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相対的直接原価計算における原価の本質 : 意思決定志向的原価概念

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相対 的直接 原価 計算 にお け る原 価 の本質

一 意思決定志向的原価 概念一

両   頭   正   明

王  序   小 稿 の 目的 は,現 在 西 ドイ ツに お い て原 価 計 算 の支 配 的 な形 態 とな りつ つ あ       1) る りー ベ ル(Riebel,  P.)の 相 対 的 直 接 原 価 計 算(relative  Einzelkostenrechnung) に お け る 一 般 的 原 価 概 念 の 本 質 を 明 らか に し ょ う と す る と こ ろ に あ る 。 リ ー ベ ル の 相 対 的 直 接 原 価 計 算 シ ス テ ム の 構 想 は 基 礎 計 算(Grundrechnung)と 特 別 計 算(Sonderrechnung)と に 分 け て な さ れ て い る と こ ろ に そ の 特 徴 が あ り, 基 礎 計 算 は 各 種 の 原 価 計 算 目的 を 達 成 す る た め の 基 礎 的 な 原 価 情 報 を 収 集 し提 供 す る 計 算 シ ス テ ム で あ り,特 別 計 算 は 特 定 の 原 価 計 算:目的 を 達 成 す る た め の       の 原 価 情 報 を提 供 す る計 算 シス テ ムで あ る。 そ こに お け る原 価 の本 質 的 概 念 を検 討 す る のが 小 稿 の課 題 で あ る。 そ の さい,従 来 か ら論 じ られ て き た収 支 的 原 価       3)

(pagatorische  Kosten)と 価 値 的 原 価(wertm乞Bige  Kosten)の 概 念 が そ の 本

質 的 理 解 の た め の 鍵 と な る の で あ る 。 これ ま で に 発 表 さ れ て きた りー ベ ル の 著

書 や 論 文 に お い て は,彼 の 構 想 す る相 対 的 直 接 原 価 計 算 シ ス テ ム に お け る 一 般

1)  Riebel, Paul., Einzelkosten-and  Deckungsbeitragsrechnung,  Opladen,1.  Aufl.,1972,   2.Aufl.,1976.リ ー ベ ル の 所 説 に つ い て は,つ ぎ の 拙 稿 を 参 照 。 「西 ドイ ツ に お け る   直 接 原 価 計 算 」 企 業 会 計,29巻5号,昭 和52年4月 。 「西 ドイ ツ 直 接 原 価 計 算 の 一 考   察 」 神 戸 商 大 ・商 大 論 集,25巻1・2・3号,昭 和48年9月 。 2)・ 拙 稿 「直 接 原 価 計 算 に お け る 基 礎 計 算 の 意 義 」 彦 根 論 叢,158・ ユ59号,昭 和47年11   月 。 拙 稿 「直 接 原 価 計 算 と基 礎 計 算 の 利 用 」 企 業 会 計,25巻2号,昭 和48年2月,参   照 。

3)  Koch,  Helmut,  Gr瑚4ρroうZ伽 θ4θr Ko5'θ πrθc肋雌9}K61n  u. Opladen,1966,  S.9一   一62.

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 20 的 原 価 概 念 の 本 質 が 十 分 に 述 べ られ て い な か った の で あ る。 しか し,最 近 の論 の 文 に おい て よ り鮮 明に この 問題 に つ い て論 じて い る と考 え られ るの で,わ れ わ れ は こ の論 文 を 手 掛 りに して り・一ベ ル の相 対 的直 接 原価 計 算 シス テ ムに おけ る 一 般 的 原 価 概 念 の 本 質 とそ の 問題 点 を 考察 した い と思 うの で あ る 。       ヨツ               皿  リーベルの問題提 起   意 思 決 定計 算(モ デ ル)で は,特 定 の 処 理 に 関 連す る 意 思 決 定 の 基 礎 と し て,成 果 要 素 に プ ラ ス お よび マ イ ナ ス と して 作用 す る 成 果 変 動 額 が 問 題 に な る。 また,こ の場 合,モ デル に 入 れ られ る係 数 が 意 思 決定 関連 的 な もの で な け れ ば な らない 。 意 思 決 定 関 連 的 な 基 礎 情 報 の 決定 は実 務 的 に 困難 を 伴 う こ とが 多 い とい え る。 と くに,計 量 化 され る値 が物 的経 済 的 に十 分 に 明確 で な い場 合 が そ れ で あ る。 評 価 問 題 を十 分 に解 決 して い な い場 合 に は,擬 制 的 な最 適 な方 法 条 件 で 満 足 しな けれ ば な らな い こ とに な る。 意 思 決 定 モ デル を 実 務 に 適 用 す る場 合,技 術 的数 値 を経 済的 に み て適 切 な貨 幣 額 に変 換 す る問 題 を 解 決 しな け れ ば な らな い。   従 来 か ら,意 思 決定 志 向 的原 価 評 価 の 問 題 は 多 くの 論 者 に よ って,主 と し て,シ ュマ ー レソバ ッ・・(Schmalenbach,  E.)の 理 論 を 中心 に して繰 返 し取 り       の 上 げ られ て きた 。 しか し,そ こで 展 開 され て い る原 価 評 価額 は特 定 の前 提 の場 合 に つ い て の み 妥 当 す る もの で あ って,決 して実 務 に お け るす べ て の重 要 な状 況 を 包 括 して い る とは い え な い の で あ る。   こ こに,リ ー ベ ル は つ ぎの よ うな2つ の問 題 を提 起 す る の であ る。 つ ま り, 給 付 に 結 び つ い た財 貨 費 消 の評 価 額 と し て の原 価 が 目的 や 状 況 に 関 連 した 評 価 原 則 の適 用 に よっ て 限定 せ られ るべ き であ ろ うか と い う問 題 と,原 価 の 数 量 構

4)  Riebel,  P.,  Uberlegungen  zur  Formulierung  eines  entscheidungsorientierten

  Kostenbegriffs.  In:MUller-Merbach,  H.(Hrg.),  Quantitative  Ansatze  in  der

Betriebswirtschaftslehre,  Munchen,1978,  S.127-146.

