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<原著>DICに対するメシル酸ガベキサート(FOY)の多施設による治療効果の検討 利用統計を見る

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(1)

DICに対するメシル酸ガベキサート(FOY)

の多施設による治療効果の検討

林葉井

小千石

  勲1)・栗原  淳1)・田村康二1)

直彦2)・芦沢  健2)・荻原輝男3)

信 義3)    1)山梨医科大学第二内科学教室*    2)山梨県立中央病院血液内科    3)早川町国保飯富病院    4)韮崎市立病院 抄録:Gabexate Mesilate(FOY)のDICに対する臨床効果を単独投与とヘパリンとの併用投与 において,多施設(4施設)にて評価した。評価は小委員会にて診断基準とFOYの投与条件を満 足する症例において、主治医判定による臨床症状の改善下血症状と臓器症状)と凝血学的検査所 見とDIC診断基準スコアーの改善の面より総合的に評価した。対象症例は36例であり, DIC 31例, DIC準備状態5例であった。 FOYは1∼2 mg/kg/hrを,ヘパリンは10000∼20000単位を24時間 持続点滴とし,7口間以上投与した◎臓器症状と出血症状の改善率はFOY単独でそれぞれ75%と 50%,ヘパリンとの併用では87%と83%であった。凝血学的検査所見の改善率ではFOY単独とヘ パリン併用で血小板数はそれぞれ54%と64%,FDPでは69%と86%,ブイブリノゲンでは80%と 100%,プロトロンビン時間では67%と78%であった。診断基準スコアーの改善率でもFOY単独 63%、ヘパリン併用64%と良好な成績であった。FOYによるFDPの改善は投与後3日閤頃より 正常化する例があり,6日目では大多数例が正常化した。血小板は6日目より上昇傾向を示し,正 常化は14日目以後に見られた。  FOYはDICの治療には単独或いはヘパリンとの併用のいずれにおいても有用であった。検査 所見ではFDPの改善が良好に見られ, in vivoではFOYは線溶系の抑制にも関与していると考 えられた。 キーワード FOY, DIC,臨床効果, FDP,血小板

L緒

言  血管内固症候群Disseminated Intravascular Coagulatio聡(DIC)は何らかの機転により血管 内で凝固系が活性化されることより,全身の微 小血管に血栓が形成され,その結果として血小 板や凝固因子の消費,二次的線溶充三等が生じ *〒409−38山県梨中巨摩郡玉穂町下河東1110 受付:■987年4月15日 出血傾向,微小血栓等による種々の障害を来す

疾患である。このDICの治療には従来はヘパ

リンが一般的に使われて来た。藤井らにより開

発された蛋白分解酵素阻害剤であるGabexate

Mesilate(FOY)はセリンプロテアーゼに対する 阻害作用を有することより2),膵炎の治療薬

として使用されているが,最近はDICの治療

薬として注目されている。FOYはトロンビン, 活性型第X因子,プラスミン,カリクレイソ活

(2)

I12 小 林 性を抑乱し2),動物実験ではトロンビン注入に よるDICを抑制し3),1血小板凝集能をも抑制

する4)等の実験結果より,DICに有用である

と考えられている。ヘパリンによるD茎Cの治

療は投与量や投与方法において確立されたもの がなく.また,実際の臨床例では出血傾向を助

長させたり,アンチトロビソ皿(ATHD依存性

であることからAT皿の低い例には効果が少

ない等の使用制限があったりして使いにくい面 があっ:た。我々はこれまでに多施設によるDIC

の:FOY単独とFOYとヘパリンとの併用によ

る治療効果を比較検討し,一部中間報告を行っ て来たが),今回症例数が36例に増えたのでま とめて報告する。 II. i実施方法  山梨県内の4施設において,代表する医師4 名を選出し,小委員会を結成した。小委員会に て主治医の判断による効果判定項目(出血症状 と臓器症状の改善度,即ち,臨床症状の全く軽快 した場合を改善,改善傾向のみられた場合をや や改善.変化のみられない場合を不変,悪くなっ た場合を悪化とした。)とDICの検査所見上の

改善項目とDIC診断基準スコアー上の改善項

目を記スするアンケート用紙を作成し,各施設 に配布した。回収したアンケートで下記の条件 を満足した症例において,上記項目について総 合的に小委員会でFOYの臨床評価を行・)た。  対象症例は感染症,悪性腫瘍,肝疾患等で厚 生省のDIC診断基準6)を満足した場合とした。 さらに、患者の全身状態,薬剤の副作用等を考 慮して.薬剤の適用量範囲内で治療できた症例

