小学校家庭科におけるプログラミングを取り入れた
住まいの明るさの学習
中 里 真 一・田 中 麻 里
群馬大学教育実践研究 別刷
第38号 221~226頁 2021
群馬大学共同教育学部 附属教育実践センター
小学校家庭科におけるプログラミングを取り入れた
住まいの明るさの学習
中 里 真 一
1)・田 中 麻 里
2) 1)群馬大学共同教育学部附属小学校 2)群馬大学共同教育学部家政教育講座 小学校家庭科におけるプログラミングを取り入れた住まいの明るさの学習 中里真一・田中麻里Comfortable Housing Education Focusing on Brightness by Using Programing
in Elementary School Home Economics
Shinichi NAKASATO
1), Mari TANAKA
2)1)Cooperative Faculty of Education Elementary School, Gunma University 2)Department of Home Economics, Cooperative Faculty of Education, Gunma University
キーワード:小学校、家庭科、住居学習、プログラミング、明るさ
Keyword : Elementary School, Home Economics, Comfortable Housing, Programming, Brightness (2020年10月30日受理) 1 はじめに 2020年度から完全実施された小学校学習指導要領家 庭編における住生活の内容は、(6)「快適な住まい 方」の1項目で構成されている。(6)に関する内容 の取り扱いとして、「主として暑さ・寒さ、通風・換 気、採光、及び音を取り上げること」が示されてい るⅰ。義務教育課程においてはICT利活用の推進が課 題となっており、GIGAスクール構想が開始されたこ とから、より一層のICT活用が求められているⅱ。家 庭科におけるICTの活用としては、被服製作時にミシ ンの使い方や縫い方などの動画を視聴する、児童生徒 の作品をタブレットに掲示するなどの使い方を取り入 れる授業は少なくない。家庭科住居領域の授業でICT を活用した事例としては、身の回りの音をタブレット で録音して共有することで児童に興味・関心をもた せることを目的とした課外活動が見られるⅲ。また、 音と生活との関わりの学習教材として、「屋外に漏れ る騒音のモデル教材」「床を伝わる騒音のモデル教材」 を開発した小学校家庭科の授業実践研究があるⅳ。こ の研究では、2つのモデル教材を用いた小学校5年生 対象の授業実践から快適な住まい方の解決方法を見い だすための有効な教材であることが明らかとなってい る。以上のように、2020年完全実施された学指導要領 において新たに追加された音から快適な住まい方を学 ぶ授業実践は見られるものの、小学校家庭科の快適な 住まい方においてICTを用いて明るさを扱った授業実 践は報告されていない。 また、小学校におけるプログラミング教育も充実が 望まれているⅴ。人がコンピュータに動作の命令を与 えることがプログラミングである。コンピュータは生 活の様々な場面で活用され、より適切、効果的に活用 していくためには、その仕組みを知ることが重要であ る。教科の学習をより深めるために、教科の学習内容 とプログラミング教育とを関連させることで、自分 が求める動作をさせることができるとともに、コン ピュータの仕組みの一端をうかがい知ることができ、 より主体的に活用することにつながることが期待され 群馬大学教育実践研究 第38号 221~226頁 2021
222 中里真一・田中麻里 ている。 本研究では、micro:bitを用いて児童が実際にプロ グラミングを行う実践的・体験的な活動を通して児童 が明るさに関する快適な住まい方を見いだすことを目 的とし、以下の授業実践を行った。 2 学習プログラム 2.1 題材の構想 気温が下がり、寒くなる冬季には、暖房機器を使用 して室内を暖めて過ごすことが多い。その際、空気の 乾燥により、健康を害する原因となるほこりやウイル ス等が飛散しやすくなるため、室内の加湿をすること が欠かせない。人々が健康で快適な生活を送るために は、暖房機器を効果的に使用して冬季の寒さを防ぐと 同時に、適度な湿度を保ちながら暖かく過ごすことが 大切である。また、冬季は太陽の高度が低く、室内に 日光が入りやすい。環境に配慮した省エネルギーとの つながりから、室内を暖める際に太陽の暖かさを取り 込み、暖房機器の使用と組み合わせることが大切であ る。