長野大学紀要 第15巻 第4号 33-44頁 (402-413頁 )1994
要介護高齢者 に対す るシ ョー トステイサー ビスの再検討
― 施 設 機 能 利 用 サ ー ビ ス と し て の 問 題 点 ―
A R e v i e w o f S h o r t S t a y C a r e S e r v i c e f o r t h e D e p e n d e n t E l d e r l y
― I s s u e s i n U t i l i z i n g N u r s i n g H o m e ―
岡
村
裕
萩
原
清
子
Hiroshi Okamura Kiyoko Hagiwara
Ⅰ. ショー トステイサ ービスの 再 検 討 の 必 要 性 加齢、疾病の結果、た とえ身体機能が低下 して も、住み慣れた居宅 において生活 を続けたい とい う望 みは誰 もが捨て きれない。厚生省は、現在、 その望み を実現す るため、在宅福祉対策の緊急整 備 を推進 している。 シ ョー トステ ィサー ビス(以下 シ ョー トステ イ) はその在宅福祉対策の一つ であ り、施設サー ビス を地域に開放す る施策の一環 として昭和53年度に 制度化 された。その 目的は、現在、要介護高齢者 を施設に一時的に保護 し、介護者の負担軽減 を図 ることにより、要介護高齢者 とその家族の福祉の 向上 を図 ることとされている。 また、その利用要 件 は、原則 として、G)概ね65歳以上で家族の介護 を受けている者であ り、②疾病、出産、冠婚葬祭、 災害 、失鯨、出張、転勤 、看護 、学校等への公的 行事への参加 の社会的理由 とそれ以外の私的理由 のために家庭 での介護が困難な状態にあることに 加 えて、③実施主体 である市町村の首長が保護す る必要があると認めた場合 とされている
1
)
。
当初 、その利用要件については社会的理由のみ に限 られていた.それが、介護者のニー ズの拡大 に伴 い、昭和60年度には社会的理由以外の介護疲 れ,旅行等の私的理由による利用が可能にな り、 続いて平成元年度には、従前全額 自己負担であっ た私的理由の利用料が、社会的理由 と同額に改め られた。 さらに対象者について も常時の介護が必 要 な者に加 え、虚弱な高齢者にまで範囲 を拡大 し た O 書長 野大学研 究生 ・H長野大学 この ような利用要件の改定 に伴 い、その受け皿 に関 して も量的な拡大が図 られて きた。当初 、こ の事業は特別養護老人ホームの空 きベ ッ ドのみ を 活用 していた。それが、昭和60年度か ら国庫補助 に よる専用ベ ッ ドの整備 、虚弱な高齢者のための 養護老人ホームにおけ る事業が開始 され、平成元 年度にはシ ョー トステ イ専 門施 設の整備 も始 まっ た。そのベ ッ ド数 については着実に整備 されて き てお り、高齢者保健福祉十カ年戦略においては、 平成11年 までに5
万床 までの増床 を計画 して い る2)。 また、原則 として7日以内の利用期間につ いて も、介護者の多様 なニーズに対応 して、状況 に応 じた期 間の延長が検討 されている。 本来、ショー トステ イは介護者のためのサー ビ ス とい う性格が濃い。前述 したように、わが国で は、その対象者は原則 として家族 の介護 を受けて いる要介護高齢者である。 また、サー ビス利用の 契機 となるのは、要介護高齢者の意志 、選択では な く、介護者の疾病,休 息,用事等 とされている。 アメ リカにおいて もわが国のショー トステ ィに あたるレスピ トケアは、その名称が示す とお り、介 護者の介護能力の維持、増進 を目的 とした介護者 の休養サー ビスである。最近、高齢者の施設長期 療養 ケアは経済的問題か ら退院 を迫 られ るケース が増加 し、その結果 として家族-の介護負担が増 えつつある。その介護負担 を軽減す るためにレス ピ トケア とい う一時的な介護の休止サ- ビスへの 要求が さらに強 くなって きている3)0 イギ リスにおけ るシ ョー トステ ィについては、 わが国やア メ リカの場合 と若干の差がみ られる。 -33-403 長野大学紀要 第15巻 第4号 1994 介護者の休 息、休養が最 も多いが 、高齢者 自身の 休 暇、老 人ホームへ の入所準備 といった理 由 も続 いて 多い4)。 とはいえ、介護者のためのサー ビス とい う性格 はや は り強い。殆 どの介護者は、 シ ョ ー トステ ィの最 も重要 な効用 を介護者の休養 であ る と述べ 、シ ョー トステ イに対す る肯定的な考 え を示 して い るo その一 方 、 高齢 者 につ いてはシ ョー トステ ィを楽 しみに している者 もいるが、部 屋の共有につ いての不満等か ら利用 した くない と 訴 えた り、介護者のために仕方 な く利用す る等 、 家族 と高齢者のニー ズに不一致が ある とも指摘 さ れている5)。 この シ ョー トステ ィにつ いて、全国社会福祉協 議会は、平成3年8月に特別養護老人ホー ム77施 設、その利用者708人 を対象 として実態調査 を行 っている6)。それに よる と、シ ョー トステ ィを利 用 した介護者の92.8%は再度の利用 を希望 してい る。そ して、今後 の利用形態につ いては、「介護す る 自分の健康状態b)維持のため」59.7%、「冠婚葬 祭等、何か必要 のある場合」91.2%、「高齢者の気 分転換 、療養」20.1%を希望 している。 また、高 齢者のシ ョー トステ ィの利用に対す る捉 えか たに つ いては、「自分 か ら積極 的に 利用 したい とい う 気持 ちを持 っていた」13.1%、「説得 し、納得 して もらった」40.7%、「仕方 な く」は10.6%、「はっ き り知 らせ なか った」7.5%、「どう受け止め たの か わか らない」20.6%と介護者 は答 えている。 さらに、調査結果の中には注 目すべ き部分があ るOそれはシ ョー トステ ィ利用後の高齢者の身体 状況等の変化 につ いての家族の回答であるO最 も 多か ったのは 「特 に変化 はない」の57.8%であっ たが 、続 いて 「落 ち着 いて きた」17.7%、「よ く話 をす るようになった」13.3%、「家族 に対 して協力 的になった」11.9%、「意欲 が出て きた」ll.4%、 「病状が よ くなった」10.7%とシ ョー トステ ィのプ ラス面が現れていた。 しか し、その一方 では、「病 状が悪 くなった」2.3%、「話 しかけが少な くな っ た」3.5%、「積極性 がな くな り、意欲 がな くなっ た」3.1%、「不安定 になった」3.8% とほ ん の 少 数 ではあ るが 、マ イナ ス面 もデー タか ら浮かび上 が って きている。 数字的に少数 ではあるが、この実態調査 におけ るシ ョー トステ イのマ イナ ス面 を看過す るこ とは で きない。 とい うのは、仮 に介護者の負担 を一時 的に軽減 で きた として も、シ ョー トステ イが高齢 者 に とって悪影響 をもた らす要素 を含 んでい るな らば、結果 として、高齢者の身体 あるいは精神機 能 を低下 させ 、利用後の在宅生活に も支障 を与 え かねないか らであ る。 では、実際、その ような事 実が あるのだろ うか。 もしあ る とす るな らば、シ ョー トステ ィが高齢者に悪影響 を与 えている要 因 は一体何か。 この間題 を解決す るためには、実際のサー ビス の提供主体 である施 設での実践の視 点か ら検討 し なおす必要がある。 なぜ な ら、制度上 シ ョー トス テ ィは、在宅サー ビスの中に含 まれてはいるが 、 実際は、介護者の負担 を軽減す るために高齢者が 施 設に入所 し、施 設機能 を利用 したサー ビス を受 け る とい う性質の ものだか らであ る。 しか し、こ れ までの ところ、施 設側 の視点か らシ ョー トステ イにつ いての検討 は充分 に行 われて きた とはいえ ない。 そこで、以下 、 まず シ ョー トステ ィ利用者の実 態 をケ-ススタデ ィし、その結果 をもとに、現行 シ ョー トステ ィの抱 える問題点につ いて考察 した
い。
Ⅰ
Ⅰ.