を対象とした。従ってFOYは1∼2mg/kg/時

間を,へ・ミリソは10000∼20000単位/日を24時 間持続点滴投与することを原則とし,いずれも

7日間言上投与した症例を対象とした。FOY

単独或いはヘパリンとの併用別の選択は主治医

の判断にゆだね,無作為に行った。FOY投与

期間中は凝固線溶系に影響を与える薬剤の併用 は行わないこととした。検査所見が明らかな変

動を示したが,DIC診断基準スコアーに到達

勲,他

しない症例をDIC準備状態として取扱い,DIC

例と同様に薬剤効果について検討した。また, 検査値の変動は各施設における測定誤差値を考 慮して検討した。 III.成 績

 4施設より集められた症例数は46例あった

が,小委員会の判定基準を満足した例は36例で あり,この36例を対象とした。対象背景は男性 27例,女性9例と男性に多く見られ,年令分布 では50∼59歳に多く見られた。患者の本来の病 気(基礎疾患)を表1に示した。悪性腫瘍が23 例と最も多く,内訳は固形癌と血液学的悪性腫 瘍がほぼ同数であった。固形癌では胃癌が,血 液学的悪性腫瘍ではacute promyelocytic leu− kemia(APL)が最も多かった。次いで感染症, 肝疾患に合併したDICが多く見られた(表1)。 表1対象症例の基礎疾患 1.悪性謹鰯  23例 @  固形纏  12伊i 爾癌 (4),胆管癌 (2),食道裏藍 (1)、庭華臓ヲ富 (1)、 x癌(肇),子富頚癌(2).卵巣癌(1). 面川副的11{馨 ォ姓腫瘍 APL(4),ALL(1),AMMoL(1).CML悪牲転{ヒ(1). ォ性リンパ纒G)多発性骨髄腫(1), cYsmybpoie電lc Syndrome(1)、 zジキン病(1), ∬.感染症   4弼 汎発性腹膜炎(1)後戸膜膿 (D,敗血症(1),胆のう炎(1) m.脳血管障審 2例 クモ膜下出助平感染(1)脳梗塞+感染(⇔ W,膠原病   2例 膠陳病+敗面症(2) V.肝疾患   4例 劇症陽炎(2),非代償性肝硬変(わ,肝硬変(1) W.その他   可例 腎不全(1)  APL:acute pr◎myelocytic le覗kemia AMMoL:acute myelomo簸ocytic leuke孤ia  ALL:acute Lymphocytic leuke磁ia  CML:chlonic myelocytic leukemia  合併症としては臓器障害と出血症状が見られ

た。臓器障害はDICで48%に, Dic準備状態

で80%に見られた。部位としては肝(U例),腎 (13例)に多く見られ,他に肺,中枢等にも見られ

た。出血症状はDICで79%に, DIC準備状態

で60%に見られた。部位としては皮下出血(17 例),消化管出血(9例)が多く見られた。他に 注射部位,歯肉,ロ腔,尿,鼻等に見られた。

 FOY単独とヘパリンとの併用別の頻度を表

2に示した。DICおよびDIC準備状態ともほ

ぼ同数の割合でFOY単独とヘパリンとの併用

投与が行われた。DICの誘因としては固形癌

(12例),血液学的悪性腫瘍(9例)と感染症(9

(3)

表2DICの誘霞とな・)た疾患の分類とFOY

   単独,FOYとヘパリンの併用別の内訳

FOY

FOY+Hep

DlC

16

15

全 例

D℃準備状態

2

3

DIC

4

5

固形癌

DIC準備状態

1

2

DlC

8

3

血液学的

ォ性腫瘍

D℃準備状態

DIC

2

5

感染症

D℃準備状態

1

DlC

2

2

肝疾患

D℃準備状態

DlC

その他

DIC準備状態

1

表3FOYの臨床効果判定方法の内訳

表4出血症状の改善率 改善 やや ?善 不変 悪化 計 改善率 @% 全  例 12 4 8 喋 25 48(64)

DlC

11 4 6 1 22 50(68) DIC準備状態 1 2 3 33(33) 固 形 癌 4 1 6 1手 36(45) 血 液 予 ォ 性 腫 掲 2 2 1 5 40(80) 疾患別 感 染 症 4 1 1 6 67(83) 肝 疾 患 2 1 3 67(67) そ の 他 1 1 OqOO) DIC FOY単噂  轍  備  補  }  一  一  一 eOY+Hep  4胃一一

