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家庭における幼児の数的経験について : 日常生活での大人とのかかわりに注目して

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(1)

平成

26年

学位 論文

家庭における幼児の数的経験について

―日常生活 での大人 とのかかわ りに注 目して‐

兵庫教育大学大学院修士課程

学校教育学専攻

幼年教育 コース

森尾

寛子

M08021j

(2)

次 問 題 と 目 的 一 ― ― 一 一 ― ― ― 一 一 一 一 ― ― 一 ― ― 一 一 一 一 ― 一 一 一 ― 一 一 ― 一 -1 方 法 一 ― 一 一 一 ― 一 一 一 一 一 一 一 一 ― 一 一 一 ― 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 ‐ 5

1.予

備調 査

2.本

調査

(1)研

究対象

(2)調

査方法

(3)調

査 内容 1)フ ェイスシー ト 2)日 常的 な数経験 に関す る調査 3)算 数 の知識 に関す る調査 結 果 と 考 察 一 一 一 一 一 一 一 ― 一 一 一 一 一 一 一 ― 一 一 一 一 一 一 一 一 ― 一 一 ― 一 ― -9 総 合 考 察 一 一 一 一 ― 一 一 一 ― ― 一 ― ― 一 一 一 一 一 一 一 一 一 ― ― ― 一 一 一 一 ・ 26

1.主

成分分析 の結果 か ら

2.経

験 の頻度 か ら 今 後 の 課 題 一 一 一 ― 一 ― 一 一 ― 一 一 一 一 一 一 一 ― 一 一 一 一 ― ― 一 一 一 一 一 ― ・ 31 引 用 文 献 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 一 ― 一 ― 一 一 一 一 一 一 一 一 ― 一 ― ― ― ・ 32 資 料

(3)

問題 と目的

日本 の児童・生徒 の算数・数学の学力水準は

PISA調

査 において全参加 国の順位 で 2000 年 は 1位/32か 国、2003年は

6位

/41か 国、2006年は 10位/57か 国、2009年は

9位

/65か 国、2012年は

7位

/65か 国 と国際的に高い。 しか し、一方で、算数・数学 の知識 と日常生活 の結びつ きが低 い ことが指摘 され ている。 た とえば、第

3回

国際数学 。理科教 育調査

(TIMSS1999)で

は、「生徒 が数学で学んだ こ とを 日常生活 に結びつ ける」 とい う質 問に、教師が 「半数 以上の授業 で指導す る」 と答 え た割合 は、国際平均 50%に対 し日本 で は 14%であつた。 さらに 「数学 で学 んだ ことを 日 常生活 に結 びつ ける」 とい う質 問に、生徒 が 「半数 以上の授業 で あった」 と答 えた割合 は 国際平均

44%に

対 し日本 では

24%で

あ り、両者 とも参加 国の中で最 も低かった(国立教育 政策研 究所,1999)。 また、国際数学・教育動 向調査

(TIMSS2007)で

は、「数学 を勉 強す る と、 日常生活 に役 立つ」 は、肯定 の 「強 くそ う思 う」 と 「そ う思 う」 を合 わせ る と、 日 本 は

71%で

,国

際平均値 の90%よ り 19ポ イ ン ト低 い(国立教育政策研 究所,2007)。 鈴川・豊 田・り│1端(2008)は、

PISA2003の

結果 を分析 し、教室 で授 業 中に出会 う文脈 の間 題 は簡 単 に解 い て しま うが、日常生活 に関わ るよ うな問題 に関 しては身 に付 いてお らず「数 学 と社会 をつ なげ る知識 」 力`国際的 にみて も弱い とい うこ とを明 らか に した。 さらに

,浪

川(2008)は、「全 国学力・学習状況調査」 の算数・数 学 の結果 について、「乏 しい 日常生活」 と題 して、以下の よ うに論評 してい る。「学力 について、以前か ら指摘 していた問題 が今 年 も基本 的 に変 わつてい ない とい う印象 を受 ける。 一番 印象 的だ ったの は、小

6算

A

で約 150平方セ ンチ メー トル の面積 を持つ のは何 か とい う問題。正解 のはが きで ある と答 え られた児童が

2割

以 下に過 ぎず、 ほぼ半数 は教科書 と答 えた。 いか に今 の子 ども達 に 日 常的な数値感覚 が乏 しいか を示す象徴 的 な例 だ。長 さ、重 さ、面積 な ど、本来数 は身 の回 りにある」 と指摘 してい る。 以上 を踏 まえ る と、学童期 以降の学習 において、算数・ 数学 が 日常生活 に結びつ いてい る とい う意識 は生徒・ 教師 ともに低 い とい える。 しか し一方、乳幼児期 にお ける 日常生活 で触れ る数 に関す る研 究 を した中沢(1981)に よ れ ば 「子 どもは数 ある物 に満 た され た社会 の中に生 まれ て くる。 その中で、 しじゅ う数量 を表す言 葉が使 われ てい る」「子 どもが聞いて育つ大人の話 には、時間や何月何 日とい う 日付 、人数や物 の個数 な ど、た くさんの数詞 が含 まれ てい る」 と述べてい る。 この よ うに

(4)

乳幼児 に とつての数経験 は生活 の一部 として数 多 く存在す る。 ここで注 目す べ きもの と して、イ ンフォーマル算数 の知識 に関す る研 究が ある。 中沢 (1981)は 、「遊 び の中で数 える経験 は数 の理解 へ とつ なが り、それ らを理解 す る可能性 を 持 つて小 学校教 育 に踏 み込む」 と述べ てい る。丸 山 。無籐 (1997)に よれ ば、「平L幼児が 生活行動や遊び の 日常経験 を通 して獲得す る数量に関す る知識 をイ ンフォーマル算数 の知 識 と呼ぶ」 とし、イ ンフォーマル算数 の知識 は、就 学後 の算数学習 の重要 な基礎 力 である と論 じてい る。 そ こには、分離量、連続量、平面・立体図形 、空間、時間な どの観念 と操 作 に関す る広範 囲 な知識 が含 まれ てい る(角尾他

,1983;ENIEプ

ロジェク ト,1989)。 ま た吉 田(1991)は 「小学校 では数記号 を使 う正式な算数 を学ぶ際、その理解 に児童 はイ ンフ ォーマル算数知識 を使 う。その1つに就学前 に幼児 は加算方略 として

2集

合 の うちの大 き い集合数 を基数 として小 さい集合数 を数 え足す方略 を獲得す る‥。(中略)・ …例 えば、3+6 の場合 にまず大 き さを比べて大 きい数 を選び出 し、記憶 の中に入れた後『 ろ く』 と口に出 し次 に残 りの

3を

数 え足 してい くこ とをす る。 しか し、就学後 に学ぶ方略 は

3∼ 4歳

児 の 方略で、集合 に意識 を向けず

2集

合 に含 まれ る要素 を全 て数 える」 と指摘 してい る。 この よ うに、幼児期 のイ ンフォーマル算数 の知識 は、後 に小学校 で学ぶ もの よ り高度 な場合 が ある。 したがつて、幼児 は 日常生活や遊びの中で高度 な算数 の知識 を蓄 えて、それ を就学 後 の算数 学習の土台 に してい る と言 え よ う。 では、それ らの知識 は、 どの よ うな 日常的な経験 を通 して得 られ るのであろ うか。松原 (1974)や横 地(1976)らは幼稚 園 とい う場 で、幼児 に数・量 に興味 。関心 を持 たせ なが ら、 はっき りと した内容 と年 間計画 を定 めて系統的 に指導す る大切 さを主張 してい る。しか し、 「日本の幼稚園では文部科学省 の幼稚 園教育要領 において『 身近な事象 を見た り、考 えた り、扱 った りす る中で、物の性質や数量、文字 な どに対す る感覚 を豊かにす る』 ことがね らい とされ 、内容 の取 り扱 い としては『 数量や文字 な どに対 しては、 日常生活 の中で幼児 自身 の必要性 に基づ く体験 を大切 に し、数 量や文字 な どに関す る興味や 関心、感 覚 が養 わ れ るよ うにす ること』 とされ るよ うに数学習 を 目的 とした指導は奨励 されていない」(榊 原,2006)。 また、吉田(1991)も 「特殊な幼稚園や塾などをのぞいては、幼児に算数指導 をしているところは、まず 日本では見あた らないだろ う。親 も、こうした技能 を意図的に 教えようとは しない」 と述べている。 その うえで、保育活動に埋 め込まれた形での積極的な数的支援 にまつわる事例が多数報 告 されている。例 えば、中沢(1981)は主に幼稚園での保育活動 を観察 し、いす取 リゲーム

(5)

-2-の際に人 といす を対応 させ る、幼児が縄跳びを眺べた回数・紅 白玉入れでの玉の数・ブラ ンコを交代す る回数などを保育者が一緒に数える、ドッヂボール をす る際に同 じ人数に分 ける、幼児が背比べに興味を持った際に一人一人の身長に合わせた紙テープを作る、など の方法で保育者が幼児の数的支援を行つている事例を数多 く報告 している。また、角尾他 (1983)の研究報告においても落ち葉集 めで