ショ- トステイサ ービスの 利 用 実 態 一 特 別 養 護 老 人ホームA
施 設 における実践 から一 本章 において分析す る対象施 設は、かつて岡村 が勤務 していた特別養護老人ホームA
施 設であ る。 A施 設は、23市町村の広域一部事務組合 に よって 運営 されているO定 員は措置100人、シ ョー トス テ ィ20人であ り、一般棟 に90人、痴呆専用棟 に30 人が入所可能 であ る。 シ ョー トステ ィは寝 た き り 14人、痴呆6人のベ ッ ドが用意 されている。 調査 は、1991年7月か ら1993年3月までの延べ 利用者231人 を対象 とした。延べ 人数 を採用 した のは、同一人物の再利用について もその度に生活状 態 、利用理 由は当然異なるため である。 シ ョー トステ イ利用者は、費用負担の関係 で雇 た き りか痴呆の どち らか一方に属す こ とにな るが 、 その区分 は実施市町村で決定 している。内訳は、 -3 4-岡村裕 ・萩原清子 要介護高齢者に対す るシ ョー トステ イサー ビスの再検討 404 痴呆109人、溝 た き り122人であった。 1. ショー トステイ利 用 者 の 概 要 (表
1
参照 ) まず 、利用 日数 につ いて であ るが 、平均 はほぼ 1ヶ月であ った。 7日以 内の本来の意 味 での シ ョ - トステ ィ利用者は65人 と300/.に も満 たなか った。 一万、 2ヶ月以上の利用者が13人いたOそれ ぞれ 63日、84日、90日、180日、180日、206日、271日、 305日、305日、343日、411日とい う数 であ り、か な りの長期 滞在 であ る。 次に家族状 況 であ るが 、最 も多いのは61%で息 子夫婦 との同居 であ った。 また、主 な介護 者 は息 子 の妻 、つ ま り嫁 の割合 が54.1% とやは り多か っ た。 利用理 由につ いては、「介護者 な し」、「介護 者休 養」、「介護 者疾病 」、「本 人休養」、「冠 婚 葬 祭」、 「介護 者仕事 」、「農作業 」、「住 居改造」、「その他 の 私 的理 由」 に分類 された。 この うち 「その他 の私 的理 由」 の内容 は旅行や レジャー 等であ る。最 も 多か ったのは 「介護 者休養 」の48.1%、続いて「介 護 者 な し」 とい う利用理 由 であ った。 入所経路 は 、 自宅か ら、他施 設の シ ョー トステ イか ら、老人保健施 設か ら、病 院か ら等 に分類 で きるが 、 自宅 か らが86.6% と圧倒 的に多か った。 また、退所場所 につ いては、 自宅 に帰 った ものが 76% と多か った。 自宅か らの入所86.6% を考 える と、10.6%の利用者が 自宅か ら入所 しなが ら自宅 に戻 れなか った とい える。 その 自宅 に戻 らなか っ た者 につ いては、 シ ョー トステ ィで措 置入所待機 し、順 番が まわ って きた者 は当施 設か 、他施 設に 入所 した。 しか し、入所 が決 ま らない者 は、他施 設の シ ョー トステ ィか 、老優 施 設に措 置入所待 機 で入所 してい った。施 設 での対応が 困難 で医療行 為が必要 と判断 されて病 院へ 入院 とな った者 もい た。最後 に利用者 のADL(ActivityofDailyLiving
:日常生 活動作 )につ いてであ るが、 ここでは排 湛状況 のみにつ いて調べ た。 なぜ な ら、介護 時 に おけ る負担 を考 え る場合 、や は り一 番重荷 にな る ものは排 湛行為 だか らであ る。排 浬動作 は精神 機 能 と身体 機能 のいずれか に何 らか の異常 が生 じて い る場合 、正確 に行 うこ とが で きないO特 に関連 が あ るのは、痴呆 の有無 、移動す る能 力、尿便 意 であ る。 この3つ の機能 の程度 に よって実 際の排 浬状 況が変 わ って くる。 そ して 、 これが施 設の 中 ではほぼ7つの形 に分類 された。 これにつ いて、 簡単 に分類す る と排 壮 自立 、部分介助 、オム ツ使 用 にな るが 、それ ぞれ41人、120人、70人 とな り、 部分 介助 を必要 とす る高齢者 の利用が 多か った と いえ る。
2
. 利 用 の 目的 と利 用 実 態 次 に 、利用 の理 由 と利用 日数 、入退所経路 、家 族状 況、ADLとの関係 につ いて 、どの よ うな利用 者が どんな 目的 で シ ョー トステ イを利用 して いる のか 、 その実状 をみてみ よう。 1)利用理 由 と利用 日数 (表2
