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寝たきりの脳性まひ児における空間知覚の異方性

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(1)Title. 寝たきりの脳性まひ児における空間知覚の異方性. Author(s). 上谷, 宣正. Citation. 北海道教育大学紀要. 第一部. C, 教育科学編, 30(1): 189-195. Issue Date. 1979-09. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/4788. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) . 寝たきりの脳性まひ児における空間知覚の異方性. 上. 谷. 工. 1. 宣. 正. はじめに. 脳 性ま ひ. 972)4は, 「出生前, 周産期およ び出生後早期における未成熟な脳の欠陥または 脳性まひを林 (1 損傷による脳機能不全によっ て生じた運動およ び姿勢の障害である,」と定義している. 脳性まひの 障害の程度は様々 である. 軽度のものは, 健常者と互して日常生活を営ん でいける. しかし重度の ものは, 生涯一般社会に出て生活することはできない. 一生寝た きり で, 食事をするにも, 排せつ するにも他人の手を必要とするものも いる. このように, 重度でしかも寝たきりの生活を送っ てい る脳性まひ児の空間知覚世界は, どのようになっ ているのだろうか, 乳 児期は寝たきり であるが, 年令とともに座り・立ち・歩き・走り・跳ぶことができるよう になっ ていく健常児の空間知覚世界 とは, かなり異なっているだろうことが予想される, 過去この分野を調べた研究はほとんどない. 寝たきりで重度な脳性まひ児の空間知覚世界を探るには, 多くの困難があるからであろう. 脳性まひは, 脳障害の 一種 であるから, 言語障害を伴っ ているもの がほとん どである. しかも その障害の程度は重度であることが多い, そのため言語反応を必要とする実験計画は組めない, さ らに知覚障害も予想されるため, 知能と相関の高い実験刺激は利用できない, その他注意の持続時 ) こ う して み て く る と 間が短いことや, 範囲が狭いことも考慮しなくてはならない(Kea t sl973)6 , , 実験刺激として利用 できる材料は限られてくる, 錯視はこうした条件に最も適合する材料の一つの ように思われる. 2. 錯. 視. 錯視といわれる現象は, 特別の現象ではなく, 日常の知覚のかなりの部分で起っ ている, 我々の 目は写真機のように, 外界の物理的刺激を客観的に, もれなく写しとっ てはいないためである, 思 い 違 い や 見間 違 い で起 っ て い る の では な い. 錯 視 の 大 き さ は, 人 に よ っ て 差 は あ る け れ ど, だれ も. が知覚する現象である, この現象は古くから知られており, 心理学が出発した時点から, 心理学者の興味を引きつけてき た.19世紀後半から2 0世紀の初頭にかけて, 彼等は競っ て数多くの, 幾何学的錯視図形といわれる 一 群の図形を案出した. この図形は錯視を特に強く引き起す この時代 「幾何学的錯視は空間知覚 . の珍奇な現象, 特殊な問題として興味が持たれ研究さ れたが, 現代では, 空間知覚の単なる特殊問 題 ではなく, 空間知覚全般を解明するための手がかりを与えるものとして研究されている 」(今井 , ) 省吾)5 幾何学的錯視図形には, どのようなものがあり, それらはどのように分類されているか, 小笠原 189.