その一方で、日光の活用には、目の健康への配慮 から、過度な日光を遮る必要性や不足による照明の必 要性も求められるため、適度な明るさを確保すること が大切である。 室内の温度や湿度を測定することは、日光や暖房機 器の活用による室内の暖かさや湿度を数値として捉 え、室内全体の暖かさや湿度を調節することの必要性 や、調節する方法とその効果に気付くことにつなが る。また、室内の明るさを測定することにより、感覚 的に分かりにくい適度な明るさを数値として捉え、活 動に応じて明るさを調節することの大切さに気付くこ とができる。このような実践的・体験的な活動を通し て、室内の暖かさや適度な湿度を保つ方法、活動に応 じた明るさを調節する方法を考え工夫することができ るようになる。そして、考えた方法で、教室や家庭の 暖かさや湿度、明るさの調節を工夫することは、日光 を生かし、暖房や照明の機器を効果的に使って、健康 で快適な生活をする基礎的・基本的な知識や技能を、 実感を伴いながら身に付けることにつながる。 これらの学習を行うことは、子どもたちが日常生活 の中で、季節の変化に合わせて快適な住まい方を工夫 しようとする態度を育むことにつながる。 2.2 プログラミング教育との関連 本題材では、micro:bitの光センサーを用いるプロ グラムを行い、室内の明るさを測定することとした。 micro:bitは、文字や図形を表示できる25個の赤色 LEDがあり、光センサーとしても機能する。ウェブブ ラウザ上で動作が書かれたブロックを組み合わせてプ ログラムをすることができるため、初めてプログラム をする子どもたちにとって扱いやすい。また、電池 ボックスをつなぐことで手軽に持ち運びをして使用で きるため、様々な場所の明るさを測定し、明るさの調 節を工夫する本題材の活動に適している。 子どもたちは、教室や家庭の様々な場所の明るさを 調べ、活動に応じた明るさを調節する方法を考え工夫 するために、明るさを数値や記号で表示するプログラ ムを行う。明るさの度合いを数値で表示し、過不足を 記号で表示するためには、プログラミング的思考の要 素である「順次処理」や「分岐処理」を用いることに なる。特に「分岐処理」を用いる際には、日常生活に おける快適な明るさについて学んできたことを活用 し、活動に応じた数値の条件設定や、適度な明るさが 意識できる表示となる条件設定を考えるため、適度な 明るさについての理解の深まりや、住まい方を工夫し ようとする意欲の高まりが期待できる。それととも に、本題材の問題解決を図る中で、室内の明るさを調 節する方法を検討・検証することに有効である。ま た、命令の組合せを試行錯誤し、プログラムをした動 作が意図した通りに表示されているかの可否を確認す る過程の中で、繰り返しプログラミング的思考を働か せることができる。 そして、熱中症やインフルエンザ予防の注意喚起の 表示をするデジタル温湿度計のように、類似したプロ グラムを使った製品が、身の回りの生活の中で活用さ れていることにも気付くことができる。さらに、生活 をよりよくしようと工夫するために、生活の中からの 問題の見いだしや、見いだした問題の解決に、ICTを 生かそうとする態度を育むことにもつながる。 3 指導計画と授業実践 3.1 指導計画 目標及び指導と評価の計画については表1の通りで ある。本実践研究の中心となるのは、全6時間計画の
223 小学校家庭科におけるプログラミングを取り入れた住まいの明るさの学習 中の4時間目と5時間目である。特に、5時間目は、 家庭で明るさを調べて、適度に調節する計画を立てる 授業とした。めあてを「家族の誰でも分かりやすい明 るさセンサーになるようにプログラムをし、家庭での 実践計画書を作ろう」とした。 3.2 4時間目の授業 全6時間計画の4時間目は、学校内の様々な場所の 明るさを調べるために、子どもたちは明るさを数値で 表すプログラムをしている。ただし、照度計で測定す る照度(Lux)と、micro:bitの光センサーで表示する 数値は異なる。micro:bitで測定する明るさの数値は、 0~255の範囲で表示される。授業者が事前に様々な 場所で照度計とmicro:bitの光センサーの両方で明る さを測定したところ、micro:bitの数値を10倍するこ とで、およそ照度計で測定する照度に近い数値となっ た。そのため、子どもたちがmicro:bitの光センサー で測定した数値は、10倍して照度基準表と照らし合わ せ、活動に合わせた明るさになっているかどうかをペ アごとに調べた。 