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秋吉台におけるカルスト地形から推定した土壌流出 ―若竹山,長じゃくりウバーレの事例―

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Academic year: 2021

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(1)

本研究では,ピナクル表面にみられるノッチ状凹地の 存在や,土壌中の溶食作用で形成されたルンドカレンが 現在地表面上で観察されることに着目し,台地上におけ る土壌流出や土壌の堆積(集積)のパターンをピナクル やカレンの形態から推定しようと試みた. これまで秋吉台において,カルスト地形と土壌流出の 関係を論じた報告は守田(1964)がある.この論文によ れば,ピナクルに形成された凹みが現在の地表面より高 い部分にあることは,土壌侵食を受けた結果であり,こ れより下方には残滓土の堆積によってピナクルが被覆さ れると指摘している. さらに,浜田・三浦(1970)では,ピナクルに形成さ れた凹みを溶食くびれと呼び,現在の地表面より1.0 ∼ 1.5m の高さに多く存在するという.多くのピナクルに おいて溶食くびれを境として,その上方と下方で溶食形 態上の明瞭な差を示すことを指摘し,かつて地表面が相 当期間安定した時代があったことと,その後乾燥→多 雨,森林→裸地など土壌層を低下させるような侵食条件 の著しい変化があったことと示唆している.ただし,こ 1.はじめに 秋吉台は,ドリーネやピナクルが多数存在する日本最 大の湿潤温帯カルストである.ピナクルの表面には,降 雨や地下水の溶食作用により様々な形態のカレンが形成 されている. 秋吉台におけるピナクル表面には,主に頂部からリレ ンカレン(rillenkarren),リップル状カレン(solution ripples),ルンドカレン(rundkarren)の3種類がみられ る.リレンカレンとは,石灰岩に直接降雨が降り注ぎ形 成される溝状の微地形であり,Sweeting(1972)によれ ば40 ∼80°の斜面に形成されるという.リップル状カレ ンとはJennings(1971)による分類であり,20 ∼ 30°程 度から垂直の面に形成されるうろこ状の溶食微地形であ る.ルンドカレンとは,Sweeting(1972)による分類で, 土壌被覆下で形成され,地表に長く露出した石灰岩に比 べて白色で滑らかな面を呈す.すなわち,ルンドカレン を覆っていた表層土壌が何らかの要因で流出し地表上に 露出すると,ルンドカレンの上にリレンカレンやリップ ル状カレンが形成される.

羽 田 麻 美

The term karren is widely used to describe small-scale dissolution pits, grooves, and channel formations on calcare-ous rocks either at the surface level or underground. In the Akiyoshi-dai Plateau, karrenfeld, which is the morphology of pinnacles of karren formed on the surface, are well developed. In order to clarify the processes of soil erosion, field mea-surements of pinnacles and karren were conducted. The results are as follows: rundkarren, which were formed in the soil, were observed. By analyzing the shape and distribution of karren and pinnacles in this area, it was estimated that soil erosion has occurred at least twice.

Keywords : Akiyoshi-dai Plateau, karst, pinnacle, karren, soil erosion

秋吉台におけるカルスト地形から推定した土壌流出

―若竹山,長じゃくりウバーレの事例―

Soil Erosion Estimated by Karst Morphology in Akiyoshi-dai Plateau, Southwest Japan:

A Case Study of Nagajakuri-Uvala, Watatakeyama

Asami HADA

(Accepted November 16, 2013)

Department of Geography, College of Humanities and Sciences, Nihon University: 3−25−40 Sakurajosui, Setagaya−ku, Tokyo, 156−8550 Japan * 日本大学文理学部地理学教室:

(2)

