• 検索結果がありません。

送りがな法について

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "送りがな法について"

Copied!
12
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)送 りが な法 につ いて 真. 下. 良Б. 昭和45年 5月 27日 付 を も って ,国 語審議会 かな部会 か ら「 改定送 りがな の. '. つ け方 (案 )」 が 発表 された。 この案 は,昭 和 41年 6月 13日 文部大 臣 か ら同l 会 に,「 国語施策 の改善 の具体策 につ いて」 とい う諮 問 が あ った のに対 し. ,. 当用漢字 音訓表 とともに と りあげ られた問題 で ,爾 来 ,か な部会 で検討 され て きて ,こ のた び答 申とな った もので あ る。「 改定」 とい う名称 が 付 せ られ て い るのは,現 行 の送 りが な法す なわ ち昭和 34年 7月 11日 の 内閣訓令第 1号 ― と内閣告示 第 1号 とによ って 発表 された「 送 りがなの つ け方」 に対 す る改定. :. 案 とい う意味で あ る。 したが って改定 案 が答 申発表 され るや「 い かな る点 に いか な る改定 が加 え られたか」 が論 議 の 的 とな り,日 下 同会 は広 く各界 各層 の意見 を求 めて い るが ,そ のた め,改 めて現行 の「 送 りがな のつ け方」 が再. :. び認識 され るよ うにな った。. 標題 の「 送 りが な法 につ いて」 とい うのは,以 上 の新 旧両案 に つ いて 考察 を 試 み るとい う こ とで あ る。. 送 りが なの つ け方 には,古 来 い ろ い ろな方式 の ものが あ る。平安 時代 の「 三 宝絵 詞」 の よ うに,「 刀ナ」「 夜 ル」 のよ うに名詞 に送 った の もあ る。 そ う い うい ろ い ろな ものの 中 で ,特 に上記の両者 の送 りが な法 を と りあげ,そ の. ,. 表記 とその 中 に見 られ る意識 の変化 を探 ろ うとい うので あ る。. :.

(2) 送 りがな法について まず現行送 りが なを と りあげよ う。 この制定 の方 針 は,次 のよ うに書 かれ て い る。 この「 送 りがなの つ け方 」 は,現 代 国語 文 を書 く場合 の送 りが なの つ け. 一. 方 のよ りど ころを示 した もので あ る。 二. この「 送 りがなの つ け方 Jは. 1 2 3. ,. 活用語 および これを含 む語 は,そ の活用語 の語尾 を送 る。 な るべ く誤読 0難 読 の お それ のないよ うにす る。 慣用 が 固定 して い ると認 め られ る ものは,そ れ に従 う。. の 3か 条 を方 針 と して定 めた もので あ る。 三. この「 送 りが なの つ け方」 の通則 は,便 宜上 ,品 詞別 に配 列 した。 (以 下 省 略)(ま えが き). これ に対 して ,公 布 当時 の批評 ははなはだ まち まちで ,そ の合理 性 を激賞 ` す る人 もあれ ば,反 対 に,稀 代 の悪法 で あ るときめ つ ける人 もあ り,あ ま り に煩 瑣 なため到底 普及す るにいた らな い だろ うと危惧 す る人 もあ った。結局 1時 がた つ につ れて. ,最 後 の危惧 は現実 とな り,現 代 で は これ に従 って い る人. は きわ めて少 な い状態 で あ る。 この送 りがな のつ け方 の特徴 は い くつ か あ るが ,そ の主 な もの は,次 の諸 点 で あろ う。 ―. 制定 の基本方 針 が 国文法 の知 識 を基礎 と して立 て られ て い る。 これ は前記 の「 まえが き」 によ って も明 らかで あ る。「 活用語」 とか「 活. 用語尾」 とか「 品詞別」 とか 国文法 の 術語 を用 いて い る事 か らも,配 列を「 1品 詞別」 に して い る事 か. らも推察 で きる。 つ ま り送 りが なを必要 とす る語 を. ,国 文法 の単語分類 に用 い られ る「 品詞」 の概念 が その根底 に 潜 め られ て い るので あ る。文 を組 み立 てて い る最小単位 は単語 で あ るが ,そ. :選 び 出す のに. の単語 はいろ い ろ と異 な った性 質 を持 って い るか ら,そ れ らを分類整理 しよ うとすれ ば,そ れぞれの性 質 を明 らか にす る学 問的体系 によ って律 す ること :が 必要 で あ る。 その学 問的体系 の うちで. ,ま ず考 え られ るの は国文法 で あ る。. したが って送 りがな の対 象 とな る語 につ いて 規定 を 作 るのに,国 文法 を適.

