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ジグソー学習法による複数の電流概念モデルを用いた授業開発 : 小学校理科授業の実践を通して

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(1)

ジグソー学習法による複数の電流概念モデル を用いた授業開発

―小学校理科授業の実践を通 して一

教育 実践高度化専攻 小学校教員養成特別 コー ス

(2)

目次 第I章 問題の所在 と研究の 目的・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・ ・・1 第1節 小学校理科電気単元・・・・・・・・・ 。・ ・・・・・ ・・・・・・・・1 第2節 児童の素朴概念 と科学概念の関係・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・1 第3節 児童が コ ミッ トしやす い電流概念モデル・・ ・・・・・・・・ ・・・・・2 第4節 本研究の 目的・ ・・・・・・ ・・・・・・・・・ ・・ ・・・・・・・・ ・4 第 Ⅱ章 理論的背景・・・ ・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・ ・・・5 第 1節 電流概念獲得のための粒子1頃斜モデルに関す る石井・本間の先行研究・・5 第2節 現象理解のための擬人化体験学習に関す る吉 川の先行研究・・・・・・ ・7 第3節 電流概念獲得のための水流モデルに関す る岩迫の先行研究・・・・・・・8 第

4節

授業化の指針・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・ ・・ ・・・・・・9 ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ・ ● ● ● ● ● ● ● ●11 第 Ⅲ章 授業の概要・・・ ・・・・・・・・ 第 1節 対象 と実施時期・ ・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・11 第2節 題材 と学習 目標・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・11 第3節 授業の展開・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・ ・・・11 第Ⅳ章 授業の分析・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21 第1節 授業前後の質問紙調査・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・21 第 1項 目的・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・21 第2項 方法 。・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・・21 ・・・・・・・・ ・・ ●●●●●・・・ ・21 第3項 結果 と考察・・・・・・・・ ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●23 第2節 授業における選択 シー ト・・・ ●●●●●●●●●●●●●●●●●●●23 第1項 目的・・ ・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・ ●●●●23 第2項 方法・・ ・・・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・23 第3項 結果 と考察・・・・・ ・・・ 第3節

2か

月後の質問紙調査・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・25 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・25 第 1項 目的・・・・・・ ・・・・・ ●●●●●●●●●●・・・・・ ●●●●25 第2項 方法・・・・・・ ・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・26 第3項 結果 と考察・・・・・・・・ ●●●●●●●● ●●●●●・・・・28 第

V章

総合考察 と今後の課題・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・28 第1節 研究の成果・・・・・・・・・

(3)

第2節 今後の課題・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・・29 附記・・・・・・・・ ・・・・・・・・ ・・・・・・・ ・・・・・・・ ・・・・・・31 引用・参考文献・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ ・32 巻末資料・・・・・・・ ・・・・・・・ ・・・・・・・・・・・・・・ ・・・・・ ・33

資料①

質問紙調査用紙・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

34

資料②

2016年

10月 28日

の授業の学習指導案・・・・・・・・・・・・・・・・

35

資料③ 2016年

10月

28日

の授業で使用したワークシー ト

(説

明シー ト

)・

・・・

36

資料④ 2016年

10月 28日

の授業で使用したワークシー ト

(選

択シー ト

)・

・・・

37

資料⑤

日本科学教育学会研究会発表用ポスター・・・・・・・・・・・・・・ 。

38

(4)

第I章 問題の所在 と研究の 目的 第 1節 小学校理科電気単元について 我 々の生活は様 々なエネル ギーによ り,豊かで1夫適 な もの とな つてい る。特に電気エネル ギーは,最も身近に存在す るエネル ギーであると言える。家電や電気 自動車な ど,我々は生 活の多 くの場面で電気の力 を用いている。平成20年の学習指導要領 の改訂によ り,小学校 第5学年で も電気 を扱 う単元が加 え られ,小学校第

3学

年か ら中学校 まで,理科の学習 にお ける 「電気」を扱 う単元はスパイ ラルに続 くことになつた l)。 これ は 「電気」を学習す る ことの重要性 を示唆 している。表 1-1は,小学校理科電気単元の内容例である。表の左側 は 対象 となる学年 であ り,右側が具体的な内容である。 文部科学省が提示 してい る理科授業の内容構成 を見 ると,小学校の段階で,電気 に対す る 基礎的な学習は網羅 されてお り,その知識 を生か して,中学校 で,電圧や抵抗の内容 を学習 し,計算問題 な どを解いてい く。よつて,小学校で正 しい電流概念 を獲得できていない場合, その後の学習において,電気単元へ苦手意識 を感 じた り,誤つた知識 を持 つたままで学習 し 続 けた りす ることが推 察 され る。故に,小学校段階で正 しい電流概念 を獲得 していることは 電気 を学習す る上で必須事項 といえる。 第2節 児童の素朴概念 と科学概念の関係 電気 は 目には見えないため,イ メー ジ しなが ら理解す るのが難 しい概念である。Osborne and Freyberg(1985)は ,単純電気回路にお ける電流について 100人 以上の小 。中学校 の児童 生徒に面接 を行い,電流概念 について,児童生徒の傾向を見出 した υ。その結果,児童生徒の 誤概念 は主に,以下の3つに分類す ることができた。1つ 日は回路の片側だけ しか電気が流 れないモデル (以下,単極モデル

),2つ

目は電気が回路内を両方向か ら流れ,中央でぶつか るモデル (以下,衝突モデル

),3つ

日は電流が使われ て少な くなるモデル (以下,減衰モデ 表1-1′1ヽ学校理科電気単元の内容例 (文部科学省 をもとに筆者が整理) 学 年 学習内容 3年 磁石の性質 (磁石 に引き付 け られ るもの,異極 と同極) 磁石の通 り道 (電気 を通すつなぎ方,電気 を通す物) 4年 電気 の働 き (乾電 池 の数 とつ な ぎ方,光電 池 の働 き)

5年

電流の働 き (鉄心の磁化・極の変化,電磁石の強 さ)

6年

電気の利用 (発電 。蓄電,電気 の変換,電気 による発熱,電気 の利用)

(5)

)で

ある。 これ に加 え,誤つた解答 を した児童は,電気 について学習初期段階の児童だけ ではな く,小学校第

6学

年の児童 にもあてはまる例があつた。 この調査か ら,授業で行 つた 内容や概念 を正 しく理解できてお らず,そのまま学年が上が り,電気 の内容がます ます理解 出来な くなってい ることが推察できる。そ して 日には見えない概念 だか らこそ,誤つた認識 が生まれやすい と考え られ る。 児童に とつてなぜ この よ うな困難が生 じるのだろ うか。児童の誤 つた電気回路の認識 の 1つに,電池か ら出た電流が徐 々に減少す ると考 える場合 がある。堀は,このよ うに電流が 回路内で減少す る と考 える児童は,ものは使 えば無 くなるとい う自身の生活経験 を元に,考 えを構築 しているのではないか と指摘 している0。 すなわち ,生活の中で電池は使用すれ ば 無 くなつて しま うことを経験 している児童は,電気回路 に流れ る電流 も使用すれ ば,徐々に 減少す る と認識 して しま うとい うことである。 小牧は,児童 の回路 を流れ る電流の誤概念 を さらに細か く

8つ

のモデルに類型化 した4)。 表 1-2は,小牧 の調査 で取 り上げ られ た

8つ

の考え方である。小牧は,Osborneの 児童の電 流の誤概念 の例 を参照 し,さ らに分類分けを行つた。その結果,小学校第

4学

年 で減 衰モデ ル を持 っている児童が多いことを報告 している。 第

3節

児童が コ ミッ トしやすい電流概念モデル これまで,児童の電気 に対す る誤 つた認識 を,解消す るための実践 は多 く行われて きた。 実践の中では,「水流モデル」や 「列車モデル」の よ うに電気 を別の メタファ (例え

