• 検索結果がありません。

景観におけるアメニティの諸問題

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "景観におけるアメニティの諸問題"

Copied!
13
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)Title. 景観におけるアメニティの諸問題. Author(s). 亀畑, 義彦; 大森, 六郎. Citation. 北海道教育大学紀要. 第一部. B, 社会科学編, 45(1): 65-76. Issue Date. 1994-10. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/4539. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) . 北海道教育大学紀要 (第1部B) 第4 5巻 第1号. 平成6年10月. lo f Hokka i do Un i i i Journa t i l t t ver s on(Sec onIB)Vo y of Educa ‐45 ‐l , No. oct obe r ,1994. 景観にお けるアメニ ティ の諸問題. 亀. 畑. 義. 彦・大. 森. 六. 郎. 北海道教育大学旭川校. The proble ー ぼ ーs of A 朋ーenities as. seerI in. Relation to Landscape. Yosh i h i ko Kamehata, Rokurou oomor i. l. はじめに 景 観 へ の 関 心 が こ こ 数 年 と み に 高 ま っ て き て い る‐ そ の こ と は アメ ニ テ ィ (Amen i ty) へ の 関 心 へ の 高ま り で も あ , i fe) や 環 境 の 質 (Qu須i t る. 生活の質 (Qual i tyofEnv y ofLi ron nent) を 直 視 し, 自 ら の 住 む 街 の 景 観 が利 便 性 の み 1 ならず, 住みやすさやこだわりが持てる景観を配慮した 「街」 造りへのうねりでもある‐. 地方に住んでいる者にとって, これまでの街造りはともすれば, 人口の成長であり経済の成長という 規模の拡大と , いう成長至上主義の生き写しであった‐ 人口や経済の規模の拡大は 必然的に道路や交通治山・治 水・上下水道等 の , ハー ド面でのイ ンフラストラクチャーの整備であり, 事実これまでの成長してきた都市は 人口の急増に伴うその場し , のぎのイ ンフラ整備という, 不備まるだしの再生産を繰り返してきた‐ しかし, 過去のこうした規模の拡大に伴う経済の効率追求も, もはや多くの自治体なり 地方在住者にとって 限界 , , 点を越えていることは自明となってきている‐ 政府サイ ドでも名称こそ違えたとはいえ 過去四度に亘る全国総合開発 , 計画やそれに伴う, 各省庁に定住圏やネッ トワークやテクノポリスといった各構想も おしなべてみるとこれらは 産 , , 業連関の高い工業を誘致或いは育成し, 核となる産業を設立し 次々に投資が投資を呼び 経済活動は雪だるま式に拡 , , 大するかの推論であった. これらは, 高度成長期以来日本経済が拡大基調にあった追い風のときでさえ 成功といえる事例 (都市) はほとん ど , なかった‐ 更に性懲りもなく, 政府は21世紀に向けて五全総らしき 本の表紙だけを取り替えたプランを目論んでいる , が, 政権の交代による地方分権論調や, 政治改革論議で 頓挫しているのが現状である , ‐ 地方ももはや成長することだけに固執ことなく, 過去の状況に対する反省を踏まえ 成長至上主義と決別すべき時な , のである‐ 成長に対する時流が逆風の今こそ, 足元を見つめ直し 「いかに快適な街をつくるか」 ということを基本命題 , に す る と き で あ る‐. 2. 景観とは何か 「景 観」 の 語 は 英 語 で Landscape 独 語 で Landscha f t (語 源 的 に はLandsk i , p), で ある‐ 日本 語 で は 風 景, 景色 な ,. どと同様 に使われている. 通常, ランドスケープの訳語として 景観も風景も同義に使われて いる しか し学問的に , ‐ は, 若干異った性格づけがなされている‐ 一般的に 「景観」 は 客観的科学的に把握される視覚的環境に対し 「風景 , 」 , の語には, 客観性や科学性を要求しないで, むしろ 「心象風景」 や 「原風景」 の用例のように主観的であ たり 文学 っ , 的表現をあらわすときに多く用いられる‐ 「景観」 は 科学的手法で記載・記録・図化・評価・分析が可能なものであり 言葉そのも のには 「風景」 のように , , 好悪, 良悪の判断が含まれないニュートラルな事実を表わすと考えるべきである 景観の英語Land s capeは,「もともと ‐ 土地 (Land) を基調にした言葉で, 地形・地質を基盤にしその上に展開される諸々の状態 すなわち動植物の生態か , 65.

(3) . 亀畑義彦・大森六郎 9 77 ) ら, 気象その他の自然現象にいたるまで, 地上に顕現する一切のものの総合を示す言葉である. (江山正美・1 」こ の時点では, 人間的なものを含ま ないのが本来で, 総合性の点にウェイ トがおかれている. こうして,「風景とは, 地形 94 3 ) およびそれに伴う埴生, 人口景等を併せたろ一地方の自然地域における景観をいう‐(上原敬二・1 」 …とか,「眼に ) 9 38 映る景色の特性が景観である‐ (辻村太郎・1 」 というように, 総合像をランドスケープとして認識することで定着 す る. t tyscape Landscape の後 半 s ree scapeな ど場 面 を 限 っ た cape だ け で 景 観 を 意 味 す る よ う に な っ て, Townscape ,Ci ,St. 用法もでているし, 都市景観, 田園景観, 自然景観, 歴史景観な ど, 主たる構成要素の比重を指示した用法もある‐ し he i t) と統合性 ( z かし基本的には, 違いを分類して細かく峻別してゆく性格は本意でない. あくまで, 全体性 (Gan 「 「 To l i t t) 即ち総合性に基調をおくのが 景観」 の重要な点である. ただ, 総合性を英語の ラン ドスケープ」 では視 t a a 覚像のレベルで捉えるのが一般的で, 独語の 「ラン ドシャフト」 は視覚を含めた空間・地域レベルまので包含するもの として捉える用例が多い‐ このことは, 「景観」 をLand s cape的で視覚環境を表現するのにあてはめる工学景・計画景の分野と, 「景観」 を地域 f t風に, 地域環境把握法として活用する地理学系分野に分かれるということでもある. い のひろがりを含めたLands cha ずれにせよ環境を総合的なものと して捉え, 計画的に対処してゆかなければ, 山積みされた環境問題や都市問題を克服 i して, アメニティ (Amen t y) 状態を実現することは困難であるという社会的認識が, もはや無視しえない現段階なの である. ILa ta だか らこそ, トー タ ル ・ ラ ン ドス ケ ー プ (To nd s cape=あらゆる意味での快適環境の実現した状態‐ 人々が生. き生きと暮らし, 人工と自然のバランス, 歴史と文化の共存が全うされた状況) を最終目標とする 「景観」 の語が時代 的キーワー ドと して登場 してきたのではなかろうか. なお冒頭にあげた類語の説明をみておく と, 即ち 「風景 ( Scene ew) の 集 合 で あ り, 又, 地 形 ・ 土 地 の 風 景 (Land ry) は, 一 部 の 景 (Scene) と 観 る 処 で 変 わ る 景 ( Vi t) に 深 い 関 ospec s cape) に お け る変 化 と 美 を 伴 う 一 般 景 観 (Aspect) で あ り, 自然 美 の 組 み 合 わ せ で あ り, 眺 望 (Pr 「 l ogy」 と して 提 案 (1947年) し た 上 原 敬 二 の も の ) 94 3 係がある‐ (上原敬二・1 」 この説明は, 「風景学」 を Sceneco f t」 を植物学者の三好学が日本語に翻訳するとき 「景観」 の語を与えたという こと で, 元来, ドイツ語の 「Land s cha. は, 違った場面での説明である‐ 景観の語は, 分野を異にすると, その用例や言葉への期待に変化があるということで ある‐ そこで, 人間にとって望ましい環境をつくり育てたいという, 環境デサイ ソの視点から 「景観」 の特質を若干考えてみ 云 こし・-. 端的に言えば 「景観」 や 「ラン ドスケープ」 の語からは, 1) 総合性, 2) 自然性, 3) 地域性, 4) 関係性の重視 という点を指摘できる‐ これら四つは, 従来までの街づくりな ど環境デザイ ンで十分に配慮されて こなかった点とも対 応 し, これ か らの 真 の 街 づく りを 果 た す た め の チ ェ ッ ク ・ ポイ ン トと 言 い か えて も よ い‐ ま た これ か ら の 街 づ く り の, 総 合 的 な アメ ニ テ ィ の 向上 に 向 け て, 具 体 的 な 指 標 と も い える の が, 「3 P ID」 な る も の で ある. 即 ち 「3P ID」 とは, あらゆる政策施策を実現するためのキーポイ ント的側面であ っ て, 意味は, 1) i an (計 画), 4) Des gn (デ ザイ ン) で Ph i l osophy (哲 学 的 視 点), 2) Poucy (施 策 の 基 調 に おく べ き 視 点), 3) P1. ある‐ 以下 は, こ の 「3 P ID」 の視点で, 四つの 「景観」 の特質についての簡略である‐. 1) 総合性 現代は, 科学・技術・行政・産業・文化な どあらゆる分野で “分化” した時代である. 細分化して, 対象を狭く区分 けして追求することにより, 専門化, 深化, 効率化, 特化することが可能となった. その逆に, 分化によって, それぞ れの有機的結合や全体的なバランスが崩れてきたり, 効率本来の価値観では切り捨てられてしまう計量化できないモノ や コ トが無 視 して しま う 乾 い た 社 会 に な っ て しま っ た‐. 即ち都市と農村, 工業と農業, 宅地と農地というように社会的, 産業的, 土地的な軸をひとつとってみても, 行政面 “ ” では建設省や通産省と農水省という分かれ方をし, 並立関係で捉えられている‐ しかし, 風景の眼 でみれ ば, 相互 補完的に, 更には有機的総合的に結びつけてこそ, 相方の抱えている経済的, 環境的諸問題は解決される. 66.

