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精神遅滞児における特殊学級卒業後の動向(I)

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Academic year: 2021

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(1)Title. 精神遅滞児における特殊学級卒業後の動向(I). Author(s). 後藤, 守; 小笠原, 詠子. Citation. 北海道教育大学紀要. 第一部. C, 教育科学編, 33(2): 49-62. Issue Date. 1983-03. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/4905. Rights. Hokkaido University of Education.

(2) . 精神遅滞児における特殊学級卒業後の動向 (1). 後. 藤. 守 ・ 小 笠 原, 詠. 子. 1.問題の所在 北海道内の特殊教育諸学校および小o中学校特殊学校児童・生徒数は, かなりの数にのぼってお り, たとえば特殊教育諸学校の場合, 昭和3 0年度ではわずか1 25 0名 であったのが, 昭和52年度に は2 615名と実に2倍以上にも達している. 小・中学校特殊学級の場合も同様の傾 向にあり, これ. らの傾向は昭和5 4年4月の養護学校への就学義務化に伴い, さらに増加の一途をたどっている(北 海道の特殊教育-特殊教育百年北海道記念会版197 8 , 北海道の特殊教育 1982年版) . したがって, 社会へ巣立っていっ た卒業生も, 相当の数にのぼっていることが予想される. このような状況の中 で, 特殊学級および養護学校の卒業生の動向をさ ぐるということは, これま での特殊教育の成果を 検討し, これからの特殊教育の方向を索定するための資料として大きな意味をもっと考える. さら. にまた, この種の資料は, 現在, 特殊学級および養護学校に通学する子どもをもつ父母が子どもの 将来を考える上でも興味の深いものとなろう.. 精神遅滞児の就職後の動 向に ついては, これま で, いくつかの報告がある (飯田 1 969 , 行田 ) 1 96 4 9 64 , 西脇 1 . これらの報告のほとんどは, 社会の側から視点をあてたもので, 家庭, 職場, 学校ならびに精神遅滞者自身の能力や性格特性などの諸条件, 諸要因を選び, 社会適応に成功する 要因は何かを考えている. しかし, 精神遅滞者の成長過程をふまえた, 縦断的な観点からの考察は 少ない. しかも, 社会に でて, 充分に個人の能力を発揮しているものの報告はかなりあるが, 中学. 校・高等学校等で充分に生活しきれていない子どもと父母に関する報告は少ない, 今後, 社会適応 に関して, 成功した事例とあわせて, 卒業後, 社会生活に失敗した事例にも目を向けることも, よ り好ましい社会生活を持続させてゆく手だてを発見する上で, 重要であると思われる.. ここでは, このような問題意識から, さらに, つっ こんだ事例研究をはじめるため, その基礎資 料を収集することを目的として, 札幌市内の中学校の特殊学級 (以下F学級とよぶ) を1つ選び,. 卒業生全員の動向と現在の父母の意識の調査に着手した。 この調査は, これからひきつづき行なわ れる研究の第一歩となるべきものであるため, 卒業生の現在の所在, 現在の進路状況を把握するこ. となど, 基本的な動向調査から始ま っている. またそれと同時に, 子どもの生活等について, 父母 が日頃思っていることを, 身構えず, 自由に記入してもらえるように, 調査票に工夫を加えてみた. 以下, この調査を通して, 父母の子どもに対する就職および将来展望な どの輪郭を浮きぼりにす る中で, 次に続く個別的事例 研究の道標を明らかにしていきたい.. 49.

(3) . 後藤 守・小笠原詠子. 1 1.調査の方法 1.調査対象 本調査では, 昭和44年4月から昭和5 6年3月の12年間に, F学級中学部を卒業した者69名が 調査対象とされている. 但し, 調査の実施段階 では, 両親死亡の1名を除き, 計6 8名 を対象とする. (卒業年次別の調査対象数については, 表3を参照されたい.) 2.調査期日. 昭和56年11月1 1日から昭和56年11月 28 日の期間が, 調査資料の収集にあてられた .. 3.調査内容. 調査項目は, 項目⑦から項目綿の計 33問から構成さ れている その内訳は,( 1 )高等養護学校につ . 2 いて,( )施設について,( 3 )就職について,( 4 )結婚について,( 5 )職業訓練校について, の5つに分け られる. また, 調査項目は, その進路によって組み合わされ, 進路の型による9種類の質問紙が作. られた, 調査項目内容の詳細については, 考察の部分 でふ れ る こ と に す る. F学級卒業後の進路の型とその 人数は, 次の通りである. ( )内の数値は, 全体に占める割合を 示 してある. 1型 高等養護学校在学 1 9.1%) 13名 ( 1 1型. 高等養護学校→施設. 5名. m型. 高等養護学校→就職. 16名. 施 設 入所. 19名. V型. 就職. 4名. VI型. 就職→ 入院. 2名. WI型. 就職→ 結 婚. 1名. IV型. (7.4%) ( 2 3.5%) (27.9%). (5 .9%) (2 .9%) ( 1.5%). 佃型 職業訓練校→就職 4名 (5 .9%) IX型 職業訓練校→就職→入院 4名 (5 .9%) 各進路の型における調査項目の組み 合わせは, 表1の通りである . 表1 各進路型における調査項目の構成 進路型. \\ \遇査項目. アイ ウ ェ オ カ キ ク ケ コ サ シ ス セ ソ タ チ ッ ブ. 1型(高等養護学校在学). I2345678. 1 1型(高等養護学校→施設). I 2 3 4 ~1 36 7. m型(高等養護学校→就職). I2345. W型(施設). I 1 1. V型(就職) W型(就職→入院). 1 1. W型(就職→結婚). I. 皿型(職業訓練校→就職). I. 豆型(職業訓練校→就職→入院) I. 91 01 11 21 31 4 8 91 01 11 2. 67. 1 41 51 61 71 81 9 8 91 01 11 21 31 4. 7. 23456. 9. 1 51 61 81 92 0 71 8 91 01 11 21 3. 2345678. 91 01 11 21 31 4. 2345678. 1 01 11 21 31 41 5. 2 3 4 5 6 7 8 91 01 11 21 31 41 51 6 1 4. 23456. 7 8 91 01 11 21 3. 1 41 51 61 71 81 9. 23456. 7 8 91 01 11 21 3. 1 61 51 71 81 92 0. (註) 欄内の番号は、 進路型別質問紙における質問番号である。 50. l h t i ナ 、ヒ フ へ ホ マ ミ ム ヌ ネ ノ′.