-(1)参 照 ) まず 、利用 の理 由 と利用 日数 の関係 であ るが 、 全体 の利用 日数 の うち、「介護者 な し」が46.2% と ほぼ半分 を 占め た。 1
人あた りの平均 滞在 日数 が 最 も長か ったのは、97日の 「住居改造」 であ る。 しか し、
「住居改造」 に よる利用 日数 が全体 の5.1 % であ るこ とを考 え る と、たい した数 では ない と いえる。 最高滞在 日数411日は 「介護者 な し」 であ った。 その他 、「介護者休養 」 が60日、「介護者疾病」が 60日、「介護者の仕事」10日、「農作業」90日、「住 居改造」180日となっている。 しか し、「冠婚 葬祭」 の58日につ いては解釈が 困難 で、この理 由の中に は介護 者休養 等 の理 由 も含 まれてい るこ とも考 え られ る。 2)利用理 由 と入退所経 路 (表2-(2)、(3)参 照 ) 入所前 に 自宅 で生活 していた者が 、 どの よ うな 理 由 で シ ョー トステ ィを利用す るのだ ろ うかO 最 も多いのは、「介護者休養 」であ る といえる。 しか し、 ここで注 目すべ きは、「介護者休養 」での 利用 者が入所前に111人いたに もかか わ らず、 自 宅 に戻 った者が100人に減少 していたこ とである。 す なわち、「介護 者 休 養 」 で利用 した として も全 員 が 自宅 に戻 って い るわけ で は な い とい うこ と で あ る。 そ して、その11人につ いては退 所後 どう な って い るか とい うと、他施 設の シ ョー トステ ィ - の移動 、病 院、老健施 設 、特奉へ の措 置入所 で あ った。 さ らに、「介護 者 の病 気」、「本 人の休養 」 で利 用 した者 につ いて も、 それ ぞれ5
人、
1人 -35-4
0
5
長 野大学紀要 第1
5
巻 第4
号1
9
9
4
表1 シ ョー トステ イサ ー ビス利用 者の概要1
.性 別 男8
2
人 女1
4
9
人 _2.
区 分 痴 呆1
0
9
人 雇 た き り1
2
2
人3.
平 均 年 齢7
9.
4
歳4.
利 用 日 数 平均 日数3
3
日7
日以 内6
5
人8
日∼3
0
日1
0
0
人3
1
日-6
0
日5
3
人6
1
日以上1
3
人5.
世 帯 の 状 況 ① 一 人 暮 し1
6
人 (6.
9
% )
② 老 夫 婦2
3
人 (1
0.
0
% )
③ 老夫婦 息子夫婦 同居1
3
人 (5.
6
% )
④ 老夫婦娘夫婦 同居2
人 (0.
9
% )
⑤ 娘夫婦 との同居2
5
人 (1
0.
8
.
% )
⑥ 息子夫婦 との同居1
4
1
人 (6
1.
0
% )
⑦ 独 身の子 との同居8
人 (3.
4
% )
⑧ 兄弟 の家族 との同居1
人 (0.
4
% )
⑨ 兄 弟 との同居2
人 (0.
9
% )
6.
主 介 護 者 ① な し2
3
人 (1
0.
0
% )
② 配 偶 者3
9
人 (1
6.
9
% )
③ 息 子1
3
人 (5.
6
% )
④ 娘2
5
人 (1
0.
8
% )
⑤ 息 子 妻1
2
5
人 (5
4.
1
% )
⑥ 兄 弟1
人 (0.
4
% )
⑦ そ の 他5
人 (2.
1
% )
7.
利 用 理 由 ① 介護 者 な し4
1
人 (1
7.
7
% )
② 介護者休養1
1
1
人 (4
8.
1
% )
③ 介護者 の疾病2
5
人 (ll
.
0
% )
④ 本 人 休 養5
人 (2.
2
% )
⑤ 冠 婚 葬 祭1
0
人 (4.
3
% )
⑥ 介護者仕事上都合1
0
人 (4.
3
% )
⑦ 農 作 業6
人 (2.
5
% )
⑧ 住 居 改 造4
人 (1
.
7
% )
⑨ その他 の私 的理 由1
9
人 (8.
2
% )
8.
入 所 前 生 活 場 所 ① 自 宅2
0
0
人 (8
6.
6
% )
② 他福祉施 設1
3
人 (5.
6
% )
③ 老 優 施 設8
人 (3.
5
% )
④ 病 院1
0
人 (4.
3
% )
9.
退 所 場 所 ① 自 宅1
7
6
人 (7
6.
2
% )
② 施 設 措 置1
7
人 (7.
6
% )
③ 他施 設短期2
3
人 (9.
9
% )
④ 老 優 施 設5
人 (2.
2
% )
⑤ 病 院1
5
人 (6.
5
% )
1
0
.
利 用 者A D L
① 施 設 内 自立 トイレ4
1
人 (1
7.
7
% )
(卦 常 時臥床 オムツ6
5
人 (2
8.
1
% )
③ 部分 介助 ポー タブル1
7
人 (7.
3
% )
④ 痴呆 臥床 オム ツ4
0
人 (1
7.
3
% )
⑤ 痴呆 オムツ1
4
人 (6.
1
% )
⑥ 痴呆 トイ レ誘導2
9
人 (1
2.