@7

 1一一幣

@3

 5需楠一

@1

一一 

@1

 10口階榊 @12 40(5◎)榊嚇一一一一鞘 T8(83) DIC ?備状態 FOY単一一一一一鱒榊榊 eOY千縫ep  1鱒鼎朧榊 轍  一  一  一一一榊榊

@2

開  糟  一  1一一一

@2

100(1◎0)唱  闇  榊  榊  ”  一  一 @◎ ()は やや改善以上の割合 表5臓器症状の改善率 1.臨床症状の改善      a)出血症状      b)臓器症状 H.凝血学的検査所見の改善      a)有  効:検査値正常化      b)やや有効:検査値改善      c)無  効:検査値不変または悪化 皿.団c診断基準スコアの改善      診断基準スコアの推移からみた判定     A特別疾患のない症例      a)有  効:治療後5点以下      b)やや有効:治療後6点      c)無  効:治療後7点以上     B特別疾患のある症例      a)有  効:治療後2点以下      b)やや有効:治療後3点      c)無  効:治療後4点以上 例)に多く見られた(表2)。  FOYの投与量は小委員会の判定基準に従い,

1∼2mg/kg/時間の量を投与したが,一日量

1500mg以上の例が外く見られた。投与;期間は 工週間から長期間の例で1ケ月間の投与例が見

られた。表3にFOYの臨床効果の判定方法を

改善 やや ?? 不変 悪化 計 改善率 @% 全  例 18 10 5 3 36 50(78)

DlC

15 10 4 2 31 48(81) DIC準備状態 3 1 1 5 60(60) 固 形 癌 4 3 3 2 12 33(58) 疾 親生震瘍 6 4 1 11 55(91) 患  感 染 症 5 2 1 8 63(88) 別  肝 疾 患 2 1 1 4 50(75) そ の 他 1 葉 100 DIC FOY単■一扁一一皿一一 eOY+Hep  7一一一

@8

 5一一一

@5

 3 一鴨

@1

 1榊縣備

@1

 16一  補  一 @15 44(75)一一一一一一噌 T3(87) DIC ?備状態 FOY単一一一一一一閏単 eOY+Hep  2一一一一 @ 1 一  一  一  鱒 榊備一一

@1

一一口 @葉  2一  騨  一

@3

100轍榊柵一一一一 R3(33) ()は やや改蕃以上の割合 示した。薬効の判定を臨床症状(出血症状と臓 器症状)の改善の面から主治医に依頼した。表 4と表5にそれぞれの結果を示した。出血症状 の改善率は全般的に良好な成績であるが,特に

感染症と血液学的悪性腫瘍で高率に見DICで

はFOY単独とヘパリソとの併用の比較で,ヘ

パリソとの併用例に高い改善率が見られている (表4)。臓器症状の改善では同様に全体に良好 な改善率が見られ,疾患別では感染症と血液学

的悪性腫瘍で高い改善率が見られた。DICと

DIC準備状態, FOY単独とヘパリソとの併用

の比較ではほぼ同程度の成績であった(表5)。  小委員会による評価の判定として,凝血学的

検査所見とDIC診断基準スコアーの改善につ

いて検討した。表6と表7に結果を示した。臨

(4)

114 小 林

表6 凝血学的検査所見の有効率

DlC

DlC準備状態

FOY

@単独

FOY

{Heparin

FOY

FOY

{Heparin

a) b) c) a) b) c) a) b) c) a) b) c)

Plt

1 6 T4% 6 7

 2

U4% 5 2 100% 1 100%

FD P

8 3U9% 5 8 4 W6% 2   2 ?00%  1T0% 1 Fb g 3 1W0% 1 1 3 P00% P  t 5 1 U7% 3 4 3 V8% 2 a)有  効 b)やや有効 c)無  効 …表7 DIC診断基準スコアーの有効率