(4) . 景観におけるアメニティ の諸問題. このことは, 農業施策であると同時に都市政策でも同一である‐ 生産行政であると同時に生活行政であり 文化行政 , であるからだ. こうした総合の視点が, 計画・デザイ ン・行政・市民といった各々のレベルで大いに導入されるべきで とある. 一軒一軒の建築物のデザイ ンから家並み, 通りに至り, 個性的な街なみが創造されてゆくように 地域の個性 , を生かしつつ全体として総合化されてゆくことへの視点 である. 2) 自然性 ラ ン ドシ ャ フ ト (Landschaf t) は, 景 観 と 訳 す よ り は 「景 域」 と 訳 す 方 が 適 切 で あ る と い う 考 え 方 (井 手 久 登 ・. 1 9 67 ) がある‐ 景観は表層の視覚的側面が強く感 じられ, 土地自然の生態学的秩序などを含んだ地域環境としての全体 性が感じられないからである‐ 景観行政というと 「都市美」 の言葉が連想され, 例えば建築表層の色彩統一 高さ統一 , などが想起され, 都市のうわべだけを景観行政と錯覚することが多いようである‐ しかし, 本来的に景観行政が目指しているトータルランドスケープ状態というのは 歴史や文化 そして市民生活は , , もとより, その地域の土地・自然と連続し一体化した環境像 であって 決して 表層の装飾ではない 現代は マシン , ‐ , , ・スケール (機械の力) で土地の大改変も可能であるし, 巨大なビル建築も可能になった 本来は人間生活の基盤であ ‐ る土地自然 (具体的には, 地形, 埴生, 水系, 動植物) を 平気で無視するようになる しかしそこに住む市民たちの , ‐ 感じ方は, 昔ながらの山や川, 谷や丘との関係の中で安心感やふるさと意識を持ち続けようとしている ‐ 土地や自然を人工的に 改変することは, 防災上など環境保全面での問題があるからだけでなく 人間の精神環境面か , らからも極めて大きな問題であることを考えるべきである‐ 真にふるさとと呼べる都市の景観は その基盤となってい , る土地・自然の秩序を十分尊重し活かした上にこそ成り立つということである。 3) 地域性 地 域 ら しさ と は, リ ー ジ ョ ナ リ ティ (Reg i ty), ロ ー カ リ ティ (Loc紙ty) で も あ り‐ そ れ は Landscape の原 語 on須i “ i の Landsk に あ た り, そ の 地 域 の 中 で も 最 も そ の 土 地 ら しい” と い う 意 味 で ある. p. 近年の東京集中に象徴されるように, 工業化, 都市化, 国際化という言葉が次々に登場し あたかもその土地固有の , 自然・歴史・文化的風土を破壊しなければ発展していかないように考えているのではないかと 疑われるような画一的 な, 中央主義では地域性は生まれてこない‐ 固有性, 個性を叫ぶフィ ジカルデザイ ンは多いが, その実体は 地域の歴史・文化・風土性を 人工的操作のデザイ , , ン・モチーフとして緩少化して吸収しているに過ぎない‐ 真正面から真剣に 地域固有の歴史・文化・伝統・自然風土 , などを重視し, 尊重した環境デザイ ンを目指そうとはしていない 景観の重視とは あくまでLand k i s pであり, その土 . , 地らしきの重視でなければならない‐ その土地, その地域固有の歴史や文化 自然や風土 地場産業 市民気質などを , , , 改めて再発見し, 再評価し, 自覚的に再活用する ”わが町・わが村 再発見” が第一歩になくてはならない , ‐ 4) 関係性 「景観は 眺められる対象 (モノ) としての 〈景〉 と 眺める主体 (ヒト) としての く観〉 とが密 接に絡み合って形 , , 成されるものである‐(美しい国土建設を考える懇談会・1 9 84 ) 」。 この指摘は, 景観を考える上で関係性の重要性につい ての言及である. 従来の都市整備は, それを眺めるひと, それを使うひととの関係を十分に詰めることなく 諸外国の水準に遅れてい , るからキャッチアッ プ的な考え方で, ひたすらモノを建設してきた しかもモノは 他のモノとも関係しながら景観を . , 構成してゆくのだが, その点への配慮も十分でなかった‐ タテ割と補助事業にその原因を見出すことも出来るが 「関係 , 性」 の深い認識が欠如していたためだとも言える. 最近では建設省がモノ相互の関係づけのマニアルを出しているよう に, 道路と公共施設, 広場公園と道路, 河川と道路や公園などモノ相互の有機的で景観的連続感への配慮が指導されて きている‐ 当然ながら, モノと土地自然との関係性についても重要である ‐ アメ ニ テ ィ に つ い て, W‐ ホ ルフ ォ ー ド卿 の 説 明 す る. 「ther i ightp l ghtthingi nther ace」 (然 る べ き も の が 然る べ. きところにある) ということは, 土地・自然とモノの間にあるべき関係性の在り方を考えてから事業化されるべき点を 言 っ て いる. イ メ ー ジと 無 関 係 に 立 地 さ せ た ため, 逆 に マイ ナス 効 果 を も た らす と い う こ と も 少 な く な い こ れ は モ . , 67.

