• 検索結果がありません。

進展する情報化,価格競争の下でのマーケティングの再編成

N/A
N/A
Protected

Academic year: 2021

シェア "進展する情報化,価格競争の下でのマーケティングの再編成"

Copied!
36
0
0

読み込み中.... (全文を見る)

全文

(1)

経営と経済第78巻第3・4号1999年2月

進展する情報化,価格競争の下でのマーケティングの再編成

−最 終 講 義−

梶原禎夫

Abstract

Consumers has now begun to behave as problem solvers who always use a wide range of information available from various sources and are strengthening their analyzing abilities, thereby lessening effects of a marketing strategy intended to induce con- sumers' choice to some specific brand by offering highly differentiation policy.

Furthernore, enterprises are now forced to modify their present marketing strategy in operation. So far, they have taken advantage of offering a wide variety of alternatives, enabled by the frequent introduction of diversified new products, to manipulate con- sumers rather than facilitate their choice for benefits. But, the improved ability to ac- cess and process information on the side of consumers means that they are extricating themselves from such manipulation, thus urging enterprises to modify the marketing behavior.

In the price sensitive American and European markets, new products based on ad- vanced technologies are usually launched without making such an excessive product differentiation as is often done in Japan. In these cases, to have market power in the distribution, it is the price that usually matters. In the Japanese market, however, en- terprises have been successively introducing new differentiation in products, and it has served as a driving force to promote the development of products as well as in the competition in technology. Consumers have tended to react to new differentiated products continually rather than to prices, and as a result, differentiation in products and manufacturers' administered distribution channels developed.

Globalization of economy also is pressing for transformation of the Japanese type marketing and distribution system. But it is behavior of consumers that has far more contributed to changes in the competition process, andthe Japanese business system has begun to change itself. From now on, the structure formation of system between enterprise and comsumers becomes keymarketing strategy foundation. Consumers are spontaneously approaching to enterprises and expecting in development of mutual im- formation interchange.

目  次

Ⅰ.情報化,価格競争とブランド形成

Ⅱ.消費者行動・競争メカニズムとマーケティング

Ⅲ.情報処理・通信システムと産業社会

Ⅳ.関連研究概要

(2)

1  .情報化,価格競争とブランド形成

1 . 情報化,価格競争とブランド形成

日本と比較して,欧米ではメーカーと流通企業の関係が自由で,価格競争 維持の条件が整っており,価格競争の過程で過剰な製品差別化が進むことな く,新技術に基づく製品開発が進展するのに対し,日本では,企業は新しい 製品差別化を継続的に導入し,この差別化競争が牽引する,技術競争が展開 され,製品開発がより強力に推進されてきた。消費者は価格よりも,差別化 に反応し,製品と流通経路における高度差別化が進行した。高度に差別化さ れたマーケティングの展開は市場を不透明にし,製品差別化の開発により創 出された技術差と共にエントリーを困難にしてきた。また,日本市場と欧米 市場の間での価格差を生む市場・流通機構を形成することにもなった。

1 9 7 3 年秋の石油危機を契機とする消費者行動変化の影響は,流通過程にお けるメーカーを中核とする支配構造を基本的に変更するまでには至らなかっ た。自主的消費者行動の発展は,流通企業の創造的市場行動の機会を拡大す るものでもあったが,流通業のこの新しい市場機会への適応は遅れた。石油 危機に続くインフレの収束,景気回復,所得上昇による消費支出拡大のもと で消費者行動は自由な行動の延長線上で個性化,多様化,高級化するが,主 要メーカーは研究開発の強化,多様な製品機能の開発,製造と物流の効率化,

競争価格政策の実施などを推進し,流通企業の市場対応を支援しながら新し い消費者行動に適応し,メーカー中心の流通機構を新しい次元で維持しつづ けることとなった。

1 9 8 5 年秋の円/ドル為替レートでの円急騰,その後の円高基調のもとでも

解消しない日本の経常収支不均衡のもとで,日本市場の開放についての世界

的要求が高まるが,この過程でしだいに日本の競争的でない経済システムの

特徴が鮮明にされてくる。公的規制や,供給源に対し反応的でない日本の流

(3)