(4) . 精神遅滞児における特殊学級卒業後の動向 (1) 4,調査方法. 本調査は, 質問紙による郵送調査により実施された. 質問紙返信締切りを, 昭和5 6年11月 28 日 と定めたが, 本調査の性格上, 質問紙完全回収を目標としたため, 締切り後, 電話による返信の催 促を行なっ た. さらに, 返信された質問紙のうち, 不明なところについては, 電話により確認した.. m.結果と考察 1.本調査に関する回答状況 表2は, 本調査における進路型別の調査対象数と回答数を示したものである. 対象数の総計は6 8. 名 であるが, 転居先不明のため2通返送されるなどして, 最終的に, 回答数の総計は4 3名となり, %の回答率にとどま 完全回収を目 ざした点 た 決して満足ゆくものでは 6 3 2 この数値は では っ , . , . ない. 電話による催促も行なったが思うように数値はのびなかっ た. しかし, 郵送方式による調査 としては, まずまずの回答率に達していると見てよいであろう. 表2の内訳を見ると, 進路型によっ て回答率に著しく差があり, 資料としての有効性が問われる進路型も見うけられる. その中にあっ て, 1型, 皿型, IV型が, 全体の回答率を上まわる数値を示しているのが特徴的である. その点 で. 1 1型, I V型の資料の場合, 調査対象数の面からみても, 充分分析資料として耐えうる条 は, 1型, 1 件をもっ ているように思われる. 表2 進路別回答率. 答状況 \ 進路 型 -\\竪. ( )内は%. 調査対象数. 回 答 数. W亘(施設入所) V亘(就職) W亘(就職→入院) V n益(就職→結婚) Wn亘(職業訓練校→就職) 以竺(職業訓練校→就職→入院). 1 3名 5名 1 6名 19名 4名 2名 1名 4名 4名. 1 1名( 84 ,6) 3名( 6O .O) 12名( 75 ・O) 13名( 68 4) , 2名( 5O O) , 04 ≦(0 ) 〇名(O ) 2名(5O .O) O名(O ). 計. 68名. 4 3名( 6 3, 2). 1亘(高等養護学校在学). 1 1亘(高等養護学校→施設). 1 1 1亘(高等養護学校→就職). 表3は, 卒業年次別の回答状況を示したものである. 表3の内訳を見ると, 昭和4 6年3月, 昭和 4 7年3月, 昭和5 0年3月, 昭和51年3月の卒業生の回答率が全体の回答率に比べ著しく落ちこん でいる. このような落ちこみは, どのような理由によるものだろうか. 資料の分析に先立って回答 状況の特徴に ついて明らかにしてみよう. まず, 回答者の平均IQを比較してみた. 結果は, 回答者 の平均I Q5 2 .7 , 非回答者の平均 殴 62 .4であっ た. 非回答者の方が平均してIQの数値が, 約10ほ ど上であっ た. 両群のI Qの分布を, x2検定を用いて調べたところ, 有意差があるという結果が得ら れた. つまり, 非回答者群の平均 鳩 が回答者群の平均 噂 よりも高いことが, 推定される. また, 卒業してからの時間的経過の長い場合の方が, 短い場合よりも回答率が低いのではないか という視点から, 昭和44年4月から昭和50年3月までの卒業生と, 昭和5 0年4月から昭和56年. 3月ま での卒業生に分け, 回答率に差があるか どうか, 検定を行なっ た. しかし, 結果的には有意 51.

(5) . 後藤 守・小笠原詠子. な差が認められず, 卒業年次が早い, 遅いということで回答率に差があるということはいえないこ とが明らかにされた.. 以上二つの結果をもとに, さらに, 早い時期の 卒業生のIQが、 最近の卒業生のI Qよりも高いか どうかの検定を行なっ てみた. これに関しては,. 表3 卒業年次別の回答率. 有意な結果が得られ, ‐早い時期の卒業生は, 鴎 が 高 い こ と が わ か っ た.. 以上の三つの側面 からの分析から, 早い時期の. 卒業生のうち でIQの高い者が回答率を下げてい. るということが言えそうに思われる. 早い時期の 卒業生の場合, 一般的にみてかかわりが遠のくと いう理 由 で回答率が下がるということは理解でき. るが,その中でIQの高い者の回答率が特に低いと いうことについては, さらに分析を深める必要が. あるように 思われる. その中では, 個々 人の社会 適応との関係という側面から理解することも必要. ( )内は%. 卒業年 次. 調査対象数. 回 答 数. 昭和4 5年3月 昭和4 6年3月 昭和4 7年3月 昭和48年3月 昭和4 9年3月 昭和50年3月 昭和5 1年3月 2年3月 昭和5 昭和5 3年3月 昭和5 4年3月 昭和5 5年3月 昭和5 6年3月. 3名 5名 6名 2名 1 2名 5名 7名 7名 5名 4名 5名 7名. 計. 68名. 2名( 66 .7) 1名( 20 ) .0 3名( 50 .0) 2名( 1 0 0 .0) 9名( 75 ) .0 2名( 40 0 .) 2名( 28 ,6) ) 6名( 8 5 .7 4名( 80 0 .) 3名( 7 5 .0) 4名( 80 .0) 7 1 ) 5名( .4. 43名( 6 3 .2). と思われる. 2.高等養護学校進学に関する調査項目における回答状況. ) ク ) 高等養護学校に関する質問は,( ィ ,(め, 回, ㈲, 鞘,( , ◎の7項目から構成さ れている. その うち, 選択肢方式の回答項目は, ”) , 回, 齢の3項目で, その他は, 記述式の項目である.. 工型, 1 1 1型の卒業生 で, 総数は34名, そのうち, 26名 ( 高等養護学校進学者は, 工型, 1 76 .5%) が回答してきた.. 表4は, 選択肢方式の調査項目の回答状況を示したものである. 全体的にみると, 子どもが高等 養護学校に進学したことを, 父母はよかっ たと思い, よくなかっ たと思っ ている父母はいない. そ して, 進学を決定した動機は, 中学校における担任の進路指導による勧めが, 大きな比重を占めて いる. また, その場合, 子 どもの希望をどの程度受け入れたかという点においては, 3分の2以上 表4 高等養護学校進学に関する選択肢方式による調査項目と回答状況 (イ) 進学に関する父母の気持ち \\ 項目 ;トミミ ①よかった ②に夏婆浅 ③よくなかっ た 進路型 \ 1 90 0( .9). 1(9.1). 0(0). m型(高校→就職) 9(75.0) 2 1(80 8) 計 .. 3(25 0) .. 0(0) 0(0). 1型(高校在学). 1 1型(高校→施設). ミ き ≧≧辺\ 進 工型(高校在学). 1 1型(高校→施設). m型(高校→就職) 計 52. 2(6 6 .7). 1(3 3. 3) 9 2) 5(1 .. ①担任の勧め ②父母の希望 ③その他 ④①+②. 0(0). 2. 8(7 7) 66. 2( 7). 5(41 7) . (57 15 7) .. 0(0) 1( 33. 3). 4(3 3. 3) 5(1 9. 3). (オ) 子どもの希望を受け入れた度合い ①ほとんど子どもの希望 で 0(0) 0(0) 1(8, 4). 1( 3.9 ). ( )内は%. (エ) 進学を決定した動機. ②子ど塞ぎ蒸護盈み入れて 1.8) 9(8 2( 66.7) 7( 3) 58.. 18( 69. 2). ③まわりの状況で 2(18 .2). 1(3 3.3) 4(3 3.3) 7(26 .9). 1(9.1) 2(18,2) 0(0) 0(0) ) 2(16 7 1(8.3) .. 5) 3(11 5) 3(11 . ..

