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国語科学習指導に高度情報ネットワークを生かす;説明文の学習指導におけるインターネットの活用 (シンポジウム概要)

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国語科学習指導に高度情報ネットワークを生かす

一説明文の学習指導におけるインターネットの活用-兵庫教育大学言語系教育講座堀江祐爾

インターネットという高度情報ネットワークの特性 インターネットという、コンピュータを用いた高度情報ネットワークの出現 により、学習環境が大きく変わろうとしているoインターネットは次のような 特性を備えており、これらの特性を利用することによって、国語科学習指導を 支えるもののひとつとして生かすことができよう。 【情報の蓄積と開放】 蓄積性一情報を蓄積することができる。 多様性-さまざまな情報が集められているo 開放性一原則的に誰でも情報を入手できる。 【情報の提示】 即応性一情報を即座に提示できる。 関連性-情報が関連した形で提示されるO 階層性一情報が階層化された形で提示される。 具体性一文字情報などがそのまま提示される。 【情報の個別性と双方向性】 個別性一個人の責任において情報を公開することができる。 双方向性一情報提供者とやりとりをおこなうことができる。 (比べ読み)のための副教材(副情報)の入手 本論では、説明文指導を例にとって、インターネットという高度情報ネット ワークが、国語科学習指導において、どのような役割を果たし得るものである かを論じていく。 周知のように、説明文指導においては、(内容)つまり「題材」「テーマ」 (何を書いてあるのか)と、(形式)つまり「文章表現・文章形式・論理展 開」(どう書いてあるのか)のどちらを扱えばいいのか、という問題が常に存 在する。紙幅の都合により、詳しくは述べることができないが、この(内容) と(形式)という対立を止揚するために、(筆者)つまり「書き手の立場・姿

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-108-勢」(なぜそれをそう書いたのか)という観点を設けようというのが、現在の 説明文指導の到達点である0 (筆者)という観点は(内容)か形式)かという対立を解消することにおいて有 効であるが、ある教材ひとつを扱うだけでは、この観点を本当に生かすことは 難しい。「書き手の立場・姿勢」を考えさせるには、その教材と同じような題材 やテーマに関する他の書き手が書いた文章とその教材とを比較させる場、つま り(比べ読み)の場を設ける必要がある。 多くの教師がこうした指導の必要を 感じながらも、なかなか実現できなかったのは、(比べ読み)をおこなう副教 材を準備するのが大変であるからではないだろうか。 インターネットという高度情報ネットワークを活用することによって、(比 べ読み)のための副教材(乱情報)を居ながらにして入手することができる。 さらに、(比べ読み)を学んだ学習者が、インターネットを使って「謝べ読 み」「広げ読み」-と学習をさらに広げることもできよう。 インターネットを使って何ができるのか 具体的な教材を例にとって述べていく。 例えば、次のような記述から始まる 「森林のおくりもの」(富山和子・東京書籍・五年)という教材を用いて授業 をするとしよう。 日本 は森 の 国 、 木 の国 で す。 国土 の三 分 の二 が 森 林 です O 豊 か な森 林 に め ぐまれ た とい うこ とは、 木材 にめ ぐまれ た とい うこ とで す0 日本 に はい た る所 、す ぐれ た木 材 があ りま した0 日本 人 は、 そ の森 林 の め ぐみ を精 い っぱ い利 用 して 、 「木 の 暮 らし」 を築 い て き ま した0 ①キーワードによる情報の探索-く開放性日関連性)-インターネットにおいては、WWWブラウザ(閲覧ソフト)(注1)などを用 いることにより、ネットワーク上に蓄積されたさまざまな情報を、原則として 自由に閲覧することができる。 注目すべきは、蓄積された情報をキーワードに よって検索することのできる、サーチ・エンジン(検索サービス)(注2)が用意 されていることである。 例えば「森林」についての情報を得たいと考えた場合、サーチ・エンジンに 「森林」というキーワードを記入し、実行ボタンを押す。 すると数十秒後には、 図1のような検索結果が示され、例えば、教材「森林のおくりもの」の教材名 に近い、「森の贈り物」(注3)というサイト(情報のあり場所)の存在を知る ことができるのである。

