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小学校外国語教育の現状と課題(PDF)

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小学校外国語教育の現状と課題

秋田県教育委員会 はじめに 秋田県教育委員会では「AKITA英語コミュニケーション能力強化事業」 の 一 環 と し て , 平 成 30・ 31年 度 の 2 年 間 , 総 合 教 育 セ ン タ ー と 連 携 し て 「 小 学 校 外 国 語 教 育 実 践 研 究 」 を 推 進 し ま す 。 本 事 業 は , 総 合 教 育 セ ン タ ー の 研 修員が,所属校において,新学習指導要領の趣旨を踏まえた授業実践を行い, その成果を全県に普及することを目的としています。 今 年 度 は , 3 年 生 と 6 年 生 の 児 童 を 対 象 に , お 二 人 の 研 修 員 が 1 年 間 研 究 に 取 り 組 み ま し た 。 本 冊 子 は そ の 授 業 実 践 を ま と め た も の で す 。 豊 富 な 実 践 事 例 や 授 業 で 活 用 し た 資 料 を 多 数 掲 載 し て お り ま す の で , 必 ず や 指 導 の 参 考 になるものと思います。 実 践 事 例 を 効 果 的 に 活 用 し て い た だ く た め に は , 新 し い 外 国 語 教 育 に つ い ての理解が不可欠です。そのため,ここでは「小学校外国語教育拡充の経緯」, 「 移 行 措 置 の 現 状 と 課 題 」,「 新 学 習 指 導 要 領 の 指 導 の ポ イ ン ト 」 の 3 点 に つ いて説明します。お二人の実践事例と照らし合わせてご覧ください。 1.小学校外国語教育拡充の経緯 平 成 29年 3 月 告 示 の 新 学 習 指 導 要 領 で , 小 学 校 外 国 語 教 育 で は , 中 学 年 に 年 間 35単 位 時 間 の 外 国 語 活 動 が , 高 学 年 に 70単 位 時 間 の 外 国 語 科 が 導 入 さ れ , 今 年 度 か ら 2 年 間 の 移 行 期 間 が 始 ま っ て い ま す 。 小 学 校 に お け る 外 国語教育の拡充は,今回の学習指導要領改訂の主な改善事項の一つです。 導 入 の 背 景 に は , グ ロ ー バ ル 化 の 進 展 に 伴 う , 英 語 に よ る コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン 能 力 の 必 要 性 の 増 大 が あ り ま す 。 平 成 23年 , 小 学 校 高 学 年 に 外 国 語 活 動 が 導 入 さ れ ま し た 。 以 来 , 児 童 は 外 国 語 活 動 の 授 業 に 高 い 学 習 意 欲 を 示 し て き て い ま す 。 ま た , 中 学 校 で の 外 国 語 学 習 に 対 す る 積 極 性 が 向 上 す る な ど , 小 学 校 外 国 語 活 動 の 指 導 は , そ の 後 の 外 国 語 教 育 に も 大 き な 影 響 を与えています。 資料1【秋田県学習状況調査 意欲調査(外国語活動)の推移】 H23 H24 H25 H26 H27 H28 H29 H30 小学5年生 86.7 88.2 87.7 87.8 86.8 88.3 88.6 86.1 小学6年生 81.2 80.9 83.1 81.8 82.4 82.0 84.3 83.1 中学1年生 72.5 73.3 75.8 74.8 75.4 81.0 81.1 80.6 中学2年生 59.4 61.0 64.1 66.4 67.8 71.8 73.1 72.0 外国語活動の勉強が好き(当てはまる+どちらかと言えば当てはまる)の割合 資料1は秋田県学習状況調査の意欲調査の推移です。小学校においては, 外国語活動が始まった当初から,「外国語の勉強が好きである」と回答してい

