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実感を伴った理解につながるプロジェクト学習

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Academic year: 2021

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(1)

実感を伴った理解につながるプロジェクト学習

著者

鮫島 圭介

雑誌名

鹿児島大学教育学部教育実践研究紀要

25

ページ

411-415

発行年

2017-02-26

URL

http://hdl.handle.net/10232/00029428

(2)

− 411 − 2016, Vol.25, 411-415 1 はじめに  今年度四月に鹿児島大学教育学部附属小学校 に赴任し,理科について日々勉強しています。 まずは,理科の目標を読み直し,授業に具体的 にどのように生かすかを考えています。平成20 年に改訂された理科の教科の目標は「自然に親 しみ,見通しをもって観察・実験などを行い, 問題解決の能力と自然を愛する心情を育てると ともに,自然の事物・現象についての実感を 伴った理解を図り,科学的な見方や考え方を養 う。」です。改訂されて新しく付け加えられた キーワードは,実感を伴った理解です。そこで, 実感を伴った理解とはどのような理解なのか整 理し,具体的に子どもの姿でどのように表れる のか意識しながら授業実践しています。実感を 伴った理解というと3つの側面から考えること ができるとされています。  ・具体的な体験を通して形づくられる理解  (体得)  ・主体的な問題解決を通してえられる理解   (習得)  ・実際の自然や生活との関係への認識を含む   理解 (納得)   また,本校理科部は,プロジェクト学習とい う形態による指導計画について研究しており, 実感を伴った理解につながるプロジェクト学習 というテーマで実践を行うことにしました。プ ロジェクト学習とは,子ども一人一人が,自然 の事物・現象に対して自分事として考え,進ん で参加できるような必然性をもったプロジェク ト(問題)を実社会・実生活と関連を図りなが ら設定し,教師から与えられた問題を考えるの ではなく,自分で考えたい,やってみたいとい う思いをもちながら行う学習です。そして,獲 得した自然のきまりをつなげてさらに考えると いう思考の連続性のある学習です。 2 第4学年「電気や光の働き」の実践 (2015 年6月実施)  本単元は,電流の向き,直列回路,並列回路, 光電池について考えをもつことができるように することを目標としています。その中で,「乾 電池の向きを変えるとモーターの回る向きが変 わり,モーターカーの走る向きも変わる」とい う現象は体験を通してとらえやすいが,「乾電 池の向きを変えると,電流の向きが変わり,つ なぎ方が変わる」という見方や考え方をもつこ とができないことが課題である。その要因の一 つは,モーターカーが反対に走るのはなぜだろ うという問題に対して乾電池も向きを変えた時 反対に走ったという事実のみをとらえ,乾電池 の向きを変えたことで何が変わったのかについ て考えさせていなかったからである。または, 乾電池の向きを変えたことで何が変わったかと いう問題が子どもたちにとって必要感のある問 題でなかったからである。その点を解決できる 教材の工夫を行った。  また,学習した電池のつなぎ方が日常生活で どのように生かされているかということに意識 をもつ児童は少なかった。そこで,本単元をプ ロジェクト学習として設定することによって, 自分事として問題をとらえ,モーターカーを創 意工夫して作り上げていく中で,電池のつなぎ 方と回路を流れる電流の強さとを関係付ける能 力を育てられるように,指導計画から見直して 実践を行った。

実感を伴った理解につながるプロジェクト学習

      鮫 島 圭 介

[鹿児島大学教育学部附属小学校]