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②すぐに情報のあり場所へ移動-く即応性)-そのサイト「森の贈り物」の名前をクリック(マウスの上のボタンを押すこ と)することにより、図2のようなサイト「森の贈り物」のホームページへ、 数秒の間に入り込むことができる。 図2

「森の贈り物」という

サイトに入ってみよ

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③分類盤理した形での情報入手-(階層性自閉連性)一 図2はホームページの表紙であり、情報提供者に関する情報と、どんな情報 がそのサイトにあるかを示している。 つまり、レストランの「メニュー」に相 、当しよう。「森を守るための情報です」「森林に関する本を紹介」「森林博 士」「森に関するエッセイを集めました」などの興味深いページが用意されて いる。 もちろんページ名をクリックすることにより、そのページ-入っていく ことができるO このようなメニュー方式によって、情報は分類整理され、「階層化」された 形で提示されるのであるO ④具体的情報の入手-く具体性)一 例えば、「森を守るための情報です」に入ってみよう。 すると、図3のような下位メニューが表示される。 図3

わあ ! 「

森を守るための

情報」だ けでもた くさん

あるんだ0

よ し、 「

森林のはな し」

こ入 ってみ よう0

下位メニューの中の「森林の話-『地球環境について考える』より-」に入 ると、さらに下位のメニューが示され、そこには「森林の役割」「世界の森林 の現状」「減少の要因」「森林が減少すると」「森林と木材」「木材の使い道」 「クイズをやってみよう」などのページが用意されている。 教材「森林のおくりもの」の中の、次のような部分に注目して、「木材の使

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い道」のページに入ってみた。

大昔から日本人は、木の家に住み、木の道具を使って暮らしました。

教科書では、この記述の後、ヨーロッパの人々が石を活用していたのに対し て、日本人は木をさまざまな形で生活に生かしてきたという記述が続く。 ページ「木材の使い道」には、図4のような具体的な情報が提示されている。 教科書本文と同じように「木の使い道」に関する情報であるが、図示されており、 情報の内容も示し方も異なっている。 このような情報を学習者に示すことによ

り、 「書き手の立場・姿勢」の違いによって、情報の提

示の仕方も異なってくることに気づかせることができよう

また、教科書には次のような記述がある。

今 も、 山村 の人 た ちは 、木 材 を生 産 しなが ら山 々 を守 っ てい ま す0 海 岸 で も風 や 砂 と戦 い な が ら、植 林 が続 け られ て いま す0 「植林」という言葉が出てくるが、教科書本文だけでは、「なぜ植林が必要 なのか? 放っておけば、やがて木がはえてくるのでは?」という疑問を解決す ることができない。 例えば、ページ「森林が減少すると」の下位ページの「砂漠化とは」に入る と、次のような情報が提示される。

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-112-森林が伐採されて、地表面が露出すると、地表からの水分の蒸発が活発になり 土壌は次第に乾燥してきます。 砂漠化は、森林が広域にわたって伐採されたと きに、起こりやすいですが、小規模に伐採された地域でも砂漠化同様の乾燥状 態になることが多く、伐採した後に、人手を加えなかったら、むかしの森林に 復元することは、難しいです。 このような情報を示すことによって、「なぜ植林をしなければならないか」 ということの理由を学習者に理解させることができるとともに、「書き手の立 場・姿勢」によって、情報をどこまで示すかが異なってくることを考えさせる こともできるであろう。 このようにインターネットの情報を活用することは、教科書教材の情報を補 完するという意味も持っている。 ⑤文献情報の入手-(階層性日関連性日具体性〉 インターネットが国語科に関して、もっとも威力を発揮する分野として、 「文献情報の入手」が挙げられよう。 このサイト「森の贈り物」の中にも、「森林に関する本を紹介」というペー ジがある。その中に入ると、図5のような文献が紹介されるとともに、「書籍 紹介のページ-のリンク/木、木材の書籍特集一木の情報発信基地より-」 (注4)というサイト-のリンク情報が示される(リンクとは、その部分をクリ ックすれば、目的のサイト-自動的に移動することができるように設定するこ