進展する情報化,価格競争の下でのマーケティングの再編成 9 1   通システムにより価格競争の機会が制限され,内外価格差が発生し,その内 外価格差情報が広範に流された。さらに,高頻度で反復される新製品導入が 深く関わる資源浪費や環境破壊が批判されるようになった。消費者のインテ リジェンスの高まりと共に,自己の経験からえられた

4

情報ばかりでなく,各 種の媒介を通じてえられる広範囲な情報を利用する消費者層が拡大した。こ の傾向はここ数か年間で顕著にみられるようになり,消費者行動の変化とな って現れた。

消費者による情報利用の拡大は,購買や消費・使用の経験によりえられた

情報によって選択対象をしだいに限定する,従来一般にみられた消費者行動

の習慣化を後退させた。消費者は市場において常に広範な情報を利用する問

題解決者として行動する傾向を強めており,製品を高度に差別し,消費者行

動をブランド選択に収数させるためのマーケティング政策の効果を減退させ

つつある。また,企業は,高頻度,高密度の新製品導入による消費者操縦を

可能にしてきたが,消費者の情報処理能力の向上は,このような消費者操縦

フレームからの消費者の脱却を意味しており,企業にマーケティング行動の

修正を迫ってきた。価格に敏感な欧米市場では,流通過程における価格競争

の過程で過剰な製品差別化が進行することもなく,新技術に基づく製品開発

が進展する場合がみられたが,日本市場では,企業は新しい製品差別化を継

続的に導入し,この差別化競争が牽引する製品開発,技術競争が展開されて

きた。消費者は価格よりも,継続的に導入される差別化に反応し,製品と流

通経路における高度差別化が進められてきた。また,価格への反応を低下さ

せた市場・流通機構は日本市場と欧米市場との間で価格差を生むことにもな

っていた。経済のグローパ } V化はこのような日本型マーケティング・流

通システムの変革を迫ってきたが,ょうやく新しい消費者行動が競争メカニ

ズムの変革をもたらし,この日本市場システムは自ら構造変化を遂げつつあ

る 。

(4)

1 . 1 進展する情報化,価格競争とブランド戦略

日本の消費市場も「情報化,価格競争の中での製品差別化競争/ブランド 確立」という米国市場型に変容しつつあり,今後はブランド戦略もこの方向 での展開が主流となる。一般に価格競争が導入されると,消費者行動は計画 化ないし自立化に向かう。消費者は価格に反応してブランド選択を変更し,

経験的情報をえて選択対象とするブランドの範囲を拡大し,特定ブランドへ の選好を止める傾向に向かう。ここで消費者は価格への反応を強めるだけで なく,製品仕様の違いなど製品の実質差ないし技術差にも敏感になり,同時 に消費者にとり実質的意味の少ない差別化や純粋の心理的差別化,同じメッ セージを繰り返す大量反復広告,消費者が必ずしも要求していない販売促進 的サービスなどへの反応を低下させる。価格競争過程での消費者のブランド 選択遷移は,例えば市場で高品質ブランドと低品質ブランドが供給されてい る場合に価格水準の低下が生じると消費者の選択は価格の低下した高品質ブ ランドへとシフトする。同時に価格が低下した低品質ブランドより価格低下 による消費者の利益が大きいからである。このように価格競争過程で消費者 は製品差やブランドをより意識するようになり,供給者はこの新しい市場要 求への対応を迫られる。また,情報化も消費者の意思決定における広範囲新 鮮情報の利用を促すと同時に,分析力と選択能力の強化を通じて消費者の自 由なブランド選択を推進する。

価格競争,情報化はブランド選択の自由化を促すが,一方企業に対しては 新しいマーケティング努力を強いることになり,この企業の対応はさらに消 費者の新しいブランド選択を生んでくる。 1 9 8 0 年代後半以降,わが国でも国 際化・情報化の下で,消費者の自由なブランド選択への傾向がみられたが,

