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教員養成のためのICT活用における理論と実践の融合

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Academic year: 2021

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1.はじめに 滋賀大学教職大学院は,滋賀県教育員会との連携・協 力のもと,高度な専門性を備えた教員の養成をめざし, 2016 年度(平成 28 年度)に学生募集を行い,2017 年 (平成 29 年)4 月に開設した。本教職大学院は,学校経 営力開発コースと教育実践力開発コースの 2 コースか ら成り,理論だけではなく実践力を育成する体系的なカ リキュラムと多様な教育方法を導入することによって, 子どもの学びを向上させることのできる確かな指導力を もった教員を育てることをめざしている。一方,教育実 践力開発コースでは,現職教員学生に対しては,高度な 教育実践力,実践的協働力,新しい学びの構想力を育成 し,生徒指導や校内研究において指導的役割を果たすこ とができる教員の養成を行っている。また,学部新卒学 生に対しては,確かな教育実践力と授業研究力,新しい 学びの協働力,科学的俯瞰力を育成し,新たな学びを生 み出し新しい課題に対応できる専門性を身につけた新人 教員の養成を行っている。したがって,本教職大学院は, 2019 年(平成 31 年)3 月に第 1 期生を送り出し,今 年で 3 年目を迎えている。 また,社会に目を向ければ,「社会の情報化」は,「情 報の社会化」に変容し,「メディアの社会化」によるソー シャルメディア社会としての特徴を顕にしてきている (松原 2014)。このような社会においては,どのような 教育が求められるのであろうか,その際に必要となる「資 質・能力」とはどのようなものなのだろうか。このよう な課題は,近年における全世界的な関心の的であり,研 究の中心概念といえるかもしれない。 本稿では,このような新しい時代・社会に対応した教 員養成として,ICT 活用の視点を中心にして理論と実践 の融合に向けて新しい提案を行う。 2.教員養成と教員研修の課題 中央教育審議会初等中等教育分科会教員養成部会 (2014)によれば,教員養成と教員研修の課題は以下の ように整理できる。 (1)教員養成の課題 ・新しい指導力の必要性 知識の伝達というこれまでの一般的な指導方法の更な る充実のほか,児童生徒が主体的・協働的に学ぶ授業を 展開できる力や,各教科横断的な視野で指導できる力, 学校段階間の円滑な移行を実現する力など,従来の力に 加え,新しい指導力が必要となっている。 ・教員としての基本的な知識や能力の育成 教員が社会の変化に対応できるためには,養成段階は 教員となる際に必要な基礎的・基盤的な学修を行う段階 であることを踏まえると,揺るぎない教育観や児童生徒 の発達に対する理解など教員としての基本的な知識や能 力を備えている必要がある。 ・近年の教育改革に関する特記事項の充実 特別支援教育,小学校英語の教科化,道徳の教科化, ICT の活用など,近年の教育改革の方向に合わせた教員 養成課程の充実を図るとともに,生徒指導や学級経営を 行う力の育成にも対応することが求められている。 ・関係する機関・組織・地域との共通理解による養成 実践的指導力を養うため,大学においては,教育委員 会や学校現場の実情,ニーズを把握し,これらの者との 共通理解の下に教員養成を行う必要がある。その際,教 職生活全体を俯瞰して,養成段階で身につけるべき内容 を整理する必要がある。さらに,豊かな知識と識見はも とより,大きく変動する社会の中での教育の在り方に関 する理解や,多様化した保護者の関心や要求に対応でき る豊かな人間性とたくましさ,小・中学校をはじめとし た各学校の特色や関係性に関する幅広い知見を備えた教 員を養成することも必要である。 (2)教員研修の課題 ・学校における業務の精選や効率化 OECD の国際教員指導環境調査(TALIS)によると, 日本の教員は,研修意欲は高いものの,日常業務の多忙 化などにより,必要な研修のための時間を十分に確保す ることが困難な状況であることが判明した。このため, 学校における業務の精選や効率化を進めることが重要で

