椙山女学園大学
地域社会と情報化(1) : 地域社会における資源動員
的アプローチの可能性
著者
米田 公則
雑誌名
椙山女学園大学研究論集 第1部
号
24
ページ
269-280
発行年
1993
URL
http://id.nii.ac.jp/1454/00001572/
椙山女 学園大 学研 究論 集 第24号 ( 第1 部)1993
地 城 社 会 と情 報 億川
地 域社 会 にお け る資 源動 員 的 アプ コ ー 千 の可 能 性
米 目
ヨ 公 麟
Commun 辻yand Information ( 土)
Kiminori KOMEDA 1 け じ め に 1980 年 代 以 降, わ が 順 の 地 旅 社 会 は 新 し い 状 況 下 にあ る と い わ な け れ ば な ら ない 。 こ の こ と は1987 年 に 『 第 匹 次 全 順 順 上 総 合 間 発 計 言 』(「 匹│全 総 」) が 策 定 吝 れ, そ こ に お い て 闘士 利 刑 の 前 提 と な る 地 域 間 桧 笠 の問 題 か 従来 の 「 三 大 都 市 回対 地 方 圏 」 と い う 図 式 か ら 『東 京 圏対 そ の往 地 方 圏』 の 図 式 へ 転 換 し たこ と に示 谷 れる よ う に 地 旅 行 会 を 論 し よ う と す る 時, そ の茶 宇 的 状 況 認 識 の 再 検 討 か ら は じ めら れ ね ば な ら ない こ と を意 昧 し てい る 。 い う な れ ば「 匹 全 総 」は新 し い 状 況 認 識 を 茶 礎 に し た21 世 紀 を長 望 す る 地 試 開 発,の ヴ ィジ ョ ン とい う こ と が で 息る ので あ る 。 そ こ で の 茶 本 的 認 識 の ぶ 発 点 け , わ が 国 の経 済 上 産 業 構 造 上 の 炭 化 で あ る 。 そ れ は第 一 に 「 世 界 都 市 東 京 」 が 問 題 視 さ れ る よ う に 東 京 の国 際 的 位 置 の変 化 に 伴 う も ので あ る 。 「 バ ブ ル」 経 済 参 巌 壊 し , 一 時 の よ う な財 貨 の集 中現 象 は見 ら れ な い よ う で あ る が , 東 京 がU ンド ン, ニ ュ ー ヨ ー ク と な ら ぶ 国 際 よ 融 市 場 の一 角 を 拒 う にい た っ たこ と が 明 ら か で あ る 。 こ れ に よ りH 本 経 済 の 国 際 的 な 位 置 け 大 き《 変 化 し た 。 し か し , こ れ は単 に 順 際 的 な 間 係 の変 化 で は な《 , 同 時 に 国 内 に お け る 『 東 願 』の 位 置 を 変 化 谷せ た こ と はい う ま で も な い 。 現 に 一 時 沈 静化 し てい た 東 京 へ の 一 極 集 中 は 加 速 谷 れ, 往 方 で 農 村 部 に お い て は, 高 齢 者 人 口 の比 率 が 急 激 に増 大 し , 今 日 『 過 疎 一過 密 』 の 問 題 は , 社 会 問 題 化 谷れ た60 年 代 以 上 に深 刻 参 府 亘 を 迎 え つ つ あ る の で あ る 。 第二 は , 日 本 のリ ー デ ィ ン グ産 業 が , ]980年 代 まで の重 化 学 工 業 部 ㈹ を 中 心 と し た, い わ ゆる 《重 厚 長 大 》型 産 業 か ら ,エ レ ク ト ロ ニ ク ス 部 ㈹ を中 心 と し た い わ ゆ る 《軽 薄 短 小 》 型 の産 業 へ 転 換 し た とい う こ と で あ る 。 こ の よ う な 経 済 上 産 業 構 迫 上 の 炭 化 は , 地 域 社 会, 特 に従 来 か ら の 産業 構 造 に依 存 し て きた 地 方 詰 都 市 に 大 き な変 化 を 求 め る こ と と なる 。 そ の 代 表 的 なイ列 とし て, 釜 石 市 をあ げ る こ とが で き よ う。 釜 石 市 は新 日 鉄 の金 業 城 下 町 とい う こ とが で きよ う が, そ こ で は新 目 鉄 釜 有 製 鉄 所 の盛 衰 が 直 接 的 に , 地 方 工 業 都 市 釜 石 の そ れ と柏 瀾 し て い る 。 釜 石 市 の人 口 は ]963年 まで 増 加 を 続 け, 9万2 千 人 強 を 数 え た が, そ の後 減 少 の 一 途 で あ 呪1990 年 に は5 万3 千 人 余 り と な っ て お 呪 通割 以 上 の 減 と か っ て い る 。 こ の 原 ㈹ は, 言 う まで も な 《 釜 石 製 鉄 所 の合 靉 化 の直 接 的 影 響 で あ る 。 因 み に一 蒔 期 肌 ㈲O 人 を 越 え た新 襄鉄 従 業 具 −269 −
米 田 公 則 は]990年に は]。,305人 にまで 減少 している。 もちろ ん釜石市 の例 は極端 な例 であろう。 しかし,地方都市 はその都市独 白の産業構造 を有し,その多《 は工業 を軸 とし た産業 を基盤 としており, 80年代以 除の産業構 造転換 は, 地方都市 に直接的 な影響 を与 えている とい うことはい うまで もない。こ のような状況を踏 まえ,そ れに対応 した 頭上づ くり を目指す ためのプ ランとして提 示さ れたのが,「匹全 総」 な のである。 そ れで は,『匹全 総』 において, ど のような基 本的指 針が示 されてい るので あろうか。 そこにおいて,次 の匹点が指摘 されている。 第一は,今 日,地 域の産業構造転 換問題か重 妾 とかっており, 地誠子 欧化 のため工 業 の開発 ぽかりで な《 ,多 様な産業振 界施策の展開 が必要であるこ と。 第二 は川 里│上 ネ ット ワークの主軸 は形成 されつつある が, 地方圏の発 展を使進する ためには,い まだ完 成してい ない地方主要都市 を連絡する全 頭的 ネット ワー クを早期 に完成 させるこ とが必 要であるこ と。 第三 は,生活 や経済活動 の圏成が拡大し, 交流が活発化 している実体 を踏 言えて,定住 構想の理念 をさらに発展 させ る必要かおる こ と。最後 に 近年 の東京 を中心 とした世界都 市機能 の集 中や本格的 な匡│際化 の進具 に適切 に対処してい《 必要かおる こと。以上 をもって, 頭上 の均 衡ある発展 を図る と述べら れて いる。そし てこのよう な図上 の「均衡ある発 展」 を可 能にする地方 の課 題として掲げ ら れ ている のが 『情報化 』 と『間際化 』の課題 なのである。 