(5) . 亀畑義彦・大森六郎 ノと土地の関係だけからではない. 景観におけるモノと土地や場所, そしてもうひとつ別のモノやヒトの全ての関係性 i t y) 」 の根源だと が重要であり, 十分にその関係を有機的に結合することが, あらゆる意味での 「○○らしさ (=Amen 思われる‐ 5) 人間性 「風景」 これこそ街づくりの主役というか, 中核たるべき総合行政の中心とみることが出来るが, 先述した3PIDを再度整 理しておこう‐ 「景観」 の語意から 「景観行政」 の3PIDを導くと次のようになる‐ ◇. Phaosophy = Landscape (景 観) を考 え る と い う こ と は, 「総 合 性」 を 第一 義 とす る こと で ある.. ◇. Po f l i t (景観) を考えて施策を展開するということは,「土地・自然」 を基調とすることである‐ cy = La cha nds. ◇ ◇. 「 i P1 k an = La s nd p (景観) からの計画的展開に おける最も重要な配慮は, 地域性」 の発見と活用である‐ ザイ ンを 考 える 場 合 の ポイ ン ト は, 単 Des i gn =景 (モノ の 姿) と 観 (眺め る ヒ トの 視 点) の 関 係 か ら, 風 景 の デ. なるモノの配置ではない‐ 即ちそれぞれのモノに対する人々の場所に対するイメージ, さらに, イメージの源泉になっ ている人間と環境の基本的な関係原理について, 深い理解をもった上でのデザイ ンであることが根本である‐ 以上 3P IDと, 総合性, 自然性, 地域性, 関係性の 「景観」 における四つの特質を整理した‐ こうしてみると,「景観」 の言葉を客観性と科学性をもったものとして見た場合に, 若干の問題が残る‐ 究極の総合像 という観点からすると, 視覚的に把握できない過去からの歴史や文化も入ってくるし, 対象景観との関係性でみると, 極めて主観的で多様な側面をもつ人間との関係性が最も重要で, その点で客観的・科学的であり得ない部分がどうして も 混 入 してく る.. 従って 「景観」 は, 概念的にはあり得ても, 現実の人間社会の, しかもより現実的な行政分野で議論するには, 客観 的で科学的という 「景観」 はあり得ない‐ 結論的には, 「風景」 が適切なのであろう‐ そこには, 地域の人々の環境に対する直接間接の深い関わりや, 関係がもたらす好悪, 適不適感覚までを総合化 し, 生 「 きるにふさわしく, 住むにふさわしく, 懐かしさと落ちつきをもてるような, 正に 「わがふる さと」 と呼 べる 風景 像」 がイ メ ー ジで きる‐. 景観の最終イメージは, 心から 「いい風景」 と呼べるような総合的な人間と環境との関係を-とり結べるようにする こと であろ う‐ ゴー ル は, 「い い 風 景」 を 作 り 出す こ と に あ る の で ある.. 3. 景観行政 (政策と問題点) 地方の時代は, 必然的に 「地域の尊重」 や,「地域そのものの再発見, 再評価」 をもたらした‐ 地域重視の視点は, 先 i 述したように文字どおり景観 (Landsk p) の語に内包されてもいる. 景観行政は, 地域性重視の新しい行政潮流とも完 全に符号している‐ 即ち 「景観行政」 は, 「ポスト文化行政」 であると共に, 「地方の時代の実体化」 への必然的手順で もある‐ 「 他方 「景観行政」 は, トータル・ラン ドスケープを目指すところに象徴されるように 総合行政」 という基本的性格 をもつ. 事実現在自治体が掲げる総合行政の具体的イ ージは,「まちづく り」 である. ハー ド本位の都市計画や都市整備 「 に, ソフトな市民感覚や市民要求, 環境の質的・精神的意味の付与を含めたものこそ まちづく り」 に期待されている 内容である. クリ ス トフ ァ ・ レ ソの が 大 火 後 の ロ ン ドン復 興 計 画 を 立 て た の は1666年 であ っ た し, ラ ンフ ァ ン が ワ シ ン ト ン計 画を. 8 53年からである. これらの諸計画はもはや, いまで 92年であったが, 有名なオスマンのパリ改造計画は1 立てたのは17 i t s (軸線) によって, 都市を構造的に a (通景線) や AX s は古典に属し, 必ず しも現代都市に有効とは言い難いが, Vi i fu I i t y Beaut 秩序 づ け景観上も 統一 し, 有機体と して の 都 市 像 を 作 ろ う と した も の であ っ た. 都 市 美運 動 ( C Movemen t) は, アメ リ カ の シカ ゴ市 で 開 催 さ れ た コ ロ ン ビア 博 覧 会 (1893年) を き っ か け に, 全 米 で 盛 ん に な り20世. 紀の初めまで続いたのである‐ 、東京大火後の銀座レンガ街計画 大正1 3年) 関東大震災後の復興計画が都市美 2( 1 92 87 2年) 1 日本でも, 明治5年 ( , 1 92 6年) には都市美協会という団体さえ出来ている‐ 日本の諸計画が, 真 5年 ( をめざした大きなものであって, 大正1 68.

(6) . 景観におけるアメニティ の諸問題. に都市美運動であったか, 古典的都市改造あるいは都市装備計画であったかは 評価の分かれるところ であろうが , , ハー ド・ソフト両面から, さらには真に市民的ニーズとして いわゆる 「まちづくり潮流 の中での景観行政としての 」 , 展開 は, ごく 近 年 の も の と みて よ い で あ ろ う.. 4. 都市景観に関する法制度の確立 (制度面からの景観) 都市が 「生産の場」 としてよ りも 「居住の場」 として認識されるようになるにつれて 都市住民の環境への関心が高 , まってきている‐ それも, 都市全体を視野に収めた関心よりも 身近な 「生活の舞台」 としての 「まち や 「地区 に , 」 」 対する関心の方が強い‐ まちづくりに関係する一般法としては, 都市計画法と建築基準法が重要であるが 都市計画法は都市全体からみた合 , 理的,機能的な土地利用計画に係る法律であり,建築基準法は個々の建物の建築に対する規制法である点に特徴がある ‐ 都市計画法によるマクロ的な用途地域制と, 建築基準法によるミクロ的な建築規制との中間に 「地区 レベルのきめ 」 こまかいまちづくりの手法が必要なのであるが それらは必ずしも整っているとはいえない 現行法の問題点をあげれ , . ば, 基本的な事項として, 地方分権 特に各許認可に対する権限移譲が不徹底であることである 都市計画法上 まち , . , づくりの前提となる地域地区制 用途地域制をはじめ 各種の権限が実質的に建設大臣又は機関としての知事に握られ , , ていて, まちづくりについて都市住民に対し直接かつ最終的に責任を負うべき都市自治体が主導性及び独自性を発揮す る余地が極端に狭められているの である‐ 都市景観に関する 現行法の問題点をあげれば 次のとおりである , ‐ 第一に, 景観は現実には地区レベルのものか多し ・が, それについては, 地区計画, 美観地区, 風致地区等の制度があ るだけで, しかもその要件が厳格 であるため適用可能な地区が限定され また機動性にも難点がある , ‐ 第二に, 都市計画法では, 民間事業者による開発行為を景観の保全又は創造の観点から規制した り 望ましい方向へ , 誘導したりすることには限界がある‐ 第三に, 建築協定や緑化協定の締結や変更には 「全員の同意」 が前提とされているので 事実上 新規造成地 区以外 , , での適用は困難である‐ 一般的にいって, 現行法では, 都市景観の視点が極めて希薄であり 景観形成についての実行性ある手法が欠落して , いるといわざるをえない‐ 景観形成に関する理念や制度的枠組みを 「分権的 な考え方で規定し それに基づいて都市 」 , 自治体が必要な規制や誘導の手法を選択できるようにすべきであろう こうした都市自治体が選択できる規制や誘導と ‐ して, 条例, 要綱, 基準, 協定, 制度等が考えられる ‐ これらどの手法によるかは, その都市の実態により異なると思うが これらの運用により 都市が主導性を発揮し , , , その都市固有の景観形成を図って展開していくことが まさにこれからの都市に求められているといえる , ‐ 景観行政を推進する上で, 都市が, 条例, 要項 制度 基準 協定等何らかの法 制度を持 ているのが一般的であ , , っ , , る. 特に民間建築物等の指導に対して は 一定の指導基準を持って対処することは当然であるが この指導基準を条例 , , に基づいて運用している都市と, 要項や行政内内規として行っている都市 地域の建築協定や街づくり協定によ , ってい 運用している都市等様々である‐ 条例や建築協定は法的に最も強く 要鋼 街づくり協定はかなり弱く 行政内内規に , , , いたっては全く弱いものというのが一般論であることには異論はない ‐ 条例・要綱・制度 ・基準・協定等は, 地域の客観づくりをルール化によ て進めようとするものであるが 規制的側 っ , 面だけでなく誘導的側面 (容積率の引き上げのボーナスや助成金の交付等) も合わせ持 た方が成果をあげやす い‐ っ 1 96 5年以降, 土地利用制度・環境保全の諸制度が急速に登場する背景があ た 古都保存法 ( 66年), 公害対策基本法 っ ‐ ( 67年), 都市計画法 ( 68年), 農業振興地域の整備に関する法律 (69年 以下農振法とい う) 自然環境 保全法 (72 , , 年), 国土利用計画法 ( 7 4年) などの諸法が1 0年足らずの間に続々と制定されたのである このなかにあって都市計画法 ‐ は,1 91 9年以来5 0年にわたる懸案の課題をようやく解決するべく登場したのであった その理念は 都市計画制度の民 ‐ , 主化, 土地利用の計画化, の二点に集約される‐ 第一の民主化に関しては, 旧都市計画法 では都市計画の決定権限がすべて国にあ たものを都道府県知事および市 町 っ 村に委譲すること, 都市計画の案の作成および決定への住民産科手続きを導入することが制度化された ‐ 第二の土地利用の計画化に関しては, いわゆる 「線引き制度」 (区域区分制度という) 開発許可制度および用途地域 , 69.