6
% )
ー3
6-岡村裕 ・萩原清子 \要介護高齢者 に対す るシ ョー トステ イサー ビスの再検討
4
0
6
表2 利用の 目的 と利用実態 (1)利用理由 と利用 日数 (単位 :日N-7
6
6
1
)
6
0
9
6
1
5
8
7
9
8
2
2
3
1
3
9
「 -介護者なし . 介護者休養 介護者の疾病 本 人 休 ,義 冠 婚 葬 祭 介護者仕事上都合 農 作 業 住 居 改 造 その他の私的理由 (2)利用理由 と入所前居場所1
0
0
0
8
0
0
0
6
1
6
6
6
5
1
9
8
5
4
1
%
%
%
%
%
%
%
%
%
2
2
0
2
4
7
0
1
2
6
9
0
2
1
0
3
5
2
4
2
1
(
(
(
(
(
(
(
(
(
4
0
8
1
2
1
8
8
9
4
5
3
8
1
5
2
8
6
5
2
7
1
1
2
3
1
3
2
自 宅 特養短期 老 優 病 院 介護者休養1
1
1
0
0
0
介護者の疾病2
4
1
0
0
本 人 休 養4
1
0
0
冠 婚 葬 祭1
0
0
0
0
介護者仕事上都合1
0
0
0
0 住 居 改 造4
00
0
その他の私的理由1
9
0
0
0
(3)利用理由 と退所場所 自 宅 特養短期 老 健 病 院 特養長期 介護者なし5
1
2
5
9
1
0
介護者休養1
0
0
6
0
5
5
介護者の疾病1
9
4
0
0
2
本 人 休 養3
1
0
1
0
冠 婚 葬 祭1
0
0
0
0
0
介護者仕事上都合1
0
0
0
0
0
農 作 業6
0
00
0
住 居 改 造4p
O
O
O O その他の私的理由1
9
0
0
0
0
と数 は少 ないが 、 自宅 に戻 って い ない者 が存在 し て い る。 「介護 者 な し」とい う理 由 に よる利用者 の 中に 自宅 に戻 った者 が少 ない こ とにつ いては 、あ る程 度理解 で きるが 、「介 護 者 休 養 」、「介 護 者 病 気 」、「本 人休養 」 とい った理 由 での利用 者 のすべ てが 自宅 に戻 って いな い とい うこ とは何 を意 味 し て い るの だ ろ うか 。 この こ とは 、「介護 者休養 」、「介護 者疾 病 」 とい う理 由が 、「介護 者 な し」とい う理 由の前段階 、す な わ ち、介護 困難状 態 の予備群 であ る とい うこ と を意 味 して い る と思 われ る。在宅 介護 が 限 界 での 利用 の ため 、高齢 者 あ るいは 、家族 の生 活状 況 の 微 妙 な変化 に よ り、 自宅 に戻 る こ とが 困難 にな っ て い るの であ ろ う。 一 方 、冠婚 葬祭 、仕 事 上 の都合 、農 作 業 、住居 改造 につ いては 、全 員が 自宅 に戻 って い る。 これ らの理 由 の利用 につ いて は、在宅 介護 継 続 の危機 的状 況 に は その時 点 では なか った とい え る。 3)利用理 由 と家族 介 護状 況 (表2-(4)、(5)) 「介護 者 な し」とい う理 由 で利用 した者 は、全 員 - 3 7-407 長野大学紀要 第15巻 第4号 1994 (4)利用理由 と世帯 の状況 (単位 :人) 一人暮 し 老夫婦 子 との同居 その他 介護者なし 13 9 19
0
介護者休養0
9 100 2 介護者の疾病0
3 230
本 人 休 養 3 20
0
冠 婚 葬 祭0
1 90
介護者仕事上都合0
0
10 0 農 作 業o
ノ
0
60
住 居 改 造0
2 20
その他の私的理由0
2 170
(5)利用理由 と主介護者 (単位 :人) な し 配偶者 子 ども 息子の妻 その他 介護者なし 17 12 6 13 3 介護者休養0
18 13 77 3 介護者の疾病_
0
6 6 130
本 人 休 養 50
0
0
0
冠 婚 葬 祭0
20
80
介護者仕事上都合0
0
6 40
農 作 業0
0
2 40
住 居 改 造 1 10
20
(
6
)
利用理由 とADL
(排壮) (単位 :人) 施設内自立 部分介助 オムツ使用 介護者なし 12 18 11 介護者休養 8 62 41 介護者の疾病 61
1
8 本 人 休 養 50
0
冠 婚 葬 祭 2 6 2 介護者仕事上都合0
9 1 農 作 業 1 3 2 住 居 改 造 20
2 が一 人暮 しとい うわけ ではない。配偶 者 、子 との 同居 をしてい る者 のほ うが 多い。41人 中28人 と、 半分以上が実際同居 して いる。 また、主 な介護 者 も配偶者12人、子 6人、息子 の妻が13人 と存在 し てい る。す なわち、「介護者 な し」とい う理 由 での 利用者 は、実際介護 者が いないわけ ではな く、介 護す る能力のあ る者が いないか 、介護す る意志が ないか 、あ るいは介護 の限界に きてい る ものであ る といえる。4
)利用理 由 と高齢 者のADL
状況 (排池 ) (表2-(6)参 照 ) 「介護者 な し」とい う理 由に よる利用者 と介護 者 に何 らか の理 由が あ って利用す る者 との間に高齢 者 のADL
に明 らか な差 はない。む しろ、施 設 内 自立者 につ いては、「介護者 な し」の者 のほ うが 多 か った 。 この うち 「介護 者 な し」 での利用 に よる施 設 内 自立者 は、一 人暮 しの者 であ るO しか し、残 りの 者 は明 らか に介助 が必要 であ り、一 人暮 しは 困難 であ る。つ ま り、実 際は 「介護者 な し」 とい う理 由で利用 して くるが 、何 らか の形 で介護 者 は存在 して いるこ とが予 測 され る。 -38-岡村裕 ・萩原清子 要介護高齢者に対するショー トスティサービスの再検討
4
0
8
3. 入 所 時 と退 所 時 のADL(排 池 )変 化 ADLの項 目には 、食事動 作 、入浴動 作 、更衣動 作 、排 壮動 作 等 が あ る。 ここで は排 准状 況 のみ に つ いて調べ た。前述 した よ うに 、介護 時 におけ る 負担 を考 え る場合 、や は り一 番重荷 に な る もの は 排 壮行 為 だか らであ る。 まず 、入所 前 に どの よ うな状 況 に あ ったか をみ る と、表3-(1)、(2)の よ うに分 類す るこ とが で き る。排 准動 作 は精神 機能 と身体 機 能 の いず れか に 異常 が生 じて い る場合 、正 確 に行 うこ とが で きな い。特 に関連 が あ るの は 、痴 呆 の 有無 、移動 す る 能 力 、尿便 意 で あ る。 この3
つ の機能 の程 度 に よ って 、実 際 の排 湛状 況 を7つ の形 態 に分類 した。 そ こで 、 入所 時 と退 所 時 の排 浬 状 況 の変化 を比較 してみ た。 なお 、 「向上 」の ケー スにつ いて は殆 ど 観 察 され なか ったため 、ここでは 「維持 」 と同様 にみ な した。 表3 ADL(耕池状況)の分類 と変化 (1)施設におけ る精神 、身体状況 との関連か らの実際の排壮状況分類 痴呆症状 移 動 能 力 尿 便 意 . 実際の排壮状書見 1 無 自力でベ ッ ドか ら移動 で きる 有 トイレ、ポー タブル 2 無 自力でベ ッ ドか ら移動で きない 有 オムツ使用 3 無 自力でベ ッ ドか ら移動 できない 有 -介助 で尿便器 . 4 有 自力でベ ッ ドか ら移動で きない 蘇 オムツ使用 5 有 自力でベ ッ ドか ら移動 で きる 無 オヰツ使用(
2
)
(1)
の補 足 (分類1-7
の具体 的説明) 1.室内での生活はほぼ 自立で、尿便意 もあ りトイレで排准す る 2.常時臥床 で、尿 便意はあるがオムツ使用 している 3.常時臥床 しているが、尿便意があるため、介助によ りポー タブル トイレ尿器等で排滑す る 4.常時臥床 で痴呆症状があ り、尿便意 もないためオムツ使用 している 5.歩行は可能だが、痴呆症状があ り尿便意がないためオムツ使用 している 6.痴呆症状があ り、尿便意 もないが歩行可能 なため トイレ-の誘導で排壮す る 7.痴呆症状があるが、軽度で歩行可能 なため トイレで排准す る (3)排壮状況の変化 (単位 :人) 退所時排泄状況 入 所 前 維持 した者 低下 した者 変 化 1.施設内 自立 トイレ4
1
、
4
1
0
オムツ使用へオムツ使用へ2.
