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ABCを前提としたCVP分析に関する一考察

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Academic year: 2021

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(1)論 説. ABCを前提としたCVP分析に関する一考察. 賢. 高  橋. 1.はじめに.  ABC(ActivityBased Costing)は,当初は 全部原価計算における製品単位原価計算の改善 を目的として提唱された.KaplanやCooperに よる原価階層の発見以来,貢献利益法への応用. 活動の階層を紹介している2).従来の直接原価. 計算・貢献利益法はあまり有用ではないが,か といって恣意的な配賦を行う全部原価計算も役 に立たない.そこで,貢献利益法の新しいアブ「 ローチとして,ABCを提唱する3).. も考えられている.本稿では,その一例として,.  Cooperとの研究の中で,詳細に企業のケー スを検討していくうちに,製品原価の変動性の. CVP分析(Cost−Volume−Profit Analysis)と. タイプを発見し,それを要約したという.それ. ABCの関係について多少の考察を加える.. が,原価階層である..  CVP分析は,予算編成の前段階における大綱.  Kaplanが示した原価階層のモデルは,図!. 的利益計画において古くから用いられている分. である.. 析方法である1).CVP分析では,企業の大まか.  これは,上から下に配賦するということを表. な利益構造を分析し,目標とする利益を実現す. しているのではなく,下から上に原価を積み上. るための営業量,原価の水準をシミュレートす. げていくということを表している.そして,そ. る.この分析によって得られた目標値の見積を. れぞれの階層ごとに利益を計算すると説明して. 基に,具体的な実行計画である予算が編成され. いる.つまり,貢献利益法の多段階計算を表し. ることになる.. た概念図である..  本稿では,まずCVP分析と密接な関係にある. 貢献利益法とABCの結びつきについて概観し.  これは,1967年のMarpleの論文で示された 直接原価計算の多段階計算と同じような構造を. たうえで,Blocher, Chen and LinのCVPモデ. とりうると,同じパネルディスカッションのス. ルと,KeeのCVPモデルを紹介し,比較・検討. ピーカーであったB6erによって指摘されてい. する.. る4).. 2.ABCによる原価階層と貢献利益法. 2.2 原価階層と貢献利益法. 2.1原価階層のアイデア.  Kaplan等の原価階層の考え方を,貢献利益.  Kaplanは,貢献利益法をテーマにしたパネ. 法と明確に結びつけたものの一つに,Aliの論. ルディスカッションにおいて,ABCにおける. 文がある‘).Aliが示した損益計算書は図2のよ.

(2) 114 (114). 横浜経営研究 第24巻 第1・2号(2003). うなものである.. ル別の原価とその利益貢献が分離して表示され.  この損益計算書の例では,製品貢献利益の計. ている.これは,活動基準の貢献利益法では,. 算からさらに進んで製品のブランドの維持に関. 活動のグルーピングによって,目的に対応した. わる原価の測定とその利益貢献,顧客チャンネ. 柔軟な損益計算システムが設計されうることを. 図1 Kaplanの原価階層 製品ライン. 製品原価. プロセス・エンジニアリング 製品仕様. 製品維持活動. ECNs 製品強化 段取り. 材料運搬. バッチ活動. 購入注文 検査 直接作業 材料. 価格. 単位レベル活動. 機械作業時間 燃料. 図2 Aliの損益計算書        製品ライン(1). 製品ライン(2). 全社合計.          合計.   合計. 製品収益.           1,050,000.    1,450,000. 2,500,000. ユニットベース変動原価.           335,000.    465,000. 800,000.  増分貢献利益. 715,000. 985,000. 1,700,000. ユニット,バッチ,製品ベースの原価. 222,000. 220,000. 442,000. 23ρ00. 30,000.  53,000. 470,000. 735,000. 1,205,000. 55,000. 175,000. 230,000.  ブランド貢献利益. 415,000. 560,000. 975,000. 製品ライン維持原価. 25,000. 130,000. 155,000. 余剰キャパシティ原価(製品ライン維持).  5,000. 10ρ00. 15ρ00.  製品ライン貢献利益. 385,000. 420,000. 805,000. 余剰キャパシティ原価  製品貢献利益 ブランド維持原価. 顧客およびチャンネル維持原価. 370,000.  営業貢献利益(operational contribution). 435,000. 製造,マーケティングおよび管理施設維持原価. 200,000. 余剰キャパシティ原価(施設).  施設貢献利益 Ali(1994), p.54より一部修正・抜粋. 55,000. 180,000.