(7) . 亀畑義彦・大森六郎 制の細分化と容積率制限の全面適用が採用された. 土地利用計画は制度上明示されていないが, 都市計画の基本方針で 成にあ ある 「整備・開発又は保全の方針」 は土地利用の基本的配置を示すものであり, 区域区分や用途地 域の原案作 には 「計 たっては土地利用計画が実際上検討されることとなった‐ これによって, 都道府県及び都市計画区域内市町村 されること 画なきところ開発なし」 原則 が浸透するとともに, 線引きをめ ぐって土地利用の計画的配置の重要性が認識 と な っ た.. い歯止め また自然環境保全法は, 自然環境の優れた地域を保護・保全することによって, 乱開発による破壊への新し となった‐ 土地利用計画は, こうした諸法の土地利用への要求を正確にふま えつつ調整し, 市街地の規模とその配置を う 定める実質的な役割を負うこととなったのである.この時期の土地利用計画の特徴をま とめて以下に示すこととしょ . 1) 線引き制度の導入に対応し, 市街地の規模の確定が最大の課題となった. 基 2) 市街地の規模の決定要因としては, 将来人口予測, 市街地の人口密度設定, 市街化区域内の未利用地の状況, 土地利 盤整備の進捗状況, 今後の基盤整備の予定, 公共交益施設の将来必要量などとかあげられている‐ 線引き対応の 用計画では, これらの決定要因は重要なキーワー ドである. な 3) 市街地の配置は, 幹線道路, 都市高速鉄道, 下水道などの根乾的都市施設の配置および面的基盤整備の可能性 どとの関連を十分に読み込み, かつ農業的土地利用や自然環境から見た土地利用との調整を行い, 決定している. 9 80年に 0年間に整備されるべき区域となっている‐ この整備を担保するため,1 4) 制度上, 市街化区域はおおむね1 の計画である) が導入 は都市施設整備事業, 市街地開発事業などの整備 プログラムを定める市街地整備基本計画 (任意 され た.. とどまってい 5)「整備・開発及び保全の方針」 は, 文書を中心とする概略の土地利用・都市施設配置の方針を示すに 「 「 針 る‐ このため, これを部門 ごとにより詳細に示す部門別計画が導入された‐ 緑のマスター プラン」 都市再開発方 」 などの計画がそれである‐ 以上の補完的な計画を含め, 土地利用計画は, ようやく制度上の規制手法と結びついた実効性のある計画として社会 的に定着 したといえよう‐. 5. 都市自治体の役割及び課題 「 快適 都市空間は都市に住む人々を基礎として, 都市に関わりを持つ諸々の主体にとって, 安全, 利便性, 文化性, づ 従前は機能性, 効 性」 の要素が完備されている ことが理想である‐ しかしながら, それぞれの要素のウェイ ト けは, ことが 率性, 経済性な ど便利さの観点からのみ取り組まれてきたが, 今後はアメニティ の観点から快適性を基軸にする 望まれる. するよ その場合, 個々の要素のアメニティ だけを配慮するのではなく, その他の要素や全体との関係においても調和 は様々な主体及 うな都市アメニティ 空間が創造されるべきであろう. そのような都市空間の創造にむけて, 都市自治体 び価値観の存在を認識 し, 多様性のなかの統一及び調整において主体的な役割を負わなければならない. 空間の創造に取り組 都市自治体が, 公共性及び生活者に視点を置いて都市共通の重要なテーマである, 魅力ある都市 であろう. むことは, 現在のそ して明日の都市のあり方にむけての重要な手掛かりを探る役割を担うことになる である. 都市生活の基盤として存在する都市の空間は, 市民が快適に暮らしていくための基調な空間であり, 共有財産 合的に調 それ故, 各都市自治体は, 首長や職員を含めた庁内職場文化の土壌の整備に努めるとともに, 自らの組織を総 をわかり 整し, 市民・企業や国・県等の関係機関と十分連携して,「協働」 という作業を通 じて, 人々 が住む都市の空間 やすく, 魅力あるものとするよう努力 していかなければならない. の創造を目標に現在 そのように, 都市自治体は様々な総合的な調整を通じて, 創意工夫を しながら, 望ましい都市空間 があるのである. 住んでいる市民の為に, そして次代の市民の為に誇りの持てる魅力ある都市空間をつくる責務 上主義及び機能 我が国の経済は技術革新に支えられた近代化を, 余りにも早い速度で実現 した‐ その間, 経済効率至 かになったが, 市民の日常 優先主義による巨大な都市化の波や, 人間及び情報の流動化により, 国土全体は経済的に豊 的環境や自然環境の 「 の生活を真に快適に暮らすことが出来るか杏かの鍵となる, 場」 としての都市空間は, 固有の歴史 破壊そして身近な生活環境の損壊ということを幾度となく経験した. 70.