常時臥床 オムツ6
与
6
5
0
3.
部分介助 ポー タブル1
7
7
1
0
4.
痴呆臥床 オムツ4
0
4
0
0
5.
痴呆オムツ1
4
1
4
0
6.
痴呆 トイレ誘導2
9
1
4
1
5
(4)ADL低下 と利用 日数 入 所 時 排 涯 状 況 _ 退 所 時 変 化 平 均 利 用 日数 部 分 介 助 ポ ー タ ブ ル 維 持4
日 オムツ使用に低下2
8
日 痴 呆 ト イ レ 誘 導 維 持3
1
日-3
9-409 長 野大学 紀要 第15巻 第4号 1994 その結果 、入所後 、排壮状況に低下がみ られた 者は表3-(3)にみ られ るよ うに231人中25人で、 残 りは全員 「維持」の状態にある。「低下」ケース は
2
つ の タイプに分け るこ とが で きる。一つは、 自力でベ ッ ドか ら移動す るこ とがで きないため 、 介助 に よってポー タブル トイレな どで排 浬 を行 っ ていた者 の タイプであった。 もう一つは、痴呆症 状があ り尿便意 はないが 、歩行が可能 なため トイ レに誘導 して排浬 をしていた者の タイプである。 両者 とも半数 が退所時にはオムツ使用になってい た。 さらに、その2
つの タイプにつ いて、それ ぞれ 「維持」 した者 と 「低下」した者に分け、その利用 日数 につ いて比較調査 してみた(表3-(
4
)
)
。その 結果 、「低下」 した者は 「維持」した者 に比べ 、平 均利用 日数 が 多か った。 このこ とは、施 設入所期 間が長 ければ長 いほ ど、ADLの低下す る可能性が 高 いこ とを示 している といえる。 一方 、この2
つ一の タイプ以外の者 、す なわち、 生活がほぼ 自立 していて排他 を自力で行 っていた 者お よびオムツ使用者には 「低下」はみ られなか った。 以上の調査結果か ら、A
施 設におけ るシ ョー ト ステ ィとその利用者の実態が明 らか にな った。す なわち 「介護者休養」 とい う理 由に よる利用者の 多さ、「介護者 な し」とい う利用者の利用 日数 の 多 さ、 自宅復帰 困難者の存在、そしてADL低下者の 出現等であ る。 「介護者休養」が利用理由のほぼ半数 を占めてい たこ とにつ いては、シ ョー トステ ィが持つ介護 負 担の軽減サー ビス とい う性格か ら当然の結果 とい える。 しか し、その一万 で 「介護者 な し」 とい う 利用理 由に よる長期滞在者 、施設間移動者 の多き は、シ ョー トステ ィが施設入所待機者の臨時の居 場所 であ るこ とを示 してい るといえよう。利用 日 数 のほぼ半分 を占めていた 「介護者 な し」 とい う 理 由での利用者は、入所待機者 であ るこ とは間違 いないか らである。それは、入所前の生活場所や 退所場所の大部分が、他施 設の シ ョー トステ ィ、 老人保健施設、病 院であるこ と、また施設滞在期 間がか な り長 いこ とか ら伺 うこ とが できる。 自宅復帰が できなか った者の出現 につ いては、 在宅福祉サー ビス としての問題点 を示 している と 思 われ る。 しか し、 自宅 に戻 らなか った者の中に は、施 設長期入所 を待機 し当施 設か、他施設に長 期 入所 した者がいた こ と、 また入所が決 まらなか った場合 には他施 設の シ ョー トステ イか 、老健施 設に措置入所待機 で入所 した者が いたこ とは、 自 宅復帰 困難者の 中に在宅介護の限界に きていた者 が含 まれていたこ とを示 してい よ う。 A施 設におけ るシ ョー トステ ィ利用者 の大部分 は、在宅介護の限界が接近 しつつ ある者 、在宅介 護がす でに崩壊状態にある者 であった といえる。 しか し、ここで最 も看過 しえない問題 は、利用 者の中に少数 なが らADL低下者が 出現 したこ と である。 このこ とにつ いては、次章 でその原因 を 究明 したい。ⅢⅠ
.施設機能の利用サービスとしての問題点
前章 で明 らか になった利用者の実態の中で も、 特 に問題 となるのはや は り、利用者のADL低下 の問題 である。「低下」す る者 は2
つ の タイプに み られた。一つ は、 自力でベ ッ ドか ら移動す るこ とが で きないため 、介助 に よって ポー タブル トイ レな どで排継 を行 っていた者、 もう一つ は、症呆 症状が あ り尿便意はないが 、歩行が可能 なため ト イレに誘導 して排雅 をしていた者であった。両者 と も半数 が退所時にはオムツ使用になっていた。 さらに、施 設入所期 間が長ければ長 いほ ど、A DLの低下す る可能性 が高 いこ とを示 していた。 一 方 、 この2
つ の タ イプ以 外、す なわ ち生活が ほぼ 自立 していて排他 を自力で行 っていた者 、完 全 オムツ使用者には低下 はなか った。なぜ 、この ような形 でADL低下者が 出現す るのだろ うか。 A施 設におけ るADL低下事例 を検討 しなが ら現 行 シ ョー トステ イの問題点について考察 したい。 【事例 1】 介助 に よるポー タブル トイレ排涯か ら オムツ使用 にな ったケー ス Y ・K 男 79歳 (入所 までの過程 )2
