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「新しい日本語」と日本語教育

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Academic year: 2021

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国立国語研究所学術情報リポジトリ

「新しい日本語」と日本語教育

著者

阪田 雪子

雑誌名

日本語科学

7

ページ

3-3

発行年

2000-04-15

URL

http://id.nii.ac.jp/1328/00002026/

(2)

「新しい日本語」と日本語教育

阪田 雪子

 噺しい時代に応じた国語施策の在り方について」の三間を受けた第20期の国語審議会(平 成5年11月)の課題は,「書葉遣いに関すること」,「情報化への対応に関すること」および 「国際社会への対応に関すること3であった。国語審議会がこのような問題について諮闘を 受けたのは,その60年に及ぶ歴史の中ではじめてのことであるという。最近では新聞や雑 誌などにおいても,敬語をはじめ言葉遣い・漢字の使用などが「新しいH本語」の問題と して取り上げられることが多い。また,内外における日本語学習者数の増加や学習目的の 多様化に対応すべき日本語教育の在り方についても多くの課題をかかえることとなった。  もはや従来のように,規範にのっとり「H本語の乱れ」として問題にするだけでは済ま されなくなってきている。敬語の使い方についても,例えば,尊敬語・謙譲語を正しく使 い分けなければならないというだけではなく,コミュニケーションを円滑にするという観 点が重視されてきている。日本語教育においても,日常の会話では「きょう授業ある?」 というのが普通であるから,「きょう授業がありますか。」というモデルを学習者に強制し ているのは当を得ないという意見もある。しかし,コミュニケーションの場面で目上の人 にも失礼にならない表現をまず学ばせるという点を配慮すれば,最初は助詞を省かない「で す・ます」の丁寧体の会話を指導することが必要である。要は,多様な学習目的に応じて 考えるべき問題なのである。  戦後,日本語教育が再開され教材の制作が始まったのは昭矛目20年忌後半であるが,当時 の国語審議会が建議した「これからの敬語」(昭和27年)が大きなよりどころとなった。「こ れからの盛土では,[すべて社会人としては相互に対等のことばづかいをするという大原 則をうちたてることが必要」であり,「です・ますの敬語体で受け答えするという心がけが たいせつ」だとしている。中でもそれまで標準語としては認められなかった「大きいです」 「小さいです」という丁寧形が自由に使えるようになったことは,日本語教育にとって画期 的であった。しかしこの時は,過去形については将来のこととして先送りにされたのであ る。戦後,最も早く制作された日本語の教科書「MHONGO NO HANASH王KATA」(国 際学友会編昭和29年)では,「暑いです/暑かったです」に加え,妬くないです/暑くなかっ たです」の形も入れている。「です」を除けば,そのまま普通体として使用できることを考 慮したものである。「暑くありません/暑くありませんでした」が標準的な形であったから, 一部の人には奇異に聞こえたようであるが,現在では,「暑かったです3はもちろんのこと 「暑くないです/暑くなかったです」も一般化している。これにつられてか最近,口頭語で は「そんなこと知りませんよ/知りませんでしたね」が「知らないですよ/知らなかった ですねJという謡い方までするようになっている。  言葉は時代とともに変化していくものであるから,あまり規制を加えず自然の変化にま かせようという考え方もあるが,やはりいろいろな面での調査・研究の成果を踏まえた上 で,教育のよりどころとなる,また,国際化の時代にも耐えうるような日本語のあるべき 姿や方向性が示されることが望ましい。 3

参照

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