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高齢者の装いに関する被服行動 : カナダ・ハリファックス市における女性の場合を参考に

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Academic year: 2021

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(1)Title. 高齢者の装いに関する被服行動 : カナダ・ハリファックス市における女 性の場合を参考に. Author(s). 斎藤, 祥子. Citation. 北海道生涯学習研究 : 北海道教育大学生涯学習教育研究センター紀要, 3: 19-26. Issue Date. 2010-03. URL. http://s-ir.sap.hokkyodai.ac.jp/dspace/handle/123456789/2810. Rights. 本文ファイルはNIIから提供されたものである。. Hokkaido University of Education.

(2) “北海道生涯学習研究”北海道教育大学生涯学習教育研究センター紀要 第3号. 平成15年3月. ReportoftheResearchandEducationCenterforLiftlongLeaming−HokkaidoUniversityofEducationNo・3 March 2003. 高齢者の装いに関する被服行動 −カナダ・ハリファックス市における女性の場合を参考に−. 斎藤祥子 北海道教育大学函館校 社会文化情報課程文化分野・家政教育講座. ClothingBehaviorintheAgedPerson’sDress RelatedtotheCaseofCanadianWomeninHalifax. Sachiko SAITO HokkaidoUniversltyOfEducation,Hakodate CourseofInformationSocietyEducation・HomeEconomicsEducation. Abstract Thispapersearchesforthedirectionofclothingbehaviorinfuture,gettlngagraSPOfthe PreSentSituation,Withrelationtotherecent researchesorlglnatedine脆ctsfromdressand makeup.ThesurveyWaSmadeon25peopleofadvancedagelivinginHalifax City,by questions mainly asked about dress and makeup.As a result,they seemto have strong. intentiontopreservetheiryouthfulsensitivltyandtakepartinsocialactivities. This paperisintendedforwomen ofadvanced age through dress and makeupln their Clothingbehavior.Thisresearchmakesitclearthatit’snecessarytodevelopawiderangeof. items ofsalefrom viewpoints ofsensitivityforlivelyliving environment among aged. PeOPlewhohaveexperiencedvariouswaysofliftandhavewell−developedpersonality・ Keywords:高齢者の女性(Womenofadvancedage),ハリファックス(Halifax),被服行動 (ClothingBehavior). 1.目的 高齢社会の中で,高齢者が,心身共に快適に生活していく為には,何を手段とし何が実践させ ていかなければならないかを探っていく為の課題は多くある。生活の多面から既往研究の成果が 報告1)されてきており,その中でも高齢者の被服については,実用面からの研究成果が,家政学 等から得られてきている。高齢者の被服に対する意識は,消費面から見ると,積極的でなく,余 り新しい被服類を買わない2),色は地味にといった消極的な傾向が見られる。その為,企業側は,. 流行を追う若向きの商品類にターゲットを絞り高齢者向きのそれは,横に置いていた。デパー ト,スーパーでは,1980年代「シルバーコーナー」を設置した時期もあったが,現在は,存在し ない。どの時期に高齢者と若者とが違う意識を持つかには,個人差もある。一方,60歳以上のお. −19−.