(3) . 上. 谷. 宵. 正. )の分類を以下に示す 957)9 (1 , 1) 方向錯視. ツ ェ ルナーの錯視, ヴン トの錯視, ヘリン グの錯視, ポゲン ドルフの錯視, ヘー フ ナ ーの 錯視. オッペ ルの錯視, ヘルムホルツの錯視 ヴントの角度錯視, エビン グハウ スの 錯視, デルボイフの錯視 同心円錯視, ザンデルの 錯視, ミュラー・リエルの錯視. 2) 分割距離錯視 3) 対比錯視 4) 同化錯視. 5) 視野の位置による錯視. ヘルムホルツのチェ ス盤, 垂直水平錯視. 6) 輪郭線の錯視. 7) 遠近法的錯視 8) 特殊な形とその空間配置による錯視. ジャ ストローの錯視, ポン ヅの錯視. これらたくさん の幾何学的錯視の中 で, 生れてから今日ま で寝たきりの人間と, 座り・立ち・歩 き ,走ることができるように なってきた人間の, 空間知覚世界の違いを探る道具として, 役立ちう るものはいくつか あるが, そのうち重 度の言語障害を伴っ たものにも適応でき, 知能にもあまり相 関がなく, 刺激布置が単純で, 複雑な思考や判断を要求しないで, しかも短時間で実験 が終了 でき るものとなれば, その数は限られる, 垂直水平錯視図形は, これらの条件に最 も適合するように 思 われる. この錯視図形は, 垂直線と水平線の2本の線のみから構成されている, 刺激布置が非常に 単純である, そのため 「はい」 あるいは 「いいえ」 といった簡単な言語反応だけ で実験を組むこと ができる. 場合によっ ては言語反応は一切使わない で, 頭を動かすとか, 目を閉じるといっ たサイ. i ter s ン で す ま せ る こ と も で き る, 知 能 と も 今 ま で の と こ ろ あ ま り 相 関 は み ら れ て い な い (Wa. 4 } さらに実験法を工夫すれば非常に短時間で実験を終了 できる, l 972)1 . 3. 垂直水平錯視の研究歴史. i 851 ) ck(1 垂直水平錯視の存在はかなり以前から知られていたが,最初に実験的に検 証したのは F だといわれている. 彼は暗い背景の中の明るい正方形は, 縦方向に長く 見えることを発見した (F. } そ の 後 い ろ い ろ な 研 究 者 が L字 形 逆 T 字 形 な どに つ い て 同 じ よう に l tl947)1 mgerandSpe , , , ,. 垂直線が, 同じ長さの水平線より長く 見えることを見出し, それについて説明を試みた. 1 )は 子 ども と お と な の 錯 視 量 を 比較 し て お と な の 方 が 子 ど も よ り 錯 視 量 が わ Rivers(1905)1 , , ,. ずかではあるが少ないことを発見した. さらに彼は文化と錯視量との関係について調査し, イ ギリ ス人よりも ドー ダ島民や パプア人は, 錯視量が大であったと報告している. 5 )は 5 才 か ら 9才ま での被験者を用いて実験し 5才から1 i Wa ters(1942) 1 7才ま では年令と , , ともに錯視量は減少するが,1 7才から19才ま では年令とともに増大する. 女性より男性の方がどの 年令群においても, 錯視量は大である, 3年後の追試実験の結果 では, 最年少 グルー プを除いて, 錯視量は減少したと報告している,. 3 }は 一 本 の 線 を 水 平 位 置 か ら だ ん だ ん と 垂 直 位 置 ま で起 し て い っ た 時 そ の l Sh ip ey (1947)1 , , ,. 線の長さは どう判断されるか調べた. その結果, 水平位置から60度までは, だんだん長く判断して いく が, 60度を超すと再びだんだん短く判断するということがわかっ た. Finger ら(1 947)りは, それま でL字図形も, 逆T字図形も同じように, 垂直水平錯視研究の刺激 図形として用いてきたが, 逆T字図形には, 垂直水平錯視の因子だけ でなく, 分割錯視の因子も働 い て い る こ と を 明 ら か に し た. )は Finger らの研究を発展させて T図形と ↓ 図形においては 垂直線の水 Kunnapas(1955)7 , , ,. 平線に対する過大視量は全く同じで, その大きさは, 垂直水平錯視と分割錯視を加えたものに等し .

(4) . 寝たきりの脳性まひ児における空間知覚の異方性. い, ト図形と一図形における水平線の垂直線に対する過大視量は, やはり全く同じで, その大きさ は, 分割錯視から垂直水平錯視を減じたものに等しい. L字図形と逆T字図形の垂直額の水平 線に 対する錯視量は, 逆T字図形の方がL字図形より大 で, その差は分割錯視の量に等しい 逆T字図 , 形の垂直線の位置を, 水平線の中央部から両端に向けて移動させていくと 分割錯視量は 直線的 , , に少なくなり, 両端では, 垂直水平錯視量だけになることを見出した, )は 刺激図形を呈示する台紙というわく組みを なくすることによ i さらにKt nnapa 957 )8 s(1 っ , , て, 垂直線の水平線に対する錯視量が小さくなることから, それまでの垂直水平錯視実験には わ , く組みの影響も加わっていたことを発 見した, )は L字図形の垂直線と水平線が 少し離れたA図形と 逆T図形のB図形 Fra isse ら ( 1 95 6)2 , , , とを用いて実験し, 短時間呈示と, 呈示時間に制限がない場合とでは, 錯視量は どう違うか 年令 , による差異はあるか, 学歴の違いによる差はあるかを調べた. 