っ き り した利 用 者 を相 手 に 「質 の 高. 実情 をふ まえない文芸 関係者 の発言が , くりか え しメ. い」「高 価 な」「イ 固人 で 対 応 で きな い」資 料 を提 供 す. デ イアに と りあげ られ る と,あ たか もそれが事 実 で あ. る,ま た個 人で は保存 で きない よ うな雑誌 や貴重 な資. る こ とを前提 と した よ うな議論 が まか りとお る こ とに. 料 な ども図書館 にはお い てお く,娯 楽 の ための資料 は. な りかね ない 。図書館 関係 者 の適切 な対応 が 求 め られ. 最小 限度 に とどめ ,ベ ス トセ ラー な ども何冊 か は購 入. て い る。. す るが ,現 在 の よ う複本 を大量 に購 入 して無料 で貸 出. 5)。. 図書館 の. 今 回 は時期 とテ ーマ を限定 したが ,『 図書館 の学校』. す こ とは しな い , とい う方 向性 で あ る。 しか し,そ う. の巻頭 エ ッセ イを分析 す る こ とで ,文 芸 関係者 の 図書. した見解 を表 明 して い るの は,現 実 の 図書館 をほ とん. 館観 をさらに異 なる観点か ら明 らか に した い と考 えて. ど利用 して い ない か ,あ る い は 自 らの 要求水準 が公 共. い る。. 図書館 の実態 を無視 して い る とい えるほ ど高す ぎるた め に,実 際 の 図書館 サ ー ビス に満足 で きないで批判 的 になって い る人た ちなので ある。 そ の場 にない資料 を提 供す るための 図書館 ネ ッ トワ ー クはす で に形成 されてお り,そ う した ネ ッ トワー ク の存在 を前提 に利 用す る こ とが ,阿 刀 田 のい う「普遍 的 な図書館利用 の ヒン ト」 となって い る。 また ,串 間 が 「図書館 の役割分担 を考 える こ とが大 事」 と して い る よ うに,身 近 にあ る図書館 はひ とつの 窓口 と考 えれ ば ,そ こか らさらに多様 な資料 が 利用可能 であ り,必 要 な らば ,国 立 国会図書館 な どの資料 も取 り寄 せ て も らう こ とがで きる。図書館 に批 判 的 な文芸関係 者 は. 注 は じめに 1)「 ベ ス トセラーをめ ぐる攻防 作家 vs図 書館」 (NHK 『ク ローズ ア ップ現代』2002年 H月 7日 放送)番 組 の. l。. ,. そ の こ とを認 め よ う と しない で ,自 分 たちが 求 め る も. 中では,作 家 の井上 ひさ しが イ ンタビューに応 じて い る。 また,井 上 は,雑 誌 の イ ンタビュー にこたえて,「 お 金が ないんですか ら,そ れぞれの図書館 は専 門化す る しかない」「予算 のないた くさんの図書館が専 門化 し ネ ッ トワー ク化すべ きだ」 と述 べ て い る。出典 は,次 ,. の とお り。 井上 ひ さ し「巻頭 イ ンタビュー 図書館 は専 門化 し て い くべ きなのです」毎 日ム ック・ア ミューズ編 『知 のテ ーマパー ク お もしろ図書館 であそぶ 専 門図書.
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