(3) ABCを前提としたCVP分析に関する一考察(高橋 賢). (115) 115. 献利益ということになる.. 示している.. 2)数値例. 3.ABCによるCVP分析のモデル.  彼らの提示した数値例によって,このモデル を検証してみよう.データは図3の通りである9).. 3.1 Blocher, Chen and LinのCVPモデル. 1)ABCを考慮に入れたCVP分析モデル. (一部修正してある.).  Blocher, Chen and Linは,その著書の中で,. 図3 データ. CVP分析とABCを結合させたモデルを紹介し. 単位当たり. ている6).. 年額. 固定費              $60,000.  記号を次のように定め,CVP分析の基本モデ. 目標営業利益           48,000. ルを提示している7).. 収益      $75.  Q:販売単位数. 変動費      35.  v:単位当たり変動費. 計画生産量            3,000単位.  f:固定費総額. 計画販売量            3,000単位.  p:販売単価.  N:営業利益.  この資料を基に,通常の損益分岐点を求める.    f+N                   (1−1)  Q瓢    P−v. と,$60,000÷($75一$35)=1,500単位となる..  ここで,固定費のうち,機械の段取りと検査.  これは伝統的なCVPのモデルである. Nニ0. というバッチレベルの活動に対して年間. の時のQが,損益分岐点での販売量となる.. $10,000の原価が跡づけられるとする.前述の.  ABCの考え方を導入するため,これに新た. 記号でいうと,固定費$60,000のうち,fABが. に次の記号を定める.. $10,000,fBが$50,000ということになる.この. 条件下で損益分岐点を求める場合,問題になる. 罫B:営業量に対する固定費で,アクティビ  テイコストドライバーに比例しない固定費. のは,記号わ:バッチサイズである.バッチサ. 罫B:アクティビティコストドライバーに比  陣する固定費の部分. 異なり,モデルの分母が変わってくるからであ. (fニ’B+fAB). の見積もりを行っている.. vAB:アクティビティコストドライバーに対.  たとえば,目標利益$48,000を達成する営業.  する1バッチあたり原価. 量を,次のように求める.. イズによって,単位当たりバッチレベル原価が. る.Blocherらは,バッチサイズごとに営業量. わ:1バッチの中の製品単位数 vAB/わ:バッチレベル原価の製品単位当たり.  原価.  わ=20単位の場合 ・、. pニ($50,000+$48,000)/($75一$35一$100/20).   ニ2,800単位.  これをふまえて上記の式を書き直すと,次の.   (このとき,2,800単位/20単位=140バッチ). ようになる8).. Q−. o一議鵠/わ)  (1−2). わ=30単位の場合 Q=($50,000+$48,000)/($75一$35一$100/30).  v超/わは,バッチレベル原価を製品単位当た.  =2,673単位. りについて変動費化したものである.したがっ.   (このとき,2,673単位/30単位二90バッチ). て,等式(1−2)の分母は,製品単位当たり貢.

