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パスカルの数三角形 その教材研究

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(1)

17

パスカルの数三角形

その教材研究

三 野 栄  治*

 (昭和55年10月31日受理)

 Pasca1 s Triangle Arithm6tique:

Introduction to the sequence of numbers and     the comprehensible models

  Eiji MINO

(Received,October31,1980)

 1.数列論

 1. 「数列1,2,4,8,16,32,・

   において,隣り合った2つの項の比の値は2となり,一定の数である。』[1]

 この例は,数列を構成する規則が与えられていなくて,ただ1,2,4,8,16,32

だけを例示し,それだけの情報から一般項を求めさせる,というものである。

 直観的には,われわれの経験によって,「隣り合った2つの項の比の値は2である」か

ら,と判断するのは,すなおであるかも知れない。

 しかし,数列を構成する規則が与えられていなくて,それを自分で見出さなければなら ない以上は,いくら「以下同様に」の意味の「……」が付随しているからといって,隣り 合った2つの項の比を考えなければならない,ということも,また,それに限定されるこ

とも,数学的には正しくない。

 比の値を考えてみるのは,すなおではあろうが,それは経験的判断であり,帰納の過程

にすぎない。

 したがって,「比の値が2である」とすれば,1,2,4,8,16,32に引き続くのは       64,128,256,……

であり,一般項は2の巾:2ηd(錫=1,2,3,……)といえる,ということに過ぎない       一一ものである。

2.ところで,この数列1,2,4,8,16,32,

・において,「階差数列が等差数列

*長崎大学教育学部数学教室

(2)

をなす」とすれば,

1    2     4    8    16    32

\/ \/ \/ \/ \/

 1  2  4  8  16

  \/ \/ \/ \/

   1  2  4  8

   \/ \/ \/

    1  2  4      \/ \/

     1  2       \/

       1

と,第5階差の初項まで,事実として値が見出せるから,「第5階差が一定数1から成る」

と,さらに仮定すれば,与えられた数列は,5次式で表現されることになる。すなわち,

       1, 2, 4, 8, 16, 32, 63, 120, 219, ・・・…

と続いていく。

 この結果も,一つの答として認められる。これは,階差数列が等差数列をなすと考えて

の話であり,その上さらに,第5階差が一定数1から成るとしての帰結である。したがっ

て,後半の仮定をゆるめるなら,与えられたもとの数列は6次式で表わされる可能性もあ

り,7次式で表わされる可能性もあり,…… ということになる。

 3.数列構成の規則が与えられて,または,具体的な数列決定の場が与えられて,この もとでの数列の議論と,他方,初めのいくつかの部分だけが孤立的に与えられていて,そ れだけの情報から探りを入れて,その数列の議論をすることは,同等ではない。

 この後者の場合は,「……とすれば,……といえる」とするところの過程,与えられた情 報を組織立ててそこから一般性を定めていこうとする過程である。この過程は,演繹の過        り

程とは異なるものである。

 それに対して,前者の場合,たとえば,すでに数列構成の規則が与えられていれば,そ の数列は,一般性が適用されて一意に定まるものであることはいうまでもない。また,具 体的な場が与えられている場合でも,一般性を確認することができ,一意に定まるもので

ある。

 次の例で,このことを考えてみよう。

    『平面上に%個の直線があって,いずれの2つも平行でなく,また,いずれの3つ     も同一の点で交わらない。これらの直線によって平面はいくつの部分に分けられ

るか。』[2]

n個の直線によって分けられる

平面の数を∫(κ)とする。

 勉=1,2,3,4 のとき

 ∫(箆)二2, 4, 7,11 となる。

    7¢=2

鴛

1 2 3 4

∫(%)

2 4 7 11

πニ3 n=4

(3)

19 パスカルの数三角形(三野)

    そこで,この階差をとってみると,

      2,3,4

     これが等差数列をなすと考えて,

      ∫(κ)=2+(2+3+4+……)

       η一1   (n−1)(%+2)

         =2+Σ(た+1)=2+

       々=1         2

       (n−1)(n+2) 