)に

置 き換 えて説 明 しているものが多 くある。しか し,それ らの実践では

,1つ

の授業内に 1つの モデル しか用いていない。つま り,1つ のモデルで学級内の全児童に理解 させ よ うとしてい ると言 える。堀 は,中学生を対象 に電流モデルの有効性 を調べ る過程 で,教師が適切 なモデ ル と考えていて も,生徒 に とつて必ず しもわか りやす い とは限 らない と報告 してい るつ。児 童の理解度 には個人差があるため,授業で示 したモデルでは理解 が難 しい と感 じる児童 も いると推測できる。 また,日本理科教育学会が発刊す る『 理科の教育』の過去 2006年 か ら 2015年 の間で,小学生 を対象に した電気単元の実践の中で,1つ の授業の中で複数のモデル を示 し,児童 にモデル を選択 させ る実践は報告 されていない。

Head&Suttonに

よる と,学 習者のアイデ ィアに対す る情緒的愛着 と して,コ ミッ トメン トの概念が提唱 されているの。 児童が科学モデル を説 明す る際 に も,児童 によつて異な るモデルヘ の コ ミッ トメン トが生 じると考え られ る。よつて,1つの授業内に児童がコミッ トしやすいモデルを選択できる機 会 を設 け,そのモデルを用いて考察す る方が,児童が正 しい電流概念 を獲得す るのに有効 で あると推測できる。

(6)

1-2児

童 が保持す る8つの電流概念モデル (小牧 をもとに筆者が整理) オ ズ ボ ー ン の 示 し た認識例 との対照 モデルの名称 課題記号 電流の向 き・経路 。強 さ 科学モデル 一方向循環一定 電流は,一方の極か ら負荷装置を経 て も う一 方の極 へ流れ る。 電 流の強 さは回路全体に おいて常に一定であ る。 減衰モデル 一方向循環回路減少 電 流 は,電源 の一 方の極 か ら負荷 装置 を経 て,もう一方の極 へ流れ る。電流の進む向 き に従 つて電流の強 さは徐 々に減少す る。 一方向循環負荷減少 電 流 は,電源 の一 方 の極 か ら負荷装置 を経 て,もう一方の極へ流れ る。負荷装置で電流 が使われ るため,一方の極へ戻 つて くる電流 は減少 している。 単極モデル 一方向非循環一定 電流は,電源の一 方の極か ら負荷装置まで一 定の強 さで流れ る。しか し,負荷装置で全て 使 われ るた め,そこか ら一 方の極 へ流れ な い。 二方向交差回路減少 電流は,電源の両極か ら負荷装置へ向か つて 流れ,負荷装置 で交差 した後,も う一方 の極 へ向かつて流れ る。電流の強 さは進行方向 に従つて徐々に減少す る。 衝突モデル 二方向非交差一定 電流は,電源の両極か ら負荷装置まで一定の 強 さで流れ る。 衝 突 モ デ ル&減衰 モデル 二方向非交差回路減 少 電 流 は,電源 の 両極 か ら負 荷装置 まで流れ る。負荷装置に向か うに従 つて電流の強 さ が徐 々に減少す る。 二方向非交差回路増 カロ 電流は,電源の両極か ら負荷装置 まで流れ る。負荷装置に向か うに従つて電流の強 さ が徐々に増加する。

(7)

4節

本研究の 目的

本研 究の 目的は,小学生に正 しい電流概念 を理解 させ るため,先行研 究か ら導いた指針 を もとに,複数の電流概念モデル を導入 した授業 を開発 し,減衰モデル を克月反す る効果 を明 ら かにす ることである。

(8)

第 Ⅱ章 理論 的背景 第1節 電流概 念獲得 のための粒子傾斜 モデル に関す る石井 ・本 間の先 行研究 石井 は,小学 生 の電流概 念獲得 の実践モデル と して,「粒 子傾斜 モ デルJを開発 し,小学校 4年生 を対象 に実践授 業 を行 つたつ。 まず,石井 は教材 と して図

21に

示す粒子傾斜 モデル を開発 した。エ アー ガ ンの弾 を粒 子 と し,箱を持 ちあげてい る角度 を乾電 池 と し,板 の途 中の羽根 をモー ター に見立て それが回 るこ とで,電流 の向 きや ,電池 の 十極 ―極,抵抗 の概念 が理解 で きる よ うに な つてい る。石 井 は,電流 の強 さにつ いて,「存在 し,増減 し,移動す る もの」 と して流 体 よ りも粒 子 の方がイ メー ジを持 ちや す い と指摘 して い る。 そ して,教材 を開発す る上で,小学生 に理角早させ るた め,「視 覚 的 に理 解 しや す い もの」「学習者 に操 作 させ る こ とが容易 な もの」「簡単な素材 で で きてい る もの

Jと

い う点 に留意 し開発 を行 つたc ift組みl i健電池) 鶴′,r卜:I入った小球 (直後 5灘0)プラステfツ ク製の よ、アガンψ)■を用いた,を 11に持ち上:プる役籍, (導総: 録 をつ:夕た枚に釘を打 ち, 銀籍をつ:すた. 1モー ターさ l・ Ixご):IIiま :こ

,小

球が轟た ることでい1転する球1機を `) :よた_ 図

2-1粒

子傾 斜 モデルの仕組 み (石井・本 間か ら抜粋) 次 に,石井 は,小 学校 第4学年 の児童 を対象 に,「粒 子傾斜 モデル 」 を用 いて授 業 を行 い, 学習後 に児童 に2つの調査 を行 つた。

lつ

目は,回路 図のイ メー ジを 自由に描画 させ る調 査 で あ る。「粒 r‐傾斜 モデル 」 を用い て学習 した児童 は,半 数 が科学 的 に適 切 な回路 図 を描lll lしてお り,全 体の

4分

の3の児童 が 電気や粒 子 の 「流 れ

Jを

意識 した回路 図 を描 画 してい た。一 方,「粒 子傾 斜 モデル 」を用 い ず に学習 を行 つた児童 は

,唯

i突モデル 」や 「減衰モデル

Jの

回路 図 を描 画 した児童 が多数 見 られ た。また,│百1路の 中を 「カ ミナ リ」のよ うな ものが流れ るな ど抽象的 な認識 しかで き ていない 児│′:│,いた

(9)

2つ日は,オズボー ン らの調査 した児童の回路認識図を選択 させ る調査である。図 か

2は

石井の行 つたア ンケー トのデー タを横 田が整理 した ものである。「粒子傾斜モデル」を用い て学 習 を した児 童 は

,42.9%が

科 学 モ デ ル

,35.7%が

減 衰 モ デ ル

,10.7%が

衝 突 モ デ ル,3.6%が単極モデル を選択 した。一方,「粒子傾斜モデル」 を用 いず学習を行 つた児童 は,28.6%が科学モデル,21.4%が減衰モデル,46.4%が衝突モデル を選択 した。石井はこの 結果に対 し,モデル を用 いた方が用いていない場合 よ り,回路 での電流の 「向きと強 さ」に ついての概念 を獲得す ることができたので,科学モデル を選択 した児童が多 くな った と考 察 している。 また,「粒子傾斜モデル」 を用いた場合 で も,減衰モデル を選択す る児童が多 数お り,減衰モデル を解 消 させ るには,児童の これ までの生活経験 で得た知識の見直 しや, 他 の単元 と組み合 わせ て学習 させてい く必要が ある と指摘 してい る。 1 100%

90% │

80% :

70% :

60% :