5)  Riebel,  P., Uberlegung… …,  S.128.

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      相対的直接原価計箆における原価の本質  21 成 の変 更 お よび経 済 的 に適 切 な貨 幣 額 の決 定 が 客 観 化 され るべ きで あ る とい う 問題 で あ る。 』この よ うな 問題 に 関 してつ ぎの2つ の観 点 が 重 要 な意 味 を もっ てい る。 第1 は,価 値 的原 価 概 念 と収 支 的 原 価 概 念 との論 争 は 未 解 決 で あ る とい うこ と,第 2は,原 価 ・利 益 計 算 お よび 短 期 的 意 思 決 定 計 算,つ ま り,短 期 経 営 成 果 計 算 に お い て は,投 資 計 算 の よ うな長 期 的問 題 の場 合 とは 異 った 思 考 と計 算 とを 基       の 礎 に して い る と い う ことで あ る。 しか し,短 期 的 問 題 と長 期 的 問 題 との 間 に 位 置す る 問題 が 実 務 で は しば しば 発 生 す る。 こ の こ とか ら,理 論 的 思 考 と計 算 技 術 との統 合が 要 求 され る。   以下,わ れ われ は小 稿 で は原 価 の 問題 に 限 定 し て議 論 を 進 め る こ とに す る。 リー ベ ル に した が っ て,ま ず,価 値 的 原 価 概 念 の問 題 点 を 明 らか に す る若 干 の 命 題 につ い て考 察 す る。 そ し て,つ ぎに 価 値 評 価 の 問 題 が 帰 犀 計 算 問 題(Zu・ rechnungsproblem)と して 展 開 され るの で あ る。        皿   価 値 的 原 価 概 念 の 問 題 点   原 価 は給 付 に結 びつ いた 財 貨 費 消 の評 価 額 と し て一 般 に 定 義 づ け られ るが, こ の こ とか ら計 量 モ デ ルに おい ては,個 々の 原 価 種 類 は 製 品 に つ い て の 財 貨 費 消 の数 量 パ ラメ ー タ ー,価 格 係 数,お よび,原 価 係 数 か ら定 式 化 され る。価 値 的原 価 概 念 の特 徴 は効 用 値(Nutzengr6Ben)の 計 算 を 認 め て い るの で評 価 の 不       の 確 定 性(Umbestimmtheit)が み られ る と い う と こ ろ に あ る 。   こ の よ うな 価 値 的 原 価 概 念 は つ ぎ の よ うな2つ の 問 題 点 を も っ て い る。 第1 は,価 値 評 価 の 不 確 定 性 と くに 機 会 原 価(Opportunitatskosten)の 導 入 の 問 題 で あ り,第2は,数 量 要 素 に 消 費 単 位 当 りの 価 格 あ る い は そ の 他 の 価 値 額 を 乗          ず る こ と に よ っ て え ら れ る 財 貨 費 消 に 関 す る 原 価 概 念 の 問 題 で あ る 。   7)短 期 経 営 成:果 計 算 に つ い て は,拙 稿 「短 期 経 営 成 果 計 算 の 方 法 」 会 計,114巻4号 ・     5号,昭 和53年10月 ・11月,拙 稿 「短 期 経 営 成 果 計 算 と 直 接 原 価 計 算 」 企 業 会 計,31   巻6号,昭 和54年6月,参 照 。   8)  Riebel, P., Uberlegung… …, S.129.   g)  Riebel, P., Uberlegung… …, S.129.