      (答) 2+

       2

   この答をもって結論とすることはできない。

 なぜなら,階差数列が等差数列をなす,ということが示されていないからである。これ が正しいかどうかは,何ちかの方法で示さなければならない。そうすれば,「……とすれば  ・といえる」だけでなく,「……とすれば」のところが「……である」となり,したがっ て,一般性が確認され適用されうる。すなわち,演繹の過程が成立する。

 たとえば,

    橘個の直線が引かれているとき,もう1本の直線,すなわち第(々+1)番目の直

    線をひけば,既にある海個の直線と々個の点で交わり,これらの点はその直線

     を(た+1〉個の部分に分ける。このときの各線分は,それぞれの平面の領域を2     っずつに分ける。したがって,全体として,平面の部分が(繕1)個増加する。

     すなわち,∫(h+1)二∫(々)十(々十1)(た=1,2,3,……)

     という一般的な関係をとらえることができる。

      したがって,階差が

      ∫(々十1)一∫(々)二た+1

    で等差数列をなすことがわかる。

 かくして,ここに証明法としての数学的帰納法の導入が意図できる。

 4.このような意味において,数列論の中に,証明法としての数学的帰納法が位置づけ られる。数列論の原理的方法としては,パスカルの数三角形(Triangle arithm6tique,1665)

が大きな役割をはたす[3]ことがいえる。

 したがって,証明法として数学的帰納法が豊かに機能し,しかも理解しやすい素材源と して,パスカルの数三角形は位置し,また,数列を取扱う統一的手段としても,パスカル の数三角形は大きな教材となりうるものである。さらに,数三角形は,数列論だけでなく,

組合せ論,確率論,二項式展開等の原理的方法としても位置づけられることは,よく承知 の事実である。

II.パスカルの数三角形

1.わが国では,パスカルの数三角形は,高校で二項定理の学習に関連して,ほんの少

し顔をのぞかせる。たとえば,

  『(α十δ)ηにおいて,n二1,2,3,

  になっていることがわかるであろう。

…… したときの展開式の係数は,次のよう

(4)

−り乙345

====一一犯η%n麗

    1 1    1 2 1   1 3 3 1

 1 4 6 4 1

 15101051

1  6  15  20  15  6   1

  上の表のように(α+δ)ηの展開式の係数を並べたものをパスカルの三角形とい

  う。』[4]

少し内容に立ち入ったもので

  『図からわかるように,次のような法則が成り立っている。

   1.各行の数は中央に関して左右対称である。

   2.各数はその左上と右上の2数の和に等しい』[5]

 2.パスカルの『Triangle arithm6tique』[6]によれば,  上掲教科書のような山型 に配置し直し,記号化していえば

      協=8魁+α髭一1(2≦々≦%一1)

      轟二雄=1

       ただし,麟は第n段第た番目の値

によって定義され,幾何図形的に配置したものを「数三角形」と定めている。

 したがって,

       1

      1  1

       \/

      1  2  1

       \/ \/

       1  3  3  1

      \/ \/ \/

      1  4  6  4  1

が,数三角形の構成図である。

 すなわち,『(α+δ)ηの展開式の係数を並べたものをパスカルの三角形という』のではな く,また『各数はその左上と右上の2数の和に等しいのが法則』でもない。

       読が..1C耐に等しいこと,

       α手十α套1十……十協=ηCr,

       読=雄一陶+1(左右対称性),

       読;読+1=紅n一た

などは,そのあとで議論され,数学的帰納法との関わりで証明すべきことがらになってい

(5)

      21        パスカルの数三角形(三野)

る。

 3.さて,パスカルの数三角形から観察される,いくつかの興味ある初等的な数学的特 性を導き出してみよう。

 (1)数三角形において,上端から形成される行列式

      1   2   3

       の  召2 α3

        1    2

        α1 α2

      1   2   3

      ,   012 α3 α4 ,。。● 。 o

        1   2

        α2 α3

      1   2   3

        Z3 α4 α5 を考えてみよう。(図1)

 これらは,いずれも三角行列式に直すことができ,その値はつねに1である。

        祓 諺    召10

      =       =厩歴二1

        1   2      1   2         α2 α3     α2 α2

        α1 α1 α§    召1 0 0

        召1 屍 α葦 =  αム α1 0  =α1諺α1=1

        1   2   3      1   2   3         α3 α4 α5     α3 α3 α3 など。(証明は略)