Project based learning will lead to understanding with realization

SAMESHIMA Keisuke

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− 412 − 鹿児島大学教育学部教育実践研究紀要 第25巻(2016) (1)教材の工夫    授業改善の一つとして,乾電池の向きを変え ていないのに反対に走る車(写真①)を教材と して用意した。こうすることで車を反対向きに 走らせる方法は,電池の向きを変えるだけでは なさそうだという問題意識をもたせることがで きると考えた。 (↑上から見た写真②)(↑下から見た写真③)  写真のような仕組みの板を2枚作り,スイッ チにした。一つは回路がまっすぐつながって いるスイッチ,もう一つは回路がクロスしたス イッチ。このスイッチをさりげなく,わからな いように動かすことでモーターカーの走る向き を変える事象提示を行った。児童に実際に見せ る際は,電池部分とモーター部分のつなぎの板 は見えないようにふたをした。子どもたちは, モーターカーの秘密を探ろうという意欲が高 まっていた。   (2)プロジェクト学習の設定と単元の概要  自分事の学習問題となるように,まず一人一 台モーターカー作りをし,実際に走らせる中で 疑問に思ったこと,解決したいことなどを引き 出せるようにした。単元内で,モーターカー が反対に走るのはどうしてだろうという問題。 もっと速く走らせたいという問題。乾電池を2 個つないだのに,速く走るときと走らないとき があるのはどうしてだろうという問題など子ど もの思考が連続発展していく過程を見ることが できた。  たった一台の車から始まるが,その車が自分 の物であることから,自分の車をどうしたいの かという思いが生まれ,その思いに寄り添いな がら授業を進めることで,自分事の問題として 学習が展開されていく。自分や友だちの問いを 解決していき,そのことが車に反映されること から学ぶ必要感も生まれていた。車を通して自 分の学びの成長を感じることができた。