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22   1.原 価 概 念 へ の 排 除 され た 補 償 貢 献 額 』とそ の 他 の 効 用 値 の 導 入   リ ー ベ ル は 以 前 か ら,意 思 決 定 処 理 の さ1いに,排 除 さ れ た 代 替 的 な 補 償 貢 献 額(verdr翫gte  alternative Deckungsbeitr査ge)(機 会 原 価)を 考 慮 し な け れ ば       to) な らな い とい うこ とを 述 べ て い た。 この場 合,機 会 原 価 とし て の代 替 的 な 獲 得 可 能 な 補 償:貢献 額 と収 支 的原 価 つ ま り関連 す る支 出か ら導 き 出 され る原 価 とを       11) 混 同 して は な らな い 。 そ の理 論 的 ・実 践 的 理 由 はつ ぎの とお りで あ る。   ①   原 価 は 何 か あ る もの に 関連 す る原価 と して存 在 す る の で,原 価 はあ る意    思 決 定 代 替 案 に 特 定 化 され る よ うな対 象(Objekt)と 結 びつ い てい る。 し   か し,機 会 原価 は 特 定 の 代替 案 に特 定 化 され な い で,そ の他 の実 現 され な    い 行 動 可 能 性 に 対 して特 定化 され るも の で あ る。   ② 代 替 的 な 補 償 貢 献 額 の 評 価 は,支 出 か ら導 き出 され る原 価 の予 測 の場 合    に 比 べ て,よ り大 きな 不 確 定 性 を 伴 って い る。 と りわ け,代 替 的 な補 償 貢   献 額 は 支 出 か ら導 き 出 され る原価 と比 較 して検 証可 能性 に 問題 が あ る。   ③ 機 会 原 価 は 多 くの評 価 可 能 性 の 比較 か ら決定 され,そ の時 々 の最 適 プ ロ     グ ラムに 依 存 して い る。 した が って,機 会 原価 は そ の新 しい プ ログ ラム,     お よび 新 しい 隘 路 状 況 に と って 妥 当 す る と きに は じめ て短 期 的意 思 決 定 の    た め の基 礎 とな り うるの で あ る。   ④ 機 会 原 価 の大 き さ は比 較 され る代 替 案 に 依 存 す るの で,計 算 者 の主 観 的     な 考 え方 に依 存 す る こと にな る。   ⑤ 各種 の物 的 ・時 間 的 な範 囲 を もつ 多 くの意 思 決 定 が 同 時 的 に 発 生す るの     で,各 種 の隘 路 が 関連 す る こ とに な る。 しか し,そ の時 々の 隘 路 が機 会 原    価 の決 定 の基 礎 に な って い る隘 路 と異 って い る場 合 に は,誤 った 意 思 決 定     を もた らす こ とに な る。   以 上 の よ うな理 由 か ら,排 除 され た 代 替 的 補 償 貢 献 額 は 関 連 的 支 出か ら導 き 出 され る収 支 的 原価 とは 明確 に区 別 しなけ れ ば な らな い。 しか し,機 会 原 価 を 10)Riebel,  R,  Einzelkosten… …, S.204-268.拙 稿 「直 接 原 価 計 算 と 価 格 政 策 」 産 業   経 済 論 叢,創 刊 号,昭 和41年6月,参 照 。 11)  Riebel,  P., Oberlegung… …, S.129.

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      相対的直接原価計算におけ る原価の本質  23 原 価 概 念 に導 入 す る こ とを 否 定 す る こ とは,収 支 的 原価 概念 に対 して無 制 限 の 弁 護 を与 え る こ とを 意 味 して い な い の で あ る。 収 支 的原 価 概 念 で は,第1に, 価 額 要 素 は な お 広 範 に 不 確 定 な もの で あ り,関 連 的 支 出 を含 ま な い場 合 に は 問 題 で あ り,第2に,数 量 お よび価 格か らな る生 産 物 原 価 につ い て の収 支 的 原 価 概 念 の 通 常 の解 釈 に は 問題 が あ る。 この よ うな 問 題 点 に つ い て 以 下 に お い て 考 察 す る。   2.財 貨 費 消量 と価 格 要 素 か らな る生 産 物 原 価 の解 釈   (1)財 貨 費 消 量 に つ い て   従 来 か ら財 貨 費 消 量 は,給 付条 件 な らび に評 価 と とも に,一 般 的原 価 概 念 の 本 質 的 メル クマ ール と して強 調 され て い る。 しか し,リ ーベ ルは 財 貨 費 消 量 を 一 般 的 原 価 概 念 の本 質 的 メル クマ ー ル とす る こ とに 疑 問 を な げ か け て い るの で   12) あ る。 租 税 の よ うに財 貨 費 消 量 と結 び つ か な い 原 価 種 類 が存 在す る(第1図 参 原  価 数 量要 素 を もつ もの

/

  

/

    費 数 量要 素 を もた ない もの         物 質 的費消 の ない もの         (費 消か らは なれ た測定 基礎)

_で/\

      貨幣値   測定可能な

讐 \/\

在高 値    フ ロー値     在高値    フ ロー値 第1図:原 価 の 測 定 基 礎 に よ る 分 類(Riebel,  P., Uberlegung… …, S.131.) 12)  Riebel,  P。, Oberlegung… …,  S.131.

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  24 照)。 ㌦また,「同様 め ご と砥 外 部 用 役 や 内 部 用 役 たつ い て も妥 当す る。 特 許 権, 商 標権 の購 入 の よ うな 外 部 用 役 の場 合,そ れ ぞれ の在 高 値(ス トック),あ る い は,運 動 値(フ ロー)と 結 びつ き う る他 の測 定 基 礎 が 数 量 要 素 とし て決 定 さ れ る。   した が って,リ ーベ ル に よれ ば,財 貨費 消量 は一 般 的原 価 概 念 の本 質 的 メル クマ ー ル とは な りえ な い の で あ る。 この こ とが 以下 に お い て,測 定 基 礎,対 価 関 数,お よび そ の他 の支 出 関数 を 考察 す る動 機 とな っ て い る の で あ る。   (2)費 消 量 と結 び つ か な い 原価 財 の対 価 と給 付 に結 び つ い た支 出   財 貨 費 消 量 が 欠 如 して い るが,物 的 費 消量 が よ り広 い意 味 で測 定 可 能 で あ る よ うな 場 合 に は,そ の 原 価 の 大 き さは,財 貨 数 量 また は直 接 的 に 費 消量 と結 び つ くの で は な くゴ 他 の 測 定 基 礎(第1図 参 照),例 え ば つ ぎに あ げ る よ うな取 引 過 程 と結 び り い て い る対 価(Entgelt)一 収 入 ・支 出,ま た は,受 入 ・「支 払        きう ー と結 合 して い るの で あ る。 この よ うな取引過程 の例 としては,他 の原価財 の 調 達 価 額(例 え ば,仲 買 人 手 数 料,・従 価 関 税,土 地 取 得 税 等),他 の 原 価 財 の 在 高 価 額(例 え ば,財 産税,土 地 税,保 険 料,検 査 報 酬 等),他 の 原価 財 の 消 費 価 額,給 付 財 の 生 産 数 量(例 え ば,距 離 に 依 存 す る車両 使用 料,単 位 数量 に 依 存 ず る機 械 使 用 料,製 造 数:量に 依 存 す る特 許 料 等),他 の 給 付 財 の販 売 数 量(例 えば,販 売 数 量 に 依 存 す る 特 許 料 ・手 数 料,酒 税 ・コー ヒ税 等 の 消 費 税),売 上 価額(例 え ば,仲 介人 手 数 料,販 売 手 数 料,小 売 店 賃 借 料 等),返 済 入 金 額(例 えば,現 金 回 収 費,'債 権 質 取業 手数 料 等)な どが あ げ られ る。   ㈲   費 消 量 に 比 例 しな い原 価 財 の対 価 と給 付 に 結 び つ い た 支 出   数 量 要 素 お よび 価 格 要 素 か らな る生 産 物 原 価 を解 釈 す る場 合,そ の 価 額 は ふ つ う数 量 要 素 の全 体 の関 連 変 動 領 域 に つ い て 一 定 で あ る と'仮定 され て い る。 し か し,こ の よ うな仮 定 は,多 くの原 価 種 類 の場 合,し ば しば,そ の時 々の 行 動 パ ラ メー タ ー の限 られ た 部 分 領 域 に つ いて のみ 妥 当 す るが,他 の 場 合 に は 一 般        の に妥 当 しな い の で あ る。 13)  Riebel,  P., Uberlegung… …, S.132. 14)  Riebel,  P., Uberlegung… …, S.132ff.