FOY単独

FOY+Heparin

DIC

?備

団C

DIC

?備

DIC

a) 8 2 9 3 b) 2 0 c) 6 8 5 有効率

63%

20%

64%

100%

床効果の判定方法に示した如く,検査所見が正 常化した場合,改善傾向を示した場合,不変又 は悪イヒした場合の項目に分け,有効とやや有効

を合わせて有効率とした。DICでは血小板数

(Plt), FDP, ブイブリノゲソ(Fbg), プロト ロビソ時間(Pt)とも良好な改善傾向を示し,

FOYとヘパリンとの併用でより良好な改善を

示している(表6)。  また:,DIC準備状態でも良好な改善が見ら れた。診断基準スコアーの改善からの判定では

表7に示した如く,DXCではFOY単独,ヘ

パリンとの併用とも良好な有効率を示した。

Dlc準備状態ではへペリンとの併用で良好な

成績が見られた。

 FO Y投与後のFDPと血小板の回復状況を

経時的にプロットし,in vivoにおける:FOY

の凝固線溶系への影響を検討した。FDPの変

動を図!に示した。FDPはFOY単独および

ヘパリンとの併用投与により,投与後3日目以 内に正常に回復する例がみられ,6日目以内で は大多数の例で同様に改善が見られている。F血 勲,他

oO● △ O●△▲ ○●△ o● o● ○●

Oo● △ Q● ○● ○● o● ○● ○○● ○● ○● ● ● ○ ○ ● ▲ o● ○● ● 40≦ ○ ● 宦@● o●宦 ○● o ●● ○● ○ o ●● ○● o  ●● ○● ■  …       尊  駒 ○ ●●卿 願 騨 畢 9 ● 一 曽 ● 始 鷺 ■ ■ ■ 昂 ・ 「 曽 @● ●  ・  騨  晒  ■  9  .  ,  ・駒 轄 鞍 ■ ・ 巳 ・ ● ・ @● 騨 一 一 ・ 騨 単 噸 曾 ・ 糖 . ■ 顧 聯 . o o 馴 20≦ <40 ⇔  齢  聯  願  騨  願 暉 . 嘘 ● 轡 噌 ● ● 輔 顎 ・ . ロ ■ 響 ・ ● 齢 宦怐「 嶺 輔 ■ 畢 巳 ● ● 讐  嚇 B●  ▲ 聯 噸 ” ■ ■ 匿 ロ 響 曽 宦怐「▲ 囎 鷺 ■ ■ 価 ・ 軸 喩 剛 陶 B●△▲ ■  ‘  ●  輪  賜  .  ■  冒  胃 n●△▲ 10≦ ○● ○● O● ○● ○●△ ● ● ● O● ● 〈20 ●● o ○● ● ● ●  ・  讐  騨  卿  輪 聯 巳 一 ■ 響 ロ ロ ・ 伽 轡 , 卿 騨 , “ ・ ロ . 潤 曽  ・  瞥  鞠  聯  騨  畢  .  畢 O0●● 曽  ■  ・  ロ  曹  ・  ・  嘗  葡 盾n● 聯 願 甲 嘘 藺 讐 響 ・ 禰 宦宦怐 o , 咀 冒 ・ ・ の ・ ・ 宦宦怐 ○ ○○●● Oo● ○○●● ○○●● <肇0 ○○● ○  ●● OO●● ○ ● OO●● 投与開始日  ∼3   ∼6   ∼10   ∼14  投与終了時         経 過(臼) ○:DIC(FOY単独) ●:DIC(FOY十ヘパリン) △:DIC準備状態(FOY単独) ▲:DIC準備状態(:FOY+ヘパリン)

   図1FDPの回復状況

○● ●● ∼5.1∼ 騨 墜 ● 賢 ● 層 騨 齢 騨 “ o 幽  購 一 ■ ● 嘗 齢 齢 鞠  顧 口 隔 ■ 儒 鱒 騨 臓 帽  ●  ● 曽 櫛 働 ■  ・  脚 鱗 一 .  齢 輔 帯 o o  騨 伽  ・ ● ● ○● 10.1∼  10。O 潤@● ・ ● 鯖 齢 騨 輪 騨鱗 顧  ・  巳 .  ■ ● ・  o 鵜  鵬 聯 o 臓 脚 瞬 ■ ・ ・ ■ 願 欄  鱒  脚 騨  ・ 一 ●  齢  ● 冒 ・  幽  騨 ● ■  ・ o 騨 .

O● O● o● ○●

5.1∼ ●● o● ○ ○ 10.0 ○ 聯 騨 騨  脚 一 一 巳 騨 彌 噂 騨  脚  齢 鞘  ● 一 ●  ● o ・ 魯 齢 嶋脚  脚  鱒 騨 口 ・ 口 o 一 冒 儒 一 脚 櫛 脚 口  ■ ・ ・ 儒 騨 聯 騨 一 ● 糎 ○● ○● ○● ○● ○● ○● ○● ○● ○● ○● O● o● ○● ○● ○● O● ○●