そして 第二次では,上記の流れの後,電池の数を増や してみたいとという思いや,電池がなくなって くるから電池以外のエネルギーはないかという ことで光電池の存在を学習するなど子どもの問 題意識が連続していった。さらに,第三次では 学習したことを生かしたものづくりを行った。   3 実感を伴った理解とのつながり  これまで,第4学年「電気や光の働き」の概 要を述べてきた。では,本実践の中心である「実 感を伴った理解」に照らしながら実践を振り返 る。 (1)単元導入における体験を通した理解  「じゃーん」と車を見せる。(写真③)  「それ知ってる!それ や っ た!」 な ど 元 気 よ く 答 え る 子 ど も た ち。 そこで,何も話さずに, 静 か に 車 を 机 に 置 き, じっと見る。(笑い出す子どもたち。)その子ど もたちの様子を見ながら, 車がどうなっている か聞くと,「動かない。とまっている。」と答えた。 「どうして?」と聞くと,それぞれ思いを発言 する。「何も力がないから(生活体験を下に)」「風 とかゴムとか力がない(既習事項を下に)」「電 気とか, 電池とかがないから(これから学習す ることを下に)」「ガソリンがない」とわくわく した表情で答えていた。そこで,子どもたちと 㸦Ќ෗┿ձ㸧 㸦Ќୖ࠿ࡽぢࡓ෗┿ղ㸧㸦Ќୗ࠿ࡽぢࡓ෗┿ճ㸧 ෗┿ࡢࡼ࠺࡞௙⤌ࡳࡢᯈࢆ㸰ᯛసࡾ㸪ࢫ࢖ࢵ ࢳ࡟ࡋࡓࠋ୍ࡘࡣᅇ㊰ࡀࡲࡗࡍࡄࡘ࡞ࡀࡗ࡚࠸ ࡿࢫ࢖ࢵࢳ㸪ࡶ࠺୍ࡘࡣᅇ㊰ࡀࢡࣟࢫࡋࡓࢫ࢖ ࢵࢳࠋࡇࡢࢫ࢖ࢵࢳࢆࡉࡾࡆ࡞ࡃ㸪ࢃ࠿ࡽ࡞࠸ ࡼ࠺࡟ື࠿ࡍࡇ࡜࡛࣮ࣔࢱ࣮࣮࢝ࡢ㉮ࡿྥࡁࢆ ኚ࠼ࡿ஦㇟ᥦ♧ࢆ⾜ࡗࡓࠋඣ❺࡟ᐇ㝿࡟ぢࡏࡿ 㝿ࡣ㸪㟁ụ㒊ศ࡜࣮ࣔࢱ࣮㒊ศࡢࡘ࡞ࡂࡢᯈࡣ ぢ࠼࡞࠸ࡼ࠺࡟ࡩࡓࢆࡋࡓࠋᏊ࡝ࡶࡓࡕࡣ㸪ࣔ ࣮ࢱ࣮࣮࢝ࡢ⛎ᐦࢆ᥈ࢁ࠺࡜࠸࠺ពḧࡀ㧗ࡲࡗ ࡚࠸ࡓࠋ 䠄䠎䠅䝥䝻䝆䜵䜽䝖Ꮫ⩦䛾タᐃ䛸༢ඖ䛾ᴫせ ⮬ศ஦ࡢᏛ⩦ၥ㢟࡜࡞ࡿࡼ࠺࡟㸪ࡲࡎ୍ே୍ྎ࣮ࣔ ࢱ࣮࣮࢝సࡾࢆࡋ㸪ᐇ㝿࡟㉮ࡽࡏࡿ୰࡛␲ၥ࡟ᛮࡗࡓ ࡇ࡜㸪ゎỴࡋࡓ࠸ࡇ࡜࡞࡝ࢆᘬࡁฟࡏࡿࡼ࠺࡟ࡋࡓࠋ ༢ඖෆ࡛㸪࣮ࣔࢱ࣮࣮࢝ࡀ཯ᑐ࡟㉮ࡿࡢࡣ࡝࠺ࡋ࡚ࡔ ࢁ࠺࡜࠸࠺ၥ㢟ࠋࡶࡗ࡜㏿ࡃ㉮ࡽࡏࡓ࠸࡜࠸࠺ၥ㢟ࠋ ஝㟁ụࢆ㸰ಶࡘ࡞࠸ࡔࡢ࡟㸪㏿ࡃ㉮ࡿ࡜ࡁ࡜㉮ࡽ࡞࠸ ࡜ࡁࡀ࠶ࡿࡢࡣ࡝࠺ࡋ࡚ࡔࢁ࠺࡜࠸࠺ၥ㢟࡞࡝Ꮚ࡝ࡶ ࡢᛮ⪃ࡀ㐃⥆Ⓨᒎࡋ࡚࠸ࡃ㐣⛬ࢆぢࡿࡇ࡜ࡀ࡛ࡁࡓࠋ ࡓࡗࡓ୍ྎࡢ㌴࠿ࡽጞࡲࡿࡀ㸪ࡑࡢ㌴ࡀ⮬ศ ࡢ≀࡛࠶ࡿࡇ࡜࠿ࡽ㸪⮬ศࡢ㌴ࢆ࡝࠺ࡋࡓ࠸ࡢ ࠿࡜࠸࠺ᛮ࠸ࡀ⏕ࡲࢀ㸪ࡑࡢᛮ࠸࡟ᐤࡾῧ࠸࡞ ㌴ࡢ ࡋ ࠿ ࡅ ࢫࣛ ࢖ ࢻ ࡛ ࡁ ࡿࢫ ࢖ ࢵ ࢳ ࡟ ࡞ ࡗ࡚ ࠸ࡿ ࠋ 㟁 ụ ࡢ 㸩ᴟ ࡜ 㸫 ᴟ ࢆ ኚ ࠼࡞ ࡃ࡚ ࡶ 㸪2ᯛࡢᯈࢆື࠿ࡍࡇ࡜で, ࡘ ࡞ ࡂ ᪉ ࡀኚ ࢃ ࡾ ㌴ ࡢ ㉮ ࡿ᪉ 向 を ኚ ࠼ ࡿ ࡇ ࡜ࡀ ࡛ ࡁ ࡿ ࠋ Ꮫ⩦ࡀᒎ㛤ࡉࢀ࡚࠸ࡃࠋ⮬ศࡸ཭ࡔࡕࡢၥ࠸ࢆ ゎỴࡋ࡚࠸ࡁ㸪ࡑࡢࡇ࡜ࡀ㌴࡟཯ᫎࡉࢀࡿࡇ࡜ ࠿ࡽᏛࡪᚲせឤࡶ⏕ࡲࢀ࡚࠸ࡓࠋ㌴ࢆ㏻ࡋ࡚⮬ ศࡢᏛࡧࡢᡂ㛗ࢆឤࡌࡿࡇ࡜ࡀ࡛ࡁࡓࠋࡑࡋ࡚ ➨஧ḟ࡛ࡣ㸪ୖグࡢὶࢀࡢᚋ㸪㟁ụࡢᩘࢆቑࡸ ࡋ࡚ࡳࡓ࠸࡜࡜࠸࠺ᛮ࠸ࡸ㸪㟁ụࡀ࡞ࡃ࡞ࡗ࡚ ࡃࡿ࠿ࡽ㟁ụ௨እࡢ࢚ࢿࣝࢠ࣮ࡣ࡞࠸࠿࡜࠸࠺ ࡇ࡜࡛ග㟁ụࡢᏑᅾࢆᏛ⩦ࡍࡿ࡞࡝Ꮚ࡝ࡶࡢၥ 㢟ព㆑ࡀ㐃⥆ࡋ࡚࠸ࡗࡓࠋࡉࡽ࡟㸪➨୕ḟ࡛ࡣ Ꮫ⩦ࡋࡓࡇ࡜ࢆ⏕࠿ࡋࡓࡶࡢ࡙ࡃࡾࢆ⾜ࡗࡓࠋ 㸱 ᐇឤࢆకࡗࡓ⌮ゎ࡜ࡢࡘ࡞ࡀࡾ ࡇࢀࡲ࡛㸪➨㸲Ꮫᖺࠕ㟁Ẽࡸගࡢാࡁࠖࡢ ᴫせࢆ㏙࡭࡚ࡁࡓࠋ࡛ࡣ㸪ᮏᐇ㊶ࡢ୰ᚰ࡛࠶ ࡿࠕᐇឤࢆకࡗࡓ⌮ゎࠖ࡟↷ࡽࡋ࡞ࡀࡽᐇ㊶ ࢆ᣺ࡾ㏉ࡿࠋ 㸦㸯㸧༢ඖᑟධ࡟࠾ࡅࡿయ㦂ࢆ㏻ࡋࡓ⌮ゎ ࠕࡌࡷ࣮ࢇࠖ࡜㌴ࢆぢࡏࡿࠋ㸦෗┿ճ㸧 ࠕ ࡑ ࢀ ▱ ࡗ ࡚ ࡿ 㸟 ࡑ ࢀ ࡸࡗࡓ㸟ࠖ࡞࡝ඖẼࡼ ࡃ⟅࠼ࡿᏊ࡝ࡶࡓࡕࠋ ࡑࡇ࡛㸪ఱࡶヰࡉࡎ࡟ 㟼࠿࡟㌴ࢆᮘ࡟⨨ࡁ㸪 ࡌࡗ࡜ぢࡿࠋ㸦➗࠸ฟࡍᏊ࡝ࡶࡓࡕࠋ㸧ࡑࡢᏊ ࡝ࡶࡓࡕࡢᵝᏊࢆぢ࡞ࡀࡽ㌴ࡀ࡝࠺࡞ࡗ࡚ ࠸ࡿ࠿⪺ࡃ࡜ࠕື࠿࡞࠸ࠋ࡜ࡲࡗ࡚࠸ࡿࠋࠖ ࡜⟅࠼ࡓࠋࠕ࡝࠺ࡋ࡚㸽ࠖ࡜⪺ࡃ࡜㸪ࡑࢀࡒ ࢀᛮ࠸ࢆⓎゝࡍࡿࠋࠕఱࡶຊࡀ࡞࠸࠿ࡽ㸦⏕ άయ㦂ࢆୗ࡟㸧ࠖࠕ㢼࡜࠿ࢦ࣒࡜࠿ຊࡀ࡞࠸㸦᪤ ⩦஦㡯ࢆୗ࡟㸧ࠖࠕ㟁Ẽ࡜࠿㟁ụ࡜࠿ࡀ࡞࠸ ࠿ࡽ㸦ࡇࢀ࠿ࡽᏛ⩦ࡍࡿࡇ࡜ࢆୗ࡟㸧ࠖࠕ࢞ࢯ ࣜࣥࡀ࡞࠸ࠖ࡜ࢃࡃࢃࡃࡋࡓ⾲᝟࡛⟅࠼࡚࠸ ࡓࠋࡑࡇ࡛㸪Ꮚ࡝ࡶࡓࡕ࡜ືࡃࡓࡵ࡟ࡣఱ࠿ ຊ㸦ࣃ࣮࣭࢚࣡ࢿࣝࢠ࣮㸧ࡀᚲせ࡛࠶ࡿࡇ࡜ ࢆ☜ㄆࡋࡓࠋࡑࡋ࡚㸱ᖺ⏕࡛ࡣ㢼ࡸࢦ࣒࡜ ࠸࠺ຊࢆ౑ࡗ࡚ື࠿ࡋࡓࡇ࡜ࢆ☜ㄆࡋ 㸲ᖺ ⏕࡛ࡣ࡝ࢇ࡞ຊ࡛㌴ࢆື࠿ࡍ࠿⪃࠼࡚ࡳࡓࠋ ࠕ㟁ụࠋ㟁ຊࠖࠕ㇋㟁⌫ࢆ౑࠺ࠖ࡜࠸࠺Ꮚ࡝ ࡶࡢⓎゝࢆᣠ࠸㸦ࡑࡢ௚ࡢࠕỈࢆ౑࠺ࠖࠕⅆ ຊࠖࠕኴ㝧ගࠖ࡜࠸ࡗࡓ࢚ࢿࣝࢠ࣮ࡶྲྀࡾୖ ࡆࡓୖ࡛㸧㟁ụࡸ㟁ຊ࡟ࡣ≀ࢆື࠿ࡍຊࡀ ࠶ࡾࡑ࠺࠿⪺ࡃ࡜㸱ᖺ⏕ࡢ㇋㟁⌫࡟஝㟁ụ