年程前に脳梗塞 で倒 れ、以後 その後遺症 の左 半身マ ヒに よ り、常時臥床 の生活。 自宅 で 自営業 の長 男が介護 していた。他家族員 に つ い て は 不 -40-岡村裕 ・萩 原清子 要介護高齢者に対するショー トスティサービスの再検討 410 明。 日常生活は食事以外はすべ て介助 を要 した。 自宅 ではベ ッ ド使用。歩行が不可能 なため排浬は ポ- タブル トイレ使用 だが 、部分 的な介助 でなん とか で きていた。利用理 由は 「介護者休養」のた め で60日間の希望 であった。 (入所時) 長 男に付 き添 われて入所 。車椅子 で居室 まで介 助移動す る。排漸 ま調子 が よければ 自力でで きる との こ とであった。軽度 の痴呆があ り、ナース コ ール を使用す るこ とが で きない状況であった。 (入所後の生活) 排壮時ナース コールに よ り職員 を呼ぶ こ とがで きないため、 自力で排 浬 を試 るがベ ッ ドか ら転落 の ような形にな って しまうこ とが 多か った。施 設 には常時観察の人員的余裕 はな く、危険であ る と い うこ とで畳部屋 での生活 とな り、オムツ使用 と な る。 (退所時) 60日間の予定であったが、家族 の希望 に よ り6 日で退所 となる。排 涯はポー タブル トイレか らオ ムツ使用になっていた。 (退所後) 特別養護老人ホームへ の シ ョー トステ ィ利用の 依頼は、それ以来 こなか った。 【事例 2】 寝 た き りにな った痴呆性老 人のケー ス
M ・Y
男7
4
歳 (入所 までの過程 ) 2、 3年程前 よ り痴呆症状が現 れて きていたが、 自宅 において妻の介護 でなん とか生活で きていた。 日中は、妻 と一緒に家の中にいた. また、デ ィサ ー ビス を週1
回利用 していた。家族 は妻 、次男、次 男の妻 、孫3人は学生 で専業農家 である。利用の 理 由は、介護 していた妻が大腿骨骨折 での入院 と なったこ とに加 え、次男夫婦 は農作業期 であ り、 その期 間だけ介護が で きない状況のため であ った。 期 間は30日間の希望 であった。 痴呆症状 は軽度 であ り、記憶障害 、失見当識、 判断力の知 的機能低下が 目立つが、排個 、不 眠、 攻撃的行動 、拒食 とい った問題行動 はなか った。 コ ミュニ ケー シ ョンは全 く不 可能 ではない。介 助 を要す るのは、排准 、入浴 、着替 えであった。 しか し、排浬は失禁 も少々あったが 、 トイ レは誘 導すればなん とか可能 であった。 自力歩行が可能。 健康状態につ いては前立腺肥大があ り、投薬管理 していた程度。他の検査値 に異常 はなか った。痴 呆症状 に対 しては投薬はなか った。精神科へ の受 診は した こ とがないO主治医は特別養護老 人ホー ムの嘱託医 (内科 )であった。 (入所後の経過) 次男の妻 に付 き添われて歩行 して入所。痴呆性 老 人専用棟 での生 活 となる。入所 当初 よ り落 ち着 かず 、辺 りをあて もな く歩いていた。 徐 々に痴呆症状が悪化 し失禁が 多 くなる とい う こ とで、オム ツ使用 となるが 、オムツ をはず して しまうため痴呆症衣 (つ な ぎ寝巻 )を着 るこ とに な る。言葉が乱暴にな りだす。あ る 日、職 員の背 後か らエプロンの紐 をひっぼ り、結果 としてそれ が首 をしめ るよ うな動作 になって しまったo職員 間では "対応 しきれない〟、"精神科 に入院 させ た ほ うが いい〝、"退所 させ てほ しい〟 との意見が出 たため、主治医である嘱託医に相談 、精神科嘱託 医の指導 をうけ る。同時に家族 に相談す るが 、今 は家庭 でみ るこ とはで きないため、入所 を継続 し て もらえるな らば多少の投薬管理等は仕方が ない とのこ とであった。職 員間の話 しあいの結果 、施 設での援助 を継続 してゆ くこ とになる。精神科医 の指導に よ り、翌 日か ら向精神薬が投薬 され るが 、 調 整が順調にいかず、 まず歩行不可能 とな る。 そ の後 も観察 しなが ら薬の量 を調整 してい くが 、雇 た き りの状態になる。その後農作業が終了 し、希 望期 間滞在後退所 とな るO (退所時の状況) 自力で起 き上が ることができな くなっていた。精 神 的には、薬がかな り効 いているようで反応が鈍 くなっていた。ADLに関 しては食事以外全介助が 必要 な状態 であった。 (退所後 自宅生活) 村か らベ ッ ドをか り、次男の妻が介護す ること になる。その うち自宅 には妻 も退 院 して戻 って き たが 、裾唐 が で き雇 た き り状態であった。妻は徐 々に回復 し、ベ ッ ドまわ りのこ とは 自分 でなん と か で きる程度 にはな ったが 、次 男の妻 は2人の要 介護高齢者 を抱 えるこ とになって しまったOその 後は、特別養護老人ホームには入浴サー ビスを車 椅子の状態 で利用 していたD何 日か後 に、介護 し -41-411 長 野大学紀要 第15巻 第4号 1994 ている次男の妻の用事 で再
びM・
Y
さんについて2
日程のシ ョー トステ イ入所の話が くるが、MR
SA
保菌者 とい うことで入所拒否 される。当時、 特別養護老人ホームには保菌者はいなか った。妻 が病院で保菌 して きた らしい。その結果、入浴サ ー ビス利用 もできな くなって しまった。家族は仕 方がない とい うだけであった。 事例1お よび2はいずれ も初めてシ ョー トステ イを利用 した者であった。両者の共通点は、軽度 の痴呆はあるが、ほぼつ きっきりの介護 を受ける ことによって 自宅 で生活 していたことである。 ま た、 日々の調子によって排壮状況が変化す るなど、 微妙 なバ ランスの中で生活が成 り立 っていた とも いえ、精神的に も不安定にな りやすい状況であっ た。 事例1は、入所時 自力でベ ッ ドか ら移動す るこ とがで きないため 、介助によってポー タブル トイ レなどで排他 を行一っていた者である。 しか し、 自 力 で排 椎 を試 る高齢者 を危険 と判 断 し、結果 と してオムツ使用に したケースである。この高齢者 は 自宅では家族の手 も少 しは借 りていたが、なん とか ポー タブル トイレを使 って排椎 をしていた。 家族か らは手厚 い介護 を受けていたようである。 事例2は、入所時痴呆症状があ り、尿便意 もな いが、歩行が可能 なため トイレに誘導 して排椎 を していた者である。痴呆性老人に対す る職員の対 応の問題 もあるが、精神 的に興奮 した状態は職員 だけでな く他の入所者に とって も危険であったた め、この ような対応はその時点ではやむ をえなか ったケースである。精神的に不安定になったきっ か けは明確 では ないが、その 時点 で一 時的でも 自宅に戻 ることがで きたならば、状況は変わって いたか もしれない とも思われる。 しか し、家族 も 農作業期間中 とい う介護者 自身の生活に関わる理 由があったため、やむ を得ず精神科医に まかせ た 形になった。結果 として家族の要望 は達成できた が、そのために高齢者の生活 レベルが極度に低下 す るこ とにな り、同時に在宅介護の負担 も増加 さ せ て しまった。 この ように、シ ョー トステ イを利用す ることに よ り結果 としてADL
