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情報と図書室 : 広がる夢、そして厳しい現実

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Academic year: 2021

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巻 頭 言

病院図書室 19(3):107−108,1999

情報と図書 室− 広がる夢、 そして厳しい現実−

国 立 京 都 病 院 長 粉 川 皓 仲 メールフFレス:kkogawa @kyoto.hosp.go.jp

この度、牧野尚彦先生 の後を 引継ぎ、近畿 病院図書室協議会 の会長をお引 き受け するこ

とに なった。始めて手にした「 病院図書室」 という機関誌を拝 見す ると、大半 は近畿地区

の病院であ るが、北 は青森 、南 は鹿児 島まで、12

4の 病院が参加 して いる大集団 というこ

とが 分かった。

面 識あ る方 も少な く、 牧野前会長、小田中徹也さ ん、 最近お目にかかったばかりの森川

治美さんのお三人し かい ない。本会の今までの活動 状況 も、詳細については、まだ十 分に

把握してい るわけで はない。 そんな状態のため新会 長就任の挨拶 も、ひょっとす ると全 く

の的外れになり かねない。そ れを覚悟で図書室、 特に情報との関係で考えてい ることを 申

し述べたいと思う。

私達の周囲の日常を眺めて みると、い かに多 くの情報に取り囲ま れ生活してい るか、改

めて びっくりする。 そして多 くの場合、 それらの情報に振り回さ れて、いか に多 くの時間

を消費させられてい ること か。 このことは、 この会のメ ンバーの方 々は、 特に痛 感されて

い るに違いない。 公的 、私的 な文 書類か ら、各 種の 報告物、一 方的 に掛って く る電 話の

数 々、そして爆発的に使用 され始めたコ ンピュー タ情報 網、 怖いのはそれほど 重要でない

と判 っていて も、全く は無 視できないことである。最重 要な情報が潜んでいる可能性かお

り、 朝令暮改を見逃して は大変である。かってはこ ちらが必要な情報を探したが、最近 は

選択 権は先方にあ る。 仕方 なく自動的に漏れのない よう、 自己防衛の網を 張り巡 らせよ う

とす る。当然のことなが ら、集 まる情報は玉石混淆とな らざ るをえない。

いきなり大上段 に振りかぶって申し訳ないが、 情報の価値は「 それによってその人の 生

活 が豊かになるかど うか」

、 これが一つの判断 基準 になると思 う。 日常生活で は今以上 の

情報が本当 に必要 かど うか極めて疑 わしい。 ましてや情報発信など、電話そして時 々使用

するF

x.があれば ほとんど不 都合 は生じない。 そんなことはない。そんな考え は時 代遅れ

とおっしゃる方は情報に関して相当のプロに違い ない。

病 院で過ごす私の情報の質 と量、 そして必 要度、これは家庭で日常生活を送 る私のそれ

らと は全く異なるレベルであ る。病 院で 今パソコ ン、ワ ープロがない と、で きる仕事の量

はゼロに近い。質に至ってはマイナスになってい るか もしれない。

そ んなことを考えてい ると、情報の価値はそれ自体が持 ってい る価値以 外に、それを扱

う側の能力によっていろいろ変 わってきそうであ る。今すぐ直接役に立つ という 価値と、

−107−

(2)

