課題提起型教育を視点とした音楽科教育のあり方に関する考察:―パウロ・フレイレの成人識字教育を手掛かりにして―
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(2) 社会科における課題提起型教育の事例について、. れるようになる。ここでは、田んぼや山田錦のお. その一部を紹介し、要約して分析を加えた。そし て、これらの作業によってフレイレ理論に関チる. 酒、上鴨川住吉祥杜の田楽などがコード表示され、. 研究はこれまでもなされてきたが、課題提起型教. よって討論されていく。課題提起の段階では、コ. 育を授業に援用した研究は、筆者の知る限り社会. ード表示をめぐる生徒たちの討論や生徒との対. 科の事例ひとつだけしかないということがわか. 話のなかで選び出した新たな生成テーマを課題. った。. として提起する。ここでは、囲楽のコード表示で. 第二章では、まずはじめにフレイレの成人識字. あれば、神事舞の歴史、ぴんざさらが表現するも. 生徒が気づいたことやすでにもっている知識に. 教育の中心概念について述べた。それは、学習者. の、振付についてなどが新たなテーマとなり、「び. の生活現実とはまったく関係のない識字教育の. んざさらの音が表現するものはなにか」といった. 教科書に対する批判や辺境に追いやられた存在. ように課題提起できることを示している。その後. といいながら、実は社会構造の中に埋没してしま. は提起された課題を省察していくことになり、課. っている存在である非識字者へ、社会構造からの. 題提起を中心に授業が進んでいく。. 脱出を促すものである。さらに、コード表示を取. 本稿では、課題提起型教育の概念について十分. り上げ、生活現実から始まる教育の重要性につい. に伝えている。また、コード表示については、そ. て述べている。また、その後は課題提起型教育を. の役割が生活現実を一段階抽象化して客観的に. 銀行型教育と比較しながら概観した後で、構造の. 分析することであるとは伝えたが、それが討論や. 3つの段階を示し、さらに詳しく説明を加えてい. 対話を通してであるということがあまり強く伝. る。さらに、フレイレ教育において大切な概念で. えきれていない。しかし、対話的教育の重要性は. あり、課題提起型教育でも大切になってくる対話. 確実なものであり、対話的授業をどのように作っ. についても対話の本質や条件についてまとめ、意. ていけぱよいのかにっいては伝えることができ. 識化についても触れた。. た。このような授業が続いていけば、生徒は音楽. 第三章では、上鴨川住吉祥杜の神事舞のゴホン トウの田楽を単元として、音楽科授業のあり方に. を音楽だけでなく言葉でも伝えられるようにな ることが期待できる。. ついて考察した。調査の段階では、生活現実とか. また、生徒の学びに対する意識は、自分と関係. け離れた授業にならないために、まずしっかりと. のある課題を提示され積極的に対話に参加する. 生徒や生徒の生活する地域について知ることに. ことで、喚起されることになる。そのため、授業. なる。ここでは、文字情報に惑わされない客観的. 後に自ら新たな課題を見つけ、挑戦していこうと. かっ正確な情報を得るために、生徒が住む地域を. する主体的な態度が育っていくことも期待でき. 実際に地図を描きながら歩いてみること。さらに、. る。. 文献調査、インターネット調査という流れで調査 を進めていくように述べている。ここで調査した ことによって、加東市は田んぼが多く、栽培され. 主任指導教員 草野次郎. る米の50%以上が酒米・山岡錦であることなど. 指導教員 岡本信一. がわかっている。テーマ化の段階では、調査した 生徒の生活現実を、コード表示によって一段階抽 象化した形で提示する。それによって、生徒たち. はコード表示されている現実を客観的に捉えら. 一363一.
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