(3) 真 下 三 郎`. θ. ′ 用 す ることはそれ ほ ど不 自然 で はない,と す る考 え方 の よ うで あ る。 送 りがなの つ け方 の規則 をで きるだ け多 くして い る。. _二. 現 行送 りが なの つ け方 は,品 詞別 に規 則 が設 け られて い る。 た とえ ば 冒頭 │「. 動詞」 の部 の 1項 と 2項 とを 挙 げ ると,次 のよ うで あ る。. 1. 動 詞 は,活 用語 尾を送 る。 例. 書丘. 読量. 生 きる. │. 考える. │た だし,次 の語は,活 用語尾の前の音節から 送る。. 表をす. 著とす. 現われる. 行なう. .断 ⊇る. 賜ねる. 群がる. 和らぐ. ` 2. 脅かす. 異なる. 活用 しない部分 に他 の動詞 の 活用形 または それ に準ず るものを 含 む 動詞 は,含 まれて い る動詞 の送 りがなによ って送 る。. 1例. 浮金 ぶ (浮 く)動 か す (動 く)及 ぼす (及 ぶ)語 らう (語 る)│. 間三える (聞 く)積 生る (積 む)照 二す (照 る)計 ■ う (計 る). :向 金 う (向 く)起 生す 0起 三 る. (起. きる)終 金 る (終 える). 悔聖む (悔 い る)定 まる (定 ある). i. ・. す こぶ る懇切周到であるが,か ように しそ動詞 6項 ,形 t容 詞 5項 ,形 容動 i詞. 4項 ,名 詞 6項 ,代 名詞 1項 ,副 詞 4項 ,合 計26項 にわた っている。 いい. jか. えれば微に入 り細を うが って遺漏 のないことを期 しているので あ る。. 三 例外が広 く考 え られて い る。 現行 の送 りがな法 は,そ の規員Jの 中に「 ただ し」 とい う書 き出 しで,特 記 している部分がある。形容詞 と名詞を例示 しよ う。 ○形容詞は,活 用語尾を送 る。語幹が「 し」 で終わ るものは,「 し」 か ら 送 る。. 例 暑霊. 白霊. 高堂. 若堂. 新Lい. 美Lい. 苦Lい. 珍 しい た だ し,次 の語 は,活 用語尾 の前 の音節 か ら送 る。 明 るい. 危 うい. 大 きい. 少 ない. 小 さい. 冷 たい.

(4) 4. 送 りがな法について 平 たい. ○名詞 は送 りがなを つ けな い。 例. 頂. 帯. 畳. 趣. 隣. ただ し次 の語 は,最 後 の音 節 を送 る 哀れ. 後ろ. 誉れ. 災い. 幸い. 互い. 半ば. 斜め. 情け. この「 ただ し」 の項 が「 例外」 と見 られ る もので あ る。 そ もそ も「 例外」 は ,本 則 で律 しきれ な い ものが あ る場合 に設 け られ る。 い わ ばひ とつの便法 で あ って ,規 則 や 法令 には常 に見 られ る もので あ る。「 送 りが なの つ け方」 の 中 に「 例外」 が 現 われ るのは当 然 で あ ると思 われ る。 四. 慣 用 を重 ん じて い る。. 「 送 りがな のつ け方」 に現 われ る「 ただ し」す なわ ち「 例外」 の 内容 を見. ^. ると,世 間 の慣用 か ら来 て い る ものが 多 い こ とに気 づ く。 た とえ ば「 大 きい」「 小 さい」 「 幸 い」「 互 い」「 哀 れ 」「 大 い に」「 直 ち に」 な どは本則 か らはずれた例外 と して掲 げ て い るが,い ずれ も世 間 で慣用 的 に使用 されて い る もので あ る。 その他. ,. 帯止. 気持. 綱引. 封切. 編物. 受身. 掛図. 献立. 座敷. 関取. 手当. 頭取. 仲買. 場合. 番付. 日付. 歩合. 物語. 役割. 座敷. 夕立. 両替. 小包. 植木. 織物. 係員. 切手. 切符. 消印. 立場. 建物. 受付. 受取. 書留. 組合. 踏切. 振替. 割合. 割引. 取 締役. 待合 室. 金詰 り. 身代 り. な どそ うで あ る。 特 に名詞 で は「慣 用 が固定 して い ると認 め られ る次 の語 は,送 りがなを つ けな くて もよ い」 とい う 1項 を設 けて 卸. 組. 恋. 雇. 舞. 巻. 志. 次. ,. 富. 恥. 話. 光. を 例示 して い るので あ る。 みな慣用 を重ん じて例 外 と して処理 してで も,そ.