時間制限のない場合に は A図形に , おいて,6才から10才と年令が多くなると錯視量も増加する.B図形においては,年令の違いによっ て錯視量に差はみられない, 呈示時間は短い方が時間制 限がない場合より錯視量は大 である 性差 , については, 6才児群を除き, 男性の方が女性より錯視量は少ない 学歴の違いによ る錯視量の差 , 異は見出せないと報告している. 2 )は 逆T字図形の垂直線と水平線を両眼で同時に 見た場合と それぞれを右眼 Sh i l l e ら(1 96 2)1 , , と左眼で別々に見た場合について研究し, 呈示時間に制限がない場合には 見る条件の違いによる , 錯視量の変化はないが, 短時間呈示では, 右眼と左眼で垂直線と水平線を別々に見る ステレオ視の 条件の場合, 錯視量が少なくなることを見出した. 以上いく つかの論文を概観したが, まとめてみると, 次のようになる . 1) 年令と錯視量との関係は 未だはっ きりしない, 2) 錯視には, 民族差がある. 3) 逆T字図形には, 垂直水平錯視の 他に, 分割錯視も含まれている , 4) 性差と錯視量との関係ははっきりしない, 5) 錯視は, わく組みの影響を受ける. 6) 呈示時間を短くすると, 錯視量は大きくなる. 7) 学歴の違いによる錯視量の差はみられない. 垂直水平錯視の論文には, 2通りの研究方法があるようにみえる 1つは, 錯視そのも のの原因 . や因子を探るもので, 他の1つは, 錯視の発達的変化をとらえていくもの である. 両分野とも研究 間の結果の一致度は非常に低く, 明らかになった点が少ない. しかも最近は錯視の研究そのものが ほとん ど行われなくなった.. 1 1 1. 目. 実. 験. 的. 生れた時からずっ と寝たきりで, 自分の力では座ることも立つこともできない重度の脳性まひ児 と,乳児の時は寝たきり であっ ても,やがて座り・立ち・歩き・走り・跳ぶことができるようになっ てきた健常児との視空間知覚能力を比べ てみると, かなり異なっ ているだろうということが予想さ 0 )の 寝たきりの乳児は 垂直方向よりも水平方向を過大視する という実験 1る. 大野 (19 55 )1 , , , )の 目は見えても体の運動が伴わないと 視知覚は発達 しないという実験 ld ら( 青果 や, He 1963)3 , , 191.

(5) . 上. 谷 宣. 正. )の重度の脳性ま ひ児は, 健常児より, 垂直水平錯視量は小さいであろう, おそら 結果から, 寝たき1 く垂直方向より水平方向 を過大視するであろうという仮説がたてられる.この仮説を検証するため, 本実験は実験群と して, 生れた時から寝たきりの重度の脳性まひ児を, 比較群として, 自分の力で 座位あるいは立位が保持でき, 移動可能な脳性まひ児を, 実験刺激として, L字図形と逆T字図形 を用いて, 垂直水平錯視量の差異を調べる. 分割錯視の差異についても調べる. さらに過去の研究 結果と比べて, 健常 児と脳性まひ児との錯視量の差異についても調べる, 2. 手続き. 1) 被験者 実験群. 生れた時から寝たきりの重度の脳性まひ 児7名 (男5名, 女2名) ,2才, . 年令平均 13. SD2.13(9.2才 か ら 16.1 才)7 名 と も テ ン シ ョ ン ア テ トー ゼ タイ プ で自 分 では 座 位 を と る こ と は で. きない. 7名中4名は, 寝返りはかろう じてできる. 残り3名は, 寝返りもできない. 7名中4名 は, 重度の言語障害を伴っており, 意識的発声は, かなり できるが, 他人に理解 できるように発音 することは, ほとんどできない. 「はい」 のみは, だいたい聞きとれるように発音できる, 残り3名 の言語障害は軽く, 日常会話が十分に できる. 7名とも知能はかなり 良く, 大きい・小さい, 長い・ 短い, 上・下, 前・後ろなど正 しく反応できた. 生まひ児7名 (男7名) 比較群 自分の力 で座位あるいは, 立位が保持 でき, 移動可能な脳↑ , 年令 1名は松葉杖 8才) 2. 0才から13. 2. 9才 SDO.62(1 平均 1 , 7名中1名は補助具なしに独歩できる. できる. この で移動 歩行ができ, 1名は車椅子に乗っ て移動 できる. 残り4名は, ひ ざ立ちの姿勢 群の言語障害は軽く, 他人と日常会話がだいたいできる, 知能はかなり良く, 大きい・小さ い, 長 い ・ 短 い, 上 ・ 下, 前 ・ 後 ろ な どに 正 しく 反 応 でき た,. 図1-1. 図1-4. 図1-2. 図1ー3. 上. 」. 図1 - 5. 図1 刺激図形 192. 図1 ー6.

