ミツバチ科学
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トウ ヨウ ミツバ チ はなぜ逃 げ るか
最近,在来種であるニホンミツバチを飼 い始 めた人, これか ら飼育 してみたいという人の話 をよく聞 く.ニホンミツバチを飼育す る,ある いは保護 しようといった動 きはいくつかの団体 を結成 させるまでになっている (日本在来種み つばちの会,藤原誠太代表01
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な ど). このニホ ンミツバ チ飼育熟が ブームで終 わるものではないと期待 したいが, ともか く現 時点で,都市近郊か ら地方 まで広い範囲で,セ イヨウ ミツバチ導入後かってない数のニホ ンミ ツバチが 「飼育」 されているのは間違 いない. トウ ヨウ ミツバ チApi
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の-亜種 で あるニホンミツバチA.C
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は,明治期 以前の日本では-チ ミツや蜂 ろう生産の目的で 飼育 されてきたが,セイ ヨウ ミツバチが導入 さ れた明治以降か らは養蜂 の主役の座をセイヨウ ミツバチに明け渡 して しまった.特 に,当時の 日本では,現在 アジア各国でいわれているよう な 「地場資源利用」であるとか 「持続可能 な養 蜂開発」 といった今 日的な方向性が生 まれるべ くもな く,ニホ ンミツバチによる養蜂 は伝統技 術の継承 という形でのみ各地 に残 り,生産を目 的 とした商業養蜂 はセイ ヨウ ミツパテを利用す る方向に大 きく傾 いた. これはまたアジア各Bg で,開発論的な理想か らは トウヨウ ミツバチの 利用を推奨 しつつ,資本主義経済の中で商業養 蜂家がとりあえず利益性 の高いセイヨウ ミツバ チを選択 している構図 と同 じであろう. 欠 点 と しての逃 去性 セイ ヨウ ミツバチに主役 の座 を奪 われたの は,生産性の差だけによるのではない.ニホン中村 純
ミツバチや トウヨウ ミツバチには,養蜂 という 観点か ら,セイヨウ ミツバチにない重大な問題 点がある.一般に, ニホ ンミツバチの長所 とし ては,性質穏和,高い耐病性,越冬が良好 に行 えるといった項 目が挙げ られる.一方,欠点 と しては,観察時に騒 ぎやすい,収蜜力が小 さい, 分蜂 しやすい,逃 げやすい,盗蜂がつ きやすい などがある.同 じようなことは東南∼南 アジア の養蜂書にも書かれているので,性質の上で, ニホ ンミツバチは明 らかに トウヨウ ミツバチの 性質を良いにつけ悪 いにつけ受 け継いでいる. 欠点の中で も,逃去性 といわれる,巣を捨て て逃げる性質 は, アジア各地 で トウヨウ ミツバ チ養蜂 を振興す る際 に も最 も不利 な性質 と し て,ハチ ミツ生産性の低 さとともに問題 となる ことが多い.-チ ミツの生産性が低 いことは蜂 を飼 って も得 られるハチ ミツが少ないことを意 味す るが,逃去 はいわばそれがまった く0にな って しまうことでもある.養蜂振興では,わず かで も-チ ミツが採れて人々がそれを味わ うこ とができれば事業参加の動機付 けはほぼ完了で ある場合が多い. しか し,逃去の発生 は,振興 事業その もの,あるいはその担当者の信用を失 墜 させ るに充分なイベ ン トとなって しまう. 最近 になって,あえてそ うした性質を持っニ ホンミツバチを飼育 したい人が増えているのに はい くつかの理由があると思える.背景には, 一頃減 ったと思われていた野生のニホンミツバ チが,人間が居住域を拡大 して接点が増えたこ ともあって,'身近 に見 られるようになり,分蜂 時期などに蜂群が手 に入 りやすいという情況が あること,すでにある程度 うまく飼育 している 人がいるということがあるだろう. もっともう図 1 ツヅリアリの襲撃.この直後に逃去した まく飼えるようになったのは, ミツバチが従順 になったわけではない.現在の飼育方法が過去 のそれよりもニホンミツバチに向いているとい った技術上の変化,あるいは過去には兄いだせ なか った飼育の利益性を兄 いだせるようになっ た人間側の変化によるものである. 長い年月定着 しているという点で, 日本の各 地 に見 られる伝統養蜂 (奉誌 p.
