特別支援学級(知的) 自立活動学習指導案(中学校) 1 題材名 「お世話になった先生方へじゃがいも料理をつくろう」 2 指導観 ○ 本校の特別支援学級の生徒は、生活単元や自立活動の他、教科の授業でも比較的全学年合同で学習す る機会が多く、生徒たちは、お互いの特性についてある程度知り、その特性に理解を示しながら仲良く 過ごすことができている。本題材は、1、2、3年生合同で実施する。1年生は1名、2年生は2名、 3年生は1名であり、計4名で実施する。生徒たちの学年や実態は様々であるが、教師が個別に対応し たり、説明をする際に認知特性に配慮したりすれば、指示に従い一つ一つの質問への受け答えをするこ とができる。しかし、一斉の授業においては、集中力が持続しなかったり、話を聞く態勢が整わなかっ たりすることも多く、促さないと自らの考えを発信することは難しい。口頭の指示を聞いたり自分の意 思の表出をしたりする際の支援が必要な生徒が多い。実際のコミュニケーションの場面でも、教師の指 示を聞き間違えたり、聞き漏らしたりするために集合場所に行けなかったり、集合の場所や時間を誰に 確認することもできずにパニックになりトイレに隠れてしまったりということが起きている。このこと から、本学級の生徒にとって、目的や状況を理解し、自分の考えをつくれるようになり、それを発信で きるようになることは緊急の課題の一つであり、生徒のこれからの生活をより主体的に生きる上でも意 義深いと考える。 ○ 本題材は、「自分の考えをもち、それを発信できるようになること」をねらいとし、ねらいを達成す るため、自立活動の内容「3 人間関係の形成(1)他者とのかかわりの基礎に関すること」と「6 コミュニケーション」 (2)言語の受容と表出に関すること」を関連させて指導する。題材として、 じゃがいも料理を選定する。本題材で扱うじゃがいもは、本校の特別支援学級で畝づくりから始め、苗 を植え、育ててきたものである。そのじゃがいもを収穫する際、じゃがいもを傷つけることなく収穫す るための方法や自分が使いやすい道具を選択したり、それを友達に伝えたりしながら活動をすすめる。 また、収穫するだけではなく、実際に収穫したじゃがいもを使って調理をする。自分のつくりたい料理 を考え、自分の作りたい料理を友達に発信する活動を仕組む。さらに、実際に調理する場面では、わか らないことを尋ねたり、生徒同士で活動手順を確認したりするよう促す。また、うまくいかなかったこ とを修正したり、うまくいった方法を伝えあったりする振り返りの活動も毎時間設定する。そのため、 本題材は、友達と協働する活動が多く含まれており、活動を通して臨機応変にコミュニケーションを取 る必然性があるため、生徒が考えをつくり、それを発信できるようになる題材として適している。 ○ 指導に当たっては、生徒が自分の考えをもち、それを発信できるようになることをねらい、「つかむ 段階」「できる段階」「いかす段階」の三つの段階に分けて取り組むこととする。さらに、一単位時間を 導入、展開、終末とし、展開段階に「自分の考えをもつ→自分の考えと比較する→改善をくわえる」の 一連の協働活動を位置づける。まず「つかむ段階」では、考えをもつために必要な情報をつかむことが できることをねらいとする。そのために、自分にぴったりあった道具を選んで、じゃがいも掘りをする 場面を設定し、考えをもつために必要な情報をつかむことができるように、どこに注意したらよいのか をあらかじめ観察の視点として示し、教師のモデルにより情報を提示する。次に、「できる段階」では 自分の経験してきたことや調べたことをもとに、自分のつくりたいじゃがいも料理への考えをもてるよ うになることをねらう。また、その自分の考えを発信するための方法を選択し、発信できることをねら いとする。そのために、自分の体験をもとに、つくりたいじゃがいも料理を考え、友達に発信する場面 を設定する。ここでは、実際に体験したことや調べてきたことから自分がつくることができそうな“つ くりたい料理”を決定するように促す。さらに、「いかす段階」では、既習の内容をいかし、自分にあ った発信方法を自分で選択しながら、自分の考えを発信できるようになることをねらいとする。そのた めに、じゃがいも料理をつくり、お世話になった先生方へ思いを伝えながらじゃがいも料理を届ける場 面を設定する。ここでは、活動手順を友達と確認しながら進められるようにする。 3 目 標 ○ 活動手順や状況を友達と確認し、自分の考えをもつことができる。【3 人間関係の形成(1)】 ○ 自分にあった方法を選択し、自分の考えを発信することができる。【6 コミュニケーション(2)】