し かし, ここで検討 答礼なけ ればなら ない の ぱ, 本当 に『情報化』 が即,闘士 の『均 衡 ある発展』 を保 証しうる か, という問題 である。 それは, こ れまで の合 図総合 間発 計画部 『均衡ある発展 』,「地域 間格差 の是正」 を感 光ながら今だ解決 答れていないよ うに 容易 なこ とで はない。今[目の『囲全総』 において も, その『中同報告』 の段 階 にお いて,そ の 茶本的方針 が『東京一 極集中』 を容認 するも のではないか とい う批 判が多《 ぶさ れ,そ の 後表面上大 き《 方向性 を転換し たかのように見 えるよう に その内容は玉虫色 とい わなけ ればなら ないもの となっている。 それでは,「囲全 総」 を示 す方向 性が,地 方 にどの ような影響 を もたらし,今 後地方 は どのように進 んでい くのであろ うか。そのた めに わ れわれは,斤 目地方 が抱え ている『地 諭 府報化 』の課題 を理 論的に解萌 し, そ の可 能性を提示し たい。 しかし, このこ とは容易 なことではない。一方 で『地翰 蒲報化 』 は, 21世紀 の地試発 展の重要 な課 題とし て位置付 けら れ,地方 と中央 の格差 を是正 する という主張 する人々 もい れば, 他方 で今 日「情報化」 は結局, 中央 一地方 の格差を是正 する ものとは到ら ない と主張する人々 もいる。 このよう な意見 の対 立を見る と 副 われわれは, 単に 『地旋 回報化』 の諸 政策を検討 する のみで は 不 十分であるこ とが わかる。勿論 現実 の諸地 誠 の今後 の可 能性を検討 するため には, 最終 的に各地域 の情報化 戦略 加問題 と 合軋よう。 だが, そのために は現実的 な地域 の情報化 を 考える以 前 に考 察 答れねばなら ない理論的諸 課題が存 在するのである。 では,具体的 に ど の様 な課 題を解明 しなけ ればならないのであ ろうか。 そ れは,第一 に 現代 におけ る地域 間格差 の問題 の解 明である。 こ れは単 に地試 問格差 の存 在が問題 と さ れるので はな《 ,そ のメカニズ ム, そしてそ の途開か問題 と 答れなけ ればならない。 そして, 第二 に,こ の問題 の理論的 解明を前提 として,今 日の『情報化』 とい われる 課 題か,地域社会 にどのよ うな影響 を与 えよう としている のかを同 題 とする ことがで きる の である。 この考 察に は,『地 域資 源』 とい う概念 が有効 である と思 われるが, ここで は。
そ れ を指 摘 す る の に留 め る 。 地 域 社 会 と 情 報 化(1) 2 地 域 社 会 の 空 難 論 的 把 捉 に よ る 地 試 問 格 差 即 題 解 明 の 可 能 性 2. 1 地 域 社 会 の シ ス テ ム論 的 理 解 の 試 み 第 一 の 問 題 と し て , 現 代 に お け る 地 域 闘格 差 の 問 題 を考 え る 。 こ の 問 題 を 考 え る と 乱 出 発 点 と し なけ れ ば な ら な い こ と は, 地 域 あ る い は 地 域 社 会 をど の よ う に 捉 え る か とい う 問 題 で あ る 。 こ れ は 簡 単 な よ う で , 実 は むず か し い 問 題 を孕 んで い る 。 ま ず けじ め に, 一 般 的 な 定 義 と し て 奥 目ヨ遠 大 氏 の 見 解 か ら み よ う。 彼 に よ る と , 地 域 (area) と は 「 全 体 社 会 の 一 部 分 を 構 成 す る , 政 治 , 経 済, 文 化 上 の諸 特 徴 を もつ 空 間上 の 一 定 の範 試 」 を 指 す も の と 捉 え ら れ てい る ヤ す な わ ち, 地 域 と は 一 定 の ま と まり を も っ か空 間 的 広 が り を指 す も ので あ り,あ る 意 味 で 多 様 に 捉 え る こ と が可 能 だ と い う こ とが で き よ う。そ れ に 対 し て , 地 域 社 会 (community ) と は 「 ① 地 域 の 往 = 生 活 環 境 基 盤. ② 地 域 の 生 産 力 , ③ 地 域 の 白│ 治 の 仕 組 みそ の他 を 装 置 と す る 地 試 関 連 生 活 シ ス テ ム」 と 定 義 さ れ て い る 。 す な わ ち, 地 域 社 会 を考 え る と 払 第 一 に 佳 民 の生 活 と い う 要 素 ,第 二 に生 産,経 済的 要 素,第 三 に(広 義 の) 政 治 的 要 素 を含 み , そ れ ら の 諸 要 素 が一 定 を 範 試 , 空 間 的 広 が り を も っ て , あ る 程 使 の まと まり を もっ か も の とい う こ と が で き よ う。 以 上 の よ う に 一 般 的 に 定 義 す る こ と が た し か に可 能 で あ ろ う。 し か し, 地 城 社 会 は , 地 域 が 全 体 社 会 の 一 部 分 と 定 義 さ れ て い る よ う に,全 体 と の 関 係 を無 視 す る こ とは で き な い 。 特 に今 日 ,「 間 際 化 」 が 「 情 報 化 」 と な ら ぶ 国 家 的 課 題 と し て 位 置 付 け ら れ, 地 域 経 済 が 世 界 的 な経 済動 向 と直 接 的 に 連 動 す る事 態 を い よい よ目 の 当 た り に す る よ う に, 特 に こ の 問 題 を過 少 評 伝 す る こ と は で き ない 。 さ ら に こ の よ う な 地 域 の捉 免方 で は, 地 域 間 格 差 の問 題 を捉 え る 視 角 を 欠《 こ と に な り, 地 域 内 の 諸 関 係 , 諸 組 織 を 検 討 す る 前 提 と し て の 有 折 匠 はも ち え て も , 他 地 域 と の 関 係, さ ら に は 順民 社 会 , 世 界 社 会 と の関 係 を 考 察 の 視 野 に 入 れる と 乱 その 不 十 分 さ は 免 れえ ない 。 す な わ ち地 旅 社 会 は 世 界 社 会 の一 部 分 と し て シ ス テ ム的 に把 握 す る こ と が必 要 で あ 呪 世 界 社 会 一 頭民 社 会 一 地 域 社 会 とい う シ ス テ ム的 な巡 瀾 の か か にあ る とい う前 提 か ら 出 発 す る 理 論 的 構 成 を行 う 必 要 が 求 め ら れ て い る の で あ る 。 