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の佐治 氏の記事などを参照)を見過 ごす ことはできな いが,今 日的なニホンミツバチの飼育 は,それ とは趣を異 に していて,今のところ生産性 (隻 蜜性)にはあまり関心 を払 っているとは思えな い. どちらか といえば精神的な利益性 に着 目し た新 しい養蜂形態 となっている.その中では, 仮 に逃去が起 きて も,飼育 自体がゲーム性を帯 びているので,飼育者 は ミツバチとのかけひさ の 「ふ りだ し」 に戻 ることを楽 しめる (ニホ ン ミツバチを飼 うというゲームはそのような境地 に達す ることを要求す るか も知れない). こうした新 しい様相 を持 った養蜂 は,当面, 大量の-チ ミツを得 ることよりも, うまく,長 く飼 うということに関心が集中す るので,巣箱 や蜂具に工夫が凝 らされ,飼育技術の開発を伴 うようである.ミツパチと逃去性
逃去が養蜂 に与えるイ ンパ ク トの大 きさは理 解 しやすいものであるし,養蜂家にとって逃去 を防 ぐことは大変重要な意味を持 っている.一 方で当の ミツバチにとって も,巣を捨てるとい うことはそれなりに大 きな損失を伴 う行動であ る.巣が破壊 されたというような明確な原因で もない限 り,すみかである巣を捨てて逃げるに 足 る理由はないようにも思える.逃去後の ミツ バチの造巣 は,逃去前か らの育児の中断で働 き 蜂が補充 されないところに,新たに,蜂 ろうに 転換 されるための花蜜の採集や蜂 ろうの分泌な ど,現有の働 き蜂を酷使 し,疲弊 させ ることに なる.それだけのコス トに見合 う利益を ミツバ チはいったい何に求めているのであろうか.結 果か らいえば, ミツバチの逃去 は避難 目的とは 限 らず,より積極的な環境への適応戦略 として の場合が多いのだが,飼育する人間の目には不 可解 な情況で巣を逃げ出 したと映 る. 逃去 に関す る研究 は, これまで逃去が養蜂 に とっては防 ぐべ き問題 としてとらえ られてきた ことと, ミツバチの研究が盛んな欧米で飼育 さ れるセイヨウ ミツバチは逃去性がほとんどない ことか ら, アフ リカ圏や東南 アジアなどの養蜂 振興における不都合な問題 として,つまり 「養 蜂家にとっての逃去」をテーマに,その防止方 法を取 り扱 ってきたにとどまっていた. ところが北米大陸でアフ リカ蜂化 ミツバチの 侵入が問題 になって きた頃か ら,アフ リカ蜂化 ミツバチの性質 として,あるいはアフ リカ ミツ バチの性質 として逃去に注 目する研究者が現れ 始めた(
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ここに至 って,
「ミツバチにと っての逃去」 という本質的なテーマを取 り扱 う 傾向が現れ,筆者 も トウヨウ ミツバチやニホ ン ミツバチがその生活史の中で広 い意味での逃去 を選択 していることについて,その意義を明 ら かに しようと試みて きた (中村,1
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逃去 しないミツバチ,するミツバチ
ヨーロッパ を原産 とす るセイ ヨウ ミツバ チ A.melliferaは滅多 な ことで は逃去 しない. 「飢餓分蜂」 と呼ばれ る現象 は実際には分蜂で はな くまざれ もない逃去であるが, これはかな り弱い,小 さな群が貯蜜不足 に陥 ったときなど に見 られる程度で例外的であろう.交尾用の小 群 が女王蜂 の出巣 につ られて巣 を出て しま った, オオスズメバ チに襲撃 された小群 が逃 げ た,などの例 はいずれ も希 なことと思われる. ところが, 学名上 は同 じmelliferaであるア フ リカの ミツバチはほとん どの亜種が逃去性を 示す といわれる.南米 に勢力拡大 したアフ リカ 蜂化 ミツバチで もその性質 は変わ らない. アジアにいる ミツバチは, トウヨウ ミツバチ もオオ ミツバ チA.dorsataもコ ミツバ チA. floreaも巣を捨てて逃 げる性質がある. コ ミツ バチやオオ ミツバチでは,巣の利用期間が 1年 以内であることが多 く, コ ミツバチでは小規模 吃, ほとんど住み替えとい うような移動が季節 的に,オオ ミツバチでは季節移動 と呼ぶにふさ わ しい長距離の移動が知 られている(Koeniger and Koenlger,1980;Reddy and Reddy, 1987).