50% │

40% │

30% : 20% │

10% │

0% :

1

粒子傾斜モデル を用いた児童 粒子傾斜モデルを用いなかつた児童

:

2-2電

流の 「向きと強 さ」に関す る調査結果の比較 (石井 をもとに筆者が作成) 上記の石井の研究は,電流概念獲得 に関す る教材 開発 に関係す る ものである。 そ こでは, 「粒子傾斜モデル」を用いることで児童に回路内の 「流れ」を意識 させ ることが可能 とな る。 しか し,減衰モデルの解消には至 っていないため,石井の 「粒子傾斜モデル」 の長所 を 生か し,減衰モデル を解消出来 る教材開発 を検討す る必要がある。 一 衝突モデル,10.7%―一― ―一― ―‐一 ― 単極モデル,3.6% 科学モデル,28.6% 科学モデル,42.9% 減衰モデル,21.4% 衝突モデル,46.4%

(10)

第2節 現象理解のための擬人化体験学習に関す る吉川の先行研究 吉り││らは,自然現象 の 「実感 を伴 つた理解」につなげ るには,その現象の基本をなす 「粒 子」による,見方考 え方 を身につ けるこ とが大事 になる と述べ,擬人化による現象理解につ いて調査 を行 つた め。 この研究において,電気単元の擬人化 は,電気 (電子)の擬人化 に よ り,回路内の電流の動 きを理解す ることを 目的 としている。児童の電気回路 に関す る認識 の一つ に,電池 か ら出た 電気がそのまま回路 を一月回つて戻つて くるとい うこ とがある。実際は,電気 (電子

)が

一 瞬で回路 を回るのではな く,導線 内の電気 (電子)が 全体で回 る。吉り││は電流概念 を理解 し, 正 しいイ メー ジを持つために も,回路の擬人化 は良い方法であると述べてい る。回路の擬人 化の例 を図

23に

示す 。図

23で

は擬 人化に よ り電気回路 を再現 し,輪の中の人は電気の 役割 を し,輪の外 にいる人は電池役で,輪になった電気 を回す役害1を演 じてお り,椅子は抵 抗 を表 してい る。

‐ 2 ヽ ■ ヽ 図

2-3電

気回路の擬人化例 (吉川か ら抜粋) 小学校理科 において,自然現象 を「粒子」の動 き として可視化 して考察 させ る学習は多数 ある。これまで行われて きたマ クロな視点での実験 と,ミ クロな視点での擬人化体感学習の 組み合 わせ は,学習の効果が期待 できる と吉川 は推察 してい る。 しか し,擬人化体感学習 は 実践例 が無い ことや,擬人化 を用いる段階や場面,理解度 に応 じた擬 人化の簡素化 な どの課 題 を指摘 してい る。 上記の吉り││の研 究は,電流概念獲得のための授業づ く りに関係す る ものである。これまで の先行研究では,教材 を開発 し授業に組み込む例が多 く見 られ たが,擬人化 は学習者 自身 が

財曇翫デず

(11)

体験 と して現象 を学ぶ ことが出来 るため,児童 の概念理解 をよ り促す ことが期待できる。そ して,小学生児童 を対象 とした擬人化体験学習 を用いた授業実践 はまだ行 われていないた め,「衝突モデル」や 「減衰モデル」 といつた児童の電流回路にお ける誤概念 を,解消で き るかを調べてい く必要がある。 第

3節

電流概念獲得のための水流モデルに関す る岩迫の先行研究 岩迫 は,小学生 に電気 の流れ をイ メー ジ させ るため,簡易水流モデル を作成 し,回路内の 様子 を理解 させ る実践 を行 った9。 岩迫 は,電気学習 の入 門期 に電気回路 に対す る基本的な概念 を身 に付 け させ ることは重 要 と考 え,電流 をイ メー ジ化 させ るために,小学校第

4学

年 の児童 を対象 に「水流モデル」 を作成 し,授業実践 と授業後 のアンケー トか ら,児童 の電流 の理解度 を調査 した。 図 2-4は 岩迫が開発 した 「水流モデル」である。 このモデル は,実際 に水が入 つてお り,モー ターを 用いて 自動でモデル内の水 を動 かす ことができる。 表 卜 1は 授業後 のア ンケー トの 自由記述欄 の結果である。「水流モデル」を用いて授業 を 行 つた

4年

1組は,用いなかつた

4年 2組

と比較 して

2倍

以上の児童が,「電気 の向きや電 気の回 り方」に着 目し,理解す ることができた と記述 していた。実際に水 を用いたモデル を 使用す ることで,児童 は,水の流れ る向きと電流の流れ る向きを比較 しなが ら,学習に取り 組めていることが推測 され る。 図

2-4岩

迫の開発 した「水流モデル」(岩迫か ら抜粋)

(12)

2-1授

業後のア ンケー トの記入内容 (岩迫 をもとに筆者が作成) 記入 内容 1組

2組

電 池 のむ きをか え る と,電気 の回 り方が ぎゃ くにな る こ と 9 4 電気 の回 り方が よ くわか つた 8 3 電気 の通 る道の こと 0 4 0 電気 は流れ るこ と 0 1 電池のむきをかえると,モーターがぎゃくに回ること l 3 ひ と りひ と りの 車 のパ ワー が ちが うこ と 2 0 友だちの考 えが よくわかつた 0 3 せ ん をつ け る場 所 をか えて も,豆 でん き ゅ うがつ くこ と 0 l

+の

方 に水 がな がれ る こと 1 0 モー ターの しくみや 電池 の しくみ がわか つた 1 0 でんちの力がちが うこと 0 1 (説明の仕 方) 岩迫 は実践の結果 か ら以下の2点を明 らかに した。①水流モデル によ り,児童は電気 の流 れ をイ メー ジ化す るこ とがで きる,②電気の流れ のイ メー ジ化 によ り,回路設計 な ど新たな 課題の解決 にも役 に立つ。故に,電気の学習 を行 う際に,電流概念モデル を使用す ることで, 児童は電気の流れ る方向を理解す ることができ,見えない電気 のイ メー ジ化 を行 うことが 可能 となる。 上記の岩迫の研究は

,電

流概念獲得 に関す る教材開発 に関係す るものである。電気の学 習において 「水流モデル」は多用 され ている。このモデル を使用す ることで,電気 の流れ る 向きや強 さは理解す ることができる。 しか し,電気の誤概念の 1つ である「衝突説」を持 つ ている児童には,コ ミッ トしづ らい可能性が考えられ る。つま り,「水流モデル」 を用いる ことの利点や適性 を,授業者が正 しく理解 した うえで,学習者 に提示す る必要がある。 第4節 授業化の指針 前章で述べた実践か ら,児童 の電気概念理解 に効果が検証 されて きた

3つ

のモデルが明 らか となつた。堀はモデル を用いた授業 を行 う際 に,教師がモデル を導入す るだけではな く 学習者 自身 に,モデルの効果 に気づかせ るよ うな手だてが必要であると述べている 1の。 こ れ らを踏 まえ,本研 究では,以下の3点を授業化の指針 とした。

(13)

[指針

1]複

数のモデル を組み合わせ る 本研 究では 「粒子傾斜モデル」「水流モデル」「人型モデル」の

3つ

のモデル を組み合わ せて授業を行 う。

3つ

のモデルは,いずれ も減衰モデル解消へ効果が指摘 されてお り,学習 者が調べたモデル の仕組み と,班員か ら説 明 して もらつた情報 を組み合わせ,正 しい電気概 念 を獲得 させ る。 [指針