(8) . 景観におけるアメニティ の諸問題. その結果, 地域の生活に馴染んだ然る べき都市空間は, 地域の文化・伝統・生活等と 離れた魅力のない画一化した 「場」 となったように思われる しかし都市はその間 何もしないで手をこまねいていた訳ではなく 単調さや画一化 ‐ , , から脱却しようと努力したが, 逆に不幸にも不調和な秩序なき多様性を招いた‐ 「働くところ・住むとこ ろ・憩うとこ ろ」 であるはずの都市は, 本来の目的とするトータルな生活を作り出す空間としてではなく 謬着化した様相を示して , しま っ た の であ る.. そのことの反省として, 人々は自然・歴史的環境の保全などを通して荒廃空間の回復に努力するとともに 都市の快 , 適さや美しさに関心を強く持ちはじめた‐ ここに 「住む人々が長い時間をかけて創りあげた芸術品である 」 といわれる - 都市は, 都市景観の創造及び再生を基調として, 画一化や無秩序で性急な開発などのスプロールから抜け出し 望まし , い都市空間の魅力づくりにむかって積極的に取り組むことの重要性を見出した‐ 都市基盤整備は欧米先進国の水準と比較すると, いまだ十分なレベルに達してはいないが 国民所得水準の上昇・平 , 準化及び余暇の増大を背景に, 人々は高次元の豊かさを追求するようになってきた‐ 生活様式や市民意識が多様化して きた中, 人々の都市環境及び都市施設などのストックに対しての選択肢 は 機能性・効率性という経済的な効率よりも , 精神的・文化的という質的充足へと価値観の転換が図られてきたと考えられる‐ 人々は快適な生活環境のもとで, 定住したいと思うようになってきている‐ 即ち 単に住むためだけに都市に集まっ , てくるのではなく, 生活を真に楽しむために, 地域と一体となった共同生活の実現を目指すようになってきているので あ る.. 未曽有の都市化時代を迎えた今日, 物質優先の経済的効果の場所として晒されるところではなく 都市自体が生活文 , 化をもつ生活の環境体であるといえる‐ 都市における都市空間は 市民や都市自治体など 都市にかかわる全ての関係 , , 者が個々に自律し, 相互に強調し, かつ 「協働」 すべき貴重なこころ優先の 「場」 なのである 「協働」 という運動の舞 ‐ 台である都市空 間においては, 都市は都市景観の形成の重要性を声高らかに叫び 物質とこころ 個と全体 市民と行 , , , 政との望ましい関係のもとに, 秩序と魅力ある都市空間を創造し かつ都市のアイ デンティ ティ を確立していくことが , 望 ま れ て いる‐. また都市空間のもつ無限の可能性を基礎に, 都市空間を都市のイメージづくり 都市の活性化 そして市民生活の快 , , 適な 「場」 にしていく必要がある‐ そのような都市空間を創造するには 選択性を踏まえた人間とそれを取り巻く環境 , との総合的・質的な良好関係である 「アメニティ (快適環境) 」 を拠所にした魅力づくり, 環境づくりを志向していかな ければならない‐ 市民の 「共生の場」 である都市空間においては, アメニティ を基調に主として視覚に訴えた 「協働 型都市景観の形 一 成を通 じて, 望ましい都市秩序を確立していくことが 都市共通の課題として強く要請されているからである , .. 6. アメニティ の欠如と創造 日本の経済力が向上し, 一人当たりGNPは一万五千四百 ドルに達し とうにアメリカを越えている 沖縄県は わ , . , が国では所得水準の最も低い県である‐ しかし それでもイギリス イタリアの国民所得を上回 ている 鹿児島県は , っ , . フランスより高く, カナダの水準にある. そして アメリカの水準は わが国では2 4 番目に位置する 福井県の水準 であ , , る. これ で県民所得が低いといえるだろうか. しかしわれわれには, フランスやアメリカより高い生活実感はない なぜだろう 日本の場合はフローに力を入れた ‐ ‐ 反面, 上水道・下水道, 住宅といった社会資本ストックが極めて劣っている ここが これからの各地方都市の政策課 ‐ , 題なのである‐ 豊かさの追求は, 高い所得よりも都市機能の整備など 高いストックの追求にあるのである , ‐ 都市に人々が集まり大きくなっていくのは,「集積の利益」 があるからだ とする意見がある また 交通 通信の発 , ‐ , , 達が都市に人 口を集め, 都市を大きくするという意見もある‐ しかし 人間が都市に集まるのは そのような理由から , , だけではない‐ 都市という人間の集合の場には 能力に応 じた 多様で快適な生活の機会があり その機会には選択の , , , 自由があるからである‐ 換言すれば, 個性を発揮する自由が尊重される空間が都市であり その条件が満たされるから , 人々が定着すると考える. ところで, わが国の都市化のテンポは非常に早い‐ これは今述べたように 都市での暮らしを求める価値思考やライ , 71.

(9) . 亀畑義彦・大森六郎 フスタイ ルの定着によるものと思うが, 情報化, 国際化等の社会変動の影響も大きく, 高度に広範囲に進展 している‐ 都市は今や, 人々の生活を支える都市サー ビスの生産・供給の拠点であり, 情報化・国際化のもとで, わが国の経済社 会を主導する活動拠点として, その重要性を高めている-- このような都市の牽引力となっているのか, 知識・情報そ して文化そのものである‐ 今まで機能性と経済性, そして 効率性が求められてきた都市も, 今日では快適な暮らしの活動拠点として, その再生が求められている‐ 生活の価値を 重視した都市づくりであり, 都市のアメニティ の創造である. 具体的には, 豊かな自然景観, 美しい緑や水際, そして 親しみの持てる街なみや賑わいの中で, 歴史や伝統, 芸術に触れながら生活のできる自由な環境で あり, 美意識を高 め, 知的興奮を覚える時空圏の創造である. そのための必要条件 は, 都市のアメニティ の向上である. あの都市に一度は住んで生活を してみたい, という気持ち を抱かせる, 魅力ある都市づくりである‐ 美観, 安全性, 健康性, 利便性, 文化性の向上を目指した, 都市の快適性を 追求することである. そして十分条件として, 各々の地方都市が, 自らの歴史的伝統や地方文化を継承発展させ, それ ぞれの個性と都市文化を競い合うことが, これからの都市には必要なのである‐ 都市の個性とか, アイデンティ ティ といわれるものがいかなるものであれ, それが強ければ強いほど, また鮮烈であ パ り魅力的であればあるほ ど, 情報化社会でいう都市の情報発信力は大きくなる‐ よく取り上げられる例ではあるが, リ のフ ァ ッ シ ョ ン は, フ ァ ッ シ ョ ン デ ザイ ナ ー の力 の み に よ る 情 報 発 信力 が 大 き い の で は な く, 芸 術 文 化 の 都 と して. の, 歴史的蓄積の上にできあがった都市の個性と結 びついて, はじめてその偉大さを発揮しているのである. その意味では, 都市のアメニティ の創造は, 都市の個性の高揚にあり, それが都市戦略の上でも重要な柱となるので ある. 魅力ある都市づくりは時間のかかるものである. 歴史的な蓄積と生活の価値を重視しながら, 繰り返し繰り返し さまざまな改造の手を加えいいく ことで, 都市の活力, 都市の快適性が維持されるのである‐ わが国で都市のアメニティ が注目されるようになったのは昭和52年, OBCDの環境委員会が, 日本の環境政策のレ ビューを行った際に, アメニティ の欠如を激しく指摘したことが大きな機縁となっている‐ それを要約すると次のよう に な る‐. 日本は公害を防除し, 汚染を減少する戦いには勝利を収めた‐ しかし環境に対する不満を減少させるにはいたってい 「 ない‐ それは, 公害を増大させず, また今も収えているという努力に対してではなく, 環境の質の低下」 に対してであ 「 る. 環境の質の低下 は, 人間生活の質の豊かさをもたらす 「静けさ」 「美しさ」 プライ バ シー」, すなわちアメニティ の 欠如である, と.. 「 「 こ の O E CD の レ ビュ ー と 前 後 して, わ が 国 に お い て は 昭和50年 度の 環 境 白書」 に お い て 生 活 の 快 適 さ」 と い う. 2年度の 「環境白書」 では, 人々の精神的豊かさを保証し, 地域文化の向上を図 表現がはじめて使われた‐ さらに昭和5 るうえで,「生活の質」 は重要な役割を有するものであり, 都市景観, 歴史的環境だけでなく, 広く人間生活の快適さを 阻害する感覚的な面での不快さのない状態, として表現され, 次第に都市のアメ ニティ の重要性 が認識 されるように な っ た, と い え よ う‐. そしてこれまでの経済性, 機能性, 効率性のみに着目した都市づくりの反省のもとで, 都市の美や街なみ景観への個 性的で意欲的な取り組みや, 安全性, 圏構成, 利便性, 文化性の向上を目指した快適性の追求が, 各地方自治体を中心 に取り組まれるようになってきている‐ 最近の街なみ景観に対する市民の関心の高まりの背景には, 個性的な造形美も 含めて, 都市の文化水準の現れとして捉えているところにある‐ そのため, つくられた空間は市民の精神的価値を満た すものでなくはならず, そこには美 しさと静けさ, そして親しみやすさが存在しなくてはならないのである. 都市のアメニティ に関してとくに注目したいのは, 都心機能である‐ 都心部は, あらゆる選択が可能で高密度な空間 でなくて はならず, 街の秘めるさまざまな機能を, ある程度の範囲で発揮できる空間でなくてはならない‐ そのため, とくに高次都市施設の立地は, 市民の安全性や利便性等を考慮して, できるだけ分散的ではなく, 集積の魅力を増す施 設の立地が望まれる. 都心部は美 しさと楽しさがなくてはならず, 市民の憩いの場と しての健康性と文化性がなくては な らな い‐. 72.