        1        α1

       1    2       ごZ2  α2      1    2    3      召3  α3  召3

    1    2    3    4

   α4    6Z4    6Z4    6Z4

   1    2    3    4    5

  α5  召5  召5  α5  α5

  1    2    3    4    5    6  6Z6    召6    α6    α6    6Z6    α6

1    2    3    4    5    6    7 α7    α7    α7    α7    α7    α7    α7

      図1  (2)数三角形において,次の系列

       α1,α杢,α§十諺,召ム十α§,αξ十誘十召§,……

一般に

       {

        轟+議.1+……+召鴛   (%が奇数のとき)

       マ

        轟+議一1+……+α戴,  (κが偶数のとき)

       T をとり上げてみる。(図2)

(6)

       玉/

       〈駕>

      話娠㍗

         証器㌃そ

       証叛纂娠矛       烹㌃擁㍑娠.9

     房㌃髪娠、今、孚、箏    話㌃写7.§、§、§、乙   認㍑αξα登α彗α8σζα彗

 ろ

 α10  α10  α10  α10  α10  α10  α10  α10 α11  α11  α11  σ11  α11  αU  α11  α11  α11

α§

 召8

       む

α10  α10   10    11

 α11  α11

図2

 この系列の第㌶項をE.とおけば        F翫+1十F翫+2;瓦紺3        瓦舵+2十瓦規+3=瓦細4 であることがいえる。(証明は略)

これは,フィボナッチ数の定義を表わしている。すなわち,パスカルの数三角形の中に,

フィボナッチ数が見出せる。

 (3)数三角形において,次の系列

α1,漉+誘,磁+α葦+¢含,¢狂誘+認+訪,……,姦+盈+1+4晃+2+・

を考えれば,この系列の第n項二α親1である。(図3)

一十召錦_1,

     1     α7

    1    召8

   1    2

  α9  α9

       

 410 α10

1    2    3

σ11 α11 6Z11

     αl      I 、2     α2  α2

    1  ×2    α3  α3

   1 〉 2 昏3   召4  α4  α4

 1 》ぐ2 ×3

 α5  45  召5

1 〉ぐ2 \3 、4 α6 α6 召6 α6  2 》く3  × 4  α7  α7  α7

2   3 〉く4 、5

α8  α8  6Z8  6Z8  3   4  × 5  σ9  α9  α9

3  4  5 、6 α10 α10 α10 6Z1

 4    5

 α11 α11

   3   召3

    4    α4

   4    5

  α5  α5     5    6

   α6  α6

   5    6    7

   7  α7  α7

    6    7    8

   召8  α8  α8

   6    7    8    9    9  α9  α9  召9   ・1

    ク      

   α10 α10 010 α10

召1114了1媒 召11婿副

図3

(7)

23

パスカルの数三角形(三野)

(4)パスカルは,数三角形において,斜めに進んでいく系列に,興味ある名称を与えてい

る。

1り乙345

13605    で⊥ −

  005

14123 15153570 単位数

自然数

三角数(Triangulaires)

ピラミッド数(Pyramidaux)

三角一三角数(Triangulo−triangulaires)

 さて,「単位数」は「自然数」の階差を示しており,その「自然数」は「三角数」の階差 を示していることは,定義からも明らかである。同様に,「三角数」は「ピラミッド数」の 階差であり,また,その「ピラミッド数」は「三角一三角数」の階差でもある。

 したがって,また,そのことから,

      「自然数」……… 1次式       「三角数」……… 2次式       「ピラミッド数」…… 3次式       「三角一三角数」…… 4次式

で表現されることも容易にわかる。

 ところで,次のような,「三角数」までの和の系列を考えてみよう。(図4)

      1       α1

       

      α2十α2

      1    2    3

         α3十α3十α3

         1    2    3

        α4+α4+α4

       1    2    3    4

       α5+α5十α5 召5

      1    2    3    4

      α6十α6+召6 α6

     1    2    3    4    5

     召7一+α7一十召7 α7 α7

    1    2    3    4    5    α8十α8 →一α8  召8  α8

   1    2    3    4    5    6

  召9+019+019 召9 α9 α9

       