2つ

に分類する、ままごとのお皿を同 じ数に分 ける、飼育当番活動においてのえさの量を量る、立体作品作 りでの重 さ比べをする、等の 事例が紹介 されている。 これ らのことか ら日本の幼稚園では、分離量、連続量、平面・立 体図形、空間、時間などの観念 と操作が、 日常的な保育の中で用い られ、その レパー トリ ーも多数存在 していることがわかる。幼児は、このよ うな環境の中での生活や遊びを通 し て、算数の知識 を獲得 しているものと考えられる。 では、家庭における遊びや生活の場面で、幼児は どのよ うな数的経験を重ねているので あろ うか。丸山。無籐(1997)は、「亭L幼児が

,ど

のよ うな経験 を通 して数量感覚 とそれを表 す言葉 とを、 どのよ うな経験 と結びつけて獲得す るのか一般的にはわか らないが、誕生直 後か ら大人 と共に様 々な生活経験 を積むことが、重要であることは確かだろ う」 と述べて いる。筆者は、上記の 「誕生直後か らの生活経験」が、家庭の中での大人 とのかかわ りを 通 して積み重ね られているのではないか と考える。た とえば、中沢(1981)は、「母親は誕 生直後か ら

,た

とえばお乳を飲 ませ る時は『 さあ

,た

くさん飲 も うね』 と抱き上げ

,着

物 を着せ るときは『 ほ らもう一つおてて出 して』 と袖 を通 させ、お風呂で暖ま らせ る時は、 『 ひ と―つ

,ふ

た―つ』 と歌 うよ うに唱えるなど、乳児に話 しかける中で しじゆう数量 を 表す ことばを使用 している」 と指摘 している。 さらに、「二歳前後か ら二歳 になると小 さ い積み木やブロック、 ミニカーな どを直線状に並べ るとい う行動をす る。 また、マーケ ッ トな どで『 五十円の一つだけよ』 と母親が子 どもにお菓子を選ばせ るなどして、大きい数 を表す数詞 に触れ させ る、等が見 られ る」(中沢

,1986)と

述べている。またこのよ うに、 家庭内において、乳幼児期 を通 して大人がわが子に応 じた方法で豊かな経験の場を与え、 数についてのかかわ りを積み重ねることで、幼児は就学後につながる算数の知識 を獲得す ることができるといえるのではないだろ うか。 ここまでは、 日常の生活や遊びの中での数的な経験や算数の知識 に関す る先行研究を概 観 してきた。そのなかでも幼稚園での保育活動に埋め込まれた数的経験や支援 については 数多 くな されている。 しか し、前川・安藤(2002)が述べ るよ うに、乳幼児期 は家庭での生 活時間が多いにもかかわ らず、この時期の家庭での大人 とのかかわ りを通 した幼児の数的 ‐3

(6)

経験 に関す る調査 は少 ない。さらに、数少 ない研 究 にお いて も事例研 究 に とどまってい る。 そ こで

,本

研 究では、

5歳

児 を対象 に、遊び を含 む家庭 生活 において大人 とのかかわ り の中で、 どの よ うな数的経験 を してい るのかを、量的研究 によ り客観 的 に把握す ることを 目的 とす る。 さらに、そ こで把握 され た 日常的な生活や遊びの中での数的経験 が、幼児の 算数 の知識 とどの よ うに関連 してい るか を探索的 に明 らか にす る。これ らの結果 を踏 まえ、 家庭 にお ける大 人 とのかかわ りを通 した、幼児期 にふ さわ しい数 的経験 について考察 を行 う。

(7)

1.予

備調査 2013年4月 下旬∼ 6月 上旬 にか けて、ア ンケー ト作成 のための予備調査 を行 った。 まず 、 日常的 な生活や遊びの中での数的経験 について、主に 「言語・数 の教育 を中心 と した幼稚 園指導内容 の分析 と教育評価 研 究報告 書」(角尾他

,1983)の

数 学的体験 の分 類 を も とに、カテ ゴ リー化 した。表1がその一覧である。 表

1

日常 的 な数 的経 験 に関す るカテ ゴ リー ①物を並べる経験 ②同 じ種類の物を集める経験 ③数を声に出して唱える経験 ④ l対 1対応で数を用いる経験 ⑤実際に物の数を数える経験 ⑥何番 目、何段 目など順番や位置を数える経験 ⑦数字を見た り読んだ りする経験 ③単位量の数字を見た り読んだ りする経験 ⑨数字を書 く経験 次 に、家庭 にお ける 日常的な数的経験 の具体例 を抽 出す るため、グループイ ンタビュー を実施 した。

5∼

6歳

児 を養 育 してい る保護者

20人

に協力 を得 た。 は じめに、幼児の性 別、年齢 、家族構成 を問 うた。次 に、表 1で示 した9カテ ゴ リー を

1つ

ずつ提示 し、家庭 で生活 してい く中での数 に関す る自分 の子 どもへのかかわ り方 を、過去や現在 を思い出 し て話 し合 つて も らつた。 そ こで出 され た事例総数 は 162例 であつた(巻末資料 1参照)。 これ らの事例 につ いて、幼児教育 を専門 とす る教員 と大学院生 とで協議 を重ね、各カテ ゴ リーにつ き

3か

9項

目に集約 し

61項

目を作成 した(表 2-1、 表 2-2)。 その後 、抽 出 し た項 目をランダムに置 き換 えて本調査用ア ンケー ト用紙 を作成 した。 ‐

(8)

5-表

2-1

本調査において設定 したカテゴリーと項目①

1.物

を並べる経験 ①ホフイ トボー ドや冷蔵庫にマグネ ットを並べる ②ティッシュペーパーなどの生活用品を積み上げる ③身の回 りの本などを並べて遊ぶ ④積み木やブロックを積み上げた り並べて遊ぶ ⑤おもちゃ(ミ ニカーや人形やおはじきなど)を敷居や床の線に沿つて並べて遊ぶ ⑥電車を線路などに並べて遊ぶ ⑦生活用品(ス リッパや洗濯ばさみなど

)を

並べて遊ぶ ③おやつを並べて食べる ⑨色々なシールを並べて貼る

2.同

じ種類の物を集める経験 ①同じ色や形、大きさの種類のブロックを集めて遊ぶ ②長 さ又は、大きさの同じおもちゃ (ミニカー、電車など

)に

分けて遊ぶ ③同 じ種類の動物を集めた り、子 どもと大人の人形を分けて遊ぶ ④お菓子を同じ色や形に分けて皿に並べる ⑤食事の後片付けを手伝 うとき、同じ種類の食器を集める ⑥カー ドなどを種類別に分けて遊ぶ

3.数

を声に出 して唱える経験 ①タイ ミング良く行動に移すために「

1.2の

3」 と声をかける ②子 どもを待たせるときに「

1.2.3.∼

」と唱える ③スコップやぶ らんこなどを交代で使 うときに決められた数ずつ唱える ④お風呂で湯船に浸かって数を唱える ⑤かくれんぼや缶蹴 りで遊ぶ ときに

1か

ら数を唱える ⑥ロケッ トなどの乗 り物を発車させるときにカウン トダウンする。 4。

1対 1対

応で数を用いる経験 ①家族の食器をそれぞれの席に置 く ②ままごとの食器を人形の前に

1枚

ずつ並べる ③ トランプなどのカー ドを

1枚

ずつ配る ④良いことをひとつするとご褒美(シールなど

)を

ひとつもらう ⑤l日に 1回 テ レビやゲームなどができる約束をする 5。 実際に物の数を数える経験 ①おやつやおもちゃ、本などを「ひとつ頂戴」 と数を言つて、もらう ②遊びや生活の中で5く らいの数を数える ③遊びや生活の中で10く らいの数を数える ④

20枚

くらいの トランプやカー ドなどの数を数えて勝敗を決めて遊ぶ ⑤すごろく遊びでサイコロの目の数を数える ⑥オセログームなどで駒の数を数える ⑦階段を数えながら上 り下 りする ⑧おやつやおかずを分けるときに数えながら分ける ⑨カ レンダーを見て行事までの 日数を数える ‐

(9)

6-表2‐

2

本調査において設定 したカテゴリーと項 目② 6。 何番 目、何段 目など順番や位置を数える経験 ①スーパーのレジや飲食店で並んでいるときに何番 目か数える ②幼稚園で背の高さについて、「前か ら○番 目」と家で報告する ③「いちばん右(左)端に○○を入れて(取つて)頂戴」と言われてお手伝いをする ④「いちばん上(下

)に

○○を入れて(取って

)頂

戴」 と言われてお手伝いをする ⑤「長い針が上(下

)に

来たら○○ しよう」 と時計を見て約束する ⑥「カレンダーの上から○段 目の○曜 日に○○ しよう」 とカレンダーを見る

7.数

字を見た り読んだ りする経験 ①すごろく遊びでサイコロの数字やルー レットの数字を読む ②電卓の数字を押 した り読んだ りする ③銀行やお店の番号札を読んだ り、表示 された数字を見る ④電話番号を覚えた り、電話をかけた りする ⑤車のナンバーを読んだ り覚えた りする ⑥絵本などに書かれてある数字を見た り読んだ りする ⑦マンションやショッピングセンターのエ レベーターで行き先の数字を正 しく押す ③テ レビのチャンネルや音量表示を指示通 りに数字を押す

8.単

位量の数字を見た り読んだ りする経験 ①テ レビ画面内やカーナ ビ内などにある、デジタル表示の時刻を読む ②登園・就寝など毎 日決まつた時刻に時計の針が指す数字を見る ③ゲームなど遊び続けた時間を時計の数字を見て確認する ④遊びや生活の時間を計るためにタイマーのセ ットをした り数字を見た りする ⑤カレンダーを見て「○月○ 日」 と読む ⑥料理を手伝 うときに水や牛乳などの液体を計量カップやスプーンではかる ⑦体温計を見て自分の体温が○度○分 とわかる ③テ レビの天気予報の最高気温・最低気温や降水確率を見た り読んだ りする ⑨体重や身長をはかつて数字を読む