(5) 真 下. 三. 郎. れ を生 か そ うと した もので あろ う。 五. 本則 な らびに例外 にで きるだ け多 くの実例 を示 そ うと して い る。. 「 送 りがな」 の よ うに,国 民 に実施 を望 む規則 は,具 体例 を示す ことが必 要 で あ るが ,こ の「 送 りがな のつ け方」 はその努力を十分 に して い る ことが 認 め られ る。「 本則」 で は動詞34語 ,形 容詞22語 ,形 容動詞 17語 ,名 詞 33語 , 代 名詞 3語 , 副詞 11語 計 120語 ,「 例外」 で は動詞 10語 ,形 容詞 7語 ,名 詞 116語 計 133語 ,合 計253語 の 多数 にのぼ って い る。. 以上 は現行 の「 送 りがな のつ け方」 の特徴 と見 られ る点 で あ る。 しか し間 題 は,こ れ らの特徴 は,規 則 と して よい特徴 で あ るか ,悪 い特徴 で あ るか. ,. とい う点 で あ る。少 な くとも送 りがな の よ うに,法 律 や 法令 と違 って ,積 極 的 に使用 を勧 奨 す る性質 の もので は,「 実 際 に使用す る上 に役 だつ 特徴 こそ よい特徴で あ る」 とす べ きで あろ う。 以 下 その点 か ら,前 記 の特徴 の 善悪良否 を 考 えてみ よ う。 一. 第 一 の「 国文法 の知識 を規則 づ くりの基 本方 針 に置 いて い る点」 で あ る。. これ は必ず し もよ い特徴 とはいえない。 す なわ ち国 民大衆 はほ とん ど国文法 と無縁 の場 合 が多 い。 国文法 は学校時代 で も歓迎 され な い学 科 で あ ったはず で あ る。 したが って 国民大衆 に とって ,名 詞 とか 動詞 とか形 容動 詞 とか は遠 い過去 の 印象 にす ぎな いで あろ うし,活 用 とか語尾 とか音節 とか の名称 もす で に記 憶 に定 かで はないで あろ う。 この世 間 に文 法 の知識 を正確 に持 ちつづ けて い る成人 はそ も幾人 い るで あろ うか。 そ うい う国民大衆 に縁 の薄 い 国文法 を真 向 に振 りか ざ して ,す べ てを割 り 切 ろ うと して い る点 が,言 語生活 に必 要 な送 りがなを ,国 民大衆 か ら遊 離 し た ,と っつ きに くい規則 た らしめて い るので あ る。折 角「現代 国語文を書 く 場 合」 (ま えが き)の 依 るべ きものを 作 ることを念願 としなが ら,現 代 国語 文 か ら遠 い専 門家 的な国文法意識 を強 くうち出 して い ることが ,「 送 りがな のつ け方 を 含 む 国語 問題 は,一 部学者 の手 す さびにす ぎな い」 と非 難 させ , 「 国語 国題 を 国民大衆 に返せ 」 と叫 ばせ て い るので あ る。.