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      相対的直接原価計算における原価の本質   25   実 務 上 の対 価 関 数(Entgeltfunktion)一 つ ま り,支 出関 数2収 入 関 数,ま た は,支 払 関 数 ・受 入 関 数一 が示 して い る よ うに,実 務 上 の限 界 原 価 また は 限 界 支 出 は,い わ ゆ る ダイ レ ク ト ・コス テ ィン グ に おけ る平 均 変 動 原 価 また は 支 出 とは 非常 に異 っ て い る ので あ る。       15)   以 上 の 考察 か らつ ぎの よ うな こ とが導 き 出 され る。   ① 意 思決 定 計 算,お よび,原 価 理 論 ・収 益 理 論 に お い て,生 産 関 数 は対 価     関 数(支 出 関 数 ・収 入 関 数,ま た は,支 払 関 数 ・受 入 関 数)に よ って補 完     され な けれ ば な らな い。 こ の こ とに よ って よ り現 実 的 な写 像 が 可 能 に な る     とい え る。   ② 限 界原 価 概 念 は実 際 に 即 した よ うに 慎 重 に 取 扱 わ な けれ ば な らな い。 限     界 原 理 は原 価 の数 量 要 素 に 対 し て適 用 され るば か りで は な く,支 出量 ま た     は支 払 に 対 して も適 用 され るべ きで あ る。 また,こ の こ とが評 価 に発 生 原     因原 則(Verursachungsprinzip)を 適 用 す る こ とに な る.もの とい え る。 こ     の よ うな 方 法 に よ って は じめ て,評 価 は客 観 化 され うる の で あ る。・   つ ぎに,わ れ わ れ は 伝統 的原 価 概 念b暗 黙 の仮 定,つ ま り,価 格 要 素 は 一i義 的 に 原 価 部 門 ・原 価 負 担 者 に対 して帰 属 計 算 され うる とい う仮 定 を 検 討 す る必 要 が 生 じ るの で あ る。 IV  帰 属 計 算 問 題 と して の 原 価 額 の決 定   伝 統 的 な原 価 計 算 で は,帰 属 計 算(Zurechnung)の 問 題 は 原 価 部 門 お よび原         価 負担 者 に対 す る原 価 の帰 属 の関 連 が 考 え られ て い る。 と りわ け,帰 属計 算 の 問題 は経 営 過 程 のす べ て の部 門 の間 に 発 生 す る。 経 営過 程 の 連 続 した 局 面,あ るい は,部 門 間 の 運 動 を計 算 的 に 写 像 し うるた め に は,個 々 の 部 門 に お い て 発 生 す る貨 幣 額 あ る い は 数 量 値 一 例 え ば,支 出 お よび 調 達 され た 原 価 財 数 量,あ るい は,消 費 され た 原 価 財 数 量 お よび発 生 した給 付一 が 相 互 に 比 較 さ 15)  Riebel,  P.. Uberlegung… …, S.135. 16)  Riebel,  P., Oberlegung… …, S.135.

