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山梨県産砕石のアルカリ骨材反応性に関する一実験 利用統計を見る

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論 文

山梨県産砕石のアルカリ骨材反応性に関する一実験

(昭和63年8月31日受理)

岡村雄樹 檜貝勇

Alkali-Aggregate Reactivity of Crushed Stone

Aggregates Produced in Yamanashi Prefecture

YuukiOKAMURA TakeshiHIGAI       Abstract   The Alkali−aggregate reactivity of crushed stone aggregates produced from quarries in Yamanashi prefecture is investigated. Samples of crushed stone aggregate have been collected from eight different plants. These aggregates are utilized as concrete aggregates or as materials for pavement. The Alkali−aggregate reactivity of these aggregates is examined by the chemical and mortar−bar methods.   Though it can be said from test results the reactivity of the aggregates is generally low, one sample taken at the plant near Mt, Yatsugatake, which is classi丘ed into andesite, has showed high Alkali−aggregate reactivity. As andesite is very popular in this area and it is well−known that the rock of andesite generally contains some minerals with high Alkali−aggregate reactivity, care should be paid to the Alkali−aggregate reactivity for the crushed stone concrete aggregate produced from new quarries plant. 1. まえがき  コンクリート構造物は100年程度の供用に耐えるの が正常な姿とされている。しかし,ここ数年前から, アルカリ骨材反応によってコンクリート構造物が十数 年で劣化を起こし始めていることが全国各地で報告さ れ,コンクリート構造物の早期劣化として大きな社会 問題となり,コンクリート工学の分野で,これらに関 する研究が活発に行われている。このコンクリート構 造物の早期劣化を引き起こすアルカリ骨材反応とは, 骨材に含まれるある種の鉱物とコンクリートの構成成 分である水酸化アルカリを主成分とする細孔溶液との 間の化学反応であり,コンクリートに用いる骨材品質 が主原因で発生するものである。コンクリート中でこ の反応が起こると,その反応生成物の膨張圧でコンク リートがひびわれを起こし,無筋コンクリートでは不 規則な亀甲状の,鉄筋コンクリートでは鉄筋の軸方向 に卓越したひびわれが発生し,コンクリートの耐久性 を著しく低下させる要因となる。アルカリ骨材反応の *土木工学科,Department of Civil Engineering, ような内部欠陥によってコンクリート構造物が早期劣 化を生じた場合の大きな問題は,アルカリ骨材反応が 進行型の劣化であり,外部で何らかの変状が認められ る時点では劣化がもはや手のつけられない状態まで進 行していることである。したがって,アルカリ骨材反 応を生じた構造物では,補修を繰返し行い膨大な維持 費を投入して延命をはかるか,取り壊して新しく作り 替えるかのどちらかの道を選ばなければならなくな る。ただし,これまでの研究によると,アルカリ骨材 反応が生じた鉄筋コンクリート部材の静的ならびに動 的載荷特性は,健全なものと比較して劣らないとの報 告1)もある。したがって,コンクリート構造物にアルカ リ骨材反応が生じた場合,アルカリ骨材反応一単独では 構造物に致命的な損傷をもたらすことはないとも考え られるが,他の劣化要因と複合して致命的損傷に追い 込むことになる恐れが大きい。  わが国においてもアルカリ骨材反応の被害がでてき た原因の一つに,ここ十数年間,毎年1億5000万から