病 院 図 書 室 Vol.19 Nλ3,1999 廻 り ま わ って 出 て く る よ う な 、 間 接 的 な 価 値を 持 つ 情 報 もあ り そ うで あ る 。 現 今 の 日 常 生 活 で は 後 者の よ うな 情 報 は ま ず 必 要 な い が 、 か っ て は こ の よ うな 情 報 が 珍 重 さ れ 、 密 か に 求 め ら れ て い た よ う に 思 う。 ど ん な 情 報 が良 い 情 報 な の だ ろ う か 。 ま ず 利 用 す る 側 に とっ て 価 値 が あ ると 思 わ れ る も の は 文 句 な く良 い 情 報 だろ う。 正 確 さ も必須 だ ろ う し 、 新 し さ も多 分 大 き な 条 件 に な る。 し か し 古 くて も初 め て接 す る 情 報 は 新 し い。 い わ ゆ る 古 典 は こ の 類 で あ る 。 人 手 し や す い こ と も大 切 な 条 件で あ る。 イ ン タ ー ネ ッ ト は 情 報 の 宝 庫 だ とい わ れて も、 コ ンピ ュ ータ の 扱 いを 知 ら な け れば 価 値 はな い 。 厄 介 な 問 題 もあ る。 有 り 余 る 情 報を ど う す る か 、 頭 の 痛 い こ とだ 。 こ の 点 は 人 間 の 身 体 が ど の よ うに し て 活 動 し 、 休 息 し て い る かを 考え る と 参 考 に な る。 外 界 か ら の、 あ る い は 直 接、 間 接 に 体 内 か ら の 刺 激( 情 報) に よ っ て、 活 動 レ ベ ル が 決 定 さ れ て い る。 多 す ぎ る と活 動 過多 と な る、 つ まり 不 眠 に な る。 多 す ぎ る 情 報 に よ っ て 我 々 が受 け る 最 大 の 被 害 は、 生 体 で い う不 眠 と同 じ 重 大 な 結 果 で あ る。 こ の と こ ろ 情 報 整 理 に 関す る 書物 が多 く出 版 さ れ て い る。 あ れ こ れ 方 法 は 述 べ ら れ て い るよ う だ が 、 ど うや ら結 論 は一 つ 、 情 報を 捨 て 去 る勇 気を 持 つ か ど う か の よ うで あ る 。 我 が 家 に も料 理 や 園 芸 の 古 くな っ た雑 誌 の 特集 号 が 本 棚 に 残 っ て い る 。 こ ん な 特 集 は 、 2 , 3年 に一 度 は 出 るの だ か ら と家 内を 説得 して や っ と 処 分 す る 。 超 の つ く 情 報 整 理 の 本 もあ るが 、 医 師 の 立 場 か ら見 る と一 つ 見落 と して い る点 が あ る よ う に 思 う 。 そ れ は そ の人 の 性 格 が ど う か 、 具 体 的 に は捨 て る こ と ので きな い 性 格 の人 に、 情 報 を 処 分 せ よ と 言 っ て で き る かど う か 、 小 さ い 問 題 で はな い 。 一 時 し の ぎ の 処 分を 考え る 、 い い 考え の よ う だ が 、 継 続 し た と きに 混 乱 が 起 き る こ と は 目 に 見え て い る。 そ ろ そ ろ 図 書 室 に つ い て 考 え て み たい 。 か って の図 書 室 は そ の 名 の 通 り、 図 書 の 整 理 、 要 す る に 保 存 に 主 力 を 注 い だ 。 国 会 図 書 館 な らい ざ 知 ら ず、 少 な い 予 算 で買 っ て も ら っ た 図 書 を 、 後 生 大 事 に 保 管 す る こ とに 懸 命 で あ っ た。 今で も一 つ の 科 、 一 人 の 医 師 が 読 む た め に 、 し か も「 今 ま で 続 け て き た」 とい う理 由 で 、 高 価 な 雑 誌を 購 入 し 続 け て い る 図 書 室 が あ る と思 う。 資 源 に は 限 界 が あ る とい う言 葉 が 幅を き か せ て い る ( つ い 最 近 まで 聖 域 と さ れ て い た 医 療 費 さ え 力 Vト さ れ る 。 脳 死 を 巡 る 深 刻 な 論 議 を 聞け ば そ の 重 大 性 が 分 か る )。 そ れ な の に か っ て の 図 書 室 の 原 点 ( 最良 の モ デ ル) と し て 、 今 も運 営 し よ う と し て は い な い だ ろ う か。 そ う は 云 っ て も、 正 直私 に は 図 書 室 はど うあ る べ き か よ く は 分 か ら な い。 だ が こ の ま まで は 駄 目 だ と い う こ と は 間 違 い な い と 思 う。 真 剣 に 、 本 気 で取 り 組 ま な い と 、 図 書 室 が 合 理化 、 経 済 性 の大 渦 に 巻 き 込 ま れ る 日 は そ う 遠 く な い 感 じ がす る。 今 後 の 図 書 室 の 在り 方、 夢 を 語 る こ と に な り そ うだ が 、 楽 し い 結 論 に 近づ いて き た。 ま ず 取 り 組 む こ と は こ の 会を 、 名 実 共 に「 公 的 」 な もの に す る こ と だろ う と 思 う。 も う 趣 味 的 な 、 奉 仕 の 精 神 で は 太刀 打 ち で き な い。 そ れ だ け 図 書 室の 役 割 が質 、 量 共 に以 前 と は 比 較 に な ら ない ほど 、 増 大 し て い るの で あ る。 108

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