Linking Theory to Practice in ICT Using for Teacher Education

松原 伸一

Shinichi MATSUBARA

滋賀大学大学院教育学研究科 高度教職実践専攻

矢野 由起

Yuki YANO

滋賀大学大学院教育学研究科 高度教職実践専攻

畑  稔彦

Naruhiko HATA

滋賀大学大学院教育学研究科 高度教職実践専攻 < キーワード> 教職大学院  教育実践 教育実践力 ICT 超活用

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ある。 ・チームとしての学校の力の向上 教職員の役割分担の見直しや専門家の活用,組織体制 の強化などチームとしての学校の力の向上を図ることに よって教員研修等のための機会を確保することが必要と なっている。 ・効果的で効率的な研修 国,都道府県,市町村,学校がそれぞれ主体となって 研修を行っているが,全体として体系立った研修が行わ れていない。このため,研修の実施主体が有機的連携を 図りながら,教員のキャリアの段階に応じ,教員のニー ズも踏まえた研修を効果的・効率的に行うことが必要で ある。さらに,研修成果の可視化についても工夫するこ とが必要である。 3.本学における教員養成と ICT 活用 現在,本学学部では,教員養成として学校教育教員養 成課程(定員 230 名)が設置され,3 つのコース(初 等教育,中等教育,障碍児教育)がある。 一方,大学院では,教育学研究科に 2 つの専攻,す なわち,学校教育専攻(修士課程)と高度教育実践専攻 (専門職学位課程)があり,後者はいわゆる教職大学院 として成立している。 なお,高度教職実践専攻には,下記のように ・ 学校経営力開発コース:定員:5 名(現職教員学生の み) ・ 教育実践力開発コース:定員:15 名(現職教員学生 7 名,学部新卒学生 8 名) が設けられている。 そこで,本稿では,学部教育及び大学院教育において, ICT 活用の視点で,理論と実践の融合に向けての取り組 みを紹介する。 3.1 高度教職実践専攻(教育実践力開発コース) 教育実践力開発コースの特徴の記述に際しては,設置 時にまとめられた各文書および滋賀大学大学院教育学研 究科の案内に記載されている内容を要約して示せば,下 記の通りとなる。 (1) 現職教員学生に期待される目標 現職教員学生に期待される目標としては,自己省察力 の土台となる,次の 3 つの資質能力をすべて備えたミ ドルリーダー教員の養成を行う。 ①高度な教育実践力 高度な教育実践力は,高度な授業実践力,高度なカリ キュラム開発力,高度な生徒指導力,高度な学級経営力 から構成される。 学習指導に関する最新の知識や技術を活用した高度な 授業実践力。また,授業改善につながる評価や学校独自 のカリキュラム開発を行うカリキュラム開発力。生徒指 導や学級経営に関する最新の知識や技術を活用した高度 な生徒指導力と学級経営力。広い視野から子どもを多面 的に捉えて学びの基盤をつくる生徒指導と学級経営を行 う教育実践力。 ②実践的協働力 学校において校内研究・研修を計画し,新人教員や同 僚へ助言するとともに,地域の授業改革を推進できる協 働力,学校や地域において同僚を支援し,地域社会と連 携しながら生徒指導の課題を実践的に解決できる協働 力。 ③新しい学びの構想力 これまでの 10 年前後の教職経験を総括し,高度な教 育実践力を校内や地域で協働的に展開していく中で見出 すことのできる 21 世紀社会にふさわしい新しい学びの 構想力を獲得する。この目標は,この層の学生に特に高 めるべき固有の目標である。 (2) 学部新卒者に期待される目標 学部新卒者に期待される目標として,自己省察力を基 礎に次の 3 つの資質能力をすべて備えた新人教員の養 成を行う。 ①確かな授業実践力と授業研究力 学部の学修を通して習得した教師としての知識・技能 をさらに向上させ,新人教員としてスタートできる授業 実践力。また,新しい授業づくりなどの有能な担い手と なり,将来的には学校の若手リーダーとして活躍するた めの授業研究力。 ②新しい学びの協働力 新しい課題に対応できる専門的な知識や技術を,管理 職や先輩教師の経験に支えられながら校内に発信し,同 僚教師と協働して新しい学びを推進していくことのでき る協働力。 ③科学的俯瞰力 大きく変化しつつある学校の意義や目的,地域におけ る学校の役割,情報社会の中で変化し続けている子ども の学びの姿などを的確に理解し,新しい学びのためのビ ジョンを持つため,教育問題を科学的及び俯瞰的に捉え 直す力。この目標はこの層の学生に特に高めるべき固有 の目標である。 3.2 学部教育 滋賀大学(2019)より,学部理念を引用すれば下記 の通りである(図 1)。 Ꮫ㒊⌮ᛕ  ⌧௦♫఍ࡣࡉࡲࡊࡲ࡞ၥ㢟ࢆᢪ࠼࡞ࡀࡽ㸪┠ࡲࡄࡿࡋ࠸ ኚ໬ࢆ⥆ࡅ࡚࠸ࡲࡍࠋ⚾ࡓࡕࡢᏛ㒊ࡣ⌧௦♫఍ࡢ௒᪥ⓗ࡞ ㅖㄢ㢟࡟✚ᴟⓗ࡟ᑐᛂ࡛ࡁࡿ࡜ྠ᫬࡟㸪ၥ㢟ゎỴຊࢆࡶࡗ ࡓேᮦ㣴ᡂࢆࡵࡊࡋ࡚࠸ࡲࡍࠋࡲࡓ㸪ே㛫ᙧᡂ࡟ࡶ㔜ࡁࢆ ࠾ࡁ㸪Ꮫ⏕୍ேࡦ࡜ࡾࡢ▱ⓗᩍ㣴ࢆ☻ࡁⱁ⾡࣭ᩥ໬࣭⮬↛࡞ ࡝࡟ᑐࡍࡿឤཷᛶࢆ㣴࠺࡜࡜ࡶ࡟㸪ࡦ࡜࡟ᑐࡋ࡚῝࠸ඹឤ ࡜⌮ゎࢆ♧ࡋ㸪ᑓ㛛▱㆑࡟ṇࡋࡃᇶ♏࡙ࡅࡽࢀࡓ㇏࠿࡞ே ᱁ᙧᡂࢆ┠ᶆ࡜ࡋ࡚࠸ࡲࡍࠋ 図 1.学部理念 ※滋賀大学(2019)より引用