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− 413 − 動くためには何か力(パワー・エネルギー)が 必要であることを確認した。そして, 3年生で は, 風やゴムという力を使って動かしたことを 確認し, 4年生ではどんな力で車を動かすか考 えてみた。「電池。電力」「豆電球を使う」とい う子ど もの発言を拾い(その他の ,「水を使う」 「火力」「太陽光」といったエネルギーも取り上 げた上で), 電池や電力には物を動かす力があ りそうか聞くと, 3年生の豆電球に乾電池をつ ないで明かりをつけた学習をもとに説明をする 児童が見られた。そこで, 電池を使って車を走 らせることに決めた。電池で車をさわって動か したり, 電池を車に乗せるたりしても動かない ことを確かめた。モーターを取り出し, モーター が電池の中にある力を動かすことにかえること を確認し,電池とモーターのエネルギーを使っ て動かすモーターカーを作ってみたい,走らせ てみたいという子どもの意欲を十分に引き出し た上で道具を配り作る活動にうつった。細かく 作り方を教えたり,一斉に順序よく作っていっ たりするのではなく,作りたいゴールの車のみ 見 せ て, あ と は 子 ど も た ち が そ れ ぞ れ に 自 分 の 車 を 作 る時間とした。   車 を 作 り, 走 ら せる中で出てきた「なんで,反対に車は走るの かな。」「電池の向きを変えると反対に走るよ。」 という新たな問題,「もっと速く走らせたいな。 電池2個でやってみよう。」という思いを単元 に反映する形で次時以降の学習につなげた。一 人一台の車を作り,その中で出てきた課題や思 いを大切に授業を展開していく。  このように,具体的な体験を通して理解して いく子どもの姿が見られた。 (2)主体的な問題解決で得られた理解  「先生,こんな車作ってきたんだ」としかけ  のある車(写真④)を登場させる。  「なんか隠れている」「しかけがあるはず」「速 く走るよ」などのつぶやきが聞こえてきた。こ の車を走らせてみると・・・これまでと速さは ほとんど変わらず,少し戸惑う子どもたち。「あ れ!?」と教師が首をかしげながらもう一度, もう一度と車を走らせる。「おかしいな。反対 向きに走るはずなのにな。」との教師の問いか けに対して,A君が,「電池の向きを変えてい ないから,反対に走るはずないよ。」と発言した。 するとBさんが,「確かに。前の時間に,反対 に走って困ったけど,電池を入れかえたら走る 方向変えることができたもんね。」と発言した。 「みんなは,どう思う?」の切り返しに,「私も そう思う。」といった声が聞かれた。「最後にも う一度走らせるね」と伝えモーターカーを走ら せる。「え~~??。」「なんで!?」という子 どもたちの声が聞こえ,何が不思議なのか問い, 学習問題へとつなげた。またこのことは,本単 元の課題である電池の向きを変えることと電流 の向きが変わることを自分事として考えさせら れる授業へと展開できた。子どもがどうしてだ ろうと思える事象提示を行うことができ,主体 的な問題解決の導入となった。電池の向きを変 えると車が反対向きに走ることは自分達の車作 りの中で体得しているととれるつぶやきが見ら れた。電池の向きをかえてことがつまりつなぎ 方をかえたことであることを習得させるための 導入となった。  どのようなしかけがあり反対に走ったのか考 えさせたところつなぎ方ではなく,「電池がも う一つあるはず」「なんかスイッチがあるはず」 という発想がほとんどで,つなぎ方に着目する 子どもはほとんどいなかった。そこで,ホワイ トボードを使って,電池とモーターの位置を確 写真④;(しかけのある車)