れらの報告においては現象の記載にとどまり,カルスト 台地のどの場所で,これら土壌の侵食・堆積パターンが みられるのかについては言及されていない. したがって,本研究では,カルスト台地上での表層土 壌はドリーネ(またはウバーレ)底にある吸い込み穴へ と移動していくことを踏まえ,秋吉台における一つのウ バーレを選定し,ウバーレ内部における土壌移動パター ンを明らかにすることを試みた. 2.調査地域概要 秋吉台では,これまで標高や洞窟高度との対比を用い たさまざまな地形面区分がなされてきた.浜田・三浦 (1970)が上下の 2 段の地形面に区分して以降,河野 (1972),藤井ほか(1973),三浦・浜田(1981),河野編 (1980),三浦(1985)では,次のように5 ∼ 6 面に区分 され,現在までこの分類が支持されている.高位から地 獄台面(標高410 ∼370m),真名ヶ岳面(350 ∼320m), 長者ヶ森面(310 ∼ 280m),若竹原面(260 ∼ 240m), 経塚面(220 ∼180m)である.さらに三浦(1985)では, 大判山面(160 ∼ 130m)を低位面として区分している. 真名ヶ岳面と長者ヶ森面では砂礫層が確認され,地獄台 面は鮮新世後期,真名ヶ岳面は鮮新世末∼更新世前期, 長者ヶ森面と若竹原面は更新世中期,経塚面は更新世中 期末であると考えられている. 本調査地域は,このうち低位面である若竹原面に相当 する若竹山(標高253.4m)の南西斜面から,長じゃくり ウバーレにかけての斜面を選定した(図1).この地域は ドリーネが多く起伏に富むため表面の土壌が流出してお り,カレンフェルドが形成され,ルンドカレンが多く観 察される.また,高位面である地獄台に比べるとピナク ルの規模は小さく,節理による風化程度は低い.以上の 点から本地域を調査地域に選定し,長じゃくりウバーレ の南向き斜面(写真1)と北西向き斜面(写真2)にて調 査をおこなった. 調査地域における石灰岩の地質年代はペルム紀前期で ある.秋吉台におけるアメダスによる気象観測結果 (1981 ∼ 2010 年)によると,年降水量は1994.7mm,平 均気温は13.6℃,秋吉台科学博物館(1995)による平均 降雪量は0.99mである. 3.調査方法 調査地域に選定した二つの斜面の位置と,ピナクルの 分布を図2 に示した.さらに,図 3 には,地形断面図を 作成し,およその斜面勾配を求めた.これによると,南

調査地域

国土地理院発行 1:25,000 地形図「秋吉台」に加筆 1 km 0 図1 調査対象地域

(3)

向き斜面ではウバーレ底の標高約185 ∼ 210m までが 35°,210 ∼ 230m までが 30°,230 ∼ 240m までが 15°, 240m ∼若竹山山頂までが 10°であった.230m 付近にあ る等高線に沿って作られた遊歩道を境に,傾斜は大きく 変化しているが,この傾斜変換点がウバーレの最高部に あたる.北西向き斜面では,ウバーレ底∼210m が 40°, 210 ∼ 220m までが 25°,220 ∼ 230m までが 5°となって いる.また北西向き斜面の標高190m 付近には,高さ 1 ∼4m,幅数 10m に及ぶ石灰岩の崖が存在する.この様 子からも,近くに吸い込み穴があり,表層土壌が流出し ていることが想定される. 測定項目は,以下の通りである.はじめに,二つの斜 面におけるピナクルの分布を把握するため,ハンドレベ ルを用いて各ピナクルの標高を測定した.次に,各ピナ クルについて,その形状および形成されているカレンの 種類と,形成場所(地表からの高さ)を計測した.測定 箇所については図4 に模式図を示した.また,本調査地 域における典型的なピナクルの形状を写真3 に示した. ピナクルの高さは山側とウバーレ底側の2 ヶ所を計測 し,ピナクルの幅はウバーレ底からみた際の横幅とし, 同様にウバーレ底からみた際の奥行きを測定した.ま た,ピナクル表面に形成されているカレンの地表からの 若竹山山頂 遊歩道 ( ウバーレ谷壁斜面最上部 ) 地点 1 遊歩道 ( ウバーレ谷壁斜面最上部 ) 地点 2 写真1 南向き斜面における調査地域 写真2 北西向き斜面における調査地域 図2 長じゃくりウバーレにおける本調査地域