(3) 斎藤 祥子. しゃれへの関心は高く,また,社会的活動をしている人の方がおしゃれへの関心が高い2)という 報告がある。近年,女性が,自ら選択する「装い」,「お化粧」による効果が,挙げられている。. 化粧については,先行研究に1981年から資生堂ビューティサイエンス研究所の助成を受けた10代 から40代に対する調査報告等3)もある。また,痴呆への良い効果がある等その効果についての報 告4)がある。何れも対人関係に積極的な態度が増すという結果である。この事実は高齢者にも共. 通した効果が期待出来るのではないか,と考えられる。女性は,ある時はお化粧を含める場合も あるが,装いに関する被服行動には,一日の生活のけじめをつける効果にも繋がりこれらは,人 との接触の機会を多く持つことになり対人関係にも積極的にさせる。. 筆者が,これまで,被服の歴史の聞き取り調査等で出会ってきた体験から日本の多くの高齢者 達は,年齢が高くなっていくと共に控えめになっていく被服行動に対して,欧米で,見かけた高 齢の女性達は,装いを楽しみいきいき感じられる。そこで2002年7月から10月まで北海道教育大 学函館校の交換教官として出かけた機会に調査を試みた。函館市と姉妹都市であるカナダ。ノバ スコシア州の州都ハリファックス市で質問項目を作りその回答から,その傾向を把握した資料を 参考に一外国での実態を把握していく。. 本論は,高齢者と着装との関わり,装いの効果,ハリファックス市の高齢者の実態の資料を参. 考に,被服行動が着用者の実用面を超えて装いに関する被服行動の中で感性を満足ということ は,心身共に快適に生きる事へと結びついていくのかについて,その手がかりを求めていった。. 2.方法 文献によって高齢者の被服行動が,心身共に快適に生きていくこと等,感性と関連するのかに ついて,本報では一般に男性より,装いに関心のある女性に的を絞りその関係を調べ,次に,洋 服の歴史を持つ外国女性の調査を加え,被服行動の実態を参考にすることにした。調査は,あら かじめ用意した質問によって行った。対象は,カナダり\リファックス市内の1人で買物の出来 る健康な高齢者,計25名である。. 3.高齢者と着装 着装の果たしている機能には,実生活上の機能と社会生活上の機能がある。初期の段階では, 自然環境条件が規制する,その上で,生活行動を起し,社会。経済構造条件が関わってくる。. 高齢者側から着装に関する実生活上の機能を見ると,皮膚の抵抗力が衰え,衣料などによる皮 膚の障害を起こしやすくなる。その為,下着類等について乳児服と共通の配慮が,また,加齢に 伴い運動機能が衰えてくる為,安全面からの配慮も必要となる。 構成上は,丈。幅のゆとり量が必要となり,前あきが良い,大きめのボタン,マジックテープ 等,着脱を楽にする工夫,生理上,実用上から機能性を優先する工夫等,具備項目が個人の健康 状態と意思を尊重し調整される必要がある5)。 以上の条件を満たした上で,高齢者の装いは,もう一歩進んで,実用面を超えて着用者の感性 を満足させることによって被服行動を広げることになるのではないかと推測される。. −20−.