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学部理念を整理すれば,①今日的な諸課題に積極的に 対応,②問題解決力をもった人材養成,③人間形成に重 点,④知的教養,⑤感受性(芸術・文化・自然),⑥専 門知識というようにまとめることができる。 3.3 本学における ICT 活用 まず,教職大学院では,開設時に専用の設備として準 備し,多少の機器が設置されていることを踏まえ,部屋 の入出には,セキュリティキーカードにて行う。現在は, 研究棟の 3 階に授業用教室(教職大学院 ICT 室,教職 大学院演習室など)が整備され,PC,プロジェクタ, スクリーン,プリンタなどの基本設備の他に,Wi-Fi ルー タ,iPad(一人一台,単学年当たり)などを備えている。 また,2 階及び 3 階に学生全員の机やロッカーも備え, ICT 利用による学習・研究を行うことができるように整 備されたが,十分という域ではない。 次に,学部授業など,上記以外では,従来の設備を利 用している。いずれの教室も基本的には,プロジェクタ, 音響関係,など基本設備が用意されている。こちらも特 段に優れた設備が豊富にあるという訳ではない。これら の設備状況を前提に,理論と実践を繋ぐ環境として ICT を位置づけ,後述する各授業において展開している。 4.授業事例 ICT 活用とその支援環境については,教職実践のため の情報学教育カリキュラムの開発の一環として,大学院 及 び 学 部 の 授 業 に お い て 既 に 展 開 し て い る( 松 原 2019a)。 本稿では,ICT 活用の理論と実践の融合という観点で 整理し,滋賀大学教職大学院に開設の授業からは,教育 実践課題解決研究(Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ,Ⅳ),及び,メディア 活用実践研究,の 2 科目を,学部に開設の授業からは, 教育の技術と方法,ディジタル環境とメディア,の 2 科目を取り上げる。 4.1 大学院の授業例 ここでは,教育実践課題解決研究(Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ,Ⅳ)(各 2 単位)とメディア活用実践研究(2 単位)を取り上げる。 教育実践課題解決研究は教職大学院にて開設される他の 全ての科目を総括するという重要な役割があり,理論を 学ぶ授業や実践を学ぶ実習などと連携し,理論と実践の 往還を通して,これらの融合を実現し,実践を科学的に 取り扱うことを理念としている。 (1)教育実践課題解決研究(Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ,Ⅳ) 【担当:松原,矢野,畑ほか(関係者全員)】 この授業は,Ⅰ~Ⅳの 4 つの科目で構成され,Ⅰ(1 年次,春学期),Ⅱ(1 年次,秋学期),Ⅲ(2 年次,春 学期),及び,Ⅳ(2 年次,秋学期)として,それぞれ 開講されている。それぞれの授業の目的と概要について は,表 1 の通りである。 したがって,1 年次末には,研究成果中間発表を課し, 口頭試問を行うとともに,2 年次末には研究成果発表を 課し,口頭試問の他に,教育実践課題解決研究報告書の 提出を義務付けている。 表 1.教育実践課題解決(Ⅰ,Ⅱ,Ⅲ,Ⅳ)の内容 ᤵᴗ⛉┠ ᤵᴗࡢ┠ⓗ࡜ᴫせ ᩍ ⫱ ᐇ ㊶ ㄢ 㢟 ゎ Ỵ ◊✲䊠㻌 䠄㻝 ᖺḟ䠈 ᫓Ꮫᮇ䠅㻌 䛣䜜䜎䛷䛾⌧⫋⤒㦂䜔ᐇ⩦⤒㦂䜢䜒䛸䛻䠈⮬䜙䛾 ᐇ㊶ㄢ㢟䜢⟇ᐃ䛥䛫䜛䚹䛭䛧䛶䠈䛭䛾ㄢ㢟䛻ᑐ䛧 䛶㈨ᩱ཰㞟䜢ྵ䜑䛶䛹䛾䜘䛖䛻㏣✲䛧䛶䛔䛟䛾䛛 ィ⏬䜢❧䛶䛶᥈✲䛥䛫䜛䠄䜰䜽䝅䝵䞁䝸䝃䞊䝏䠅䚹 䛭䛾どⅬ䛸䛧䛶䠈ඹ㏻⛉┠䛷䛾Ꮫ䜃䛸ᐇ⩦⛉┠䛷 䛾Ꮫ䜃䜢⤫ᣓ䛧䛶⌮ㄽ䛸ᐇ㊶䜢 㑏䛩䜛ព㆑䜢 ᣢ䛯䛫䜛䚹䜎䛯䠈ၥ㢟ゎỴ䛾䝥䝻䝉䝇䜢 㻼㻰㻯㻭 䝃 䜲䜽䝹䛻ᇶ䛵䛔䛶⮬ᕫⅬ᳨䛥䛫䜛䛸䛸䜒䛻䠈┬ᐹ䞉 ᐇ㊶ሗ࿌䝺䝫䞊䝖䛸䛧䛶䜎䛸䜑䠈䝥䝺䝊䞁䝔䞊䝅䝵 䞁䜢⾜䜟䛫䜛䚹䜎䛯䠈ᐇ㊶ㄢ㢟ゎỴ䛾䛯䜑䛾ᇶᮏ ⓗᏛ䜃䛸䛧䛶䠈ඛ⾜◊✲䛾▱ぢ䜔ㄽᩥసᡂ䛾᪉ ἲ䛺䛹䜢⌮ゎ䛧䛺䛜䜙䠈ᐇ㊶ㄢ㢟䜢ከゅⓗ䛻ศᯒ 䛩䜛ຊ㔞䜢ᇵ䛖䚹㻌 ᩍ ⫱ ᐇ ㊶ ㄢ 㢟 ゎ Ỵ ◊✲䊡㻌 䠄 䠍 ᖺ ḟ 䠈 ⛅Ꮫᮇ䠅㻌 䛣䜜䜎䛷䛾⌧⫋⤒㦂䜔ᐇ⩦⤒㦂䜢䜒䛸䛻䠈⮬䜙䛾 ᐇ㊶ㄢ㢟䜢⟇ᐃ䛥䛫䜛䚹䛭䛧䛶䠈䛭䛾ㄢ㢟䛻ᑐ䛧 䛶㈨ᩱ཰㞟䜢ྵ䜑䛶䛹䛾䜘䛖䛻㏣✲䛧䛶䛔䛟䛾䛛 ィ⏬䜢❧䛶䛶᥈✲䛥䛫䜛䠄䜰䜽䝅䝵䞁䝸䝃䞊䝏䠅䚹 䛭䛾どⅬ䛸䛧䛶䠈ඹ㏻⛉┠䛷䛾Ꮫ䜃䛸ᐇ⩦⛉┠䛷 䛾Ꮫ䜃䜢⤫ᣓ䛧䛶⌮ㄽ䛸ᐇ㊶䜢 㑏䛩䜛ព㆑䜢 ᣢ䛯䛫䜛䚹䜎䛯䠈ၥ㢟ゎỴ䛾䝥䝻䝉䝇䜢 㻼㻰㻯㻭 䝃 䜲䜽䝹䛻ᇶ䛵䛔䛶⮬ᕫⅬ᳨䛥䛫䜛䛸䛸䜒䛻䠈┬ᐹ䞉 ᐇ㊶ሗ࿌䝺䝫䞊䝖䛸䛧䛶䜎䛸䜑䠈䝥䝺䝊䞁䝔䞊䝅䝵 䞁䜢⾜䜟䛫䜛䚹䛣䛖䛧䛯ᐇ㊶ㄢ㢟䛾䛂Ⓨぢ䞉⟇ᐃ䠉 ᥈✲䠉ホ౯䠉ぢ┤䛧䛃䛾䝥䝻䝉䝇䜢⤒䛶䠈⮬ᕫ䛾 ᐇ㊶ㄢ㢟䜢䜘䜚᫂☜໬䛥䛫䜛䚹㻌 ᩍ ⫱ ᐇ ㊶ ㄢ 㢟 ゎ Ỵ ◊✲䊢㻌 䠄 䠎 ᖺ ḟ 䠈 ᫓Ꮫᮇ䠅㻌 䛣䜜䜎䛷䛾⌧⫋⤒㦂䜔ᐇ⩦⤒㦂䜢䜒䛸䛻䠈⮬䜙䛾 ᐇ㊶ㄢ㢟䜢⟇ᐃ䛥䛫䜛䚹䛭䛧䛶䠈䛭䛾ㄢ㢟䛻ᑐ䛧 䛶㈨ᩱ཰㞟䜢ྵ䜑䛶䛹䛾䜘䛖䛻㏣✲䛧䛶䛔䛟䛾䛛 ィ⏬䜢❧䛶䛶᥈✲䛥䛫䜛䠄䜰䜽䝅䝵䞁䝸䝃䞊䝏䠅䚹 䛭䛾どⅬ䛸䛧䛶䠈ඹ㏻⛉┠䛷䛾Ꮫ䜃䛸ᐇ⩦⛉┠䛷 䛾Ꮫ䜃䜢⤫ᣓ䛧䛶⌮ㄽ䛸ᐇ㊶䜢 㑏䛩䜛ព㆑䜢 ᣢ䛯䛫䜛䚹䜎䛯䠈ၥ㢟ゎỴ䛾䝥䝻䝉䝇䜢 㻼㻰㻯㻭 䝃 䜲䜽䝹䛻ᇶ䛵䛔䛶⮬ᕫⅬ᳨䛥䛫䜛䛸䛸䜒䛻䠈┬ᐹ䞉 ᐇ㊶ሗ࿌䝺䝫䞊䝖䛸䛧䛶䜎䛸䜑䠈䝥䝺䝊䞁䝔䞊䝅䝵 䞁䜢⾜䜟䛫䜛䚹䛣䛖䛧䛯ᐇ㊶ㄢ㢟䛾䛂Ⓨぢ䞉⟇ᐃ䠉 ᥈✲䠉ホ౯䠉ぢ┤䛧䛃䜢Ꮫᮇẖ䠈䛒䜛䛔䛿ᐇ⩦ඛ 䛤䛸䛻ᐇ᪋䛧䠈⮬䜙䛾ᐇ㊶ㄢ㢟䜢ከゅⓗ䛻⟇ᐃ䛩 䜛⬟ຊ䜢ᇵ䛖䚹㻌 ᩍ ⫱ ᐇ ㊶ ㄢ 㢟 ゎ Ỵ ◊✲䊣㻌 䠄 䠎 ᖺ ḟ 䠈 ⛅Ꮫᮇ䠅㻌 ⮬ᕫ䛾ᐇ㊶ㄢ㢟䛾䛂Ⓨぢ䞉⟇ᐃ䠉᥈✲䠉ホ౯䠉 ぢ┤䛧䛃ᐇ᪋䛧䠈⮬䜙䛾ᐇ㊶ㄢ㢟䜢ከゅⓗ䛻⟇ᐃ 䛩䜛⬟ຊ䜢ᇵ䛖䚹䛭䛧䛶䠈ᐇ㊶ㄢ㢟ゎỴ䛾᪉ἲ䛻 䛴䛔䛶䝥䝺䝊䞁䝔䞊䝅䝵䞁䜢䛩䜛䛣䛸䛷䠈䜘䜚ᡂ㛗 䛧䛯ᩍᖌ䛾どⅬ䛸ᙺ๭䜢ព㆑䛷䛝䜛䛣䛸䜢ᮇᚅ䛩 䜛䚹㻌 (2)メディア活用実践研究【担当:松原,畑】 この授業は,教職大学院に設置された共通科目で,学 校経営力開発コース,及び,教育実践力開発コースの両 方にて,必修科目となっている。授業の担当は松原が研 究者教員として,畑が実務家教員として勤めている。 この授業の理論とは,松原(2011)における Part1(情