(6) . 精神遅滞児における特殊学級卒業後の動向 (1). の父母が子どもの希望を, 多かれ少なかれ組み入れて決定したと回答してきている 進路型別の内 。 訳を見ると, 1型 (高等養護学校在学) と, 1 1型 (高等養護学校→施設) , m型 (高等養護学校→就. 職) とのちがいがわかる. ”)「進学に関する父母の気持ち」 という項目は, 具体的によかった点 , よくなかっ た点を記述してもらうという( のの項目と対になっているものである.”)の項目を見ると, 現在, 子どもが在学してい る1型では, よかったと思っている父母が90%以上に達している これ 。 に対して, 高等養護学校を卒業した1 1型, 1 1 1型では, よかったと思う父母が1型に比べ少なく, ど ちらとも言えないと思っ ている父母が増えている。 実際に,(めの項目では, よくなかった点る こおけ 1型, 1 る記述がなされている回答 が, 1 1 1型に多かっ た。 内容は次に列記する. ◎よ かった点. ・体力が向上した。・社会性を身につけられた.o対人関係がよくなっ た。・いろいろな面で自信 が ついた.・いろいろな経験をした.・学習面でよかった。・仕事に対する努力や根気が養 われた ・規 。 律正しい生活が身についた.- ◎よくなかった点. ・無理をしたために体力が低下した.・充分な体力が発揮されない.o入学した高等養護学校 で , 子どもの能力が低いために, コンプレックスを持ち, ごまかすことを覚えた.・精導者扱いされ, コ ン プ レ ッ クス をも つ よ う に な っ た.・転 職 した い と 思っ ても 中卒者よりも むずかしいようである , , . , 回の項目は, 高等養護学校進学の最終決定者は, 父母であるという前提のもとに, 父母が決定に 至る, 主たる動機をより 具体的に求めようとした項目で, 「担任と父母が相談して決めた」などとい う折衷的な記述項目を排除してある。 それでも, ①+②というように, ①, ②両方に丸をつけたケー. ス が3 ケ ー ス あ っ た. しか し, 他 の 23 ケ ー ス は, い づ れ か の 項 目 を 主 た る 動 機 と して 選 択 し て お り ,. 調査の意図は達せら れている. 内訳を見ると, 1型は, 担任の勧めによるものが最も多い 1 . 1型, m型においても, 担任の勧めによ る比重が高いが, 1型と異なり, 父母の希望もかなりの比重を占. めているところに特徴が認められる. ㈲の項目は高等養護学校進学決定に際して, どの程度, 子どもの希望を受け入れたか をたずねた ものである. 1型では, 子どもの希望をある程度組み入れてというものが多いが, 1 1型,1 1 1型では, それに加え, まわりの状況で判断したというものの比重が高くなっている . ◎の項目は高等養護学校の指導について, 日頃感 じていることを記述方式で回答してもらっ たも のである. 項目( りのよかった点, よくなかっ た点との深いかかわりがみられる その内容を次に列 . 記してみよう. ・体力が向上した.・社会性が身についた.・根性がでた.・いわれたことだけをすることになれて, 何かをしようという気がなくなっ た.・何事も自分でやるということが養われる ・複数の担任で, . 子どもがとまどう.・担任に熱意が感じられない.. このようにいろいろな意見がでるということは, 高等養護学校にぴっ たり合った者もいれば, 全 くあわなかっ た者もいたということであろう. 但し, これは, 父母の目を通した印象 であって こ , れをもって, ただちに本人の学校における適応度を示すものとはならない しかし これらの子ど . , . 子どもと教師と両親との力学的相互作用的関係の中 もたちの発達が, で展開するものであるとすれ ば, 無視でき得ない要因 であろう. いづれにしても, 進路を決める上において, いかに本人に合っ た学校をえらぶかということは, 本人の将来に強く影響を与えるという点を考えあわせると, むず か しい こ と であ る。. ( ク )の項目は高等養護学校の予後指導について調べたものである. ここ では, 高等養護学校在学者 の予後指導に関する希望と, 現在高等養護学校を卒 業して予後指導を受けている者の希望とを分け 53.