(4) 116 (116). 横浜経営研究 第24巻 第1・2号(2003). わニ100単位の場合.   から必要とされるバッチ量. Qニ($50,000+$48,000)/($75一$35一$100/100). bi」講バッチレベルアクティビティjにおける単.  =2,513単位.   位数.   (このとき,2,513単位/100単位=26バッチ). q茄 Qiの富商. Hi=製品iの利益  Blocher等のモデルでは,いかなるアクティ ビティに対しても,バッチサイズは一定である. ABCによる損益の等式は,次の通りになる11).. と仮定されている.このため,バッチサイズを.  Hiニ(piQi)一(ΣjCuj」Qi+ΣjCBjβLj+ΣjCLj」). 決定すると,バッチレベル原価が製品単位に変.                   (2−1). 動費化されることになる.この変動費化したパ.  基本的な仕組みは伝統的なCVP分析とは変わ. ッチレベル原価ともとから製品単位で変動する. らないというものの,原価階層の考え方を取り. 原価とから単位当たり貢献利益を計算し,固定 費の回収と目標利益を実現する販売量を求める. 入れているところが伝統的なCVP分析とは異な る点であるとする.この式によって,製品の収. のがこのモデルの考え方である.. 益と原価の関数のより記述的なモデルが提供さ れるという.その他に,次のような点がこのモ. 3.2 KeeのCVPモデル. デルによって明らかになるという12)..  次に,KeeのCVPモデルを紹介する10).. ①このモデルによって,経営管理者が最適プロ.  Keeが前提としているのは, Kaplanとクーパ. ダクトミックスの財務的なよりよい見積をする. ーによっ・て示された原価階層である.伝統的な. ことができるようになる.. 原価計算システムを前提としたCVP分析では, 特に固定費の問題を単純化しすぎており,シミ. ②この等式によって,単位レベル原価,バッチ. ュレーションとしては不十分であると指摘し,. ったパラメータの変化に対する製品の収益性へ. ABCの測定を考慮に入れたCVPモデルを提唱. の影響をシミュレートすることができるように. する.Keeのモデルの特徴は,アクティビティ. なる.. によってバッチサイズが異なるような場合をモ. ③このCVP関係によって,バッチサイズやその. デルに組み込んでいる点である.以下,彼の示. 他の製品の製造・マーケティングのアクティビ. したモデルと数値例をみていく.. ティの変化の経済性を評価することができる.. 1)CVPモデル.  等式(2−1)をつかって,損益分岐点を求める..  次のように記号を定める.. レベル原価,製品維持レベル原価と,価格とい. そのときの営業量は,次のように表されている.. 」二製造アクティビティのインデックス Pi二 製品iの価格.  Qiニ (ΣjCBjβLj+ΣjCLj」+Hi)/(p「Σ」Cuj」). Qi二製品iの製造・販売量.                   (2−2). CUj」二製品iを1単位を製造するのに必要な単位.  この等式(2−2)で,1]:iニ0であれば,そのと.   レベルアクティビティjを遂行する原価. きのQiが損益分岐点である.また, Hiが目標利. CBj」=製品iの1バッチを製造するのに必要なバ. 益であれば,Qiが目標利益を達成するための営.   ッチレベルアクティビティjを遂行する原・. 業量ということになる.これは,伝統的なCVP.   価. 分析における損益分岐点の公式の分子の固定費. CLj」二製品iを製造するのに必要な製品維持レベ. の部分をバッチレベルアクティビティによる原.   ルアクティビティjを遂行する原価. 価と製品維持レベルアクティビティによる原価. BLj二製品をQi製造するためのアクティビティj. に置き換えたものである..

(5) ABCを前提としたCVP分析に関する一考察(高橋 賢). (117) l17.  この方程式を解くには,問題がある.Bi」は. 算を行うと,損益分岐点営業量は18,228単位と. 整数に制限されてい’る.一方,Qiは, Qiを製造. 計算される15).. するのに必要なBi」によって決定される.した.  同様にして,たとえば$400,000丁目標利益を. がって,QiとBLjは連動して計算されることにな. 獲得するための営業量を計算すると,30,339単. る.. 位という結果を得る..  等式(2−2)の概算をするために,等式(2−1). 3)増分利益の分析. においてBLjの代わりに, Qi/bLjという比率を用.  伝統的なCVP分析では,単位当たりの貢献利. いて等式を書き直すと,次のようになる13).. 益が導関数となっていたため,増分分析が非常. に容易であった.ABCモデルでは,バッチレ Qi=(Σ」CLj」+ni)/(pi一Σ」Cuj」一ΣjCBj」/b軋j). ベルアクティビティのために,原価が階段状の.                  (2−3). ビヘイビアーを示すことになる.Keeは,この.  CBj」/bi」は,アクティビティjにおけるバッチ. モデルを使って,線形でコストビヘイビアーを. に含まれる製品単位当たりの原価である.等式 (2−2)の分母は,純粋に営業量に比例する貢献. 描こうとする.そこで,qiというQの区間を表 す変数を導入し,等式(2−1)を変形すると,. 利益であったが,等式(2−3)の分母は,バッ. 次の式が導かれる.16).. チレベル原価を変動費化しているため,純粋な 営業量との比例関係は成り立たなくなってしま. △rl i=(Piqi)一(ΣjCuj」Φ+ΣjCBj」qi/bLl)  (2−4). っている.この等式(2−3)によって解を求め るのは比較的容易である.ただし,ここで得ら.  △Hiは, qiという区間での販売数量の変化に. れた解は概算であり,その営業量を基にバッチ. 対する利益の変化を表している.qiがそれぞれ. 数を見積もり,そのバッチ数を等式(2−2)に. のバッチレベルアクティビティにおけるバッチ. 代入することによって,最終的な営業量が計算. サイズの最小公倍数であれば,そのq1に対する. されることになる.. 増分での△Hiは,バッチレベルの貢献利益を 表す.最小公倍数のバッチサイズのバッチを一. 2)数値例. つの変数とすれば,Σ」CBl」qi/bLjはそれに対す.  XYZ社という仮説例がある.データは図4. る変動費となる.. の通りである..  たとえば,設例でのバッチサイズの最小公倍.  この条件下で,等式(3)によって損益分岐. 数は1,000単位である.したがって,段取りの. 点営業量を求める14)と,. バッチが2,購買のバッチが1,という組合せで 増分の利益を考えることになる.その門門(qi).    $600,000.           ニ18,181.818181… $78一$42一($1.60+$140) ≒18,182単位. に対するバッチレベル貢献利益は,等式(2−4) から$33,000と計算される17).これは,1,000単. 位というqiに比例する貢献利益である.これに. より,固定費である製品維持レベル原価  これに対して必要な段取りのバッチは,. $600,000を回収していくことになる.これによ. 18,182単位÷500単位/バッチ=36.364バッチで. って損益分岐点を計算すると,$600,000÷. ある.同じく,必要な購i買のバッチは,18.182. $33,000/1,000単位二18,181.18181818・・. バッチとなる.バッチ数は整数なので,それぞ. ≒18,182単位となる.. れ切り上げると37バッチと19バッチということ.  これを前提にして貢献利益図表を描くと,図. になる.これを等式(2−2)に代入して再び計. 5のようになる18)..