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高さ(山側とウバーレ底側)を計測した. 4.調査結果 4.1 カレンの形状から分類したピナクルのタイプ分け カレンの形状をもとに,調査地域におけるピナクルの タイプ分けをおこない図5 に示した A ∼ I の 9 通りに分 類した.ピナクル頂部にリレンカレンがあるもの(A,B, C,Dタイプ),頂部にリップル状カレンがあるもの(E, F,G,Hタイプ)に二分される.なお,Iタイプは本調査 地域にはみることができなかったが,地表に露出したば かりのピナクルの原型としてタイプ分けをおこなった. また,B,C,D,F,Hタイプには斜面上流側に土壌の堆 積がみられたため,それぞれB埋没,C埋没,D埋没,F 埋没,H埋没タイプを追加した. ピナクル頂部には,ピナクルのもつ傾斜によってリレ ンカレンまたはリップル状カレンが形成される.した がって,同一のピナクル内においても斜面勾配が違え ば,場所により異なるカレンが形成される.そのため,

地点 1( 南向き斜面 )

地点 2( 北西向き斜面 )

若竹山 遊歩道 ウバーレ底 遊歩道 250 200 190 240 230 220 210 標高 ( m ) 200 190 230 220 210 35° 30° 15° 10° 40° 25° 100 (m) 0 土壌 ルンドカレン リップル状カレン リレンカレン 山側 ウバーレ底側 ※ウバーレ底からみた奥行 ※ウバーレ底  からみた幅 高さ 高さ 奥行 幅 図3 調査地域の地形断面 図4 本調査地域におけるカレンの形状と測定箇所 写真3 ピナクルに形成された溶食微地形(カレン)

(5)

ドカレンをもつA タイプや E タイプが多く出現する.標 高240m以上の若竹山斜面(傾斜10°)では,Dタイプを 含みつつもHタイプが多くを占める. 地点2 の北西向き斜面は,地点 1 に比べると,斜面全 域にほぼ均一にピナクルが露出している.ウバーレ底∼ 210mの斜面(傾斜40°)には主にF埋没タイプがみられ, 210 ∼ 220m の斜面(傾斜25°)にはD 埋没タイプ,H 埋 没タイプがみられる.220m以上の緩斜面(傾斜5°)には 様々なタイプがみられる. 4.3 標高別にみたピナクルの高さ 図7 は,各斜面におけるピナクルの高さおよび斜面勾 配を標高別に示した図である.図中の赤いドットが山側 (上流側)を,青いドットがウバーレ底側(下流側)のピ ナクルの高さを表す.地点1 をみると,ウバーレ底の方 が山側に比べて高さが大きく,斜面勾配が大きく変化す る標高230m付近に,2mを超える大きなピナクルがみら れる.また,山側では標高220m 付近まではピナクルは 土壌によって埋没している(すなわち図中ではピナクル の高さは0cmと示される).そして,220mより高い地点 では上流からの堆積土壌が少なく,山側に高さがあらわ 同一ピナクルに複数のカレンが形成されている場合は, 卓越する方のカレンでタイプ分けをおこなった. 4.2 調査地域におけるピナクルのタイプ別分布 図6 は,図 5 のタイプ分けに基づき,調査地域におけ るピナクルの分布を示したものである.調査地域には, ウバーレの谷壁斜面からウバーレ底部にかけて数多くの ピナクルが露出している.しかし,ウバーレの谷壁斜面 上の方が多く露出し,ウバーレ底付近の標高200m 以下 にはあまり露出していない.両地点ともに,ウバーレ底 から標高220m まではピナクルの山側で,上流からの土 壌による埋没が起きている. 地点毎にみると,地点1 の南向き斜面では分布にばら つきがみられ,標高230m 付近にピナクルが多く露出し ているのがわかる.この付近は,図3 より傾斜変換点に なっていることがわかり,そのためピナクルの露出が多 いと考えられる.また,ウバーレ底∼標高200m付近(傾 斜35°)まではH埋没タイプであり,200 ∼220m付近(傾 斜35 ∼ 30°)では H 埋没タイプが多少混在しながらも F 埋没タイプが多くを占める.そして220 ∼ 235m(傾斜 30 ∼ 15°)ではタイプにばらつきがありながらも,ルン 7 1 2 34 5 6 7 89 10 11 1213 14 15 1619 17 18 20 21 22 23 25 24 26 27 29 28 30 3132 34 33 35 36 37 38 39 40 41 43 42 44 45 47 48 46 49 50 51 52 53 54 55 5657 58 5961 60 62 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 25 24 26 27 28 図6 本調査地域におけるピナクルの分布と形態 図5 本調査地域におけるピナクルのタイプ分け

(6)