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る児童は8割を超えており,その高い学習意欲から,県内の小学校における 外国語教育の充実ぶりがうかがえます。また,この7年間における中学生の 学習意欲の向上には,小学校外国語活動が大きく貢献していると考えられま す。小学校で英語の楽しさを十分体験してきた子どもたちは,中学校でも高 い意欲をもって外国語の学習に取り組むことができているのです。 一 方 で , 全 国 的 に 「 小 学 校 で の 学 び が 中 学 校 段 階 で の 文 字 の 学 習 に う ま く 接 続 さ れ て い な い 」,「 音 声 と 綴 り の 関 係 や , 文 構 造 の 学 習 に お い て 課 題 がある」等の課題も指摘されてきました。 資 料 2 は , 平 成 2 6 年 に 文 部 科 学 省 が 中 学 校 1 年 生 の 生 徒 を 対 象 に 行 っ た 調 査 の 一 つ で す 。「 小 学 校 の 外 国 語 活 動 で も っ と 学 習しておきたかったこと」 と い う 問 い に 対 し , 中 学 1 年 生 の 8 3 . 7 % が 「 英 単 語 を 書 く こ と 」 と 回 答 し て い ま す 。 続 く 「 英 語 の 文 を 書 く こ と 」「 英 単 語 を 読 む こ と 」「 英 語 の 文 を 読 む こ と 」 で も , 約 8 割 の生徒が「もっと勉強しておきたかった」と回答しており,この結果から, 中 学 生 に な っ た 生 徒 た ち が ,「 読 む こ と 」「 書 く こ と 」 へ の 対 応 に 苦 労 し て い る 様 子 が 見 え て き ま す 。 音 声 中 心 だ っ た 小 学 校 の 学 習 か ら 中 学 校 の 学 習 へ の ギ ャ ッ プ が 大 き く , 円 滑 に 移 行 で き て い な い こ と が 大 き な 課 題 な の で す。 こ の こ と は , 調 査 の 成 績 に も 表 れ て い ま す 。 文 部 科 学 省 が 行 っ た 平 成 29 年 度 英 語 力 調 査 ( 中 学 校 3 年 生 対 象 ) の 「 書 く こ と 」 の 結 果 で は , 無 得 点 者 の 割 合 が 11% を 占 め ま し た 。 無 得 点 者 の 中 に は 多 く の 無 回 答 者 が 含 ま れ ま す 。 小 学 校 5 年 生 か ら 5 年 間 , 英 語 を 学 習 し て き た に も か か わ ら ず , 基 本 的 な 英 語 を 書 く こ と が で き な い 生 徒 や , 最 初 か ら 書 く こ と を あ き ら め て い る 生 徒 が 多 く い ま す 。 期 待 に 胸 を 弾 ま せ て 学 習 を 開 始 し た 小 学 生 が , 数 年 後 に あ き ら め や 挫 折 感 を 味 わ っ て い る 現 状 は 重 く 受 け 止 め ら れ な け れ ば いけません。 こ の よ う な 状 況 の 改 善 を 図 る た め に , 今 回 の 改 訂 で は , 高 学 年 で 「 読 む こ と 」「 書 くこ と 」 を 加え た 教 科学 習 を行い ,中 学校へ の 円滑な 接続を図る こ と を 重 視 し て い ま す 。 ま た , 高 学 年 で 読 ん だ り 書 い た り す る た め に は , そ の 前 段 階 で 十 分 に 音 声 に 慣 れ 親 し ん で お く 必 要 が あ る こ と か ら , 中 学 年 に音声を中心とする外国語活動が導入されることになったのです。 72.6% 74.6% 79.8% 80.1% 80.9% 83.7% 66.0% 68.0% 70.0% 72.0% 74.0% 76.0% 78.0% 80.0% 82.0% 84.0% 86.0% 英語で簡単な会話をすること 英語の発音を練習すること 英語の文を読むこと 英単語を読むこと 英語の文を書くこと 英単語を書くこと 資料2【小学校でもっと勉強しておきたかったこと】