9.数

字を書 く経験 ①なぐり書きをしていて、たまたま知っている数字に似ていると「○○書けた」とい う ② ドリルやプ リン トを使つて数字を書 く ③お買い物 ごつこをするとき、作つた紙のお金に数字を書 く -7‐

(10)

2.本

調査

(1)研

究対象

Gtt S市

の私立幼稚園 79名 、

HttA市

の私立幼稚園91名、

HttN市

私 立幼稚 園 40名 、

HttK市

の市立保育所 10名 、私立保 育園 1名 、

HttA市

公 立幼稚 園

2名

HttM市

の市 立幼稚 園 18名 と私立保育園

5名

5歳

児 クラスの保護者 246名 に質問紙 を配布 し 152名 か ら回答 を得た。回収率 は

61.79%で

あつた。 この うち、筆者 が個別 に

24名

の年長児保 護者 に算数 の知識 を測定す る問題 を一部依頼 した。全体 の有効 回答者数 は 175名 (男子 の 保護者 85名 、女子 の保護者 89名 、不 明者 1名)、 有効 回答率 は

64.81%で

あつた。

(2)調

査方法 各幼稚 園、保 育園、保 育所や個人 に調査協力 を依頼 し、

2014年

5月 中旬 か ら6月 上旬 にア ンケー ト調査で実施 した。

(3)調

査 内容 (巻末資料

2参

照) 1)フェイスシー ト 幼児 の年齢 、性別 、 き ょ うだい構成 (兄姉弟妹

)と

人数 、現在行 つてい る習 い事 の種類(運動 、芸術表現 、学習

)の

有無 と数 を問 うた。 2)日常的 な数経験 に関す る調査 予備 調 査 を も とに作成 した 「物 を並べ る」「同 じ種類 の物 を集 め る」「数 を声 に 出 して唱 え る」「

1対 1対

応 で数 を用 い る」「実際 に物 を数 える」「何番 目、何段 目 な ど順番や位 置 を数 える」「数字 を見た り読 んだ りす る」「単位 量 の数字 を見た り 読 んだ りす る」「数字 を書 く」の9カテ ゴ リー

61項

目につ いて、「5よ くあつた」「4 やや よ くあった」「

3あ

つた」「

2あ

ま りなか った」「

1な

かつた」の

5段

階評 定 を求 めた。 3)算 数 の知識 に関す る調査 筆者 が個別 に協力 を依頼 した 24名 (男児 10名 、女児 14名

)の

幼児 に対 して、 算数 の知識 を測定す る問題 を

3問

(復唱課題 1間 、数列 空欄 補充課題

2間

)用

意 し て個別 に実施 した。数列空欄補充課題 の うち 1間 は、正答者 が極端 に少 なかつたた め分析 か ら除外 した。1間につ き

2度

問いか けて

1度

目の正答 は

3点

2度

目の正 答 は

2点

、復唱課題 において 1度 目に

4つ

の うち

3つ

の数字 を正答 した場合 は1点 (今回該 当者 無 し

)と

した。各 問

3点

、計

6点

満 点 で採 点 した。 平均得点 は4.17 点 で あった。

(11)

-8-結果 と考察

9カ

テ ゴ リー

61項

目につ いて、それぞれ 「平均値 」「標 準偏差」 を算 出 した。 さらに、 設 定 したカテ ゴ リーが凝集性 を もち、少数 の合成変数 に縮約 され るか を確認す るため、カ テ ゴ リー 毎 に主成分分析 を行 つた。分析 にはSPSS ver.17を使 用 した。 主成分分析 において抽 出 され た成分 の命名 に当た つては、各成分に分類 され た項 目の性 質 に着 日 し、教員 と大学院生 の協議 に よ り合意 され た ものを採 用 した。

1.物

を並べ る経験 表

3

カテ ゴ リー 1にお ける各項 目の記述 統 計量 項 目 平均値 標 準 偏 差 ホ ワイ トボー ドや冷蔵庫 にマ グネ ッ トを並べ る テ ィッシュペーパーな どの生活用品を積み上げる 積み木や ブ ロックを積み上 げた り並べて遊ぶ お もちや(ミ ニカーや人形やおは じきな ど)を 敷居や床 の線 に沿つて並べて遊ぶ 生活用品(スリッパや洗濯 ば さみな ど)を並べて遊ぶ おやつを並べて食べ る 色 々なシール を並べて貼 る 身 の回 りの本 な どを並べ て遊ぶ 電車 を線路な どに並べて遊ぶ 3.42 3.09 4.43 3.12 3.16 3.09 3.79 3.13 3.11 1.27 1.26 0.82 1.34 1。33 1.31 1.18 1.27 1.51 カテ ゴ リー 1「物 を並べ る経験」 の各項 目の評定値 につ いて平均値 と標 準偏差 を算 出 し た結果、表

3の

よ うになつた。 中沢(1981)は 「満

2歳

前後 にな る と、子 どもはかな り手先 が き くよ うにな るので、 自分 で も並べ よ うとしは じめ る」 と述べ てい る。本研究 で も「物 を並べ る経験」 の全項 目で平 均値

3以

上 の数値 とな り、「3あつた」以上の頻度で、数 についての 日常的なかかわ りが積 み重ね られ てい る と評価 され ていた。 幼児 は室 内で身 の回 りの生活用品や玩具 を並べた り積 み上 げた りしてい る。 特 に 「積 み 木や ブ ロ ックを積 み上 げた り並べ て遊 ぶ」 は平均値 4.43であ リバ ラツキ も少 ない。 日頃 の遊び を観 察 していて も、男女共 に触れ てい ることの多い積み木や ブ ロックを使 って頻繁 に物 を積み上げた り並べ る時 に使用 してい る と考 え られ る。 -9

(12)

4

カテ ゴ リー 1に お ける主成分分析の結i果 項 目 成 分

l

成 分2 生活用品(ス リッパや洗濯 ば さみな ど)を並べて遊ぶ お もちや(ミ ニカーや人形やおは じきな ど)を 敷居や床の線 に沿つて並べて遊ぶ 積 み木や ブ ロックを積み上 げた り並べて遊ぶ 身 の回 りの本 な どを並べ て遊ぶ テ ィッシュペーパーな どの生活用品を積み上げる 色 々なシール を並べて貼 る おやつ を並べて食べ る ホ ワイ トボー ドや冷蔵庫 にマグネ ッ トを並べ る 電車 を線路 な どに並べて遊 ぶ 0.72 -0.Ol O.69 0。45 0.65 ‐0.06 0。64 -0.18 0.62 0.07 0.57 -0.40 0.52 -0.41 0.51 ‐0.19 0。43 0.80 固有値 累積 寄与率 (%) 3.22 1.25 35.80 49.65 次 に、主成分分析 を行 つた結果 を示 した ものが表

4で

あ る。 全 ての項 目で、第

1成

分 は、負荷量 がいずれ も 0.4を 超 えていた。 カテ ゴ リー と して想 定 され た成分 で あ り「物 を並べ る経験」 と命名 した。 第

2成

分 の負荷 量 は 「お もちゃ (ミ ニカーや人形やおは じき

)を

敷居や床 の線 に沿 つて 並べ て遊 ぶ」、「電車 を線路な どに並べ て遊ぶ」で負荷 量が 0.4以 上 を示 してい る。一方、 「色 々なシール を貼 る」、「おやつ を並べて食べ る」 については-0.4以 下 と対比的である。 成分

2は

、成分 1と 違 い物 を単 に置 くのではな く線 に沿 わせ て並べ る約束 を遂行 す る とい う要素が あ るた めに抽 出 され た と考 え られ る。算数 の単元 に も 「数直線 」 な どが あ り、重 要 な要素 だ と考 え られ る。よつて これ を「お もちゃを線 に沿 つて並べ る経験」と命名 す る。 10

(13)

2.同

じ種類 の物 を集 める経験 表

5

カテ ゴ リー2にお け る各項 目の記 述統計量 平均値 標 準偏差 同 じ色や形 、大きさの種類のプ ロックを集 めて遊ぶ 長 さ又は、大 きさの同 じお もちゃ (ミニカー、電車な ど)に分 けて遊ぶ 同 じ種類の動物 を集 めた り、子 どもと大人の人形 を分けて遊ぶ お菓子 を同 じ色や形 に分 けて皿 に並べ る 食事の後片付 けを手伝 うとき、同 じ種類 の食器 を集 める カー ドな どを種類別 に分 けて遊ぶ 3.47 3.05 2.62 3.26 2.43 3.40 1.12 1.30 1.15 1.16 1.18 1.25 カテ ゴ リー 2「 同 じ種類 の物 を集 める経験」の各項 目の評定値 について平均値 と標準偏 差 を算 出 した結果 、表