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報学Ⅰ),及び,Part2(情報学Ⅱ)であり,情報とメディ アの基礎理論である。また,この授業における実践研究 とは,メディア活用(ICT 活用)を実践する際の基本事 項を取り扱っている(表 2)。 表 2.メディア活用実践研究 ᤵᴗ⛉┠ ᤵᴗࡢ┠ⓗ࡜ᴫせ 䝯䝕䜱䜰ά ⏝ ᐇ ㊶ ◊ ✲㻌 䛣䛾ᤵᴗ䛷䛿䠈䝯䝕䜱䜰䛾✀㢮䞉≉ᚩ䞉ᶵ⬟ཬ䜃⌧ ≧䛻䛴䛔䛶䠈⌮ㄽⓗཬ䜃ᐇ㊶ⓗഃ㠃䛛䜙᥈✲ 䛧䠈䝯䝕䜱䜰ά⏝䛾ᐇ㊶ⓗ䛺᪉ἲ䞉ᢏ⾡䜢⩦ᚓ䛩 䜛䚹䜎䛪䠈䝯䝕䜱䜰䛻䛴䛔䛶䠈䝯䝕䜱䜰᝟ሗᏛ䜢䝧 䞊䝇䛻䠈䝯䝕䜱䜰䛾✀㢮䞉≉ᚩ䞉ᶵ⬟ཬ䜃⌧≧䛻 䛴䛔䛶⪃ᐹ䜢⾜䛖䚹ḟ䛻䠈㻵㻯㼀 䛾✀㢮䜔≉ᚩ䛻䛴 䛔䛶䜒⪃ᐹ䜢⾜䛔䠈ᤵᴗ䛻䛚䛡䜛䝯䝕䜱䜰ά⏝ 䠄ᩍ⫱䝯䝕䜱䜰䛸䛧䛶䛾 㻵㻯㼀 ά⏝䠅䛻䛴䛔䛶⪃✲䛩 䜛䚹䝯䝕䜱䜰ά⏝䛾஦౛◊✲䛸䛧䛶䠈ྛᩍ⛉䛻ඹ ㏻䛩䜛ㄢ㢟䜢ᑐ㇟䛻䠈ၥ㢟ゎỴ䛾⛉Ꮫ䛸䛧䛶䠈ຠ ᯝⓗ䛺Ꮫ⩦᪉ἲ䛻䛴䛔䛶䠈ලయⓗ䛺᳨ウ䜢⾜䛖䚹㻌 4.2 学部の授業例 本稿で取り上げる学部授業は,教育の技術と方法(2 単位),及び,ディジタル環境とメディア(2 単位)で ある。 教育の技術と方法は,本学部生の全員を対象とした教 育方法に関わるもので,また,ディジタル環境とメディ アは,3 校種共通(小学校・中学校・高等学校)の科目 であり,本稿のテーマに関係が深いものである。 (1)教育の技術と方法(学部科目,必修)【担当:堀江, 松原ほか】 これは学部に開設された共通教職科目(必修)で,授 業の目的と概要を表 3 に示す。整合性を図るため,語 尾を修正している。 表 3.教育の技術と方法 ᤵᴗ⛉┠ ᤵᴗࡢ┠ⓗ࡜ᴫせ ᩍ ⫱ 䛾 ᢏ ⾡䛸᪉ἲ㻌 ᤵᴗᐇ㊶䜢䛸䜚䛒䛢䛶䛂ᐇ㊶ⓗ䛷䛒䜛䛣䛸䛃䜢㏣ồ 䛧䠈ᩍᖌ䛻ồ䜑䜙䜜䜛ぢ㆑䛸ᐇ㊶ຊ䜢⌮ゎ䛧䛶䛔 䛟䛣䛸䜢┠ⓗ䛸䛩䜛䚹䜎䛪䠈Ꮫ⩦ほ䛸ᤵᴗほ䜢ၥ䛔 ┤䛧䠈ᐇ㊶䛜๓ᥦ䛸䛩䜛䛂ᇶ┙䛸䛺䜛⌮ゎ䛃䜢⪃ 䛘䠈ᤵᴗᐇ㊶䛾஦౛䛻ฟ఍䛔Ꮫ䜆䛣䛸䛻䜘䛳䛶䠈 ᩍᖌ䛜䛂ᐇ㊶ⓗ䛷䛒䜛䛃䛯䜑䛻ồ䜑䜙䜜䜛᮲௳䜢 ⪃䛘䜛䚹ᤵᴗᐇ㊶䛾஦౛䜢㏻䛧䛶ព࿡㐃㛵䜢᥈䜛 䛣䛸䛻䜘䛳䛶⌮ゎ䜢ᗈ䛢῝䜑䛶䛔䛟䛣䛸䜢䛽䜙䛖䚹㻌 本稿では,この授業の 15 回のうち,松原が担当する 2 回分の授業が該当する。その授業は,下記のように, ① 第 14 回:情報メディアと社会(ICT 活用・情報活 用の導入) ② 第 15 回:情報メディアと教育(ICT 活用・情報活 用の応用) としている。 (2)ディジタル環境とメディア(学部科目,選択)【担当: 松原】 この科目は 2 単位で,大学が独自に設定する科目に 相当し,3 校種共通(小学校,中学校,高等学校)免許 用,としての課程認定を受けている。 この授業の理論とは,松原(2014)における第 1 章, 第 2 章,及び,第 4 章で,ソーシャルメディアにより 形成されるマルチコミュニティの特徴と教育の科学化が 主なものである(表 4)。 表 4.ディジタル環境とメディア ᤵᴗ⛉┠ ᤵᴗࡢ┠ⓗ࡜ᴫせ 䝕䜱䝆䝍䝹 ⎔ቃ䛸䝯䝕 䜱䜰㻌 䝕䜱䝆䝍䝹⎔ቃ䛸䝯䝕䜱䜰䛻䛴䛔䛶䠈᝟ሗ໬䠈䝕䜱 䝆䝍䝹໬䠈䝞䞊䝏䝱䝹໬䛾䛭䜜䛮䜜䛾どⅬ䛛䜙 ⪃ᐹ䛧䠈䝕䜱䝆䝍䝹⎔ቃ䛜ᥦ౪䛩䜛䝯䝕䜱䜰䛾≉ ㉁䜔䝕䜱䝆䝍䝹⎔ቃ䛜ே㛫⏕ά䛻ཬ䜌䛩ᙳ㡪䛻 䛴䛔䛶ලయⓗ䛺஦౛䜢ᣲ䛢䛶ㅮ⩏䛩䜛䚹ලయⓗ 䛻䛿䠈䝯䝕䜱䜰䛸㧗ᗘ᝟ሗ㏻ಙ♫఍䠋䝯䝕䜱䜰䛻 䛚䛡䜛䛂䝕䞊䝍䛸᝟ሗ䛃䠋䝯䝕䜱䜰䛻䛚䛡䜛䛂䜰䝘 䝻䜾䛸䝕䜱䝆䝍䝹䛃䠋䝯䝕䜱䜰䛻䛚䛡䜛䛂䝸䜰䝹䛸䝞 䞊䝏䝱䝹䛃䠋䝕䜱䝆䝍䝹⎔ቃ䛻䛚䛡䜛䝯䝕䜱䜰䛾 ≉ᚩ䠋䝕䜱䝆䝍䝹⎔ቃ䛜ே㛫⏕ά䛻ཬ䜌䛩ᙳ㡪 䛺䛹䜢䝔䞊䝬䛸䛩䜛䚹㻌 5.教員養成における ICT 活用 5.1 文部科学省における教育の情報化 教員養成における ICT 活用について考察するには, まず,文部科学省における教育の情報化を整理する必要 がある。 文部科学省における取組は,図 2 に示す通りであるが, 簡潔に述べれば,文部科学省における教育の情報化とは ①情報教育 ②教科指導における ICT 活用 ③校務の情報化 の 3 つであり,情報教育と ICT 活用は,教育の情報化 という視点で互いに関連している。 筆者らは,このような状況を踏まえ,①の情報教育と, ②の ICT 活用をそれぞれに専担とする研究会を設け, 前者は情報学教育研究会,後者は教育情報化推進研究会 を組織して研究の円滑な進行を支えている。 図 2.文部科学省における教育の情報化