(6) . 寝たきりの= 尚性まひ児における空間知 覚の異方性. 2) 実験場所. 肢体不自由 児施設. 広島県立若草園重度棟. 昭和53年8月 24 日 から 27 日. 3) 実験期間 ・刺激図形 縦1 lomm 横 180 mm 厚 さ 2 mm 長方形・不透明白色 プラスチッ ク板2枚, 1枚 4) omm 横5 mm 厚さ 3 mm の プラ スチ ック棒をそれぞれ1本 には図ユー1のように, 両端に縦11 ずつはりつけ, もう1枚には図1-2のように, 上辺の中央部から 左右にそれぞれ50mm ずつ計 loomm 幅l mm の黒い線を描き 入れ,2枚 を重 ね合わせ た.縦 150mm 横 170mm 厚 さ 2 mm 不透明. 40mm 幅l mm の黒い縦線 白色プラ スチック板2枚. 1枚には図1-3のように, 中央部に長さ 1 4 0mm 幅l mm の黒 の所に長さ1 を描いた,もう1枚には図1-4のように,中央部から右50mm い縦 線 を 描 い た. こ れ ら 3つを用いて, 図1-5の逆T字図形および図1-6のL字図形を作るこ. とができる, 逆T字図形, L字図形ともに, 水平線の長さは loomm 一定で比較刺激になり, 垂直 線は実験刺激で, 長さは 40mm か ら 140mm まで変化できる. 両図形とも垂直線の物理的長さは, 刺 激図 形 の 裏 面 に 刻 み つ け た ス ケ ー ル に よ っ て, ミ リ メ ー ト ル 単 位 で読 み と る こ と が でき る,. 5) 実験手続き 実験は個別法でおこ なっ た, 刺激の呈示は極限法を用いた. Sを部 屋の明るい静か な場所に連れ て行き, 窓に背を向けるように位置させ た. 刺激図形はEが左手で保持した, 刺激図形が窓の方向 に向くように, しかもSの目の高さになるようにした, Sの目から刺 激図形までの距離は, だいた 0cm になるようにした. Eは右手で, 変化刺激を変化させたり, 指示したりした. い5 こ の 実 験 は 次 の 6 つ の 条 件 に つ い て お こ な っ た.. 条件A 条件B 条件C 条件D. 実験群に横臥の姿勢をとらせ, 逆T字図形を呈示. 実験群に座位姿勢(介助 人に後ろから保持してもらった)をとらせ, 逆T字図形を呈示. 比較群に座位姿勢をとらせ, 逆T字図形を呈示. 実験群に横臥の姿勢をとらせ, L字図形を呈示.. 実験群に座位姿勢をとらせ, L字図形を呈示, 条件F 比較群に座位姿勢をとらせ, L字図形を呈示. 0回ずつ計20回おこなっ た. 上昇系 試行は1人につき 各条件で, 上昇系列, 下降系列それぞれ 1 列において, 垂直線の長さが, 水平線の長さより十分短い長さにして刺激図形をSに 呈示し,「ここ に縦の線と横の線がありますね,」 といっ て刺激図形の垂直線と水平線をEが右手で指示し, 「横の 線と縦の線とどちらが長い ですか. 横の線の方が長いですね, これから少しずつ縦の 線が長くなっ ていきますから, よく 見ていて横の 線と同じ長さになっ たら『はい』 といっ てください,」 と教示し た. 下降系列についてもこれに準じた教示をした, 各条件は互にカウンター バランスした. 条件E. 3. 結果と考察. S が脳性まひ児であるので, この実験データの信頼性を折半法を用いて検討した. 各々の条件に. ついて, 各個人のデータを前半分 (上昇系列5回i 下降系列5回) と後半分 (上昇系列5回, 下降 ‐ 系列5回) に 分け, そ れ ぞれを平均 し, 前半分と 後半 分の個 人間 の 相関 を求め, その 値に SP た 全て B を求めた 頼性係数r その結果は表1のようにな earman rawn の公式を当てはめて信 っ , x , の条件において股は0,8以上であるので, この実験データは信頼性が十分あるといえる, 条件別に錯視量(水平線と同じ長さと判断した垂直線の物理的長さ)と SD および錯視率(錯視 量 00 /水平線の長さ×1 ) を表2に示した. この表で条件Aと条件B, 条件Dと条件Eの錯視 量をそれ 193.