(10) . 景観におけるアメニティ の諸問題. 7‐ 問題意識をもつ 都市は生きものといわれるように, まちの様相が日一日と変わってゆく. その変化が好ましい形か 好ましくない形 , か, 変わることは時代の変化でやむをえないと気にかけない市民もいる‐ しかし,1 0年後20年後の将来のまちの姿を付託されているのは, 明らかに直接都市の行政に携わる自治体であるとい わざるをえない- とはいってもなにが好ま しいか, 好ましくないか こと景観については主観によりそれぞれ価値判断 , が異なるものだけに, むずかしい側面をもつ. とくに経済の理論が介入すると ますます厄介になる この課題の解決 , . 策として考えられるのはまず郷土 (まち) の理解である. 自然環境, 歴史性, 気候風土等その都市のもっている優れた魅力 いわゆるアイデンティ ティ について 市民と行政 , , が共通の認識に立つことが必要であり, そのことによって景観についての問題意識が生まれ 理解がえやすくなる 存 , . 在自分の住んでいるまちについて満足していながら, なにが住みやすい要素にな っ ているか気づかずにい る市民が多 い‐ 行政 はいろ い ろ なメ ディ ア を 使 っ て ま ち の 良 さ 優 れ て いる 要 素 を P R して そ の ま ち の 持 て い る アイ デ ンテ , っ ィ ,. ティ を市民のものにする努力が必要ではないかと考える‐ そのためには現代の工業社会のパラ ダイムからの大転換を図ることや いかにして都市空間に文化を生み出すかとい , うことが重要なことである‐ 文化は日々の日常性から生まれ 育まれるものである 人々が個性的で魅力的な文化に対 , ‐ して誇りをもっと同様に, 個性的で魅力的な空間に対しても誇りをもてるような 土壌やシステムを整備することが必 , 要 である‐ つ ま り, 人 々 が 地 域 に 誇 り と 愛 着 の あ る 「我 が ま ち ・ 我 が ふ る さ と」 を い か に して 創 出 して いく か と いう こと が 大 切. である‐ 都市空間には, 単に物的な審美的配慮だけでなく精神的側面も尊重された生活空間が装置されていなければ , 無味乾燥な絵画的にだけ美しい空間となり, 生活感や存在感のないスタティックな空間となってしまう . 今日望まれる都市空間は, 地域を創りあげている文脈の理解を基礎に 個々の景観的な魅 力ようそが活性 化 しなが , ら, 全体としての空間も変化を伴いながら秩序ある活性化に向かう空間である 即ち 異質なものの存在を容認したダ ‐ , イナミックな都市空間が今日求められているの である.そのような都市空 間の創造を目指して 都市は自然や歴史的景観 , 等の原風景の共有化を背景にして,都市空間における様々な主体の組み合わせや調整を実践していかなければならない . 21世紀の都市には, 高齢化, 国際化, 技術革新又は情報化という潮流が現在以上に強く迫ってくることが明らかであ る‐ それと並行して, 所得水準の向上や余暇の活用などと 社会情勢や経済情勢の変化を基調に した市民の 価値観や , ニーズの多様化がより進んでくるであろう‐ そのように 都市化の波が大きく打ち寄せてくると予想されるながて 都 , , 市は行政需要の量的, 質的な変化に対応しながら市民生活の向上を図るため 魅力的な都市づくりを進めていかなけれ , ばな らな い‐. こうした動向を踏まえながら, 都市にはこれからの都市づくりの重要な課題として 市民生活に視座を置いた快適で , 個性的な魅力ある都市空間の創造が望まれる‐ 都市は その課題の主たる領域視座を置いた快適で個性的な魅力ある都 , 市空間の創造が望まれる. 都市は, その課題の主たる 領域を担う 「都市景観」 行政においてアメ ニテ の保全及び創出 ィ を基礎に, 都市空間を, 市民と行政の 「協働」 の舞台として 市民意識の高揚を図りながら市民の市政への積極的な参 , 加を推進していく責務がある. 21世紀に向けて 自律した魅力ある都市づくり及び望ましい都市像の実現は 「都市景 , , 観」 行政が重要な鍵を握っているのである.. 8. 都市の個性 (アイデンティ ティ の明確化). ”いかに快適な街をつくるか” これが どの地方都市 にとっても基本となる命題 である.「私は00市の出身です」 と , いうことを住民が誇りを持って言える都市をつくる それが長期的にはその都市の繁栄に繋がるはず である ‐ ‐ これまでの街づくりは, 全国画一的な行政のもとで地方のアイ デンティ ティ を犠牲にして 近代化に向けて突 走 っ っ , てきた‐ その結果, どの都市も個性のない 楽しさのないマチになってしまった そのため 高度化 多様化する市民 , . , , のニーズに応える場がない‐ 市民が豊かさを実感できない理由はそこにある 市民が自らの都市に対するアイデンテ . ィ テ ィ を, 失 っ て しま っ た か ら で ある‐ そ れ で は 都 市 の アイ デ ンテ ィ ティ を 確 率 す る に は どう す れ ばよ い か , . 73.