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5.2 情報学と情報教育 (1)情報学分野の参照基準 情報学分野の参照基準については,日本学術会議・情 報学委員会・情報科学技術教育分科会(委員長:萩谷昌 己(東大),副委員長:筧捷彦(早大))が,情報処理学 会・情報処理教育委員会(委員長:筧捷彦)の協力のも とに,その策定が進められ(萩谷 2014),日本学術会 議(2016)に報告されている。 (2)情報教育の参照基準 なお,上記の参照規準をベースに,情報教育の参照規 準を策定する活動も進められている。例えば,下記のよ うな公開シンポジウムも開催されている(図 3)。筆者 のうち松原は,本シンポジウムに招聘され,意見を表明 している。 ྡ⛠㸸බ㛤ࢩ࣏ࣥࢪ࣒࢘ࠕ᝟ሗᩍ⫱ࡢཧ↷つ‽ࠖ ୺ദ㸸᪥ᮏᏛ⾡఍㆟᝟ሗᏛጤဨ఍᝟ሗᏛᩍ⫱ศ⛉఍ ᪥᫬㸸 ᖺ  ᭶  ᪥㸦᪥㸧㹼 ሙᡤ㸸ᮾி኱Ꮫᒣୖ఍㤋 ㊃᪨㸸᪥ᮏᏛ⾡఍㆟᝟ሗᏛጤဨ఍᝟ሗᏛᩍ⫱ศ⛉఍࡛ࡣ㸪    ᑠᏛᰯ࠿ࡽ኱Ꮫࡢඹ㏻ᩍ⫱ࡲ࡛ࡢ᝟ሗᩍ⫱ࢆయ⣔໬    ࡋ㸪୍㈏ࡋࡓ᝟ሗᩍ⫱ࡢ⌮᝿ᙧࢆᥦ♧ࡍࡿࡇ࡜ࢆ┠    ⓗ࡟㸪᝟ሗᩍ⫱ࡢཧ↷つ‽ࡢ⟇ᐃࢆ⾜ࡗ࡚࠸ࡿࠋ⟇    ᐃ୰ࡢཧ↷つ‽ࢆᗈࡃබ㛤ࡋ࡚ពぢࢆເࡿࡓࡵ࡟㸪    ᮏࢩ࣏ࣥࢪ࣒࢘ࢆ㛤ദࡍࡿࠋ 図 3.公開シンポジウム「情報教育の参照規準」 本稿では,その詳細規準の詳細は割愛するが,本稿の テーマに沿って,その要点を整理すれば以下のように解 釈できる。 ① 情報学の参照規準は,大学教育の分野別質保証に資 するため,この分野の教育課程編成上の根拠となる。 ② 情報学の参照規準は,いわゆる情報教育の親学問と して位置するものと考えられている。 ③ 情報学の参照規準は,小学校から大学までの一貫し た教育として参照できる規準(情報教育の参照規準) に発展させることができると考えられている。 6.教員養成における ICT 活用の課題 6.1 教育の情報化に関する実態調査 文部科学省では教育の情報化に関する実態調査を毎年 行っている。現時点で最新のものは,「平成 30 年度学 校における教育の情報化の実態等に関する調査」である (図 4)。 図 4.「教育の情報化の実態等に関する調査結果」の表紙 これは,初等中等教育における教育の情報化の実態等 を把握し,関連施設の推進を図るため,標記調査を実施 している。 (http://www.mext.go.jp/component/a_menu/ e d u c a t i o n / m i c r o _ d e t a i l / _ _ i c s F i l e s / afieldfile/2019/08/30/1420683_001_1_1.pdf) (調査基準日は毎年 3 月 1 日) 調査項目は,①学校における ICT 環境の整備状況, ②教員の ICT 活用指導力である。 調査対象は,①については,全国の公立学校(小学校, 中学校,義務教育学校,高等学校,中等教育学校及び特 別支援学校),②については,全国の公立学校の授業を 担当している全教員のことで,ここでいう授業を担当し ている教員とは,各教科等の授業を定期的に担当してい る教員をいい,授業を一時的・臨時的に担当する教員は 含 ま な い と し て い る。 な お,ICT と は,Information and Communication Technology の こ と で, コ ン ピュータやインターネットなどの情報通信機器と脚注さ れている。 6.2 調査結果の考察(滋賀県の状況) 滋賀県の状況については,まず,教員の ICT 活用指 導力について着目したい。調査結果は図 5 に示すように, A から D の 4 項目であり,それぞれにおいて 4 つの質 問項目が設定され,それぞれにおいて,4:できる,3: ややできる,2:あまりできない,1:ほとんどできない, の 4 段階にて回答するものである。誌面の関係で各質 問の詳細については割愛する。 図 5.教員の ICT 活用指導力(滋賀県の状況) 項目 A 及び B については,全国 47 都道府県の中で最 下位,項目 C 及び D については,45 位であり,極めて 深刻な状況と言わざるを得ない。その原因(理由)を考 える上で,最初に想起されるのは,ICT に関する設備の 整備状況かもしれない。そこで,学校における ICT 環 境の整備状況の調査について掲示すれば,図 6 のよう になる。