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2.移行措置の現状と課題 し か し な が ら , 新 し い 外 国 語 教 育 へ の 移 行 は そ れ ほ ど 簡 単 で は あ り ま せ ん 。 文 部 科 学省 か ら 配 付 され た新 教 材“We Can!”を見 て,その英文の多さ に 驚 か れ た 先生 は 少 な く ない と思 い ま す。「 こん なに レ ベル の高 い英語は指 導できない」「英語の発音に自信がない」「どうやって時数を確保するのか」 など,たくさんの不安の声が上がっています。 資 料 3 は , 県 が 実 施 し た 「 新 学 習 指 導 要 領 に 係 る 小 学 校 外 国 語 教 育 協 議 会 」( 平 成 30年 7 月 ) で, 県 内の 全 小 学校か らの 参加者 に対して 行ったアン ケ ー ト の 結 果 で す 。 参 加 者 ( 主 に 研 究 主 任 や 外 国 語 活 動 主 任 ) に , 自 校 で 外 国 語 教 育 を推 進 する に あ た り ,10の 項目に ついて ,「 どの程度 困難 と思わ れ る か 」 を 4 段 階 で 回 答 し て も ら い ま し た 。 ト ッ プ は 「 教 員 自 身 の 英 語 力 の 向上」(3.24),続い て 「 教 員の外国語 指 導力の向上」 (3.15),「時 数増に 対 応 す る 教 育 課 程 編 成 」( 3.06)と な っ て い ま す 。 全 面 実 施 へ の 円 滑 な 移 行 のためには,これらの課題を一つ一つクリアしていくことが必要です。 資料3【新学習指導要領に係る小学校外国語教育協議会アンケート】 (1) 教員自身の英語力の向上 ア ン ケ ー ト 結 果 か ら , 多 く の 先 生 方 が 「 自 身 の 英 語 力 」 に 不 安 を 抱 え て い る こ と が 分 か り ま す 。 実 際 に 授 業 を 参 観 す る と , 小 学 校 の 先 生 方 は と て も上手に英語を話しているので,もっと自信をもってよいと思います。 日 本 人 は , 言 語 に 対 し て 完 璧 を 求 め す ぎ る 傾 向 が あ る の で は な い で し ょ う か 。 私 た ち は 英 語 の ネ イ テ ィ ブ ス ピ ー カ ー で は あ り ま せ ん 。 流 暢 で 美 し い英語に縛られる必要はないのです。また,多くの場合「英語ができない」 と い う の は 思 い 込 み に 過 ぎ ま せ ん 。 日 本 で は , こ れ ま で , 英 語 を コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン の ツ ー ル と し て 使 用 す る 機 会 が 圧 倒 的 に 不 足 し て い ま し た 。 使 っ て こ な か っ た た め に ,「 で き ない 」 と思い 込ん でい る だけなの です。逆に 言えば,英語不安を解消するには,実際に英語を使うことが必要です。

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秋 田 県 教 育 委 員 会 で は , 平 成 21年 度 か ら , 国 際 教 養 大 学 と の 共 催 で , 小 学 校 教 員 を 対 象 と し た 夏 季 休 業 中 の 研 修 を 実 施 し て い ま す 。 こ の 研 修 の 特 徴 は , 外 国 語 の 指 導 力 向 上 だ け で な く , 教 員 自 身 の 英 語 力 向 上 を 目 的 と し ていることです。資料4は,研修受講者の研修前と研修後の「外国語不安」 に 関 す る 調 査で す ( 国 際 教養 大学准 教 授 町田 智久 氏)。研修 前後 で「あ ま り 不 安 が な い 」 と い う 回 答 が 20% か ら 45% に 増 加 し て お り , 研 修 を 通 し て,外国語に対する不安が大幅に和らいだことが分かります。 資料4【参加者の外国語不安の変化】(平成29年度小学校外国語活動教員研修) こ の研修 では,国際 教養大学 の留学 生がALT(外国 語指導助手)の役 割を果たし,最終 的に近隣の小学生を対象として模擬授業を行います。わ ずか三日間ですが ,留学生と英語 でコミュニケーションを図りながら授業 を創り上げる経験 を通して,受講者の先生方は英語 への不安を大幅に軽減 す る こ と がで き ま し た 。 参 加 者 か ら は ,「 英 語を 話す こと の ハ ー ドル は決 して高くないのだということを実感することができました。」「研修を終え た 今 , 私 はも っ と 英 語が 話 せ る よ う に な り た いと 思っ てい ま す 。」な どの な感想が多く聞かれました。 資料5【小学校教員の英語使用の割合】 資料 5は, 秋田 県 の 小 学 校 教 員 の 授 業 に お け る 英 語 使 用 の 割 合 を , 町 田 氏 が 2 0 1 5 年 と 2 0 1 8 年で比較したものです。 授 業 の 半 分 以 上 を 英 語 で 行 な っ て い る 教 員 の 割 合 が 3 年 間 で 5 %か ら 4 2 . 5 % に 増 加 し て い ま す 。 こ れ は , 英 語 に 対 する不安が下がり ,英語で授業を することの効果について,先生方が認識 をし始めたからであると町田氏は分析しています。 「 英 語 は で き な い 」 と い う 思 い 込 み を 捨 て , ま ず は 英 語 を 使 っ て み て く 20% 62% 18%