O

∼5.0 ○● ○● ○ o ○ ○ ○● ○● ○ o O ○ o● ○

O

O

×10㌻!μ1 ○● ○ ○ ○●

O

○ ○● ○ 投与開始B ∼3 ∼6 ∼10 ∼14 投与終了時        経 過(日)    ○:FOY単独    ●:FOY十ヘパリン   図2 血小板の團復状況

小板の変動を図2に示した。:FOY単独および

ヘパリンとの併用投与により,6日目頃から回 復傾向が見られ,正常値(15万以上)に復する例

は14日目頃に見られている。血小板の回復は

:FDPに比較して回復速度が遅い傾向にあると

(5)

考えられる。  副作用としては2例に認められ,嘔気,嘔吐

が1例あった。FOYに比較的多く見られる血

管痛は,今回は認められなかった。

IV.考

 FOYは藤井らにより開発され,トロンビ

ン,血漿カリクレイソ,プラスミン,トリプシ ン,補体系を強く抑制することが報告されてい る1)。また,他家の報告でも大野らにより,合 成基質によるトロンビン,Xa,プラスミン, カリクレイソの活性の抑制2)が,桜川らにより Xa,トロンビン,プラスミン活性の抑制が7)報

告されている。FOYは広くセリソプロテアー

ゼに対して阻害作用を有するが,特にト・ソビ

ソ,Xaに対して拮抗阻害作用を有し,働物実

験系でも腎の血栓形成を阻止することより

antithrombotic agentとして分類されている8)

ことや,さらにADP,エピネフリン,コラー

ゲン,トロンビン等による血小板凝集能を抑制 する4)ことなどより,D工Cへの治療薬として応

用されている。FOYの血中半減期は80秒と報

告されて:おり9),臨床応用は持続点滴投与が有 用であると考えられている。今回の我々の検討

でもFOYを24間時持続投与することによって

臨床例に使用した。主治医の判定による出血症 状と臓器症状の改善度の検討では,神前らの報 告10)(出血症状の改善率54%)と比較しても,い

つれも良好誠績であると考えられる。DICに

おいては,FOYとヘパリンの併用例に比較的

良い成績が見られており,FOY単独よりもヘ

パリンとの併用を試みることも必要であると考 えられる。  :FOYは実験的に補体,キニソ系を抑制する

ことよりSepsisやEndotoxin Shockに有効で

あると報告されており11),動物実験でもEndo− toxin DICに有効であるといわれている3)。ま

た,実際の臨床例においてFOY投与後の効果

は病理学的検討で,ヘパリンに比して臓器での

血栓形成がSepsisにおいて特に著明に少ない

と報告されている12)。これらのことよりSepsis

やEadotox圭n等が原因しているDICに有効で

あると推測される。  小委員会の判定による凝血学的検査所見の改 善率,診断基準スコアーの改善率においては, 神前らの報告10)(凝血因子改善率一血小板49%, FDP 52%, Fbg 44%, PT 44%,凝血スコア 改善率63%)と比較しても良好な成績であると 考えられる。凝血学的検査所見の改善ではDIC において,ヘパリンとの併用例で良好な改善率 が認められており,診断基準の改善でも同様な

傾向であった。この点からもヘパリンとFOY

の併用が有効であると考えられる。さらに,こ れらの成績はヘパリン単独で検討した神前らの 成績10)(出血症状の改善率48%,凝血学的検査 スコアーの改善率62%)と比較しても遜色ない と考えられる。

 今回の36症例について血小板とFDPの改善

傾向を治療経過日数別に検討すると,血小板の 改善は6日目頃より見られ,正常値に復するの は14日目以後に見られている。この改善傾向は ヘパリンとの併用例に良好に見られた。:FDP

の改善はFOY投与3日目より見られ,正常値

に復する例も見られている。さらに,FOY投

与後14日目には大部分の例でFDPが正常化し

ている。FDPの血中半減期は1.5∼6時間と短

く13),血小板に比較して治療効果が早く認めら れるための変化と考えられるが,早期に:FDP

が正常化する機序の一つにFOYの線溶系への

抑制作用があるためではないかと考えられる。 大野らによるラットの実験系では腎へのフイブ リソ沈着を阻止するが,トロンビンによる血栓 の溶解は阻止しないと報告されており8),線溶 系への関与は否定的である。しかし,in vitro の実験系ではプラスミン活性を抑えるデーター も報告されており1)7),我々の血小板数とFDP の回復状況の検討結果では,in vivOでも線溶

系の阻止効果があるのではないかと考えられ

る。他にFOYの臨床効果としてMultiple Or− gan Failure(MOF)例14), Shock例15),悪性腫 瘍例ユ6)等でも良好な成績が報告されている。