 α10  α10  6Z10  6Z10  α10 6Z10

1    2    3    4    5    6    7

α11 6Z11 α11 α11 α11 α11 α11

    マ マ り

α召召

44 56 68

αασ

召τ。

α崇1

召9

 〆

 7    8 α8  α8   8    9  α9  α9

8    9    10

α10  α10  α10  9    10    11

 α11 α11 α11

図4

 すなわち

      躍,漉+諺,磁+薦十薦,議+誘十譲,……,轟+議+盈,・…・

      1

 この系列の第%項を∫(%〉とおけば,∫(㌶)はnの2次式万(n2−n+2)で表わされる。

ただし,n=1,2,3,……。

 具体的には,

       1,2,4,7,11,16,22,……

である。

(8)

これは,既述の「平面の直線による分割」での結果そのものであ.る。

すなわち,パスカルの数三角形の中に,また,一つのモデルを見出したわけである。(図5)

∫(箆)

↓

/

  麗

1二 2二 4=

7=

11=

16二

1 1

1 1

1 1

1 1 4

1

3

1 2 6

1 3

0 1 4

1

5  10  10  5

1

6    15    20    15    6

1

7    21    35    35    21    7

1

828567056288

1

9368412612684369

1 1

1 10 45 !20 210 252 210 120 45 10 1

図5

(5)では,「ピラミッド数」までの,次のような和の系列を考えてみれば,その教授モデ ルは何だろうか。

       α1,漉+諺,召§+4釜十α§,α五十誘+α葦+召珪,召1+誘+召§+召塞,……,

       轟十議十議十議,……

 この系列は3次式で与えられ,

       1,2,4,8,15,26,42,64,一・

であることは,容易にわかるであろう。

 そして,その教授モデルは,

   『平面で空間を分割するとき,何個の部分に分けられか。ただし,いずれの2つの平

   面も交わり,いずれの3つの平面も1点だけを共有し,また4つ以上の平面が同一

   の点を共有することはないものとする。』

である。

 (6)さらに,「三角一三角数」までの,上と同様の和の系列を考えてみよう。

 そして,その教授モデルとしては,何が考えられるだろうか  。 III.一っの興味ある話題

1.ここに,一つの興味ある話題がある。[7][8]

 『円周上に2点をとるとき,円は,その2点を結ぶ弦によって,2つの部分に分けら

(9)

25

パスカルの数三角形(三野)

  れる。次に,第3の点を円周上につけ加えると,それらの3つの点の2つずつを結   ぶ弦によって,円は4つの部分に分けられる。

    また,次に,第4の点を円周上につけ加えると,それらの2つずつを結ぶ6本の   弦によって,円は8つの部分に分けられる。第5の点を円周上に加えれば,10本の

  弦によって,16個の部分に分けられる。

   では,円周上に点が6個,7個,……となるとき,円はいくつの部分に分けられ

   るか。

   ただし,どの3つの弦も共点でないものとする。』

一その解答は与えられていない。

 これは,具体的な場のもとでの,数列

       1,2,4,8,16,□,□,□,…

の決定問題である。(図6) ◇◇

      図6  2.考え方:その1

 円周上に左個の点が与えられているとき,円の部分の個数は

∫(た)であるとする。

 第(を+1)番目の点(々+1)をつけ加えれば(図のような部分 に加えても一般性を失わなしr】),点(々千1)から各点に為個の弦

が増える。

 ・点(た+1)から点(1)への弦  すでにある弦のどれとも交わ   らない。したがって,この弦によって部分の数が1個ふえる。

 ・点(た+1)から点(2)への弦

  交わる。したがって,部分の数が(々一2)+1個ふえる。

 ・点(海+1)から点(3)への弦  点の組{(1),(2)}と点の組{(4),

(2)

(3)

(4)

(5)

(1)

(k+1)

(k)