研修前

あまり不安がない 多少不安 非常に不安 45% 50% 5%

研修後

あまり不安がない 多少不安 非常に不安 95% 57.5% 4% 27.5% 1% 15% 2015年 2018年 50%未満 50%~75% 75%以上

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移行期間の授業時数(全国)

ださい。授業中, 英語を使う機会 を徐々に増やすことから始め,慣れてき たら,できるだけ 日本語を使わないようにしたり,ALTと積極的に会話 をしたりしてみて ください。英語 の壁はそれほど高くないことに気付くは ずです。 (2) 時数確保のための教育課程編成 3年生から6年生まで,年間35単位時間 増加する時数をどのようにして 捻出するかは,学校現場にとって 大きな課題です。移行期間の2年間は, 「外国語活動の授業の実施のため に特に必要がある場合には,年間総授業 時数及び総合的な 学習の時間の授 業時数から15単位時間を超えない範囲内 の授業時数を減じることができることとする」という教育課程特例があり ますが,全面実施 時の教育課程編 成は学校や自治体に委ねられています。 文部科学省からは ,モジュールや 短時間学習,長期休業中や土曜日の授業 実施等の例も示されましたが,他 教科との関連や児童や教員の負担,週末 の学校外での活動との関連などから,その実施率は高くありません。 資料6【移行期間の授業時数調査】 資料6は,文部 科学省が全国の 小学校を対象に行った移行期間中の授業 時数調査です。移行措置の15時間のみをプラスして実施している学校は, 3・4年生では54%,5・6年生では63%となっています。 一方,全面実施と同時数以上を実施している学校は,3・4年生で35%, 5・6年生で39%です。平 成31年度 の予定では,時数を増やす予定の学校 が各学年ともに増える傾向が見られます。 総合的な学習の 時間の活用状況 については,平成30年度は,全国で約7 割の学校が総合的 な学習の時間を 減じていません。教育課程特例は,その 活用率が高いとは言えない状況です。