2]ジ

グ ソー学習法 を導入す る ジグ ソー学習法は Aronson(1978)ら が開発 した学習方法で,児童が協同 して学習が進 め られ ることができ,班員の思考力や表現力 を高めよ うとす るグループ学習法である 日)。 文 部科学省の報告では,ジグソー学習法を取 り入れ ることで,知識 の表面的な理解 に とどま ら ず実感 を伴 つた理解 を促す ことに役 に立つ とある lの 。本実践では,ジグ ソー学習を取 り入 れ,児童 に 自分が選択 したモデル を班員に説明す るとい う作業を行わせ ることで,正しい電 気概念 の獲得 を促せ る と推測 してい る。 [指針

3]児

童 にモデル を選択 させ る 児童 の幅広 い コ ミッ トメン トに対応 できるよ うに,「水流モデル」「粒子傾斜モデル」「人 型モデル」の3つの中か ら,児童 に理解 しやすいモデルを選択 させ る。堀は,中学生 を対象 に電流モデルの有効性 を調べ る過程で,教師が適切なモデル と考 えていて も,生徒 に とつて 必ず しもわか りやすい とは限 らない と報告 してお り,児童 に コ ミッ トしやすいモデル を選 択 させ ることで,正 しい電気概念 を獲得 させ る。 10

(14)

第 Ⅲ章 授業の概要 第1節 対象 と実施時期 兵庫県

A市

K小

学校 の第

6学

年 1学級 34名 (男子 13名,女子 21名)を対象 と し,2016 年10月 28日 に 45分 の授業を行 つた。また,授業前後に2分程度 の質問紙調査 を実施 した。 第2節 題材 と学習 目標 題材 は,「回路 を流れ る電流」であ り,回路 を流れ る電流の量の変化について,電流概念モ デルや,ジグソー学習法 を用いて,電流概念の獲得 を 目指す活動であった。学習 目標 は,モデ ルを用いて

+極

か ら一極へ流れるときの電気の量が変化 しないことを説明できるようになるこ とであった。 第3節 授業の展開 表

31は

,授業展開 と,授業 を実施 した際 に各場面で導入 した授業の指針 を示 した もので ある。45分の授業の構成 と,各活動で用いた授業の指針 を記載 してい る。 表

3-1授

業展開 と各場面で導入 した授業の指針 授業の展開 授業の指針 (1) (1)質問紙調査用紙の結果か ら,回路を流れる電流の量の (5分

)

変化について学習問題 を設定する。 (2) (2)3つの電流概念モデルについて班内で役害1分担を行 う。 [指針l] (5分

)

複数のモデルを組み合わせる。 (3) (3)モデルごとに集まり,それぞれのモデルの説明書をも [指針2] (15分〉

とに話 し合い,モデルを用いて実験する。

ジグソー学習法を導入する。 (4) (4)も との班に戻 り,得た情報をもとに,自身の担当したモ [指針2] (10分

)

デルを解説する。

ジグソー学習法を導入する。 (5) (5)理角7しやすいモデルを選択 し,電流の流れの説明を記 [指針3] (10分

)

述する。

児童にモデルを選択 させ る。

(15)

(1)質問紙調査用紙の結果か ら,回路 を流れ る電流の量の変化について学習問題 を設定す る。 授業前 に行 つた児童への質問紙調査 の結果 を学級で共有 した。 図 卜1は授業の前後で行 つ た 質 問 紙 調 査 用 紙 で あ る。 設 間 は ,回 路 を 流 れ る 電 流 に つ い て

,Osborne&

Freyberg(1985)の 質問を採用 した。前章で説明 した 「衝突モデル」「単極モデル」「減衰モ デル」「科学モデル

Jの

4つか らモデル を選択す る設問 (質問①

)と

,回路 を流れ る電気の 量について 「変化す る」「変化 しない」「どちらとも言 えない」か ら当てはまるものを選択 す る設 問 (質問②

)の

2つであつた。 授業 の導入 では,質問① の図 を拡大 し,黒板 に貼 り,児童 に 自身が選んだモデル を発表 さ せた。ここでは,質問紙調査 の結果,児童 によつて選択 したモデルに違 いがあることを伝 え, このよ うな違いが生 じた理 由 として,電気 は 日に見えないため,確認 す るのが難 しいか らで はないのか と問題提起 した。その際,児童 は質問①の正角早を知 らないため,自分が選 んだモ デルが正 しいか ど うか,回路の 中で電流 の量が どの よ うになつてい るのか疑間を もつてい た。 これ を踏 まえ,日 に見えない電気 について調べるために,電気 を他の ものに置 き換 えて 考えるモデル を児童 に紹介 した。紹介 したモデル は,第Ⅱ章で取 り上げた「粒子傾斜モデル」 「人型モデル」「水流モデル」の3つであ り,モデル を提示す る際,モデルを使用す ることで, 電気 を別 のメタファ (例え

)に

置 き換 えて考 えることが可能 にな る と伝 えた。 ここでは, 導入の内容 と関連 させ,「モデル を用いれば,回路 を流れ る電流 の量の変化 を説明できるの か

Jと

い う学習問題 を共有 した。 質鋳お 鱒籍 め 'を 流れ る電気め ■は 奎化す る こ難 ζ`ま '蔭'' あてはまる●ス1■Oをヽ´rく だなぃ ・ どちらとも臓えなヽヽ 壼化 す る ・ 査 `ヒ しな い 図

3-1

質問紙調査用紙 9 “

(16)

(2)3つ

の電流概 念 モ デル につ いて班 内で役割分担 を行 う。 モデ ル の紹介 の後,1人が全 て のモデル を経験 し,学習 問題 を考 え るのでは な く,3人組 の 班 で ジ グ ソー学習 法 を行 うこ とを伝 えた。図

32は

,児童 に ジ グ ソー 学習 法 につ いて説明 し てい る様 子 で あ る。図

33の

よ うなイ ラス トを用 いて,班の 中で各児 童が役害1を分 担 して調 べ てい くこ とを説 明 し

,3つ

のモデル の うち,どのモデル を担 当す るか は各班 自由に決 め さ せ た。 図

3-2ジ

グソー学習法を説明 している様子

一一︸一一一一首

宰 ス

¨

図 3-3 13

(17)

(3)モ デル ごとに集ま り,それぞれのモデルの説 明書 をもとに話 し合 い,モデルを用 いて実 験 を行 う。 役害1分担 を させ た後,隣室 に移動 させ,3つのモデルをそれぞれ体験 させた。図

34は

モ デル を体験す る部屋,図

35は

粒子傾斜 モデルのブー ス,図

36は

水流モデルのブー ス,図

37は

人型モデル のブー スの様子である。 同 じ教室内に

3つ

のモデルを体験できるブース を作 り,児童 に 自分の役割 のモデルのブー スヘ行 かせ,情報収集 を行 わせ た。各ブー スには, モデル を扱 う際の説明書 を置き,児童が説明書 を読み なが ら体験 をで きるよ うに した。 図

3-4

モデルを体験する部屋の様子 図

3-5粒

子傾斜 モ デル の ブー ス 14

(18)

3-6水

流モデルの ブース 図

3-7人

型モデルの ブース 図 3-8は モデル を使用 しなが ら,学習問題 を考 えている様子であ り,図

39は

各モデルの ブースに配置 した説明シー トである。 シー トの上部には各モデルが図や写真で示 されてお り,図や写真の周 りには,吹き出 しがあ り,それ ぞれの場 面で どの よ うな こ とが起 きてい る のかメモを とれ るように した。 そ して,シー ト下部には,学習問題 に対す る答 えを記述す る 欄 を設 けた。児童 はモデルを用いて,気づいたことや特徴な どを説明シー トにメモ してお り, 自身の担 当 したモデル について情報収集 を積極的に行 つていた。 15

(19)