 FOYはヘパリンと異なり, ATmを介さず

(6)

116 小 林 にトロンビンやXaを拮抗阻害的に阻止するこ

とより.AT皿の減少するDICや肝疾患に伴

なうD貰Cに有効であるとの報告も見られる17>。

従来のヘパリンによるDICの治療は出血傾向

の助長や10),AT皿低下例での効果の減少等が あり,使用しにくい面があった。

 この点,FOYは出!血傾向の助長もなく,

AT皿を介することもないので比較的使用し易

いと考えられる。DIC症例で出血傾向の強い

例,AT皿の低下する例, Seps三sやEndotoxin

Shockにより誘発された例やFDPが高値で線

溶系が強く作用している例等では,:FOY単独 或はヘパリンとの併用による治療を試みる価値 があると考えられる。 文 献 り Yoshiuki, T., Masayuk重, H., Kazuko,0., Yo−   shihlro, M. arld Setsuro, F.:Syllthetic inhibi−   t(》rof trypsin, P玉asmin, ka茎玉ikrei11,由rombin,   C費and Cl esterase・81・chem. Bi・Phys。 Aαa,   484,4117−422,1977. 2) o為no, H., Kosaki, G., Kambayashi, J., Imao−   ka, S. and Hirata, F.: FOY[Ethyl P一(6−   guanidin・hexan・y1・xy1)benz・ate]㎜αhane−   sしdfonate as a serine proteinase inhibitor.1.   Inhlbition of thrombin and factor Xa in vitro.   Tぬromb.:Res.,19,579−588,1980. 3) Isobe,∫.:Inhibi宅ory e仔ects o£gabexate mesi・   1a匙e(FOY)on experimental DIC. In:KININS   H:Sys£emic pro£eases and ceUular funαion,   3185−394,£d.Setsum Fujii, Plenum Publishing   Ccrporation, New York, 1979, 4)K・・aki・G・・N・m・・a, T…dK・mb・y・・hi, J.・   rhe meChaniSm Oεthe inhibitOry e綬eCt Of   protenase inhibitors o1ユ Plate1α aggregat韮on   and cellular synthesis of prostaglandins.1、 The   e督ect on the release of arachidollic acid fro塒   phospholipids. Thromb. Res.,20,587−598,   1980, 5) 小林 勲,栗原 淳,田村康二,千葉直彦,芦

  賊乱:DICにおけるFOYの臨床効果,新

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(7)

Clinical Effect of Gabexate Mesilate (FOY) on DIC in Multiple Institutions

Isao Kobayashii), Atsushi Kuriharai), Kohji Tamurai), Naohiko Chiba2), Takeshi Ashizawa2) ,Teruo Ogiwara3) and Nobuyoshi Ishiia') 1) 2nd DePartment of lnternal Medicine, Yamanashi Medical College

2) Hematological DePartm・ent of Intesrnal Medicine, Yamanashi Prefectural CentTal HosPital 3) Surgical DePartment of Iitomi HosPital

4) Internal Medicine of Nirasahi City HosPital

Clinical effect o£ Gabexate Mesilate <FOY) on DIC was estimated by single administration and by combination use with Heparin in four institutions. The estimation of FOY effectiveness

on DIC was performed by a small committee based olt the improvement of clinical symptom (hemorrhagic diathesis and organ involvement) which was judgecl by Doctor and on the

im-provement o・f laboratory data and diagnostic score for DIC which was decided by members of small committee.

The number of subjects were 36 including 31 of DIC and 5 of pre DIC. The doses of FOY employed were l-2 mglKglhr and Heparin IOOOO-20000 unit/24 hours, administered over

24 hours, with drip in£usion method, for more than 7 days.

The improvement of organ involvement and hemorrhagic diathesis was observed in 75%

and 50% respectively by single administration of FOY and 87% and 83% respectively by combi-nation use with HepariR. The betterment of laboratory data (platelet count, FDP, fibrinogen

and prothrombin time) was observed in 54%, 69%, 80% and 67% respectively by single ad-ministratiolt of FOY and in 64%, 86%, IOO% and 78% respectively by combination use with Heparin. The improvement of diagnostic score foer DIC was observed in 63% by single ad-ministration of FOY and in 64% by combination use with Heparin. From these data single

administration of FOY and combination use with Heparin seem to be useful for DIC therapy.

Key words: FOY, DIC, CIinical Effect, FDP, PIatelet

参照

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