5の

よ うになつた。 経験 の頻度 に着 目す る と、「同 じ種類 の動物 を集 めた り、子 ども と大人 の人形 を分 けて 遊ぶ」 は平均値2.62、 「食事の後片付 けを手伝 うとき、同 じ種類 の食器 を集 める」 につい ての平均値 が2.43と な り、その よ うな経験 が 「3あった」 とい うレベル以下の低 い評価 が な され てい る。 これ らの項 目は、経験 内容 として、男女差があつたのか も しれ ない。後者 につ いては、家事 を手伝 う機会が少 ないためか、使 い終わつた食器 を片づ ける際 に 自分 の 食器 のみ を運 んでい るた め同 じ種類 の物 を集 めていない可能性 が考 え られ る。 一方 「同 じ色や形 、大 き さの種類 のブ ロックを集 めて遊 ぶ」 は平均値3.47、 「カー ドな どを種類別 に分 けて遊ぶ」 は平均値 3.40と 比較的高い評 定がな され てい る。男女 にかか わ らず ブ ロ ックや カー ドは、幼児 に とって手 に して遊ぶ機会が多 く、 自然 に集 めることで 「集合」にかかわる数的経験 を重ねるもの と考 えられ る。

(14)

6

カテ ゴ リー

2に

お ける主成分分析の結果 項 目 成分1 同 じ色や形 、大きさの種類のプ ロックを集 めて遊ぶ 長 さ又 は、大 きさの同 じお もちゃ (ミニカー、電車な ど)に分 けて遊ぶ カー ドな どを種類別 に分 けて遊ぶ 同 じ種類の動物を集 めた り、子 どもと大人の人形 を分 けて遊ぶ お菓子 を同 じ色や形 に分 けて皿 に並べ る 食事 の後片付 けを手伝 うとき、同 じ種類 の食器 を集 める 0.69 0。69 0.68 0.64 0.63 0.49 固有値 寄与率 (%) 次 に、主成分分析 を行 った結果 を示 した ものが表

6で

ある。 1個の成分が抽 出 され、寄与率 は

40.633%で

あつた。第 1成分 の全 ての項 目において負 荷量 が 0.4以 上 とな り、 この

6項

目は一次元構造 で あるこ とが確認 され た。 カテ ゴ リー と して想定 され た成分であ り「同 じ種類 の物 を集 める経験」 と命名す る。 項 目 「食事の後片付 けを手伝 うとき、同 じ種類の食器 を集 める」の負荷量が相対的 に見 てやや低 いが、 これ は先述 の よ うに、幼児の生活 にお いて頻度 が少 な く、他 の項 目と比 し てやや異質 であつたためではないだ ろ うか。

3.数

を声 に出 して唱 える経験 表

7

カテ ゴ リー3にお け る各 項 目の記述統計 量 4   3 4   6 2     0 4 項 目 平均値 標 準偏差 タイ ミング良 く行動に移すために 「

1.2の

3」 と声をかける 子 どもを待たせ る ときに「1、 2、 3、 ∼」と唱 える スコップやぶ らん こな どを交代 で使 うときに決 め られた数ずつ唱える お風 呂で湯船 に浸かつて数 を唱 える か くれんぼや缶蹴 りで遊ぶ ときに1から数 を唱 える ロケ ッ トな どの乗 り物 を発車 させ る ときにカ ウン トダ ウンす る 3。71 3.47 3.05 4.78 3.91 3.46 1.29 1.33 1.20 0.59 1.26 1.33 カテ ゴ リー 3「数 を声 に出 して唱 える経験」 の各 項 目の評 定値 につ いて平均値 と標 準偏 差を算 出 した結果、表

7の

よ うになつた。

中沢

(1981)は

「数唱はどの親も利用する『風呂場の歌』なのである」と述べている。

-12¨

(15)

予備調査 にお いて も全員 の母親 が 「お風 呂で数 を唱 える」 と答 えてお り、本調査で も 「お 風 呂で湯船 に浸 かつて数 を唱 える」 は平均値 が4.78と 、全61項 目の中で も一番 高い評 定が な され ていた。標準偏差 も0.59で バ ラツキが少 な く、 どの家庭 にあって もな され る一般的 な数 とのかかわ りなので あろ う。 また 「か くれんぼや缶蹴 りで遊ぶ ときに

1か

ら数 を唱える」は平均値3.91、 「タィ ミン グ良 く行動に移すために『

1.2の

3』 と声をかける」は平均値 3.71と 経験の頻度が高 くなっている。遊びや生活の中で、幼児は数 を声に出 して唱える経験 を多 くしてお り、大 人 も幼児 とのかかわ りの中で数 を用いているものと考えられ る。 表

8

カテ ゴ リー

3に

お ける主成分分析 の結果 項 目 成分

1

成分 2 子 どもを待たせ るときに「1、 2、3、 ∼」と唱 える スコ ップやぶ らん こな どを交代で使 うときに決 め られた数ずつ唱 える ロケ ッ トな どの乗 り物 を発車 させ る ときにカ ウン トダ ウンす る タイ ミング良 く行動 に移すために 「

1.2の

3」 と声をかける か くれんぼや缶蹴 りで遊ぶ ときに1から数 を唱える お風 呂で湯船 に浸かつて数 を唱 える 0.81 -0.22 0。70 0.10 0.62 ‐0。16 0.62 -■52 0.45 0.68 0.43 0.50 固有値 累積 寄与率(°/。n 2.30 1.05 38.28 55。85 次 に、主成 分分析 を行 った結果 を示 した ものが表

8で

あ る。 全 ての項 目で第

1成

分 の負荷量 がいずれ も 0.4を 超 えてい る。 カテ ゴ リー として想 定 し ていた物 であ り、「数 を声 に出 して唱 える経験」 と命名 した。 一方、第

2成

分の負荷量は 「タイ ミング良く行動に移すために『 1、

2の

3』 と声をか ける」が-0.52、 「か くれんぼや缶蹴 りで遊ぶ ときに

1か

ら数を唱える」や 「お風 呂で湯船 に浸かつて数 を唱える」は 0.5以 上 となっている。前者は行動に移す瞬間に向けての合図 として唱えているのに対 して、後者 は時間の長 さを順唱によって計測す る経験 と捉えるこ とができる。 したがつて、この成分を 「時間を計るために数 を唱える経験」 と命名 した。 これ らを踏まえると、数 を唱える経験には 「時間」(瞬間 と時間幅な ど

)が

深 く関わつて いるもの と考えられ る。

(16)

-13-4。 1対

1対

応 で数 を用い る経験

9

カテ ゴ リー

4に

お ける各項 目の記述統計量 項 目 平均値 標 準偏差 家族 の食器 をそれぞれの席 に置 く まま ごとの食器 を人形の前 に1枚ずつ並べ る トランプな どのカー ドを1枚ずつ配 る 良い こ とをひ とつす る とご褒美(シール な ど)をひ とつ もら う 1日 に1回テ レビや ゲームな どができる約束 をす る 4.07 3.06 3.65 3.25 3.11 1.05 1.42 1.22 1.35 1.39 カテ ゴ リー 4「

1対 1対

応 で数 を用いる経験」の各項 目の評定値 について平均値 と標 準 偏差 を算 出 した結果 、表

9の

よ うになつた。 「1対 1対応 で数 を用 い る経験」の全項 目で平均値

3以

上 の数値 とな り、「

3あ

つた」以 上の頻度 で、数 についての 日常的なかかわ りが積み重ね られてい ると評価 され ていた。 特 に、「家族 の食器 をそれ ぞれ の席 に置 く」 は平均値 4.07と な り、幼児 はお手伝 いをす る 中で

1対 1対

応 の経験 を多 く してい ることが分 かつた。 ここで 「ままごとの食器 を人形 の前 に

1枚

ずつ並べ る」 の平均値 は 3.06で 、「家族 の食 器 をそれ ぞれ の席 に置 く」項 目とは同 じよ うな経験 と捉 え られ るが、少 ない頻度 となつて いる。 これ は、遊び経験 に男女差があること、家庭 での養育者 は幼児 が食器 を家族 の座 る 位置 に置 くときに、 よ り関心 を持 ってかかわ ってい るこ とが背景 にあ る と考 え られ る。 次 に、「 トランプな どのカー ドを

1枚

ずつ配 る」 の平均値 が3.65と い う比較的高い数値がで てい るのは、家庭 内での遊びの一つである トランプな どのカー ドを使 って 1対 1対応 の経 験 を してい る幼児 が多い こ とが推 察 され る。 -14¨

(17)

10

カテ ゴ リー

4に

お け る主成 分分析 の結果 項 目 成分

1

成分 2 トランプな どのカー ドを1枚ず つ配 る まま ごとの食器 を人形の前 に1枚ずつ並べ る 家族 の食器 をそれぞれ の席 に置 く 良い ことをひ とつす る とご褒美(シール な ど)をひ とつ もらう 1日 に1回テ レビや ゲームな どができる約束 をす る 0。70 ‐0。13 0.65 ‐0.18 0.58 -0.53 0.52 0.43 0.39 0。75 固有値 累積 寄与率 (%) 1.67 1.08 33.35 54.96 次 に、主成分分析 を行 った結果 を示 した ものが表 10で ある。 第