れる. 地点2 でも同様のことが指摘される.斜面勾配が 5°か ら25°へと大きく変化する標高 220m を境に,ほとんど のピナクルは標高220m 以下においてピナクルの山側部 分が埋没している. 4.4 標高別にみたカレンの高さ分布 それぞれのピナクルにおいて,計測したカレンの地表 面からの高度分布を,図8 に示した.図中の赤線がリレ ンカレン,オレンジ線がリップル状カレン,緑線がルン ドカレンの上にリップル状カレンが形成されたもの,青 ウバーレ底側 山側

地点 2(北西向き斜面)

ウバーレ底側 山側

地点 1( 南向き斜面 )

180

190

200

210

220

230

240

250

260

0

50

100

150

200

250

300

350

400

450

(m

)

ピナクルの高さ(cm)

180

190

200

210

220

230

240

250

260

0

50

100

150

200

250

300

350

400

450

(m

)

ピナクルの高さ

(cm)

5°斜面 25°斜面 40°斜面 10°斜面 15°斜面 30°斜面 35°斜面 図7 標高別にみたピナクルの高さ

(7)

までのピナクルは,地表からピナクル頂部に至るまでが 全てリップル状カレンである.リレンカレンは,標高 220m以上のピナクルにのみ形成されている. 地点2 では,全体的にリップル状カレンが多くを占め 線がルンドカレンを示し,ピナクル毎に地表面からの高 度分布を示した. 地点1 では,標高 230m 付近の傾斜変換点にルンドカ レンが多くみられる.また,ウバーレ底から標高200m 地点 1( 南向き斜面 ) 180 190 200 210 220 230 240 250 260 0 50 100 150 200 250 300 350 400 450 0 50 100 150 200 250 300 350 400 450 180 190 200 210 220 230 240 250 260 各カレンの高さ (cm) 標高 (m) < 凡例 >     リレンカレン     リップル状カレン     ルンドカレン + リップル状カレン     ルンドカレン 地点 2(北西向き斜面) 各カレンの高さ (cm) 標高 (m) < 凡例 >     リレンカレン     リップル状カレン     ルンドカレン + リップル状カレン     ルンドカレン ● ● ○ ◆ ◇ ○ ◇ ◆ 図8 各斜面におけるカレンの高さ分布

(8)

て い る. ま た, ル ン ド カ レ ン は 地 点1 と同様に標高 200m 以上に,リレンカレンは標高約 210m 以上の斜面 にみられる. 5.まとめ ピナクルに形成されているカレンの形態から,ピナク ルの形状をA ∼ I の 9 タイプに分類し,調査地域におけ る土壌の流出・堆積過程を考察した.ピナクルの形状, 特にルンドカレンの露出は土壌の移動とその堆積により 決まり,斜面方位や斜面勾配が大きな影響を及ぼすこと がわかった.地点1(南向き斜面)では,ウバーレの上 部(標高240m ∼山頂部253.4m)の10 ∼ 15°斜面では現 在土壌は安定し,その下方15 ∼30°の傾斜変換部では土 壌の流出が激しく,ウバーレ底の標高185m から標高 210m の 35 ∼ 30°斜面ではピナクルは山側で埋没し,土 壌の堆積が起こっている.地点2(北西向き斜面)では, 標高220m以上の5°緩斜面では土壌の流出が起きており, ウバーレ底から220m の 40 ∼ 25°斜面において,ピナ クルは山側で土壌の堆積が起こっている. また,ルンドカレン(写真3)の断面をみると,ノッ チ状に凹んでいるものが多い.このノッチ状凹地につい ては,先行研究および以下の論文より,以下のように考 えた.漆原(1999)によれば,地中と空中に設置した石 灰岩片の5 年間の野外実験から,地中の方が地表よりも 溶食率が高いことが指摘され,土壌層に覆われた石灰岩 の溶食は,湿潤な年に少なくとも空中の3 ∼ 5 倍はよく 溶けることがわかっている.すなわち,ノッチ状凹地の 存在は地中での卓越した溶食作用の結果であり,かつて の地表面を決める際のひとつの指標となると考えた.そ こで,タイプ分けしたピナクルの分布や形態から,各斜 面におけるピナクルについて,地表に露出してからの相 対的な時間の差を比較した.調査地域における土壌移動 に伴うピナクルの発達過程を示した図が,図9 である. 図9 は,現在みられるピナクルの形態を基準として,か つての地表面を示す痕跡をもとに,過去のピナクルの形 態を推定した.現地では,旧地表面を示すノッチ状の形 態が1 つのピナクル内に最大 2 ヶ所みられることから, 対象地域では現在に至るまで2 回の土壌流出が生じたと 推測した.図9 に示した地点 1 における若竹山斜面にあ るD タイプの発達過程は,2 回目の土壌流出期に土壌移 動がほとんど起こらなかったと考えるものである.ま た,同じ地点1 において傾斜変換部に存在する A,E タ イプは,2回の土壌流出が生じたパターンである.Bタイ プは主に地点2 でみられるものであり,A タイプよりも ②③ 図9 本調査地域におけるピナクルの発達過程