(7) . 上. 表1. 信 件. 条 A. 頼. 7. 正. 表2 各条件別錯視量・SDおよび錯視率. 性. 人 数. 谷 宣. 条 件. 錯 視 量. SD. 錯視率. 0.805. A. 7,2. 0.63. 28. r. r x. 0.674. B. 7. 0.868. 0.930. B. 7.2. 0.41. 28. C. 7. 0.923. 0.961. C. 6,6. 0・77. 34. D. 7. 0,709. 0,830. D. 9.6. 0.69. 4. E. 7. 0,943. 0,971. E. 9.2. 0.85. 8. F. 7. 0,813. 0.897. F. 9.3. 0.59. 7. ぞれ比べると, 両条件間にほとん ど差がない. これは実験群において, 横臥位で刺激図形を見た場 合と, 座位で見た場合と では, 網膜に写る像は90度異なっ ているはず であるのに, 錯視量はかわら )の o }の 結 果 と 一 致 す る し か し Kunnapas(1955)7 な い こ と を 示 して い る. こ の 結 果 は 大 野 (1959)l .. 結果と比べると, 大きく食い違う. 大野は今回の実験と同様, 刺激図形の角 度は変えない で, 人間 の角度を 90 度 回 転 さ せ て い る. 一 方 Kunnapasは, 人間 の 角 度 は 一 定 に し て お い て, 刺 激 図 形 を 90 度回転させている. この違いによる差がでたのであろう. 人間を90度回転させても, 刺激図形を 90 度回転させても, 網膜像は同じく90度回転する. 一方は錯視量が変化しないのに, 他方は錯視量が 大きく変わる. これは どういうことだろうか. この実験からだけ では十分には考察 できない. ただ 考えられることは, ここ で測定しようとしている錯視は, 重力の方向と何らかの関係があるの では な い だろ う か と い う こ と であ る,. 表2の条件Eと条件Fの錯視量を比べてみると, 差はほとん どない, 実験群と比較群の 垂直水平 錯視量には差がほとん どないことを示している. この結果は初めにたてた, 実験群は比較群より垂 直水平錯視が少なくて, おそらく水平方向を垂直方向より過大視する であろうという仮説とは 一致 しない. 人間は寝たきり で, しかも運動も思うように できなくても, 垂直水平錯視は発達するのだ ろうか. ここ で集めた グループが特殊な集団だっ たのだろうか. 今後 S の数をもっと多くしてこの こ と を, 確 か め て い き た い,. 表2の条件Bと条件Cの錯視量を比べてみると, 条件Cの方が条件Bより大きい. 実験群より比 較群の方が, 垂直水平錯視と分割錯視を合わせた量では大きいことを示している. 先に実験群と比 較群の垂直水平錯視量は変らないという結果がでているの で,分割錯視量に群差があることになる. 実験群より比較群の方が分割 錯視量が大きい理由は, わからない, 視覚経験の差が影響しているの だろ う か.. 脳性まひ児と健常児 (者) との間にこれらの錯視に 差異があるか どうかをみるために, 過去の研 )はL字図形の錯視率は3 4 逆字図形の錯視 955 )7 究結果と今回の結果と比べてみた. Kunnapas(1 ., 3という結果をえている, この値は今回の 結果L字図形・実験群8, 比較群7・逆T字図形・ 率は1 一方 実 験 群28 , 比 較 群34と 比 べ て, ど ち ら の 図 形 に お い て も 両 群 と も か な り 小 さ い. 1 5 ) i 1 0という結果をえてい 0才以上 Wa 0才以下 5 で約2 t 1 2 で2 ) は L字図形の錯視率は1 r e s( 97 , , る.この値は今回の結果と 比べるとかなり大きい. 研究者によっ て錯視率にこうも差があるの では, 比較 できない. 研究者間に錯視率の差があるのは, 実験に用いた刺 激図形の大きさが異なることが l t ers は 128mm, 今 回 原 因 の 1 つ では な い だ ろ う か. Kunnapas は, 50mm の 比 較 刺 激 を 用 い, Wa は loomm であっ た.. 過去 の実験はこの ように用 いる 比較 刺 激の 大き さ を 統 一 して いな い.. 1 5 }は Kunnapas と 同 じ 錯 視 率 を 得 て い る Kunnapasと 同 じ大 き さ の 比 較 刺 激 を用 い た 須 藤(1959) , . 194.