こ の 関 係 性 を理 論 の 中 心 に 据 え た理 論 が, ウ ォー ラ ー ス テ イ ン のい わ ゆる 『世 界 シ ス テ ム論 』 的 な把 握 で あ る 。 彼 に よ れ ば ,「 世 界 経 済 に は, 唯 一 の 世 界 資 本 主 義 シ ス テ ム が 存 在 す る」 と 主 張 し , 従 来 の 白!立 的 な シ ス テ ム と し て の 頭民 経 済 の理 解 に対 す る 批 判 を力 [│え た ので あ る。 こ れ は, 今 日 い わ ゆ る 「 社 会 主 義 社 会」 とい か れた 諸 問 の 体 制 が 巌 壊 し か こ とに よ っ て, 一 層 そ の リ アリ テ ィ を 高 め た とい う こ と もで き よ う 。 し か し な が ら 彼 の理 論 は「 地 域 社 会 」 と い う 視 点 を欠 如 し て い る とい わ ね ば な ら な い。 よ っ て, 我 万 に は彼 の視 点, す な わ ち 「 シ ス テ ム論 的 」 な視 点 を 地 域 経 済 に導 人 す る こ と が 今 日求 め ら れ てい る の であ る。 そ れで は, シ ス テ ム論 的 な 視 点 か ら, 地 域 社 会 を捉 え , 地 域 問 関 係 あ る い は 地 試 問 格 差 の発 生 の 問 題 を視 野 に 入 れ 窓 理 論 的 試 み は こ れ まで な か っ た ので あ ろ う か 。 残 念 な が ら 社 会 学 の領 域 に お い て は, こ の よ う な 検 討 は十 分 に な さ れ て い る と はい い 難 い 。 む しろ , こ - 271 −
米 E 日 公 則 の問 題 け , 地 域 経 済 学 そ し て 経 済地 理 学 の領 試 に お い て 検 討 が 進 め ら れ て き た 。 経 済 学 者 中 村 剛 治 郎 氏 と題 済 地 理 学 者 矢 琵]俊 文 氏 は こ の 問 題 を 十 分 白i覚 し, そ の 解 決 の理 論 的 試 み, 体 系 化 を 進 め よ う と し て い る 代 表 者 で あ ろ う。 し か し , そ れ ら の 研 究 も また, 地 域 社 会 の シ ス テ ム論 的 な 体系 化 が 十 分 な さ れ て い る と は い い 難 い 。 こ こ で は, けじ め に , 彼 ら の理 論 的 試 み を 検討 し , そ の問 題 点 を 考 察 する こ とか ら け じ め た い 。 矢E日氏 は, 従 来 の 地 域 経 済論 を 二 つ の視 角 , す な わ ち一 方 で 特 定 地 域 を対 象 にそ の内 的 構 造 の 解 明 に 焦 点 を 据 える 『 地 域 的 視 角 』 と , 他 方 で 一 頭 レ ベ ル の同 題 か ら 個 別 的 な地 域 へ と そ の対 象 を 絞 ろ う と する 「 匡│民 経 済 的 視 角 」 の対 立 に よ っ て 特 徴 付 け た 。 まず け じ め に 『地 域 的 視 角 』に基 づ《「 地 域 経 済 論 」の代 表 者 と し て 中 村 則 治 郎 氏 の「 地 域 」 を見 る こ と にす る 。 彼 は 地 域 経 済 学 を 地 試 か ら 出発 し て 経 済 を 考 え る も の と位 置付 け る 。 そ し て 次 の よ う に述 べ る 。 「地 域 経 済 学 に お け る 地 域 経 済 の 地 域 は 人 間的 地 域 で あ り , 歴 史。的 ・ 文 化 的 存 在 と し て の 地 試, loc al レ ベ ル の 都 市 や 農 村 , 両 者 を含 む 広 域 的 地 域 と し て のregion で あ る 。 地 試 経 済 学 は,任 意 に区 分 し た 地 試 や 単 な る 行 政 岸 位 と し て とら え た 地 試 の経 済 で は な《 , 人 間 の 共 同 的 生 活空 潤 , 白│治 体 ( 行 政 単 位 で ぱ な《 , 人 間共 開 体 あ る い は 住 民 の 共 ㈲社 会 ) を 地 域 と捉 え, 地 域 を 支 える 経 済 を地 域 経 済 と し て 把 握 す る こ と か ら 出 発 す る 。』2) こ の よ う な前 提 か ら ぷ発 し ,『 現 代 資 本 主 義 の 地 域 構 造 』 が 「 地 域 的 分 業 の 徹 底 化 」 の 上 に成 り 立 つ こ と に よ っ て , 一 見, き わ め て 効 率 的 で 今 理 的 な よ う に見 え る け れ ど も, 実 は, 非 常 に脆 弱 な 地 域 構 造 と化 し つ つ あ る も の とし て , 地 域 と 全 体 社 会 との 関 係 を と ら え る 。 そ し て , こ の 認 識 の も と に 「 白│然 的 朧 境 ・ 資 源 ・ 生 活 環 境 ・生 産 環 境 ・ 産 業 構 造 ・管 圧 を 巡 っ て , 一 定 の 地 理 的 範 試 に お い て確 保 さ れ なけ れ ば な ら な い均 衡 性 ・ 典 開性 ・ 総合 性 」 と し て 「炭 代 の 生 活 と生 産 に お け る 地 域 性 」3)を とら える 。 こ れに 対 し矢 口]氏 は, 次 の よ う な批 判 を 行 う。 そ れ は 第 一 に 中 村 氏 の指 摘 す る 六 つ の 『 地 朧 匠』 鶴 け たし て そ の 範 試 に お い て 一 致 し う る か と い う問 題 で あ る。 こ の 点 に つ い て は , 中 村 氏E白│身 も ズ レ が 生 じ うる こ とを 丁 解 し てい る 。 から に 矢 口]氏 は, こ の 『 地 域 』 の 範 試 を全 体 と し て府 県 レ ベ ル の 「 地 試 」 と範 朧 的 に 一 致 す る とい う 考 え 方 に 疑 問 を 投 げ か け る 。す な わ ち ,『 地 域 』の 範 試 を 府 県 レ ベ ルで 考 える と す れ ば, そ の範 試 で は た し て「 六 つ の 地 試 性 相 互 間 の均 衡 性 ・ 総 合 匪 と し て の 地 ⑤ 匠」 とい う 概 念 甦│身 が 成 り 立 つ か とい う 第二 の疑開点 け, 中村氏のい う地域経済 が,日本資本主義 の発展 の中で,い かに形成 谷 れて きた かを看 過してい る点 に対 する 批判で ある。