(6) 118 (118). 横浜経営研究 第24巻 第1・2号(2003). 図4 XYZ社 製品iのABC パネル1 単位レベルアクティビティ  予測原価  実際的生産能力(機械作業時間).    組立.  アクティビティコストドライバーレート.      $8/時間.  単位当たりアクティビティコストドライバー  製品1単位当たり原価.    2時間/単位. パネル2 バッチレベルアクティビティ  予測原価  実際的生産能力  アクティビティコストドライバーレート  バッチ当たりアクティビティコストドライバー  バッチ当たり原価  バッチサイズ  製品1単位当たり原価.     $4,000,000.    50,000時間.      $16.00 段取り.    購買.   $800,000.     $600ρ00.   2,000日寺問.   6,000購1買注文.   $400/日寺間.  $100/1購買注文. 2時間/バッチ. 14購買注文/バッチ.     $800    500単位.      $1400.     $1.60.       $1.40.     1,000単位. パネル3 製品支援レベルアクティビティ  予測原価.     $3,000,000.  実際的生産能力.     2,000時間.  アクティビティコストドライバーレート  製品種当たりアクティビティコストドライバー.    $1,500/時間.  製品種当たり原価  需要の最大値  製品1単位当たり原価.     $600ρ00    50,000単位. エンジニアリング.      400時間.      $12.00. パネル4 活動基準原価と価格  直接材料費(41bs,@$5/lb).  直接労務費(0.5DLH,@$12/DLH).  間接費一組立  ユニットレベル原価  バッチレベル原価. $20.00 $6.00. 幽 $42.00.   段取り. $1.60.   購買. $1.40.  製品維持レベル原価   エンジニアリング  活動基準原価合計  価格  利益. 凱 遡 迦.  最大の需要数. 50,000. $57.00.

(7) ABCを前提としたCVP分析に関する一考察(高橋 賢). (119) 119. 図5 Keeの貢献利益図表 1200000 1000000. 800000.  600000 攣 驚.  400000 200000. 3000  6000  9000  12000  1     18000  21000  24000  27000 30000  33000  36000  39000  42000  45000  48000. 一200000 一400000 一600000 一800000. 販売量.  横軸は,qi臨1,000単位区切りで考える.販売. ズは一定である」ということが前提とされてい. 量が1,000単位増加することにプロットした点. ると考えられる.数値例でいうと段取りのバッ. を結んだものが,この図の貢献利益線となる.. チサイズは500単位,購買のバッチサイズは.  当然,製品1単位ずつの増分を考えると,. 1,000単位で常に一定であると仮定されている.. 貢献利益線はこのような線形を示さない.販売. この仮定が成立しないと,qiが確定できない.. 1単位から1,000単位までの販売量に対して比. したがって,貢献利益線が線形で描けないこと. 例するのは,単位レベル貢献利益である$36の. になる.. みである..  Keeのモデルの最終的な目標は,伝統的な. 3.3 モデルの比較. CVP分析と同じく,CVPの関係を線形にし,.  2つのモデルは,CVP分析にABCの測定の. 利益の構造をわかりやすく示すことにあると思. 考え方を導入しようとしている点は共通してい. われる.ただし,モデルの構築にあたっては,. る.前述のように,ABCではアクティビティ. ABCによる原価階層の考え方を反映させると. の階層にしたがって原価を認識するが,単位レ. いう前提がある.その場合,貢献利益線を線形. ベル原価と製品維持レベル原価については,従. に表現できない原因がバッチレベル原価にある. 来のCVP分析の考え方に容易に組み込むことが. と考えた.それを克服するために,バッチレベ. できる.単位レベル原価は営業量に対する変動. ル原価が変動費となりうるための営業量の区間. 費であり,一製品種を考えれば,製品維持レベ. を導入したのである.. ル原価は,営業量に対する固定費であるからで.  このモデルでは,少なくとも「それぞれのバ. ある.問題はバッチレベル原価である.. ッチレベルアクティビティに対するバッチサイ.  Blocher等のモデルにしろ, Keeのモデルに.

