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内部監査の基礎概念
ーブリンク内部監査論の一考察・その一可 児 島・俊 雄
[ 内部監査の重要性 近代的大企業経営の発展と特にそれにともなう経営諸活動の多様性によって、全般的に経営管理諸問題の重要性が認識 されて来ていることは、周知の通りである。この動向は例えば管理会計の問題領域においても、特に内部監査の重要性と して理解されるところである。すなわち、内部監査の重要性は、特に第二次大戦以来、詐欺や誤謬の発見という単なる事 務機構的検証機能から、進んで経営業務活動に亘る管理的任務にまで向上して来た。つまり経営における内部監査担当者 は、経営管理政策及び指揮運営に応じて業務活動全般に亘って、スタッフ的機能において助言勧告するという広範な責任 を担うに至ったのである。かくして内部監査は、管理会計の機能領域を著しく拡大せしめ、同時に管理会計の実質的発展 基盤をより確実に仕上げたのである。 このような発展基盤にもとづいて、文献的には一九四一年目ブリンク︵、<■N.]W臨⇒犀︶が大書﹁内部監査論﹂を発表して 当該研究のパイロットと成った。また同年には実務研究的に﹁内部監査人協会﹂が設立され、今日に至る当該研究への貢 献は誠に顕著なるものが指摘されるのである。これらのスタートに続いてブリンクはもとより、他に多くの熱心な研究者 によって多くの問題が提起され、中でもH.H●諺.によるステートメントの発表は、正に当該研究における指針又は基準と 内部監査の基礎概念︵可児島︶ 二一七二一八 して、その使命が重要である。二つのステートメントを比較する時、内部監査に関して、時代的発展的に著しい拡張と将 来的発展を認識することが出来る。すなわち一九四七年のステートメントでは、内部監査人の機能は会計的財務的事項に 本来的機能を強調し、業務活動事項には随意的機能を認めていた。ところが十年後の改訂版では、業務活動事項にも財務 的事項と同じ重要な機能を意識して、正に近代的経営管理用具の一つとして重要性を持つに至ったのである。 内部監査の重要性は、その機能的に最も認識されて来た訳であるが、これら一連の理解には、先ずその基礎概念を整理 しておかねばならない。また内部監査の、いわゆる業務監査機能への発展過程については、特にブリンクの最新刊がその 代表的文献であると思われる。私は本小稿において、ブリンクの所説を中心にして内部監査の基礎概念を整理し理解した いのである。 ① 管理会計の発展における内部監査の意義については私は既に若干考察した。拙稿、管理会計の本質的性格に、関する︼考察、陵水三五 年記念論文集、二五六頁以下。同、管理会計の発展と業務監査の意義、彦根論叢、第五五号四一頁以下。 ②<■N醇ぎぎ..H三①巨銑︾q象仲ぽσq..二£r ③↓冨H塁蜂三①ohぎ8讐匹田﹀民ぎ昼Hpρ=潔ご乞Φ上磯。時.︵以下H.H︾と略す。︶当協会についての説明は、前掲拙稿︵第五 五号五二頁︶にゆずることとする。 ④U・即ω。げ巨益9ゆ●↓ゲ霞。・8ジゆ■O巴B器魍≦.﹀.二巴犀2堵.即Uミ冷辞岡.︾.ピ節目唱①三層︾.臼.頃Oげ二9 国・雷.O毒巳ロαQ冨日噛︾◆自■閑Φ5ゴ○﹂●男ロ① の人々の著書論文をその代表として指摘することができる。 ⑤H.H︾こQり叶鉾Φ8㊦馨oh”①ω唱。口。。ぴ農鼠①ωo囲跨σぎけ①旨p。一︾q巳8び︵以下ω$89①艮と略す。︶お自己鎚お密話註ω①穿 ⑥⇔dは昆噂︵おく置亀碧匙器≦同葺g9臼.︾’9。・窪づソ.一H艮①彗巴︾&三二αQ.、二8。。. 本書の構成は、基礎概念、内部監査機関、財務的諸活動、業務的諸活動、外部監査との協謂の各部分から成る。本書の特徴について はその序文が説明している。ω内部監査計画の作成指揮及び監査業務運営上の実際的利用法、②有効な管理用具としての内部監査の理 解、この目的達成のため広く経営活動全般をその対象とする。特に増訂部分では経営過程に注目して、業務活動に関する内部監査の管 理統制機能を詳論している。