4 題材計画(全8時間) 段階 配時 学習活動・内容 手だて つ か む 2 1 自分にぴったりあった道具を選んで、 じゃがいも掘りをする。 (1) 今までに体験したことから、自分に あった道具を選び、それを友達に伝 え、じゃがいもを掘る。 (2) じゃがいもを保存する上で気をつけ なければいけないことを友達と確認し 合いながらじゃがいもの分別と保存の 準備をする。 ○ 考えをもつために必要な情報をつかむ ことができるように、どこに注意したら よいのかをあらかじめ観察の視点として 示し、教師のモデルにより情報を提示す る。 ○ 道具を選択できるように複数準備し、 自分が用いた道具や気をつけた点等活動 でとった方法を友達に発信できるような 場面を設定する。また活動の後には、友 達と話し合う時間を確保し、改善点や次 の目標を書かせることで、次の活動につ なげることができるようにする。 で き る 3 2 自分の体験をもとに、つくりたいじゃ がいも料理を考え、友達に発信する。 (1) 今まで食べてきた給食の中でどんな じゃがいも料理があり、どんなメニュ ーが好きなのかを発表する。 (2) 体験したことや調べた内容をもとに 自分のつくりたい料理と発表方法を選 択する。 (3) 自分のつくりたいじゃがいも料理の プレゼンテーションの準備をする。 ○ 実際に体験したことや給食のメニュー で食べてきたことから、自分がつくるこ とができそうな「つくりたい料理」を決 定するようにする。 〇 体験したことや調べたことからつくり たい料理を決定し、その発表の方法を自 分の得意な方法で選択できるよう選択肢 を準備する。 ○ 振り返る活動では、友達からのアドバ イスや友達のプレゼンを聞いてそのまま 続けることと改善することを明確にし、 改善や付け加えを行い次のプレゼンテー ションにつなげるようにする。 い か す 3 3 これまで学んできたことを生かして、 つくるじゃがいも料理を決定し、つく る。 (1) 自分のつくりたいじゃがいも料理の プレゼンテーションをする。 (2) 自分にぴったり合った道具を選択 し、じゃがいも料理をつくる。 (3) 自分のつくったじゃがいも料理の良 さを食べてくれる人に伝える。 ○ 既習の内容をいかし、自分にあった発 信方法で自分の考えを発信できるよう に、今までつくってきた考えを「プレゼ ンテーション」として友達に発信する活 動を設定する。 ○ じゃがいも料理を実際につくる場面で は、活動手順を友達と確認しながら進め られるようにする。
5 本 時 令和〇年〇月〇日(〇)第〇校時 〇〇教室にて (1) 本時の指導観 本時は、自分のつくりたいじゃがいも料理のプレゼンテーションの準備をする。そのためにまず、モ デルを見てプレゼンテーションのポイントをつかむ。ここでは、プレゼンテーションとは何かに気づく ことができるように「何を使って」「どのように」話しているのかに着目させたり、相手に伝わるプレ ゼンテーションになるように、生徒同士の気づきをアドバイスし合ったりする。次に、自分がつくりた いじゃがいも料理についてペアで発表練習をする。ここでは、聞くポイント(①声の大きさ、②資料の 見やすさ、③視線、④どんな料理をつくりたいのか、⑤どうしてその料理なのか、⑥使う道具やつくり 方)を与える。さらに、工夫したことや気づけたことを話し合う。友達のプレゼンテーションを聞き、 どんな点が良かったのかをお互いに伝えあう。その際、改善の話し合いができるようになるために聞く ポイントを再度提示する。①~⑥の具体的なポイントを記入できるプリントを準備する。この聞くポイ ントは、そのまま改善のポイントとなり、情報が不足していれば、改善するように友達に伝えるように する。気づいた改善のポイントを全体で共通確認した上で、プレゼンテーションの準備の時間を設定す る。