次の文を読んで後の問に答えなさい。 私 た ち 日 本 人 に は、 「 で1 ん え ん 風 景 」と い う 言 葉 か ら 思 い 浮 か ぶ け2 し き があります。そこには、山や畑があり、一面の水田が広がっているもの が多いでしょう。この風景の中にある水田には、イネがみごとに同じよう な背丈に成長しています 。 イネは、そろって成長するように栽培されてい るのです。 こ① の よ う に 栽 培 さ れ る た め に は、 い② ろ い ろ な 工 夫 が な さ れ て い ま す 。 「 ど の よ う な 工 夫 が な さ れ て い る の だ ろ う か 」と か、 「 成 長 を そ ろ え る こ と は、何の役に立つのだろうか」 との 〝ふしぎ 〟が浮かんできます 。 近年のイネの栽培では、田植えをせずに田んぼにイネのタネを直接まく 「 直 じか 播 ま き 」と い う 方 法 が 多 く 試3 み ら れ て い ま す。 し か し、 日 本 の で4 ん と う 的 な 稲 作 で は、 苗 なわしろ 代 で 育 て た 苗 を 水 田 に 植 え る「 田 植 え 」と い う 方 法 が 行われてきました。 イネ の苗の成長をそろえるための最初の工夫は、田植えで植える苗を育 てるためのタネを選別することです。その方法は、少し塩を含んだ水にタ ネを浸すのです。栄養の詰まっていないタネは浮かびます。 発芽したあとの苗がよく育つタネは、栄養を十分に含んでいるので、重 いのです。そのため、少し塩を含んだ水に浸すと沈みます。そこで、沈ん だタネだけが、苗代で苗を育てるために用いられます。 イネの苗の成長をそろえるための二つ目の工夫は、苗代で育てることで す。発芽した芽生えは苗代で育ちますが、ここで芽生えの成長に差が生じ ることがあります。極端に成長が遅れるような苗は、田植えには使われま せん。ですから、田植えでは、同じように元気に成長した苗が植えられる ことになります。 「
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」と の 疑 問 が も た れ ま す。 こ れ は、 確 実 に 決 め ら れ た 本 数 の 苗が田んぼでそろって成長するためです。田植えでは、苗代で育った苗の 中から、同じように成長した元気な苗を、たとえば、一箇所に三本ずつを セットにして植えられます。そうすれば、確実に三本の苗を育てることが できます。 もし苗を植える代わりにタネをまけば、 すべてが発芽し、 それらの苗が、 同 じ よ う に 成 長 す る とa は 限 り ま せ ん 。 発 芽 し な い タ ネ が あ っ た り、 極 端 に成長が遅れる苗などが混じっていたりします。田植えをすることによっ て、 そ③ うなること を避けているのです。 で も、 も④ う 一 つ 大 切 な 理 由 が あ り ま す。 同 じ よ う に 成 長 し た 苗 を 選 ん で植えることができれば、田植えが終わったあとの水田では、苗の成長が きちんとそろいます。このように成長すれば、すべての株がいっせいに花 が咲き、それらはいっせいに受粉し、いっせいにイネが実ります。そうす ると、いっせいに株を刈り取ることができます。 稲 刈 り は、 一 面 の 田 ん ぼ で い っ せ い に 行 わ れ ま す。 も し 未⑤ 熟 な も の と 成熟したもの が混じっていると、未熟なものは食べられませんから、いっ せいに刈り取ることはできません。稲刈りで、いっせいに成熟した穂を刈 り取るためには、 イネは成長をそろえることが大切なのです。そのために、 田植えが行われているのです 。 田植えでは、もう一つ、気をつけられていることがあります。同じよう な間隔を置いた場所に、苗が植えられることです 。 これは、苗が成長したときに、過密にならないようにするためです。 「 」との疑問があ る かもしれません。 植物の栽培では、 ある一定の面積では、 収穫できる量に限度があります。 多くの収穫量を得ようとして、一定の面積に多くの株を植えても、収穫量 は増えないということです。