二 内部監査の定義 e 定 義 内部監査とは、一般的に監査の基本的技術と方法を利用しながら、広範囲の会計学領域のうちその特殊部分として意義 コ を持つものである。ブリンクのこの定義は次のような理解から生れる。広義の会計学分野は、ω会計組織構成のための記 録手続の設定、②会計組織の運営、㈲報告書の作成説明、㈲会計組織の適応性と報告書の信頼性に関する吟味、この四つ の機能分野から成り、全分野に亘って監査は機能すべぎものである。しかしながら一般に監査、特に外部監査と内部監査 とは、それぞれ監査の主体並びに監査の客体.において先ず相違があり、これが故に、それぞれ監査の目的において必ずし も同一であるとは言い得ないのである。 この点を更に詳細に一・H’︾.のステートメントによって理解する。﹁内部監査とは、経営管理者に対するサーヴィスと して、会計⊥財務上及びその他の業務活動を検討せんがために経営組織内において行われる独立的評価活動︵言号℃窪緒巳 巷℃鼠。。普¢・。江く芽︶である。内部監査は他の種の管理統制形態の有効性を測定し且つ評価することによって機能するもので あり、正に経営管理統制手段︵日き9σq①目隠8無職︶である。﹂ つまり内部監査は経営管理監査︵ヨp冨σqΦ同蕊㊤&三ロσq︶、経営 管理審査︵日ゆ冨σQ鼠戸ぎくΦ巴σQ餌け一9︶叉は内部的評価活動︵巨臼β巴巷御節凶。。ぎσq︶とも呼ばれ、常にその定義は拡大化しつつあ るものと言わねばならない。 ブリンクも指摘するように、内部監査に関する定義や概念は全く多様性に豊み、未だ標準化の域に至らないけれども、 少くともH・H.︾.の見解はこの標準化に貢献していると言わねばならない。ここで外部監査との密接な関連とその調整に 深く着目して、内部監査概念を理解しているものにケント︵︾.団●姻①”帥︶の見解がある。すなわち、会計記録の数学的正 内部監査の基礎概念︵可児島︶ 二一九
二二〇 胃性をチェヅキングするところから出た内部監査概念は、今や経営管理統制用具としての意義にまで発展している。この発 展の重要性は、正に内部監査人と外部監査人との間の協調︵8=⇔び。H巴。p8。目蝕コ毘8も。。℃①重ご昌︶にあると指摘して、次の ように言う。﹁内部監査人は外部監査人のために活動するのではない。両者共に手をとり合って活動するものである。両者 は正に共同して活動する同僚である。﹂この理解からケントによれば、内部監査とは、経営管理接近・目的・技術を通じて 外部監査との協調のうちに経営管理的サーヴィスを使命とするもので.正に経営管理監査︵臨き節σq①日Φ三訂穿冒。q︶である。 口 発 展 要 因 内部監査に対するこのような定義の発展基盤には、以下の要因が考えられる。第一には、企業経営の成長発展による経 営諸活動の複雑化、そのための業務活動に関する管理統制の困難性の増大、更には管理問題のうち伝達指令機能の不完全 性などの事情の改善、第二にはこれに関連して、経営管理における分権的管理思考の進展と権限責任の委譲による管理統 制効果の向上などが指摘される。これらの情勢に当面して内部監査は、それぞれの機能を遂行しなければならない。例え ば、最近の重要問題の一つたる経営内部管理問題の認識がある。経営能率や業務能率はその代表である。ここに内部的業 務活動に関する検討評価及び分析の必要と成った訳である。 発展基盤の第三には、企業経営に対する一般的、社会的責任の認識理解がある。経営の内外には多くの利害関係者集団 が存し、経営管理者は、これらの集団に対して、それぞれ重要な責任を賦課されている訳である。従業員には厚生福利の 問題、株主投資家には牧益性確保の責任、債権者集団には財産保全管理の責任、更に地方自治社会には社会的自治責任 ︵。臣σq蝕。ロ8時巴。$團8旨営q巳蔓︶などの理解が必要と成って来た。経営管理者はこれらの理解のために、正確な業務情報 の提供を要請し、これによりいわゆる間接的管理の効果を遂げんとするのである。 発展基盤の第四には、企業経営に対する監督官庁の法律的規制及び社会的、制度的規制の問題がある。これら諸規制に