つ ま 肌 「炭代 資本主 義の作り出 す地 域構造 のト ータルな解明」5)が不十 分 加点 を指摘 するのである 。 以上 の疑 澗点 に加え,中村氏 は『六つ の地諭 匠』 を並列 的 にならべている が,これらが ど のよう な関係 性をもっ てい るか必ず しも開確で はない とい わざ るを 光ない。 中村氏 の最 大 の弱 点け これが どの ような関衛 匠をもって,全体 として『地域 社会』 を形作 っている の か, そし てその地域社会 が全 体社会 と関 わっ てい るのかを,理 論的に解 明しなかっ た点 に ある とい うこ とがで きよう。このよ うに見る と, 中村氏 の 『地域性』概 念は具体的地域研 究 にとっ て必ずし も, 十分な もので ない とい わざ るをえない。 こ れに対 し,矢E日氏 は,い わけ 順民 経済的視 点から出発 する立場 に重 点をお 馳 体系 的 理 論構 築 を試 みる。彼 は, 順民経 済の地域 構造 を問題 とし,『一 頭の国土 を基盤 にして。
地 域 社 会 と 情 報 化 倒 長 い歴史的 経過 をへて形 成 された国民 経 済の地域 的分 業体系」,す なわち『国民 経済の空 間的システ ム』 と定義 し,産業庶置論, 地域経 済論 ,国土利用 論, 地域政策論 の匹1分野か ら なる 地域構造論 を展 開し,一つ の体系 的な地域理 解 を進め ようとしている。( ㈲I ) 図1 地域構造の位置づけ 世 界 経 済 匡│ 民 経 済 国 − − 際 分 業 (世 界 シ ス テ ム) ㈲ 際 産 業 況 置) 地 域 構 造 産 業 配 置 (産 業 立 地 ・ 地 域循 環) 地 域 経 済 (産業 地域・経 済 ㈱ 国 土 利 用 (資 源 利用 ・ 環境 問 題) 『産 業 離 置 と地 域 構 造』 矢 口 俊 文 p. 15よ り 地 域 政 策
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彼 の 地 域 構 造 論 は, 経 済 理 論 を 基 礎 に き わ め て 体 系 的 な 構 成 を と っ て い る 。 彼 は 産業 庶 置 を そ の土 合 に据 光,「 個 郷生 産 過 程 の 配 置 」 か ら 『総 体 と し て の 産 業 配 置 』 を導《 。 資 本 主 義 的 生 産 過程 は 儡 値 増 殖 過 程 で あ る か ら , 労 働 過 程 の 配 置 が そ の 中 核 を な す。 労 働 過 程 は 一 般 に 《労 働 対 象》《労 働 手 役 》《労 働力 》 に よ っ て 成 立 す る が, そ の立 場 を規 定 す る も の は 《労 働 手 役 》 の 立 場 で あ 呪 そ の 「 場 所 的 間違 性 」 が 中 軸 を な す 。 そ れ が 『労 働 力 の 立 場 』 と し て の 「 通 勤 圏 」 が 不 即 不 離 の 関 係 で 成 立 す る 。 し か し , 個 別 の 生 産 過 程 は, 単 に そ れ だ け で 成 立 す る ので は な《 , 経 営 内 分 業 の進 行 に よ 仏 経 営 内 の 中 枢 管 理 機 能 が 独 立 し , 独 白│の 立 地 を 行 う 。 こ れら を 軸 に , 労 働 対 象 と し て の 原 材 料 , 労働 生 産 物 の 地 域 移 動 加 恒 常 的 に 行 わ れ , 労 働 過 程 に と っ て の 「証 材 料 調 達 圏」,『 製 品 市 場 圏 』 を形 成 す る 。以 上 か ら バ 囚郷 的 生 産 過 程 の 配 置 は決 ま る の で あ る 。つ ま 呪 労 働 過 程 の 配 置 と は , 「 労 働 過 程 を 構 成 す る 労 働 手 段 ・ 労 働 力 ・ 中 枢 管 理 機 能 の立 地 , 及 び 労 働 対 象 ・ 労 働 生 庶 物 ・ 労 働 力 の 恒 常 的 な 地 域 的 移動 の 統 一 し た も のノ )と し て 把 握 吝れ る 。( ㈲2 参 照 ) −273 −米 m 公 則 図2 立 地 と所 得 循 環 原 材 料 ・ 燃 料 調 達 圏) alaa G −W 〔流 通 過 程 〕
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1 a ( 製品 市 場 圏)千 万 ]ド …。
。
Pm 労働 手 段 一一 一 一p・一 一- 一W G' 通 勤 圏 ) 往 宅 a18 a (金 融 H) 今 『産 業 配 置 と地 域 構 造 』 矢E日俊 文 p. 17よ り 〔生 産 過 程 〕〔流 通 過 程〕白]]
L 。。−。−。。−−−£− 。−。中 枢 管 垣 機 能 婚尚一一J 皐 l(所 得・ 資 金循 環)1 こ の よ う な 『個 別 的 生 産 過 程 の 配 置 』 の全 体 と し て ,「 総 体 と し て の 産 業 庶 置 」 が 成 立 す る こ と に なる 。 そ の 立 地 が 一 定 の 地 理 的 範 囲 の 中 で 特 化 す る こ と に よ り 「等 質 地 域 」 と し て の 『 産 業 地 域 』 な い し 「 産業 地 帯 」 を形 成 す る 。 こ れ を 彼 は 〈重 化 学 工 業 地 帯〉, く農 往 水 産 業 地 帯 〉, 中 枢 管 理 機 能 や サ ービ ス 産 業 の集 積 す る 〈大 都 市 圏 〉 と大 き《 分 類 す る 。 こ れに対 し , 先 ほ ど の さ まざ ま な 地 試 的 循 環 が 一 定 の空 間 的 範 試 で 行 わ れる こ と によ 呪 市 場 圏 ,サ ービ ス 圏 ,通 勤 圏 ・生 活 圏 ,金 融 圏,行 政 上 の 管 轄 圏 かじ か 重 層 的 に 編成 さ れ, そ れら多 様 な 『 機 能 地 域 』 の一 定 の ま と ま り と し て ,『経 済 圏 』 を 構 成 する と考 え る。 こ れ以 上 の詳 細 は避 け る が ,上 記 の 産 業 紀 置論 を 土 合 に 「 地 城 経 済論 」,「 頭上 利 治 論 」, 『 地 城 政 策 論 』 が 成 立 す る 。 