1成

分 では、

5項

目中

4項

目で負荷 量が0。

4を

超 えていた。 カテ ゴ リー として想定 さ れ た成分 であ り「

1対 1対

応 で数 を用 い る経験 」 と命名す る。 一方、「 1日 に

1回

テ レビ や ゲー ムな どがで きる約 束 をす る」 については負荷量が 0.39と な り、他 の項 目とは違 つ て、

1対 1対

応 を十分 に示 す ものではなか つた。 これ は、次に述べ るよ うに 「 1日 に

1回

とい う約 束」 を強 く反映 した もの と考 え られ る。 さらに 「n日 に

n回

」 とい うよ うな対応 付 けの意識 は働 かないのではないだ ろ うか。 第

2成

分 では 「1日 に 1回テ レビや ゲームな どができる」、「よい ことをひ とつす るとご 褒美(シール な ど

)を

一つ も らう」 は負荷量が 0。

4以

上 を示 してい る。一方、「家族 の食器 をそれ ぞれ の席 に置 く」 は‐0.5以下 と対比的で ある。成分

1は

、「数字」 と 「日の前 の具 体的 な物 」 を対応付 けに よつて繋 ぐ項 目に よつて構成 され てい る。 これ に対 し、成分

2の

項 目は、「

1と

い う数」 と 「日には見 えない約束」 とを結びつ ける要素 が抽 出 され たので はないだ ろ うか。そ こで第

2成

分 を 「

1対 1対

応 を意識 して約 束す る経験」 と命名す る。

(18)

-15-5。 実際 に物 の数 を数 える経験 表 ‖ カテ ゴ リー5にお け る各項 目の記述統 計 瞳 項 目 14均値 標 準1偏差 遊 びや生活 の中で 10く らいの数 を数 える おやつやお もちゃ,本な どを 「ひ とつ頂戴」 と数 を言 つて、 もらう 遊 びや生活 の中で 5く らいの数 を数 える

20枚

くらいの トランプや カー ドな どの数 を数 えて勝敗 を決 めて遊ぶ す ごろ く遊 びでサイ コロの 目の数 を数 える オセ ロゲームな どで駒の数 を数 える 階段 を数 えなが ら上 り下 りす る おやつや おかず を数 えなが ら分ける カ レンダー を見て行事までの 日数 を数 える 4.77 4.07 4.53 3.58 3.70 2.79 3.73 3.67 3.50 0.53 1.13 0.84 1.38 ■31 1.46 1.13 1.15 1.47 カテ ゴ リー5「実際 に物 の数 を数 え る経験 」 の各項 目の評 定値 につ いて平均値 と標 準偏 差 を算 出 した結果 、表

Hの

よ うになつた。 「遊びや生活 の中で5く らいの数 を数 える」「遊びや生活 の 中で10く らいの数 を数 える」 は、両項 目とも平均値4.5以 上の高い評定 とな リバ ラツキも小 さい。一般 に多 くの家庭 で、 数 について の 日常的なかかわ りが積 み重ね られ てい るこ とが分 かつた。 これ らか ら、幼児 は、家庭 生活 の さま ざまな場面で、大人 と「数 を数 える」経験 がある と考 え られ る。 さらに、生活場面では 「階段 を数 えなが ら上 り下 りす ること」「おや つや おかず を数 え なが ら分 ける」「カ レンダー を見て行事 までの 日数 を数 える」、遊び場面 では 「20枚 くら い の トランプや カー ドな どの数 を数 えて勝敗 を決 めて遊ぶ」「す ごろ く遊びでサイ コロの 目の数 を数 える」 とい つた項 目が、 いずれ も平均値 で3.5以 上 の評 定 がな され てい る。幼 児 は、生活 にお いて も遊 び にお いて も数 える経験 をかな り行 つてお り、大人 もその大切 さ を意識 してかかわってい る と言 えるのではないだ ろ うか。今 回 の研 究対象者 は年長児 の保 護者 であ り、就 学 に向 けて 「数 を数 える経験」 に意識 が向いていた とも考 え られ る。 16

(19)

12

カテ ゴ リー5にお ける主成分分析の結果 項 目 成分 1 成分

2

成分3 す ごろ く遊 びでサイ コロの 目の数 を数 える

20枚

くらいの トランプや カー ドな どの数 を数 えて勝敗 を決 めて遊ぶ オセ ログームな どで駒の数 を数える 遊 びや生活 の中で 10く らいの数 を数 える 遊 びや生活 の中で 5く らいの数 を数 える 階段 を数 えなが ら上 り下 りす る おやつやお もちゃ,本な どを 「ひ とつ頂戴 」 と数 を言 つて、 も ら う カ レンダー を見て行事までの 日数 を数 える おやつや おかず を数 えなが ら分 け る 0.68 0。67 0.64 0.63 0.62 0.52 0.40 0.26 0.50 ‐0.34 0.29 -0.34 ‐0.26 -0。41 ‐0.12 0.49 ‐0.:6 0。40 ‐0.23 -0.07 0.35 0.53 0.22 -0.51 0。59 0.26 0.54 固有値 累積 寄与率 (%) 2.86 1.41 1.05 31.76 47.45 59。16 次 に、主成分 分析 を行 った結果 を示 した ものが表 12で あ る。 第 1成分 は

9項

目中

8項

目で負荷量 が0.4以上で あった。 カテ ゴ リー として想 定 された 成分 であ り「実際 に物 を数 える経験 」 と命名 す る。 作成 した項 目の うち 「カ レンダー を見 て行事までの 日数 を数 える」のみは負荷量が0.26と低 かつた。 これ は、数 える対象 が 「日 数 」 であ り、具体物 ではなか つた こ とが一 因ではないだ ろ うか。 第

2成

分 の負 荷量 は、「おやつや お もちゃ、本 な どを『 ひ とつ頂戴』 と数 を言 って、 も ら う」「遊びや生活 の中で 10く らいの数 を数 える」「遊びや生活 の中で 5く らいの数 を数 える」の

3項

目にお いてはいずれ も負荷量 が 0.4以上 を示 してい る。一方、「オセ ロゲー ムな どで駒 の数 を数 える」「カ レンダー を見 て行事 までの 日数 を数 える」 は負 荷量が‐0.4 以下 と対 比的で ある。 正 の負荷 量 を示 した項 目は予 め数 える数 が決 まってい る。他方 、負 の負荷量 を示 した項 目は、ゲー ムの勝敗や時間の経過 と共 に、数 える数 が変化す る。 した が って、第

2成

分 を 「決 まつた数 を数 える経験 」 と命名す る。 第

3成

分 の負荷量 は 「カ レンダー を見て行事 まで の 日数 を数 える」「おやつや おかず を 数 えなが ら分 ける」 は、負荷 量 が 0.4以 上 を示 してい る。前者 は行事 の 日と数 えた 日の差 が 日数 としてカ ウン トされ る。後者 は、分 ける際に、相手 との数 の差 を考慮す ることにな るだ ろ う。 したがつて、 これ ら

2項

目は、差 を考慮す る要素が あ るた めに抽 出 され た と考 え られ、「差 を数 える経験」 と命名す る。 17

(20)

以上 を踏 まえる と、「数 える」 とい う経験 には多種多様 の要素が含 まれ ていることが分 か る。第1成分 が最 も基本 的 であ り「具体物 を数 える」 ことを反 映 してい る。第

2成

分 か らは 「定数」 と 「変数」 とい う数学的要素が見いだせ る。第

3成

分か らは、 日常的 な数的 経験 に、四則演算 の基本 であ る 「和 と差」力`含 まれ てい ることが分 か るだ ろ う。 6。 何番 目、何段 目な ど順番や位置 を数 える経験 表

13

カテ ゴ リー

6に

お け る各項 目の記述統 計量 項 目 平均値 標 準偏差 スーパーの レジや飲食店で並んでいるときに何番目か数える 幼稚園での背の高 さについて、「前から○番 目」 と家で報告する 「いちばん上(下)に○○を入れて(取つて)頂戴」 と言われてお手伝いをする 「いちばん右 (左

)端

に○○を入れて(取つて)頂戴」 と言われてお手伝いをする 「長い針が上に(下に)来た ら○○ しよう」 と時計を見て約束する 「カレンダーの上から○段 目の○曜 日に

OOし

よう」 とカ レンダーを見る 2.49 3.10 3.45 3.30 3.97 2.63 1.17 1.47 1.22 1.22 1.17 1.34 カテ ゴリー 6「 何番 日、何段 目な ど順番や位 置を数 える経験」の各項 目の評定値につい て平均値 と標準偏差を算出 した結果、表 13の よ うになった。 「『 長 い針 が上(下

)に

来た ら○○ しよ う』 と時計 を見て約束す る」は平均値3.97で あ り、幼児は時計を使 って位置に触れ ることを生活の中で頻繁に経験 していると言える。一 方、「スーパーの レジや飲食店で並んでいるときに何番 目か数 える」「『 カ レンダーの上 から○段 目の○曜 日に○○ しよ う』 とカ レンダーを見る」の平均値はそれぞれ2.49、 2.63 であ り、「3あった」以下の低 い評定がな されている。前者 は、スーパーの レジや飲食店 で一列に並ぶ とい う経験が、幼児 にはそ もそ も少ないのかもしれない。後者は、上下 (週) と左右 (曜 日

)と

い う2次 元の操作が必要 とな り、幼児期のかかわ りとしては難 しかった ように思われ る。

(21)

-18-表

14

カテ ゴ リー6にお け るl:成分分析 の結 果 項 目 成 分

l

成 分2 「いちばん右 (左)端に○○を入れて(取つて)頂 戴」 と言われ てお手伝 いをす る 「いちばん上(下)に○○ を入れ て(取つて)頂戴」 と言われてお手伝 いをす る 「長い針が上に(下に