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秋田県 は全国平均と比べ て,移行期間中の時数の平均は少なくなってい ますが,移行期間 の2年目にあた る平成31年度には,全面実施時の教育課 程を決定するとと もに,部分的で あっても,新教育課程のシミュレーショ ンをして,全面実施に備えていただきたいと思います。 (3) 教員の外国語指導力の向上 教 員の 指導 力 向上 は, 全面実 施 まで に取 り組む 最大の 課題です。これま で,秋田県では様々な研修や事業 を通して,小学校教員の外国語指導力の 向上を図ってきま した。その結果 ,現行の外国語活動の指導に関しては, 全県的にレベルの高い授業が展開されています。 しかし,新しい 外国語教育は, これまでの外国語活動の経験だけでまか なえるものではあ りません。中学年への指導や,教科としての外国語の指 導は,今まで誰も 経験したことが ない全く新しい試みであり,新学習指導 要領の正しい理解 が不可欠です。 しかし,学習指導要領の趣旨が十分理解 されないまま,「早期化」「教科化」という言葉が一人歩きし,指導に関し て い く つ かの 誤 解 も 生 じ て い る よ う に 感 じら れ ま す。「高 学年 の 外国 語は 中学校英語の前倒し」,「単語や英文を正しく書けるように指導する」,「音 声と文字の接続には徹底的にフォ ニックス」などがその例です。行き過ぎ た指導や,新学習 指導要領の趣旨 に沿わない指導は,児童の意欲を低下さ せ,その後の学習に大きな影響を与える恐れがあります。 以下に,秋田県 の外国語指導の 現状と照らし合わせ,これだけは押さえ てほしいというポ イントについて 説明します。新学習指導要領を読みなが ら確認してください。 3.新学習指導要領における小学校外国語教育のポイント (1) 言語活動とは何か 外 国 語 に よ る コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン に お け る 見 方 ・ 考 え 方 を 働 か せ , 外 国 語 に よ る 聞 く こ と , 話 す こ と の 言 語 活 動 を 通 し て , コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ンを図る素地となる資質・能力を次のとおり育成することを目指す。 上 記 は 外国 語活 動の 目 標 で す 。 高 学 年 で は ,扱 う技 能に 「 読 む こと 」と 「書くこと」が加わり,「素地」が「基礎」になります。ここでのポイント は , コ ミ ュニ ケー ショ ン を 図 る 素 地 や 基 礎 を 「言 語活 動 を 通 し て 」育 成す るとしていることです。 外 国 語 活動 ・外 国 語 科 にお け る 言 語 活 動 と はど の よ うな 活 動 を 意味 する の で し ょ うか 。新 学 習 指 導 要 領 で は , 言 語 活 動を 「実 際に 英 語 を 用い て互 い の 考え や気 持 ち を伝 え 合う 活 動 」 と 捉 え , 理解 した り練 習 し た りす るた め の 指 導 と区 別 し て い ま す 。 理 解 し た り 練 習 した り す るた めの 指 導と は, チ ャ ン ツ や, キー ワー ド ゲ ー ム な ど で , 与 え た語 彙 や 表現 を 単 純 に繰 り返

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し て 言わ せる な ど の指 導 です 。 も ち ろ ん練 習 は必 要 で すが , 練 習 自体 は言 語 活 動で はあ り ま せん 。 練習 し た こ と を 用 い て, 実際 に自 分 の 考 えや 気持 ちを伝え合うことが言語活動なのです。

例えば,I like blue. という表現を学習する場合,blue の部分を違う色に 置 き 換え たり ,動 物や ス ポ ー ツ な ど の カ テ ゴ リ ー に 広 げた りす る こと は, そ れ 自 体 は練 習 で す。 そ の 表 現 を 用 い て , 児 童が 「私 が好 き な も のは 何か な?」「友達は何が好きなんだろう?」と思考して,自分で言いたいことや 聞きたいことを判断しながら,言葉を発して伝え合うことが言語活動です。 (2) 「主体的に」が意味すること 育 成 す べ き 資 質 ・ 能 力 ご と に 三 つ 設 定 され た 目 標 の(3),「 学 び に 向 か う 力,人間性等」には,外国語活動,外国語科ともに,「主体的に」という言 葉が使われています。 (3) 外国語を通して,言語やその背景にある文化に対する理解を深め, 相 手 に 配 慮 し な が ら , 主 体 的 に 外 国 語 を 用 い て コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン を図ろうとする態度を養う。 改 訂 前 の学 習 指 導 要 領 では 「 主 体 的 に 」 で はな く 「 積極 的 に 」 とい う言 葉 が 使わ れて い ま した 。 これ ま で 多 く の 外 国 語活 動の 授業 で は , 積極 的な 活動参加や,積極的なコミュニケーションマナー(いわゆる eye contact,