(7) . 後藤 守・小笠原詠子 て 考 え た い.. ◎高等養護学校在学者群の予後指導に関する希望. ・卒業者と父兄全員が一同に会する機会がほしい.・定期的な職場訪問および家庭訪問をしてほし い.・就職できない場合に, 何か指導してもらいたい.・卒業者の情報を流してもらいたい.. ◎高等養護学校卒業者群の予後指導に関する希望. ・現在の予後指導がとても役立ち, 満足しているので, つづけてほしい.・友達との交流が少ない ので, たびたび, 学校でも, 町の中でも, 遊びの場を作ってほしい. 予後指導に関する以上の記述は, それぞれの父母の希望をそのまま記述し, 重複した意見を除い. てまとめてみたものであるが. 高等養護学校在学者の父母の場合, 卒業後の社会的交流を非常に希 望 していることがわかる. これは, 卒業後の子どもの社会的自立に対する予後指導への期待と, 子 どもの自立に対する不安が表裏の関係 であらわれているため であると思われる. しかし, 卒業して みると, 現在の高等養護学校の予後指導に満足し, 不安はかなり解消されているよう である.. ◎の項目はF学級中学部卒業生全員に対して, 高等養護学校進学について記述してもらったもの である. ここでは, 高等養護学校進学者群と, 非進学者群に分けて考察してみよう.. ◎高等養護学校進学者群の場合. ・高等養護学校での3年間は, 社会性 を身につけたり, 教育の機会が与えられるという点で, 重 要である.・希望者が全員進学できることを希望する.・養護学校卒業者ということで, 健常者と同 程度に仕事ができても差別されるため, 高等養護学校進学が必ずしもよいとはいえない.・積極的な. 職場開拓をしてほしい.・高等養護学校卒業後の指導機関がもっ とあってほしい.. ◎高等養護学校非進学者群の場合. ・高等養護学校進学可能な者には, 進学の機会を多く与えてやりたい.・3年間という時間は, 能 力開発に重要である.・高等養護学校で, のびのびと生活させたい.. 高等養護学校進学者群は, 経験からの感想の記述が多い. 職場開拓の希望などは, 切実な問題な のであろう. 一方, 高等養護学校非進学者における記述数は少なかっ た. これは, 高等養護学校が, 本人の現実の生活からかけはなれていることを意味すると思われる. ただ, 両方に共通しているの. は, 高等養護学校進学の機会を, 子どもに多く与えてやりたいという気持ちと, 高等養護学校での 3年間は子どもの発達にとっ て, まだまだ有効な時期 であるという気持ちである. これらは, 父母 の気持ちを端的に表わしたもので, 多くの教育の機会を子どもに与えたいという願いがこめられた ものであろう. 今後, これらのニー ドに対して適切な方向づけがなされる必要があり, 障害児に対 する後期中等教育のあり方が, 大きな課題として浮かびあがる可能性が強く指摘される. 3.職業訓練校に関する調査項目における回答状況. ) コ 職業訓練校に関する質問は, ◎,( , ◎,( , 閃の5項目から構成されている. そのうち, 選択 肢方式の回答項目は, ◎,( , ⑭の3項目で, その他は記述式の項目である. X型 (職業訓練校→就職→入院) の卒業生で, 職業訓練校進学者は, Vm型 (職業訓練校→就職) ,I. 総数は8名 で回答者は2名 である. この回答率は非常に低いため, 資料としての有効性には疑問が もたれる。 そのため, 今回は回答された意見の列記にとどめ, 職業訓練校に進学した者と回答率と の関係や, 進路に関する意識などについては, 今後の研究の課題と したい. ◎の項目は職業訓練校に通っていた頃の子どもの様子をたずねたもの である. 次にその回答の内. 容を列記してみよう. ・「皆勤賞」 で非常によろこんでいる.・他の子どもにいわれると, 判断なく行動していた. 54.

(8) . 精神遅滞児における特殊学級卒業後の動向 (1). ( )の項目は職業訓練校に通ってよかった点と悪かった点をたずねたものである その回答内容は コ . ,. 以下の通りである.. ◎よかった点 ・通学の苦労をのりこえた.・共同生活を経験した.・技術を習い, 本人なりに自覚をした ・毎日 . , 勉強, 体育の指導があったこと. ◎悪かった点 ・特殊な職種を選定することがむずかしい. 4.施設入所に関する調査項目における回答状況 施設入所に関す る質問は, ◎,( ) ソ ) )の6項目から構成されている. 選択肢方式の ミ ッ , 汐) , ◎,( ,( ・ 回答項目は,( ) “の3項目で, その他は記述式の項目である。 ソ , 粉,( 施設入所者は, 1 1型 (高等養護学校→施設) V型 (施設入所) の卒業生で, 総数は24名, その ,I うち16名 ( % 66 ) が回答してきた 7 . . ◎の項目は入所している施設名 を記入してもらった. 施設数は12であった 回答者が16名 であ . るから, F学級中学部の卒業生は, ほとんど別々の施設に入所しているということができる . 表5は, 施設入所に関す る項目について, 選択肢方式で回答を求めた結果をまとめたもの である . 入院のため施設を出たことから, この項目に関して無回答の者が1名いるので 全体の数は15名 で , まとめられている. 全体的にみると, 項目( )「施設入所後の子どものようす」 では, 満足そう であ ソ るという回答が3分の1を占め, 残りも, やや満足なようすであるという ことで 不満足な者はい , なかっ た. 項目◎ 「施設入所を決定した動機」 では, 半数以上が 父母がいろいろな資料などを参 , 考にして決定したと回答している. これは, 高等養護学校を決定するにあたって 担任の助言指導 , にかなりの比重がおか れていたのと異なる傾向として表われている ( )「 子どもの希望を受け入れ ッ . た度合い」の項目では, 3分の1が, 子どもの希望をある程度組み入れて決定したと回答している . 内訳を見ると,(のの項目 1型, IV型とも共通な傾向にあり,「満足なようす」 であるとする回 ,では, 1 答が66 夕 ) .7%に達しており, 「やや満足な様子」の回答をあわせると, 圧倒的な割合になっ ている.( の項目は( )の項目をさらに, 自由記述の形 で裏付けることを意図して構成されている ここ では ソ , . 具体的に施設に入所してよか ったと思う点と, よくなか ったと思う点を記述してもらっている 内 . 容は, 次の通りである. ◎よかっ た点. 表5 施設入所に関する選択肢方式による調査項目と回答状況 \\ \\ \ 進 路 型. ミデ ①満足なようす ②やや満足 狩 \. (ソ) 施設入所後の子どものようす. 1 1型(高等養護学校→施設) W型(施設入所) 計. \ \ \ \\ きき項目. 進路型. 1 1型(高等養護学校→施設) W型(施設入所). 計. 2( 66 7) . (66 8 7) .. 1 0 ( 66, 7). 1(33 3) ,. 4(3 3. 3). 5(3 3. 3). ③不満足なよ うす. 0(0) 0(0) 0(0). ( )内は% (チ) 施設入所を決定した動機. ①蓬鰹導 ②進路資料. ③その他 ④①+② ⑤②+③. 1(33 3) .. 2( 66 .7) 0(0). 2(1 3. 3). 8(5 3, 20 3) 3( .0) 1(6.7) 1(6,7). 1(8,3). 0(0). 0(0). 6( 50,1) 3( 25. 0) 1(8. 3) 1(8. 3). (ツ) 子どもの希望を受け入れた度合い ①ほとんど子どもの希望で 0(0) 0(0) 0(0). ②子ど主客龍壷み入れて ③まゎ 鰯 で 2(66 7) , 6. 8(6 7) 10(6 6 ,7). 1( 33. 3) 4( 33 3 ,). 5( 3 3, 3) 55.