点(1)から,点(3)〜点(た)に引かれている(々一2)個の弦に

       ・・,(々)}との間に引 かれている弦,すなわち2(々一3)個の弦に交わる。したがって,部分の数が,さらに2(々 一3)+1個ふえる。

 ●  ....9■

 ・点(々+1)から点(7+1)への弦  7偽一(7+1)}個の弦に交わり  の数が7{々一(7+1)}+1個ふえる。

       た  

したがって, ∫(々+1)=∫(々)+脾+Σ7俵一(7+1)}】

       7讐1

したがって,部分

(10)

       1

         二∫(海)十々十一々(々一1)(々一2)ただし,々≧2

       6

また,∫(1〉=1, ∫(2)=2

ゆえに,

         1       2

      ∫(n)二π(n−1)(n−2)(n−3%+12)+%n≧1 具体的には,

      1,2,4,8,16,31,57,99,一・

である。

この数列は,前節II(6)における「三角一三角数」までの和の系列そのものである。(図7)

 ∫(館)

1=

2=

4=

8=

16=

31=

57=

99=

1

      1       1  1          1  2  1         1  3  3  1

      1  4  6  4  1

     15101051

    1    6    15    20    15    6     1   1    7    21   35   35   21    7    1

1

 1

10  1

       図7

 3.考え方:その2

      1

 上の2.で求めた結果∫(%)=π(n−1)(%一2)(%2−3n+12)+nは,次のように書き直 せる。

      1      1

      ∫(%)=πn(n−1)(兜一2)(箆一3)+万盟(循1)+1

 この第2項⊥頭n−1)は,明らかに,円周上の%個の点の間に張られたすべ七の弦の       2

個数である。

       1

 また,第1項一n(銘一1)(%一2)(麗一3)は,そのときの弦の交点の個数である。

       24

 したがって,円周上の点の個数κ,そのときの弦の個数をC(n),その弦の交点の個

数を1(η)とおけば,次が成立する。

(11)

27

パスカルの数三角形(三野)

∫(κ)=C(%)十1(κ)十1

%

1 2 3 4 5 6

7

o(麗) 0 1 3 6 10 15

21

/(%)

0 0 0 1 5 15

35

∫(n) 1 2 4 8 16

31

57、

∫(κ)

↓  n  C(n)

//   1(n) /

1=

2二 4=

8=

16=

31=

57二 99=

1 1

1 1

1 1

1 1

1 4

1

3

1 2 6

1 3

0 1 4

0 1

5  10  10  5

0 0 1

6    15    20    15    6 7    21    35    35    21

0 0 1 7

0 0

1

828567056288

0

1

9 36 84 126 !26 84 36 9

0

1

10    45   120   210   252   210   120    45    10

1 1

       図8

 このように,パスカルの数三角形の中に,∫(κ)だけでなく,C(n)も1(n)も読みとるこ

とができる。(図8)

 しかも,この課題「円の弦による分割」は,弦の個数と,それらの弦の交点の個数とか らも解決されうることを示している。

 ところで,この∫(n)=C(犯)+1(n)+1は,次の例で示したネットワークの考え  点,

枝,領域,回路階数などを思い起こさせてくれる。

臼

点

5 3 2 2 6 5 5 3

枝

5 4 1 2 5 4 4 4

領域

1 2 0 1 0 0 0 2

(領域の数)=(枝の数)一(点の数)+1

(12)
(13)

29 パスカノレの数三角形(三野)

rv.パスカルの数三角形の拡張[9]