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ダイコンやシュンギクなどのタネをまくとき、多すぎると思うほどのタ ネをまくことを知っている人もいます。そのようなタネのまき方をするこ とはありますが、 その場合には、 出てきた芽生えの中から、 何日かごとに、 成長のよくないものを抜き取っていきます。これは、 「間引き」 とよばれる 作業です。 間引きすることで、 て5 きせつ な株の数に 調 ア 節 しているのです。間引 きされた芽生えは、食べられます 。 ですから、多くのタネをまくのは、間 引きして食べながら、元気な苗を選んで育てるという栽培法なのです 。 イネの花は、タネをつくるために咲きます 。 イネのタネは、お米です。 田んぼにお米が実っているのを見かけることはあります 。 ところが、 イネ の花を見かけることはあまりありません。 ですから、イネの花を思い浮かべることができる人は少ないのです。そ こ で、 「 イ ネ の 花 っ て、 ど ん な 花 な の か 」と い う〝 ふ し ぎ 〟が 浮 か び ま す 。 イネ は、 花の存在を 〝 ひみつ 〟にしているわけではないでしょうが、 なぜか、 イネの花はよく知られていません。 花を咲かせる植物には、いろいろな種類があります。植物は、その特徴 から、よく に6 たもの同士として 「科」 という仲間のグループに分けられま す。多くの植物が ぞ7 くする グループには、 よく知られているものとして、 バラ科、キク科、 マメ科 などがあります 。 バラ科の植物には、ウメやモモ、サクラやリンゴなどがあります。キク 科の植物には、タンポポ、ヒマワリ、コスモスなどがあります。マメ科の 植物には、 ダイズやエンドウ、 ラッカセイやインゲンマメなどがあります。 こ れ ら の 多 く は、 美 し く き れ い な、 か8 ん し ょ う で き る よ う な 花 を 咲 か せ ます 。 こ れ ら の 花 に は、 花 び ら( 花 弁 ) が あ り ま す。 こ れ ら の 花 と イ ネ の 花 の 大きな違いは、 イ ネの花には花びらがない ことです。美しくきれいな花び らの役割は、花粉を運んでもらうために、ハチやチョウなどの虫を誘い込 むことです。 イ ⑥ ネ の 花 に 花 び ら が な い と い う こ と は、 ハ チ や チ ョ ウ に 花 粉 の 移 動 を 託 たく さないということです。では、 「イネは、花粉の移動をどうするのか」 と の疑問が浮かびます。 イネ は、ハチやチョウなどの虫ではなく、風に花粉 を運んでもらう植物なのです。そのため、ハチやチョウに目立つ必要がな いので、花びらをもっていないのです。 イネ では、五ミリメートルぐらいの小さな花が穂のように 密イ に 並んで 咲きます 。 一つの花には、六本のオシベと一本のメシベがあります。開花 している時間は短く、多くの品種で、午前中の二時間くらいです。 「その ような性質なら、 花粉がつきにくいので、 お米ができにくいのではないか」 との思いが浮かびます。 オ シ ベ に で き る 花 粉 の 移 動 を 風 に 託 し て い る だ け で は、 イ⑦ ネ は 不 安 な のでしょう 。そこで、イネは、風に託す だb けではなく 、 開⑧ 花するときにⅡ
自 分 の 花 粉 が 自 分 の メ シ ベ に つ い て タ ネ( お 米 )が で き る と い う 性 質 を も ち合わせています 。 本ウ 来 、植物は、 「自分の花粉を自分のメシベにつけてタネをつくる」 とい う こ と を の9 ぞ ん で い ま せ ん。 そ の よ う に し て 子 ど も を つ く る と、 自 分 と 同じような性質の子どもばかりが生まれます。もしそうなら、いろいろな 環 境 の 中 で 生 き て い け ま せ ん。 し か し、 栽 培 さ れ る イ ネ は、 「 自 分 の 花 粉 を自分のメシベにつけてタネをつくる」 という性質をもっています。 な ぜ な ら、 私 た ち 人 間 が イ ネ を 栽 培 す る か 10 て い で、 そ の 性 質 を 身 に つ けた品種を育ててきたからです。花が咲けば、ほぼ確実にお米が実るから で す。 そ の 結 果、 イ⑨ ネ は、 栽 培 を す る 私 た ち に 都 合 の よ い 作 物 に な っ て います 。 (『植物のひみつ」 田中修 中央公論新社) 一、 1〜 10の ひ ら が な は 漢 字 に、 漢 字 は ひ ら が な に 直 しなさい。 (送りがなも書くこと) 1 でんえん 6 にる 2 けしき 7 ぞくする 3 試みる 8 かんしょう 4 でんとう 9 のぞむ 5 てきせつ 10 かてい 二、 ア・イ・ウの意味を書きなさい。 ア 調節 イ 密に ウ 本来 三、 a・ bのことばを使って短文を書きなさい。 (主語を必ずい れること) a とは限らない b だけではなく