3-8モ

デルを使用 している児童の様子 い 。│ 出席職書

( )

名前( 2懸凛も たモテ′ι)・ ), の霧0錢饉t●ておよう′薇0餞にaう0こだo■.こ.■でけ Cとが縫 τいう0'tttτ "よう 、 饉から・・・臨 珍 答劇い 図

3-9説

明 シー ト ①粒子傾斜モデル 図 3-10は 「粒子傾斜モデル」担当の児童の様子である。実際に,ビー玉を坂の上から転 が し,中央の羽が回る様子を観察させ,電気の流れ とビー玉の転が り方を比較 させなが ら, 学習問題について考えさせた。 16

(20)

3-10

粒子傾斜モデルを使用する児童の様子 ②人型モデル 図

3-Hは

「人型モデル」担当の児童の様子である。電気役 。豆電球役 。電池役に分かれ, 電流の流れを体験 しなが ら学習 させた。それぞれの役は,適宜交代 させ,多くの児童が3つ の役を体験できるように指示を出 した。電池役の児童には,電気役の児童に回転の指示をす る際は,速く回 しすぎないことを事前に伝え,安全面への配慮をさせた。 豆電 球 役 電 気役 ③水流モデル 図 3-12は 「水流モデル」担当の児童の様子である。水流モデルは稲垣 らの研究で使用 さ れた

PCの

シュミレーションモデルl→を採用 し ,児童はPCを操作 しながら学習問題 を考え た。シュミレーシ ョンソフ トは,タ ンクに入つていた水がホースを伝って豆電球を通 り,再

︶一一一一一一一一一一褥

3-11

人型モデル を実践す る児童の様子 17

(21)

びタンク内に戻 つて くる とい うものであ り,「ス メー シ ョンが動 き,水の流れ を電流の流れ と見な ター ト」ボタンを押す ことで,自動 で アニ して,と らえることがで きるよ うに した。 図

3-12水

流モデルを操作す る児童の様子 (4)も との班に戻 り,得た情報 をもとに,自身の担 当 したモデル を解説す る。 各モデル を使 つて実験 した後,図

313に

示す よ うに,も との班に戻 り,自分が調べ た モデ ルについて解説 を行わせた。各モデルについて調べ る際に,説明 シー トにメモを させ て お り, 児童に 自分が書いたメモ を使用 しなが ら説明を行わせ た。児童 は,班員同士で各モデ ル につ いての質問 も積極的に行 うことが出来ていた。机間指導の際に説明が難 しく感 じて い る児 童がいた場合は,「電流 と比較 できるかな」「説明 シー トの内容 を順 に説明 してみ よ う」な どの指示 を出 し,説明を行 えるよ うに促 した。 図

3-13も

との班に戻 り話 し合いをしている児童の様子 18

(22)

(5)理解 しやす いモデル を選択 し,電流の流れの説明 を記述す る。 それぞれ のモデル の説 明を聞いた後,児童に

3つ

のモデルの うち最 も理解 しや すいモデ ルを選択 させ,学習問題 について考 えさせ た。 図

314は

選択 シー トである。 シー トの上部 には,モデルが写真や図で示 され てお り,下部 は,学習問題 「モデル を用いれ ば,回 路を流れ る電流の量の変化 を説 明で きるだろ うか」に対す る答 えを記述す る欄 が あ る。 この欄は, 「だか ら」 とい うリー ド文によつて,モデル を根拠 に結論 を記述で きるよ うに な つている。 モデル を選択 させ る際 には,自 分 が調査 したモデル以外 も選択 可能 と した。 記 述 後は,図

315に

示す よ うに,2名 の児童に学級全体に選択 したモデル と,それ を用 いた説 明 を行わせ, 学級全体で学習問題 に対す る結論 を述べ させた。 選んだモチんて銃曙しておようr 麒鬱書母

( )

名欝 ( (つぶむ饉引調目陶ι) “ 凝 撃

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日曲 圏 臨 朝 腱 鋼 に

'職

鍋じτみよう '(圏 縦 っ

ta8Ltt良

い “ ) ・ 1暑:´ “ か ら 。・ 》 図

3-14

選択 シー ト (粒子{頃斜モデル) 19

(23)

3-15

選んだモデルを学級全体に紹介 している様子

(24)

第Ⅳ章 授業の分析 児童の電流概念 の状態や変容を分析す るために,授業前後に行 った質問紙調査及び,授業 中に行 つた選択 シー トの記述欄,実践の 2ヶ 月後の質問紙調査の分析 を行 つた。 第 1節 授業前後の質問紙調査 第 1項 目的 本節 では,回路 を流れ る電流の流れ方や量に関す る質問を通 して,授業前後 にお ける児 童の電流概念の変容を明 らかにす ることを目的 とす る。 第2項 方法 授業前後において,授業 に参加 した全児童

34名

の児童を対象 とした質問紙によ り,自分 の概念に合 う電流モデルの図を選択 させ た り,電気の量の増減 を答 えさせた りした。所要時 間は,前後 とも約

2分

であつた。設問内容は,前章の図

31で

示 した よ うに,回路 を流れ る電 流 について,Osborne&Freyberg(1985)の 質問 を採用 した。「衝突モデル」「単極モデル」 「減衰モデル」「科学モデル」の4つのモデルか ら選択す る設問 (質問①

)と

,回路 を流れ る電気の量について 「変化す る」「変化 しない」「どち らとも言えない」か ら当てはまるも のを選択す る設問 (質問②

)の

2つであった。 第3項 結果 と考察 図4-1は授業前後の電流概念モデルの回答別人数比 (質問①

)の

結果 を表 した ものであ る。授業前では,衝突モデル 2名,単極モデル 2名,減衰モデル 14名,科学モデル 16名 であ つた。授業後は,減衰モデル を選択 した1名 を除 き,すべて科学モデルを選択できた。 授業前の質問紙調査の結果,学級 の中で科学モデルを選択できた児童は全体の約

47%で

あつた。残 りの児童 は誤 つたモデルを選択 してお り,第 3学年か ら電気 の学習を行 つている 第

6学

年の児童の中に も,電気 について正 しく理解できていない児童がいることが明 らか になった。授業後の質問紙調査の結果,1名 を除 くすべての児童が科学モデル を選択できる よ うになった。 その理 由は,授業内に登場 した3つのモデルについて学習す る中で,回路 を 流れ る電流 についてイ メー ジ しなが ら考 えることができたことが挙げ られ る。

3つ

のモデ ル は,いずれ も電気 を別 のメタファに置き換 えて考えてお り,視覚的 に確認す ることが可能 である。 これによ り,これ まで回路を流れ る電流について不明確 だつた児童 も,電流 につい て理解できたことが推測できる。授業後において,減衰モデル を選択 していた 1名の児童は, 授業前には単極モデル を選択 してお り,授業によ り回路 を流れ る電流が

+極

か ら一極へ と つながることは理解できたが,その量について考えることはできていない と考えられ る。 21

(25)

授 業 前 授業後 oO/。 20% 40% 60% 80シ 6 100% 醸衝突モデル 鐵単極モデル 纏減衰モデル ■科学モデル

図4-1 電流概念モデルの回答別人数比

(質

問①

) 図

42は

授業前後の電流の量の変化に関する回答別人数比 (質問②

)の

結果を表 したも のである。授業前では,「変化する」26名,「変化 しない」8名,「 どちらとも言えない」0 名であつた。 この結果か ら,学級の約

76%の

児童が回路内の電流の量は変化すると考えて いることが明らかになつた。そ して,質問①で科学モデルを選択 していた児童の中にも,「変 化する」を選択 した児童がお り,図による選択はできていたとしても,電流について正 しく 理解できていない児童 もいることが明 らかになつた。授業後「変化する」を選択 した1名 を除き,すべて「変化 しない」を選択できるようになつた。「変化する」を選択 した児童は, 授業後の質問①で「減衰モデル」を選択 した児童 と同 じであ り,電流の量の変化に気づけて いない ことが推測できる。 授 業前 授 業 後 oO/。 20% 40% 鷺変化す る 餞変化 しない 60% 80(1/o 100% どち らとも言 えない