(4) 高齢者の装いに関する被服行動. 4.日本の高齢者被服の現状と装い効果 すべての年齢層にわたり,男性よりも女性の方が被服行動に関心を持っている人の割合は高い が,富士香菜子等「新旧服装ファッションに関する女性の識別行動」の報告6)では,年齢が高く なるほど,衣服のシルエット等,流行の変遷に対する判断能力が,若い人よりも落ちてきている ことが,明らかにされている。高齢者の心理傾向を見ていくと,若者の多くは,「好みを持ってい る」に対してその割合は,加齢と共に低下していることと同じ傾向である。 人間の個性や趣味を着装によって表現するときには,着装の感性的な面がその役割を担うこと になる。. 筆者の研究室の調査等7)で,高齢者が既製服の購入動機に優先する項目には男性,女性共に「サ イズ」の次に2位に「色・柄」があげていた。また,着用時に特に注意する事として「おしゃれ」, 「場所」をあげていることからも社交の場を意識したファッションとして必要な項目を重視して. いることが明らかにされている。また,「北海道新聞」(1995年6月2日)の「暮らし・けいざい」 では60代から70代の女性の意見にも明るい色と心の楽しさとの関係の大切さが語られて,その中 で「おなか周りを中心に老人体形だから,合うものを探すと,自分の好きな,きれいな色合いが ない。地味なものが多くなる」と記されている。一方,女性の化粧も,心理的影響が認められ, 対人的積極性を増す効用をもたらす等報告4)され,その中で浜治世・浅井泉等の報告では,女性 の痴呆高齢者へ化粧を施した研究が行なわれ,その結果,口数が減り,落ちつきを見せるように なり,笑顔が見えるようになった,身だしなみに気を使うようになった,自ら美容院へ出かける 行動が出てきた等の効果が,現れてきた事が,紹介されている。こうした効果が,認められたの か,高齢社会と連動して,大学,専門学校の福祉関係科目にある家政学概論,家政学実習向けの 教科書,参考書用に刊行されている出版本の被服分野の内容にわずかながら「高齢者の装い」,「高 齢者とファッション」等の項目も入って来るようになった8)。そこで,こうした日本の現状に対 し,ハリファックス市に住む高齢者は,どのような被服行動がされているのかの若干の資料が得 られたので洋服のルーツを持つ外国での女性の被服行動の実態を参考にする。. 5.ハリファックスの高齢者調査 筆者の出かけた,2000年,ニューヨーク,2001年パリで見かけた高齢者には,装いから判断す. ると,日本の高齢者より,衣服に,明るい色を,着ており,お化粧をして,若々しく,美しく見 えた。どう違うのか,環境の違いか,しかし,実態を把握するには,実施上に,様々な障害があ. る。そこで,筆者が,2003年に3ケ月生活をする機会を得たイギリス,フランス等,様々な異文 化が混じっているカナダ・ハリファックス市に住む人たちを対象として,装い,化粧に関する質 問に答えていただき,現状を把握する事にしてみることにした。函館とハリファックスは,同じ 緯度にあり,海に面しているという自然条件に,共通の要因がある事。先にあげた,アメリカ,. ヨーロッパへの交通は,容易であり,その交流を含め,いささかの影響が,あるのではないかと いう推察の下に,25名の高齢者に答えていただく機会を得たので,この結果から,カナダのハリ ファックス在住の高齢者を対象に「装いの意識と行動」の傾向を把握することが出来た。 MELVILLEHEIGHTSは,高齢者用の集合住宅形式の施設である。高台にあり,下方には,海の. 見える緑に囲まれた建物で,個室には,扉に,自分の好みの飾りを施し,台所,寝室,居間等の 備わり恵まれた環境に高齢者達が住んでいる。. −21−.

(5) 斎藤 祥子. 写真 カナダ・/\リファックス市MELVJLLEHEIGHTSの3時のお茶の時間 1)調査対象. 25名中13名は,カナダのハリファックス(Halifax)の高齢者施設メルブィル ハイツ(MELVILLE HEIGHTS)に暮らしている人達であり,他の対象者は,個別に暮らしている人たちである。 2)調査結果 アンケートの中の回答の中から,特に,本論と関わることを要約していく。. Clothing(CustomsandManrlerS) Name,birthyear. Wherewereyouborn? Wheredidyougrowup? Howlonghaveyoulivedinthisarea? Doyouhaveajob?. IfYes・Whatkindofjob? Haveyouworkedinthepastoutsidethehome?. Whatkindofworkhaveyoudone?. 調査対象者,60歳代2人,70歳代2人,80歳代17人,90歳代4人であり,その中心は,80歳代が 調査対象の中心となる。25名中15名が,ノバスコシア州で育ち,カナダ以外の出身者は,4名で あった。. その中で現在職業を持っている人は,1人ということで,過去の職業での内容は,自由記述と. した025人中,専業主婦として,外で職業を持ったことの無い人は,25名中3人を除いて,大半 の人は,過去に外で職業を持っていた。. その職業の種類は,教員6名,看護婦3名,事務。秘書,保険事務。会計,歯科関連,共に2 名,販売,広告雑誌社,オフィスマネジャー,コンサルタント,ベビーシッター,郵便局員,不 動産が,各1名で,職業は,多岐にわたっていた。ここで,注目すべき事実は,1920年前後に於 いて,女性が仕事を持ち,活躍の場の機会が,存在した背景を推察出来ることである。. −22−.