(8) 120(120). 横浜経営研究 第24巻 第1・2号(2003). しろ,バッチレベル原価を認識し,CVPモデル. ける大まかな利益構造の描写であるということ. にそれを反映させようとするところまでは共通. におくとすると,この簡明さは非常に重要なも. しているが,損益分岐点の計算等のCVP関係の. のとなる20).. シミュレーションにこれをどのように反映させ.  本稿で取り上げたBlocher等やKeeのモデル は,ABCにおける測定方法を組み込みながら,. るのか,という点が異なる..  Blocher等のモデルの特徴は,バッチレベル 原価を,販売数量に対して変動費化することに. この「簡明さ」を実現するために線形の原価線. ある.これにより,伝統的なCVP分析のモデル いと同じ計算が可能になる.これは,販売量に. している.当然,この工夫のためには,様々な. 前提をおかなければならず,それが現実の原価. 対する貢献利益によって,(バッチレベルアク. 構造を精確に描写しているかどうかという点に. ティビティに比例しない)固定費を回収する, という考え方になる.バッチレベル原価を変動. 関しては疑問が残る.ただし,CVP分析の目的 を前述のような利益構造の大まかな描写におく. 費化することにより,原価線を線形で描けるよ. とすれば,このような点はさほど大きな問題と. うに工夫している.この方法は,バッチサイズ. はならないといえる.. に大きなバラツキがない場合には計算のコスト もかからず,有用な方法である。.  簡明さを犠牲にし,ABCにおける原価の階 層構造をより精確に描写するようなCVPモデル.  一方,Keeのモデルでは,バッチレベル貢献. は,Keeのモデルを展開することによって構築. 利益を損益分岐点の計算に用いている.これは,. が可能である.それについては他日を期したい.. (あるいは貢献利益線)を描けるような工夫を. KeeのモデルがBlocher等のモデルと違い,バ 注. ッチサイズの異なるバッチレベルアクティビテ ィが存在することを仮定していることから導か れたものである.これにより,バッチレベルの. 貢献利益が明確になる.図表上で,貢献利益線 が線形で描けるように工夫しているのである. また,バッチレベル原価の変化による感度分析 も,容易になる.. 4.むすびにかえて. 1)CVP分析の基礎となる損益分岐図表の始祖は,  1903年のHessであるといわれている.  Hess, H.,“Manufacturing:Capital,Costs,Profits,and  Devidents,”71舵Eη8∫η6εr∫η8 Mα8αz’ηε, Dec.1903,.  pp.367−79.. 2)これは,以下のパネルディスカッションにお  けるKaplanの発言部分からの引用である.  Shank, J. K,“Contribution Margin Analysis:No.  Longer Relevant/Strategic Cost Management:The.  New Paradigm,”Jo配rη010ヅ〃αηα86配6η’.  本稿でみたようなCVPモデルは,伝統的なモ デルにおける準固定費の処理と類似している点.  Acco尻η”ηg Rθ56αrcん, Fall 1990, pp.15−21.. がある.伝統的なCVPモデルは,線形のモデル.  高橋 賢「ABCの変遷と原価配分の視点」『横. とするために,正常操業圏内での営業を前提:と.  浜経営研究』2000年12月,195−212ページ.. し,能率は一定,固定費の金額は一定,販売価. 格は一定,といった仮定をおいている.特に, 固定費の金額は一定である,という仮定により,. 準固定費を固定費あるいは変動費的に扱うこと が可能となる19).線形モデルの有用性は,その. 簡明さにある.それは図表が描けること,そし.  この詳細については,次の論文を参照された  い.. 3) 1わ’4」,P.5.. 4) 1わ’6乙,p.25..  なお,B6erが示したMarpleの多段階計算のモ セグメントのタイプ  1直接費(跡付け可能費). 問接費.  製品単位    1  単位変動費   1その他のすべての原価              @   へ                      .  ライン内の製品   1上記の原価+製品個別費1その他のすべての原価. 一一一一一一一一一一『一 P一一一一一一一一一一一一一1一一一一一一一一一一一『.  製品ライン   1上記の原価+ライン個別費1その他のすべての原価. ____________L___________」____________                            工場     1上記の原価+工場個別費1その他のすべての原価. てCVP関係のシミュレートが容易になることで.              @                       へ  . ある.CVP分析の目的を,大綱的利益計画にお. 一一一一一一一一一一一一 沿鼈鼈鼈鼈鼈鼈鼈鼈鼈鼈鼈鼈黷P一一一一一一一一一一一一.   事業部     匡記の原価+事業部固定費1その他のすべての原価.   全社     1  すべての原価   1    無し.