(11) . 亀畑義彦・大森六郎 第一は, 都市の顔である都心を回避性のある魅力的なハレの場とすることである. 都心は市役所や金融機関を中心と したオフィ ス街があり, 高次の商業機能, 文化機能, 娯楽機能な ども集積した都心である. 市民の日常的な活動の中心 でもあり, 若者や女性などが集うハレの舞台でもある‐ しかし, 地方都市の都心は, これらの機能が分散的に配置されている場合が多い, それが, 都心としての魅力, 吸引 ′魅力的な都心を形成するためには 力の結集が必要である‐ その意味では, 市役所や 力 を 弱く して いる よ う に 思 える‐ , 文化施設, 図書館, コソペ ンションセンターな ど, 公的な施設の立地が果たす役割は大きい. 政治的な問題や土地問題 から, これらの施設が分散的に配置される場合が多いが, 魅力ある都心を形成するために, もっ と戦略的に立地を考え る べ き である‐. ど ー i 第二は, 都市らしさを構成する資源の積極的な活用である. 山,ノ , 海などの自然, 城, 神社仏閣, 芸能, 祭りな 歴史的資産, 或いは, 市民の好きな場所, 客を案内する場所等繰り返し, 都市らしさを構成するようそは数多くあるは ずである. これらを単に保護, 保全するのではなく, 街なみ形成に積極的に利用し, コミ ュニティ 活動や文化活動の一 環として取り込んでいくことにより, 市民の地域への理解を深めていくことである. 地方へのアイ デンティ ティ は, こ うした中から醸成されていく はずである‐ 市民にとって, “快適な街をつくる” ことは, 地方都市が各々の特性を生かした秩序ある街なみを形成することであ “ ” り, それが, 地方のアイ デンティ ティ を明確にする第一歩である. そのためには, 生活の中心になる へそ つまり, 都心をいかに魅力あるものにするかということ, そして, 街づくりと地方の活動をいかに結び付けていくかにある‐. 9. ワークスタイルの転換 「生 活 の 質」 の ソ フ トな 側 面 の 課 題 も ある. た と え ば 人々 の 働 き 方 で あ る‐ ゆ と りも な く, た だ モ ー レツ に 働く とい う ワー ク ス タイ ル は, 当 人 に と っ て も 快 適 で はな いだ ろ う が, な に よ り も, そ う した 努力 が ビジネ ス の 上 でも た い した. 成果をもたらさなくなるのではないか. 仕事を楽しまず, 労働を苦役と感じて, ただただ必死に働いても, そこからは 人々を楽 しませたり, 喜ばせたりする新しい商品や ビジネスが生まれてくるとは思えない‐ 時代の要請に合った想像的 な成果を生み, ビジネスの活性化を図るためにも, ワークスタイルの転換が求められているといえる. 東京のような巨大都市における典型的なワーク・シーンとしては, 最新鋭の情報機器の備 わ っ た超高層 のイ ンテリ ジェ ント・ ピルの光景がイメージされる‐ 最も創造的な付加価値の高い仕事には, そのようなシーンこそ相応しいと思 われがちだ‐ しかし, 地域の現場に降り立ってみると, もっと多彩な可能性が見えてくる‐ そしてそのような可能性を 切り拓く努力も始まっている‐ ワークスタイ ルの転換や模索は欧米諸国でも以前から始まっている‐ 自由時間行政やリ ゾート開発もその一環といえ よう. 日本でも, 従業員に半 ば強制的に長期休暇を取らせる企業が不えているが, 休暇を与えられた当人たちが戸惑っ ているな ど, ワークスタイルの転換は, まだまだぎこちない‐ しかし, 世代交代の進む中で, 従来と違った新しいワー クスタイルが定着していくことはまず間違いない‐ もっとも, そこには勤労者の階層分化, 外国人労働者の参入といっ た新しい問題が生じてくることもたしかではある が‐ とも か く, これ ま での アメ ニ ティ な き ビジネ ス 文 明 は 次 第 に 限 界 に 近 づ い て い る‐ ビジネ ス を 担 っ て い る 人 々 自身の. 働き方や暮ら し振りが活性化するためにも, アメニティ を担った ビジネス文明の追求が必要になっている. これはひと り東京国にとどまらず, 地方国においてもいえることである‐ むしろ, 有能な人材が地方国に定住して, 地域の活性化 に寄 与す る た め に は, 東 京 国 に も ま して, アメ ニ テ ィ は, ビジネ ス の 必 須 条 件 に な っ て い る と い え る か も しれ な い.. これまで中央と同じ志向を続けてきた地方の在り方そのものが問題視されね ばならない‐ 国民の所得水準の上昇は, 人々の欲求あるいは価値観の変化を導き, 物よりもサー ビスの需要を高めた‐ 人々は精神的充足間を求め, 豊かな自然 のある, 住みよい, 文化の香るまちに住みたいという希望をつのらせている‐ 大都市は自然を喪失 し, 住宅費を高騰さ せ, 無駄な情報の洪水と, ぎすぎす した競争的な人間関係の下で, 人々を疲れさせる. 緊張を強いる創造的な仕事に従 事する人々に必要な自然の中での, 広い住宅での, ゆったりとした休養や楽しみを奪っている. 反面, 地方都市の魅力が見直されるようになった‐ 住みよさ暮らしやすさでは, 地方都市が優位に立っている. この 比較優位を活かして, 地方都市や農村が地域の魅力をいっそう高めるなら, 大都市から人材や人々を地方にひきつけ, 74.

(12) . 景観におけるアメニティ の諸問題. 地域の発展を導くことができるに違いない‐ 地域自立の精神的なバックボーンとなるのは地方文化である‐ 生活の流儀 歴史・伝統 習慣 言語 味覚 祭り , , , , , , 自然環境などが総合的に醸し出す, 他の地方には模倣できないものが その他方の文化である 地方文化の中心は歴史 , ‐ や伝統, 風俗・習慣などその地方の風土に根ざした生活の中から生まれ それが市民のアイデンテ テ とな て根付 ィ ィ っ , いていくものである. 従って, 地方を醸成し伝承していくには 草の根的な活動こそ重要と考えられる とくに地方文 , ‐ 化の基盤といえる街なみや景観について, 地方らしさの追求こそ もっとも必要な活動の一つである , . 今の地方都市には, かつてのような様式の統一はなく, 街なみや景観にもそれを規律する秩序がない どこの都市も , 特徴のない街なみや景観となっている‐ 地方都市は自らの歴史や伝統的中地判断に立って もっ と地方らしさを追求す , べきである‐ また地方固有の素材 技術などを大切にすべきである 地方らしさの追求による街なみや景観の具現化こ , ‐ そ, 地方文化の基盤となる‐ 地方都市において文化開館に代表される箱モノの文化づくりから 近年は特徴ある美術館 博物館 音楽堂の建設 , , , , 一流アーティ ストの演奏会, 国際会議の誘致などソフト面にも力点をおいた活動が盛んである とかく批判もあるが ‐ , 地方都市の美術館による世界名 画の収集は, 地方の市民にとってまことに意義深いことである それは最高の芸術に接 ‐ することにより市民の情操を育み, 美術や芸術に対する関心を高めるであろうし 国境や言語の壁を越えて 心と心を , , 結びつける芸術文化の素晴らしさを地方の人々は理解することだろう また全国的な芸術文化への関心の高まりが地方 ‐ への客の流動化を進め, 地域経済の活性化に寄与するかもしれない‐ ただ, これだけで終わっては地方文化の醸成にとってあまり効果的ではない このよう話題性のある活動を契機に ‐ , その地方の文化に対しても火と鰭との目を向けさせることが重要なのである 地方文化は その地方の個性の追求にこ ‐ , そ意義がある‐ いたずらに名声を追いかけ,地域間競争に走ってはそれこそ “仏作って醜いれず” に終わ てしまう っ , ‐ 都市における空間は, 都市で生まれ都市で育つ多くの市民の生きる場である その確立にむけては 市民の立場から . , 意見, 要望, 参画していくことが望まれる‐ そのような空間づくりの向けての様々な主体間の調整プロセス及びその連 続した取り組が, 市民と自然と社会と結合した全体としての望ましい秩序空間の創造につなが ていくと考えられる っ . つまり, 都市空間の魅力づくりは市民 (企業を含む) と都市自治体が 個々にバラバラに関わるのではなく 「協働 , 」 , を通じた自立した個性ある都市の創出を目標に 都市が都市自身のために主体的に取り組むことが今日望稀ているの で , ある. 都市の空間は, 人々がそれぞれの地域・場所における都市生活を より快適に暮らせるような空間であることが , 望ましい‐ そのような空間の創出に大きく関わってくる都市景観の形成は 決してうわべの化粧なおし的なことではな , くて, 環境づくりの必須条件として, 本腰を入れて取り組む必要がある . 快適な都市の生活空間の創造に向けて心がけるべきことは 他都市の成功事例を岨噌しないでそのまま導入すること , は極力避け, その都市空間づくりの重要な領域を担っている景観行政は その地域の文化及び生活を包括した環境の視 , 覚的表現であるので, その形成のプロセスには 市民コンセンサスと参加が不可欠の要素である そのためには 望ま , . , しい地域秩序の確立にむけての総合的な都市空間づくりを 市民 (企業を含む) と都市自治体が 「協働 して , 」 , 積極的 に取り組むことが必要である.. 10 . まとめ (ABC戦略) 以上のような状況を見ていると, これからの地域文を考える 上で 是非とも踏まえておきたい基本的にABCが はっ , き り してく る‐ こ こに い う AB C と は ア ル フ ァ ベ ト の は じめ の よ う な 物 事 の 基 本 と い う 程 ッ 度 の 意 味 である‐ と 同 , , 時 に次 の よ う な 内容 の 頭 文 字 を も 表 して い る 即 ち A と は アメ ニ テ i t i ‐ ィ (Amen y), B は ビジネ ス (Bus ness), そ して C は カ ル チ ャ ー (Cuu tur ) の こ と であ る‐ した が っ て, 地 域 文 化 の AB C と は こ の : つの 要 素 を 総合 した 観 点ある e ,. いは戦略が基本になるべきであろう‐ そこで, アメニティ についてであるが これは一般に 「快適環境」 とか 「住み心地の良さ などと解されている , 」 ‐ま た広義には 「生活の質」 とか 「成熟した生活文化」 という意味合いも込められている 我が国でも10年ほど前から 行政 ‐ 施策の中にさまざまな形で登場し モデル事業なども行われており 概念としては 一応浸透したと考えられる , , , . 具体例を挙げるまでもなく, 東京のビジネス社会で働く人たちは このアメニティ の欠如を日々の生活の中で嫌とい , 75.