)来

た ら○○ しよ う」 と時計 を見て約束す る 「カ レンダーの上か ら○段 目の○曜 日に〇〇 しよ う」 とカ レンダーを見 る 幼稚園での背 の高 さにつ いて、「前 か ら○番 目」 と家 で報告す る スーパーの レジや飲食店で並んでい るときに何番 目か数える 固有値 累積 寄与率 (%) 0。80 -0。44 0。79 -0.44 0.62 -0.17 0.57 0.56 0.54 0.34 0.54 0.55 2.54 1.15 42.39 `1.52 次 に、主成分 分析 を行 った結果 を示 した ものが表 14で あ る。 第

1成

分 は、負荷 量 がいずれ も 0.5以 上で あつた。 カテ ゴ リー として想 定 され た成 分 で あ り、「順番や位置 を数 える経験」 と命名 した。寄与率 も42.39%と 高か つた。 第

2成

分では 「『 カ レンダーの上か ら○段 日の○曜 日に○○ しよう』 とカ レンダーを見 る」「スーパ

レジや飲食店で並んでいるときに何番 目か数 える」の項 目が、負荷量0.55 以上を示 した。一方、「『 いちばん右(左)端 に○○ を入れて(取つて)頂 戴』 と言われてお 手伝いをす る」「『 いちばん上(下

)に

○○を入れて(取つて

)頂

戴』 と言われてお手伝い をす る」については負荷量が-0。

4以

下 と対比的である。第

2成

分において負の負荷量を示 した項 目は、「いちばん」 とい う概念が含まれてお り、絶対的な位置関係 を認識す る経験 である。他方、正の負荷量を示 した項 目は、全体の中での相対的な位置関係 を数 えて理解 す る経験である。 よつてこれを 「相対的な位置関係 を数 える経験」 と命名す る。相対的な 位置関係 を数 えることは、小学校 1年生の単元に含まれ、関数や グラフ等の理解 に必要な 「座標系」に発展する内容である。幼児期の 日常的なかかわ りの中には、こうした数的経 験が含まれていることは注 目に値す るだろ う。 -19‐

(22)

7.数

字 を見た り読 んだ りす る経験 表

15

カテ ゴ リー

7に

お ける各項 目の記 述統 計量 項 目 平均値 標 準偏差 す ごろ く遊びでサイ コロの数字やルー レッ トの数字 を読む 電卓の数字 を押 した り読んだ りす る 銀行やお店の番号札 を読んだ り、表示 された数字 を見る 電話番 号を覚 えた り、電話 をかけた りす る 車のナ ンバー を読んだ り覚えた りす る 絵本 な どに書かれてある数字 を見た り読んだ りす る マ ンシ ョンや シ ョッピングセ ンターのエ レベー ターで行 き先の数字 を正 しく押す テ レビのチ ャンネルや音量表示 を指示通 りに数字 を押す 3.75 3.72 3.78 2.33 3.21 3.93 4.33 3.90 1.22 1.24 1.10 1.42 1.44 1.15 0.92 1.30 カテ ゴ リー

7「

数字 を見た り読 んだ りす る経験」 の各項 目の評 定値 につ いて平均値 と標 準偏差 を算 出 した結果 、表 15の よ うになつた。 このカテ ゴ リー9項目中の8項 目で平均値3以上 の数値 とな り、「3あつた」以上の頻度 で、 数 につ いての 日常的 なかかわ りが積 み重ね られ てい る と評価 され ていた。 特 に 「マ ンシ ョ ンや シ ョッピングセ ンターのエ レベー ターで行 き先 の数字 を正 しく押す」が このカテ ゴ リ ーの中では平均値4.33と最 も高 かつた。幼児 が大人 と行動 を共 にす るこ との多 いマ ンシ ョ ンや シ ョッピングセ ンター のエ レベー ターでの言葉 かけや かかわ りが多い と考 え られ る。 次 に、遊び の 中での経験 と して 「絵本 な どに書 かれ てあ る数字 を見 た り読 んだ りす る」 「す ごろ く遊びでサイ コロの数字やルー レッ トの数字 を読む」「電卓の数字 を押 した り読 んだ りす る」 の3項 目、生活 の中での経験 と して 「テ レビのチ ャンネルや音 量表示 を指示 通 りに数 字 を押す 」「銀行や お店 の番 号札 を読 んだ り、表示 され た数字 を見 る」 の2項 目 は、いずれ も平均値 が3。 72∼3。 93の 範 囲にあ り、頻度 が高い と評価 されている。幼児 は、 日常的な遊びや 生活 の中で、数字 を見た り読んだ りす る経験 が多 くあることを表 してい る。 しか し一方 で、「電話番 号 を覚 えた り、電話 をかけた りす る」は平均値2.33と なつてお り、筆者 としては意外 なほ ど頻度が低 い結果 になった。 これ は、近年 、電話番 号が電話 に 登録 され ていて電話番号 を覚 えな くて もよくなった こ と、身近 にある電話 ではあるが、幼 児 には 自由に触れ させ てい ない家庭 が多い ことな どが理 由 と して考 え られ る。 -20‐

(23)

16

カテ ゴ リー

7に

お け る主成 分分析 の結果 項 目 成分1 電卓の数字 を押 した り読 んだ りす る 銀行やお店の番号本Lを 読 んだ り、表示 された数字 を見 る 絵本 な どに書かれ てある数字 を見た り読んだ りす る テ レビのチ ャンネルや音量表示 を指示通 りに数字 を押す マ ンシ ョンや シ ョッピングセ ンターのエ レベー ターで行 き先の数字 を正 しく押す 車のナ ンバー を読 んだ り覚えた りす る す ごろ く遊びでサイ コロの数字やルー レッ トの数字 を読む 電話番号を覚 えた り、電話 をかけた りす る 0。71 0。66 0.65 0。62 0.62 0.60 0.56 0.49 固有値 寄与率 (%) 次 に、主成分分析 を行 つた結果 を示 した ものが表 16で ある。 第 1成分 にお いて

6項

目全 てで負荷 量が 0.4以 上 とな り、

1つ

の成分が抽 出 された。 与率 は 37.832%で あつた。 ゆえに、 この

8項

目は一次元構造 で あるこ とが確認 され た。 テ ゴ リー として想定 された成分であ り 「数字 を見た り読んだ りす る経験」 と命名す る。 3     3 0     8 3     7 3 寄   カ ‐21

(24)

8.単

位 量 の数字 を見た り読 んだ りす る経験 表

17

カテ ゴ リー8にお け る各項 目の記述統 計量 項 目 平均値 標 準偏差 登園・就寝な ど毎 日決 まった時刻 に時計の針が指す数字 を見 る ゲー ムな ど遊び続 けた時間を時計の数字 を見て確認す る 遊びや生活 の時間をはかるためにタイマーのセ ッ トを した り数字 を見た りす る カ レンダー を見て「○月○ 日」 と読む 料理 を手伝 うときに水や牛乳 な どの液体 を計量カ ップや スプー ンではか る 体温計 を見て 自分 の体温が○度○分 とわかる テ レビの天気予報の最高気温・ 最低気温や降水確率 を見た り読んだ りす る テ レビ画面内やカーナ ビ内な どにある、デ ジタル表示の時刻 を読む 体重や身長 をはか って数字 を読む 3.51 2.48 3.03 3.53 2.34 2.64 2.44 3.28 3.24 1.28 1.30 1.42 1.40 1.30 1.44 1.42 1.46 1。41 カテ ゴ リー 8「単位 量 の数 字 を見た り読 んだ りす る経験 」 の各項 目の評 定値 につ いて 平均値 と標 準偏 差 を算 出 した結果 、表

17の

よ うになった。作成 した

9項

目の うち、

4項

目で平均値 が

3以

下 とな り、「

3あ

つた」以下の水準 に とどまつた。 具体的 に見てい くと、 まず幼児 に とって幼稚 園生活 にかかわ りの深 い 「登 園・就寝 な ど 毎 日決 ま つた時刻 に時計 の針 が指す数 字 を見 る」、「カ レンダー を見 て『 ○月○ 日』 と読 む」 は平均値3.5以 上 の数値 とな り、「3あった」以上の頻度 で

,日

常的 に数 につ いてのか かわ りが認 め られ る。 しか し、「テ レビの天気予報 の最 高気温・ 最低気温や 降水確率 を見 た り読 んだ りす る」、「体温計 を見て 自分 の体温 が○度 ○分 とわか る」、「ゲー ムな ど遊 び 続 けた時 間 を時計 の数 字 を見 て確認 す る」、「料理 を手伝 うときに水や 牛乳 な どの液 体 を 計量 カ ップや スプー ンで はか る」 の項 目にお いては、平均値3以 下 の数値 とな り、「

3あ

つた」以下の頻度であることか ら、幼児 は大人 と共 に家庭 での 日常生活や遊びの中で単位 量の数字 に触れ た り使用す る経験が少 ない と考 え られ る。 以上 を踏 まえると、少 な くとも今回の項 目で測定 された限 り、単位 量 に触れ る経験 は、 幼児 に とって あま りな じみ のない ものだ と言 える。もつ とも、このカテ ゴ リー に関連 して、 幼児期 にふ さわ しい経験 内容 が、別 に存在す る可能性 は否 定で きない。 ‐22‐

(25)