以 上 の よ う に , 矢[日氏 は, 地 試 を 経 済 理 論 を 基 礎 と し て き わ め て 理 論 的 に分 類 し, 経 済 的 地 域 構 造 を 「 順民 経 済 を一 つ の 空 間 シ ス テ ム= 地 試 構 造 と し て 捉 光, そ の一 切 片 と し て 地 試 経 済 を位 置 付 け る 」 こ と に よ 呪 世 界 経 済 一 順民 経 済 一 地 試 経 済 の巡 閲 の 中 で 捉 え る こ と を可 能 に し た とい う こ とが で き よ う 。 す な わち , 順民 経 済 をあ る 一 定 の ま と ま り と捉 之, そ の 中 で 経 済法 則 に 基 づ い た 産 業 配 置 が な 谷 れ, そ れ に規 定 さ れ て 地 試 経 済 , 頭 上 利 刑 , 地 城 政 策 が 成 立 し , ト ー タ ル 加地 域 構 造 加 一 節単 位 で 成 立 し てい る と 考 え る の で あ る 。地 域 社 会 と 情 報 化 巾 し かし , 矢 田 氏 の 中 村 批 判 , そし て 彼 自 身 の 地 域 構 造論 は今 日 の 地 域 社 会 を 考 え る 上 で 十 分 な も の で あ ろ う か 。 確 か に 中 村 氏 の 「 地 域 性 」 概 念 は不 十 分 で あ る こ と を 認 め な け れ ば な ら ない 。し か し,氏 の「 地 朧 匠」概 念 の 最 大 の 特 徴 は,生 活 と生 産 の場 と し て の「 地 域 」 鶴 資 本 主 義 の 地 域 的 分 業 の 徹 底 化 に よ り , 破 壊 さ れ,「T地 域 問 題 」 を発 生 さ せ る と い 呪白ミで あ っ た 。 突 き 詰 め て い う な れ ば, 地 談 を 『 住 民 の生 活 』 とい う視 点 か ら 捉 え よ う と する も の と い う こ と が で き よ う。 そ し て , そ れ に よ っ て は じ め て , 今 魏の資 本 主 義 の 展 閲 の一 つ の現 象 と し て の「 地 域 的 分業 」 が生 産 とい う 一 面 を 特化 させ る た め, そ こ に住 む 住 民 の「 生 活 」 と 矛 盾 を する 側面 を も つ とい う こ と を 主 張 す る こ とが で き た の で あ る 。 彼 は 地 域 の 『 白│治 』 と い う 側 面 を 強調 し , 資 本 に よ る 歪 ん だ 「 地談 開 発」 に対 抗 し て , 地 談 往良 心ら の 『 地 域 間 発 』 を可 能 にす る 理 論 的 枠 組 の 構 築 に重 点 を お い た た め に, 地 談 の経 済 的 側 面 か ら の 規 定 を そ の 理 論 の中 に 十 分 に捉 え る こ と がで き な か っ た の で あ る 。 こ の 視 点 は ,矢 口ヨ氏 の 理 論 構 成 の 中 に は, 正 当 に 評 価 さ れて い ない 。 そ れ に対 し て の 矢 口ヨ氏 の 地 域 構 造 論 は 地 談 の 経 済 的 側 面 を軸 に地 帯 構 成 を 行 お う と す る も の だ とい う こ と が で き よ う ⑤3 参 照 )。 図3 地 帯 構 成 と重 層 的 経 済 圏モ デ ル ]: 『産 業況 置 と地 域 構 造 』矢E日悛 文 ][l p. 21 よ り m 中小 都市 こ の 地 域 構 造 論 は ] 順民 経 済 とい う よ り 広 域 的 範 族 の 中 で , 各 地 域 が ど の よ う な位 置 に あ る の か と い う 側 面 を 捉 え る とい う府 で は , 有 付 け を も っ か も の と い う こ と が で き よ う。 し か し, 各 地 城 に 発 生 す る い わ ゆる 『 地 城 問 題 』 の も つ 地域 性 民 の 生 活 の 問 題 ケい う側 面 か ら の把 握 , そ し て そ れ に対 抗 す る 『地 域 の 論 理 』 を 導《 とい う 視点 が , 弱 い と い わ ね ば な ら な い 。 勿 論 , こ の こ と は 矢E目氏 が 「 地 域 間 題 」 を 看 過 し て い る とい う こ と で は な い 。 氏 は そ の 著作 の 中 で 「 地 域 問 題 を巡 る 諸 研 究」 を考 察 し て い る 。 し か し そ の 中で の 主 張 は 今 日 の 地 試 問 題 研 究 の多《 が ,「 順 民 経 済 的 視 点 か ら の 地 域 ㈹ 題 解 明 の 姿 勢 が 非 常 に 弱 い 」7)とい う指 摘 に留 よ っ て い る 。 そ し て , 彼 心身 は , 地 試 問 格 差 ,『不 均 等 発 展 』 の 問 題 を 「 地 族 往 民 の生 活 」とい う 視 点 か ら で は な《 丿 経 済 的 格 差 」と い う視 点 か ら 考 察 す る の みで あ る 。 す な わ ち, 現 代 資 本 主 義 の も とで は 「 産 業 地 族 が 不 均 衡 的 に形 朧 吝れ, 他 方 で こ れ と は ㈹ 個 に経 済 開 か 重 層 的 に 編 朧 さ れ, 両 者 加 不 整 合 と か 呪 真 の 意 体 の 経 済 地 族 が 成 立 し な く な っ て し ま う」8)こ と が 問 題 と さ れ る の で あ る 。 そ れで は,矢 日ヨ氏 の 地 族 構 造 論 は ,地 績 社 会 の シ ス テ ム論 的 理 解 と し て 十 分 で あ ろ う か 。 - 275
米 ffl 公 則 確 か に 彼 の 理 論 は 「 間民 経 済 の 地 試 構 道 」 をト ー タ ル に 捉 え る も の と し て 重 要 な一 歩 で あ る と い う こ とが で き よ う 。 し か し , そ こ に はい れ ば な ら な い 。 そ の 第 一 は , 彼 自 身認 め て い る よ う に 彼 の理 論 が 構 造 論 で あ 呪 そ れと[司 特 に必 要 な 変 動 論 , ダ イ ナ ミ ズ ム の 解 所 が 不 十 分 で あ る とい う 問 題 で あ る 。 第 二 の 問 題 点 け, 彼 の 出 発 点 が 産 業 離 置 論 であ 呪 そ れ に基 づ い て 地 試 構 造 を 解 脱 す る た め に 産 業 の「 難 置 」 が 同 題 と さ れ る の み で, 難 置 吝 れ た産 業 地試 関 係 の 関 係 の 分析 が ほ と ん ど 行 わ れ てい な い と い う問 題 点 を 残 す も の と な っ て い る 点 てあ る 。 