用語 については後述す るが,以下,本 編では特 に トウヨウ ミツバチの逃去 に限 って議 論を進めてい く. 逃去 の種 類 逃去 は,その要因やプロセスによってい くつ かの類型 に分 けられる. この分類を明確 にす る には多 くの観察によ らなければな らないが,逃 去前か らその蜂群が逃去す ると見込んで観察す るというわけにはいかない.そこで,特に逃去 後 の巣を観察 し,その残留物か ら状況を判断す ることが便法 となる.実際の逃去の実例 に基づ き,逃去後の巣の残留物か ら推測 された逃去の 種類 は次のような ものになる. 1)擾乱誘発型逃去 ア リやスズメバチ類,あるいは他の動物 によ る巣への加害が認め られる明確な原因による逃 図2 蜂児,花粉,貯蜜の残った逃去後巣板 73 去 は 「撹乱誘発型逃去」 と呼ばれるもので,莱 際には撹乱の種類 によってさらに分類すること が可能である. ア リ類 (特 にツヅ リア リ類,図 1) やスズメバチ頬 による巣への侵入を伴 うよ うな攻撃, クマやテ ンなどの大型の動物,ある いは人間による巣の破壊を伴 う捕食, さらには 山林火災や,伐採,洪水 による営巣空間の水没 など,そのような事象か ら短時間で逃去するよ うな場合を 「急性撹乱 による逃去」 という. こ れは緊急避難 という意義を持っ行動であり, ア シナガバチ類で も同様の棄巣行動 (避難)が報 告 されている. 一万, 1回当たりの刺激が小 さいのです ぐに は逃去 にいた らないが,繰 り返 し刺激 が加 わ る,あるいは刺激の加わ った状態が継続す るよ うな撹乱による場合 は 「慢性撹乱 による逃去」 という.スムシの巣坂上での加害,小型のア リ 類の侵入捕食,巣門外での連 日のスズメバチに よる捕食 といった軽度の生物学的な刺激や,雨 水の浸入,直射 日光の照射や通風の悪 さで起 こ る温度上昇 といった巣箱内の微気象的な要因が 挙げ られる.養蜂において特 に問題 となるのは こちらの方で,換気の悪 い巣箱や.養蜂家の不 適切かつ頻繁な取 り扱 い,巣箱の設置場所の選 定の不適 さなどが これまで も逃去を頻発 させる 要因 として指摘 されて きた. 一般 に急性撹乱の場合,蜂場の中の特定の被 害を受 けた蜂群だけが逃去 し,慢性撹乱の場合 は,複数の蜂群が同時に逃去するといった特徴 があるが,慢性撹乱の場合 には,逃去のポテン シャルが徐々に上がるため,後 になるほど小 さ な刺激で も逃去が起 こり,要因が複合的で区別 図3 卵だけが残された逃去後巣板
がつ きに くいことが多 い.つまり高温要因のよ うに, 日陰の蜂群を除 くすべての蜂群 に共通の 要因でそれぞれ逃去 ポテ ンシャルが上昇 してい るときには,それに続 く特定の蜂群に限定的な 小 さな刺激 (スズメバチによる捕食など)でそ の蜂群だけが逃去 して しまうか らである. 観察巣箱を,高温になるバルコニーにおいて 観察を していた際,最終的には観察者 による撹 乱 を きっか けに逃去 を誘発す ることがで きた が,その後,別の季節 に同 じ観察巣箱において, 同程度の刺激が加わる観察や, ミツバチをさら に騒がす巣板の入れ替えなどの作業を行 って も 逃去を誘発することはできなか った. ミツバチ による撹乱の質的あるいは量的な受容が,それ までの逃去 ポテ ンシャルの上昇程度 に対 して大 きいか小 さいかは実験的に証明立てるのも困難 で,逃去 した蜂群 にとってどの要因が致命的だ ったかはなかなか明 らかにはな らない. それで も,巣箱の中に残 されたものか らはあ る程度,急性か慢性かといった判断が可能であ る.蜂児,貯蜜,花粉が残 されているような ら, これは急性撹乱 によるものであることは間違 い ない (図 2). 慢性擾乱の場合には, 貯蜜や花 粉,卵を除 く蜂児が見あた らないことが多い. これは, まず撹乱が長期化 した場合に採餌行動 が低下す るので巣の蓄えが減 っていること,そ れに伴い育児が放棄 されて しまうことによる. また,棄巣 までの時間が長 いので,貯蜜を充分 に蜜胃に取 り込む ことも可能で, さらに残 され ている蜂児 の一部 は働 き蜂が共食 い して しま う.蜜の取 り込みは分蜂で も見 られる現象で, 飛行中のエネルギーとして,かつ新営巣地での 蜂 ろうの分泌に必要だか らである. タンパ ク質 については体内貯蔵の明確 な証拠 は得 られてい ないものの,逃去直前の共食 いは比較的普遍的 に起 こる現象である (中村,1995). 卵 はよ く準備 された逃去で も,つまり長期的 な撹乱を受 けていた巣で も見 られることが多い (図 3). これは, トウヨウ ミツバチでは (おそ らくニホンミツバチで も)女王蜂が外環境を感 受す るのが遅 く, またセイ ヨウ ミツバチに較べ て体躯が小 さいので産卵中の女王蜂で も飛行で きるためであろうか.実際,逃去の直前,ある いは未遂 に終わ った逃去の直後の女王蜂が産卵 す ることは希ではない. 2)季節移動 こうした棄巣,避難 としての意味のある逃去 とはまった く別の棄巣行動 も見 られる.季節移 動である.資源関連型逃去 または資源不足誘発 型逃去 と呼ばれることもある (Winstoneta1.,