対する企業経営の遵守の程.度や、経営資料情報にかかる諸規制の説明分・析などについて、弁護士や会計士への依頼から徐 ⑪ 々に内部監査担当者に要請されるところと成った。最後に一般的に、外部監査の限界としてその発展基盤が指摘される。 ⑫ これは必ずしも監査に要する費用の面においてのみ問題と成るのではなく、広く監査能率、効果または使命の達成など諸 , 般に亘って理解されることが出来るのである。 ①じd答爵な.目巨①B巴諺¢象肖冒σq、.=8c。讐やω. ヘ ヘ へ ② 内部監査人の仕事と公認会計士の仕事とは根本的には同性質のものであるが、ただ重点の置きどころ、強弱の度合、監査の度数など の点において異なっている。︵い⇔日溜淡口碧日日ず口鵠8ロ曽、.H⇒8留出﹀信島鯉口σq眺oHζ碧pαq①日Φ暮、.甲一8伊 松本雅男校閲、ブリジストン タイヤ株式会社監理部訳﹁内部監査実務必携﹂二〇頁。︶この見解については他日吟味しなければならない。 ③H﹂.︾己QQ貯8ヨ①巨二8刈器≦。。①92讐霞Φ。頃H口8門き一︾巳三昌σq● ④udほ時㌔ζきゆσQ①ユ巴Og叶吋。=耳。口σQゲH巨①琶巴諺口口三ロσq.、二潔ω噛唱﹄1ひ旧庫。㌔貞詳忌日巴︾&三島αQ、譜おOc。闇やG。. 実質的に経営管理の観点からは、責任監査︵器ω℃o口ω8島崎勉&腎︶、部門監査及び機能監査︵鎚①喝碧下輩。艮げ団αΦ℃帥洋ヨΦ耳塞含コ。鉱8ξ 注昌。匡。溝︶、能率監査︵⑦ゑ一9①昌。団一口象叶︶などと言われる。︵久保田音二郎著﹁内部監査﹂二二七頁以下。同稿、内部監査論の構想、 ﹁会計﹂第六九巻 第三号、三一頁。︶
⑤しσ円ぼぎ8ゆ鼻.二〇葺喝.c。噸 、
⑥︾H静g=.囚ゆ夢子①U2鉱。℃ヨω導き“諺℃忌8ぎづ。︷蝉ZΦ乏Oo昌8営。︷H巨Φ日匿﹀じ匹三つσqな冨H暮①諺巴﹀自島ぎびζ霞9 お盟”署.ひ1蚕 ⑦国g叶﹂ぼαこO二9 ⑧ブリンクの各論における内部監査の定義、その他若干の内部監査定義については、前掲拙稿、管理会計の発展と業務監査の意義︵五 一!五三頁︶を参照願い度い。 ⑨bd同ぎぎ..H昌8讐巴﹀昌耽け言σQ”、=忠﹃℃■鳶h恥鎚ρ弧ぼ餌こおαc。”℃O.α−c。■近沢弘治著﹁外部監査と内部監査﹂二穴二頁以下。 岩田巖稿、内部監査、古川栄一・岩田巌共編﹁管理会計の理論と実際﹂第五章、三三一頁以下。 ⑩しdHド﹃o℃■鼠什.=8c。闇℃●N ⑪しuユ爵”。や葺.=誤。。’℃℃■ひ−刈. ⑫bd同ぼぎ。喝●魯.二8。。一℃℃.81恕. 1 三 内部監査の目的 内部監査の基礎概念︵可児島︶ 二﹁=二二二 内部監査の目的は、プリングによれば、最高水準における内部監査の機能であり、同時に内部監査のサーヴノ,スに他な ① ② らない。内部監査の機能は常に、ω経営の立場、②間接的管理方式、この二つの基本的思考にもとつくものであり、この ③ 代表的見解をH●り諺.のステートメントに求めることが出来る。 内部監査の全般的な目的︵o<Φ〒巴一〇玄①。一ぞ①︶は、経営管理者に対して、目的的な分析、評価、勧告及び検討された諸活動に関する適 切な解説を与えることにより、経営管理者が有効的に責任を遂行出来るように、全クラスの経営管理者を援助するにある。したがって内 部監査人は、経営管理者に対して役立ち得る限りの企業経営活動全般に亘って関与しなければならない。経営管理者に対するこのような 全般的なサーヴィス目的の達成には、次の如き内部監査人の諸活動が含まれる。 ω 会計上、財務上並びに業務上の管理統制について、その健全性︵ωO仁口匹一P㊦ωω︶、妥当性︵既①ρ轟受︶、及び適応性︵巷葛臼二8︶を .検討し評価すること。 ② 既に設定されている経営政策、計画及び手続について、その遵守の程度︵①×冨耳。︷8ヨ書き8︶を確証すること。 ㈲ 会社の財産が適当に会計され、またあらゆる種類の損失から安全に保護されている程度を確証すること。 ㈲ 企業経営において発展せしめられている会計及びその他の資料の信頼性︵目①=餌甑芽︶について確証すること。 ㈲ 指定された責任を果すに際して、実施活動結果︵究臥oH日き8︶の内容を評価すること。 以上のような基本的思考にもとづいて更に詳細に考察しよう。
