3学年 国語科学習指導案 1 単 元 伝統文化に親しむ『おくのほそ道』 2 指導観 ○ 今日の社会の発展は日進月歩の勢いであり、言葉もまた次々と生まれてくる新しい言葉によって 変化し続けている。一方、日本古来から脈々と受け継がれてきた古典作品は独特の文章表現や言葉 遣いこそあるものの、その中に生きる人々は、実は現代を生きる私たちと同じようなことを感じ、 考えながら生活しているのだということを知ることができるものである。したがって、古典作品を 学習することは、文化や伝統などについて考えることができるだけでなく、今にも通じる人間の考 え方や、在り方生き方を知ることができるという点で大変意義深い。 本単元は、松尾芭蕉の代表的な紀行文である『おくのほそ道』の冒頭部分と「平泉」の部分から 構成されている。『おくのほそ道』は、46歳の芭蕉が門人の曽良を連れ、奥州・北陸を回り、大垣 に到着するまでの約150日間、2,400㎞にも及ぶ旅を記したものである。足かけ5年の歳月 をかけて、推敲に推敲を重ねて完成された『おくのほそ道』は、散文と俳句が見事に調和して深み をもち、格調高い文章になっており、日本文学史上においても価値の高い作品である。3年間の古 典学習の最後にこのような魅力的な文章を読むことは、大変意義深いものであり、これからの人生 において古典に興味をもち、古典を楽しむということについて有効な単元と言える。 ○ 本学級の生徒は、第1学年では『竹取物語』と昔話の「かぐや姫」とを比較する活動を通して、 人間味あふれる登場人物の姿を読みとり、古典に興味をもつことができた。第2学年では『枕草子』 で作者の四季に対するものの見方や感じ方に触れている。また、古人の感覚や考えと自分たちの感 覚や考えに大きな差異がないことに気づくために、『徒然草』では他の章段を読み、作者の思いに共 感することができた。また、武士の非情さを知るために『平家物語』の他の話を読み、「ミニ先生」 として発表する場を設けることにより、主体的に学ぶ有用性を感じることができた。 しかし、生徒の中にはまだ古典に対する苦手意識をもつ生徒も少なからず存在している。4月に 行われた標準学力分析検査の結果から、歴史的仮名遣いを現代仮名遣いに直すことは〇〇%もの生 徒が定着しているが、内容の読み取り(正答率〇〇%)、会話の話者(正答率〇〇%)、行為の主体 と対象の理解(正答率〇〇%)と課題がある。古文のおもしろさを感じてはいるものの、古語の理 解が十分ではなく、作品の奥深さに気付けていないことが要因と考えられる。そこで本単元では、 芭蕉の旅に対する思い、現在を生きる私たちとの共通した思いを考えることで、作品のおもしろさ、 奥深さを味わわせ、作品への関心を高めさせたい。 ○ 本単元の指導にあたっては、歴史的背景や当時の状況をかんがみ、作者の思いをとらえ、古典の 世界に親しむことができることをねらう。そのためにまず、既習学習との違いを話し合わせ、本作 品に俳句があること、「わび」「さび」の世界であること等に気づかせる。その際、『枕草子』『徒然 草』を例に挙げ、本作品との比較をさせる。また、作者の人物像、地図を用いて旅程を確認し、芭 蕉の旅へのなみなみならぬ思いをとらえ、学習への意識付けとする。次に、冒頭部分を一読して内 容読解させ、一読しただけでは読みが深まらないことを実感させる。その際、モデルのガイドシー トを提示し、歴史的背景や作者の感動の中心などを盛り込んだガイドシートを読み、作品には奥深 い味わいがあることに気付かせる。そして、改めて本文を読み直す場を設定することにより、作品 を読み味わわせることとする。そのような過程を経ることで、芭蕉がどんな思いで旅をしており、 旅に対する考えをつかみ、作品のおもしろさをとらえることができると考える。最後に、作品のよ さを読み味わわせるために、「平泉」のガイドシートを作らせることにする。その際、生徒自らが課 題追究を進める上で作品の奥深さに気付けるようにするために、必要最小限の情報しか説明しない ようにする。内容読解を行った後に、ガイドシート作成に向けた準備を行うために、本文を読み直 させ、課題をもたせる。ガイドシートに取り入れるべき項目を絞らせ、作品への理解を深める歴史 的背景などを調べさせ、ガイドシートを作成させる。 学習形態を活用し、「学び合い」「認め合い」の場を数多く設定することで、それぞれの学習意欲 を高め、自ら進んで学習を進めることの楽しさを味わうことで、「主体的・対話的で深い学び」の実 現に努めたい。