教室内を調べた子どもたちは、同じ教室内でも、窓 側や通路側では机の上の明るさに違いがあることや、 日の差し方によっては、窓側の電気は消灯しても、机 の上の必要な明るさは確保できることなどを導き出し ていた。また、普段あまり明るさの必要性を意識して いないという理由から廊下などの通路を測定した子ど もたちは、窓の有無によって明るさが大きく異なるこ とや、窓があってもカーテンをしている通路は、照度 基準表と照らし合わせた際に、十分な明るさが確保で きていないことを導き出していた。 ペアごとの調べの後に、調べた結果を全体で共有し た際には、これらの調べた事実から、「明るさの調整 は電気以外でもできること」「暗さを意識して電気を つけることがあっても、明るさを意識して電気を消す ことは少ないこと」など、快適に過ごすために明るさ を調節する必要性を実感し、その方法を自分たちで見 いだしていた。そして、明るさの数値を測定し、その 都度照度基準表と照らして必要な明るさを調べるより も、明るさの過不足を一目で分かる測定ができると、 誰でも明るさの調整がしやすいという意見から、この 時間の学習を生かして、次時では明るさの過不足を表 示するプログラムをすることとした。 3.3 5時間目の授業 全6時間計画の5時間目は、誰でも一目で明るさが 足りていることを確かめることができるプログラムを して、家庭で明るさを調べる場所や調節する方法を決 めて実践計画を立てる目的意識を持って取り組んだ。 教師は、サンプルプログラムを提示し、2人に1台の タブレットとmicro:bitを配布した(写真1、2)。 提示されたサンプルプログラムを参考にしながら、 子どもたちは、自分たちが意図した表示になるように 試み、測定する場所や活動に必要な明るさを照度基準 表で確かめながら、プログラムを行った(写真3)。 照度基準表では、キッチンは500ルクスで、勉強机 は750ルクスと場所や活動によって必要な明るさが異 なる。そのため、サンプルプログラムを参考にし、 750ルクス以上の場合は○、500ルクス以上の場合は △、500ルクス未満は×の3段階表示にする子どもも いた。多くの子どもは、750ルクス以上は○、それ未 満は×など、2段階表示を考えていたが、誰もが家庭 で自分が明るさを調べたい場所や活動に合った測定が 写真2 提示したサンプルプログラム 写真1 使用したmicro:bit(電池ボックス付属)
224 中里真一・田中麻里 表1 指導と評価の計画(全6時間) 目標 寒い季節の室内を暖かく,適度な湿度を保ったり,作業に必要な室内の明るさを調節したりする方法が分かり,日常生活に生かすことができ る。 評価 規準 (①知 ・ 技) 暖房や照明の機器の効率のよい使い方や,適度な明るさが分かり,日光の熱や光も利用して室内の暖かさや明るさを調節することができる。 (②思・判・表) 寒い季節を暖かく,適度な湿度や明るさで過ごす住まい方について問いを見いだし,暖房や照明の機器,日光の熱や光の利用の仕方を考え, 工夫している。 (③主体的態度) 寒い季節を暖かく,適度な湿度や明るさで過ごす住まい方に関心をもつとともに,暖房や照明の機器を効率よく使いながら,日光の熱や光も 利用して室内の 暖かさや湿度,明るさを調節しようとしている。 過程 時間 学習活動 指導上の留意点 評価項目 〈評価方法 (観点) 〉 見つめる・つかむ 1 ○寒い季節の室内の暖かさや湿度,作業に必要な室内の 明るさについての疑問点や調べたいことを話し合い , 課題をつかむ。 課題: 「日光を生かしながら,暖房や照明を上手に使い, 室内を暖かく,適度な湿度にしたり,明るくした りするには,どのようにするとよいのか」 ○日光の熱や光を利用することへの関心を高められるよ うに,日当たりの異なる室内の温度や湿度,明るさを 測定する場を設定する。 ◇寒い季節の室内の暖かさや湿度,作業に必要な 明るさについての疑問点や調べたいことを,記 述したり発言したりしている。 〈学習プリント・発言③〉 家庭 ○家庭でしている室内を暖かくする方法, 加湿する方法, 明るくする方法を調査する。 1 ○学習計画を立てる。 ○暖房や照明の器具効率のよい使い方や,日光の熱や光 の利用の仕方を明確にすることに向けた活動の見通し をもてるように,暖かさや湿度,明るさを検証するた めの活動や条件について話し合う時間を設定する。 ◇暖房や照明の機器の効率のよい使い方や,日光 の熱や光の利用の仕方を明確にする活動や条件 について考え,計画を記述したり発言したりし ている。 〈学習プリント・発言②〉 追究する 1 ○教室内の様々な場所の温度や湿度を調べ,室内の暖か さや湿度を調節する方法を話し合う。 ○日当たりや高さによる温度の違いや,室内の湿度を整 理できるように,ペアごとに温湿度計と記録用紙を用 意する。 ◇日光や暖房で暖めた空気を逃がさない方法や , 暖房効率を上げる方法 ,湿度を上げる方法を , 記述したり発言したりしている。 〈学習プリント・発言①〉 1 ○学校内の様々な場所の明るさを調べ,室内の明るさを 調節する方法を話し合う。 ○学校内の様々な場所の明るさを調べることができるよ う に ,ペ ア ごと に 明る さ を 数値 で 表示 す る m ic ro :b it と記録用紙を用意する。 ◇採光による明るさが不足する場合に,照明で明 るさを補うとよいことを,記述したり発言した りしている。 〈学習プリント・発言①〉 まとめる・広げる 1 ○家庭で明るさを調べて, 適度に調節する計画を立てる。 (本時) ○家庭で必要な明るさを調べる計画を立てる見通しをも てるように ,明るさの表示をプログラミングできる micro:bitとタブレットPCを用意する。 ◇家庭で明るさを調べる場所や,試してみる明る さを調節する方法を,記述したり発言したりし ている。 〈学習プリント・発言②〉 家庭 ○家庭の様々な場所で温度や湿度,明るさを調べ,適度 に調節する。 1 ○家庭での実践結果や,感想を話し合う。 ○日光を生かしながら,暖房や照明の機器を効率よく使 い,寒い季節を暖かく,適度な湿度や明るさで過ごす 意欲をさらに高められるように,話し合う際の観点と して 「家庭で調べたことのよさ」 を提示する。 ◇家庭で調べたことのよさを基に,日光を生かし ながら,暖房や照明の器具を効率よく使い,寒 い季節を暖かく,適度な湿度や明るさで過ごそ うとする思いを,記述したり発言したりしてい る。 〈学習プリント・発言③〉
225 小学校家庭科におけるプログラミングを取り入れた住まいの明るさの学習 できるように、ペアで協働しながら、各自の家庭での 測定で必要となるプログラムを行った。 次に、プログラムをした明るさセンサーを持って、 ○×などの表示をはじめ、意図する動作の可否や、設 定した数値の想定を確かめるために教室や廊下で実際 に測定を行った(写真4)。micro:bitの動作から、自 分たちが行ったプログラムを確認し、測定する場所や 活動によって必要な明るさが異なることから、表示の 仕方を2段階から3段階になるようにプログラムを修 正したり、測定の結果から、明るさを調節する方法を ペアで相談したりしていた。 最後にこの明るさセンサーを用いて家庭で明るさを 調べる場所や、試してみる明るさを調節する方法をそ れぞれが考え、家庭での実践計画をプリントに記述し たり、発言したりした。 3.4 住まい方の工夫への言及 住まい方を工夫しようとする方法としては、前時や 本時で教室の机の上の明るさを測定した子どもは、家 庭で明るさを測定する場所を「読書や宿題をするとき の部屋や机の上」とし、明るさを調節する方法を「部 屋の電気を付けるだけでなく、机の上の明るさが足り ていないときには、デスクライトを置いて明るくした い」と記述していた。また、家庭で明るさを測定する 場所を、「キッチン」とした子どもは、明るさを調節 する方法を「家のキッチンの照明は光があたる角度を 変えられるので、明かりが必要な場所に光があたって いるか確認したい」と記述していた。このように、明 るさの調節に照明を利用することを具体的に記述する 子どもが多くいた。 また、これらの照明の利用とは反対に、家庭で明る さを測定する場所を「いつも明るいリビング」とし、 「明るすぎるような気がするので、部屋に入るとつい 付けてしまう電気を意識して消す」と記述するなど、 自分でプログラムした明るさセンサーを節電に利用し ようとする子どももいた。 照明の利用以外の明るさを調節する方法として子ど もたちが記述したり、発言したりしたことは「電球を 外してきれいに拭く。電球を新しくする。」「窓をきれ いする。」「カーテンの開閉で調節する。カーテンの色 や厚さを変えてみる。」などである。中には、「プログ ラムした明るさセンサーの表示や自分の感じ方だけで なく、家族みんなで過ごすリビングの明かりは、家族 のみんながちょうどよい明るさなのかを確かめて調節 したい」や、「夜起きてトイレに行くときに、電気を 付けるとまぶしすぎるので、足元だけ明るくなる電気 をつけたい(新設するの意)」(カッコ内は筆者による 記述)と記述する子どももいた。これらの子どもは、 自分と家族とのつながりを意識したり、自分の具体的 な生活経験をもとにしたりして、生活をよりよくして いくための、自分の家庭に合った快適な住まい方を見 いだしていると言える。 3.5 6時間目の授業 全6時間計画の6時間目は、家庭での実践結果や感 想を話し合った。 多くの子どもたちが、「これまで何気なく付けてい た電気が本当に必要かどうか考えるようになった」 や、「読書や勉強、料理などの際の手元の明るさを意 識するようになった」、「カーテンの開閉が少ない部屋 写真4 明るさセンサーを試す様子 写真3 プログラムをする様子