(13) . 亀畑義彦・大森六郎 うほど痛感 しているはずだ‐ 高い地価や家賃に圧迫されている住宅事情, 長くなる通勤時間, ストレスのたまる職場, 「 せざ 緑や潤いの乏しい町並みというように, 旺盛な ビジネス活動にはそ ぐわない, いまなお貧しい 生活の質」 を実感 るを得ない‐ これからも努力を続けていけ ば, 都 たしかに, 環境整備の面では, 徐々ではあるが改善の兆しが見えはじめている.. が する 市景観は見違えるようになるだろう. ただし, 新しい問題も生じてくる. たとえ ば近年のような地価 異常に高騰 が生まれてくる と, アメニティ を享受するコス トも高く なる‐ 階層分化の進行に伴って, 人々の間にいっそう不公平感 ‘ 限れもある. されている と こ の よ うにアメ ニ テ ィ な き ビジネ ス の 文 明 を 軸 と して, カ ル チ ャ ー な き 地 域活 性 化 の 競 争 が 激 しく 展 開. より世界 いうのが, 日本列島の現在だ‐ その回転運動は, ますます強大になり, その影響力をアジアの近接諸国はもと このような ビジ 中に及ぼしている‐ しかし当の大都市圏に住む人々や地方市民は, どこか空回りの気配を感じて いる‐ ネスの隆盛が, そのまま地域の豊かさや暮らしの豊かさにつながるものではないと思いはじめているのだ‐ 要するに, 自分たちの地域の暮らしに, 豊かさの実感を持てなくなっているのではないだろうか‐ 燃える 文化との関係にしても, 同様であろう‐ 経済の豊かさが直ちに新しい は発明や発見に結実するわけではない. させ ような好奇心とハングリー精神をなえさせることなく (それこそ文化活動の源泉であろう), 経済活力を保ち, 発展 当然, 経済固 るにはそれなりの社会的工夫が必要なのである. 私たちが, 産業振興を語り, 産業政策を工夫するとき, 域で生活を 有の論理と倫理にしたがって, そのシナリオを描かなければならないが, そのめざすべき目的は, 都市と地 営む人々の “幸せ” の追求であることに改めて留意したいと思う. 最も幸せの概念ほ ど定義しにくいものはない‐ 幸せは人によって異なり, 時代によって異なるわけで, せいぜい”生 ” “ 活の質の向上” とか, “生活の魅力化” とか, 古典哲学風にいえ ば 新たな地平をもたらす人間的諸活動の全面展開 べき とでもいうべきかも知れない. 産業と生活・文化の関係は, それほ ど単純なものではなく, その相関係数ともいう “ ” ものの発見 (発明) は, 産業政策の常に念頭におくべき 命題 であることを確認しておきたい. (教授・旭川 校, 教育学研究科修士課程・旭川校). 参考文献一覧 日本経済新聞社. 誠一, 安東 誠一,. 1986‐. 「地方の経済学」. 1991.. 「地域経済改革の視点」. 中央経済社. 善市, 伊藤 善市, 編. 1988‐. 「東京と地方--四全総でなにが変わるか」. 中央経済社. 1980.. 「経済の変動所収--社会資本の日本的特質」. 朝倉書店. 勝, 直行, 編. 1982‐. 日本経済新聞社. 1987.. 「テクノ ポリス構想の今日的意--産業立地」 「都市 デザイ ンと空間演出」. 陽一, 編 譲, 編. 1988‐. 「都市再生のパラ ダイス--J. W‐ ラウスの軌跡」. PARKO出版. 1990‐. 「地域活性化と地域経営」. 札幌学院大学編. 1992‐. 編. 1991‐. 「北海道の村おこし町おこし」 「自治体と水・土地・資源」. 編. 1991.. 安東. 伊藤. 金子 国吉 窪田 塩見. 高橋 祐, 田村 明, 明, 西岡 久雄,. 1983‐. 日本都市センター, 日本都市センター,. 1987‐. 田村. 1982. 1989‐. 日本地域開発センター, 1981‐ 横路 孝弘,. 1987.. 札幌学院大学評論, 自治体学研究, 地方自治職員研修,. 1990‐. 学陽書房. 札学院大人文学部 学陽書房 学陽書房. 「自治体の政策形成」 「都市ヨコハマをつくる」. 中公新書. 「テクノポリス構想と企業立地の展開 「景観行政のすすめ」. 運輸と経済」 日本都市センター 日本都市センター. 「都市主導の時代」 「地方都市の再生」. 日本地域開発センター. 東洋経済新報社. 「北 こ そ フ ロ ンテ ィ ア」. 月. 刊. 1988‐. 4月, 7月,12月 1月, 4月, 5月, 7月. 1991‐. 2月 10月,11月,1. 地方自治の窓,. 1991.. 都市問題研究,. 1993‐. 1月, 7月 3月, 4月, 6月. 三田学会,. 1965.. 慶応義塾経済学会. 76. 学腸書房. 誌 その他 一一一.

(14)

参照

関連したドキュメント

うのも、それは現物を直接に示すことによってしか説明できないタイプの概念である上に、その現物というのが、

成される観念であり,デカルトは感覚を最初に排除していたために,神の観念が外来的観

被祝賀者エーラーはへその箸『違法行為における客観的目的要素』二九五九年)において主観的正当化要素の問題をも論じ、その内容についての有益な熟考を含んでいる。もっとも、彼の議論はシュペンデルに近

  「教育とは,発達しつつある個人のなかに  主観的な文化を展開させようとする文化活動

これらの定義でも分かるように, Impairment に関しては解剖学的または生理学的な異常 としてほぼ続一されているが, disability と

世界的流行である以上、何をもって感染終息と判断するのか、現時点では予測がつかないと思われます。時限的、特例的措置とされても、かなりの長期間にわたり

「1 建設分野の課題と BIM/CIM」では、建設分野を取り巻く課題や BIM/CIM を行う理由等 の社会的背景や社会的要求を学習する。「2

の総体と言える。事例の客観的な情報とは、事例に関わる人の感性によって多様な色付けが行われ