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図5はその「木に関する書籍のページ」である。 ここには 文献が整理した形で示され、文献名をクリックすれば、さらに詳しい書誌情報 が示される。 宮沢賢治の作品などの文学作品をも含んだ情報提示となっている 点に注目したい。 この情報をうまく使えば、説明文の学習指導を「読書指導」 的に発展させることも可能となるであろう。 さらに、このページには「国会図書館-のリンク」が張られているoクリッ クするだけで、瞬時に「国会図書館の文検索」のサイト(注5)に入ることが可 能。もちろん、検索語を打ち込むことによって検索ができ、さまざまな書誌情 報を居ながらにして入手できるのである。 ⑥言語事項の情報も-(多様性)く具体性) サイト「森の贈り物」には、図6のような「木のつく漢字クイズ」といった 言語事項に関する学習に活用可能な情報も載せられている。 「クイズ」に答え た後、クリックすると、採点と評言が添えられる仕組みになっている。 授業者そして学習者が情報の発信者になる ⑦教師の工夫の分かち合い-(具体性)個別性ト これまでは、教師の「工夫」は、研究会などの特別な場に参加するか、研究 誌をひもとくかするかしなければ、(分かち合う)ことができなかった。 研究

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-114-会にしても、研究誌にしても、限られたスペースでの報告であり、実際の授業

のほんの一部分しかうかがうことができないOしかし、インターネット上にお

いては、授業における「工夫」を詳しく公開することができる。

図7は、曽我部義則氏(お茶の水女子大学附属中学校)がネット上に公開し

ているページ(注6)である。

図7

宮沢賢治「オツベルと象」の学習指導について、「授業展開」「発表の風 景」「感想マップの例」「パネルディスカッションについて」など、具体的な 内容が示されている。 他の教師は、このページを自由に読み、曽我部義則氏の 工夫を参考にして、授業を構想することができるに違いないO ⑧情報のやりとりの実現-く双方向性) さらに、図7の曽我部義則氏のページの中に、「感想マップについて、詳し いことをお知りになりたい方は、メールを下さい」という表示があるところに 注目したい。 この部分をクリックすると、曽我部義則氏に宛てたメールを書く 画面に切り替わる。 つまり、一方通行の情報交流ではなく、双方向の情報交流 が可能となるのである。 人と人、人と言葉、人と情報の相互交流を実現する「壌」

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曽我部義則氏のようなページをネットワーク上に作ることによって、学習者 の学習成果を公表することも可能である。 また、学習者自身が自分で情報発信 者になることもできる。 ただし、インターネット上に公開すると、誰でも自由 にその情報を読むことができるため、人権やプライバシーなどの問題が生じる。 現在のところ、こうした問題をどのように扱うかが検討されている段階である。 こうした問題はあるが、インターネットは、時と場所を越えた、人と人、人 と言葉、人と情報の相互交流を実現する「場」であることは間違いない。 国語科 においても、こうした高度情報ネットワークをさらに活用したいものである。 (注) 1今回は、Microsoftインターネット・エクスプローラを用いた0 2今回は、Yahoo! JAPAN(URL=http://search,yahoo,co. jp)を用いた。 3「森の贈り物」のURL=http://www. wnn. or. jp/wnn-f/

4「木、木材の書籍特集」のURL=http://www. wood. co. jp/books. htm

5「国会図書館の文検索」のURL=http://202. 244. 144. 176/cgトbin/tsgate/TGWstart /TGWstart? version=0100/

6曽我部義則氏のホームページのURL-http://www. bekkoame. or. jp/gabe/

※堀江のホームページにおいても国語教育関係の情報を公開しているo URL-http://www. soc. hyogo-u. ac. jp/gengo/yujhorie/index. htm 堀江のメールアドレス-yujhorieisoc. hyogo-u. ac.jp

※本論で用いたインターネット・ホームページの図には、堀江が書き込みをおこな っている。四角い窓をつけてセリフが書いてある部分がそれであるOフリーウエア WinCatchVer. 1.20を用いてインターネット画面の取り込みと編集をおこなった。 このソフトの作者山崎信久氏に厚く感謝申し上げたい。 ※本論は日本国語教育学会『月刊国語教育研究』1997年5月号に発表した。 116

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