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図 6.ICT 環境の整備状況(滋賀県の状況) つまり,①教育用コンピュータ 1 台当たりの児童生 徒数では 29 位,②普通教室の無線 LAN 整備率は 27 位, ③インターネット接続率は 19 位,④普通教室の大型提 示装置整備率は 15 位で,いずれも全国平均より上位に 位置している。また,⑤教員の校務用コンピュータ整備 率は 41 位,⑤統合型校務支援システム整備率は 32 位 で全国平均より下位に位置している。 6.3 全国学力・学習状況調査 全国学力・学習状況調査は,文部科学省(国立教育政 策研究所)により毎年実施されている。教科は,小学校 では国語と算数,中学校では国語,数学,英語で,平成 31 年度(令和元年度) 全国学力・学習状況調査,調査 結果資料 【都道府県別】 (http://www.nier.go.jp/19chousakekkahoukoku/ factsheet/19prefecture-City/) が 最 新(2019 年 4 月 18 日に実施)である。 図 7 は上記の集計結果をもとに整理して表現したも のである。 図 7.全国学力・学習状況調査(滋賀県の状況) 注目されるのは,①小学校及び中学校の全体にて,全 国順位が 47 位,②小学校では 46 位,中学校では 41 位となっている。 6.4 ICT 活用と学力について(考察) ICT 活用と学力について考察する際に,上記に示した 結果だけで結論を出すのは早計かもしれない。しかしな がら,これらには何らかの関係(相関)を仮定し,改善 を考えることも重要であると考えている。 一方,文部科学省が取り組んでいる教育の情報化に関 しては,既に「教育の情報化に関する手引き」が 2010 年(平成 22 年)に公表されている。なお,平成 30 年 度から,新たに「教育の情報化に関する手引き」作成検 討会(平成 30 年度)第 1 回が 2019 年(平成 31 年)2 月 14 日に開催され,検討が進んでいる。 その手引きによれば,教科指導における ICT 活用に よる効果については,これまでの調査研究などから明ら かになっている。例えば,2006,2007 年度(平成 18, 19 年度)に実施された文部科学省委託事業による調査 研究があり,実は,筆者のうち松原もこの事業に協力し ている。 それは,全国で実施された 752 件の検証授業を分析 評価した結果,ICT 活用の授業を行った教員の 98.0%が, 「関心・意欲・態度」の観点において効果を認めていた こと。それ以外の観点(知識・理解,思考・判断,表現・ 技能・処理)や,ICT 活用によって児童生徒が集中して 取り組めるようになることや児童生徒が楽しく学習でき るようになること等についても,多くの教師が効果を認 めていたということである。 また,児童生徒に対する調査によれば,学習に対する 積極性や意欲,学習の達成感など全ての項目について, ICT を活用した授業の場合の方が,評価が高かった。さ らに,児童生徒に対する客観テストの結果によれば,各 教科の得点や「知識・理解」や「技能・表現」の観点で 高い効果が得られたということである。 7.教員養成のための ICT 活用の新しい提案と実践 7.1 Society 5.0 への対応 総務省(2019)によれば,Society 5.0 は,狩猟社会 (Society 1.0)・農耕社会(Society 2.0) ・工業社会(So-ciety 3.0)・情報社会(Society 4.0)の次に到来する社 会であり,サイバー空間と現実世界を高度に融合させた システムにより経済発展と社会的課題の解決を両立する 人間中心の社会のこととしている(p.3, l.2~l.5 より引 用)。ここでのポイントは,①狩猟社会から数えて第 5 番目の社会,②サイバー空間(バーチャル空間)と現実 社会(リアル空間)の対比的影響,③高度な情報システ ムの活用,④経済発展と社会的課題の解決,⑤人間中心 の社会,などをキーコンセプトとして挙げることができ る。 7.2 ICT 超活用の展開 ICT 超活用とは,人間性への回帰をテーマに,感性に 響く,理性に届く,知性に繋ぐためのソリューションと して,現状を超えるために,対象の視野を超え,学習の

