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糸球体障害の基礎的・臨床的検討

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Academic year: 2021

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同窓会推薦講演

糸球体障害の基礎的・臨床的検討

群馬大学大学院医学系研究科生体統御内科学 廣 村 桂 樹 腎糸球体は血液濾過を担う重要な装置であり,その障害 により尿蛋白が出現し,腎不全に至る.私は糸球体障害の 機序に関する研究を続けており,本講演ではその研究成果 についてお話しする.1990年代後半より家族性ネフローゼ 症候群や家族性巣状糸球体 化症の原因遺伝子が糸球体上 皮細胞に存在することが明らかとなり,糸球体上皮細胞の 重要性がクローズアップされ始めた.ちょうど私が米国に 研究留学していた時期であり,当時不死化技術によりよう やく培養が可能となった糸球体上皮細胞を用いて研究を行 い,Cyclin Dependent Kinase 5(CDK 5)や CDK-inhibitor である p57 などの細胞周期制御蛋白が糸球体上皮細胞 の 化に重要であることを示した.帰国後は大学院生と研 究を行い,Tet-Onシステムにより糸球体上皮細胞特異的 に HIVウイルス関連蛋白の vprを発現するマウスを用い た検討を行い, vpr発現による高度な糸球体上皮細胞障害 が, アンジオテンシン II依存性であることを明らかにし た.その後,当時生体調整研究所の的崎 尚先生,大西浩 先 生が研究されていた受容体型膜蛋白である SIRPαが,糸 球体上皮細胞にも強く発現することが かり,SIRPαの細 胞内ドメインを欠損した変異型マウスの供与を受け検討を 行った.光顕では糸球体に異常はみられないが,電顕では 糸球体上皮細胞の足突起の平坦化が観察され,薬剤により 糸球体上皮細胞に負荷を与えると,変異型マウスでは高度 な蛋白尿を生じ腎不全に至ることを見いだした.これより SIRPαを介する細胞内シグナル伝達経路が糸球体上皮細 胞障害に対して保護的に働いていることが想定される.糸 球上皮細胞特異的に SIRPαを完全に欠損させたマウスを 作成し,さらに検討を進めている.また糸球体上皮細胞に 関連した尿中バイオマーカーに関する臨床研究を現在行っ ており,ご紹介する.

脳発達と核内ホルモン受容体研究

神奈川県立保 福祉大学 人間 合・専門基礎 岩 崎 俊 晴 先天性甲状腺機能低下症はヒトではクレチン症として知 られる.我々は甲状腺ホルモン (TH)の脳発達期における 作用を小脳をモデルに研究してきた.プルキンエ細胞に特 異的に TH受容体 (TR)β1の変異体を発現するトランス ジェニックマウスを作成し,細胞特異的に TH作用を抑制 した.このマウスでは全身性の甲状腺機能低下マウスと同 様の小脳表現型を呈し,プルキンエ細胞の TRが顆粒細胞 や乏突起膠細胞を含む小脳発達全体に重要であることが かった.また,他のモデル動物との比較を行った.その中で, プ ル キ ン エ 細 胞 に 強 く 発 現 す る オーファン 受 容 体 の retinoic acid receptor-related orphan receptor(ROR)の変 異体を発現するスタグラーマウスの解析から RORが TR を介する転写に促進的に作用することが かった. また, ROR以外にも脳発達期に発現する転写共役因子を同定し 機能解析したのでその一部も紹介する. 一方我々は,近年問題視されている環境化学物質の脳発 達への影響及び,環境化学物質のクレチン症発症への影響 について解析している.この研究により,従来毒性が高い とされてきた物質が脳発達にはほとんど影響がないこと や,毒性が低いとされてきた物質の影響が大きいことが かった.種々の物質が TH系に影響を及ぼしているが,作 用機序は物質により異なることが かった.中には THシ グナルを活性化する物質もあった.また,環境化学物質ス クリーニングのためのアッセイ系も樹立したので紹介す る. 以上のアプローチにより TR及び THの正常脳発達への 影響及び,環境化学物質の脳発達への影響が解明されつつ ある. ―262― 第 62回北関東医学会 会

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