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 26 れ,と もに関 係づ け られ な けれ ば な らない 。   一 般 に,多 くの処 理 や 関連 対 象(Bezugsobjekt)が 係 り合 い を もつ の で,そ の 時 々に 相互 に 適 合 す る 一 義 的 に 関 係 づ け られ る 貨 幣 額 あ る い は 数 量値 の部 分 が 相 互 に 関 係づ け られ,そ の関 連 対 象 が 比 較 され る,と い う1ことが重 要 で あ る。 帰 属 計 算 とは この よ うな一 義 的 に関 係 づ け られ る値 の比 較 対 照 を い うの で あ る。 こ の よ うに 理 解 され る 帰 属 計 算 可 能 性 の 基 準 は 一 致 性 原 則(Identit飢s・ prinzip)で ∼ボ ち。 つ ま り,・一致 性 原 則 と は 同 一 の 一 致 す る 意 思 決 定 に よ っ て 発 生 す る値 のみ が 一i義的 に 関 係 づ け られ る こ と,す な わ ち,帰 属 計 算 可 能 で あ る と い うこ とを 意 味 して い る。 リーベ ル に よ る と,一 致 性 原 則 に よっ て発 生 原 因        き  原 則 の 思 考 が 不 要 に な っ た の で は な くて,厳 密 化 さ れ た の で あ る。 つ ぎ に,ま ず,」 致 性 原 則 を 基 礎 的(ま た は,要 素 的)な 意 思 決 定(elementare  Entsch・ eidung)の 直 接 的 な 作 用 と の 関 連 に お い て 説 明 す る 。   1.基 礎 的 意 思 決 定 の 直 接 的 作 用   基 礎 的 生 産 過 程 に 関 す る 意 思 決 定 の 過 程 お よ び そ の 作 用 は,つ ぎ の よ う な3 つ の 局 面 を も っ た 目的 過 程(FinalprozeB)と し て 論 じ る こ と⇒ミで き る 。(第2     ユ ラ 図参 照)。   ① 目標 の設 定 一 例 えば,製 造 す べ き製 品 の種 類 ・数 量 の 設 定   ② 目標達 成 の 手 段 の 選 択 一 これ は そ の 実 現 の た め に 必 要 な 原 因 過 程       (KausalprozeB)の 予 測,お よび,.そ の条 件 の 認 識 を 前 提 に して い る。   ③ 実 現一 目標 を 実 現 す るた め に,手 段 と して原 因 過 程 を 導 入 す る こ と。       そ の さい,各 原 因 過程 で はつ ね につ ぎ の2つ の作 用 が 発 生 す る。         プ ラ ス       (a)積 極:給 付 財 の発 生         マイナス       (b)消 極:消 費 財 の 消 費,お よび,潜 在 財 の時 間 的 ・場 所 的 利 用 17)  Riebel,  P., Oberlegung… …, S.136. 18)  Riebel,  P., Uberlegung… …, S.136. 19)  Riebel,  P., Uberlegung… …,  S.136.

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相対的直接原価計算 におけ る原価 の本質  27 一 目標 設定 ウ 意志 決定 ! ' / ノ      リ ロ ロ の へ   ロ    .」手段 の選択_一コ    の コ   ロ        の       実   現   ノ 'ゾ 達 成 す べ き' ・I l   、生 産 目標  .

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      達 成 した 目標 技術 白勺原 因過 希望

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      給付 財(製 品あ る          

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い は製 品群)の 発生

寸 f へ U 系 第2図:目 的 過 程 と 原 因 過 程 と し て の 生 産 処 理       (Riebel, P., Uberlegung… …, S.136.)   生 産 的変 換 過 程 は経 営 の販 売 過 程 の一 つ の局 面 に す ぎな い 。 原 因 過 程 に 投 入 され る生 産 要 素 は利 用 され るが,そ の場 合,原 材 料 お よび 作 業 手 段 の購 入,動 力 関係 の契 約,用 役 給 付 の契 約 の締 結,と くに,労 働 契 約 ・財 務契 約 の 締結 の よ うな 私 法 経 済 的 な 局 面 が 優 先 され な け れ ば な らな い 。 さ らに,購 買 に伴 う 税,そ の 他 の 公 課 の 形 に お い て 公 法 上 の義 務 を負 わ な けれ ば な らな い 。 そ の 測 定 基 礎 は つ ぎの よ うな 事実 と結 び つ い て いる 。 そ の事 実 と い うのは,調 達,原 価 財 の 保 持,技 術 的原 因過 程 に 関す るそ の他 の意 思 決 定 を 通 じて,販 売 は支 払 過 程 に よっ て解 消 され る とい うこ とで あ る。 第3図 は 単純 化 され た経 営 の販 売 過 程 の全 体 シ ェ ー マで あ る。   基 礎 的 意 思 決 定 に も とづ い て,「 事 象」  (Vδrg諏gの の領 域 にお い て 実 施 さ れ た 処 置,お よび,そ の 時 々の プ ラス とマ イ ナ ス の作 用 が あ らわ れ る。 これ ら は 直 接 的 に 名 目財(支 払 手 段,支 払 請 求 権)に 関 係 す るか,ま た は1物 的 財 (原 価財 ・給 付財,こ れ らに 対 す る請 求 権)に 関 係 す るの で あ る。会 計 制度 に お い て は,こ の よ うな作 用 は,一 方 では,数 量 計 算 に お い て名 目財 あ る い は物 的財 の数 量 的 運 動 と し て写 像 され,他 方 で は,貨 幣 計 算 に お い て 「貨 幣 の貨 幣

(10)

28 事 象 財 領 域 数 量 計 算 貨 幣 ﹁計 会 計 制 度 に お け る 写 像 意思決定 実 施される ,処置 (原因)   作用 名  目 財 物 的 財 物  的 財 名  目 財 「貨 幣 に 関 す る も の 」 (名   目 し財) 「財 に 関 す る も の 」 (物   的   財}   支払 処理   時   点   支払 方法   支払注文の   実施   :;ノ ヒ 支払f  負債の 段 の流  返派 出      (支払     義 務}

鰭L

                                                    一                                                     一 調達 処理 調達 注文 〔例えば 購 買)の 蹄結  ソ 隈 対価の    給付提 支払義砺   供の請     求権