3 単元の目標 〇 対句や漢語の多用による調子の良さを感じながら意欲的に音読し、多面的なものの見方で読み味 わおうとする。(関心・意欲・態度) 〇 文章の叙述に表れた作者のものの見方・考え方を理解し、自分の考えをもつことができる。(読む こと) 〇 歴史的仮名遣い、古文特有の語句・用法を理解することができる。(伝統的な言語文化と国語の特 質に関する事項) 〇 歴史的背景や当時の状況をかんがみ、作者の思いをとらえ、古典の世界に親しむことができる。 (伝統的な言語文化と国語の特質に関する事項) 4 単元計画(計6時間) 段 階 配 時 学習活動・内容 主題に迫るための手だて 指導上の留意点 評価規準 【観点】 第 一 次 1 1 既習学習(『竹取物語』『枕 草子』など)との違いを話し 合う。 ・俳句 ・「わび」「さび」 2 『おくのほそ道』とは何か を知る。 ・作品の概要 ・作者について ・既習学習と比較する場を設け、『おく のほそ道』の特徴をつかませる。 ・既習学習「黄金の扇風機」を想起さ せ、芭蕉も「わび」「さび」を大切に していたことに気付かせる。 ・芭蕉がたどったルートを示し、約1 50日間、2,400㎞に及ぶ旅であ ったことを、地図を用いて確認し、芭 蕉の人生観、旅への思いを感じるよ うにする。 ・ 既 習 学 習 と の 違いを通して、 『 お く の ほ そ 道』の特徴をつ か も う と し て いる。【関】 第 二 次 2 2 ガイドシート作成に向け た学習計画を作成する。 (1)冒頭部分の歴史的仮名遣 いの確認をし、それを参考 にしながら音読・暗唱す る。 (2)おおまかな内容読解をす る。 ・芭蕉の人生観(日々旅にし て、旅を栖とす) ・芭蕉が訪れたかった所 ・芭蕉の覚悟 (3)ガイドシートとは何かを 知る。 ・教師のモデル (4)ガイドシートに必要な項 目を考える。 ・芭蕉の人生観 ・芭蕉が目指す旅とは ・俳句 (5)内容を読み深める。 ・ペアを組み、古文と口語訳を交互に 読ませ、大意をつかませる。 ・ガイドシートのモデルを提示し、本 文を一読するだけでは気づかない作 品の良さや、ガイドシートの効果を 実感させる。 ・ガイドシートのモデルと修学旅行用 のガイドブックと比較させ、本学習 で作成するガイドシートに必要な項 目を考えさせる。 ・ガイドシートを参考に、本文を読み 深めさせる。 ・ 歴 史 的 仮 名 遣 い や 対 句 の リ ズムに親しみ、 音 読 す る こ と ができている。 【言】 ・ ガ イ ド シ ー ト を参考に、『お くのほそ道』を 読 み 味 わ う こ と が で き る 。 【読】 第 1 3 ガイドシートを作成する。 (1)「平泉」の音読を行い、重 要単語や大意の確認を行 う。 ・歴史的背景や人物のおおま ・冒頭部分で示したガイドシートのモ デルを示し、ガイドシートに取り入 れるべき項目を確認させる。 ・内容読解を通して、ガイドシートに 取り入れる課題を見つけ、本文に赤 ・ ガ イ ド シ ー ト に 取 り 入 れ る べ き 項 目 を 絞 る こ と が で き る。【読】
三 かな確認 (2)ガイドシートに取り入れ る課題を見つける。 ・古人への思い、無常 ・感動の中心(芭蕉の泪) (3)小集団で交流し、ガイド シートに取り入れる課題 を補充する。 線を引かせる。 ・机間指導を行い、俳句から芭蕉の感 動の中心を見つけるように支援す る。 ・小集団を組み、意見交流を通して意 見を深めさせる。 次 2 (4)ガイドシートを作成す る。 (5)交流活動を通して相互評 価をする。 ・資料集やインターネット等を用い、 ガイドシートを作成させる。 ・小集団で交流活動を行い、相互評価 をさせる。ナンバー1を決めさせ、全 体の場で発表させる。 ・「平泉」のよさ を 文 章 に す る ことができる。 【書】 5 本 時 (1)本時の指導観 前時までに、生徒は『おくのほそ道』と2年次までの既習学習とを比較し、俳句の存在や芭蕉が 目を向けたものが「わび」「さび」につながるものであることに気づいている。冒頭部分「旅立ち」 のガイドシートのモデルを用い、作品には一読しただけでは気づくことができない奥深さがあるこ とに気づき、改めて本文を読み直すことで、俳句や地の文に込められた芭蕉の感動を読み味わって いる。 そこで本時では、まず「平泉」を何度も音読させ、古文のリズムに慣れさせる。次に、原文と現 代語訳を交互に音読させ、大意をとらえさせた上で、内容を読解させる。その際、生徒自らが作品 の奥深さに気付くことができるようにするために、教師の説明は必要最小限に留め、追究活動に備 えることとする。