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機会を超え,活用の範囲を超えて,新しい ICT の活用 を志向するものである(松原 2019b)。 図 8.新しい ICT 活用の展開 すなわち,学校教育において,新しい ICT 活用の展 開としては,図 8 に示す通りで,リアル(授業)とバー チャル(Web サイト)を SNS にて繋ぐため,3 者が一 体となった学習環境を提案するものである。 その際に,人間性への回帰としてのソリューションと しては,図 9 に示すように,1 次元情報から 4 次元情報 までの 4 つの場面にてそれぞれを展開するものとして いる(松原 2019a)。 図 9.人間性への回帰としてのソリューション なお,ICT 超活用では,テーマに合わせて,独自のイ メージキャラクターを創成している。例えば,情報学教 育 K-12(幼小~高校)カリキュラムに際しては,ふた りの少年(幼・小学校)・ふたりの青年(高校)とし, 図 10 及び図 11 に示すキャラクター(双子)たちが展 開する。 図 10.イメージキャラクター(ふたりの少年) 図 11.イメージキャラクター(ふたりの青年) 他のテーマとしては,AGAA(全世代参加型広義芸 術活動。芸活)がある。 AGAA とは,年齢を超えて,性別を超えて,その他種々 の違いを超えて,すべての世代が自由に参加し,広い意 味での芸術において,それを創作したり表現したり或い は享受したりする活動を支える環境のことで,全世代参 加型広義芸術活動(環境)と表現している。表現が長い ので,略語としては,AGAA 又は芸活を使用している。 なお,広義芸術の例としては図 12 に示す通りである。 図 12.広義芸術の例 なお,このテーマでは,図 13 に示す各キャラクター たちを創成し,名前も決定している。 図 13.イメージキャラクター(AGAA) 7.3 Web サイトの構築とその展開 本研究に関し構築された Web サイト(主なもののみ) の一覧を表 5 に示す。