そ の た め に 第 三 の問 題 と し て ,産 業 立 地 に とっ て 重 要 な交 通 通 信 ネ ット ワ ー ク の回 題 , そ し て こ れか ら 問 題 と し よ う とす る 「 情 報 化 」 の 附 題 か ほ と ん ど そ の 理 論 的 視 野 か ら 抜 け 落 ち て い る とい わざ る を え な い 。 す な わ ち, こ れ ら の 問 題 は き わ め て 重 要 万 も の で あ る と い う こ と が 認 識 谷れ て い な が ら, い わけ , 所 与 の も の , 外 部 的 な も の とし て 捉 え ら れる の み で あ る 。 第 匹│の 問 題 点 と し て , 彼 は , 地 試 問 格 差 の 問 題 は ,「 都 帯 対 農 村 」,『 中央 対 地 方 』 とい う 節式 で , 現 代 資 本 主 義 の 矛 購 を捉 土 石 が , そ こ にお い て 『 都 市 内 の 矛 購 ・対 立 ・ 競 争 』, 「 都 市 間 の矛 購 ・対 立 ・ 競 争 」 の 問 題 を ㈲ 特 に 捉 え る 視 点 を 欠《 こ と に なる と い う問 題 で あ る 。 以 上 匹│点 ほ ど問 題 点 を指 摘 し か 。 勿 論 , 矢[日氏 は 経 済 地 理 学 者 で あ 呪 『地 試 社 会 』 全 体 を 問 題 と す る 社 会 学 と違 い , 地 域 社 会 の 『 経 済 的 側 府 』 に 重 点 か お る こ と は い う ま で も な く, 上 記 の批 判 は 矢 日]氏 の 理 論 へ の過 剰 な 期 待 か ら く る も の とい う ご と も で き よ う。 し か し , 上 記 の批 判 は ,『 地 域 社 会 』 を そ こ で 営 物 『 社 説 の生 活 』 の 立 場 から 『 地 試 問 格 差 』 の 問 題 , 今 日 の 『 情 報 化 』 の 課 題 加 地 試 に 与 える 影 響 を投 光, そ の問 題 点 を 理 論 的 に 考 察 し よ う と す る と 馳 大 き な 課 題 と し て残 心 も ので あ ろ う 。 2. 2 ハ ー ヴ ェ イの 都 市 空 問 論 に基 づ《 『地 域 』 把 握 上 記 の よ う な 矢[日氏 の理 論 構 成 と は 異 な っ た方 向 か ら, 経 済 地 理 学 の 理 論 構 築 を めざ し , 近 年 注 目 を 集 め て い る の が, D。ハ ー ヴ ェ イ で あ る 。 し か し, 彼 目│身 の 研 究 の 中 心 は 都 市 寸 あ 呪 矢 田 氏 の い う よ う な 『国 良 経 済 』 とい う 視 点 か ら の理 論 構 築 を 目指 す も ので は な い 。 ま た, そ の 理 論 は抽 象 性 が 高《 , 都 市 過 程, 都 市 空 潤形 成 の資 本 主 義 的 形 態 に関 心 を 決定 し て い る た め , 地 城 社 会 の一 般 理 論 を提 題 す る も ので は な い 。 し か し , 彼 の 理 論 は, き わ めで ト ー タ ル に 現代 資 本 主 義 社 会 に お け る 資 本 蓄 積 の メ カ ニ ズ ム の 解 明 を めざ す も の で あ 肌 そ の 意 味 で 当 然 わ 軋 わ れ が 問 題 とす る『 地 城 頭格 差 』丿 地 城 関係 」 の 問 題 を解 明 す る 視 点 を 持 っ て い る と い う こ と が で きよ う 。 こ こ で は, ハ ー ヴ ェ イ の 理 論 を 素 描 し, 彼 の 談 論 に お い て 矢 籤氏 の 理 論 にお い て 残 谷 れ た詮 課 題 か い か に 解 明 さ れる か を 見 る こ と に し た い 。 ハ ー ヴ ェ イ は, 矢[日氏 排 他 値増 殖 の具 体 的 局 面 で あ る 生 産 過 程 に注 目 す る の に対 し , 蓄 積 の論 法 則 か ら 出 発 す る 。 彼 は こ れ を 《資 本 の第 一 次 循 環》,< 資 本 の 第 二 次 循 環 》, く資 本 の 第三 次 循 環 》 と し て 捉 え る 。 そ れ に よ っ て 抜 は, 資 本 の 蓄 積 の 原論 的 理 解 に 止 まら ず , 『資 本 の 流 れ』 を重 要 視 し , ト ー タ ル 設 資 本 の蓄 積 の お り 方 を問 題 に す る の で あ る 。 《資 本 の 第 一 失 循 環 》 と は , マ ル ク ス が 『 資 本 主 義 的 蓄 積 の 一 般 的 渋 川 』 と し て 捉 え る
地 域 社 会 と 情 報 化 ① も の で あ り, 矢 日ヨ氏 の 出 発 点 と 開 一 の も ので あ る 。 し か し , 勿 論 こ の循 環 は き わめ て 限 ら れ た生 産 と消 費 , そ し て そ こ か ら 生 じ る 蓄 積 の メ カ ニ ズ ムで あ る 。 彼 は 次 に 『 画 定 資 本 』 と 『 消 費 元 本 』 を 問 題 と する 。 こ こ で 問 題 と さ れる 『 囚定 資 本 』 と は生 産 過 程 の 補助 と し て あ る も の で ,そ れ は さ ら に『生 産 過 程 に 闘 い 込 ま れ た 囚定 資 本 』 と 『生 産 の 物 的 棒 紅 と し て 機 能 す る 囚 定 資 本 』 に 区 別 さ れる が , 後 者 を 「生 産 の 建 造 環 境 (造 ら れ た 環 境 )』 と 呼 ぶ。 消 費 に も 周様 の 構 造 が 存 在 し, 消 費 過 程 に 直 接 囲 い 込 ま れ て い る も の と , 消 費 の物 的枠 組 と し て 働 い て い る も の か お る が , 後 者 を 『消 費 の 建 造 環境 』 と呼 ぶ。こ の よ う な[刮定 資 本 や 消 費 元 本 へ の 資 本 の 流 れ を 衣資 本 の 第 二 次 循 環 》と ハ ー ヴ ェ イ は呼 ぶ。 こ こ で 重 要 な こ と は, こ の よ う な 建 造 環 境 へ の 投 資 は ,『生 産 ・ 流 通 ・交 換 ・消 費 の た め の 物 的 景 観 の 総 体 』 を必 然 的 に創 出 し,『空 間 的 に 不 動』 で あ る と い う 点 て あ る 。