1億8000万m3程度のコンクリートが生産されてお

り,コンクリート容積の70%程度を占める骨材の量的 確保の問題がある。すなわち,良質な河川産骨材が河

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表一1 アルカリ骨材反応を起こす岩石と鉱物 岩      石 含まれる反応性鉱物 安山岩,玄武岩,流紋岩, テ灰岩,石英安山岩など ガラス,トリジマイト,ク 潟Xトバライト 粘板岩,頁岩,砂岩, ャ紋岩,チャートなど 微小石英,オパール ホルンフェルス,片岩, 逍㈱竅C粘板岩,頁岩, サ岩など 微小雲母 粘板岩,片麻岩,片岩, M緑岩,花商岩など 結晶格子にひずみを有する ホ英 川管理,災害防止および上流水源地帯の電源開発に伴 うダム建設などによって,その採取が大幅に規制され 供給減となり,その代替えとして使用実績のない砕石 や山砂利等を用いなければならなくなったことが挙げ られる。  これまでに,アルカリ骨材反応が認められたコンク リート用骨材の岩石として表一12)に示すものが挙げら れている。日本国内では安山岩・玄武岩・硬質砂岩・ 硬質石灰岩等多くの岩種がコンクリート用砕石骨材と して利用されており,これらの岩種は反応性岩石で, 山梨県にも多く存在するものである。本県は未利用骨 材資源が多く存在し首都圏に隣接するため,骨材の供 給は将来にわたって今後も増加するものと考えられ る。この骨材需要に対応するためには,良質な河川産 骨材の採取が規制される現状では,砕石等の使用実績 の少ない骨材の増産に頼らざるを得なくなるだろう。 この場合,本県に存在するコンクリート骨材資源の分 布・埋蔵量・産状,コンクリート用骨材として必要と される物理・化学的性質および採取上での防災関係等 の総合的資料が必要となる。本研究は,このうち骨材 資源の分布とアルカリ骨材反応性との関係についての 基礎資料を得ることを目的として実施したものであ る。ここでは,山梨県内に埋蔵されるコンクリート用 骨材資源に関するアルカリ骨材反応性の安全性マップ を作製する手始めとして,現在コンクリート用あるい は道路用砕石として採取されている骨材のアルカリ骨 材反応性について調べた結果を報告するものである。 2.検討に用いた骨材  本検討に用いた骨材は,山梨県内でコンクリート用 または道路用として生産されている,主に岩石を砕い た砕石であって,図一1に示す8か所よりその試料を採 取した。表一2に,採取した骨材の場所,地質および岩 種を示す。なお,骨材の採取方法は,採石場の砕石ス 表一2 検討に用いた骨材の岩種・採取場所・採取場所の地質 試w番号 岩    種 採取場所 地 質 備 考 1 両輝石安山岩 高根町浅川 八ケ岳火 R地区 2 安山岩,砂岩,レキ 竅C角閃石,硬砂岩 韮崎市清哲 第四期洪 マ層 玉砂利砕 ホを含む 3 両輝石安山岩 甲府市酒折 甲府北部 ホ山地区 4 安山岩,両輝石安山岩 御坂町立沢 御坂層 5 安山岩(グリーンタ t帯中) 都留市鹿留 御坂層 6 安山岩(グリーンタ t帯中) 都留市四日 s場 御坂層 7 シルト岩,砂岩,頁岩, zルンフェルス 南部町十島 富士川層 8 安山岩 大月市初狩 御坂層    /

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  L.▲、.−H−i−一’ノ   富士山     、.t. 一一一一 ?寳?齔テ岡構造線    図一1 試料の採取場所 トックヤードに置かれている骨材の山の低部から出発 して,山の一一側を登り,他側を下って等間隔の点から 試料をとり,代表的試料となるようにして1試料当た り100kg重を採取した。

3.試験概要

 (1)使用材料  本試験で使用したセメントは,普通ボルトランドセ メントでセメント中のアルカリ含有量はJIS R 5202 「ボルトランドセメントの化学分析方法」によって調 べた結果,Na20:0.32%, K20:0.39%, R20:0.71% である。  骨材は2.1に示した8種類の山梨県産砕石である。 骨材の粉砕にはジョークラッシャーを用い,粒度は建 設省暫定案3)に示されている「骨材のアルカリ・シリカ

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山梨県産砕石のアルカリ骨材反応性に関する一実験 反応性試験」に従って調整した。化学法でのアルカリ 溶液は,市販の容量分析用1N水酸化ナトリウムを用 いた。モルタルバー法における試料のアルカリ含有量 を調整するためのアルカリ化合物としては,試薬1級 の水酸化ナトリウムを使用した。  ② 試験方法  骨材がアルカリ骨材反応性を起こすか否かを判定す る試験方法としては,大別して岩石学的鑑定法(たと えばASTM C295, JCI規準案),化学法(たとえば ASTM C289,建設省暫定案)およびモルタル・コンク

リート供試体による物理的方法(たとえばASTM

C227,建設省暫定案)の3通りの方法がある。これら の試験の概要と利点,欠点を示すと以下のとおりであ る。  岩石学的試験方法は,骨材の反応性鉱物の有無を, 肉眼鑑定,偏光顕微鏡あるいはX線回折等によって岩 石学的に判定する試験方法である。この試験方法は, 岩石学についての専門的知識を必要とするが,偏光顕 微鏡を用いて岩石・鉱物の的確な判定ができる専門家 が極めて少ないこと,さらにアルカリ骨材反応を起こ す反応物質を判定できる専門家がさらに限定されるこ とに問題がある。