しかしここ数年の間,不況下でみられる価格競争の過程で,消費者は新しい

型の選択行動のパターンを示しつつある。この新しい消費者行動は,市場の

国際化,価格競争の進行,対応する企業のマーケティング活動によってもた

らされているのに加え,健康/安全性/信頼性指向を含む問題解決型の新し

(5)

進展する情報化,価格競争の下でのマーケティングの再編成 9 3   い行動パターンの形成をその基盤にもっている。

また価格競争は今後より広範囲,かっ深化し,米国型に接近する。例えば,

「集団の消費のための購入」と「個人消費だけのための購入」の間で,意思 決定の仕方が異なるが,家計消費では個人消費以上に,感性的要求が作用す ると共に家族のために情報を求め,コスト意識も強く,価格,バラエティに 対し,よく反応するという特性が今後日本でも価格競争の過程でより鮮明に なる。基本的には,家計での購買意思決定は,家族構成員間での相互の利益 と満足がえられる結果を求めて同意をうるための方策,説得等の過程を含み,

個人の意思決定の場合より,高度の合理性が追求される。

日本の消費者市場は,今まさにこのような市場変化の真っ只中にある。

1 9 8 0 年代後半以降,特に 1 9 9 0 年代に入つての情報化の進展の下で消費者は特 定のブランド離れの傾向をみせ始めたことと,最近では市場の国際化と不況 の中にあって,企業間には価格競争の展開がみられるようになった。価格競 争と情報化の過程での消費者の特定ブランド離れと並行して,信頼性の高い 情報をえて,問題解決型に接近する,消費者の新しいブランド選択のパター ンが発展しつつある。主要消費財のいずれをみてもブランド間シェアの変動 がみられ,新しいブランドの進出もみられる。

価格競争の過程で生じる製品差別化競争は,消費者を,供給源に対して関 心を高める方向に推し進めて行く。この傾向は価格競争が支配的である米国 において顕著にみられたが,ょうやく日木もこの傾向が強化されつつある。

また情報化社会の進展も消費者の供給源への関心を高めて行く。主要消費財 購買では,多くの消費者が,小売庖での表示だけで満足せず,生産過程につ いての情報を求めており,生産者マーケティングの展開を期待しているとい える。また,ほとんどの消費者が,製品特徴を説明している広告に関心をも つことからも,生産者マーケティングへの消費者の期待が伺える。

1

. 2  ブランド確立の効果

ブランドは,製品差別化を基礎とする,生産者,流通業者,消費者等の間

(6)

でのパートナーシップの形成をその内容としており,ブランド確立の効果は 供給者にとっては消費者が,①より多く購入する,②消費者がより高い価格 を払う,①情報交流,等であり,消費者にとって効果は,①購買リスクの削 減,②選択の単純化,③選択時間の短縮等である。ブランド確立の効果には 単に消費者の反復購買を推進するという取引面だけに限られるのではなく,

生産者と消費者の聞のより近い関係,相互作用の関係の形成が期待される。

図 lは,製品差別化,価格,利幅と市場でのブランドの位置,競争水準の 諸関係を図示したものである。同図は,製品差別化の水準が高いほど,ブラ ンド力は強く,競争は後退し,価格は高くなり,利幅も拡大することを示し ている。製品差別化は絶対的な水準ではなく,他の競争製品との聞の,その 心理的なものも含めての製品差であり,製品に変更がないままで緊密な代替 製品が多くなればそれだけ企業聞の製品差別化は圧縮されてくる。小売市場 で大都市,特に東京市場では,消費者のショッピング範囲内の複数庖舗の品 揃えを併せてみると,そこには代替性の高いブランドが多数存在し,競争水

(競争水準)

主同当~

¥ 

│利

ブランド力の水準

イ 丘

?