が低下 した事例1、2
は ど の ような問題 を含んでいるのだろうか。 1.サ ー ビスの画 一性 まず、考 えられ る問題は施設におけ るサー ビス が画一的に提供 されている事実があげ られる。 シ ョー トステ ィは施設機能の利用策であるため、 利用者には施 設長期入所者 とほぼ同様のサー ビス が提供 され る。 しか し、施設生活 を継続 していた 者 と、在宅か らショー トステイで入所す る者には当 然そのニー ズに違 いがあるO特に、環境の変化 を 体験 したばか りのシ ョー トステ イ利用者について は細心 の 注意 が必要 であ る。 しか し、実際は施 設職展は特 にその ような意識 をしていない。すで に施 設生活に馴染んでいる施設長期 入所者 と同様 に対応す る傾 向が強いのである。 そのため、 自宅 で行 ってきた介護方法 を、最初 か ら施設で継続 しようとはせず、施設のや り方で や らせ て もらうとい うように画一的サー ビスの枠 の中に当てはめ る傾 向がある。施 設が入所者に合 わせ るのではな く、施設生活に適応 して もらう、 極端 に言 えば、適 応 で きない者 は入所対象外で あると考 えているようである。 しか し、その適応 の基準 とい うのは、決 して明確 な根拠があるわけ ではな く、職 員たちの介護能力ではや りきれない か らといった主観的性質の ものである。そのため、 少 しで も手のかか る人が入所 して きたならば、"い つ 自宅 に帰 るのか〟、"大変な人は受け入れ拒否 し て欲 しい〟、"問題のない人はほっ とす る〝 とい う のが ショー トステ ィ入所に対す る職員の本音 であ る。 た とえ家族か らの介護方法 に関す る要望が あって も、家族 はなん とか預 って欲 しい とい う状 況にあるため 、最終的には施設で介護 しやすいよ うにかえられて しまうのが現実 である。 加 えて、現行施設の人員体制の問題に よる低水 準のサー ビスに も関係があるだろ うC家族に して みれば、オムツ交換 をす ることのほ うが費用的に も労力的に も介護の負担は大 きい。あま り外出で きないが、観察 しつつ 、少 し手 を貸 しなが ら自力 で排涯 をして もらっていたほ うが介護量 とい う点 では最少限ですむ。 しか し、施 設は限 られた人月の中で業務 を行 う ため、つ きっき りの介護 をす る余裕 はまずない。 オム ツ交 換 、 トイ レ介助 につ いては随 時交換 を 当然のこととして実践 している施 設 もあるが、大 142-岡村裕 ・萩原清子 要介護高齢者に対す るシ ョー トステ ィサー ビスの再検討 412 砥、施設 では随時に行 わなければな らない トイレ 誘導や ポー タブル トイレ介助 よ り走時に行 うオム ツ交換の方が労力 を使 わない。介護専 門職 に とっ てはオムツ交換はそれほ ど苦にな らないため、定 時介助 を選択す る場合 も少な くない。 さらに、設 備面ではベ ッ ドの高 さは介護労働負担の軽減 を考 慮 して、家庭 で使 われているものよ り高い。当然 ポー タブル トイレで 自立 していた者が、足が床 に つかないためそれができな くなることもある。 現行 シ ョー トステ ィは、単に施設に短期 間入所 して、施 設入所者 と同様の画一的サー ビスをうけ るとい う性質の ものである。施設入所者 と異なっ たニー ズを持 ちなが ら、それが充足されなければ、 シ ョー トステ ィ利用者のADL低下は起 こって当 然のことであるといえる。 2.サ ー ビスの無 計画性 第二に、サー ビスの提供 に関 して、計画性 の う す さをあげることがで きる。つ まり、サー ビスの 画一化 を強め る要因を現行制度その ものが持 って いるのである。それは、利用者の生活に関す る詳 細な情報収集 、分析の不十分 さ、サー ビス提供 に あたっての無計画性 であるO特にショー トステ イ サー ビスの提供 は計画的でない場合が多い。 例 えば、高齢者が病 院に入院 し、治療終了後退 院 を勧告 された家族に在宅介護の準備が整 ってい なか った場合 、次の過程 を経てショー トステ イ利 用に至 る。 医療機関は、老人医療費抑制 を意図す る政策の 中に存在す るため、当然、長期入院を抑制せずに は経営が困難 な状態に追い込 まれて しまう。その ため、原則 として入院期間は最高で も6カ月程度 をめ どに している。その結果 、高齢者は治療不必 要 と医師 よ り判断された場合 、一定期間が くれば その場所 を移動 しなければな らない。老人保健法 制定以前は、病院での治療が終了 した後 も、た と え社会的入院 とい う形であって も長期間の滞在が 可能 であったが、現在では期限による居場所の移 動 を余儀 な くされ る。 病 院退院後の移動場所 として設定 されているの は、老人保健法制定によ りあ らわれた、病院 と家 庭 をつな ぐ通過施設 としての老人保健施設である。 厚生省は、基本的には、病 院-老人保健施設一家 庭復帰 あるいは、生活施設(特別養護老人ホーム) とい う形態 を予想 している。 