気づきをつぶやいたり、確認したりしながら活動に取り組むように指示する。全体の振り返りで は、活動において工夫したことや気をつけたことを問い、自分や友達のどのような言動がめあて達成に つながったかを振り返り、次時につなげるようにする。 (2) 本時の主眼と評価 生徒A 生徒B 生徒C 生徒D 主 眼 改善のポイントがわ かり、そのポイントに 沿って話し合うことが できる。 改善のポイントに気 をつけて、自分の意見 を言うことができる。 友達の意見を聞き、 改善を加えるかどうか の選択をすることがで きる。 自分と友達の意見を 比較し、友達の良い所 や改善点を伝えること ができる。 評 価 グループのリーダー として、司会進行表に 沿って、話し合いを進 めることができたか。 自分の考えを発表し 友達と確認したり、改 善の話し合いをしたり することができたか。 準備した資料を用い 自分の考えを最後まで 発表し、改善を加える かどうかの選択をする ことができたか。 丁寧な表現で発表を 行い、友達の良い所や 改善のアドバイスを伝 えることができたか。
(3) 準備 ①プレゼン資料 ②テレビ ③『聞くポイント』カード ④話し合いプリント ⑤取り組み過程の画像 ⑥事前に作成した紙芝居等の資料 (4) 過程 学習活動・内容 準備 手だて(○) 個に応じた手立て(■) 形態 配時 生徒A 生徒B 生徒C 生徒D 1 モデルを見てプレゼンテーシ ョンのポイントをつかむ。 (1) プレゼンテーションのモデ ルを見る。 ・相手に伝えるためのプレゼン テーション (2) 本時のめあてを話し合う。 ・アドバイスと改善の見通し 2 ペアで発表練習をする。 (1) ペアの友達とプレゼンテー ションし合い、気づいたこと を書き留める。 ・聞くポイント (2) 自分のプレゼンテーション 資料を改善する。 ・改善のポイント 3 工夫したことや気づいたこと を発表し合う。 ・良い準備ができた達成感 ①② ③④ ⑤⑥ ④⑥ ④ ○ 分かりやすいプレゼンテーションの方法に気づかせるため、「何を使って」「どのように」話しているの かに着目するよう促す。 ○ 相手に伝わるプレゼンテーションとなるために、生徒同士が互いにアドバイスしあい改善していくよう 促す。 一斉 ペア ペア 5 10 20 10 5 ■ 継時処理優位の特性 を生かし、一つ一つの 手順を自分で確かめな がら発表することがで きるように、スライド ショーによる発表を行 わせ、操作を支援す る。 ■ 自分が体験したこと の具体を振り返り、改 善点のイメージもてる 良さを生かし、活動の 一場面一場面を口に出 して思い起こすような 声掛けをする。 ■ 視覚情報処理優位の 特性を生かし、何度も 見直しながら取り組め るように、今まで取り 組んできた写真と短い 言葉をセットにし、教 師と一緒に振り返る。 ■ 同時処理優位の特性 や紙芝居が得意である という良さを生かし、 観客の反応を見ながら 説明を加えられる紙芝 居での発表にさせる。 ○ 改善の視点に気づくことができるように、聞くポイント(①声の大きさ、②資料の見やすさ、③視線、 ④どんな料理をつくりたいのか、⑤どうしてその料理なのか、⑥使う道具やつくり方)を提示する。 ○ 聞きとった内容を書きとめる欄を設けた話し合いプリントを準備する。 ○ ペアの良さに気づくことができるように、話し合いプリントを互いに見合う時間を設ける。 ■ リーダーとして、 個々の発表開始の合図 を行い、話し合いが脱 線しそうな時に本筋に 戻す時のセリフを準備 し、手元で見られるよ うにする。 ■ 考えが時間内にまと まるように「どんな料 理か」「その料理にし た理由は何か」に絞 り、気づいたことを発 表させる。 ■ 聞き取った内容の記 入が時間内に行うこと ができるように、回答 が選択でき、文字数を 限定したプリントを準 備する。 ■ 改善の視点がずれ、 発表への批判にならな いように発言の仕方を 具体的に示し、プレゼ ン練習を必要に応じ支 援する。 ○ 聞く視点に沿ったアドバイスをし、改善できた良さを価値づけるために、本時の良かった姿を紹介し、 称賛する。 めあて:相手に伝わるプレゼン をみんなでつくろう