(9) . 後藤 守・小笠原詠子 「指 導 や しつ け が, 子 ども に と っ て む り の な い も の であ る.・子 ども に と っ て, 少 し程 度 が高 い が,. 勉強になっ た.・通園に便利 である.・規律ある生活がなされる.・毎月, 子どもの状況を連絡しても らえる.・5 0人の小世帯である. ◎よくなかっ た点 ・過保護 でも通用し, 全体のムー ドとして, 親の手出しを容認しすぎる.・きびしく してほしい.・ 読み書き, 数の指導に消極的である.・自由が少ない.・体育館がなく, 運動不足になる.・仕事の関. 係で, 休みが少なく, 全員一緒に休めない. よかった点も こ記述されている 内容は, 卒業生の能力や性格と, 施設における指導の程度がぴっ た りと合っていることから出ているものが多い. しかし, よくなかっ た点においては, 施設の指導に, もう一歩高次なものを望んでいるものが多い. ◎の項目の内訳は, 前述したように, 高等養護学校進学を決定した動機と異なる傾向を示 してい V型における担任とは, F学級中学部の る. 口型における担任とは, 高等養護学校の担任であり, I V型共に, 担任の直接的な指導の比重が低く, 主として, 進 担任である. 担任は異なるが, n型, I 1型, IV型共に, 3分の2が, 子ども 路の資料等をもとに施設 入所を決定している. ◎の項目では1. の希望をある程度 組み入れて決定したと回答し, 残りの父母達は, 子どもの希望よりもまわりの状 況で決定したというものであっ た. この場合, 前者の父母達の多くは, 子どもに直接相談し, その 意見に従っ たというよりも, 恐らく, それぞれの父母が, 子どもとの生活を通して感じたり, 考え. たりした中で形成さ れた, 自分の子どもへの評価的態度が判断の決定に 強く反映したと見るのが妥 )の2つの項目に対する回答をあわせ考 えると, 施設入所の決定に 当なように思われる. 項目◎と( ッ あた って, 担任教師がいかなる形で助言指導 をなすべきか, そのむずかしさが強く痛 感させられる. ( )の項目は記述方式で回答を求めたものであっ て, 調査対象者全員に施設入所について感じるこ ミ とをたずねた項目である. ここでは, 施設入所者群と施設非入所者群に分けて考えたい. 以下にそ の記述内容を列記してみよう.. ◎施設入所者群の父母の場合. 0 ・父母なきあと, 生涯収容してほしい,・何年 でも居られると 思うとよくない. せいぜい5年~1 年とし, 子どもに環境を変えるチャ ンスを与えたい.・先生がすくにかわらないようにしてもらいた い.・良い施設でも, あまり遠いと, 父母は年老いてくるので困る.・施設は, 子どもの捨て場では なく, 仲間のいる就職場所と考えたい.・世間体を考えず, 学校とか, 施設には, どんどん入れるべ きである.・転職するたびに 施設がもっとあればと思う.・施設にもいろいろあり, 子どもも決して 一様ではないので, 画一的判断は危険である.. ◎施設非入所者群の父母の場合. ・施設入所反対. 普通人と差のない生活をすべきである.・父母が元気なうちは, 一諸に暮したい が, 札幌近郊に, 少人数で家庭的なところがあればよい.・自立できなければ, 施設入所も考えてい. る.・手続きなど, 入所ま での過程がむずかしい.・遠い将来, いつかは, 施設に入れることを考え ているので, 安心して入れられる施設がたくさんできることを望む. 教育の機会を多く与えたいという父母の気持ちは, 施設入所者の父母にも多くみられ, 子どもに. 対し,多くの経験を与えるべく施設を換える勇気を持たなければいけないという意見などもあっ た. これは, 施設そのものの存在を否定しているというよりも, 外に開かれた施設, 終着駅としてでは な い, 子 ども の 生 活 の 場 と して の 施 設 と い っ た, い わ ゆ る, 子 ども の ニ ー ドに 対 応 し, い き い き と. した活動の場としての施設を求めている意見と見てよいであろう. このことは, 施設非入所者群の 父母達の意見の底 流に同様に存在しており, 子 どもの成長に伴って施設の問題をさけて通ることが 56.

(10) . 精神遅滞児における特殊学級卒業後の動向 (1). できないことからくる不安がにじみ出ている. さらに, 施設非入所者群の父母達の場合, 父母が年 をとると同時に, 子どもの将来に不安を抱き, 施設にたよらざるを得ないことへの危慎も加重され. ている。 このことは, 施設入所者群の父母においても同様で, むしろ, 後者以上に強く感じている 問題であるように思われる.. 5.就職に関する調査項目における回答状況 就職に関する質問は, ⑦,( ) ) ノ ト ヌ ) , ◎, ③,( , 閑,( , ㈲の8項目から構成されている。 そのうち, 選択肢方式の回答項目は,( ) ) ) ト ヌ ネ ノ )の6項目で, その他は, 記述式の項目である. , ◎, ⑥,( ,( ,(. 就職した卒業生は, 1 虹型 (高等養護学校→就職) I型 (就職→入院) , V型 (就職) ,V , m型 (就職 . →結婚) m型 プ V ( 職業訓練校→就職 ) I X型 ( 職業訓練校→就職→入院 ) の 6タイ に分類され , , , 総 数は31名 であるが, 回答者は1 1 1型 (高等養護学校→就職) 6名 で, 1 m型 (職業訓 , V型 (就職) ,V 練校→就職) の3タイ プで占められている。. ⑦の項目は現在の職業をできるだけくわしく記入してもらった.16名のうち3名は, 現在就職し ていない. 1名は家事手伝いのため家庭に入り, 1名は, また, 元の会社にもどろうとしている. 残りの1名は, 劣等感などで精神的にストレスを受け, 病院に入院している. 回答を寄せた13名の 卒業生の職業の内訳は, 以下の通りである。 ( ) 内は, 仕事の内容を示してある.. ・造園業 (雑役・植木の運搬, 土堀り, 除草, 除雪, その他) ,.青果部 (パッ クづめ, 値段つけ, 品出し) ・紙器工業 ( おり箱 結束 チ ステ むしり等 ) ・家事手伝い (特に炊事) ッ , , , , , ,・製材部門. (木取り補助作業 (製材の際に木材を機械にかける助手) , チッ プ作業) ,o製パン工業 (仕込み, 整 形, 分割, その他雑用) ・コンクリート会社 ( ) 作業員 ・北海道リハビリ一入所 (クリーナス部, , , ベ クリーニン グ) ・食品製造会社 ( 食品製造 ) ・家具製作所 ( 木材の運搬 ニヤのはりつけ ) , , , ,・塗 装会社 (工場勤務, 鋼材の塗装工) ・書籍会社 (植字関係の専業) , ,・木工業 (資材の運搬, 簡単な 合板の貼付作業 (のり, 加工針で) , 木材の防腐作業) 就職に関する選択肢方式による調査項目に対する回答結果をまとめたも 表6は, のである。( )の ト. 項目は, 前述の就職先をどのようにしてみつけたかをきいたものである. 全体的には, 学校の担任 の紹介により, 現在の職に就いた者が多い, 内訳をみると, m型(高等養護学校→就職) m型(職 ,V. 業訓練校→就職) は, 学校の担任による紹介が多いが, V型 (就職) は, 職業安定所の紹介と学校, 表6 就職に関する選択肢方式による調査項目と回答状況. 項 三 豊 三 森 ①饗紹雰. ②学校担懲. が驚. 1 0 (9 0 m型(高校→就職) 0(0) .9) 1(9 ,1) 1(50 V型(就職) 0) 1( 50 0) 0(0) , . W型(職訓→就職) 0(0) ( 1 0 1 0 0) 0(0) . 1( 7.2) 1 2(85 計 6) 1(7 2) , ,. \\ 査項目 ;* 進 路 \\\. ( )内は%. (ト) 就職先をみつけた経緯. (ナ) 職場の従業員数. ④本 人 ⑤その他 ①0~4人 0(0) 0(0) 0(0) 0(0) 0(0) 0(0) 0(0) 0(0) 0(0) 0(0) 0(0) 0(0). (ニ) 職業に対する子どもの気持ち. 5~契 ④ 5受 ③1 5 0受 ⑤1瑳 ②1 1(1 0. 0) 5(50 30 .0) 3( .0) 1(10 ,0) 0(0) 0(0) 1( I D O .0) 0(0) 1 1( 0 0 0) 0(0) .. 0(0) 0(0). 2(1 6. 41 7) 5( 3) 1(8 ,7) 4(33, ,3). (ネ) 対人関係の状況. 協調性が 不満足苫 ①つとめ 』 ①満足し る ②やや満そ ′ ・ る 的 ②普 通 ③ ひろ ③ まし ) ( ) ( ) 45 3 ( 2 7 3 7 6 3 1 9 1 5( 5) 6 3 (2 3) 3 ( 27 m型(高校→就職) 7, 3 ) , . , , ,. V型(就職). 0(0). 皿型(職訓→就職). 0(0). 計. 5(38 5) .. 1 ( 100 ,0) 1 (1 00 ,0) ( 38.5) 5. 0(0). 0 (0). 0(0) 0(0). 3 (23 ,1). 1) 3(23 ,. 1 (1 00 .0) 10 0.0) 1( 9( 69. 2). 0 (0) (0) 0. 1(7 ,7) 57.