(8) . 寝たきりの1 脳性まひ児における空間知覚の異方性. このことからも今後の研究は刺激図形の大きさを統一して行なう 必要がある. さらに刺激図形の大 きさの変化に対する錯視率の変化に一定の関係があるとしたらそれを求めることによ っ て, 過去の 大きさの異なる刺激図形を用 いた結果も修正して, 比較対象にすることができる ,. 4. まと め. 生れた時から寝たきりの重度の脳性まひ児を実験群に,自分の力 で座位あるいは 立位が保持でき, 移動可能な脳性まひ児を比較群にして, 逆T字図形と, L字図形を見せて, その錯視量を調べてみ た と こ ろ 次 のこ と が わか っ た,. 1)実験群においては, 横臥位で刺激図形を見ても, 座位で見ても, 錯視量はほとん ど変らなかっ た.. 2) 実験群の垂直水平錯視量は, 比較群より小さく, おそらく水平線の方を垂直線より過大視す るだろうという仮設をたてたが, 結果は両群の錯視量は変わらず, しかも両群とも垂直線を水平線 より過大視していた. 3) 実験群の分割視量は, 比較群のそれより小さかった.. 引用文献 l i li l l i l l iono ftheho i l t t t inge t r us on r r zont副‐ ve ca 1) F us a r . .exp ,PPycho .J ,37 , .K.1947 Thei ,F.W.andSPe ,D 243- ‐250 . l ho i l i司i in i i l fage t ‐ zont z edt r a ngontheve r ca r nf uenceo r ey 2) Fraisse ,sexandspc ,& Vaut ,P,1956 Thei ,P, 1 1 4 1 2 0 P h . 8 i l l i - Q t J x s c o on u a r e us y p , ,, , , り, ided l fv i l i l he deve l imu l in t t sua d on in t a opmento 3) He ‐pr oduced s ygu ,and He , A, , 1963 Movement , R. l io behav r . .872-876 . .comp .Pscho .J ,56 ,and phys. 1一37 4) 林邦雄 1 97 2 肢体不自由児の病理, 橋本重治 (編) . , 肢体不自由児教育総説, 金子書房, 2 37- 97 6 幾何学的錯視,和田陽平・大山正・今井省吾(編) 5) 今井省吾 1 ,感覚・知覚ハンドブック,誠信書房,5 576 . lpa l 6) Keats ebr a sy , ,Thomas ,Sリユ973 ,Cer li l l ioが J l i 40 ica l A l i fthe”ver t us T 1 9 5 r 5 zonta ‐ho M n a so na 7) Kunnapas ,exp .Psycho ,134一1 . ys , , り l 405一407 lf i l d Psycho 53 li l ionandtheV i i l hor i l J T 1 9 5 7 h t t t e s u a e x r c a - z o a u s e p 8) Kunnapas ev . . . . . . , T.M. , , 17 1 5-1 972 幾何学的錯視, 心理学事典, 平凡杜, 1 9) 小笠原慈瑛 1 . 1 0 ) 大野晋一 19 55 知覚空間の異方性に関する実験的研究 (2) -その発達心理学的研究-. 人文研究 (大阪市 立 大) , . 6. 103一128 i 11 fthe Todas ive ionsonthesens t t 11) R eso r s . .Br .J .Psycho ,321-396 ,W.H.R.1905 0bsva land ions i i l l i l i i i f i M 1 9 6 2B dS t i l l P d W t r 12) Sh me us n r s c o cv e w n o e o c rceptua n n r n o c u a ra e e o e r a e e g g p . ,Pe , , , . , 1 4 Mo 1 i l l 5 7 3 9 7 7 t 一 - o rS ( s . , , ines l i l t ip l d 13) Sh r entl edl e engthofdl ey . .exp ,Psycho .1947Theappa ,39 , ,J ,M.J ,Nann ,B,M .andPenf ,W.C. 548-551 . l l l i fgeomet i ia l ica li t tudyo t us on 1 r 4 r cs ‐ opt ) Wal e s . ,Monogr 25 ,101-155 ,Gene ,psycho ,A genet ,S.A 1942. 3回大会発表論文抄, Am-2. 15 9 59 水平・垂直錯視と分割錯視の比較検討, 日本心理学会第2 ) 須藤容治 1 (本 学助 手 ・ 函館 分校). 195.

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