(9)

以上,本結果で得られた土壌流出や堆積の痕跡につい て,秋吉台全域での一般性を検討し,そのうえで土壌流 出の要因や流出量,移動速度を明らかにすることが今後 の課題である. 謝辞 本稿は,2003年に法政大学文学部地理学科に提出した卒業 論文を骨子に,その後の調査をふまえ作成したものである. 漆原和子先生(前 法政大学地理学科教授)には多くの御指導 を頂いた.また,現地調査では秋吉台科学博物館の配川武彦 元館長,ならびに同・元職員の細川興隆氏に種々の便宜を 図って頂いた.ここに記して深く感謝を申し上げます. 溶食作用を受けた形状をなす.また,両地点におけるピ ナクルおよびカレンの形状から,上流側が埋没したタイ プ(D,F,H埋没タイプ)は,2回目の土壌流出期に上流 から流れてきた土壌で堆積されたものだと考えた. 図9 をもとに,調査地域の両斜面におけるピナクルの 形態と土壌移動をモデル化したものが図10 である.1 度 目の土壌流出期には全ての面で地表面は低下し,2 度目 の流出期には1 度目に比べ低下量は少なく,ウバーレ壁 面の急傾斜地でピナクルの山側に土壌が堆積し,現在の ピナクルの形状が形成された. 秋吉台科学博物館(1995):秋吉台の気象.秋吉台科学博物館, 54p. 漆原和子・鹿島愛彦・榎本浩之・庫本 正・フランツ ディー ター・ミオトケ・仲程 正・比嘉正広(1999):日本に おける石灰岩溶食率の経年変化とその地域性.地学雑 誌,108(1),45−58. 藤井厚志・杉村昭弘・野島哲(1973):秋芳洞の成因と発達. 洞窟研究,5,1−23. 浜田清吉・三浦 肇(1970):秋吉台におけるカレンフェル ド地形の発達.山口大学教育学部研究論叢,19(1),1− 11. 河野通弘(1972):秋吉台における石灰洞の形成について. 岩井淳一教授記念論文集,319−331. 河野通弘編(1980):『秋吉台の鍾乳洞−石灰洞の科学−』. 参考文献 帰水会.256p. 三浦肇・浜田清吉(1981):西秋吉台鷹ヶ穴をめぐる台上地 形と洞窟.西秋吉台鷹ヶ穴石灰洞学術調査報告,27 − 40.秋芳町教育委員会. 三浦 肇(1985):Ⅲ 西秋吉台のカルスト地形―とくに侵 食平坦面と凹地の分布特性について―.山口ケイビング クラブ:『西秋吉台の石灰洞 山口ケイビング・クラブ 発足20 周年記念・特集号』.山口ケイビングクラブ,14 −28. 守田 優(1964):カルスト地形の研究 秋吉台におけるド リ ー ネ と カ ッ レ ン を 中 心 と し て. 立 命 館 文 學,233, 1275−1290. Jennings, J. N. (1971): Karst. M. I. T., 252p.

Sweeting, M. M. (1972): Karst Landforms. Macmillan, 362p.

南向き斜面 北向き斜面 ウバーレ底 吸い込み穴? 10° 15° 30° 35° D A, E F 埋没 H 埋没 F 埋没 H 埋没 D 埋没 B < 凡例 > 25° 45° ①Ⅰ期 ②Ⅱ期,Ⅲ期 ③Ⅳ期 ( 現在 ) 図10 本調査地域におけるカレンから推定した土壌流出モデル

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