(6) 高齢者の装いに関する被服行動. 質問1.帽子の使い方 Doyou usuallywearahat?. a)frequentlyb)occasionallyc)never, Ifa)frequentlyb)occasionally. Reason(a)fashion(b)protectionfromsun(c)other, 「帽子は,被りますか」に対して,「被る」は,2名,「時々被る」は,14名で,その目的は 「防寒・日よけ」が,17名であった。ほとんどの方が,おしゃれとは関係なく実用的な使い方 をしていた。. 質問2.髪について HowoftendoyougototheBeautySalon? once aweek,OnCeamOnth,OnCeayear,neVer,Other. 「美容室へ行く頻度」は,1週間から2週間に1回の割で出かける人は,25名中11名,1カ月 に1回が8名,全く出かけない人は,2名であった。常にみだしなみに心がけおしゃれに積極 的態度を持っておられると推測出来る。 Doyouusua11ydyeyourhair?. 髪は全員が,染めていなかった。外国では,生まれつき様々な髪の色であるせいか,髪の色は, 高齢になったからといって改めて染める事はしていなかった。 質問3.趣味について Whatkindofhobbiesdoyouhavenow?. 「趣味の種類」は,調査地の状況が把握出来できにくかったので,日本には考えられない答え も期待し,この項目も過去の職業種と共に,自由回答にした。その結果,幅広い趣味が把握で きた。. 全体で捉えて見ると,読書14名が,断然多い。編物10名,カードゲーム5名と続く。次の水 泳3名,散歩2名,料理2名のその他,少ない回答のあった中身を見ていくと,日記等書くこ. と2人,エクササイズ,描画,ボランテア,キルト,フックラグ,クラフト,TV,音楽,研究 各1人の回答であった。この内容からも身体を動かすより,身体を動かさないで,手を使うこ とが好まれていた。又,グループ活動か個人かという面から見ていくと,グループで行うもの として,トランプ,ボランテアで,実際は,グループでも出来るが1人でも出来る範囲の内容 であった。また,全体でみると1種類の趣味を持っている人が,39.3%,2種類が,21.7%,3種 類が,13.0%で,その他は,4種類以上の趣味を持っている人達であった。とかく引っ込みがち な80代前後の高齢者が,積極的に趣味を持っている様子が推測出来る。 質問4.着装について. 1)whatkindofclothesdoyouwearinyourhome? In summer OnepleCedress.Blouse・T” Inwinter Sweater,OnepleCedress.Blouse.−−−−. 2)whatkindofstreetclothesdoyouliketowear? 3)Doyouliketodressup?. −23一.

