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IRUCAA@TDC : ペインクリニックにおける治療(神経障害性歯痛に対して)

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Academic year: 2021

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Posted at the Institutional Resources for Unique Collection and Academic Archives at Tokyo Dental College, Available from http://ir.tdc.ac.jp/

Title

ペインクリニックにおける治療(神経障害性歯痛に対し

て)

Author(s)

福田, 謙一

Journal

歯科学報, 115(6): 569-571

URL

http://hdl.handle.net/10130/3913

Right

(2)

―――― カラーアトラス ――――

ペインクリニックにおける治療

(神経障害性歯痛に対して)

ふく

けん

いち 東京歯科大学口腔健康科学講座/障害者歯科・口腔顔面痛研究室

(3)

カ ラ ー ア ト ラ ス の 解 説

神経障害性歯痛とは 神経障害性歯痛は,非歯原性歯痛の1つで,神経 障害性疼痛が歯に生じた痛みである。痛みの原因が 神経自体にあり,正常な神経系を介し末梢から中枢 へ伝えられる侵害性疼痛とは区別される。したがっ て,除痛方法も歯髄炎や外傷などの侵害性疼痛に対 する方法とは全く異なる。 神経障害性歯痛の分類と診断 神経障害性歯痛は,三叉神経痛による歯痛,帯状 疱疹後神経痛による歯痛,智歯抜歯やインプラント 手術時などの医療行為による神経損傷後の歯痛,通 常の抜髄や抜歯後の歯痛(幻歯痛)に分類される(図 1)。 1)典型的三叉神経痛による歯痛(図2) 脳動静脈が三叉神経の神経根を圧迫することに よって生じる典型的三叉神経痛が出現している神経 領域の歯に歯痛が出現することがある。 2)帯状疱疹後神経痛による歯痛(図3) 帯状疱疹によって破壊された神経領域の歯に歯痛 が出現することがある。 3)智歯抜歯やインプラント手術時などの医療行為 による神経損傷後の歯痛 多くが下歯槽神経を損傷した後の後遺症である。 感覚鈍麻感など感覚障害が主症状であるが,痛みを 訴える症例もある。 4)通常の抜髄や抜歯後の歯痛(幻歯痛)(図4) 歯髄には,血管や血管結合組織の他,ほとんどが Aδ と c 線維で構成された神経が存在する。すなわ ち,抜髄処置とは,主に痛覚を伝達する神経を切断 する行為である。日常の歯科臨床で頻繁に行われる この処置の後,ほとんどの場合,組織の創傷治癒と ともに痛みは消失する。しかしながら,抜髄後にも かかわらず痛みが残存してしまう場合の1つに神経 障害性疼痛の発症がある。非常に稀なケースである が,単純な歯1本の抜髄や抜歯でも発症することが ある。歴史的には,原因不明の痛みを発症し,抜髄 によっても痛みが消失しない理解できない歯痛は, Atypical Odontalgia(非定型歯痛)と呼ばれていた1) 。 これは,どのカテゴリーにも属すことのできない診 断のゴミ箱的用語 Atypical Facial Pain(非定型顔面

痛)の歯に生じる局所型として,表現された2)

。しか しながら,共通した症状や臨床経過から1つの疾患 群として取り上げられ,Marbach らが神経障害性 疼痛である phantom limb pain に類似するものとし

て phantom tooth pain(幻歯痛)と名付けた3)

。幻歯 痛の歯は,当該歯周囲の歯肉に感覚異常や痛覚過 敏,異常痛(allodynia)が見られる。 神経障害性歯痛の除痛法 神経障害性歯痛の発症機序は未だ明らかになって いないが,末梢から大脳へと伝達され認識される経 路の中で,神経損傷に起因した様々な神経伝達の異 常が末梢,中枢のあらゆる部位で発生することに よって発現すると推測されている。また,交感神経 も関与するとされている。多くの症例が末梢,中枢, 交感神経関与すべての機序を有しており,合わせ技 治療が必要である。三叉神経痛が原因の歯痛には, カルバマゼピンが有効である。他の神経障害性歯痛 の除痛には難渋することが多い。発症早期で交感神 経が深く関与しているものには,星状神経節ブロッ クが著効する(図5)。下行性抑制系ニューロンを賦 活させ,鎮痛作用を発揮するアミトリプチリンなど の三環系抗うつ薬やカルシウムの流入を抑制するこ とで神経細胞の過剰興奮を抑えるプレガバリンなど も,痛みのコントロールに有効なことがある。表面 麻酔薬やカプサイシンクリームを塗布した口腔内ス テント療法が有効的なこともある(図6)。また,メ キシレチンの投与,リドカインの点滴療法なども有 効なことがある。NMDA 受容体関与には,ケタミ ンの点滴,マグネシウムイオンの投与などがある。 同様の痛みにアデノシン三燐酸(ATP)持続静注が 効果的である。ATP は血中で即座にアデノシンに 分解され,A1受容体を介して,静脈内投与におい て鎮痛作用を発揮する4) 。5~6mg/kg/h の速度で 2時間以上の持続静脈内投与(生食点滴速度30 ml/ 分)は,幻歯痛に対して一時的には劇的な除痛効果 がある4) 。その他,オピオイドや漢方薬などが補助 的に使用されている。 文 献

1)Rees RT, Harris M : A typical odontalgia. Br J Oral Surg, 16:212-218,1979.

2)Reik L : A typical odontalgia : A localized from of atypi-cal facial pain. Headache, 24:222-224,1984.

3)Marbach J, Hulbrock J, Hohn C, et al : Incidence of phantom tooth pain : An atypical facial neuralgia. Oral Surg Oral Med Oral Pathol, 53:190-193,1982. 4)Fukuda K, Hayashida M, Fukunaga A, Kasahara M,

Ichinohe T, Kaneko Y : Pain-relieving effects of intrave-nous adenosine 5’-triphosphate(ATP)in chronic intracta-ble orofacial pain : an open-label study. J Anesth, 21:244 -250,2006.

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ペインクリニックにおける治療

(神経障害性歯痛に対して)

福 田 謙 一

東京歯科大学口腔健康科学講座/障害者歯科・口腔顔面痛研究室 図1 智歯抜歯,インプラント手術時,根管充填など の医療行為による神経損傷の他,通常の単純な抜 髄や抜歯後の歯痛(幻歯痛)などに分類される 図2 椎骨動脈の蛇行により,三叉神経と接触した(左)典型三叉神 経痛による歯痛のある症例である。痛みがある歯の根管内に器 質的問題は全くない(右) 図3 帯状疱疹後神経痛による著しい歯痛が上顎右側第二大臼歯に存 在する症例である。歯周囲の口蓋に allodynia(異常痛)が存在す る。帯状疱疹発症から447日後(左)と2367日後(右)である 図5 星状神経節ブロックの施行と点滴治療の併用 図4 抜髄後による著しい歯痛が下顎左側第二大臼歯に存在する症例 である。歯周囲の歯肉に allodynia(異常痛)が存在する。抜髄か ら9年10ヶ月後歯根中隔で破折し,保存不可能と判断し抜歯し た。抜歯後も同じ部位に allodynia(異常痛)が存在する。抜髄か ら9年2ヶ月後(左)と抜歯から1年後(右)である 図6 口腔内ステントによるカプサイシン療法

参照

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