226 中里真一・田中麻里 もあるけど、電気を付ける前に、カーテンを開けてみ るようになった」などと発言したり、学習の振り返り シートに記述したりしていた。 これらの家庭科の学習内容に関わる記述以外にも、 「プログラミングをすることで自分たちが調べたいこ とが調べられたので、今後も使っていきたい」や、 「今までプログラミングは難しいと思っていたけれ ど、身近なところでたくさん利用されていることに気 付いた」のような発言や記述も見られた。これは、コ ンピュータの働きを学習や生活に生かすことや、その 便利さを理解するなど、小学校でのプログラミング教 育のねらいにもせまることができたと言える。 以上のように、子どもたちはmicro:bitを用いた実 践的・体験的な活動を通して、明るさに関する快適な 住まい方を見いだしていた。 4 おわりに 小学校家庭科における快適な住まいの学習では、明 るさを学習する際には、これまで照度計を用いて明る さを測定してきたが、学校で照度計を利用して明るさ を調べることができても、家庭で明るさを調べること ができずに、家庭科での学習と家庭生活を結びつける ことに困難さがあった。 そこで、一目で見て活動に適した明るさが足りてい るか、不足しているかが分かる明るさセンサーをプロ グラムする授業実践を行った。 今回は、micro:bitを用いて異なる明るさが一目で 分かる明るさセンサーを作成した。micro:bitは、温 度を数値で表示することもできるが、瞬時に測定する わけではないため、家庭科の快適な住まいの温熱環 境の学習には不向きであるが、明るさの学習には適 した教材と言える。手軽で測定値もわかりやすく、 micro:bitの数値を10倍すると照度計のルクスと同程 度になることもあって、家庭科の学びを生かしてプロ グラミングができ、プログラミングが家庭科の学びを 深める学習効果があって、公立学校でも取り入れやす い実践といえる。 今回は、ペアでmicro:bitを使ってプログラムを 行ったが、家庭に持ち帰って明るさを測定するに は、交代で計測するか、余裕があれば一人一台の micro:bitを用意できるとよい。 子どもたちはプログラムをする際、日常生活におけ る快適な明るさについて学んできたことを活用し、場 所や活動に応じた数値の条件設定や、適度な明るさを 意識できる表示となる条件設定を考えていた。 また、明るさを調節する際にも明るさが足りていな い場合だけでなく、明るすぎる場合にはプログラムし た明るさセンサーを節電に利用しようとする試みも見 られた。さらに、明るさを調節する方法として電球を きれいに拭く、電球を新しくする、窓をきれいする、 カーテンの開閉で調節する、カーテンの色や厚さを変 えてみる、といった多様な住まい方の工夫にも言及し ていた。さらに、自分の感じ方だけでなく、家族みん なで過ごすリビングの明かりが、家族みんなにちょう ど良いのか確かめて調節したいといった自分と家族と のつながり意識した、生活をよりよくしていくための 快適な住まい方を見いだしていた。 学習内容に関わる記述以外にも、プログラミングを することで調べたいことが調べられた、プログラミング は身近なところで他利用されていることに気づいた、な ど、コンピュータの働きを学習や生活に生かすことや、 その便利さを理解するなど、小学校でのプログラミン グ教育のねらいにもせまることができたと言える。 これらのことから、子どもたちは適切な明るさにつ いての理解を深めるとともに、住まい方を工夫しよう とする意欲を高めており、プログラミングを取り入れ た住まいの明るさの学習における一定の成果が得られ たと言えよう。 引用文献 ⅰ 文部科学省(2017)「小学校学習指導要領解説 家庭編」 58-59 ⅱ 文部科学省(2020)「GIGAスクール構想の実現について」 ⅲ 川原和姫・鈴木佐代・豊増美喜・豊田晴一(2018)「タブ レット端末を用いた「生活と音」の活動プログラムの開 発」日本家政学会研究発表要旨集(70回大会) ⅳ 中里真一・田中麻里・佐野史・吉良元・青木悠樹(2020) 「タブレット端末を用いた生活騒音防止の教材開発~小学 校新学習指導要領に基づいた住まいの音の学習~」日本家 政学会誌、71-9、610-616 ⅴ 文部科学省(2020)「プログラミングの手引き(第3版)」 (なかさと しんいち・たなか まり)