(6) f. 送りがな法について 品詞 と活用 とを 重 視 したため,た とえ ば,こ れ まで にか つて 無 か った形 の. 「 終 わ り」 や「行 な う」 や「 現 われ る」 な どが設定 され ,国 民大衆 に「 か な を 送 りす ぎ る」 とい う印象を 与 え ,一 部 の人 た ち の 間 に,「 漢字撲滅論 の下 工 作 で は な いか」 とか ,「 国字 をかな も じ化 な い しは ローマ字化す る意 図 が あ るので はないか」 な ど と疑 いの 目を も って見 られ ,大 紛争 を ひ きお こす原 因 とな ったので あ る。 これ はみな,専 門的意識過乗1に よ る専 門術語 の用 いす ぎ のた めで あ る。 なお この た びの 改定案で は,ま ず「 送 りがな」 の性格 を 定 め て ,「 法令・ 公 用 文書 ・新 聞 ・雑誌 ・放送 を 含 む一般社会 」 で 用 い る もので あ ることを 強 調 して い るこ とは,文 法意識重視 を避 けよ うと した姿勢 が見 られ る。 こ の 点 か ら改定 案 は「 語 の分類 を 品詞別 に しないで ,送 りがな の本質 を 国語 の 性格 に見 い だ さね ばな らな い」 と し,語 を「 単 一 の語」 と「 複合語 」 と に分 け, これを さ らに「 活用す る語」 と「 活用 しない語 」 とに分 け,後 者 には送 りがなの必 要 はな く,前 者 の「 活用す る部分 にかなを送 る」 と して い るの は,文 法一辺倒 の現行法 に比 して ,深 い反省 の あ とが う か が わ れ る。. .第 二. の「規則 をで きるだ け多 くして い る」 こ とも,ま た決 して よ い特徴. と はいえ な い。 む しろ悪 い結果 を招来 して い るとい って よい。昔 か らい われ るよ うに,「 法 は三 章 で 足 る」 ので あ る。規則 は,守 る者 に とって は,少 な けれ ば少 ないほど有効便利 で あ る。 その意 味 で ,「 送 りがな のつ け方」 は,前 記 の よ うに,26項 に及ぶ本項 と. 6項 の例外 とを擁す る多数繁雑 な規則 で あ るか ら, これを用 い る国民 大衆 に と って は,一 見 しただけで もま ことに煩 わ しく,覚 え に くく,守 りに くい も の とい う印象を 与 え ,お のず と敬遠 させ る結果 とな って い る。整理 すれ ばま だ まだ整理 で きる余地 は,い くらも発見 で きよ う。 この点 この たびの 改定案 は「 法則 をで きるだ け簡明にす る こと」 を根 本 方 針 と して,「 極 力単純化 ,簡 易化 を図 った」結果 ,わ ずか に 9項 の通則 に まとめ られて い るのは,は るか にす ぐれた着 眼 で あ る。.

(7) 真 下 _三. 三. 郎. 第 二 の「 例外 を 多 くして い る」点 も,ま た立 案者 の考 え方 とは逆 に,使. 用 者 で ある国民大 衆 に,い た ず らに混乱を生 じさせ ,規 則 に不信感 を抱 かせ る とい う悪 結果 を 出 して い るので あ る。 例外 とい うものは,種 類 や性 質 の異 な った要素 が多 くて ,た だひ とつ やふ た つの通則 で は容易 に律 しきれ な い場合 にのみ ,や むを得 ず設 け られ るもの で あ る。 した が って ぃっ の場合 で も,少 数 の通則 だけで 割 りきれ るものが最 もす ぐれた規則 で あ って ,反 対 に,例 外 が多 いほ ど悪法 で あ るといえ るので あ る。 現行 の「 送 りがなのつ け方 」 は, 6項 の 例外 を設 けて い る こ とは前記 の と お りで あ るが ,そ の どの項 目を とってみて も,例 外 と して挙 げ るよ りも,む しろ本則 と して組 み入 れ るほ うが適 当で あ ると思 われ るもので あ る。 た とえ ′ ば「 ア ラワス」 は本則 で いえ ば「 著す」 で あ るが ,こ れ は例外 には い って い て「 著 わ す」 と表記 せ よ とな って い る。 なぜ 「著 わす」 と「 わ」 を送 るか と 'い. えば,「 わ」がなければ「チキクス」と読み誤るからだというためらしい。. しかし「著す」を「アデヮス」と読むが「チャクス」と読むかは,地 の文の :文 脈 や 意味 のいかん によ ることで あ って 1の. ,そ うい う場 合 は正 しい読 み方 がお. ず と 出て きて ,さ ほど読 み誤 る こ とがな い。 1こ. `. の こ とは,こ のたびの改定案 で は十分 に考 え られ て いて ,「 読 みちが. え るお それが あ るか ど うか も,常 にそのおそれがあ るもの と,文 脈 によ っ て ,ま た場面 によ って ,必 ず しもそ うで な い もの とが あ る」 とい って ,行 き届 いた考察 を 示 して い る。 ともあれ 現行 の規則 は,「 ホマ レ」 は本則 で は「誉 」 で よいが ,そ うは書 か ず に例外 に入 れ ,「 誉れ」 と 「 れ」 を送 ることに して い る。 これ な どは 「 れ」 が な くて も,別 に何 の疑 問 も誤読 もな い表記 で あ るか ら,例 外 と して 1挙. げ るに及 ばない と思 われ る。 したが って例 外 と して別 に設 けて あ る表言 己も,次 項 にい う「慣例 を重ん じ. た ため」 らしい とい う こ とがで きる。 これ らの「 例外」 は,一 体 に理論 的根 拠 が薄 弱 で あ って ,人 を納 得 させ るものが きわめて少 な いので ある。.