1979;Otis,1991;Winston,1992;Crane,
1990).季節移動 は単 に移動 と呼ばれてい くつ かの行動 をひとまとめに扱 うことも,細分化 し て呼び分 けることもあるが, このあたりの用語 はまだ確定的ではない.例えばCrane(1990) は移動をオオ ミツバチ (ヒマラヤオオ ミツバチ
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を含む) に限 って認め, コ ミツバ チや トウヨウミツバチでのケースは遊動逃去 と いう季節性の乏 しいものであるとしている.ま た撹乱誘発型逃去 との関連性 について も意見が 分 かれ るところで,逃去 が移動 の-変形であ る,移動が逃去の延長上 にある,それぞれまっ た く独立の現象である (Paxton,1992)など 様々である.実際には, トウヨウ ミツバチの移 動 は比較的明瞭に観察で き,撹乱誘発型逃去 と はや はり独立 した現象 と見 なすのがよいだろ 雨季 図4 ネパール中部における蜂群の動態(1988年調 査) 中村 (1994)より75 団 餌資源が豊富 ● 蜂群 [ⅡⅢ 餌資源がやや豊富 .- 定住 ⊂コ 餌資源が乏 しい
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十逃去 または移動 明瞭な季節のない熱帯 欠乏期が明瞭な熟亜熱帯 図5 資源の時空間分布と逃去の発現の模式図 温帯を除き,蜂群は逃去しても定住してもよい.蜂群の図中 の位置は,欠乏期に直面 した時点を示す.温帯以外で,蜂群は,もてる貯蜜量によって逃去(または移 動)しても,そのまま定住してもよい (ただし,矢印が長いはどコストは大) 中村(1994)よりつ.
ネパールで蜂群数の動態などを1986年か ら 1989年 にかけて行 った調査 の結果を図4に示 した. この調査を行 った村での,蜂群数の推移 には比較的明瞭な季節性が認め られる.すなわ ち,雨季直前に飛去 した蜂群が,雨季明けには 戻 って来 るというものである. この蜂群が実際 どこに行 っているのかは調査できなか ったが, 同時に行 った ヒア リング調査では, 標高1500 m 以上の地域の住人か ら,蜂群の飛来時期に関 してやや異なる結果を得てお り,雨季 に蜂群が 山間部へ移動 している可能性が示唆 される.莱 際に ヒア リングを行 った村人の居住地域 は調査 部落か ら北側 に15kmの範囲内である.その距 離で標高 は2000m(標高差1200m以上)を越 える. これに実質的な意味があるかどうかは不 明であるが,Underwood (1990)はヒマラヤ オオ ミツバチが,同 じようにわずか10-20km の水平移動で標高差に して2000mの垂直移動 を可能 に し,越冬を成功 させていると指摘 して いる. タイのサムイ島で も同様 に海岸地域 と標高 600mに達する中央高地 の間での トウヨウ ミツ バチの回帰が知 られている (中村 ら,1991). このような垂直移動の効果は,気候的な差異 に依存す ると同時に植生の差異にも依存す ると 思われる. ネパールでは1000mの標高差が亜 熱帯 と温帯,温帯 と高山帯 といった気候区の差 にもなってお り,サムイ島で も標高差 は小 さい なが ら,平地への栽培植物導入による人為的な 環境の再構築 もあって植生 の差 は大 きい.気候 の差 は ミツバチの活動その ものを制限するし, 植生の差 は利用できる蜜源や花粉源の差異 とし て ミツバチの生存 に関わ って くる. もっとも季 節移動 は気候的にも季節 の明確な,亜熱帯の雨 季 と乾季 といった季節が見 られるところに限 ら れ,熱帯の,季節の明瞭ではないところ,ある いは雨季乾季が多少 はっきりしているところで ら, ミツバチの動向に明確 な季節性が現れない 場合が多 い. 資源利 用 と逃去 ヨーロッパ型のセイヨウ ミツバチのように定 住を基本 とす る ミツバチがハチ ミツ生産に向い ているのにはいくつかの理 由がある.