〉 鍵 達)へ

生産 処理 生産要素の過梶 への投入 ソ 随 消費   給付財 投入射  の発生   財 用 価 利 k 原 一 の ノ 利 貯 木 用 ( 販売処理 販売 契約の 締結   ;ノ 陸 給 付財  対価の 提供の  請求権 義務

t

支払処理 支払の取止 て 顧客の 支払指 て}   =ノ 辻 債権から  支払1二段 の収益   の流入

t

〆 ・回収貨幣・1ヒ幣

「瀦醒 瀟撞

貨幣流 ぬな ` 支 私 交 出 原  価  財 給  付  財 調達数鼠 受 入汲置 投入数量 生産数量 販売数量 消撒 量   1 ;  i i  :, i  :

ii

  ウ    ウ 原 価  給 竹 流     入 幣 鼠 -        受 賃 入 ﹁ 榊 一 一 }                 益 入 τ 1 -1 -l l l-1 -1 -1 , , 1 ﹁ l l 一 , 一 l l 一 一 1 一 壷 ⋮             収 取         第3図:販 売 過程 の全 体 シェ ー マ と会 計 制 度 に お け る写 像       (Riebel, P., Uberlegung・ ∵…, S..139) に よ る 計 算 」 一 純 粋 の 支 払 手 段 運 動 一 の 意 味 で の 支 払(Auszahlung)お よ び 受 入(Einzahlung)と し て 写 像 さ れ る か,あ る い は,「(物 的)財 の 貨 幣 に よ る

計 算 」 の 意 味 で の 支 出(Ausgaben)お よび 収 入(Einnahmen),原 価(Kosten),

給 付(Leistung)ま た は 収 益(Er!δs)と し て 写 像 され る の で あ る(第3図 参 20) 照)。   2.基 礎 的 意 思 決 定 の連 鎖   基 礎 的 意 思 決 定 の場 合,ま た は,そ れ に 関 連 す る処 置 に 相 互 に1つ の 意 思 決 定 志 向的 会 計 制 度 の枠 内に おい て明 らか に され,写 像 され る。 そ の 場 合,第1・ 次 的 処 理 に も とづ い てつ ぎ の意 思 決 定,お よび,下 位 の意 思決 定 が把 握 され る。 ' 20)  Riebel,  P., Uberleguhg∴ ・・,・, S.138.

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      相対的直接原価計算における原価の本質   29 個 々の 意 思 決 定 また は 処 理 が 物 的 ・時 間 的 な 制 約 を伴 な っ て い る とし て も,そ

れ は 意 思 決定 の 階 層 ・連 鎖(Hierarchien  od. Ketten),基 準 対 象 の階 層 ・連 鎖,

帰 属 計 算 の 階 層 ・連 鎖 と して写 像す る ことが で き る。 そ の場 合,個 々の 処 理 は 時 間 的 な 順序 に お い て写 像 され る こ とに な る。 しか し また,あ る基 準対 象,例 え ば,給 付財 へ の支 払 また は支 出 の帰 属 計 算 に つ いて は,時 間 的 順 序 よ りもむ しろ機 能 的順 序 を選 択 す る のが 適 切 な場 合 も あ る。   経 営 過 程 を3つ の給 付 経 済 的 基 本 機 能,す な わ ち,調 達,生 産,お よび,販 売 に 分 類 し,そ れ に 支 払 過 程 を導 入 す る と結 合 した 部 門 関係 が え られ る(第4図     参 照)。 そ の場 合,部 門 の い くつか の もの は,支 出 の発 生 と原 価 財 の受 入,原 価 財 の 投 入 と給 付財 の 発生,給 付財 の流 出(販 売)と 収 入 の発 生 とい うよ うに 1対 を な して い る。 そ れ ぞ れ の 部 門 に お い て は,他 の 部 門 に お け る 質 的 ・量 的 ・時 間 的 に 関連 す る対 象 の処 理 に つ い て 意 思 決 定 す る こ とが で き る。 この こ とに よっ て,2つ の部 門に お け る基 準 対 象 間 の 結 合 関 係 を うる こ とが で きる。     支払処理  調達処理        生産処理        販売処理     支払処理

醗醗 継

        一一一一一一._一 」L_一 一一 一一_」L一 一_一.一.」       第4図=部 門 の 機能 的 順 序 と帰 属 計 算 の方 向 と連 鎖       (Riebel, P., Uberlegung… …, S.140.)   こ の よ うに,す べ て の 部 門 に お い て2つ の方 向 に新 し い結 合 現 象 が 生 じ うる ので,す べ て の 部 門 に お い て 帰属 計 算 可能 性,つ ま り,支 払 お よび 受 入 を 検 討 す る必 要 が あ る。 そ の た め に は,消 費量 を 基 礎 と した 原 価 把 握 に つ い て の 考慮 21)  Riebel,  P., Uberlegung… …, S.140.