(8) 3. 送 りがな法につ いて. さ らにい うな らば,「 例外」 は,名 称 は例外 で も,そ の重 さや効果 を考 た れ ば,実 際 は本則 と何 らの変 りが な い。記憶 し使用す るとい う労力 にお いて は,「 本則」 と同 じで あ るとい って よい。 したが って現行 の「 送 りが な のつ. '. け方 」 は,本 則 26項 に対 して 例外 6項 があ る とい うのは,実 は合 計32項 の規 則 が あ る こ とにな る。 32項 も本則 があ って は,い よいよ「法三章」 の理 想 に 遠 ざか るので あ る。 改定 案 で は,例 外 は認 め つつ も「 法則 は簡 明 で あ り,か つ 一 貫 して適用. i. で きる もの」 が よろ しい とす る姿勢 を底 に持 って いて ,本 則 9項 ,例 外 5フ 項 で 終 わ って い るの も正 しい。 四. 第四 の「 慣用 を重 ん じる」点 は,前 記 3項 と異 な り,趣 旨は正 しい と思. う。 た とえ ば「 組」 「 恋」 「 志 」 「 富」 「 恥」 「 話」「光」「 舞」 な どを 「 慣用 が固定 して い ると認 め られ る語」 と して ,か なを送 らな い が ,い ず れ ′ も適例 で あ る。 そ もそ も慣用 は,こ れを 支持す る人 の「 数」 か らい って ,む しろひ とつ の '. 「 規則 」 に等 しい力を持 って い る。 た とえ ば「 輸入」「 派 出」 を ,本 来 の発. :. 音 どお り「 シュニ ュー」「 ハ ィ シュツ」 とい う人 は絶無で ,慣 用 に したが っ て「 ユニ ュー」「 ハ シュツ」 と発音 して い るので あ る。慣 用 も ここ まで 徹底 すれ ば,正 規 の規則 とい って よい。 「 霞」 や 「 帯」 を 今 さ ら 「 霞み」「 帯 び」 と書 けば, か なを つ けたほ うが 「 例外」 と見 られ るに違 い な い。 このヽ 点 ,慣 用 をで きるだ け重ん じよ うと したの は正 しい と思 う。 しか し問題 は,慣 用 の「 範 囲」 で あろ う。 ど こか らど こまでを慣用 と認 め るか ,ま った く基 準 がない ままに,広 くとる場 合 と狭 くとる場 合 とで は,は な はだ しい相違 が あ る。 この点 ,現 行 の送 りがな法 は,慣 用 を な るべ く狭 く と り,語 数 もあ ま り多 くな い。 ここに態 度 の 消極性 が見 られ る。 この た びの 改定案 で は,慣 用 につ いて は,古 くか らの慣用 を尊 重す ると と もに,現 行 の「 送 りがな のつ け方 」 が ,「 その使用 が定着 しつつ あ ると 認 め られ るものにつ いて は」 まだな るべ くと り上 げな か ったのに対 し,「 これを新 しい慣用 と して尊重す る こ とに した」 と言 い,で きるだ け多数 の.