つまり, 定住によって, ミツバチは造巣 コス トを節約で きる.それに伴 い貯蔵が増加す る. コロニー構 成員 (様々な日齢の働 き蜂)が連続的に供給 さ れる.蜂群が大型化するので,働 き蜂の餌の探 索範囲が広が り,あるいは餌の搬入効率が上が り,貯蔵が増える.多少の餌資源の不足 は,餐 源の探索域を拡大す ることで補 う.それに足 る 働 き蜂の数を用意できるか らである. しか しミ ツバチは分蜂によって繁殖するので,複数の子孫を得 るために分蜂を繰 り返 し,結果 として蜂 群 は小型化 し,資源探索,利用の効率 は低下す る. また多 くの蜂群が分蜂を繰 り返す と,個体 群密度が高 まり資源利用に関 して競合する. また長期間同 じ場所に営巣 し続 けることは, 害敵 に発見 される確率を上 げることになる. ま た巣その ものの耐用年数 にはある程度の限界が あり,特 にスムシの発生が頻繁なニホ ンミツバ チでは実質耐用年数 は短 いと予想 される. トウヨウミツパテの逃去 の明確 な目的は資源 の有効利用には違 いない. その資源である熱帯 の植物群 はパ ッチ状分布 しているのが特徴であ る.現在蜂群がいるパ ッチが資源 として利用価 値がな くなると, ミツバチは探索範囲を広げる ことで対処 しようとす る. しか し蜂群が小 さい 場合,あるいはす ぐ近 くに利用できる資源がな い場合には,餌の供給 は事実上停止す る. この 場合 で も,巣 の中の貯蔵物 で乗 り切 れ るな ら ば, ミツバチはその場 に定住可能 となる. しか し,貯蔵が充分でない小 さな蜂群の場合,利用 可能な資源 まで移動す る方が生存確率を上げ ら れる. この場合,定住が時間軸方向の,逃去が 空間軸方向の 「移動」 となる (図 5). 亜熱帯では,乾季雨季の季節があり,資源の 分布 ももう少 し単純化 して くる. この場合,逃 去 は長距離の移動 になり, また季節性を帯びて くる.温帯では,資源の不足す る冬が長 く,か つ空間移動では資源を得 られない. この場合, ミツバチは越冬を強いられ ることになる. これ も時間軸方向での移動である.空間軸方向の移 動では飛行 エネルギーに転換 される貯蜜が,越 冬の場合 は低温を乗 り切 るための熱 エネルギー に転換 される.移動では蜜胃を満たす分だけの 貯蜜でよいが,越冬の場合 には巣房を満たす蜜 を貯えることになる.つまりミツバチは,資源 状況が一様で,なおかつ越冬を強いられる温帯 では貯蔵型 というべき定住型 に,資源状況がめ まぐるしく変わる熱帯では貯蔵の少ない逃去型 になったと考え られる.
二ホンミツバチの特殊性
しか し,ニホンミツバチは冬の厳 しい日本に 分布 しなが らも逃去性を捨てず,かつ貯蔵性を 発達 させていないようにみえる. トウヨウ ミツ バチの本質だと考えがちだが,実 はインドの西 北部のカシミール地方 に分布するものはセイヨ ウ ミツバチのような高 い貯蔵性 と低 い逃去性を 示すという. もちろんニホ ンミツパテの逃去の 頻度 は東南 アジアの トウヨウ ミツバチに較べる とかな り低 く,また季節移動 に相当す る行動 は み られない.貯蜜性について も思いがけず大量 の-チ ミツが採れたという話 も聞 く.それで も セイヨウ ミツパテのようにはいかない. この ミツバチにはまだまだ人間に見せていな い側面が多い.ニホ ンミツバチを飼 う人が増え ることで少 しずつで も謎解 きが進むよう期待 し た い, (〒194 町田市玉川学園6-1-1玉川大学) 主 な引用文献Koeniger,N.and G,Koeniger.1980. ∫.Apic. Res. 19:21-34.
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SubspeciesofApiscerlanatend to abscond from theirhives,and ithasbeen thoughta negativecharacterofthebeesfrom theview
pointofbeekeeping.Evenforbees,absconding or mlgration is a costly event. If though,
exceptforevacuation,absconding mightbea worthy strategy to be performed by colonies forexplorationofresourceinnew patch.