そして、作者の感動がどこにあるのかを把握しやすいようにするために、ガイド シートに取り入れたい内容に赤線を引かせる。ガイドシートに取り入れる項目を絞らせ、どのよう な項目が必要かを改めて考えさせることにする。 このような主体的な学びを取り入れることにより、古典への苦手意識を払拭し、親しみをもたせ るようにする。 (2)主 眼 『おくのほそ道』で詠まれた地を訪れたことがない人にその良さを伝えられるようにするために、 本文を読み深め、ガイドシートに取り入れる項目を絞ることができる。 (3)授業仮説 『おくのほそ道』で詠まれた地を訪れたことがない人にぜひ持参してもらえるようなガイドシー トを作成するというゴールのもとに内容を読み深める場を仕組めば、生徒は本文を読み深め、俳句、 地の文だけでは読み取れない作品の奥深さ(作者のものの見方や考え方)を理解し、ガイドシート に取り入れる項目を絞ることができるであろう。 (4)評価の観点と評価規準・基準 【読むこと】 『おくのほそ道』で詠まれた地を訪れたことがない人にその良さを伝えられるようにするため に、本文を読み深め、芭蕉の感動の中心を見つけ、ガイドシートに取り入れる項目を絞ること ができる。 A 『おくのほそ道』で詠まれた地を訪れたことがない人にその良さを伝えられるようにするた めに、本文を読み深め、芭蕉の感動の中心を見つけ、ガイドシートに取り入れる項目を適切に 絞ることができる。 B 『おくのほそ道』で詠まれた地を訪れたことがない人にその良さを伝えられるようにするた めに、本文を読み深め、ガイドシートに取り入れる項目を絞ることができる。
(5)指導過程 段階 学習活動・内容 指導上の留意点 配時 形態 導 入 1 前時学習内容を振り返り、本 時学習内容を話し合う。 ・ガイドシートの効果とは何か? ・前時学習内容を想起させ、ガイドシートの効果を確 認させる。 5 分 一 斉 展 開 2 「平泉」を読み、芭蕉の感動の 中心 がどこにあ るか を見つ け る。 (1)歴史的仮名遣いに気を付け ながら音読する。 (2)古語や大意を確認する。 ・歴史的背景について ・功名一時の叢となる ・夏草や 兵どもが 夢の跡 ・現在と過去の比較(千歳の記 念とは何か) (3)ガイドシートに取り入れよ うと思う箇所に赤線を引く。 ・「時の移るまで泪を落としは べりぬ」 3 ガイドシート作成の準備を行 う。 (1)項立てを行う。 ・奥州藤原一族の滅亡 ・義臣の義経への忠心 ・義経の最期 ・なぜ芭蕉は涙を流したのか ・「千歳の記念」となった光堂 (2)感動の中心を見つける。 ・「時の移るまで泪を落としは べりぬ」 ・光堂 (3)交流活動を通し、意見を深め る。 ・芭蕉の義経への思い ・俳句から読み取れること ・ペアを組み、原文と現代語訳と対比させながら読ま せることにより、大意をつかませる。 ・情景や話の内容をつかみやすくするために、ワーク や資料集等を用い、歴史的背景などを確認させる。 ・生徒自らが読み味わうことができるようにするた めに、必要最小限の情報のみを与えることとする。 ・俳句については、生徒自らが読み味わうことができ るようにするために、季語、大意を確認する程度に 留める。 ・ガイドシートに取り入れようと思う箇所に赤線を 引かせる。 ・線を引いた理由を書かせ、全体で確認する場を設定 する。 ・俳句に詠まれている芭蕉の思いがぶれないように するために、モデルのガイドシートを参考にし、絶 対に入れる箇所を絞らせる。 ・資料集等を用い、歴史的背景などに目を向けさせる ようにする。 ・本文の良さを読み味わわせるために、古典の良さを 全員共通の課題として、俳句、地の文から感動の中 心を取り入れさせる。 ・活動が円滑に進んでいない生徒には、モデル例を参 考にどのような情報があったら嬉しいかを考える よう支援する。 ・小集団による意見交流を通して、参考にしたい内容 等のメモを取らせ、項立てを補充するようにする。 15 分 ペ ア 一 斉 個 20 分 個 小 集 団 ま と め 4 本時の学習を振り返る。 ・『おくのほそ道』が今でも受け 継がれる理由 ・「平泉」のガイドシートにはどのような項目が必要 なのかを振り返り、次時学習活動につなげるよう にする。 ・『おくのほそ道』の良さを確認し、今でも受け継が れる名作であることに気付かせる。 10 分 個 ↓ 一 斉 めあて 「平泉」のガイドシートを作成するために、本文を読み味わい、必要な項 目を考えよう