5'" 

(製品差別化の水準) { 底

図1.ブランド確立の効果

(7)

進展する情報化,価格競争の下でのマーケティングの再編成 9 5  

準は高くなり,ブランドの市場効果はそれだけ出にくいということになる。

一方,大型屈における品揃えでブランド数が多くなるということ,特に緊密 な代替関係をもっ競争ブランドが多くなるということは,消費者が庖舗間シ ョッピング・コストをより強く意識することにつながり,これは庖舗問競争 機会の縮小を意味するので,店舗はより緊密な競争関係にあるより多くのブ ランドを品揃えし,サービスを強化する方向に向かう。つまり,大都市,特 に東京市場では,製品差別化/ブランド力強化と,選択のための情報提供の 必要性が庖舗間での競争との関係で地方都市市場以上に大きくなる。

今後,ブランド力強化と同時に流通過程を生産者側がどの範囲まで把握す るかが,品質保持,効率化の実現と併せて消費者に対して信頼性のあるブラ ンドとして維持して行くための基幹戦略となる。生産者側における,消費者 に至るまでの取引関係の把握は,基本的には情報交流ネットワークとして確 立すればよく,流通をコントロールすることを目的とするものではない。こ れまで,自然、に形成されていたプロダクトフローに附随する生産者,卸,小 売を通ずる一直線型の情報経路が卸,小売の他に資材・部品供給等関連企業 等も含め相互交流/相互作用,さらに相互戦略支援のネットワーク型に変換 されるという情報システムの形成がこの内容である。

このような組織間相互作用は生産/マーケティングに関わるシステム全体

としての成果を生み,さらにこの成果はシステム構成員にフィードバックさ

れ構成員の行動や組織間相互作用に影響する。このフィードバック経路は基

本的には組織間での利他性によって維持される部分が大きい。近代社会は互

恵関係を基礎として発展してきているが,この基礎には自己犠牲をいとわぬ

利他行動がある。米国社会では利他行動は一般にみられ,これが社会の発展

や革新の基礎となっているのに,日本では近年における情報化社会の下での

システム革新の必要性の中で多少この認識が高まりつつある程度である。日

本企業はマーケティングでこの問題を克服しなければならない。

(8)

1 . 3 ブランド化効果の再評価

日本では,ブランドといえば,高級品‑高価格設定という意識が一般にみ られる。ブランドは,供給者と消費者の聞の安定した信頼関係に基づくパー トナーシップで,消費者の製品選択を容易にするものであり,購入頻度の高 い製品については,そうでない製品より,より幅広い品質水準に渡ってブラ ンド確立の機会が開けている。食品はこの観点からみるとより広範囲の品質 の製品についてブランド化の機会が開かれているといえる。特に最近では食 品買物時間の効率化への消費者要求が高まっていることもあって,ブランド 化の機会が拡大している。また,事前にショッピンク*・リストを準備しほぼ 正確にそれに従って購入する消費者は,日米共に少なく,特に日本の場合,

鮮魚の品揃えが日々変化することからこの傾向は少ない。ほとんどはショッ ピング・リストは持ちながらもそれを修正しつつ庖頭で製品を見ながら購入 する製品と数量を決めている。そのため,庖舗フロアのディスプレイと共に パッケージとブランドが消費者の効率的な選択を支援するものとして重要な 役割を果たしており,ブランド化の効果はここでも再評価される必要があ る。米国では,日本以上に消費者の情報処理能力が高く,ブランドの本来の 機能が市場で生かされており,食品についての消費者のブランド意識も日 本以上により広範囲に及んでいる。今後,日本でも情報化社会の進展と共 に,高品質一一高価格維持のブランド戦略中心から米国型の消費者のブラン ド選択が一般化するので,マーケティングでもこの方向での早期対応が望ま れる。

近年における消費者による情報利用の拡大と分析能力の強化は,購買/消

費経験によりえられた情報によって選択対象をしだいに限定する,従来一般

にみられた消費者行動の慣習化を後退させている。進展する情報化社会にあ

って,消費者は市場において常に広範囲の情報を利用する問題解決者として

行動する傾向を強めており,例えば製品をイメージ上で差別化し,消費者行

動をブランド選択に収飲させるためのマーケティング政策の効果は減退しつ

(9)