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No.1 は,ICT 超活用のポータルサイトで,No.2 は, AGAA(All Generations Arts Activities,全世代参加 型広義芸術活動,芸活)のポータルサイト,No.3 は関 係する情報を適宜ニュースとして掲載されるサイト, No.4 は,各授業に関わる情報を提供するサイトである。 表 5.関係の Web サイト No. Webࢧ࢖ࢺࡢྡ⛠ 1 ICT㉸ά⏝㸦࣏࣮ࢱࣝࢧ࢖ࢺ㸧 http://www.mlab.sue.shiga-u.ac.jp/ultraict/ 2 AGAA࣭ⱁά㸦࣏࣮ࢱࣝࢧ࢖ࢺ㸧 http://www.mlab.sue.shiga-u.ac.jp/agaa/ 3 ᝟ሗᏛᩍ⫱ࢽ࣮ࣗࢫ㸦࣏࣮ࢱࣝࢧ࢖ࢺ㸧 http://www.mlab.sue.shiga-u.ac.jp/news/ 4 ᤵᴗᢸᙜ⪅࠿ࡽࡢ࠾▱ࡽࡏ http://www.mlab.sue.shiga-u.ac.jp/info_from_prof/ 5 ༠ാᏛ⩦ᨭ᥼⎔ቃ㸦CLSE㸧 http://www.mlab.sue.shiga-u.ac.jp/clse/ 6 ᝟ሗᏛᩍ⫱༠ാᏛ⩦⎔ቃ㸦ISECL㸧 http://www.mlab.sue.shiga-u.ac.jp/isecl/ 各授業では,メールを活用した「電子出席調査」を行っ ている。この要点を示せば,出席メールを指定のアドレ スに送信することで完了する。メールの件名は下記の通 りとしている。 ・メール件名:授業コード+学籍番号 ・送信先  :(指定のアドレス) 授業コードは授業科目ことに異なるものを設定し,本 学の場合は,半角英字で 2 文字,他大学の場合は,3 文 字~ 4 文字で構成している。 出席メールの内容(記述項目)は,授業に出席しない とわからないキーワード(各人で異なる)を毎授業にて 伝え,それを(出席用の)パスコードと呼んでいる。そ のメールの記述様式は図 14 の通りである。ここでは, 授業コードが ab の場合としている。つまり,安全のため, 実際には存在しないコードで記載し,送信先アドレスに ついても,実際のアドレスを表示していない。 1 䠄ᤵᴗ⛉┠ྡ䠖䕿䕿䕿䕿䕿䠈ᤵᴗ䝁䞊䝗䠖䠽䠾䠅

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の関係で,各活動の詳細については割愛せざるを得な かった。具体例などについては,上記に示す各 Web サ イト,Twitter 公式アカウント,参考文献などを参照さ れたい。 謝辞 本研究を遂行するにあたっては,本学の高度教職実践 専攻の関係者(教員及び職員)の皆様により,教職大学 院の設置から現在に至るまでの取組の経緯に際し,メン バーの切なる教育・研究活動がベースになっていると認 識している。関係の皆様に深謝申し上げたい。 これら一連の研究において,K-12 に対応する形で, K(すなわち,幼児)から 12 学年(すなわち,高校生) をイメージして,「ふたりの少年」,及び,「ふたりの青年」 を創作いただいくとともに,AGAA のキャラクター化 についてもご協力を頂いた。この誌面を借りて,デジタ ルアーティスト「悠」氏に感謝申し上げたい。なお,こ れに関する権利は,デジタルアーティスト「悠」氏の好 意により譲渡を受け,情報学教育研究会代表の松原伸一 教授(滋賀大学大学院教育学研究科)に帰属します。 付記 本研究の一部において,JSPS 科研費(代表者:松原 伸一,課題番号 16K04760),及び,本学学部経費(競 争的)等の助成を受けた。 参考文献 滋賀大学(2019)国立大学法人滋賀大学(大学案内, 冊子). 総務省(2019)令和元年版情報通信白書,日経印刷株 式会社. 中 央 教 育 審 議 会 初 等 中 等 教 育 分 科 会 教 員 養 成 部 会 (2014)これからの学校教育を担う教員の在り方に ついて(報告)‐小中一貫教育制度に対応した教員 免許制度改革‐,平成 26 年 11 月 6 日. 日本学術会議(2016)報告 大学教育の分野別質保証の ための教育課程編成上の参照基準 情報学分野,日 本 学 術 会 情 報 学 委 員 会 情 報 科 学 技 術 教 育 分 科 会 (2016 年 3 月 23 日),pp.1-36. 萩谷昌己(2014)情報学を定義する―情報学分野の参 照基準,情報処理 Vol.55, No.7, pp. 734-743. 松原伸一(2011)情報学教育の新しい展開‐情報とメディ アの教育論‐,開隆堂,pp.1-160. 松原伸一(2014)ソーシャルメディア社会の教育‐マ ルチコミュニティにおける情報教育の新科学化‐, 開隆堂,pp.1-160. 松原伸一(2019a)教職実践のための情報学教育カリキュ ラムの開発とその支援環境‐感性に響く情報メディ ア教育:ICT 超活用‐,龍谷教職ジャーナル,第 6 号,pp.20-35. 松原伸一(2019b)超多様社会における情報学教育:

K-12 から K-all へ ‐ AGAA(All Generations Arts Activities: 全世代参加型広義芸術活動)‐,情 報学教育研究,No.10,pp.13-18.

文部科学省(2010)教育の情報化に関する手引き(平 成 22 年 10 月 29 日).

参照

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