試料の翻整

アルカリとの反応 開  始 試料採取 縮  分 粉  砕 フルイ分け 水  ’ 乾  燥 フルイ分け 秤  量 反  応 水  冷 ロ  過 希  釈 、0.15∼0.3■姐 純水使用 105℃,24時閥 0.15∼0.3劇ロ 25.009 1N哨aOH 80℃,24時間 No.5B

「 分析 一 アルカリ濃度減少量 鴻解シリカ量 中和滴定 0.05N・HCL   吸光光度法    フ:ノー島フタレ「「ン  化学的試験方法は,骨材をアルカリ溶液中で反応さ せ,アルカリと反応しやすい物質がどの程度骨材中に 含まれているかを化学的に調べる試験方法である。こ の試験方法は,骨材のアルカリ骨材反応性を試験する 他の方法に比べ比較的簡便に,さらに短時間で骨材の アルカリ骨材反応性を判定できる利点がある。この試 験は,反応を促進させるために非常に過酷な試験条件 を与えるため,実用的には無害な骨材も有害と判定す る可能性がある。  モルタル・コンクリート供試体による試験方法は, 粒度調整を行った骨材を用いてモルタルあるいはコン クリート供試体を作製し,促進条件下で反応を促進さ せ,3ケ月あるいは6ケ月での供試体の膨張性状によ って有害か無害かを判定する試験方法である。この試 験方法は,骨材が実際に有害であるか否かを直接的に 判定できる利点を有するが,一方,試験期間があまり にも長くかかるという欠点を有する。  本研究では,以上の試験法のうち試験の容易性およ び実験設備の制約を考慮して化学法とモルタル・コン クリート供試体による物理的方法を採用し骨材のアル カリ反応性を調べた。なお,試験方法については建設 省暫定案の化学法とモルタルバー法に従って行った。 図一2に,本試験で用いた建設省暫定案による化学法の 試験のフローチャートを,図一3にモルタルバー法によ

試料の翻整

供拭体作製

測定 水,セメント, U!c=0.5 骨材の計量   S!C=2.25 モルタルバー  供試体寸法 の作領    4×4×16c.      1試料で3個 40±2℃, R.H≧95% 20±3℃,R.H≧95% データ整理 判  定 終  了 図一2 化学法の試験のフロー 3ケ月で0.OSS, 6ヶ月で0.螂は有書 図一3 モルタルバー法の試験のフロー

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る試験のフローチャートを示す。建設省の暫定案の化 学法では,溶解シリカの定量方法として重量法,原子 吸光光度法および吸光光度法の3つの方法が示されて いるが,本試験ではこのうち吸光光度法を用いた。 4. 実験結果と考察  表一3は,化学法によって得られた,骨材から溶出し たシリカ量とアルカリ消費量の測定結果を示したもの である。この結果を,建設省暫定案に示されている判 定図にプロットしたものが図一4である。一方,表一4は モルタル・バー法による試験結果について,各材令に おける長さ変化率(膨張率)を示したものである。建 設省暫定案では,3ケ月で0.05%以上,6ケ月で0.1% 以上の膨張を生じたものは有害としている。化学法お よびモルタルバー法によって得られた結果を,建設省 暫定案の判定規準に基づき,本検討に用いた山梨県産 骨材のアルカリ骨材反応性を判定すると表一5に示す とおりとなる。この結果より明らかなように,化学法 ではすべての試料が無害と判定されるが,八ケ岳の過 去の火山活動によって生成された両輝石安山岩を岩種 とする試料1はモルタルバー法で有害と判定された。 化学法は試験条件の厳しさから,モルタルバー法に比 表一3 化学法による骨材から溶出したシリカ量とアルカリ消費   量の測定結果 試料番号 アルカリ濃度減少量@   (mmol/1) 溶解シリカ量immol/1) 1 248 246 2 228 20 3 163 86 4 112 16 5 280 12 6 176 80 7 133 61 8 304 21  700日 丁 600