(11) . 後藤. 守・小笠原詠子. 1 1型と異な 担任の紹介とが同比率となっている. 但し, V型は, 回答者が2名ということで, 特に1 m型においても, 同様である. る傾向を示しているのかについては、 判 断を保留したい. V. 41 0~99 ◎の項目は職場の従業員数についてである. 全体的にみると, ③15~49人( .7%)と④5 1 1 1 型は 内訳を見ると が, 1 0名中5名 ①0~4人に回答した者はいない % ) に多く 人( 33 3 , , , , . ③15~49人の回答欄 を選択している. . ① 「満足して ③の項目は職業に対する子どもの気持ちをたずねたものである. 全体的にみると, いる」 と② 「やや満足している」 が, 8割近くを占め, ③ 「不満足である」 というものは少ない.. 内訳をみると, V型 (就職) と皿型 (職業訓練校→就職) とが② 「やや満足している」 に回答し, 1 1 1型 (高等養護学校→就職) が, ① 「満足している」 の比重が高い. 但し, ばらつきがみられてい )の 項 目 では, 職 業 ヌ )の 項 目 と 対 の 関 係 に な っ て いる. 表に は の せ て い な い が, ( ヌ る. こ の 項 目 は, (. に対する気持ちの内面を浮きぼりにするために③の項目に対する回答の理由を選択肢方式の回答項 目でたずねている. )の項目は満足している理由の選択肢と不満足である理由の選択肢にわかれて いる. 満足している理由の選択肢は, ①対人関係がよい, ②待遇がよい, ③通勤時間が一定してい る. ④通勤に便利である. ⑤職場の施設がよい, ⑥その他である. 一方, 不満足である理由の選択 肢は, ①子どもの障害に対して仕事内容があ・ っていない, ②待遇がよくない, ③対人関係がの ぞま しくない, ④通勤が不便 である. ⑤その他, である. この場合, 選択肢の熟読という意味を含め,. 最も該当するものに◎印を, その次に該当するものに○印をつけさせ, 回答に重みづけをさせたが, 回答数が少なく, 表を割愛した. 満足である理由のも っとも主たるものは, ①対人関係がよいとい. うものであっ た. 次に適当と 思われる理由は, ③通勤時間が一定している. ④通勤に便利 であると いう, 通勤に関するものが多い. 不満足である理由の主たるものは, ①子どもの障害に対して仕事 内 容 が あ っ て い な い と いう も の であ っ た.. ( 杓の項目は対人関係の状況についてたずねたものである. 全体的にみると, とくに協調度がある 9.2%を占め, 協調性がないという者は, 1名のみ であっ わけでなく普通であるという回答が多く,6 た. 内訳をみると, V型 (就職) , Vm型 (職業訓練校一就職) の回答者は, ②普通であるに回答し,. 1型 (高等養護学校→就職) の場合, ③協調性がないという回答が一部みられるが, 全体的にほぼ 1 1 同様の傾向が認められる. ノ ( )の項目は転職したことのある者に対 し, 転職理由をたずねたもの である. これも, 選択肢方式. の回答項目であっ たが, 回答数が少なく, 表は割愛した. 参考ま でに概要をのべると, 以下の通り である. ①身体が疲れた, ②仕事ができなかっ た, ③仕事のじゃまになった, ④職場の雰囲気に慣 れなかっ た, ⑤仲間との折合いがわるかった, ⑥馬鹿にされた, ⑦通勤時間がかかりすぎた, ⑧給. 料が安い, ⑨その他, から成り, 回答は, ⑥, ⑦が1名ずつ, ⑨その他では, 病気になっ たのでと いう回答があった. 転職の理由に関しては, 今回, 具体的な回答が得られなかった. (村の項目は就職について感 じることを, 調査対象者全員にたずねたものであり, 記述方式の回答 項目 である. その記述内容を以下に列記してみよう. ・中学部後半から, 能力別作業指導に力を入れてほしい.・障害者に理解ある会社, 従業員 である ことを望み, 月給よりも働くチャンスがほしい.・心身障害者の職業訓練所がほしい.・理解ある職 親がたくさんできることを望む.・通所施設をたくさんもう けて, 大勢の障害者が働けるようにして ほしい.・真面目に働くことが, 本人の将来につながると 思う.・公務員になれるような間口を確保. してほLい.・真面目で, 人に可愛がられるように, 父母も, 教師も指導すべき である.・親子共に 就職した気持ちになることが大切 である.・健康管理に気をつける.・軽度, 重度どちらにしても, 社会はつめたい. 本人も家族もつらく悲しいが, 頑張って働かせている.・障害児だけの職場がの ぞ. 58.