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30 が 必 要 とな る。 い か な る基 準 対 象(Bezugsobjekt)に も とつ くべ きで あ るか, そ して,い か な る基 準 対 象 に 対 し て上 の2つ の方 向 の帰 属 計 算 が 実施 され るべ きで あ るか は,本 質 的 に 問題 設 定(計 算 目的)に 依 存 して い る も の とい え る。 また,帰 属 計 算 の連 鎖 の 長 さは各 種 の支 払 の測 定 基 礎 が 経 営 過 程 のい か な る部 門 と結 び つ い て い るか に 依存 して い る。 そ の場 合,帰 属 計 算 の連 鎖 の結 合 を 考 慮 しな け れ ば な らな い。 そ の場 合,単 純 に 伝統 的 な 平均 原 則 あ るい は 配 分 原       ヒ   則(Durchschnitts-od.  Anteilsprinzip)に よっ て取 扱 うべ き で は ない 。 こ の こ と は上 述 の帰 属 計 算 概 念 の定 義 や 帰 属 計算 基 準 と して の一 致 性 原 則 か ら明 らか で あ る。   以 上 の論 述 か ら,リ ーベ ル は,意 思 決定 作 用 を厳 密 に考 察 す る場 合,こ の意 思 決 定 作 用 に関 連 す る客 観 的 に 検 証可 能 な 原価 額 は,そ の時 々 の処 置 に 関 す る 意 思 決 定 に よ っ て生 ず る付 加 的 な 支 出(結 局 は 支払)に よ って は じめ て導 き 出         す こ とが で き る,と 結 論 づ け て い る。 この こ とか ら,つ ぎの よ うな意 思 決 定 志 向 的原 価 概 念 の定i義づ け を明 らか に す るの で あ る。   原価 とはそ の考察 している対象に関する意思決定に よって発生する相殺 されない付加       オの   的 な 支 出(支 払)で あ る。   こ こ に 「相 殺 さ れ な い 」 と い う こ と の 意 味 は,債 権 債 務 の よ うに 支 出 と 収 入 と が 相 互 に 相 殺 さ れ 成 果 に 作 用 し な い も の を 除 く,と い う意 味 で あ る 。   リ ー ベ ル が 提 案 し て い る こ の よ う な 意 思 決 定 志 向 的 原 価 概 念 は,わ れ わ れ は コ ッホ(K㏄h,H.)な ど の 収 支 的 原 価 概 念 と は?ぎ の2点 で 区 別 す る こ と が で き る 。   ① 意 思 決 定 志 向 的 原 価 概 念 は そ の 時 々 の 意 思 決 定 に よ っ て 発 生 す る 付 加 的 な 支 出(支 払)の み を 問 題 と し て い る。 つ ま り,過 去 に お い て 処 理 さ れ た も は 22)Riebel,  R, Uberlegung… …, S.141.な お,平 均原 則 ・配 分 原 則 につ いて は,コ ッ     ホ の考 察 が あ る。Koch, H., Grundprobleme… …, S.63ff.ま た,小 林 哲 夫 教 授 著 「原   価 理 論」 千 倉 書 房,昭 和47年1月,第10章 に コ ッホ の理 論 に つ い て の優 れ た 研 究 が あ     る。 23)  Riebel, P., Uberlegung… …, S.142. 24)  Riebel, P., Uberlegung… …, S.143.

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      相対的直接原価計算における原価の本質   31 や 作 用 可 能 でな い支 出(支 払),あ るい は,固 定 的 な支 出(支 払)は 当該 意 恵 決 定 に は 関連 しな い の で あ る。   ② リー ベル の場 合,価 値 的 原 価 概 念 は1つ の 特 別 な 計 算 値(Kalkulations・ wert)と 考 え る の で あ る。 そ して,そ れ を 排 除 され た 代 替 的補 償 貢 献 額 と よ び,基 礎 計 算 上 の一 般 的 原価 概 念 と考 え る の で は な く,特 別 計算 に おけ る個 別 的 原 価 概 念 で あ る と考 え て い る と解 釈 す る こ とが で きる。   最 後 に,リ ー ベ ル は 意 思決 定 志 向 的 原価 概 念 の実 務 上 の適 用 可 能 性 に つ い て         25) 述 べ て い る。 この よ うな 意思 決 定 志 向 的原 価 概 念 を 実 務 上 首 尾 一:貫して適 用 す る場 合,つ ぎの よ うな」 定 の限 界 が 生 ず る。 まず 第1は,処 理 の 連 鎖 また は部 門 の 個 々の処 理 は,同 時 的に 発 生 す る ので は な くて,種 々の 段 階 に お い て順 々 に発 生 す る こ とか らの限 界 で あ る。 した が って,実 践 性 の理 由 か ら,実 務 に お い て は しぼ しば 帰 属 計算 の連 鎖 を 短 縮 す るか,ま た は,重 要 性 の 少 な い副 次 的 作 用 を無 視 しよ うとす る ので あ る。 第2は,以 上 こ こで 考察 した こ と とは反 対 に,実 務 で は予 想 され る数 量 変 化 ・支 出変 化 に 関 す る平 均 変 動 値 が適 用 され る こ とが 多 いが,そ の場 合,処 置 に つ い て の 作用 を適 切 に評 価 す る ことが で きな い とす る の であ る。 V  結 び   以 上 わ れ わ れ は りーベ ル の 意 思 決定 志 向 的原 価 概 念 の主 張 に検 討 を 加 え て き た が,こ こで リーベ ル の 論 旨 を ま とめ る とつ ぎ の よ うに な るで あ ろ う。   ① 原 価 額 の 決定 に対 して も,数 量 値 に 対 す る と 同様 に,帰 属 計 算 基 準 を 適 用 しな け れ ば な らな い こ と。 そ の場 合,発 生 原 因 原 則 は 一 致 性 原 則 の 意 味 に 轟 い て 解 釈 しな け れ ば な らな い 。   ②   客 観 的 に検 証 可 能 な意 思 決 定 志 向的 原 価 額 は 一 定 の 処 置 に 関 す る意 思 決 定 に よ って 発生 す る相 殺 され な い付 加 的 な 支 出(支 払)の み か ら導 き出 す こ と が で き る こ と。 なぜ な ら,経 営 活 動 全 体 の 一 連 の 処 理 に 関 す る意 思 決定 作 用 は