(7) 斎藤 祥子. a)frequentlyb)occasionallyc)never 4)Doyouwearpantstogooutorathome? In summer. a)frequentlyb)occasionallyc)never In winter. a)鮎quentlyb)occasionallyc)never Ifa)frequentlyb)occasionally reason(eg:PraCticaluseorfavorite?) 汀c)never reaSOn. 家では,夏は,ブラウスが.8名,ショ}トパンツ,スカート,Tシャツ共に,3名。冬,セ ータを着用している人が,11名,ブラウス4名,ハウスコート,スカート各々2名の回答があ った。「好きな外出着」は,スーツが,10名いたことから,着装には,日常着と区別し,着装と 生活との強い関わりを意識しておられることが推測出来る。ただし,この地方のス←ツへの解. 釈は,テーラード型のようなものばかりではなく,上下セットの着装と解釈している。また, 「装いをするか」に対して,「しない」と答えた人は,1名のみで,「頻繁にする」8名,「とき どき」16名の回答があったことから,ほとんどの方が着装で生活のけじめを明確にしている事 が伺える。. 家の中では,夏,冬共にパンツ・スラックスを着用されていたが,特に外出にもスラックス は,「頻繁にはく」という答えが夏,冬15名おり,実用的な服種が好まれていることが分かる。. 質問5.日常服。外出着の色と柄の嗜好傾向 1)whatisyourfavoritecolourtowearinyourstreetchothes?. 2)whatmainpatternSdoyoulikeinyourstreetchothes? 被服の色彩や柄については,日本家政学会色彩。意匠学部会会員による全国調査からの報告や. 日本色彩研究所が,1978年(昭和53年)以来毎年行っている調査から年齢が,高くなるにつれ て落ち着いた色・柄は,渋好みへと移行していく傾向になることが明らかにされている。ハリ ファックスでの調査では,日常に着る衣服の色は,育が9名,赤と緑が共に4名で,その他, 自然色 ピンク,黄色と明るい色を好んでいる様子が伺えた。濃紺,薄紫,黒のような暗い色 は,各1名であった。実用的色より色を楽しんでいる様子が伺える。 「どんな色の外出着が好きか」に対しての回答では,色の選択範囲が広かった。その中でも,. 育と赤の2色で,10名をしめていた。次に4名の回答のあった緑は,日本人には好かれていな い色である。赤が多いという事は,筆者が,町で見かける高齢者の服装の色から推測していた が,この数字から証明された。日本の女性の高齢者に,好かれる紫系の色,濃い紺,無彩色, 茶は,特に好まれていないようである。ベージュ,黄色のような特徴の無い色も好まれていな かった。. 高齢者の明るい色が好まれていた。また,柄は,無地10名の次に花柄6名,チェック,スト ライプ共に2名であった。. 高齢者には,心理的にも明るく楽しく保つ為の生活環境作りの一つに,着装の色は,明るく,. −24−.

(8) 高齢者の装いに関する被服行動. 優しい色,さわやかな色を選ぶのが理想的なのであるが,この地の高齢者では,実行されてい た。. 質問6.化粧について Doyouwearmakeupathome? Ifyouwearmakeup, Wouldyougooutsidewithoutyoumakeup?. a)frequentlyb)occasionallyc)never Whatkindofproductsdoyouuse?. (1)none(2)cleanser(3)moisturizer(4)fbundation(5)powder(6)eyeshadow. (7)eyeliner(8)eyebrowpencil(9)mascara(10)cheekblush(11)lipstick (12)nailpolish(13)other. 家で,お化粧をする人が,25名中11名であった。全体の44%で外出時にも,お化粧をしない人 が10人いて質問化粧をしなくとも外出をするかの問いに対しては,「頻繁にする」「ときどき」 合わせて13名で,外出時に化粧をする人が多くみられた。お化粧に対するこだわりが見える。 この結果は,気持ちの若さ,社会性が,感じられた。「使用する化粧品の数」は,3種類が,22・9 %,5種類が,22.7%,6種類,4種類,1種類が共に13.6%であった。「どんな化粧をするか」 について,複数回答であった。種類別に見ていくと,口紅が,一番多く19名,以下,化粧水・ 乳液,16名,おしろい,13名,爪にマニュキュア10名,ファンデーション,はほ紅8名,その 他の項目は,5件以下となっている。. 高齢者は,皮膚につやが無くなってくる,そこで,それを補う化粧品が,口紅,おしろい,. 爪にマニュキュア,ほほ紅,ファンデーションが,多く使われていた。外国の高齢者が,表情 と共に,肌が,明るく見えるのも多くの化粧品が,使われていることも影響していることがわ かる。. 6.まとめ 企業側にとって利潤が期待出来ない現状で,生活の多面から調査されている既報告の理想案 は,消費者対象が圧倒的に高年齢層が多くなるという時代がくるまでは,現実化は難しい。 そこで,本論では,高齢者と着装との関わり,装いの効果,ハリファックス市の高齢者の実態 を参考に,被服行動が着用者の実用面を超えて装いという感性を満足ということは,心身共に快 適に生きる事へと結びついていくのかについて,その手がかりを求めていった。 着装の歴史を洋服に持つ人達の着装を参考にしていく。ハリファックスの調査から,着装につ いては,夏,冬共に実用的なパンツ・スラックス等を着用しているが,外出着に,スーツを好み, 正装に対しては,多くの方が「する」と答えていることから着装で生活のけじめを明確にしてい る事が伺えた。色は,加齢に伴い,肌に艶がなってくる為,顔うつりの良い明るく,優しい色, さわやかな色を選ぶようにする事が理想とされているが,高齢者は,日本の場合とかく選ぶ色を 限定しがちである。その理由として,考えられるのは,昭和20年迄の着装に対する規範の教育や 和服を日常着にしていた祖母や母親を見てきた時代を持つ日本の高齢者の感覚とも関係があるの ではないかと考える。一方,洋服の歴史を持つハリファックス市の高齢者は,幅広く色を選んで. −25−.