図4-2 電流の量の変化に関する回答別人数比

(質

問②

) 22

(26)

第2節 授業における選択 シー ト 第1項 目的 本節 では,授業 中に児童が記述 した ワー クシー トを分析 し,児童がモデル を使用 しなが ら電流の量の変化 について考察できてい るのかについて明 らかにす ることを 目的 とする。 第2項 方法 授業の最後 に,児童に最 も理解 しやす いモデル を選択 させ,そのモデル を用いて図3-14 に示 した ワー クシー ト (以下,選択 シー ト

)に

回路を流れ る電流の量について記述 させ た。 各選択 シー トを選んだ児童数 (以下,選択人数)と 選択 シー トに記載 され た 自由記述 につい て,科学モデル として 「電流の量は変化 しない こと」について言及 してい る児童数 (以下, 達成人数

)を

集計 した。言及の有無についての判定は,独立 した2者で行い,全て一致 して いた。 第3項 結果 と考察 表4-1は,各選択 シー トの選択人数 と達成人数 を示 している。それぞれ のモデルの選択 人数は,水流モデル 16名,粒子モデル 10名,人型モデル 8名 であつた。ジグ ソー学習内で 自 分が担 当 したモデルではない ものを選択 した児童は 20名 であ り,班による話 し合 いの中で, よ り理解 しやすいモデルを選択 していた。 また,選択人数 に対す る達成人数は,水流モデル で16名中 15名,粒子モデルで 10名中 9名,人型モデルで 8名 中 8名 であつた。3つのモデ ルで,ほぼ全ての児童が 「電流の量は変化 しない こと」について言及できていた。言及でき た一つの要因 として リー ド文の存在が挙げ られ る。「だか ら」とい うリー ド文があることで, 選択 したモデルの仕組み と回路 を流れ る電流の様子 を,段階 を踏んで考 えた り,記述 した り して,電流の量が変化 しない ことに言及で きた と考 え られ る。 表

4-1選

択 シー トの選択人数 と達成人数 (人)

水流モデル

粒子モデル

人型モデル

選択人数

達成人数

1 16 10

1 15 9

8   8 図 4-3は,選択 シー トの 自由記述欄 において「電流の量は変化 しないこと」について言及 できた児童 (以下,達成で きた児童

)の

選択 シー トである。 人型モデルを選択 してお り,回 る方向や人数の変化が起 きて も,電気役の人数は変イヒしない ことを言及 してい る。そ して リ ー ド文に続いて,人型モデル と回路 を流れ る電流の量 を比較 し,共通点に気付 き,電流の量 は変化 しない ことを言及できている。この ように達成できた児童は,選択 したモデルの動 き 23

(27)

と,回路 を流れ る電流 の量 につ いて関連付 けて説 明す るこ とがで きてお り,モデル の仕組 み や,説明書 に記載 して あ つたポイ ン トを確認 しなが ら,実験 を行 つた こ とで,電流 の量につ いて着 日で き,達 成す るこ とがで きた と推察で きる。 (参もな撻碑 モ囃凛) 壽 諄織囃いてヽ義 薔増艤踏哺麟言 =澪 T雪 覇も軍酵お拳 ‡:懇購鸞ぽ璃轟移で靭賠驚電:

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i蛉

ぶ 騨

i`. │ 図

4-3

達成できた児童の ワー クシー ト ー方,図 4-4は

,選

択 シー トの 自由記述欄 において「電流の量は変化 しないこと」につい て言及で きなかつた児童 (以下,達成 で きなかつた児童

)の

選択 シー トである。

2か

所の 自 由記述欄 の どち らにも電流の弱 ま りについては記述 があるが,量についての記述がな く,選 択 したモデルの仕組み を,回路 を流れ る電流の量 と関連 させ た記述 も無かつた。達成できな かった児童は,授業前の質問紙調査では,単極モデル を選択 してお り,授業後では,減衰モデ ル を選択 していた。つま り,授業 を通 して,回路を流れ る電流が豆電球で使用 され た後 も回 路内を流れ るこ とは理解 で きたが,電流の量については理解で きていない ことが推沢1でき る。加 えて,選択 シー トの記述 において も電流の量について触れてお らず,水流モデル を, 回路を流れ る電流 の量 と関連 させ ることもできなか つた と推察できる。達成で きなかつた 児童に対 しては,机間指導 を行 つた際 に,電流の強弱だけではな く,量 についても考 えるこ とができるよ うに個人指導 を行 うべ きであつた。 24

(28)

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1 ︰ ﹂ 一―ヽ―・´―.――戴 図

4-4

達 成で きなか つた児童 の ワー ク シー ト 第

3節

2ヶ

月後の質問紙調査 第 1項 目的 本節 では,回路 を流れ る電流の流れ 方や量に関す る質問を通 して,授業実施か ら 2ヶ 月経 過 した児童 の電流概念 について明 らかにす ることを 目的 とす る。 第

2項

方法 授業実施か ら 2ヶ 月後 において,授業 に参加 した児童 33名 の児童 を対象 とした質問紙 に よ り,自分の概念 に合 う電流モデルの図を選択 させた り,電気 の量の増減 を答 え させ た りし た。所要時間は,前後 とも約

2分

であつた。設問内容は,前章の図

31で

示 したよ うに,回路 を流れ る電流について,Osborne&Freyberg(1985)の 質問を採用 した。「衝突モデル」「単 極モデル」「減衰モデル 」「科学モデル」の

4つ

のモデルか ら選択す る設問 (質問①

)と

, 回路を流れ る電気 の量について 「変化す る」「変化 しない」「どちらとも言えない」から当 てはまるものを選択す る設問 (質問②

)の

2つであつた。 25

(29)

3項

結果 と考察 図

45は

,授業後 と授業 か ら 2ヶ 月後の電流概念モデルの回答別人数比 (質問①)の 結果 を表 した ものであ る。授業後は,減衰モデル を選択 した 1名 を除き,すべて科学モデルを選 択できた。授業か ら

2か

月後は,減衰モデル 9名,科学モデル 24名,衝突モデル と単極モデ ルはいずれ も 0名 であつた。 授業か ら2ヶ 月後の質問紙調査の結果,減衰モデル を選択 した児童数 は,8名 増加 した。8 名 は授業後 に行 つた質問紙調査 では,いずれ も科学モデル を選択で きてお り,授業直後は正 しい電気概念 を獲得で きていたが,時間の経過 とともに電気概念が変容 していた。変容が起 きた理 由 として,児童 が もとか ら保持 していた誤概念 の強 さが考 え られ る。授業直後は,学 習内容 と関連 させ,正しい電気概念 を選択できていた として も,時間の経過 とともに授業 で 獲得 した知識 よ りも,自身が も とか ら保持 していた誤概念 を優先 して考 え,も とか ら保持 し ていた誤概念が強 けれ ば強いほ ど,その傾向は顕著に表れ ると推測で きる。 授業 2ケ月後 o% 20% 40%