四、 次の問いに答えなさい。 問 1 ①「 こ の よ う に 栽 培 さ れ る 」と あ り ま す が、 何 が ど の よ う に 栽培されることですか。二十五字以内で説明しなさい。 問 2 ②「 い ろ い ろ な 工 夫 」と あ り ま す が、 様 々 な 工 夫 の う ち、 「 イ ネ の タ ネ 」に 関 し て は ど の よ う な 工 夫 が 行 わ れ て い ま す か。 そ の 具 体的な方法をふまえて説明しなさい。 問 3 文 中 の
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に は、 筆 者 の 考 え る 疑 問 が は い り ま す。 空 欄 に 入 れ る「 疑 問 」と し て 最 も ふ さ わ し い も の を そ れ ぞ れ 選 び 記 号 で答えなさい。 ア なぜ、田植えでは芽生えの成長に差が生じるのか イ 過密にすると、何が困るのか ウ なぜ、わざわざ田植えをして植えるのか エ なぜ、過密になった穂をいっせいに刈り取るのか 問 4 ③「 そ う な る こ と 」と は、 ど の よ う に な る こ と で す か。 説 明 しなさい。 問 5 ④「 も う 一 つ 大 切 な 理 由 」と あ り ま す が、 そ れ は な ん で す か。 説明しなさい 。 問 6 ⑤「 未 熟 な も の と 成 熟 し た も の 」と あ り ま す が、 「 未 熟 」と 「 成 熟 」は 対 義 語( 意 味 が 反 対 か 対 に な る 言 葉 )で す 。 次 に あ げ る 語 句 の 対義語を漢字で書きなさい。 1 簡単 2 拡大 3 正常 4 消極問 7 には、 次のア〜エの文が入ります。正しい順序に並びかえて、 記号で答えなさい。 ア また、健全に育つはずの株が、無理な競争で、ヒョロヒョロと 背丈が高くなりすぎたりしてしまいます。 イ 多くの株が密に植えられると、それぞれの株が、養分や光の奪 い合いの競争をしなければなりません。 ウ ですから、田植えでは、田んぼの面積に応じて適切な株数が植 えられているのです。 エ その結果、競争に負けた株は、成長が遅れたり、成長すること ができずに枯れたりしてしまいます。 問 8 ⑥「 イ ネ の 花 に 花 び ら が な い 」の は な ぜ で す か。 説 明 し な さ い。 問 9 ⑦「 イ ネ は 不 安 な の で し ょ う 」と あ り ま す が、 ど の よ う な 不 安ですか。説明しなさい。 問 10 ⑧「 開 花 す る と き に 自 分 の 花 粉 が 自 分 の メ シ ベ に つ い て タ ネ ( お 米 )が で き る と い う 性 質 を も ち 合 わ せ て い ま す 」と あ り ま す が、 栽 培 さ れ る イ ネ が こ の よ う な 性 質 を も っ た の は な ぜ で す か。 説 明 し なさい。 問 11 ⑨「 イ ネ は、 栽 培 す る 私 た ち に 都 合 の よ い 作 物 に な っ て い ま す 」と あ り ま す が、 こ の よ う に 自 然 を 自 分 た ち の 都 合 の よ い よ う に 変 え て い く 人 び と の 行 い に つ い て ど の よ う に 考 え ま す か。 「 賛 成 」か 「 反 対 」か、 立 場 を 明 ら か に し な が ら、 あ な た の 意 見 と そ の 理 由 を 一〇 〇 字以内で書きなさい。 問 12 この文章の表現上の 特 とくちょう 徴 として最もふさわしいものを次の選択肢の 中から選び記号で答えなさい。 ア 疑問とその答えを繰り返しながら、さまざまなふしぎが関連付 けられ、筋道立てて文章が展開している。 イ 筆者の実体験を様々な角度から調べて確認し、植物の多様な姿 を明らかにしている。 ウ 様々な例えを効果的に繰り返しながら、わかりにくい植物の世 界を具体的に理解しやすいように説明している。 エ 筆者の植物への強い関心と愛情を前面に押し出した豊かな表現 で植物の魅力を説明している。