1.数三角形は,二項式(1+∬)ηの展開式における係数の配列に対応する。

(1+∬) において,㌶を負の整数としてみよう。

      (1+劣)一1二1一∬+∬2一∬3+エ4一工5+……

      (1+∬)一2=1−2エ+3∬2−4∬3+5エ4−6∬5+……

      (1+∬)一3=1−3エ+6エ2−10諾3+15∬4−21エ5+・・…・

      (1+エ)一4=1−4∬+10∬2−20∬3+35∬4−56∬5+……

π0

X1

κ2

X3

π4

X5

一4

3−2−1 1111

一4

3−2−1

10

3 1

一20

10

4−1

35 5 5 1 一56

21

6−1

この表に,%が正の整数,0の場合をも合わせ,一覧にしてみると,縦に一つの規則が読み

とれる。

%

43210123456

一一一︸

πO XI X2 ×3 π4 冗5

11111111111 43210123456

一一︻一

06310013605

¶←       11

一20

−10

−4

−1

 0  0  0  1  4  10  20

55510000155 3¶←      

−

一56

−21

−6

−1

 0  0  0  0  0  1  6 1・・

2.二項式の展開に対して,三項式の展開を考えてみよう。

      (α十δ十6)1=α十δ十6

      (α+δ+6)2皿召2+62+62+2δo+26召+2の

      (α+δ+o)3=召3+δ3+c3+3620+3δ62+362θ+3cα2

      十3召2δ十3召δ2十6ごzわ6

それらの係数は,次のように図にまとめることができる。(図11)

(14)

2  2αδ  c2

α・▽

  δ2

(α+δ+6)2

プ 3α2c3召c2 c3

   、    ノ

   、   !

3α2ゐ  も  3δc2

   9吹

 3αゲ   3ゲc

ゲ

4 4α366α2δ24αc3 ♂

α

   \、! \、!

4α3δ_¥一_y_一4δC3

   12α2δご12φc2

   !  ・、〆 、、

6α2δ2一一鋲一一一 6δ2c2

    12の2c

     ヤ

  4αδ3   4δ3c

(α+δ+c)4

ゐ4

(α+δ+o)3

図11

 ところで,(α+わ+c)ηの項召ρδ9♂(ただし,ρ+g+7=n)の係数は         %!

       ρ!σ!7!

であって,

それは(α+δ+c)η一1の3項

       プー1ゲ6「,プゲー1c7,プゲc7−1の係数の和

       (%一1)!  (n−1)!  (n−1)! _ 刎

に等しい。なぜなら,      +      +      一

         (ρ一1)!g!7! ρ!(σ一1)!7! ヵ!σ!(7−1)! ρ!σ!7!

であるからである。

 この性質は,図11を,いわば立体的に組立てて関係づけられる。(図12)(図13)

C︑︑    3

﹃ Uム﹄ 一 b︑︑

     グ

(α+わ+c)2

、(フ3

04

      ヨ

    ハ へ    トロ ヤも     じ

,ノ

》\

、ノ

       、  、  く !      、

   4 u6・1、  4  ・、

     蟻  L

 4   12  1・12   4

(α+わ+o)3

3 C

3

6

δ3

 3

3

 (α+δ、+c)3

6     12t    65

    し

  4   』  4

     δ4

(α十δ十c)4

図12

(15)

パスカルの数三角形(三野)

31

(α+δ+c)1 1 1

1

(〇+δ+c)2

(α+δ+c)3

(α+δ+c〉4 1

1

       1

      3       4

 1       ︑一

         \一 3         \﹃    2   ・ 一 ︑一

  

Σ13貧\︸  \﹃  !一\︸

−£ \塊下

  /﹃    ︑一        \ 一  3

    2    ︑  ﹇       3    一

        メ

ー ∠−⊥

 /\、   / \、1  ! \

 /      、     −         、       !        、

    ノ____詠二____上

   6  !!12\   6

        メ       ペ

       4         4        1

4 一一一

てぐ一一)疹てこ一一一上Σ4

1

c

α

図13 δ

一この三角錐モデルの各側面が,パスカルの数三角形であることは,いうまでもない。

      引用及び参考文献

[1]功力金二郎他:改訂版高等学校数学II B,数研出版,1978,p。115

[2]小平邦彦編:新訂数学II B,東京書籍,1976,p.121他

[3] 中村幸四郎:数学論文集解説,p.183(伊吹武彦他監修:パスカル全集1,人文書院,1959)

[4]上掲[2],p.123

[5] 上掲[1],P.129

[6]伊吹武彦他監修:パスカル全集1,人文書院,1959,pp.725−735

[7]ATM:Notes on Mathematics in Primary Schools,Cambridge Univ.Press,!967,PP.53−54.

[8]Benice,D.D.:Mathematics:Ideas and ApPlications,Academic Press,1978.

[g]Hallowes,D.M.(ed.):Topics in Mathematics:Ideas for the Secondary Classroom,Bel1&

 Hyman,1979,pp.68−71.

参照

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