進展する情報化,価格競争の下でのマーケティングの再編成 9 7   つある。

情報化社会における消費者行動の特徴の一つは,情報の評価力を持ち,広 範囲の情報を利用することによりよく制御された行動となっており,永続性 と企業への対応性をもっているということである。石油危機に続くインフレ 下での消費者行動も,ブランドやストア選択で,反復購買される製品につい ては,経験情報を軸に選択行動の制御傾向がみられたが,まだ消費行動で制 御機構が鮮明にみられる水準にはなかった。しかし,国際化・情報化する社 会にあって現在の消費者行動は,個人の情報評価/処理能力の強化と共に,

海外からの情報を含めた広範囲の情報をえて,よく制御されている水準にあ る。一般に消費者は,経験情報によって購買行動を慣習化させるが,現在の 消費者行動ではこの傾向は以前よりも少なくなりつつあり,消費者は選択問 題を常に新しい問題として対応する傾向を強めている。さらに行動の制御 は,その安定性維持や対企業戦略性をももっ水準に高められつつあり,かつ ての消費者のように企業側の新しい対応によって,消費者がその戦略下に再 び導かれるという状況にはない。このように,国際化・情報化の下で,消費 者の自由な製品/ブランド選択への傾向がみられるが,しかしここ 7 " ‑ ' 8 年 特にここ数年の間,市場の国際化,情報化,不況下でみられる価格競争の過 程で,消費者は新しい型の選択行動のパターンを示しつつある。

1 . 4  高次位相でのマーケティンゲ展開

企業間取引でも日本人は,欧米人に比べ取引関係を早期に慣習化させ,環

境変化があっても再構成を怠ることが多い。これは市場で取引される製品の

再評価の機会を逃す,ということでもある。消費市場でみても日本人は,選

択行動を欧米人に比べ早期に慣習化させる。欧米人は市場で供給される製品

構成に変化がなくても選択を変える傾向があり,そのため企業側からは,販

売方法の革新が市場開発で効果を発揮することになる。つまり,欧米,特に

米国では販売方法の革新が新製品開発と並んで企業の基幹戦略となってい

る。ここ数年の間で,日本でも自由なブランド選択や取引関係への流れが着

(10)

実に大きくなりつつある。今後生産者にとり自由に行動する消費者との関係 の構造化は必須となる。企業間取引関係についてみれば,一般に日本型の系 列は崩れつつあり,取引関係について構造形成できない場合,販売効率の著 しい低下を生む可能性がある。今後は日本でも経営戦略で販売力形成に寄せ られる期待が大きくなるが,これは,既存の社会関係を越えて,新しい人と 人との関係を戦略的,かっ効率的に形成する,ということを内容とするもの であり,コミュニケーションの改善を含む総合的な対応が,今企業に求めら れている。米国の産業では,取引関係が多様な継続期間を含め,いろいろな 相互作用の水準等を含む取引関係の構造化が企業間で進みつつある。日本で も,米国にはまだ遥かに及ばないが,企業‑消費者間,企業間取引関係は移 動性を高め,再構成の機会を拡大しつつある。このような状況下で企業にと ってブランドは流動する取引関係の中でその革新力形成,構造化のフレーム を提供するものであり,これはこれまで日本でみられた長期継続取引志向の 流通系列化努力とは異なるものである。米国の場合でも, 1 9 5 0 年代には購買 動機研究中

d

心の s o l u t i o n が , 1 9 6 0 年から 1 9 8 0 年代にかけては markets e g ‑ m e n t a t i o n 中心の s o l u t i o n が大量消費市場の創出と結びついて求められて

きたが,ょうやく 1 9 9 0 年代に入って消費者の教育水準の向上と自立性の高ま りと共に b r a n df o c u s の m a r k e t i n gs o l u t i o n が求められるようになってお り,日本もこれに続くものとみられる。