18

カテ ゴ リー8にお ける主成分分析の結果 項 目 成分

1

成分 2 テ レビ画面内や カーナ ビ内な どにある、デ ジタル表示の時刻 を読む 体重や身長 をはかつて数字を読む テ レビの天気予報の最高気温・最低気温や降水確率 を見た り読んだ りす る 体温計 を見て 自分の体温が○度○分 とわかる カ レンダーを見て「○月○ 日」 と読む ゲー ムな ど遊び続 けた時間を時計 の数字を見て確認す る 登園・就寝な ど毎 日決 まった時刻 に時計の針が指す数字 を見 る 遊びや生活の時間をはか るためにタイマーのセ ッ トを した り数字 を見た りす る 料理 を手伝 うときに水や 牛乳 な どの液体 を計量カ ップやスプー ンではかる 0。79 ‐0.28 0。74 -0.15 0。74 -0。44 0。73 ¨0.09 0.69 -0.29 0.67 0.36 0.68 0.47 0.61 0.50 0.57 0.13 固有値 累積 寄与率 (%) 4.25 1.01 47.25 58.44 次 に、主成分分析 を行 つた結果 を示 した ものが表 18で ある。 第

1成

分 は、全 ての項 目で負荷量がいずれ も 0.4を 超 えていた。 カテ ゴ リー と して想 定 され た成分であ り「単位量 の数字 を見た り読んだ りす る経験」と命名す る。寄与率 も 47.25% とな り説明力 も高い。 第

2成

分 の負荷量 は、「登園・就寝 な ど毎 日決 まった時刻 に時計の針 が指す数字 を見 る」 「遊びや生活の時間を計 るためにタイマーのセ ッ トを した り数字 を見た りす る」の

2つ

の 項 目にお いて負荷量が 0.4以上 を示 してい る。 また、「ゲー ムな ど遊び続 けた時間を時計 の数字 を見て確認す る」につ いて も負荷量 0.36で あつた。一方 、「テ レビの天気予報 の最 高気温 。最低気温や 降水確 率 を見た り読 んだ りす る」につ いては‐0.4以 下 と対比的である。 正の負荷量 を示 した

3項

目は、時計 の数字 を見 るこ とで次 の活動へ と結びつ ける とい う要 素が含 まれ てい る と考 え られ る。 これ に対 して、負 の負荷量 を示 した項 目は、場面に現れ た数字 を見 ることが主た る経験 内容 となってい る。 これ らを踏 まえ、第

2成

分 を 「活動 を 起 こす た めに時 間を見た り読 んだ りす る経験」 と命名す る。

(26)

-23-9.数

字 を書 く経験 表

19

カテ ゴ リー

9に

お ける各項 目の記述統計量 項 目 平均値 標 準偏差 なぐり書きを していて、たまたま知っている数字に似ていると「○○書けた」 とい う ドリルや プ リン トを使 つて数字 を書 く お買い物 ごつこをす るとき,作った紙のお金 に数字 を書 く 3.78 3.47 2.85 1.25 1.39 1.42 カテ ゴ リー9「数字 を書 く経験 」 の各項 目の評 定値 につ いて平均値 と標準偏 差 を算 出 し た結果、表 19の よ うになった。 「お買い物 ごっこをす る とき、作 つた紙 のお金 に数字 を書 く」の平均値 は2.85で あ り、 「3あった」以下の評 定 となってい る。 これ につ いては、家庭 内では買い物 ごつ こで遊ぶ 機会 が少 ないか、買い物 ごつ こをす る際 に市販 され てい るまま ご と用 のお金 を使 うた めに、 幼児 が 自 ら数字 を書 くこ とが少 ない と考 え られ る。 次 に 「な ぐ り書 きを していて、た またま知 ってい る数字 に似 てい る と『 ○○書 けた』 と い う」 については平均値 が3.78と な り、家庭 において比較的頻度 の高いかかわ りであるこ とが分か る。幼児が大人 と遊ぶ 中で、数字 の書 き方 を習得 してい く過程が うかがえる。 ま た 「 ドリル や プ リン トを使 つて数 字 を書 く」 は平均値 が3.47で 、「3あつた」以 上 の評 定 がな され ていた。家庭 内において養育者が、わが子 に数字 を書 くことに触れ させ よ うとす る教育的意 図 をはつき り持 つてい る こ とが垣 間見 える。今 回の研 究対象者 が、就学 を控 え た年長児 の保護者 であつた ことも、一因であろ う。 表

20

カテ ゴ リー

9に

お ける主成分分析の結果 項 目 成分1 お買い物 ごつこをするとき,作つた紙のお金に数字を書 く ドリルやプ リン トを使 つて数字を書 く なぐり書きを していて、たまたま知つている数字に似ていると「○○書けた」 とい う 77   76   “ 0 .   0 。   0 。 固有値 寄与率 (%) 1.57 52.21 次 に、主成分分析 を行 った結果 を示 した ものが表

20で

あ る。

1つ

の成分が抽 出 され、

3項

目全 て で負荷 量が 0.6以 上 となつた。 寄与率 も 52.21%で あ り説 明力 も高い。 この

3項

目は一次元構造 で あ る ことが確認 され た。 カテ ゴ リー と して想 定 され た成分であ り「数字 を書 く経験」 と命名 した。 ‐24‐

(27)

「数字 を書 く経験」の項 目は、カテ ゴリー

1か

らカテ ゴ リー 8と は異 な り、年長児 に と っての現在 の活動 のみで構成 されてい るため、負荷量、寄与率 ともに高い値 が出たのでは ないか と考 え られ る。 10。 「日常的な数的経験」 と「算数の知識」 との関連について 表

21

「日常的な数的経験」と「算数の知識」との関連 (Nつ4) 日常的な数的経験の第1成分 相 関係数 有意確率 物 を並べ る経験 同 じ種類の物 を集 める経験 数 を声 に出 して唱 える経験 1対 1対応 で数 を用いる経験 実際に物の数 を数 える経験 何番 目、何段 目な ど順番や位置 を数 える経験 数字 を見た り読んだ りす る経験 単位 量の数字 を見た り読んだ りす る経験 数字 を書 く経験 0.19 0.21 0。18 0。24 0.40 0.29 0。48 0.32 0.50 n,s. pく 。10 n.s. p〈.05 n.s. p〈.05 n     n     n 日常的 な数的経験 のカテ ゴ リー毎 に第

1成

分 につ いて、成 分得点 を算 出 した。「日常的 な数 的経験」 の成分得点 と、「算数 の知識」 の得点 との あいだの関連性 をみ るため、 ピア ソンの相 関係数 を算 出 した。 そ の結果 、「算数 の知識 」 と、「数字 を見た り読 んだ りす る 経験」及 び 「数 字 を書 く経験 」 との あいだ に有意 な相 関 (pく。

05)が

見 られ た。 また、「実 際に物 の数 を数 える経験」 との あいだに相 関の ある傾 向 (pく.10)が 認 め られ た。 本研 究 では、「算数 の知識 」を問 う課題 と して、数 唱課題 と数列空欄補 充課題 を用 いた。 幼児期 の 日常的 な数 的経験 が、小学校 以降 の算数 の知識 にかかわ る課題 と有意 な相 関が認 め られ た こ とは注 目に値す る。一方、課題が少 な く数的領域 に限 られ た ものであったため、 直接数 とかかわ る経験成分 との間でのみ相 関が あつたのではないか。今 後、「算数 の知識 」 に関す る分析 と課題検討 を行 つた上で、理論ベースで、 日常的な数的経験 との関連 につい ての仮説生成 、及び検証が求 め られ る。 ‐25‐

(28)

総 合 考 察

1.主

成 分分析 の結果 か ら 本研 究では、年長児 を対象 に、遊び を含む家庭生活 において大人 とのかかわ りの中で、 どの よ うな数的経験 を してい るのかを、量的研 究によ り客観 的 に把握す ることを 目的 とし ていた。年長児保護者への グループイ ンタ ビュー をもとに、幼児期 の 日常的な数 的経験 に を示す、9カテ ゴ リー

61項

目を作成 した。 主成分分析 の結果、第

1成

分 として、想 定 され たカテ ゴ リーが抽 出 され た。

9つ

のカテ ゴ リーは、「物 を並べ る経験」「同 じ種類 の物 を集 める経験」「数 を声に出 して唱える経験」 「

1対

1対

応 で数 を用 いる経験」「実際に物 の数 を数 える経験」「何番 目、何段 目な ど順番 や位 置 を数 え る経験」「数字 を見た り読 んだ りす る経験」「単位 量 の数字 を見た り読 んだ りす る経験」「数字 を書 く経験」である。 また、第

2成

分以降 として、想 定 していなか った数的経験 のカテ ゴ リーが抽 出 された。 「お もちゃを線 に沿つて並べ る経験」「時間を計 るために数 を唱える経験」「

1対 1対

応 を 意識 して約束す る経験」「決 まった数 を数 える経験」「差 を数 える経験」「相対的 な位 置 関 係 を数 え る経験」「活動 を起 こす ために時間 を見た り読 んだ りす る経験」 である。 この う ち、「お もちゃを線 に沿 つて並べ る経験 」 は数 直線 、「決 まった数 を数 え る経験 」 は定数 と変数 、「差 を数 える経験 」 は四則 演算 、「相対的 な位 置 関係 を数 える経験 」 は座標 系 と い う、数領域の要素が関わ っている。 また、それ以外 の成分 も、生活や遊び を営む上で重 要な 「時 間」が反 映 してい る。今後、 これ らの要素 が、幼児期 の 日常的な数的経験 の中で 見いだ され てい くのか、検討 してい く必要があるだ ろ う。 本研 究 では、「算数 の知識」を問 う課題 として、数唱課題 と数列空欄補充課題 を用いた。 いずれ も、小学校 での算数 の数的領域 に関わる内容 である。結果 として、 これ らの課題 で 測定 され た 「算数 の知識」 と、 日常的 な数的経験の うち「実際 に物 の数 を数 える経験」「数 字 を見た り読 んだ りす る経験」「数字 を書 く経験」とのあいだに有意な相 関が認 め られ た。 上述 の よ うに、今 回の調査 では、「算数 の知識」 に関す る課題分析 が あま りに も不足 し ていた。それで も、なお、幼児期 の 日常的な数的経験 とのあいだに関連性 があつた ことは、 重要 な示唆 を含む もの と考 える。本研 究で用いた項 目は、いずれ も、 日常的な生活や遊 び のなかで、 自然 に見 られ るよ うな数 とのかかわ りで ある。実際、多 くの項 目の平均評定値 が 「