e 証明の機能
④ 内部監査の目的は、先ず全般的監査の基本的原理である﹁証明﹂活動︵︿霞竪oo匡。嵩︶から始められる。勿論、証明活動 も、いわゆる数学的正確性から会計的財務的正確性へ発展することは言うまでもない。これと並行して証明活動は、従来 外部監査人の主要機能であったものが、次第に内部監査入の責任に振替えられて来る傾向は少くない。いわば外部監査入 は、証明活動のうち外部的証明乃至法律規制的証明活動に限られて来る必然性がある。これらが要因には、第一に近代的 大企業化により、外部監査人の監査領域は極めて圧縮され、多く形式的乃至時点的監査に進む趨勢があった。また第二には、外部監査人による監査費用の問題が大きく提起されて来た。更に第三には、一般的監査思考の発展より以上に経営管 理思考がより迅速に展開さ.れたことである。
口 保全の機能
内部監査の目的は第二に、財産の﹁保全﹂機能︵OO切ωΦ明く9臨O昌︶によって遂行される保全機能は、ブリンクによれば極め て広義に適用されている。すなわち、資産負債など純会計項目のみならず、有効な経営管理的業務事項にも亘って保全機 能を考えるのである。例えば、詐欺不正に関して先ず監査活動は、その防止︵事後的善処︶として一般的にその被害損失を 極小にせんとし、更に進んでその予防︵事前的続制︶として、より高次的概念としての経営目的的活動︵その監査される組織 体をして全般的により有利に導くと言う理念︶に機能すべきである。したがって保全機能は、必然的に次の遵守活動に相通ず る訳である。けだし内部監査入の努力は、単に詐欺不正の防止よりもむしろ、適切な会計制度の健全な運用のために捧げ られねばならないからである。⇔遵−守の機能
内部監査目的の第三は﹁遵守﹂︵8ヨ﹄き8︶の確証である。遵守活動は一般的に、経営諸活動の発展によっていわゆる 経営管理諸問題が鳶頭し、この解決としての管理効果の直接的要因と成るものである。類型的には、ω会計手続の遵守、 働業務手続の遵守、㈲諸規制の遵守と成る。最近には法律的乃至制度的、社会的規制によって、会計結果のみならず、日 々の取引活動や財務的会計的並びに業務的過程にまで遵守の機能が要請されて来ている次第である。 n四 検討・評価の機能 内部監査の最も重要な機能は、検討評価活動︵旨く冨≦碧山碧℃鼠ω巴︶である。この機能は、いわゆる内部監査の助言勧 告機能に通ずる最高の建設的活動を代表するものである。この機能は概括的に、合法性と能率性に対する判断に基づくも 内部監査の基礎概念︵可児島︶ 、 二二三、 ∼ 二二四 のである。判断は勿論、判断客体に対する知識と理解によって保証される。ここに内部監査の重大なる責任を認識すると 共に、内部監査人の監査能力はもとより、業務的管理的知識理解の重要性を痛感する訳である。 検討評価機能は類型的に、ω会計的、図業務的、高経営管理的検討評価と成る。先ず会計的検討評価は、一般的記録手 続に関する合法性と能率性の判断であって、内部監査人は殆んど継続的に内部監査計画に照らしつつ機能する。次に業務 的検討評価は、いわゆる実施活動結果︵篇臥。吋日き。Φ︶に関する合法性と能率性の判断であって、正に経営管理過程につい ての検討評価である。更に経営管理的検討評価は、経営政策及び計画の合法性と能率性に関する判断であって、企業経営 の最高管理者層に対する業務活動批判である。これは内部監査の助言勧告機能に関する基礎的資料の提供と同時に、その 直接的動機をなすものである。 ①udは爵㌦,ぎg讐p。一﹀二象けぼσq、.二8。。冒唱二P ② 久保田音二郎著﹁内部監査﹂六一九頁。 ③H﹂●﹀こoD叶卑①日魯叶二8刈器鼠器負○ぼ①gぞ①碧餌ω8℃①o臣厨けΦ巨巴諺民三ロσq. ④田ぎぎ。や葺二おα。。”℃円①討8厳p巳唱二ω・ ⑥早ぎ﹃oや簿;おαQ。−℃唱二ω一5 ⑥田冒ぎ。や簿。=8c。、唱唱二ひ1轟 ⑦繋ぎぎ。や9fお㎝。。”℃や.おt蚕内部監査に治ける合法性と能率性の思考は、既に松本雅男教授並びに青木茂男教授の万々によっ て明確に説明されている。 ︵青木茂男著﹁内部監査論﹂五五一六三頁。︶ ⑧bd臨ロぎ○や息叶こ這αc。噛℃℃二。。i8. 四 内部監査と内部統制 9 内部統制の重要性 内部監査の定義に関する発展基盤として、上述の如く、 佃企業経営の成長発展、働分権的管理養老の発展、⑧経営の社
会的責任の認識、㈲法律的社会的規制の強化、などが指摘されるが、これら要因は同時に、企業経営における内部統制 ︵巨。議巴8巨琶。。旨審B︶の重要性を包.括的に認識せしめた。これらの事清をブリンクにしたがってアメリカに概観しよう。 先ず連邦準備局が、一九一七年に貸借対照表監査に関して第一号通牒を出し、その結論部分において監査計画に対する その関連を示しているが、そこでは、内部統制の初期の言葉である内部牽制︵巨①B巴。冨。犀ω誘8B︶について僅かに駿れ ている。また一九二九年の﹁財務諸表の検証﹂でも、基本的には同じ形で見解を述べている。これらの初期的平心は、一 九三二から三四年に亘って、アメリカ会計士協会︵︾﹄謄︾.︶とニューヨーク証券取引所︵Z.帰Q。・国・︶との間の文通によ って益々強調されて来た。一九三六年の﹁内部牽制と内部統.制しでは、さらに一層明確に重要性が指摘された。三九年の 診 ︾璽囲●︾・特別通達﹁監査手続の拡張﹂では、公認会計士が内部牽制と内部統制に関して強い信頼を寄せて来たことを示し ている。 一九四八年の︾.H●︾特別通達﹁内部統制一経営管理者と公認会計士・との調整化された組織の要件とその重要性﹂ においては、以前より広範囲に、より包括的な方法で、経営における内部統制の問題が扱われている。この通達では先ず 内部統制の定義の拡張概念のうちで、これまで、内部統制の問題に関係なかったような多くの非抜術的事項をも包含する ことにあった。またこれは内部統制に関して、公認会計士の活動面に新しい重要性を指摘したことと成り、正に健全な進 歩的見解であった。 口・内部統制の定義 次に内部監査に関連しつつ内部統制の定義を理解しよう。内部統制とは最広義の用語として、内部監査も内部牽制も共 に含む概念である。この見解は︾.H・︾●にも共通する。 内部統制とは、企業の財産を保護し、その会計資料の正確性と信頼性︵舘。員碧団食・畿同Φ証ぴ=一座︶とを照査し、経営能率 内部監査の基礎概念︵可児島︶ 二二五
二二六 ︵。聴色即§巴Φ塗。け9団︶を増進し、更に規定された管理上の諸政策を推進せしめるために、企業経営内部において採用せ る経営計画及びあらゆる調整方法・手段を含むものである。このように広義において内部統制は、直接会計や財務に関係 する事項のみでなく、予算統制、標準原価、期間的業務報告︵強奪&圃。。窓冨口際属80器︶、統計的分析など、更には、従業 員の訓練計画、内部監査スタッフの養成、本来技術的性質の時間及動作研究、本来製造機能に属する検査制度を通しての 品質管理︵巷註曙8浸&の如きものも包含するものである。 ブリンクは換言して次のように言う。 ﹁内部統制とは、経営財務的観点から、経営管理者が最も効果的に当面の業務活 動を管理統制し、将来の計画を立て、そして企業財産の保全を達成することが出来るような、すべての手段を計画し利用 することに関する概念である。﹂ かくして内部統制という用語は、﹁基本的経営機構並びに経営管理計画及び原理︵導き㌣ 。q①日①馨、。・覧p重き島噂臣。8℃ξ︶を果す﹂べき管理統制諸手段に関する概念である。