高等部
B 類型 職業科学習指導案
1 単元名 「○○セールに向けて取り組もう」 2 指導観 ア 実態観 本指導の対象生徒は、重複学級に在籍する高等部○年の生徒(以下、生徒A)である。発語に困難 はあるが、うなずきや表情、ジェスチャー、タブレット端末を活用して様々な内容を伝えることがで きる。日常生活全般で、関わりの多い教師や友達を中心に、自分から積極的に関わったり、周囲の状 況を見ながら活動したりすることができている。 職業科の授業では、○年生となり道具の準備や片付けを進んで行ったり、後輩に作業の手順を教え たりするなど意欲的に活動に取り組む時間が増えており、仕事に対する意識の高まりが感じられる。 一方、反省を発表する場面では、教師が生徒Aの感情や姿をまとめた言葉に対して、Yes/No で応答 することで反省を行っている。できたこと、できなかったことは理解することができるが、目標や課 題への明確な意識はもつことができておらず、自分なりの評価で満足している現状があり、反省を次 に十分に生かすことはできていない。卒業後は、働いて賃金を得ることを目標にしており、自分なり の評価だけではなく、多様な評価の視点で自分を捉え直していくことで、自分の課題に気付き、少し でも良くするためにどうすべきかを考えていくことは大切である。 イ 単元観 本単元は、特別支援学校学習指導要領高等部職業 (2)「将来の職業生活を見据え、必要な事柄を 見いだして課題を設定し、解決策を考え、実践を評価・改善し、表現する力を養う」を受けて設定し ている。卒業後の職業生活では、前回の反省を生かし、少しでもできることが増えるように取り組も うとする意欲や態度が求められる。そこで、本単元では、学校行事である○○セールに向けた取組の 中で、販売活動に関する内容を取り上げ、多様な評価の視点で自分の姿を捉え、課題を見いだす力 (以下、自己評価する力)を育てることねらいとしている。単元構成は、≪知る≫≪広げる≫≪つな げる≫という3段階で構成し、単元全体を通して、活動の中に教師や友達と対話をしながら自己評価 する時間を設定する。3段階で構成することにより、自己評価の良さや意味を知り、自己評価の手順 を学び、多様な評価の視点で自己評価する学習を順序立てて指導することができる。≪知る≫段階で は、○○セールで大切にすべきキーワードを考え、キーワードを基に現在の自分の姿を捉える学習を 設定する。教師と対話をしながら、自分と違う視点で自分の姿を捉えることや、自分の強みや課題を 意識して活動に取り組む大切さを学ぶことで、自己評価することの意味や良さを理解することがで きる。≪広げる≫段階では、自己評価シートや自己評価ボードを使用し、自分の姿を正しく捉える手 順を学んだり、販売活動の場面を想定してロールプレイングに取り組んだりする学習を設定する。そ れぞれの活動の中で、教師や友達と対話をしながら、自分の評価と評価基準や、様々な相手の見方や 考え方を比較し、できること、できないことを整理していくことで、多様な評価の視点で自分の姿を 捉える力を高めることができる。≪つなげる≫段階では、○○セールの販売活動を中心とし、前時ま での自分の姿から課題を見いだす学習を設定する。目標や課題への明確な意識をもって販売活動に 取り組み、教師と対話をしながら、良かったことや改善が必要なことを整理していくことで、新たな 自分の課題を見いだす力を高めることができる。また、目標や課題への明確な意識をもって活動に取り組むことは、達成感や周囲からの評価が高まることも期待でき、職業生活で求められる意欲や態度 につながると考える。そのため、卒業後のより良い職業生活につなげていく上で、大変意義深い。 ウ 指導観 職業科の授業は、適時構成メンバーや作業内容を変えながら様々な作業に取り組んでおり、本単 元では、生徒Aの実態に応じて個別で指導を行う。○○セールに向けた取組の中で、生徒Aの学び の特性や強みを生かしながら、多様な評価の視点で自己評価する力を育てていくことが大切である。 そこで、本単元の指導にあたっては、以下の点に配慮しながら指導を展開していく。 ・生徒Aの主体的な活動を促すために、タブレット端末を活用しながら学習を進める。生徒Aが自 分の考えを表現できるように、対話で使用するシンボルマークを生徒Aが活用しやすいように分 類し、まとめたツールを作成する。