3あ

った」 を上回つた。大人が少 し意識 を向けてかかわ ることで、幼児 の 自発的な数 ‐26

(29)

に触れ ることになる。幼児期 に必要なのは小学校 の算数 の先取 りではない。受 け身のかた ちで ドリル学習 を行 えば、む しろ算数への意欲や 関心は低 下す るのではないだ ろ うか。 日 常的な生活や遊び の中で、 自発的に数 と関わ ることが重要であつて、大人 はそれ を少 し後 押 しすれ ば よいのではないか。その よ うな経験 が、小学校以降の算数 の基礎 となることを、 今回 の研 究結果 は少 し明 るみ に出 した と考 える。 筆者 は、長年 、幼児教室 で幼児 とその養 育者 と関わ つて きた。 就学 を控 えた養 育者 は、 小学校 でわが子 が勉 強 に困 らないか心配す る。 そ して、教育熱 心な養 育者 は、早 くか ら ド リル を買い与 えていた。そ ういったかかわ りを受 けてきた幼児 は、算数 に対す る意欲 を失 つた り、知識 はあって も 日常的 な経験 と結びつ け られ ない といった姿 を数多 く日に してき た。本研 究では、不十分なが らも 「幼児期 の 日常的 な数的経験」 を整理 して示 し、その有 効性 を確認 できた。今後 、数 に対す る幼児 の興 味関心 を育むた めに、 日常生活や遊び の中 で どの よ うな経験 を大切 に した らよいか、子育て支援等での啓発資料 のベース として、少 しで もヒン トになることを期待 したい。 2。 経験 の頻度 か ら 今 回の研 究結果 につ いて、カテ ゴ リーや項 目毎の平均評 定値 を見てい くことで、 よ り詳 細 に考察 してい きたい。 第一 に、吉 田(1991)は 「幼児 は、モ ノを数 えることはとても好 きだ し、また数 を唱える 事 も好 きで あ る。筆者 な ども小 さい頃 に風 呂の中で、親 か らあ と

30数

えて上 が りな さい と言われ た ことが何度 もある」と述べ、 また中沢(1981)は 「子 どもがは じめて数 唱 を聞 く 場所 は、殆 ど例外 な くお風 呂の 中 ら しい。抱 いてお風 呂に入 るよ うになれ ば、たいていの お となは あたた ま りなが らゆっ く り数 を唱 えて聞かせ る し、赤 ちゃんの方 も じつ と聞いて いる。」 と述べ てい る。 この ことは、湯船 に浸 か る 日本 の文化 を継承 してい るの と同時 に 風 呂の中で数 を唱 えるこ とを生活 の一部 としてい る家庭 が多い ことを表 してい るのではな いか と推 察 され る。 ゆえに 「お風 呂で湯船 に浸かって数 を唱 える」が平均値 4.78と

61項

目の 中で一番 高い評 定 にな った と考 え られ る。 第二 に 「遊 びや生活 の 中で 10く らいの数 を数 え る」が平均値 4.77と

61項

目中二番 目 に高い。予備調査 において、母親達が 「我 が家では、数 に関 して何 も していない」 と自己 紹介 の時 に挨拶す る こ とが多か ったが、 グルー プイ ンタ ビュー が始 ま リカテ ゴ リー を一つ 一つ並べ てい くと、次々 と思 い出 し、全

176項

目の うち 「実際 に物 を数 え る経験 」 は 44 -27

(30)

項 目が出た。 この こ とは、家庭 での養育者 が トランプやす ごろ くといつた遊び を一緒 に し てカー ドやサイ コロの 目を数 えた り、子 どもへ の話 しかけの中に数要素 を入れ た りと、子 どもの生活や遊びの中で大人 が数 に意識せず、生活 に埋 め込 ませ た形で数 に触れ させ 、年 長児 に10く らいまでの数 を数 える経験 を多 くさせ てい るとい うことが うかがえる。 以下、カテ ゴ リー毎 の考察 を試み る。表22にカテ ゴ リー毎の平均値 を示 した。 表

22

カテ ゴ リー毎の平均値 日常的な数 的経験のカテ ゴ リー 平均値 物 を並べ る経験 同 じ種類 の物 を集 める経験 数 を声 に出 して唱 え る経験 1対 1対応 で数 を用 い る経験 実際 に物 の数 を数 え る経験 何番 目、何段 目な ど順番や位置 を数 える経験 数字 を見た り読 んだ りす る経験 単位 量の数字 を見た り読んだ りす る経験 数字 を書 く経験 3.37 3.04 3.73 3.43 3.82 3.16 3.62 2.94 3.37 第 二 に

9カ

テ ゴ リー の うち 「数 を声 に出 して唱 える経験」 はカテ ゴ リー全体 の平均値 3.73、 「実際 に物 を数 える経験」はカテ ゴ リー全体 の平均値 3.82、 「数字 を見た り読んだ り す る経験 」 のカテ ゴ リー全体 の平均値3.62、 に比べ る と 「順番や位置 を数 える経験」 はカ テ ゴ リー全 体の平均値 が 3.16と 他 のカテ ゴ リー と比べ る と平均値 が低 い。 この こ とは、 数 を数 え るこ とを重視す る 日本 文化 の中で親 と して は出来 るだ け多 くの数 を唱 え させ た り 数 え させ た りしたい とい う気持 ちが反 映 され たた め、「実際 に物 を数 え る経験 」 に対 し、 数 と して は比較 的少 ない 「順番や位 置 を数 える経験 」 を させ る こ とに重要性 を感 じなか つ たのではないか と考察 され る。 第 四 に 「単位 量 の数 字 を見 た り読 ん だ りす る経験 」 のカテ ゴ リー全体 の平均値 は 2.94 と、「順番や位 置 を数 える経験」 よ りもさらに低 い値 となった。 この こ とは、栗原(1990) が 日本 の小学校 の数学教育 について述べ る際、「

1905年

の 当時ただ一種類 しかない文部省 著作『 尋常小学算術書』が『 数唱、計数、計算』 と進む『 数 え主義』で 1935年 に国定『 尋 常小学算術』が出るまで継続 され、その後戦後現在の検定教科書にまで受け継がれている ために多 くの父母、教師、またその父母、教師をた どるとすべて 「数 え主義」の洗礼を受 28

表 4  カテ ゴ リー 1に お ける主成分分析の結 i果 項 目 成 分 l   成 分 2 生活用品 (ス リッパや洗濯 ば さみな ど )を 並べて遊ぶ お もちや (ミ ニカーや人形やおは じきな ど)を 敷居や床の線 に沿つて並べて遊ぶ 積 み木や ブ ロックを積み上 げた り並べて遊ぶ 身 の回 りの本 な どを並べ て遊ぶ テ ィッシュペーパーな どの生活用品を積み上げる 色 々なシール を並べて貼 る おやつ を並べて食べ る ホ ワイ トボー ドや冷蔵庫 にマグネ ッ トを並べ る 電車
表 6  カテ ゴ リー 2に お ける主成分分析の結果 項 目 成分 1 同 じ色や形 、大きさの種類のプ ロックを集 めて遊ぶ 長 さ又 は、大 きさの同 じお もちゃ (ミ ニカー、電車な ど )に 分 けて遊ぶ カー ドな どを種類別 に分 けて遊ぶ 同 じ種類の動物を集 めた り、子 どもと大人の人形 を分 けて遊ぶ お菓子 を同 じ色や形 に分 けて皿 に並べ る 食事 の後片付 けを手伝 うとき、同 じ種類 の食器 を集 める 0.690。69 0.680.640.630.49 固有値 寄与率
表 10  カテ ゴ リー 4に お け る主成 分分析 の結果 項 目 成分 1   成分 2 トランプな どのカー ドを 1枚 ず つ配 る まま ごとの食器 を人形の前 に 1枚 ずつ並べ る 家族 の食器 をそれぞれ の席 に置 く 良い ことをひ とつす る とご褒美 (シ ール な ど )を ひ とつ もらう 1日 に 1回 テ レビや ゲームな どができる約束 をす る 0。 70     ‐ 0。 130.65    ‐ 0.180.58    ‑0.530.52     0.430.39 
表 12  カテ ゴ リー 5に お ける主成分分析の結果 項 目 成分 1 成分 2  成分 3 す ごろ く遊 びでサイ コロの 目の数 を数 える 20枚 くらいの トランプや カー ドな どの数 を数 えて勝敗 を決 めて遊ぶ オセ ログームな どで駒の数 を数える 遊 びや生活 の中で 10く らいの数 を数 える 遊 びや生活 の中で 5く らいの数 を数 える 階段 を数 えなが ら上 り下 りす る おやつやお もちゃ ,本 な どを 「ひ とつ頂戴 」 と数 を言 つて、 も ら う カ
+4

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