(:東 京 や ニ ュ ー ヨ ー ク の足 高 層 ビ ル を 想 起 す る と よ い 。) そ し て , こ の 建 造 環 境 へ の投 資 は ,『 大 規 模 か つ 永 続 的 に な り や す《 ,普 題 の やり 方 で 価 格 を つ け る の が 困 難 な こ と が し ばし ば で , し か も多《 の場 合 す べ て の 資 本 家 の 共 ㈲利 用 に 開 か れ て い る 」9)の で あ る ( そ の代 表 的 な も の が 交 通 網 で あ る )。 よ っ て, こ の よ う な投 資 は 顛家 , あ る い は 地 方 順治 体 な ど に よ っ て長 期 か つ 大 規 衝 プ ロ ジ ェ ク ト と し て行 わ れ る 場 合 が 多 い 。 《資 本 の 第 三 次 循 環 》 と は , 第 一 に 科 学 ・ 役 衛 へ の投 資 で あ り , 第 二 は主 に 労 働力 の再 生 産 過 程 に 関 わる 広 範 な社 会 的 支 出 で あ る 。 後 者 は ,『 労 働 力 の 質 的 改 良 に向 け ら え る 投 資 と, イ デ オロ ギ ー 的 ・ 軍 事 的 そ の 他 の手 段 に よ る 労 働 力 の取 り 込 み ・ 統 合 ・ 抑 圧 へ の投 資/o )を 意 昧 す る 。 以 上 三 つ の 資 本 の流 れ を 図 示 し だ の が , 図 遊で あ る 。 彼 は, 俗 髄 増 殖 の 基 盤 を直 接 ・ 間 接 に拡 張 す る 投 資 を 『生 産 的 投 資 』 と名 付 け る が, 第 二 次 ・ 第 三 次 循 環 へ の投 資 は, 一 定 の 条 件 の も と で ,こ の よ う な投 資 と な る『潜 在 的 可 能 性』を持 っ て い る も の と位 置付 け る。 勿 論 , 第二 次 ・ 第 三 次 の資 本 循 環 は , 直 接 的 に儡 信 増 殖 を 行 い に く い た め, 個 別 資 本 の 短 朔 的 な 利 潤 追 求 か ら 見 る と, そ の領 域 の 資 本 循 環 を抑 え , 第 一 次 の循 環 へ資 本 を ま わす こ と を 求 め 石径 向 か お る 。 し か し , 資 本 一 般 の 利 害 の視 点 か ら 見 た揚 言 , こ れ と対 立 す る 方 向 を も つ 。 つ ま 呪 頂m 資 本 に とっ て は 必 ず し も好 ま し く な い 第 二 次 ・ 第三 大 循 環 で は あ る が, 資 本 一 般 に と っ て み た 揚 言 , 第 一 次 循 環 に よる 過 剰 蓄 積 を 第二 次 循 環 へ の 投 資 へ 向 け る こ と に よ 呪 過 剰 蓄 積 す な わ ち恐 慌 を ㈲避 す る と と も に 新 か な 生 産 の建 造 環 境 を 整 備 す る こ と と な る の で あ る 。(勿 論 , こ れ に も 限界 は あ る が こ こ で は ふ ら な いぎ)) こ の よ う な資 本 の 流 れ に は, 当 然 資 本 と労 働 の 対 立 ・矛 盾, 個 別 資 本 と資 本 一一般 と の対 立 ・ 矛 購 が 内 在 し て お 肌 蓄 積 過 程 が 不 安 定 性 を 有 す る 可 能性 を 常 に 持 っ て い る 。 よ っ て こ こ に 資 本 の 流 れを ど の よ う に進 め る か と い う問 題 か 重 要 な 鶏 題 と か っ て く る ので あ る 。 こ れ を ハ ー ヴェ イ は 『 プ ラ ン ニ ン グ』 の 筒題 と 読 んで い る 。 こ の よ う に 見 て い く と , 資 本 主 義 の も とで の 都 市 過 程 は, 蓄 積 の問 題 と深 い 関 わり の な か で 理 解 す る こ とが で きる 。 ハ ー ヴ ェ イ は都 市 を 一 つ の 『 過 程 』 と と ら え る が , そ の都 市 過 程 に は, 生 産 ・ 流 通 ・交 換 ・消 費 の ため の 素 材 的 ・ 物 的 イ ン フ ラ ス ト ラ クチ ュ ア が不 可 欠 で あ る 。 要 す る に 『 都 市』 と は ,《資 本 の 第二 次 循 環 》, ( 第三 次 循 環 》 へ の 投 資 が 進 め ら れ , 蓄 積 さ れ て い る 場 , さ ら に言 う なら , そ れ に よ っ て,< 資 本 の 第 一 次 循 環 》 に よ り 個 別 資 本 の価 値 増 殖 を保 証 し て い る 場 , で あ る と い う こ とが で きる ので あ る 。 ハ ー ヴ ェ イ −277 −
労 働 生 産性 1 2 米 E 日 公 則 図4 資 本 の 第 一 ・ 第二 ・ 第 三 次 循 環 の 開 の 関 係構 造 固 定資 本 耐 久 生 産 財 建 造 環 境 移転 擬 制 資 本 信 用 創 造 と貨 幣創 造 一 一一考 a 債 務! 返 済 貨 幣 資 本 労 働 過 程 の 技術 的 ・ 社 会的 組 織 イ ノ ベ ー シ ョ ン 価 値 形 成 と 価 値増 殖 中 間投 人 匹 科 学 ・技 術 喊 『都 市 の 資 本 論j D. ハ ー ヴ ェ イ p. 24よ り 資 本市場 (金融的 なら び 万 引 「貯蓄」 「租 税 」 消 費 財 皿 皿 労 働 力 闇 家 の 諸 機 能 1 2 消 費 元 本 耐 久 消 費 財 建 造 環 境 商 品 の消 費 と 労 働 力 再 生 産 社 会 的 支 出 ( 教 育 ・健 康 ・ 福 祉 ・ イデ オ ロ ギ ー ・警 察 ・ 軍 事 な ど) 労 働力 の 量 と 能力 は , こ の よ う な 全 体 的 な資 本 蓄 積 のお り 方 か ら , 都 市 を 空 問 論 的 に 解 明 す る の で あ る 。 で は, こ の よ う な 理 論 構 成 か ら ,「 地 域 間 格 差 」 の 問 題 か ど の よ う に解 明 吝 れる の で あ ろ う か 。勿 論 , ハ ー ヴ ェ イ は,直 接 的 に『 地 域 間格 差 』 の 問 題 を 取 り 上 げ た わ け で は な い 。 し か し , 彼 の 理 論 は , こ の 問 題 に十 分 答 え う る 視 角 を 有 し て い る 。 彼 の理 論 構 成 か ら 出 発 す る と,「 地 域 間格 差 」 を生 か 最 大 の 問 題 け ,〈資 本 の 第 二 次 循 環〉,< 第 三 次 循 環 》 が 十 分 に 保 証 答れ て い る か い な い か とい う問 題 と深《 間 わ っ て い る の で あ る 。 