3

颯 500 tr 4。。 嵩3。。 ミ200 111。。 試料番号

8圭

22

92

01

無害  潜在的有害 名    o ● ▲    ×     ,一一一        有害 表一4 モルタルバー法での各材令における長さ変化率の測定結   果 材 令 試料番号 2 週 4 週 8 週 3か月 6か月 1 0,023% 0,070% 0,227% 0,344% 0,406% 2 0,001 0,002 0,010 0,027 0,034 3 0,001 0,002 0,007 0,021 0,039 4 0,004 0,009 0,016 0,027 0,043 5 0,009 0,011 0,017 0,028 0,039 6 0,023 0,015 0,024 0,048 0,052 7 0,001 0,004 0,009 0,021 0,029 8 0,003 0,008 0,011 0,012 0,026 表一5 アルカリ骨材反応性の判定       ○:無害,×:有害 試料番 号 化 学 法 モルタルバー法 1 ○ × 2

C

○ 3 ○ ○ 4 ○ ○ 5 ○ ○ 6 ○ c) 7 ○ ○ 8 ○ ○ 0 5 10     100    1000   溶解シリカ量(凹01!1) 図一4 化学法によるアルカリ骨材反応性の判定 べ結果が安全側に判定されるのが一般的であるが,こ こでは逆の結果となっている。これは,化学法によっ て得られた試験結果を判定する判定図に問題があるも のと考えられる。すなわち,建設省暫定案で採用して いる判定図は,アメリカのASTM C289に定められた アメリカ産骨材を対象としたものをそのまま用いてお り,わが国のあらゆる骨材に適用できるかが不明であ ることによる。建設省暫定案がASTM規格の判定図 を採用している理由は,新設のコンクリート構造物に 対してアルカリ骨材反応が発生しないように骨材のア ルカリ反応性を調べる試験を早急に定めなければなら なかったこと,わが国でアルカリ骨材反応に関する本 格的な研究が開始されて日が浅いので試験方法を定め るに十分なデータがないことによる。  ASTM規格の化学法での判定に用いられている判 定図は,モルタルバー法と岩石学的方法の結果をもと に定められたものである。今回の少ない実験結果より, 判定図中の境界線付近で無害の領域にある骨材で溶解 シリカの量の多いものは,モルタルバー法により有害 であることを考えると,潜在的有害または有害と判定 する領域の溶解シリカ量およびアルカリ濃度減少量の 値を小さくしてもよいと推測される。すなわち,判定 図中における領域区分の境界線を左側にシフトさせ,

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山梨県産砕石のアルカリ骨材反応性に関する一実験 アルカリ骨材反応性を厳しい状態で判定すべきである と考えられる。これは,化学法によって得られる結果 が,この試験の持つ性質上,骨材のアルカリ反応性の 一次選考資料の意味合いが強いこと,化学法で有害も しくは潜在的有害と判定された骨材は,モルタルバー 法による的確な判定を行う必要があることなどによ る。 5. あとがき  山梨県内でコンクリートあるいは道路用骨材として 生産されている8種類の砕石について,アルカリ骨材 反応に対する危険性を化学法およびモルタルバー法の 両試験方法によって調べた。その結果,現在コンクリ ート用または道路用として生産されている砕石は,ア ルカリ骨材反応に対しおおむね安全であると考えられ る。ただし,八ケ岳の過去の火山活動によってできた 火成岩より生産された骨材が,アルカリ骨材反応に有 害と判定された。したがって,八ケ岳周辺より産出さ れる岩石をコンクリート用骨材として使用する場合に は,あらかじめ,アルカリ骨材反応性を確かめる試験 を実施し,その反応性について確認する必要がある。  本県には,水ケ森,富士山,黒富士などの過去の火 山活動によってできた火成岩が多く存在しており,こ れらの火成岩は反応性鉱物を多く含んでいる可能性が 高く,これをコンクリート用骨材として用いるとアル カリ骨材反応を起こすことが考えられる。今後さらに, これら地域を含めた多くの岩石についてアルカリ骨材 反応性を調べ,本県にある骨材資源のアルカリ骨材反 応に対する安全性を検討していきたいと考えている。

参考文献

1)今井宏典・水元義久:アルカリ骨材反応を生じた部材や構造  物の耐荷重性能,コンクリート工学,Vol.24, No.11,(1986) 2)丸章夫:骨材品質にかかわる耐久性の診断手法一岩石・鉱  物学的手法一,コンクリート工学,Vol.26, No.7,(1988) 3)建設大臣官房技術調査室監修:コンクリートの耐久性向上  技術,(財)国土開発技術研究センター,(1986.10)

参照

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