(9) 真 :語 を 集 め て い るが. 下. 三. 郎. ,む しろ この ほ うを「 まされ り」 と した い。. しか しなお 改定案 に も,世 間 に広 く普及 しなが ら,慣 用例 と して 取 り扱 われて い ない語 があ る。 た とえ ば「 田植」 「花祭」「 盆 踊」「 木挽」 その 他 で あ る。 :五. 第 五 の「 実例 を 多 く示 そ う」 として い る点 も,趣 旨 と して は賛 成 で あ る。. :事 実 ,現 行 の「送. りがな のつ け方」 で は,本 則 と例外 とを合 わせ て ,前 記 の. よ うに253語 を挙 げ てい る。 しか しこれ は 一見 多 いよ うで あ るが ,実 際 はむ しろ少 なす ぎるので ある。公布 の 当時 と して は,こ れで十 分 で あ ったか も知 rれ な いが ,生 活言語 が 多 く広. くな るにつ れて , これで は少 な い と感 じる場合. :が 頻 出す るので あ る。特 に複合語 や転 成名詞が増加. して くると,い っそ うそ. ,の 感 が深 い。 た とえ ば会社 の 取締役」 が「 かなを送 らな い例」 として挙 げ 「 ・ い て るが,そ の他 の 同類語 を掲 げ ていないため,相 撲 の「取締」 は送 るのか. 1送. らな いの か ,麻 薬 の「 取締官」 は ど うな のか ,あ るい は法令 の「 取締令」. .と. な るとど うな るか, は っき り しない, とい った 混舌Lで あ る。 したが って. 「 その 品 の受付 けは隣の受付 で 受 け付 けます」 と書 き分 けね ばな らな い とい ― う悪 口も 出て くるので あ る。 このた びの改定 案 で は,さ す がにそ の点 に留意 して いて ,現 行送 りがな 法 の混乱を極 力解 消す る こ とに努 めて い る。 た とえば「 取締」 は「 役職 の 場合 は送 らな い」 とし一一「取締令」 につ いて は書 いて い な い一―「受付」 `も. 「名詞 はか なを 送 らず ,そ の まま表記 す ること」 にな って い る。 したが. っ て 実例 も,本 則 に293語 ,例 外 に120語 , 許容 に65語 , 計 478語 とい うふ う に格段 に 多 い語例を掲 げ て い る。 これを要す るに,「 送 りがな のつ け方」 で は,現 行法 には実行 上 困難 を感 │じ. させ るものが 多 く,改 定案 で はそれ らの点 が大 幅 に改 め られ てい るとい う. ピ ことがで きよ う。. 以上 のよ うな特徴 と批 判 とが現行 の,な らびに改定 の「送 りがな のつ け方」 dこ. 対 して与 え られ るので あ るが ,こ れ らを通 して現行 法 に 関す る「 立 案者 の.