窯衝突モデル

灘単極モデル

60% 馨減衰モデル 80% 100% 科学モデル

図4-5電 流概念モデルの回答別人数比

(質

問①

) 図 4-6は,授業後 と授 業か ら 2ヶ 月後の電流の量の変化 に関する回答別人数比 (質問②) の結果 を表 した ものである。授業後では,「変化す る」 を選択 した1名 を除 き,すべて 「変 化 しない」を選 択 できていた。授業か ら2ヶ月後 では,「変化す る」18名,「変化 しない」 15名 で,「どち らとも言 えない」0名であつた。2ヶ月後では,「変化す る」 と回答 した児 童の数 が増加 した。授業前の質問紙調査の結果 と同様に,質問①で科学モデルを選択で きて いる児童の中に も,質問②では 「変化す る」 と回答 した児童 がお り,図で選択す ることはで きて も,正 しい電気概念 を獲得 していないため,質問の形式 を変えると対応できていないこ とが明 らか とな つた。 この よ うな結果 となつた理 由は,図 ケ5での考察 と同様 に,児童 の も とか ら保持 してい る誤概念が影響 してい ることが考え られ る。生活体験 の中で電池な どを 26

(30)

使用 し,電気 は使 えば無 くなつて しま うと強 く認識してい る場合は,「変化 しない」 とい う 回答 を選択す るこ とは難 しい ことが推測できる。 授業後 授 業 2ヶ月後 0(る 60シ6 80% どち ら とも言 えない 100% 雛変化す る 議変化 しない

図4-6 電流の量に関する回答別人数比

(質

問②

) 27

(31)

V章

総合考察 と今後の課題 本研究では,「複数のモデル を組み合わせ る」「ジグソー学習法を導入す る」「児童にモデ ル を選択 させ る」とい う3つの指針 を組み込んだ授業開発 を行い,減衰モデル克服への有効 性 を検証 してきた。本章では,その成果 を3つの指針に還元 して考察す るとともに,今後の 課題 を述べ てい く。 第 1節 研究の成果 [指針

1]複

数のモデル を組み合わせ る 本研 究では,1つの授業内に3つの電流概念モデルを取 り入れて授業を行 つた。3つのモ デル を同時 に取 り入れ た理 由は,これ までの先行研究では,1つ の授業内で 1つ のモデルの み を使用 してお り,児童の減衰モデル克服 に効果 をあげてお らず,授業内で提示 したモデル が,児童が理解 しやすいモデル とは限 らない場合があると推察 したか らであつた。3つのモ デル を用いることの有効性 は,も とのFJIに戻 り,それぞれ のモデル について紹介 しあ う活動 で明 らか となつた。班 での話 し合 い活動の中で,自分の調べたモデル の内容 と,残 りの2人 の調べたモデルの内容 を比較 した り,共通点を見つけた りしてい る児童がお り,この よ うな 取組 はモデルが 1つ の場合 は行 うことができない。 よつて3つのモデル を取 り入れ ること で,児童 は回路 を流れ る電流の量について,自分が調べた内容の確認 を行 うことができ,曖 味な点 を修正 した りす ることができるとい う点で有効であつた。一方で,児童に3つのモデ ル を取 り入れたことについて,「理解 しやすかつたか」「理解できていなかつた箇所を明 ら かにす ることができたか」な どの質問項 目による調査は行 つていないため,上記の よ うな質 問項 目を加 えた質問紙調査 を行 う必要があつた。 [指針

2]ジ

グ ソー学習法 を導入す る ジグ ソー学習法を取 り入れ,各児童 にエキスパー ト活動で役割 を与 えた点が効果的であ った。児童の記入 した説明シー トを分析す ると,ほぼ全ての児童が 自身の担 当 したモデルの 情報 を得 るために,モデルの説明書を読み,モデル を実際 に動か して得た情報 を記入できて いた。調査 を行 うモデル を役害1分担す ることで,エキスパー ト活動 を行 う際 に児童 に責任感 が生まれ,よ り積極的に情報収集 を行い,説明 シー トに記述できていた と考 えられ る。一方 で,エキスパー ト活動 内で説明 シー トに記述 はできてい るが,正しく内容 を把握 で きていな い児童 もいた。 しか し,も とのIJIに戻 り話 し合いを行 う中で,回路 を流れ る電流 の量につい て質問 した り,班員か ら意見をもらえた りす ることで,担当 したモデルについての情報 を整 理す ることができてお り,ジグ ソー学習法を導入す ることは,児童に電流概念 を獲得 させ る うえで有効であると推察できる。 28

(32)

[指針

3]児

童 にモデル を選択 させ る 本研究では,エキスパー ト活動の後,児童に3つのモデルの中か ら,コ ミッ トしやすいモ デル を選択 させ,そのモデル をもとに学習問題 について解答 させた。 その結果,調査対象児 童34名中32名の児童が選択 シー トの記述欄 に,回路 を流れ る電流の量は変化 しない とい う 内容の記述 をす ることがで きた。つま り,選択 したモデルの内容 と回路 を流れ る電流につい て関連 させ ることができてお り,コ ミッ トしやすいモデルを選ぶ ことで,児童のアイデ ィア と一致 し,正 しい電流概念 を獲得 できてい ると言 える。 それ に加 え,選択 シー トでモデル を 選ぶ際に,エキスパー ト活動で担 当 したモデルか ら変更 した児童 は 34名 中 20名 であ り,半 数以上の児童がモデル を変更 してお り,コ ミッ トしやすいモデル を選択 していることが分 か る。以上の ことか ら児童にモデルを選択 させて説明 させ る活動は,減衰モデル克服 に有効 であると推察す る。 以上の研究成果か ら,先行研究か ら導いた3つの指針 に基づ く授業は,児童の減衰モデル 克服 に有効であつた。質問紙調査の結果か ら

,2ヶ

月後の調査において も,約

70%の

児童が 正 しい科学モデル を選択 してお り,これ は,石井の先行研 究で授業後に科学モデル を選択で きていた児童の割合 (約

43%)を

大 き く上回 つてい る。児童の電流概念 の変容は,よ り確 かであ り,この ことか らも3つの指針 に基づ く授業の効果が明 らか となつた。 第2節 今後の課題 課題 は以下の

4点

である。 (1)指針の共通部分の効果 を詳細 に検証す ること 3つの指針は活動内で共通部分がある。例 えば,ジグ ソー学習法 と,その活動内にある3 つのモデルか らの情報収集である。現段階ではこれ らの効果は,どち らの効果であつたのか 明確 に区分す ることは難 しい。よつて児童 に更なる質問紙調査 を行い,児童が電気概念 を獲 得できた要因を さらに細か く分析 してい く必要がある。 (2)獲得 した電気概念 を持続 させ る 授業 2ヶ 月後 に行 つた質問紙調査の結果,質問②で,回路 を流れ る電流の量は変化 しない と正 しく回答できた児童の割合 は,授業前 に比べ ると,約 2倍に増加 した ものの,授業後か らは大 きく減少 して約

45%に

とどま り,約

55%の

児童が,回路 を流れ る電流の量は変化す ると回答 していた。この よ うな誤概念への変容を防 ぐためには,児童の学習前か ら持 つてい る誤概念 を事前に調査 してお くことや,授業の最後に,回路 を流れ る電流の量の変化につい てクラスで実験結果 を もとに共有 し,よ り丁寧 に確認 し合 う必要がある。 (3)ジグソー学習の エキスパー ト活動 において,必要な情報 を収集で きない児童の支援につ いて 児童 の説 明 シー トと選択 シー トの記 述 か ら,エキスパー ト活動 の際 に,モデ ルの 内容理解 29

(33)

が乏 しく,説明 シー トに情報 を十分 に記載す ることのできなかつた児童がいた。この よ うな 児童がいた場合,机間指導の際 に,モデルの着 目点や,学習問題 との関連性 な どを個別指導 してい く必要がある。 (4)質問紙調査用紙の改 良について 質問紙調査用紙 の質問内容 は