また、タブレット端末で入力できる実習日誌を作成し、活動の 振り返りがいつでもできるように活動写真や対話の内容をまとめた板書を記録できるようにする。 ・基本的な活動構成として、学習活動の最初と最後に自己評価する時間を設定する。自己評価では、 自分の姿を正しく捉えることができるように、多様な評価の視点を示す。対話を行いながら生徒 Aの評価と、評価基準(◎○△×)や、教師や友達など様々な相手の評価を一緒に整理していくこ とで、生徒Aが自分の姿を正しく捉えることができる学習を積み重ねる。 ・対話の内容を整理できるようにするために、対話の中で出てきた生徒Aや相手の感情やその理由、 評価の視点などを文字やイラストで可視化する。文字やイラストを画面上に提示し、視覚的に捉 えさせながら整理していくことで、生徒Aが考えを深めることができるようにする。 ・経験したことを基に、生徒Aが自分の考えをもつことができるように、イラストカードなどを動 かす具体的な操作や、販売活動の場面を想定したロールプレイングなど、体験的な活動を仕組む。 3 目 標 ○ ○○セールでの自分の役割を理解し、目標や課題を意識して行動できる。(知識及び技能) ○ 多様な評価の視点で自己評価することができる。(思考力・判断力・表現力等) ○ 卒業後の職業生活を見据え、意欲的に取り組むことができる。(学びに向かう力・人間性等) 4 計 画(全8時間 本時8/8) ≪知る≫ 1 2 3 4 5 6 7 8 自己評価することの意味 や良さを知ることができ る。 導入 【自己評価①】 〔導入〕 昨年度の販売活動を振り 返り、本年度の活動への 見通しをもつ。 販売活動に関する内容に ついて、自己評価を行う。 前時までの活動における 自分の姿から、課題を整 理し、目標を設定する。 問題を解決する場面 まとめ 【自己評価②】 〔まとめ〕 自分の強みや課題に気付 くことができたことをまと め、自己評価する意味や 良さを知る。 自分の姿を評価基準(◎ ○△×)で捉え直す。 活動を振り返り、良かった ことや改善が必要なことを 整理し、今後の社会生活 を見据える。 相手 教師 教師 比較する 評価の視点 教師の評価 評価基準(◎○△×) 自己評価シート① (評価基準) 自己評価シート② (呼び込みをする場面) 自己評価シート③ (商品を紹介する場面) 自己評価シート④ (問題を解決する場面) 自己評価シート⑤ (②③④の評価の視点と 自己評価をまとめたもの) 自己評価シート⑥ (⑤の評価の視点のみ) 目標を意識し、活動に取り組 む。 (3場面の中の1場面) 可視化のための 教材・教具 学校行事における販売活 動で、目標や課題を意識 し、活動に取り組む。 呼び込みをする場面 商品を紹介する場面 自分の姿を教師や友達の評価の視点を踏まえて、捉え 直す。 対話 教師・友達 教師・友達 教師や友達の評価 教師や友達の評価 学習 活動 自己評価を基に教師と一緒に課題を整理し、目標を設 定する。 展開 【活動】 〔展開〕 販売活動で大切な要素を 出し合い、自分の姿はどう だったかを考え、共有す る。 評価基準(◎○△×)で 評価を行い、できること、 できないことを整理する。 目標や課題を意識し、活動に取り組む。 ≪広げる≫ ≪つなげる≫ 配時 目標 多様な評価の視点から自分の姿を正しく捉えることができる。 正しく捉えた自分の姿から新たな課題を見いだすことができる。 場面カード 目標カード 評価の視点カード 自己評価シート 自己評価ボード タブレット端末 ・コミュニケーションアプリ キーワードカード
5 本 時 (1) 日時 令和○年○月○日(○) 第○校時(○時○分〜○時○分) 高等部工芸室 (2) 本時の目標 ○ ○○セールの自分の姿を自己評価することができる。 ○ 自己評価する活動の中で考えたことを文字やイラストで伝えることができる。 ○ ○○セールでの自分の姿を自己評価する活動に意欲的に取り組むことができる。 (3) 本時指導の考え方 前時までの活動で、細かな評価の視点で自己評価した結果を基に、○○セールの目標を自分で考え、 販売活動に取り組んでいる。生徒Aに、販売活動の直前に目標について尋ねると、自分の目標を答え ることができた。