(9) 斎藤 祥子. いた。. 生活水準の向上と共に,被服,化粧を含め装いに対し関心が高まり,ますます広い範囲の商品 選択が要求されてくる。着用者の個性や趣味を被服によって表現する時には,感性的な面がその 役割を担うことになる。そこで,高齢者被服を改革していくには,まず,高齢者の体型をいくつ かの種類にわけ,えり,背中の特殊性を考慮し原色の色艶柄のなかにトーンをおさえた色調も 加えた幅広い選択の出来る布を揃え幾種類ものデザイン等,色・柄の違う被服が用意されるべき である0体型,生理と共に感性面で個性が様々である高齢者の体型にちかく工夫したマネキンを 作り,青年・成人と同じ様にウインドウに展示する。その時,あくまで従来の高齢者らしい被服 というのでなく青年。成人もその被服の選択の範囲に入るような被服を展示出来るような状態に する。. 高齢者が,装いに関心を持つという事は,人との接触の機会を多くし,1日の生活のけじめを つけることになり,いきいきと生活していける事にも繋がっていることが明らかになった。. 本論によって,既往研究の無いハリファックス市での調査であった為に,範囲を限定して調査 を行い,本論の目的に合わせた結果を報告したが,今後の調査への先鞭をつけたことに意義があ った。. 今後の課題は,男性を含めての同調査を実施し,日本での調査と比較していくことから具体化 の方向へ,向ける事が出来る。 なお,本論文における調査では,ハリファックス市に何度もきておられ事情に詳しい千葉県市 川市にお住まいの岡崎二三(つぎみ)さんの御協力を得て高齢者の施設で,一日体験をさせてい ただき,高齢者の方に回答を得る機会が持てましたこと。また,ハリファックス市在住の語学学. 校教師,シーラ モリソン(Sheila Morrison)さんにも知り合いの方を紹介していただくことで 25名のご意見をいただく事が出来ました。この場をおかりして感謝致します。. 参考q引用文献 1)高木監修 大坊郁夫。神山進編集『被服と化粧の社会心理学』2001年北大路書房 2)経済企画庁編『平成12年版 国民生活白書』2000年11月 p182∼185 3)松井豊「化粧の心理学①」『衣生活研究』No17,p381990年 4)近藤勉『よくわかる高齢者の心理』p129∼p130 2001年 ナカニシヤ出版 5)斎藤祥子『被服デザインを中心にした衣生活の指導』p59∼p60 2002年 教育図書 6)富士香菜子。酒井哲也・酒井豊子「新旧服装ファッションに関する女性の識別行動」『日本家 政学会誌』Vbl.47No6 p589−5971996年, 7)平成元年度・卒業論文 中田美紀子『高齢者衣服の研究』,平成9年度。卒業論文大谷寛子 『高齢者の衣生活研究』. 8)酒井豊子編『家政学概論』p99∼plOl1997年 メジカルフレンド社,等. ー26−.

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