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− 414 − 鹿児島大学教育学部教育実践研究紀要 第25巻(2016) 認し,この間がどうなっているのか具体的に考 えさせてみた。すると,以下のような予想が出 てきた。  ホワイトボードにつなぎ方を考えさせ,実際 につないでプロペラの回る向きが反対になるか を確かめさせた。そして,事実を全員で共有し, 事実からどのようなことがいえるか考えた。  本時の事実を書いた後、モーターの回る向き が変わったのは他にも無かったかなと問い,つ なぎ方を変えたことと,前時までに乾電池の向 きを変えたことを比較した。上記の黒板の写真 のように,左向きにプロペラが回った現象を比 較して考えた。しばらくじっと待ち,「クロス しているのをまっすぐにすると,電池の向きを 変えたことと同じになっている」ということに 気付かせた。すると子どもたちから,どうして 電池の向きを変えたり,導線のつなぎ方を変え るとモーターの回る向きが変わるのだろうとい う問いが生まれ,次時の電流の向きの学習につ ながった。 (3)日常の身近な物と学習を関係付ける理解   み ん な の 日 常 の 周 り に あ る お も ち ゃ( 写 真 ) で こ ん な 物 を 見 つ け た よ。じゃーん!!と 100 円ショップの車 を提示。(実際に動 かしてみる)「これも,前に進んだり,反対に 進んだりしているね。どんな仕掛けがあると思 う!?」と投げかけた。  すると,「車の中を見てみたい!きっとつな ぎ方だよ。電池の向きを変えていないもん!」 等と学習したことを活用して考える姿が見られ た。実際に分解して開けてみると,写真のよう につなぎ方はわからない。そこで,もう一つの 部品であるリモコンについて調べようとする姿 が見られた。リモコンを開けてみると電池が2 つ入っていて,「え!?なんだこれ」電池2つ 使っているの!?という新しい問いが生まれ た。じっくり観察すると,電池2つはつながっ ているのではな く,別々の回路 であることが分 かり,私たちの 身近でも今日学 習したことが生 かされているの だと感じること ができた。子ど もたちが今後身 の回りの電気で 動く物を見たと きに,どのよう な仕組みになっているのかなと考える基盤を経 験できたといえる。  また,電池2つを見たことで,電池2つ使っ てもっと速く走らせたい!という思いがより高 まったように思えた。もっと速い車を作りたい という思いを叶えるために電池を2つにして走 らせた。すると,同じ電池2つなのに速さが違 うという事実が生まれ,それはなぜなのかとい う新しい問いが生まれ,直列回路と並列回路に ついて学習していくつながりとなった。電池の 向きを変えることと,つなぎ方を変えることの 二つの視点から電気の向きを考えたことで,直 列回路と並列回路のつなぎ方に対する意識が高 かった。  さらに,もっと速い車をつくりたいという思 いの下,電池を3つにしてみた。前時の既習事 項を下に,つなぎ方を工夫して走らせようとし ていた。 4 終わりに  今後は,実感を伴った理解をした子どもの姿

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− 415 − をより具体的に評価できるように見取り方を考 えていきたいです。評価項目をしっかりと設定 した上で,さらに子どもたちが充実できるプロ ジェクト学習を実践していきたいです。 付記  本報告は,鹿児島大学教育学部附属小学校平成 25 〜 27 年度研究紀要で発表した研究内容等に基 づき,理科教育において研究をさらに発展させ, その研究成果をまとめたものである。

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