内部監査は、このような内部統制組織 の一環として理解せられるべきものであって、常に有効なる内部統制組織の完成を目標にして、重要な責任を担っている ものである。 、 国 内部統制の基本要素 ・ 、 内部統制には通例、ω経営管理組織、②内部牽制組織、③業務的基準、ゆ会計的基準、⑤内部監査、の各要素が原理的 である。以下ブリンクにしたがって簡単に理解しよう。 内部統制の第一要素は経営管理組織であり、分権的管理思老と権限責任の適正なる委譲を促進すべき経営機構を備える こと、そして経営業務能率の上で、個人的よりも優れたるグループ的業務機構の提供が、その目標である。有効な経営組 織原理として、ランバーティ及びサーストン︵男●︾’ピ切目づ①月島⇔口恥いbd■↓げ⊆目ω梓O旨︶は以下の要因を指摘している。すなわち 機能的組織が中心たること、機能の重複なきこと、責任には相応の権限がつくこと、権限責任の委譲は明瞭なること、ラ
不ン機能とスタヅフ機能の判然たる区別、浦助者を得て権限の巾を持つこと、語聾直系上位︵浄①。り唇窪9︶の認識、組織 の簡潔性、関連活動への調整、変更弾力性、独創力︵旨p自×一B口bP 一ロ一嵩P旧くO︶の可及的発揮、などである。内部監査はこれら 原理を十分認識して、有効な管理組織の評価を遂行しなければならない。 第この要素は経営政策と手続である。政策とは、すべての目的、規則、活動過程などの統一的表現形態であり、それは 達成目標から描写されねばならない。政策は実施活動と統合され、また実施活動は政策によって予期された結果と統合さ れるべきである。経営管理者が最大の注意を払うべきものは、この経営政策である。 次に手続とは、﹁ことをなす方法﹂ として定義され、有効な経営管理用具の第一歩は統一的手続の設定である。これはやがて内部牽制組織として、内部統制 組織の重要部分を占めることと成るのである。 内部統制の基本要素には続いて、業務的基準と会計的基準が指摘される。これらa基準は、可成り広範囲に百⋮って、断 えず業務結果を測定し、政策を再調整するための情報の基礎をなすものである。業務的基準は、予算、標準原価、労働意 欲、品質管理などの各種基準を含むものであり、基準の当該期間乃至はその後の期間において比較、評価及び分析の基礎 を考案するという共通の目的に添うものである。また会計的基準では組織的責任にしたがう勘定図表︵OげO目叶 Oh 餌OOO坦口羽◎6︶ が基礎的要件となる。内部統制要素としての内部監査については、上述の内部監査の目的の節にゆずることとする。 ㈲ 内部監査と内部牽制 内部牽制組織とは、内部監査と共に内部統制組織の一部として意義をもち、通常の経営業務活動に関して、自動的に正 ゆ 毒性が立証されるような会計組織の特質を有するものである。すなわち内部牽制とは、簿記⊥の自動的検証と事務の分掌 による自動的検証の、二つの機能を発揮出来るように組織化することである。つまり最も簡単に言って例えば、通常の業 り 務活動に関して、自己の作成する証ひょう書類が自動的︵計算的及び事務手続的︶に全く他の人によって検討吟味される場 内部監査の基礎概念︵可児島︶ 二二七
二二八 合、ここに内部牽制組織がある。かくして内部牽制は一般的統制機構の一部であるが、関連過程と共に内部監査によって 検討評価されることと成る。換言すれば、内部牽制は良き会計制度に必須のものであり、内部監査は、この内部牽制組織 を検討評価して、その適応性を確定する使命があるのである。 内部牽制組織の基本原.理として、ブリンクによれば、ω分権的管理思考と権限責任の委譲︵特に責任の固定化︶、吻財務的 並びに会計的責任と業務的責任の判然たる区分、③証明と統制機能の適用、などが指摘される。更に例外的には、例えば’ 他の部課員による棚卸現場牽制などの現物牽制慣行︵。・℃。〒。冨。訂︶、及び、公認会計士による特定部門牽制などの外部機関 牽制証明︵。暴乙ΦωΦヨ89σQ窪9Φ。。。