要 す る に 物 的 ・ 社 会 的 イ ン フ ラ スト ラ ク チ ュ アが 整 備 答れ て い る と こ ろ ほ ど, そ こ にお け る 資 本 の 展 開 か 容 易 で あ 呪 よ り 一 層 の 蓄 積 を生 か こ と と な る ので あ る 。 こ のよ う な 地 域 間 格 差 の 捉 大方 は, 次 の よ う な利 点 を持 つ 。 そ れ は 第一 に 地 試 問 格 差 加 イ ンフ ラ ス ト ラ ク チ ュ ア の相 違 に よ っ て 把 握 答れ る た め, 格 差 の 問 題 け何 か 蓄 積 答 れて い る か とい う , そ の 地 旅 店身 の内 的 蓄積 が 問 題 な の で は な《 , そ の 地 城 と他 の 地 試 の イ ン フ ラ スト ラ クチ ュ ア の 差 異 が問 題 と な る の で あ る 。 勿 論 , こ れに よ り 『 都市 』 と は , 上 記 の よ う な資 本 の循 環 が よ り 容 易 で , 蓄 積 に 適 し か環 境 , ハ ー ヴ ェ イ の 言 葉 に よ れば 『建 造 環 境 』 の 整 備 吝礼 万 場 , で あ る とい う こ と が で き よ う が , こ れは 単 純 な『 都 市 』対 『 農 村 』 とい う 図 式 で , 地 試 間 間 係 が と ら え ら れる の で は な《 , 事 態 は よ り 複 雑 で ,『 都 市 部 』 な ど とい わ れ る 地 域 間 に お い て も競 争 ・対 立 の 関係 が 成 立 し て い る こ と を 暗 に 示 し て い る 。 そ し て ㈲時 に,地 域 ㈲士 は 単 に競 争 関 係 の み にあ る の で は な《 ,地 城 的 に分 業 関 係 を 持 ち, そ の 意昧 で 他 方 で , 相 互 依 存 関 係 を 形 成 す る と い う 面 も 有 し て い る。 第二 の利 点 は, 地 試 問 格 差 , あ る い は 都 市 闘 格 差 を 囚 定 的 に と ら え る の で は な《 , そ の ダ イ ナ ミ ズ ム を 解明 す る こ と を 可 能 にし た と い 呪 我で あ る 諦U え ば, イ ンフ ラ スト ラ クチ ュ
地 域 社 会 と 情 報 化 倒 アとしての交通運輸手段 の発展 は, その整備 (囚定資 本化) のおり方 によって,地域関係 を一変させる可 能性 さ使 有 している。 すな わち, 地試 問格差 は決し て囚定 的な ものでは な 《 ,新しいイ ンフ ラスト ラクチュ ア整備 をめぐ って常 に 競争 関係 の中にあ るのである。 第三の利 点 は, インフラストラ クチ ュアの中で も,特 に地域関係, すなわち空 関関孫 を 規定 する交 通運輸手段 の持つ矛息 し か性格 を解明し か点 である。資本 は,特定 の歴史的時 点 において,生 産と消費のため に『効率的』かつ「合理 的」な編成 を志 向する。すなわち, 資本 の蓄積 にとって最 も有利 なような空 間的均 衡・空問 的調和 に向け努力する のである 。 し かし,よ り一層 の蓄積の ためには空間的障害 を克服する ことが重要な要素であ り, その ため運輸手役 の永続的な革新が行 われる。こ のことは,既存 の空 赫編成の破壊 を内包して いるのである。 すな わち,交通運輸手段 が空 赫的均 衡・空 潤的調和を脅かす ものとして登 場 し,本来 『効率的 』かつ「合理的」 な編成 を可 能にする ものとい シ匠格 と矛盾 しか面 を 持 つのである。 第四には,交通運 輸手段 の革新 のみならず,技術 革新 の問題 を〈資 本の第三次循環〉 と し て位置づ けている点 てあ る。こ れは,特 に二つ の点 て重要 な指摘 である。第一点 は,発 引 とイノベー ションの場 として「都 市」を位置づ ける点 てある。第二点 は技術 革新により, 産業 を特定 の局 地的原 料 ないしエ ネ ルギー源 へ の緊密 か依存 から解 放する とい 脆叔であ る。こ れは,地 域と産業 のE白│然 を媒 介 とした結 合が弱 まるこ とにほ かならない。(この問 題は地方都市 を考える上で,重要 な問題 を提起 する ものである が, その点 について は後述 する。) 第五の利点 は, 地域間格差 の澗題 が単 に経 済的問題で はなく, さまざ まなレベ ルの「政 治」 の問題 をその射 程に入 れざる をえない とい う点てある。 つ まり,地試問 格差 が インフ ラストラ クチ ュアの相違による とい う考え方 は, その インフラ スト ラクチ ュアを整愉しう る国家, あるい は 店治体のありよ うもまた,重 要な視点 となるのである。 ハーヴェイ 白│身 は「都 市政治」 に的 を絞り,都 市政治 の『相対 的独 師匠』 が,資 本の蓄 積過 程と衝立 し うる こと, さらに は資 本の蓄積 にとって不可欠 である というこ とを指摘す る。し かし, こ れは開時 に「地域政治」,「地域政 策」 を理論的 射程の中に入 れる ことを可 能にし たとい うこ とがで きよう。 さら に付け 加える なら ば,当然 のこ とながら, その『政治』 の筒題 に,地域支 配と階級 対 立の問題 も含 まれる とい うことがで きる。 3 地 域 社 会 の資 源誹 員 的理 解 の試 み (以 下 , 次 回)4 地域 社 会 と情 報化 註 特 奥 匠│道 大 『地 域』,「地 域 社 会」 の 項, 見E日宗 介 ・栗 原 彬 引王│中義 久 編 『社 会学 事 典』, 弘 - 279 −
2 3 帽 5 ) 6 ) 7 ) 8 ) 9 ) 1 0 ) m 米 E 日 公 則 文 堂 p. 597, 598 宮 本憲一 ・横E日茂 ・中村 剛治郎 編 『地 域経 済学j p. 54, 有斐 閣フ ックス,1990 年 中 村剛 治 郎「 地域 経 済・ 地域 問題 ・ 地 域 開発一 基礎 視 角 に関 する 一般 論」『現 代 と思 想』31 号,p. 105, 青木書 店,1978年 矢m 俊文 『産業 配 置と地 域構造J p. 76, 犬引 堂, 1983年 同上 p /77 同上 p. 233 同上 p バ127 同上 p. 256 D. ハー ヴェ イ 『都市 の資本論j p. 21, 青木 書店, 1991年 同上 p。22 そ れは, 建造 環境 へ の投資 の持 つ使 用 価値 と交 換価 値 の対 立 であ る が, そ の詳 細 は,上記 文 献 p. 40を参照 のこ と。