big voice, smile, gesture 等)が必要以上に強調される傾向が見られました。 も ち ろ ん これ ら は 大切 で す が , 分 か ら な い の に微 笑 ん だり , 言 え ば分 かる こ と に ジ ェス チ ャ ーを 付 けた り す る の は不 自 然で す 。 これ まで , 中間 評価 や振り返りの観点に,必ずといってよいほど eye contact 等が挙げられてい ましたが,新しい英語教育が目指すのは,コミュニケーションの中身です。 児 童 が 「自分 のこ とを 伝 えて いるか 」,「自分で考え て伝 えてい るか」,「本 当 の こ と を伝 えて いる か 」な ど を ポ イ ント に ,め あて に 沿 っ て , 中間 評価 や振り返りを行ってください。 (3) 高学年における文字指導の留意点 ①外国語科の目標(知識及び技能) (1) 外 国 語 の 音 声 や 文 字 , 語 彙 , 表 現 , 文 構 造 , 言 語 の 働 き な ど に つ い て , 日 本 語 と 外 国 語 と の 違 い に 気 付 き , こ れ ら の 知 識 を 理 解 す る とともに,読むこと,書くことに慣れ親しみ,聞くこと,読むこと, 話 す こ と , 書 く こ と に よ る 実 際 の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン に お い て 活 用 できる基礎的な技能を身に付けるようにする。 外 国 語 科に お け る「 知 識 及 び 技 能 」 の 習 得 に関 わる 目標 で す 。 ここ で注

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意 し た い の は , 高 学 年 で は 「 聞 く こ と 」「 読 む こ と 」「 話 す こ と 」「 書 く こ と 」 の四 つの 技能 を扱 い ま す が , こ れ ら の 技 能を 全て 同等 に 指 導 する ので は な い と いう こ と です 。 目標 に あ る 「 読 む こ と, 書く こと に 慣 れ 親し み」 の 部 分 に 十分 留意 する 必 要 が あ り ま す 。 外 国 語科 の指 導は , 中 学 年の 外国 語 活 動で 音声 や基 本 的 な 表現 に 慣 れ 親 し ん だ 土台 の上 に成 立 し ま す。 しか し,中学年の外国語活動では「読むこと」「書くこと」は指導しないので, 高学年では「読むこと」「書くこと」に「慣れ親しませる」ことから始める 必要があるのです。 ②「書くこと」の目標 ア 大 文 字 , 小 文 字 を 活 字 体 で 書 く こ と が で き る よ う に す る 。 ま た , 語 順 を 意 識 し な が ら 音 声 で 十 分 に 慣 れ 親 し ん だ 簡 単 な 語 句 や 基 本 的 な表現を書き写すことができるようにする。 イ 自 分 の こ と や 身 近 で 簡 単 な 事 柄 に つ い て , 例 文 を 参 考 に , 音 声 で 十 分 に 慣 れ 親 し ん だ 簡 単 な 語 句 や 基 本 的 な 表 現 を 用 い て 書 く こ と が できるようにする。 教 科 で ある こ と から , 領域 別 目 標 の 語 尾 は 「で きる よ う にす る 」と なっ て い ま す 。ア ル フ ァ ベ ッ ト の 大 文 字 ・ 小 文 字 につ い て は, 最 終 的 には 何も 見ないで自力で書くことができるように指導する必要があります。しかし, そ の ほ か の語 句 や 表現 に つ い て は , 書 き 写 し たり 例文 を参 考 に し たり する レ ベ ル に とど ま る ので す 。書 き 写 す た め の お 手本 や, 参考 に で き る例 文が 必要であることに十分配慮してください。 前 述 し たと お り ,音 声 から 文 字 へ の 円 滑 な 移行 を目 指し て , 外 国語 科に 「読むこと」「書くこと」が導入されました。特に「書くこと」は個人差が 大 き く 時 間が か か る学 習 です 。 急 が ず に , 丁 寧で 段階 を踏 ん だ 指 導を 通し て,全ての児童に書くことの楽しさを味わわせてください。 ③「読むこと」の目標 イ 音 声で十 分に慣れ親 しんだ簡単な語句 や基本 的な表現の意味が分か るようにする。 「読 むこと 」では目標「イ 」の語尾に注意が必要です。「分か るようにす る」であって,「できるようにする」ではありません。外国語科の領域別目 標 の 中で ,た だ 一 つ「 読 むこ と 」 の 「 イ 」 だ けが こ の 語尾 に な っ てい る こ とについては,その理由を考えてみる必要があります。 例 え ば , チ ョ コ レ ー ト の 箱 に 書 か れ て い る “banana” という単語を,箱 の 写 真 な どを 参考 に「 バ ナ ナ だ な ! 」 と 分 か れば よ い ので あ っ て ,初 めて