しか し、実際老人保 健施設が期待 どお りの機能 を果た しているか とい うと、そ うではない。平成3年全国老人保健施設 実態調査に よれば、家庭復帰できるものは29% と ほんのひ と握 りにす ぎないのである。 自宅 に帰 る ための 1)ハ ビ リの場 としては、あま りにお粗末 な 人員配置だか らである。そ して老優施設は、通過 施 設であるが故に、病院に続いてここで も期限に よ り退所せ ざるをえない。 しか も、老健施設退所 後は前述 したように、家庭復帰は困難である。 そこで、特別養護老人ホームへの入所 とい う手 段 をとらざるを得 な くなるが、この特別養護老人 ホー ム は入所待機 者 は増加 す る一方 で容易に入 所で きない。老優施設か ら家庭復帰 できず、施設 -の入所待機の状態にある者は、 どうな るか とい うと、ショー トステ ィを利用 して施設入所 を待機 す ることになるのである。 この ように、行 き場がないため とりあえず特別 養護老人ホームのシ ョー トステ ィ利用に踏み切 る とい うのが現状である。 現時点では、シ ョー トステ イの実施主体 は市町 村であ り、サー ビス提供の決定、利用後の計画に ついては市町村がその義務 をおっている。 しか し、 実際はその計画はな く、結局は 「居場所の確保」 に とどまり、入所後については施設お まかせ主義 となる。 しか し、施設側 について も充分な情報収 集 、分析等 を怠 り、ただ専用ベ ッ ドを用意 してい るだけの状態である。その結果、施設での援助 は その利用期 間限 りの、無 目的な画一的サー ビス と な らざるを得ない。 また、殆 どの家庭はなん とかその場 をしの ぎた い とい うせ っぱっ まった状況のため、た とえ高齢 者の身体 あるいは精神 的悪化があった として も、 実際、公に不満 を訴えて くるケースはほ とん どな い。預か って くれ る施設に対 して不満 を訴 えるな んて とんで もない とい う.意識 を持 っているのであ る。 施設、行政 、家族の誰 もが、ショー トステ ィを その場 しの ぎのサー ビス として捉え、是認 してい るな らばADL低下 をもた らす高齢者が 出現 して も当然であろう。 ー 43
-413 長野大学 紀要 第15巻 第4号 1994 Ⅳ.ま とめ にか えて -シ ョー トステ イが在宅サ ー ビス と して充分 に 機能 す るため に一 本稿 においては、現行 シ ョー トステ ィの利用実 態 を確認 しなが ら、施 設機能 の利用サー ビス とし ての問題点 を指摘 して きた。 現行 の シ ョー トステ ィ制度は、多 くの問題点 を 含んでいるこ とが明 らかに された。在宅高齢者 を 対象に した現行 の施 設利用サー ビスは、家庭 での 生活や介護方法 をほ とん ど考慮 していない。施設 サー ビスの枠組みの中に高齢者 を適応 させ る とい う援助方法 を とっているのが実態 である。高齢者 福祉対策が 、施 設福祉 中心か ら在宅福祉 中心へ移 行す る中、援助方法 も変化す るべ きところを従来 通 り対応 している といえる。 また、施 設体制 が在宅要介護高齢者のニー ズを 充足できるほ どに整備 されていないため、家庭 で 者の生活 を維持す るこ とが で きないO さらに、シ ョー トステ イ事業 の実施主体者 であ る市町村が施 設お任せ主義 であ り、サー ビスが無計画の状態 で 実施 されているため 、シ ョー トステ ィは充分 に機 能 していないOただ単 に施設の画一 的なサー ビス を無計画に提供す るだけのサー ビスに留 まってい るのである。その結果 として、利用 した高齢者の ADL低下 とい う問題 を引 き起 こしている。 シ ョー トステ ィは在宅三本柱の一つ として、そ の数 については、今後 ます ます増加 してい く。 し か し、そのサー ビスが画一 的で、無計画 なサー ビ スに留 まっていては、今後 もADL低下 とい う問 題 を増加 させ 、家族 の介護負担 を軽減す る どころ か 、か えって増大 させかねないOでは、その よう な事 態 を防 ぐためには、今 いったい何が必要か。 サー ビスの画一性 、無計画性 といった問題 を引 き起 こしている最大の要 因は、施 設 と在宅 の連結 といった視 点の欠如 である と考 え られ る。サー ビ ス利用時におけ る在宅か ら施 設 、施 設か ら在宅 と いった生活場所の移動 を単 なる場所のみの移動 と 捉 え、施設での生活 と在宅 での生活は まった く別 の ものである とみ な しているため、現行 シ ョー ト ステ ィは在宅サー ビス として充分に機能 していな い といえる。今後 、シ ョー トステ ィが在宅サー ビ ス として よ り機能す るためには、在宅生活 と施 設 生活は同一線上 にあ るとい う事実 を認識 した在宅 生活 と施 設生活 を連結す るための活動 が必要 であ る。 (は ぎわ ら きよこ 教授 ) (94.1.11受理 ) 量主 1)『社会福祉六法平成5年版』厚生省社会局 pp.1037-1039 2)『国民の福祉の動向』厚生統計協会 1993 pp.191 -192 三浦文夫編 『図説 高齢者白書』全国社会福祉協 議会 1992 p.115 『月間総合ケアVOL3NO.10』 医歯薬出版株式 会社 1993 pp.36-39
3)GarrollL.,JamesH.SwanandAssociates,The LongTeym CayleCrisis,SAGEPublications1993 pp160-164.
4)伊藤真理子 「高齢者の居住政策」, 内海洋一編著
『高齢者社会政策』 ミネルヴァ書房 1993 p.164 5)IsobelAllen,Debra Hogg and SheilaPeace
ElderlyP