販売活動では、会計の仕事を中心に介護等体験の学生と協力しながら、熱心に仕事 に取り組むことができた。目標(大きな声、謝罪のことば)に関しては頑張らなければならないと意 識はしている様子であったが、呼び込みの場面で十分な声出しをすることはできなかった。そこで、 本時では、○○セールの自分の姿を振り返り、自分の姿を自己評価することをねらいとしている。 本時では、引き続き生徒Bと一緒に活動を進める。まず、自分で考えた目標を確認し、○○セール での自分の姿を振り返る。その際、○○セールでの頑張りを称賛し、目標を意識して取り組むことが 大切であることを押さえる。次に、自己評価シートを基に細かな評価の視点で自己評価を行う。そし て、良かったことや課題を整理し、次の目標について考える。その際、評価の基準は場所や相手など の条件によって変わることを押さえ、その都度自分の姿を振り返り、目標を決めて頑張っていくこと が大切であることを伝える。最後に、本単元の活動を振り返る。教師や友達と一緒に自己評価しなが ら活動に取り組むことで、自分の姿や自己評価の結果が変化したことを押さえ、生徒Aのできること や活動中の頑張りを称賛する。また、今後の社会生活でも同様に取り組むことができることを伝え、 今後の活動への意欲につなげる。 (4)準備物 タブレット端末(教師用、生徒用)、大型画面、ホワイトボード、卓上ボード、自己評価シート 自己評価ボード、目標カード、評価の視点カード (5)展開(学習過程) 学習 過程 学習活動・内容(○) 指導上の留意点 評価 導入 (合同) 10 分 10 分 1 本 時 の活 動 を確 認す る。 ○活動への見通しをもつ こと 2 準備運動をする。 ○ 仕 事 の意 識 に切 り替 え、活動への意欲を高 めること ○筋緊張を和らげ、可動 ・班に分かれて活動を行うことを説明する。 活動内容等は、板書の流れに沿って簡単な 言葉で分かりやすく伝えるようにする。 ・生徒Aが主体的に活動できるように、紙で はなく、タブレット端末で入力できる作業 日誌を準備する。 ・仕事の意識に切り替えられるように、本人 の情緒の状態に合わせて、集中を促す言葉 掛けや支援を行う。 ・体の部位を緩める時間を設定し、力を入れ る部位や緩める部位を伝えながら支援を ・説明を最後 ま で 集 中 し て 聞 く こ と が で き る。 ・作業日誌を 記 入 す る こ と が できる。
展開 (個別) 10 分 50 分 域を広げること 3 活動場所に移動し、本 時のめあてを確認する。 ○本時のめあてが分かる こと ○活動の見通しをもつこ と 4 ○○セールを振り返 り、自己評価する。 (1) 自分で考えた目標に 対する自分の姿を振り 返る。 ○○○セールを想起する こと ○目標達成のために意識 したことを伝えること (2) 自己評価シートを基 に細かな評価の視点で 自己評価を行う。 ○細かな評価の視点で自 己評価すること ○良かったことや課題が 分かること ○次の目標を考えること 行う。 ・本時では、○○セールを振り返り、自己評 価することと、単元のまとめをすることを 伝える。 ・活動の見通しがもてるように、めあてと本 時の流れは卓上ボードに示し、適時確認し ながら学習を進める。 ・○○セールを想起できるように、○○セー ル当日の写真を提示しながら活動を振り 返る。 ・それぞれの生徒に、自分で考えた○○セー ルの目標について問い掛け、目標を覚えて いるかを確認するとともに、目標カードを 自己評価ボードに貼ることで自己評価さ せる。その際、自己評価の理由を問い掛け、 目標を意識できたかを確認する。 ・○○セールでの具体的な生徒の姿を取り 上げながら頑張りや良かった姿を称賛し、 目標を意識して取り組むことが大切であ ることを押さえる。 ・目標設定で使用したものと同じ細かな評 価の視点を一枚にまとめた自己評価シー トを提示する。そして、生徒Aに評価の視 点ごとに自己評価(◎○△×)を問い掛け、 評価の視点カードを自己評価ボードに貼 らせることで自己評価させる。 ・生徒Aの自己評価を基に、評価の視点カー ドを移動させながら、教師の評価を理由と ともに伝える。自己評価と教師の評価を視 覚的に捉えながら比較することで、自己評 価を確かにしたり、新たな評価の視点で捉 え直したりできるようにする。 ・自己評価の結果(◎○△×)を自己評価シ ートに記入し、色分けすることで、良かっ たことや課題を整理する。 ・評価の基準は場所や相手などの条件によ って変わることを押さえ、その都度自分の 姿を振り返り、目標を決めて頑張っていく ・自分で考え た 目標が分かる。 ・教師の問い 掛 けに、ジェスチ ャーや、文字や イ ラ ス ト で 答 え る こ と が で きる。 ・細かな評価 の 視 点 で 自 己 評 価 す る こ と が できる。 ・教師の問い 掛 けに、ジェスチ ャーや、文字や イ ラ ス ト で 答 え る こ と が で きる。 めあて ○○セールを振り返り、自分の姿を自己評価しよう。
まとめ (合同) 10 分 休憩 (5分) (3) 本単元の活動を振り 返る。 ○自分の変化を捉えるこ と ○自己評価する大切さが 分かること ○社会生活でも自己評価 が大切であることが分 かること ○単元を通して考えたこ とを伝えること 5 班全員で集まり、反省 会を行う。 ○本時の反省を伝えるこ と ○次回の活動への見通し をもつこと ことが大切であることを伝える。 ・今までの活動を想起できるように、自己 評価シートや自己評価ボードを提示し、 活動を振り返りながら場面カードを操作 させる。 ・自己評価の大切さを伝えるために、自己評 価をすることで自分の姿を正しく捉え直 しながら、自分の姿が良くなっていったこ とを押さえる。 ・再度、評価の基準は場所や相手などの条件 によって変わることを押さえ、その都度自 分の姿を振り返り、目標を決めて頑張って いくことが大切であることを押さえる。 ・生徒のできることや、活動中の頑張りを称 賛し、今後の社会生活でも同様に取り組む ことができることを伝え、今後の活動への 意欲につなげる。 ・活動を終えての気持ちを問い掛け、反省会 で発表する内容を一緒に考える。 ・今後の活動に生かせるように、作業日誌に 活動や板書の写真を記録する。 ・生徒の発表を基に、頑張りを称賛するとと もに、自己評価することの大切さを共有す る。 ・見通しがもてるように、次回の活動を連絡 する。 (休憩時間は、指導上の理由により授業終了 時にまとめて取る。そのため、適宜水分補 給の言葉掛けを行う) ・教師の問い 掛 けに、ジェスチ ャーや、文字や イ ラ ス ト で 答 え る こ と が で きる。 ・教師とともに、 本 時 の 反 省 を 全 体 に 伝 え る ことができる。 まとめ これからも、自己評価しながら、目標を決めて取り組むことが大切である。
【評価基準】 目標 観点 ○○セールの自分の姿を 自己評価することができ る。 A:○○セールの自分の姿を自分で自己評価することができる。 B:○○セールの自分の姿を教師や友達の意見を基に自己評価することが できる。 C:○○セールの自分の姿を自己評価することができない。 自己評価する活動の中で 考えたことを文字やイラ ストで伝えることができ る。 A:自己評価する活動の中で考えたことを文字やイラストを組み合わせて 分かりやすく伝えることができる。 B:自己評価する活動の中で考えたことを文字やイラストで表現すること ができる。 C:自己評価する活動の中で考えたことを表現することができない。 ○○セールでの自分の姿 を自己評価する活動に意 欲的に取り組むことがで きる。 A:自己評価する活動に自分から進んで取り組むことができる。 B:自己評価する活動に教師の指示に応じて意欲的に取り組むことができ る。 C:自己評価する活動に対して、分からないという回答が多く、活動への 取組が消極的である。 【板書計画(大型画面)】 【配置図(合同)】 【配置図(グループ)】 T4 生徒A T1 生徒A ホ ワ イ ト ボ ー ド T1 生徒B 大型 画面 T3 生徒C 生徒E 生徒D めあて ○○セールを振り返り、自己評価しよう。 生徒B 自己評価シート 自己評価シート ロールプレイング ① 生徒 A 写真 ロールプレイング ① 生徒 B ロールプレイング ② 生徒 A 写真 ロールプレイング ② 生徒 B 写真 自己評価シート 呼び込みをする場面 目標 販売活動 生徒 A 写真 販売活動 生徒 B 写真 自己評価シート 3つの場面 目標 自分で ◎○△× 先生・友達と ◎○△× 先生・友達と ◎○△× 大型 画面 T2