2種

類であ り,いずれ も回路 を流れ る電流の量 に関す る質 問であつた。児童 の電気概念 をよ り詳細 に調べ るためには,2つ の質問に加 えて,児童が元 か ら保持 してい る電気概念 を調べるため,電池の使用な ど,児童 の生活体験 に即 した内容の 質問や,回路図に電気 の流れ方 を図示 させ るよ うな質問を加 えてい く必要がある。 本研 究で明 らかになつた成果や課題 を生か して,これか らも児童が正 しい電気概念 を獲 得できる教材開発や,児童同士が考 えを交流 し,それぞれ の考えを深 めていけるよ うな協調 学習 を取 り入れ た授業づ く りを行い,正 しい電気概念 の指導法に工夫 を積み重ねていきた い。 30

(34)

附記 本論文は,以下の学術論 文に基づいてい る。但 し,本論 文の研究課題 に即 して学術論文を 大幅に加筆 し,その内容 を再構成 している。 横田昇太朗,・ 山本智一,「ジグソー学習法による複数の電流概念モデルを用いた学習支援 ―小学校理科授業の実践を通 して一」『 日本科学教育学会研究会研究報告』第31巻

,第

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(35)

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(36)

巻末資料

(37)

資料①

質問紙調査用紙

出席番 号 (

<電

気 の流 れ につ い て の ア ン ケー ト

>

*こ

のアンケー トは成績 とは関係 あ りませ ん

)

名前 ( 質問① 回路を流れ る電流は どのよ うに進む と思いますか? (一

つ選んで図の下に

Oを

してく壁 ⊇

電 流 の流れ の 方 向 は図 に示 した通 りで あ る。 電流 の流 れ は、 両方 の 導線 とも同 じ である。 質問② 回路の中を流れる電気 の量は変化すると思いますか ? 。

変化 しない 34 あてはまる答 えに○を して ください 。

どち らとも言えない 電 流 の 流れ は 両 方 とも豆 電 球 に 向 か つて 流れ る。 電流 の流れ の 方 向は図に示 した通 りであ る。電流の流 れ は、帰 りの 導線 で は少 な く な つ て い る。 片方の導線に は電気 は流れ ていない。 変化する

(38)

資料②

2016年

10月 28日の授業の学習指導案 インターンシップ授業案 兵庫教育大学実習生 横田昇太朗 ① 日時 平成

28年

10月

28日 (金) ② 教材名 「 回路を流れる電気の量

J

対象学年 小学校第

6学

年 ③ 本時のねらい 。電気の仕組みや40Jき に興味を持ち、十極から一極へと電気が流れるときに、その量は変化tンないとい う電気概念を習得 しようとする。

・ ・協調学習を通tノ、様々なモデルを比較することができる。 「相手に自分の考 えを、モデル を用 いて積極的 に説明す ることがで きる。

④ 本時の展開

教師の支援 ① アンケー トの集計結果 を知 り、回路を流れ る電流の量 の変化について考える。 「この回路の図は、電気がぶつかつている

l .

「この回路の図は、電気が途中で減つている」 ② 見えない電気 を見えるもの としたモデルを知 る。3人 1組 のlJIIを作 り、自身が調べ るモデル について確認す る。 「僕はつぶを使つたモデル」 「人を使つたモデルは図を見`ただけではわか らない」 ③ 選択 したモデル ごとに集 まり、それぞれのモデルの説 明書をもとに話 し合 い、情報を統合t/てい く。 「水流モデルだと量の変化が確認 しやすい」 「人型モデルは身体を動かすんだ IJ ④ 元の班に戻 り、得た情報 をもとに、 自身の選んだモデ ルの解説を行 う。 「他のモデルもわか りやすい」 「モデルを合わせるともつと分かるようになつた」 ⑤ まとめ、ワー クシー トの記入 「モデルを使 うと

+極

か ら一極へ流れ るときの電気の量 が変化 しないことを説明できる」 授業前に とつたアンケー トの内容を児童に見 せなが ら、質問 を してい く。 。児童には、あ らか じめ モデルl「人型モデル」の お く。 「水流モデル」「粒子 3つの役割を与えて ・グループは12人程度 にt′、 自分の選んだモ デルの意味や 、学習課題 との関連性 を考え る。 ・ ワー クシー トを用意 し、児童に選んだモデル についての情報 を書 き込 ませ る。 。解説をさせ る前に、教師が例を示 しながら方 法を提示す る。 ・他のモデルの良いところや、自身の理解を深 めることのできる解説 を書き留めさせ る。 ・時間が確保できる場合は、その場でアンケー トをとる。 ない場合は、授業後にとる。 モデル を用いれば、回路を流れる電流の量の変化を説明できるのか ? 35

(39)

資料③ 2016年

10月 28日

の授業で使用したワークシー ト

(説

明シー ト

)

出席番号

(

説日

ロシート

)

名前

(

(つ

ぶを使ったモ示′

L)

下のモテルの絵の説

BRを

してみよう

J絵

の横にあるふきだし①.②。○では

どのようなここが雄 ているのか書いてみよう

だから

000問

いの答え

│さ ヽ l ノ / 1 ヽ .   6 3 風 車

=豆

電 球

(40)

資料④ 2016年

10月 28日

の授業で使用したワークシー ト

(選

択シー ト

)

選んだモテ

rLで

EEし

てみょう ′

出席晋号

(

)

名前

(

(つ

ぶを使ったモテ

rL)

このモテ

rLを

使って、回路を流れる電流の量につ

llて

用してみよう

J(□

を使って説

EEし

ても良

01で

) ヽ 1 ′

だから

"ミ

(41)

資料⑤

日本科学教育学会研究会発表用ポスター

ジ:グツーニ学習法 による複数の電流概念モデルを用いた学習支援 ‐ ‐

―小学校理科授業の実践を通 して― DeCthbO「 ■フ12016

:

Ψ学

III

小学生 に電流概念 を理解 させ るため 学習支援を行 い ,減 衰 モデルを克服 す く2授業 の概 要> o)対象と実施時期 選択人数 達成人 数 く1目的> .複 数 の モデルによって説明 し合 うとともに`コ ミ ントしやすいモデルを選択 する活動を取 り入れた る効果 を明 らかにする。 兵庫県公立小学校第6学 年34名 (男 子13名 `女 子21名) 平成28年10月28日 45分授業 0授業 T標 と鋼 扉 針(① 鴇 tと きの該 の量が刻 ヒしないこと

83■

_鷲

ξ

nson a」197a C駅

2m"を

①児童にモデルを選択させて説明 させる。 (3)授業の展開 §;骨l:::;i:旱 ]「i:=itliれ桑ぷ野をを役害1分担する。 8`f券フ霧豆;[1ち ,調べたことゃ分かつたことを説明し合う。 ③説明シー トを記入 し,自身の考えを発表する。 く3分析 方 法> レ││,.1マ お 'う tQ‖,I

)。

,電

IPII認

│:為 8" く4:分析結果> ′い れり│シ │の =択人数と j成人教(人) 水流 モ デ ル │_r子 モデル 人型モ デル 水流 モデル (板 食.1988:岩迫,1993)粒子 傾斜 モ デル 人型 モテル (吉 川 ら,2014)

R馴

¨

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鼠駁圏

16 10 8 15 9 8 ド賣 “ξ 11 ほ1 5 1tl文前後の電流概念モデルのノ、数比(質 '① ) ■マ 'い'■ ヽお│い│ 図4達成 できなわヽつた児童 の・フークラー ト _“´ヽに 口16け 火 市 後 の電 流 概念 の人数It(質H10) ――一―一 ―一二 塁」賀狂≧

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