冨。訂︶の実益が大きい場合もある。要約的にみて、﹁内部牽制組織の整備は内部監査の 前提的要件をなす﹂という密接な関連を、両者は有するものである。内部牽制組織の限界と内部監査の関連については、 更に次の機会︵内部監査部門の考察︶にゆずらねばならない。 ①甲ぎぎ、、H舜①ヨ巴﹀&三昌σq.、.お㎝c。噛署.浮−悼ひ. . ②久保田音二郎著﹁財務諸表監査﹂四八−五五頁。アメリカ財務諸表監査の展開として詳説されている。 ③bd二口ぎ。や畠二ちαc。讐娼。ま.ブリンクの﹁内部監査論﹂第一版は、主としてこの意義が強かったと著者自身述べている。 ④ω℃Φ。芭図90暴9島ΦOo目巨け肖①①oロ︾民三口σq甲。。巴9①o粘爵Φ︾目①旨きぎ毘ε一Φoh>。8巨冨艮ρお心。。.しd艮爵・ o室層一〇α。。噛やδ. 青木茂男著﹁内部監査論﹂三一−三二頁。 ⑤即ぎぎ。や警■=8c。・℃’Nひ・ ⑥騨○巴営島鋤巳﹀.8国.Oず出匙層、、H巳Φ白鼠O魯窃用山σQ節目も・け津9。巳⇔巳薯霧叶p、、お翼ウμ ⑦ゆユ蒔℃..ζ碧・αq①昌巴Oo巨8=冨oqαq﹃H葺①旨巴﹀民三昌σq㌔.おホ.や刈. ⑧bd目ヨ犀しげ置‘℃や。。一。. ⑨しuユ爵層、、H耳Φヨ巴︾&三お.、口Oc。。。堕署●留一こ。P ⑩円︸い2β℃臼鼠彗匙ト¢↓ぴロ同ω8p、、H艮①ヨ巴誤g三山コ頒♂︻晋山暴富ヨ①葺、げ6器−p写 ⑪訂日勺Φ昌冨且目冨邑。p一獣伍・、ヤ鎚 O℃・
@@@@ @i bすァ口r。マ。剛rお㎝。。、毛.悼。。一悼。璽 ⑬じごユ昆、。ワ9‘お笛。。矯唱唱.も。oI器. 久保田音二郎著﹁内部監査﹂三一一三五頁。 切嵩鵠﹃、、ζ鋤8σq臼闇旺OogN9爵厭。口σqげH三Φ毎9。一層。岳二口αq.、︾一〇δ曽℃.刈いαρob・9け層一8c。鴇やρ 呼ぢぎ。や9骨●噛お㎝c。.℃℃■ヨ⋮ω悼. ⑰しd同ぎぎ。や9け二お㎝G。℃℃b・ωひi留. 青木茂男著﹁内部監査論﹂八八−九一頁。 ⑲青木茂男著、上掲書、九〇一九一頁。 五 内部監査の発展
e相対的独立性
内部監査の基本的性格については、以上の考察において概略理解した訳であるが、更に理解を深めるために若干の残さ れた機能を整理しよう。先ず内部監査は、別名経営管理監査と呼ばれる如く、財務的会計的機能のみならず、業務的機能 においてその監査活動を遂行する訳であるから、これを経営管理者側から見れば、正に業務執行に関する基礎資料の提供 者︵ωo賃80h①〆Φ2偉くΦ5p8目冨一︶として、内部監査担当者を重要視することと成るのである。また内部監査担当者の側より みれば、その助言勧告の機能は重んど業務監査領域の機能にもとづいているのである。更に経営管理者から従業員に至る 全般的経営の立場から見れば、内部監査担当者は経営業務活動全般に関する意見や考案の交換所︵。ぎ臨品げ。話①。=匹$ω︶ として機能しなければならない訳である。 内部監査人は、ライン或いは業務執行活動の機能ではなく、スタッフ或いは助言勧告的機能︵ω鼠臨一三く一ω。昌︷琶。仲一8︶ を遂行するものであることは、既に内部監査人協会のステートメントにも明瞭である。ただ当該部門においてのみ、ライ ン機能において業務活動することはある。かくしてこの点から、内部監査の間接的管理機能或いは二重管理機能について 理解されることと成るのである。 内部監査の基礎概念︵可児島︶ 二二九;二〇 ところで、内部監査が全く近代的経営管理用具の一つとして重要視されるためには、内部監査入または内部監査部門の 独立性が確保されなければならない。しかしブリンクも指摘するように、外部公認会計士においても、必ずしも絶対的独 立性の警固は容易ではない。これが内部監査人の場合には、いわゆる相対的独立性︵邑蝉臨くΦぎ餓ΦbΦ巳窪8︶の確保が必要 条件と成る訳である。つまり、経営組織内における機能的独立性の認識理解である。これに関連してH.H■︾.のステート メントによれば、監査機能には完全なる客観性が必要であるから、内部監査入は、会計手続の立案や展開及び記録の作成 など、或いは検討や評価が期待され、強制されるような活動には関与してはならない訳である。内部監査計画には特に重 要な要素である内部監査の独立性について、ここに、内部監査の︵機能的︶限界の一つが内在することを知るのである。