(9) ABCを前提としたCVP分析に関する一考察(高橋 賢). (121)121.   デルは,表のとおりである.   (Marple, R.,“Management Accounting Is.    ニ(PiQi)一QiΣjC切」一QiΣ」CBj/bi」一ΣjC甲.   Coming of Age,” 1>ん41レfαηα86η1ε班・4cco研励8,.    ニQi(Pi一ΣjC巧,rΣ」CBj/bi」).   July,1967, p,7.). 14)製品iが回収すべき製品維持レベルコストは,.    Marpleについての詳細は次の論文を参照さ.   表中の「製品種当たり原価」である$600,000で.   れたい..   ある..   →ni+ΣjC局」ニ(PiQi)一QiΣjC叩一QiΣjCBj幽」.   高橋 賢「直接原価計算論の再検討∼マーブ. 15).   ルの貢献と限界」『會計』1997年6月,87−99ペ.   $600,000+$800×37+$1400x19.   ージ..             ニ18,227.7777。 。 ・ ・      $78一$42. 5) Ali, H. F.,“A Multicontribution Activity−Based.             ≒18,228.   Income Statement,”Jo那rηαZげCo3∫114αηα8翻6班,. 16) Zわ’諾,p.85..   Fall l 994, pp.45−54。.   等式(2−1)の要素の中で,ΣjC、j,、は営業量に.    この詳細については,次の論文を参照され.   まったく影響を受けないので,増分には影響.   たい..   を与えない. 17)$78×1,000単位一($42×1,000単位+$800×.   高橋 賢「直接原価計算の長期的問題への有   用性に関する一考察」『横浜経営研究』2002年   7月,29−40ページ. 6)Blocher, E. J., K. H. Chen and T. W. Lin, Co訂.   ル1αηα8ε配6ηむA5∫rα∫88’cEη11ψα5f3(N.Y.:.   McGraw−Hill,1999). 7) 1わ’6云,pp.250−5. 8) 1わ’6孟,p.258. 9) 1わ’4L, p.250..   1,000単位÷500単位+$1,400×1,000単位÷   1,000単位)=$33,000 18) 1わ’鳳,p.87.. 19)準固定費が正常操業圏内で変化しなければ固   定費として扱うことになり,正常操業圏内で   変動するようであれば,変動費として処理す   ることになる.. 20)廣本教授は,この点について次のように述べ. 10)Kee, R. C.,“Implementing Cost−Volume−Profit.   ている..   Analysis Using an Activity−Based Costing   Vol.10,2001, pp.77−94..   「…  これらは,むしろ問題状況を単純化   してくれる有用な仮定であるといえる.必要   なことは,それらの仮定が存在することを知. 11) 1わ’d,p.81..   っていることである.」. 12) 1Z)此孟, p.82..   廣本敏郎『原価計算論』中央経済社,1997年,. 13) (2−1) より,                          L.   360ページ..   System,” A4vαηc85加ル1αηα8θ配ε班・4coo醜伽8,.   niニ(PiQi)一(ΣjC叩Qi+Σ」CBj」Q/bi」+ΣjC珈). 〔たかはし まさる 横浜国立大学経営学部助教授〕.

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