(12) . 精神遅滞児における特殊学級卒業後の動向 (1). ましい. 一般のところは, 雇い主の理解があってもうまくいかない . 6.未就職者の今後の方針に関する調査項目における回答状況 )の項目は, 現在就職していない卒業生 (高等養護学校在学者, 施設入所者等) の就職について @ たずねたものである. 対象は, 1型 (高等養護学校在学) 1型 (高等養護学校→施設) V型 (施 ,1 ,I. 設入所) I型 (就職→入院) X型 (職業訓練校→就職→入院) の卒業生で, 総数は43名 である ,V ,I . そのうち, 回答者は, 1型 (高等養護学校在学)1 1型(高等養護学校→施設)3名, IV型 (施 1名, 1. 設入所) 13名の計27名 (回答率62 .8%) である. 表7は,( かの項目の結果をまとめたものである. 全体的にみて, ①の「就職させたい」の項目が , やや回答数が多く, 4 0 .7%を占めている. 次いで, ③, ④の項目がほぼ同程度の割合で回答してい る. しかし, 内訳をみると, 各進路型によって, それぞれ特徴的傾向を示していることが指摘され る. たとえば, 1型 (高等養護学校在学) は, ① 「就職させたい」 が, 圧倒的に高く, 818%にも . 達している. 1 1型 (高等養護学校→施設) は, 回答数が少なく, 充分な検討ができないが ① 「就 , 職させたい」 が多い. I V型 (施設入所) は, ③ 「施設に入所させたい」 が圧倒的に高く ,6L5%に達 している. 次いで, ④「その他」の項目が38 %と多い 1型 5 ( 高等養護学校在学 ) の場合 . . , 「就職. させたい」 とする父母の気持ちは, 一般 的にみても, かなり納得させるものが多い 1 . 1型 (高等養 護学校→施設) I V型( 施設入所 )の場合 父母の気持ちを理解するに 充分な判断を持ちあわせ は , , ,. ていないが, 次に記述する回答者としての父母の意見が, ある意味では, 1 1型, I V型の特徴的傾 向 を強く反映しているように思われる. 以下に, その内容を書きとめ, 考察にかえたい . ・施設では, 毎年, 同程度の水準の指導内容で指導が行なわれるために, 慣れてしまうと 「安住 , の地」と化し, 居られるものならこのままずっと居ようという気持ちを起こさせ る ・授産施設等 で . は,作業をするとおこづかい程度のお金が施設から支給されるため,親子ともに 「施設という職場に 就職したのだ」 という気持ちを起こさせる.. 表7 今後の方針に関する調査項目と回答状況. 一 多 量でき 1型(高校在学) 1 1型(高校→施設) W型(施設入所) 計. ( )内は%. (力) 今後の子 どもの方針についての親の気持ち. ①就職させたい 9 (81 8) .. ②よいと最高ぎ巻愛ぽ 9,1) 1(. (0) 0. 2( 66 ,7). 0(0) 0(0). 1 40 1( ,7). 1( 3 .8). ③施設に入所させたい. ④その他. 0(0) 0(0). 1( 91 ). 61 8( 5) , 8( 29 6) ,. 38. 5( 5) 2 5.9) 7(. 1(3 3, 3). 7.そ の 他. 1) 結婚について F学級中学部卒業生の中で1名(女子) , 既婚者がいる. 結婚後の主婦としての生活や, 父母の結 婚に対する気持ちなどに関する回答を得たかったが, 返信されず, 今後の調査の課題としたい. 2) F学級中学部について F学級中学部卒業生の, F学級の指導の仕方や, 卒業後の指導に関する意見は, 多種 多様で, 子 どもの能力によって感じ方が異なり, ひとつの行事に対しても正反対の評価的意見がでている. こ. のようなことを考えあわせると, それぞれの意見がどの程度妥当性をもつか疑問も残るが父母の卒 直な意見としてここでは, まとめてF学級の性格を素描してみよう. 59.

(13) . 後藤 守・小笠原詠子. ◎F学級の指導の仕方について ・体力をつけてほしい.・普通学級との交流がほしい.・もう少しきびしく してほしい.・あたたか い指導でよい.・話し合いの場が多くあり, よい. ◎卒業後の指導について. しい.’年に1度ではなくて, 2, 3度会っ て, 子どもの話をきいて ・高等養護学校へ来訪してほ . , ほしい.・皆さんの近況を知りたい.・孤独になる親子のために, 気軽に訪ね, 相談できるとよい. これらの意見を通して, 全体的にみると, F学級は, 卒業生の心のよりどころとして, 卒業後も 交流の場として欲せられていることがわかる. 在学中の指導はあたたかく, 父母をも含めて指導し てく れたという意見が多か っ た. 父母との密接な関係を築こうとした学級の姿勢が感じられる。 ま た, 統合教育や交流教育な どの最近の動きを反映して, 普通学級との交流を希望する動きもあり, 今後, 新しい形でのF学級のあり方が求められている状況が推察される.. I V.今後の課題 今回の調査資料を検討する中で, 次の4点に渡る課題が今後さらに, 深め られる必要があると考 えられるので, 以下, 箇条書き的にまとめておきたい. 1.調査方法およ び調査項目に関する課題 まず第一に, 回答状況に関する問題があげられる. 今回の調査では, 返信率が6 3 .2%にとどまっ てい, る. 郵送方式による調査としては, 必ずしも低い回答率ではないが, 学級の卒業生の動向を細 やかに把握しようとした点では,予想を下まわる返信状況であっ た. このように,この質問紙の回収 が低率におわっ た原因のひとつは,調査方法および調査項目に問題があるように 思われる.質問紙を 用いて記入してもらう方法は,どう しても記入する側を身構えさせる傾向 が強くなると思われる.今 回は できるだけ選択肢方式の回答項目を組みこみ調査票を構成したが, 一 歩掘り下げを意図 した自 由記述の部分 はどう しても卒直に書くことから一歩退いた回答になっ てしまっ ているよう である. その点では, 直接会って面接調査方式による資料取りをした方が, より自由に表現され, 内容のあ るものになっ たの ではないかと思われる. しかし, その場合においても面識のない調査者が訪問す るよりも, たとえばF学級の卒業時の担任などが訪問するなどの工夫があれば, もっと内容のある 資料を収集する可能性が高まるように思われる.. また, 質問項目は, できるだけ回答しやすいように, 平易な文章を心がけたが, 果して, 調査対 象者全員に理解してもらえる だけわかりやすいもの であっ たかが問題である. また, たとえば 「就 職」 に関する項目 で, 質問理解をより深く してもらうために◎印と○印で回答するように指定する ・ 今後の調 など工夫してみたが, 回答の仕方が充分理解できない回答者が多かっ たように 思われる. 査では, 調査項目の洗練とあわせて, 回答者の側に立って細やかな配慮を組み入れた調査の進め方 を工夫していく必要がある. 2,調査の対象に関する課題. 本調査の対象は, す でにふれたように, 札幌市内の中学校F学級の, 昭和44年4月から昭和5 6年 3月ま での全卒業生であっ た. 今回は, 特殊学級卒業生の予後調査の第一段階として行なっ たもの であるために, 卒業生全員の動向把握を目的としたが, 次の段階としては, 各進路型の特徴的ケー. 60.

