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マウス胎仔の舌前方部と軟口蓋における味蕾基底細胞マーカーの発現

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Academic year: 2021

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マウス胎仔の舌前方部と軟口蓋における味蕾基底細

胞マーカーの発現

著者

中山 歩

雑誌名

鹿児島大学歯学部紀要

29

ページ

25-26

発行年

2009

URL

http://hdl.handle.net/10232/17007

(2)

はじめに 年度に口腔顎顔面外科より口腔生理学に移籍して きた私は, それまで臨床一本で行ってきたため, 当然, 科学研究費補助金等の研究費もなく, 口腔生化学講座 奨学寄附金による研究助成金をいただいたことは, 研 究遂行に必要な試薬, 実験動物を購入する上で非常に 重要なものとなった。 本稿では, その感謝の意を込め, 私がこれまで行ってきた味蕾基底細胞の分化に関する 研究をご紹介させていただきたい。 味を感受する末梢器官である“味蕾”の局在部位は 限られており, 舌の茸状, 有郭, 葉状の3種の乳頭と, 軟口蓋, 咽頭部に分布する。 味蕾を構成する細胞は常 に同じものが存在するのではなく, 約 日の周期で入 れ替わっており, 新しい味細胞が味蕾基底部の未分化 な基底細胞から絶えず生み出されている。 そのため, 味蕾基底細胞の性質を分子レベルで明らかにすること は, 味蕾の形態と機能を維持し味覚を正常に保つメカ ニズムを知る上で極めて重要である。 しかし, 胎生期 の味蕾基底細胞の発達過程は明らかになっていなかっ た。 そこで, 胎生期における味蕾基底細胞の発達過程 と味蕾の分布パターン形成の関連性に注目して, 味蕾 基底細胞マーカー遺伝子として (細胞増殖・分化 誘導因子) (ホメオドメイン型転写因子) ( 型転写因子) を用い, 舌前方部と軟口蓋で味 蕾基底細胞が胎生期のいつから分化を開始するかを解 析した。 また, 軟口蓋味蕾は出生直後に既に機能して いることが明らかになっているので, 味蕾の分布パター ンがいつ決定されるかを検討するために, 胎生期の軟 口蓋領域における のスポット状の発現の数と成 体の味蕾数を比較した。 さらに, 味蕾基底細胞分化へ の神経支配の関与を調べるために, 神経細胞マーカー を用いて神経支配の開始時期の解析を行った。 味蕾基底細胞分化の解析 A. 味蕾基底細胞の分化開始時期 茸状乳頭領域では胎生 日から, 軟口蓋領域では 胎生 日から と のスポット状の発現が認 められ, これらの発現はほぼ重なっていた。 を 発現する細胞は, 茸状乳頭領域では胎生 日から, 軟口蓋領域では胎生 日から検出された。 このこと より, 茸状乳頭領域では胎生 日で, 軟口蓋領域で は胎生 日で, 味蕾分布パターン形成開始時に を発現するスポットが出現する段階で味蕾基底細胞の 分化が始まることが示唆された。 B. 軟口蓋味蕾分布パターンの決定時期 胎生期の軟口蓋領域で, ( 硬 軟口蓋移行部の味蕾が帯状に分布する領域) 領域より 咽頭側での を発現するスポット数と成体の軟口 蓋味蕾の分布パターンを比較し, 味蕾の分布パターン がいつ完成するかを検討した。 を発現するスポッ トの数は, 胎生 日から 日までに2倍以上に増 加し, それ以降は一定となった。 成体の軟口蓋の より咽頭側では, 1個の味蕾が独立して存在するだけ でなく, 2∼4個の味蕾が集まって島状に存在してい た。 胎生 日の を発現するスポット数は, 成体 の軟口蓋における 以外の味蕾の数より少なかった が, 島状に分布する味蕾の集団の数とはほぼ同じであっ た。 このことより, 味蕾の分布パターンは, 胎生 日には決定されることが示唆された。 また, 1つの島 状の集団に属する複数の味蕾が を発現する1つ のスポットから分化することが示唆された。 C. 味蕾基底細胞分化への神経支配の関与 茸状乳頭領域では胎生 日で, 軟口蓋領域では胎生 日で を発現する上皮細胞の基底膜には神経が 歯学部における若手研究者の支援 鹿児島大学大学院医歯学総合研究科 先進治療科学専攻 生体機能制御学講座 口腔生理学分野 中山 歩

(3)

到達していた。 と は神経が到達する以前か ら発現していたのに対し, は神経が上皮に到達 した後に発現していたことより, 味蕾基底細胞は神経 に依存せず分化を開始するが, の発現開始は, 神経に依存する可能性が示唆された。 おわりに 口腔生化学講座奨学寄附金の援助の下に得られた上 述の研究成果は, に発表することができた ( )。 しかし, 味蕾の細胞分化が神経に依存せずど こまで進行するかはいまだ明らかでなく, より長期に わたって培養する方法を確立して, の発現の神 経依存性や味蕾の細胞分化について解析を進めること が必要であると考えている。 最後に当基金を設立し, 本研究に多大の援助をいた だいた大工原恭先生に深く深く感謝申し上げたい。 歯学部における若手研究者の支援

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