口 将来的発展
内部監査の機能については、勿論その発展芋貝によって本質的に異同する訳であるが、近代的大企業化によって、内部 監査の機能にも全く多様性が現われて来たことは否定出来ないところである。人事訓練に関する内部監査目的の認識もそ の一つである。人事採用から人事訓練、更には人事計画関係業務にまでその機能は及ぶことがある。これは基本的には、 全般的経営能率の観点から、業務活動のマンネリズム︵ステロ化。。3器。蔓弓&O℃①鑓臨◎口︶と責任の欠除を防止する目的で作用 するのである。内部監査と人事訓練、人事管理との関連については、早くガーベイド︵芝・胃O母げ巴①︶の考察がある。分 権的管理組織の考察から、訓練計画及び入事評価に亘って、内部監.査の機能や責任を説明し、そして全般的人事管理に関 する助言勧告の機能を老察している。 最後に経営活動全般に関して、管理思考にもとつく内部監査の検討評価の機能は、これを裏面からみて、株主投資家の 側から言えば、正に経営管理者に対する検討評価に他ならないから、実に、経営者の管理能力についての評価と成る訳で ある。これは今日必ずしも外部監査入の職責にのみ蹴課すべきものではない。こ九は内部統制組織の評価と共に、内部監査に課されるべぎ新しい機能となるであろう。ただ我が国の場合のように、既.存の監査役制度がその意義を持っていると ころでは、必ずしも問題は単純ではないのである。 以圭において内部監査の概念、その機能を概略理解して来た訳であるが、その結びに代えて、内部監査の将来性に関す ⑭ るブリンクの説述の一部を引用する。﹁内部監査担当者は、今や将来的発展の壁頭︵けげ同①弓自﹃O一山 Oh 螢 h二け⊆H①︶に立っている。 内部監査担当者が、如露なく建設的に経営管理者の要請に役立ち得るためには、高度な技術的能力と共に、経営管理過程 全般に亘って、極めて多くの問題を十分に深く認識理解して進まなければならないのである。﹂ ① しu目ヨ﹃.、H三①ヨβ。一︾目島島巨σq.、噛一8。。胃喝や旨一8. 内部監査における財務的会計的機能と業務的機能をそれぞれ会計監査と業務監査とすれば、これが統一的理解のためには、この両者を ﹁会計記録﹂と﹁その背後のもの﹂との関係として認識しなければならない。詳しくは久保田音二郎教授稿、内部監査の基礎的なも の、︵産業経理、第十九巻 第六号、五一−五五頁︶を参照願いたい。 ②しuほ蒔Lぽ山■、署﹄o一員曾 ③同●H●︾二ω§Φ目窪什悪目刈、ぎω。ε①o臣諺β夢霞芽pコ蟻菊①巷。塗謹年団曾 ④久保田音幽二郎著﹁内部監査﹂六一九頁。 ⑤青木茂男著﹁内部監査論﹂二〇頁。 ⑥野冒〆。℃■畠‘お㎝c。−℃●=● ⑦H.H●﹀.℃ω翼①ヨ窪川=8刈器く﹃Φ負H乱2①巳982ρp ⑧拙稿、管理会計の発展と業務監査の意義、彦根論叢、第五五号、四七頁以下。 管理会計の機能の限界に対する克服、あるいは管・ 理会計の前提をなすところに、本来的に内部監査の機能はある。︵久保田音二郎稿、内部監査任務論への批判、﹁会計﹂第七五巻 第二 号、七四一七六頁。︶ ⑨国ぎぎε●昏こお㎝。。層℃.巴・ ⑩芝■頃.Ω胃﹃巴ρH艮Φ葺巴︾ロ伍三お釜日冨ぎ言αqho二男ロ凹目①︾山巳巳ω爲瞬く①沼目国器8島く①℃2ωo弓Φr.、ぎけΦヨ巴︾β象叶ぎαq、、” ℃ま一80℃げ団9。ロ畠℃話。江。Φ、一﹁同髄︾;一〇直り勺P亀一αα. ⑪O震審山ρ塗餌‘℃やお一αO● ⑫○胃げ巴ρoウ簿‘昭讐αOlα悼. ⑬国ぎぎ。℃.葺■=8・。−”.。。. ⑭口d﹃ぎぎ。や葺こおα。。”℃N。貯。①帥く. ︵一九五九・八・二〇︶ 内部監査の基礎概念︵可児島︶ ・ ニゴニ