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見た“banana” を /b nǽn |-n ' n /ә ә ɑ ː ә と発音できることを求めているのでは あ り ま せ ん。 まし てや , 英文 を 見 て す ぐ に 正 しく 読め るよ う に 指 導す るの で は な い ので す。 実際 の 外国 語 活 動 の 授 業 で は, 黒板 にセ ンテ ン スカ ード を 貼 っ て 指導 して いる 場 面 を よ く 見 ま す 。 も ちろ ん , 文字 や 英 文 を示 すこ とが効果的であったり,必要であったりすることは多々あります。しかし, 導 入 の段 階で 慣れ 親し ん で い な い 英 文 を 最 初 から 文字 とし て 提 示 した り, 慣 れ 親し んで い な い語 の 綴り を 提 示 し て 音 声 化す る 練 習を させ た りす るの は 適 切 な 指導 では あり ま せ ん 。 イ ン タ ビュ ー カー ド に 書か れた 英 語に ,片 仮 名 で ふ りが なを ふっ て い る 児 童 の 姿 は , 文 字の 提示 が明 ら か に 負担 にな っ て い る こと を示 して い ま す 。 文 字 や 文 の 提 示に つい て は , そ れ が本 当に 効果的なのか十分な検討が必要です。 「 簡 単 な 語 句 や 基 本 的 な 表 現 の 意 味 が 分 か る よ う に す る 」 た め に , 小 学 校 で は ジ ング ル と いう 活 動 を 通 し て 音 と 文 字 を関 連付 ける 指 導 を しま す。 リ ズ ム に のっ て単 語の 最 初 の 文 字 と 音 を 結 び 付け る 学 習で すが , その 段階 にとどめておくことがポイントです。「発音と綴りを関連付けて指導するこ と」は中学校の指導事項であることに配慮してください。 (4) 高学年における代名詞や過去形の指導 (イ) 文法 の用語 や用法の指 導に偏ることがないよう配慮 して,言語 活動 と効果的に関連付けて指導すること。 「 3 指 導 計 画 の 作 成 と 内 容 の 取 扱 い (2)内 容 の 取 扱 い ウ (イ)」 は , 小 学 校の 外国 語科 では 文 法 の 用 語 や 用 法 の 指 導を 行う ので は な く ,言 語活 動 の 中で 用い ら れ る表 現 とし て , 聞 い た り 話 した り し て活 用 で き るよ うに 指 導 す る こと を示 して い ま す 。 今 回 の 改 訂 で ,過 去形 や動 名詞 , 三人 称の 代 名 詞 等 が 導 入 さ れ ま し た 。「 規 則 動 詞 と 不 規 則 動 詞 」,「 三 単 現 の s 」 な ど の 文 法 は中 学 校 で指 導 し, 小 学 校 で は あ く まで も自 分が 伝 え た いこ とを 伝 え る た めの 「表 現」 と し て 指 導 し ま す 。 そ のた め に は, そ の 表 現を 用い て「伝えたい」と児童が感じるような「場面設定」が何よりも大切です。「夏 休みの思い出を伝え合う」という場面設定を通して,I went ~. I saw ~. 等を,「自分の憧れの人を紹介する」という場面設定を通して,He is ~. She can ~. 等を指導するのです。児童がその表現を使うための「場面設定 か ら 始ま る授 業 」 が小 学 校 外 国 語 活 動 ・ 外 国 語科 の授 業の ポイ ン トで す。 (5) 本当のコミュニケーションを 外 国 語 活 動 ・ 外 国 語 科 の 授 業 で は 常 に 本 当 の コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン を 心 が け て い た だき た い と思 い ま す 。 本 当 の コ ミ ュ ニケ ーシ ョ ン と は , 児童 が伝 え た い こ とを 自分 で考 え て , 自 分 の 言 葉 で 伝 え合 うも ので す 。 こ れま での 外 国 語の 指導 は, 校種 を 問わ ず , ま ず 教 師 が ター ゲ ッ トセ ン テ ン ス等 を示