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 32 支払 過 程 に ま で及 ぶか らで あ る。   ③   意 思決 定 モ デ ル を形 成 す る場 合,原 価 理 論 の中 へ 生 産 関 数 に 対 して 補 足 的 に 対 価 関数(支 出 関 数:・収 入 関数:,ま た は,支 払 関 数 ・受 入 関 数)を 導 入 し な け れ ば な らな:いこ と。              ごヒ:  ④   意 思 決 定 の た め に は,限 界 原 価 概 念 が 採 用 され るべ きで あ る こ と。 つ ま り,そ れ 行動 変 数 の 最 小 の処 理 し う る単 位,ま た は,考 察 して い る作用 因 の 最 小 の あ り うる変 化 に 関 連 す る支 出変 動額 また は原 価 変 動 額 に 限 定 され るべ きで あ る こ と。   ⑤   排 除 され た 代 替 的補 償 貢 献 額(機 会 原 価)は 特 別 計 算:(各 種 の 目的 に 応 じた 計 算)に お け る特 殊 な 計 算値 と考 え る こ と。   リーベ ル は 本 論 文 に お い て,彼 の相 対 的 直 接 原 価 計 算 シ ス テ ムに お け る一 般 的 原 価 概 念 の 本質 を論 じて い る もの とわ れ わ れ は 解 釈 す る こ とが で き る。 そ の 場 合,相 対 的 直接 原価 計 算 シス テ ム の構 想 は 基 礎 計 算 と特 別 計 算 とか らな って い るが,こ ζで述 べ られ て い る意 思 決 定 志 向的 原 価 概 念 は 基 礎 計 算 に お け る原 価 概 念 で あ る と解 釈す る こ とが で き る。 そ の原 価 概 傘 は,厳 密 に い え ば,奉 礎 的(ま た は,要 素 的)意 思決 定 志 向 的原 価 概 念 で あ り,収 支 的 原 価 概 念 で あ る とい え よ う。 つ ま り,リ ー ベ ル の基 礎 計算 で は収 入 ・支 出 と結 び つ か な い 原 価 は存 在 しな い の で あ る。 この場 合,も ち ろ ん,コ ッホ の主 張 す る収 支 的 原 価 概         念 とは そ の 原価 の 範 囲 ・内 容が 異 る の で区 別 す べ きで あ る。 な お,い わ ゆ る価 値 的 原 価 概 念 は リー ベ ル の場 合,す でに 述 べ た よ うに,特 殊 な 計 算 値 で あ り, 一 般 的 原 価 概 念 と して の原 価 で は な く,そ れ は特 別 計 算 に おい て使 用 され る個 別 的 原 価 概 念 で あ る,と われ わ れ は解 釈 す る ことが で き る。 こ の意 味 で,リ ー ベ ル も コ ッホ も特 別 計 算 に お け る個 別 原 価 概 念,つ ま り,一 定 の 目的 ・状 況 に 応 じた 原 価 概 念 と して は 価 値 的 原価 概 念 を認 め て い る もの と考 え る こ とが で き る。 26)  コ ッホ は 原 価 つ ま り収 支 的 原 価 を つ ぎ の よ う に 定 義 し て い る 。 「原 価 と は あ る 生 産   物 ま た は あ る 期 間 の 製 造 お よ び 販 売 に 結 び つ い て い る 相 殺 さ れ な い 支 出 で あ る 。」   Koch,  H., Grundprobleme… …, S.14.

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      相 対的直接原価計算における原価 の本質  33   以 上 の よ うな 意 味 で,リ ーベ ル は 相 対 的直 接 原 価 計 算 の 立場 か ら,基 礎 計 算 に お け る一 般 的 原 価 概 念 を 付 加 的 な 収 支 的原 価 とそ の本 質 を規 定 し,コ ッホ の 一 般 的 原 価 概 念 で あ る収 支 的 原 価 概 念 を発 展 させ た もの とわれ われ は解 釈 す る こ とが で き る。 小 林 哲 夫 教 授 は,「 一 般 概 念 と して の収 支 的原 価 概 念 が 実 際 的 な意 味 を もつ た め に は,い か な る仮 説 が どの よ うな状 況 の も とで設 定 され るか を 全 体 と して 明 確 に す る こ とが 必 要 で あ り,ま た,そ れ らの仮 説 が どの よ うな 形 で 解 消 され る と き,一 般 概 念 と して の収 支 的原 価 が完 全 に検 証 され る こ とに       ヨの な るか を 明 らか に す る こ とが必 要 で あ る」 と述 べ て お られ る。 これ は 原 価 計 算 モ デル に お け る収 支 的 原価 概念 の 妥 当 性 の検 証 につ い て述 べ て お られ る もの と 理 解 す る こ とが で き るが,リ ー ベ ル の場 合,現 段 階 に おい ては 小 稿 に お け る よ うな 彼 あ 一 般 的 原 価 概 念 を相 対 的直 接 原 価 計 算 シ ス テ ムに おい て必 ず し も十 分 に そ の妥 当 性 を検 証 して い る とは い え な い の であ る。 そ れ は 今 後 に 残 され た 課 題 で あ る。       馳 27)小 林哲 夫 教 授 稿 「原 価 の収 支 的 評 価 と価 値 的 評 価」573頁,「 原 価 計 算 ハ ソ ドブ ッ   ク」,神 戸 大 学 会 計学 研究 室 編,税 務経 理 協 会,昭 和52年5月,所 収 。

参照

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