(10) コ θ. 送 りがな法について. 国語表 記 ・国語表現 に関す る意識 」 を考 えてみ ると,一 ,二 の点 が見 いだ さ れ る。 一. 「 こ とばに 関す る問題 は,国 文法 で 処 理 で きる」 とい う意識。 この意識 はなかなか根強 く,特 に文部省 の伝統 とい って よい。 た とえ ば明. 治 35年 3月 設置 の 国語調 査委員会 (芳 賀矢 一 担 当)が ,明 治40年 3月 制定 し た「送仮名法 」 は国定 の送 りがな法 の濫腸 で あ るが ,こ れ にはす でに次 の よ うに定 め られ て い る。. (1)活 用語 ハ語 尾変化 ヲカキア ラハ ス コ ト (21 語 ノ末 二付属 スル 助詞 ・助動詞 ヲカキア ラハ ス コ ト (31 語 ノ末 二合 マルル 接尾語 ヲカキア ラハ ス コ ト. 14)漢 字 フ音読 スルモ ノハ漢字以外 ヲカキア ラィヽス コ ト す なわ ち「 国文法」 が基礎 とな って い る。 も っとも この法 が文法 基調 の最初 で はな く,民 間 で はすで に同 じよ うな態. :. 度 の書 が 出版 されて いた。 た とえ ば明治23年 1月 31日 博文館 か ら出版 された 「 仮名交 文典」 は田 中決乎著福 羽美静校閲 で ,広 く普及 した書 で あ るが ,送. :. りが なを規定 した ものの 中 で 最 も典型 的 な もの と して ,中 根淑 の「 送仮名大 概」 とともに文 部省案 に強 い影響 を 与 えた。 それ によれ ば,「 送仮名」 を 「 漢字送 仮名」 と「 漢字付仮名」 に分 けて い るが ,前 者す なわ ち漢字送仮名 が の ち の用言 の送 りが な法 で あ る。 それ は次 のよ うにな って い る。 ` ― 五 級 ノ活 動 アル 漢字 ニハ 総 ベ テ働 ラキ ヲ生 ズル 界 ヨ リ仮名 ヲ送 ノ ン これ は活用 が基 にな って い る。す なわ ち活用語 にヽ はその活用語尾 にかなを 送 る こ とで ,「 宜」 は ロ シキ,シ キ,キ の うち どれ を送 って もよ い が ,「 ク ・ ク・ シ 0キ ・ ケ レ」 と活 くため「 き」 を送 るとす るもので あ るが ,そ れで は「 ヨキ」 か「 ヨロ シキ」 か不 明 のため「 シ」 か ら送 るのだ と して い る。 ―. 重用動詞 ノ中間 二仮名 ヲ送 ラズ は複 合動詞 の場合 ,上 の動詞 には送 りが な は不要 とい う こ とで ,現 行法 に. 生 きて い る規貝」で あ る。 「 漢字付仮名」 は副詞 0名 詞 その他 の送 りがなを規定 した もので あ る。■.

(11) 真 下 三. 二. 郎. 五級 ノ活動ナキ漢字 ノ訓 ニハ総 ベテ語尾 ノー 仮字 ヲ其字下 ノ右傍 二小付. ス. これ は副詞 ・接続 詞 な どで ,次 のよ うな例 が掲 げ て あ る。 甚ダ ー. 最モ. 遂二. 又夕. 貝Jチ. 名詞 ハ 仮名 ヲ付 サズ 単一 の名詞 は もとよ り動詞状名詞 ・重用動詞状名詞 ・合成名詞 にはか なを. 送 らな い とい う規定 で ,た とえ ば次 のよ うな語 で あ る。 誉. 悲. 書付. 引出. 紙入. 振 出薬. 少 し く誇 張 して いえ ば,現 行 の「 送 りが なの つ け方」 は明治初頭 の 中根淑 ・ 田 中澳乎以来 の意識か ら一歩 も進展 して い な いので あ る。 か よ うな文法万能 の考 え方 は,、 ひ と り「 送 りがな法」 にか ぎ らず ,他 の 国 語 問題 ,た とえ ば「 かな づ か い 問題」 に も,「 わか ち書 き問題」 に も,そ の。 根底 に潜 め られ て い るので あ る。 その理 由 は幾 つ か考 え られ るが,最 も主 た るものは,国 語 問題 に実 際 にた ず さわ り,解 決案 を考 えたの が ,す べ て 国語 学 者 ,特 に国文法学者 で あ った とい う こ とで あろ う。 その人 た ちの意識 には .. 国文法 の知識 とともに,「 国語 の こ とは文 法学者 に任 せ て お けばよ い」 とい った 自信 自負 が あ ったに違 い な い。 そのために,で きあが った成案 は学 問的 │. に体 制 が整 え られ ,規 則 を 多 くして遺漏 のない こ とが期せ られ て は い るが. ,. そ の案 が国民大衆 に実 際 に使用す るの に適 して い るか ど うか とい う配慮 が十 分 で な い恨 みが あ るので あ る。 二 「 国字 則漢字 とす る」 意識。 文字 の歴 史 において ,漢 字 を本字 と呼 び,か なを仮 字 と した例 は,き わめ て 古 くか ら存在 して いた。恐 らく漢字 が輸入 され ,漢 字 か らかなが発生 した 平安 時代 か らこの 区別 が あ って ,価 値 的 に差別 され て い た と思 われ るが ,中 世 以後 は,む しろそ う考 え るのが 普通 で あ った らしく,書 名 に も漢字 を「 本 字」 とい った り,か なを「 仮名 (仮 字 )」 と した例 はす こぶ る多 い。 「 送 りが な」 とい う名称 も,差 別 感 か ら生 まれ た名称 で ,「 漢字 の読 み方 を 示す場 合 に,そ の漢字 に どの程 度 かなを送 るか」 とい う意 味 で あ る。 「 力ゝ.