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し , そ の 表現 を習 得さ せ ,正 し く 使 え る よ う にな って か ら コ ミ ュ ニケ ーシ ョ ン 活 動 を行 うと いう 流 れが ほ と ん ど でし た 。こ こで は , 児 童 生 徒は ,先 生が意図したとおりのコミュニケーションを受動的に進めていきます。 本 来 , コ ミ ュ ニ ケ ー シ ョ ン と は , 自 分 が 伝 え た い こ と を 自 分 で 考 え て 言 葉 を 発す る主 体 的 な活 動 であ り , 授 業 も そ の 状況 に近 付け るこ と を, もっ と 重 視 し てい き た いと 思 いま す 。 教 師 が 適 切 に場 面設 定 を した ら ,ど んな 表現を使ったらよいか,まずは児童に考えさせましょう。「教えること」か ら で は な く「 やら せて み る こ と 」 か ら 始 め る ので す。 児童 は , そ れま での 学 び の 中 から ,使 える 語 や表 現 を 探 し た り 選 んだ り し て, 何 と か 伝え よう とします。当然,コミュニケーションはスムーズには進みません。そこで, み ん な で どう 表現 した ら よ い か 考 え る 場 を も ちま す。 児童 は 「 あ っ! そう か」「なるほど,その表現が使えるな」など,気付きを深めていきます。先 生が指導するのはそれからでよいのです。 も ち ろ ん, 教師 が教 え る こ と か ら 始 め た 方 がよ い 場 合や 必 要 な 場合 もあ り ま す が ,そ の 場 合で も ,コ ミ ュ ニ ケ ーシ ョ ンの 主体 は児 童 で あ るこ とは 同 じ で す 。教 師 が 用意 し た 枠 に 当 て は め る の では なく ,児 童 が 創 造力 を発 揮 で き る コミ ュ ニ ケー シ ョン を さ せ ま し ょ う 。場 面等 に応 じ て , 児童 が本 当 に 伝え たい こ と を, 自 分 で 考 え て 自 分 の 言 葉で 伝え 合い , 考 え をな どを 深 め て い くこ と が ,外 国 語 に よ る コ ミ ュニ ケ ーシ ョン にお ける 見 方・ 考え 方を働かせるということです。 終わりに 以 上 の ポ イ ン ト を 踏 ま え て , 実 際 の 授 業 を ど の よ う に 指 導 す る か , そ の 実 践 事 例 を ま と め た の が 本 冊 子 で す 。 3 年 生 と 6 年 生 で , 新 学 習 指 導 要 領 の 要 と な る 授 業 を 「 授 業 Ⅰ 」・「 授 業 Ⅱ 」 と し て , 個 々 の 授 業 実 践 を 「 活 動 事 例 」 と し て 紹 介 し て い ま す 。 そ れ ぞ れ の 事 例 に は , 県 教 育 委 員 会 が 「 こ こ が ポ イ ン ト ! 」 と い う コ メ ン ト を 入 れ ま し た 。 ポ イ ン ト を 押 さ え る こ と で , 指 導 者 や 児 童 が 違 っ て も , 小 学 校 教 員 の 誰 も が 新 学 習 指 導 要 領 の 趣 旨 を 踏 ま え た 質 の 高 い 指 導 が で き る と 考 え ま す 。 事 例 と 「 こ こ が ポ イ ン ト ! 」 を 合 わ せ て 本 冊子を活用してください。 新 し い 小 学 校 外 国 語 教 育 は , 今 ま で だ れ も や っ た こ と が な い 全 く 新 し い 指 導 で す 。 負 担 に 感 じ る こ と も あ る か も し れ ま せ ん が , 同 時 に , 新 し い こ と を 創 り 上 げ る 喜 び も あ り ま す 。 目 の 前 に い る 子 ど も た ち が , 将 来 , 確 か な 英 語 力 を 身 に 付 け , グ ロ ー バ ル 社 会 で た く ま し く 生 き て い く 姿 を 思 い 浮 か べ , 前 向きに外国語教育に取り組んでいただきたいと思います。 本 事 例 集 が , 先 生 方 の 日 々 の 授 業 を 支 え , 指 導 の 手 助 け と な る こ と を 心 か ら願っています。

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