(14) . 精神遅滞児における特殊学級卒業後の動向 (1). スを抽出して, より具体的な調査を行なう必要があろう. その場 合, どのような対象を抽出するか が大きな課題のひとつである。 3,非返信者のフォ ロー・ダウンの必要性. 今後調査を進めていく場合, 一般的に見て, 返信者を対象にした方が、 非返信者を対象に した場 合よりも, 容易に行なわれることは, 充分予想される. それは, 返信者の場合, 今回の調 査 でも感. じられたように何らかの形で, F学級に卒業後も目を向けているためである. これに対して, 非返 信者は, 種々の事情があったり, 調 査による直接的見返りのないことなどからくる消極さとか, あ るいはすでに, F学級との関わりをこえているために, さらに, この種の調査を継続し, 接点をと ることはむずかしい. しかし, 非返信者の声が, 予後指導や社会的自立の道をさぐる上で, より有. 効性を持つ場合も充分考えられるので, それらのことに関する資料は, 不可欠のもののように思わ れる. その意味で, 非返信者を対象として, 逆にフォ ロー ダウンすることは, 今回の調査をさらに 掘り下げる上でも, さけて通ることのできない課題であるように 思われる. 第2次調査を計画する 中で, この課題について充分な検討を加えたい, r. 4,F学級の教育方針との関連. i. 今回の調査のように, F学級の卒業生を対象として卒業後の動向を明らかにすることは, F学級 の今後の教育方針を策定する上でも, きわめて重要な意味を持つように思われる. 今回の調査はこ の こ と に 充 分 耐 え 得 る 水 準 の も の に な ら なか っ た が, 今 後さ ら に, き め の こ ま か い フ ォ ロ ー ・ ア ッ. プを続ける中で, 学級と子どもをとりまく社会との機能的連関のあり方が明らかにされていくよう. に思われる, その意味で, 今回の調 査結果が, F学級という教育の場で, どのような形 で生かされ るべきか, 今後, 検討をする必要があるように思われる. そのことを通して, はじめて, 本調査研 究のもつ意味が実体化してくるように思われる,. あとがき 本調査研究は後藤の指導のもとに, 小笠原詠子が研究の全体計画を立案し, 調査の実施と資料の 分析を行なっ た. しかし, 本稿をまとめるにあたってはお互いに十分な討議を加えており, 両者の. 意見が一致したことがらに基づいて諸資料について考察が加えられている. 今回は, 第一次調査ということもあって, 特殊学級卒業生の動向の一端をとらえるにとどま っ た. が, 今後の研究の中 では課題として残されたことがらの掘り下げを通して, 卒業生の社会での適応 の状況を浮きぼりにしていきたいと考える. 今回の調 査 では進路型を中心に類型的アプローチを軸 として分析を試みたが, われわれが最も明らかにしていきたいと考えている卒業後の社会的自立の. プロセスを明らかにするためには, どうしても, 個々の子どもに焦点をあて, 時間軸にそっ て縦断 的に資料の収積をしていく必要がある. さらにまた, 社会的適応ということを考える場合, 子ども. (卒業生) のおかれている社会的場, 特に, 職場や生活場面の中での人間関係の様相についても目 を向けていく必要があるように思われる。 なぜなら, 適応とはその子どもの持ち味とそれを受容す. る環境との関数であり, 相互作用的な関係の中で規定されるものであると考えられるからである. われわれの研究はその緒についたばかりであり, 多くの問題が残されているが上記の視点を今後. の研究の中 で持ち続け, その子ども (卒業生) なりに生き生きとした活動ができる社会的場を支え. 61.

(15) . 後藤 守・小笠原詠子. ている要因を明らかに していきたいと考える.. 引用文献 ( 1 ) 2 ( ) ( 3 ) ( 4 ) ( 5 ). 特殊教育百年北海道記念会 ( ):北海道の特殊教育. 1 978 北海道教育委員会:北海道の特殊教育, 197 2~19 82年版 (パンフレット) . 飯田貞雄 ( 1 ):予後指導-就職者の追指導を中心として, 精神薄弱児研究, 13 96 9 0 2一79 ,7 . 行田忠雄 ( ):精神薄弱児の職業適性について, 精神薄弱児研究 7 19 64 5 4-8 , . 西脇佑五郎 ( ):中学校特殊学級卒業生の動向, 精神薄弱児研究 65 1 96 4 7 , 23一2 .. 参考文献. 1 ( ) 諏訪望・三宅和夫編著 ( 1 96 7 ):乳幼児の発達と精神衛生, 川島書店. ( 2 ) 広瀬恭子 ( ):特殊学級卒業者の予後調査, 特殊教育学研究第12巻第3号, 日本特殊教育学会2 1 97 5 1一4 1 , ( 3 ) 橋本厚生 ( ):心身障害者の職業に関する一考察,特殊教育学研究第1 1 97 8 6巻第2号,日本特殊教育学会3 9- 46 .. ( 4 ) 一宮俊一 ( 19 ):脳性マヒ者の職業に関する研究,特殊教育学研究第8巻第一号,日本特殊教育学会1 7 0 9一2 5 . ( 5 ) 山口 薫 ( 19 ):精神薄弱児の卒業後の予後について, 精神薄弱児研究, 15 59 , 6-9. ( 6 ) 手塚直樹 ( 19 9 ):知恵おくれを伴う障害者の雇用と職場適応, 相川書房. 7 (本学助教授, 後藤 守他1名・札幌分校). 62.

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参照

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