(12) 」2. 送 りがな法について. な づ か い」 は「 ひ とつの語 をか なで書 く時 に,ふ た つ 以上 の書 き方 が あ る場 合 , どち らのか なを使 うか」 とい う事 の きま りで あ るか ら,漢 字 とか な との どち らを尊 重す るか とい った懸念 はた い して 考 え られな い が ,「 送 りがな」 で は,明 らか にその差別 意識が あ る。輸入 され た歴 史 が古 いた めに「本字」 と され るのか , 発生 がわが 国 に あ るために 「 仮字」 とされ るのか。 現代 で 1ま. ,国 字観が全 く変 わ って い るのに,相. も変 らぬ 古 い封建 的な考 え方 といわ. ざ るを得 な い。 東大教授 で あ られ た故 橋本進吉博士 は,つ とにその不 合 理 を 指摘 して. ,. 一 つの語 を漢 字 とかな とで 書 く場合 ,ど の部分 を漢 字 で書 き,ど の部分 を か なで 書 くか ,こ れ が正 しい送 りが なの意 味 で あ る。 と され たが ,こ れ は正 しい見解 で あろ う。 お よそ文字 を使 って語 を表 現す るのに,次 の三 つ が考 え られ る。 ■ 漢字 の みで表記す るもの. 2 3. か なのみで 表記す るもの 漢字 とかな とで表記 す るもの 現行 の送 りがな法 は, 3を 主体 と しなが ら,な お 1と 2と を包 合 して い る. 規 貝Jで あ るか ら,「 送 りがな」 とい う名称 は,こ の点 か らも妥 当で ない。 し た が って 10203を 合 わせ 含 む表記法 が制定 され ねばな らな い し,制 定 さ れ れ ば「 送 りがな法」 とは当然言 えな くな る。 さて なん と言 え ば適 当で あろ うか。「 こ とばの書 き方」 で は漠然 と しす ぎる。 「 用字法」 で は固 い。 「 文 字 づ か い」 は本 質 に近 い が「 かな づ か い」 と混 同す る恐 れが あ る。 前記 明治. 23年 の「 仮名交文 典」 で は漢字送 仮名 と漢 字付仮名 とに分 けて いで,前 者 に 用 言 の送 りが なを 考 え ,後 者 に体言 その他 の送 りがなを考 えて い る。 その名 称 に ヒン トを得 て「 付 けがな」 とす る こ ともひ とつ の方 法 で あ るが,や は り そ れ には漢字を本字 とす る考 え方 が存在 す る。 「 送 りがな のつ け方」 の改定案 が衆知を集 めた結果 で あ るか ら,や は り名 称 も衆 知 の結集 を またね ばな らな いで あろ う。.

(13)

参照

関連したドキュメント

問についてだが︑この間いに直接に答える前に確認しなけれ

それぞれの絵についてたずねる。手伝ってやったり,時には手伝わないでも,"子どもが正

90年代に入ってから,クラブをめぐって新たな動きがみられるようになっている。それは,従来の

存在が軽視されてきたことについては、さまざまな理由が考えられる。何よりも『君主論』に彼の名は全く登場しない。もう一つ

  まず適当に道を書いてみて( guess )、それ がオイラー回路になっているかどうか確かめ る( check

の知的財産権について、本書により、明示、黙示、禁反言、またはその他によるかを問わず、いかな るライセンスも付与されないものとします。Samsung は、当該製品に関する

巣造りから雛が生まれるころの大事な時 期は、深い雪に被われて人が入っていけ

2リットルのペットボトル には、0.2~2 ベクレルの トリチウムが含まれる ヒトの体内にも 数十 ベクレルの