ブランドが確立されていない多くの製品については,主に小売商の戦略で

推進されてきたマーケティングに生産者主導のブランドが確立されることに

より,生産と消費の間での情報交流が活性化され,購買意思決定に当つての

消費者の負担を少なくするような,必ずしも大量生産を志向しない,生産者

レベルでの販売方法の革新が生まれるのであり,ここにも,情報化社会に対

応した,ブランド確立を中核とするマーケティング/流通システムの形成に

至る経路が見出される。

(11)

進展する情報化,価格競争の下でのマーケティングの再編成 9 9  

2  .マーケティンゲ戦略環境の現状とブランド形成

欧米に比べ日本社会は移動の少ない安定した構造にあったが,近年におけ る情報化の進展は,この日本社会を変革に導きつつある。取引関係の転換や 労動力移動が高まるなど長期継続的な社会関係が崩れ,社会構造が流動化に 向かいつつある。さらに,情報通信の発達は社会の移動性を促進している。

この社会構造の移動性の高まりは,消費者の消費行動にも大きな影響を及ぼ すことになる。消費者は広範囲の情報をえて問題解決型の行動をとる傾向を 高め,食品の場合に顕著にみられるように供給源の行動に対し,より関心を 強め,より多くの情報を求め,価格や安全性についての要求を強めるなどの 変化がみられる。

2 . 1   進展する情報化社会と社会構造変化

情報化・自由化の進展は,国際化と相侯って日本社会の基本構造を変革し つつある。既存の権威は失遂し,階層構成が崩れ始め,人々の思考と活動の 空間は拡大している。また,対人関係は流動化し,階層構成と長期継続関係 で安定していたこれまでの日本型システムは崩壊の過程にある。代って,個 々人の自由度と問題解決能力が高まりつつあることを背景に,革新と創造を 核として凝集する,行動的な組織化が目立ち始めている。流動する社会は人 々に新しいコンタクトの機会を与え,高い成果をもたらす競争を生み,革新 への動力をもつが,この流動化する社会への過程は,これまで日本社会の安 定性を支えてきた集団主義の変革を意味している。欧米社会でも,集団は広 範にみられるが,日本の集団とは構造や挙動が異なるところが多い。日本人 の集団は,大きな変化やリスクを避ける防衛的な色彩が強く,また集団の規 範にそっての牽制も強く,大型の革新に向けては組織力を発揮しえなかった。

国際化・情報化・自由化の進展は,このような日本型集団を崩壊に導き,草

新性に富む社会に変えつつある。流動する社会では,構成員間にコンフリク

トが多発し,個人間の距離は拡大する。人々は情報の分析力/評価力を高め,

(12)

より信頼性の高い情報を求めて行動するようになる。

2 . 2   情報通信の発達と社会構造

企業間情報通信ネットワークの整備は,電子データ交換,電子会議システ ム,インターネットアクセスなどにより,情報の伝達や会議のための出張を 少なくする傾向は情報化社会が進んでいる欧米ほどではないにせよ,このと ころ日本でも鮮明にみられるようになったが,高水準での共同分析が必要な 場合や,高度の交渉等に関しては, f a c e  t o  f a c e のコミュニケーションに多 くは依存せざるをえない状態にある。特に日本では,情報通信ネットワーク 上での協議は信頼性の高い水準での交流を行わない傾向があり,むしろ,情 報通信システムの整備の進んだ企業でも,事業所間,企業間関係において,

革新的行動に対応して,出張の機会は拡大の傾向がみられるものがある。つ まり,情報通信の発達は,人と人との直接の交流=交通に代替するだけに止 まらず,より広範囲の人々との情報通信システムを介しての間接的な交流を 通じて,人と人との直接の交流/移動を推進する方向が顕在化しつつある。

この傾向は,欧米でも同様である。情報通信の発達が, f a c e  t o  f a c e のコミ ュニケーションに代替する局面はあるが,社会は基本的には,人の情報処理 能力の高まりと共に人と人との強い相互作用を発展させる方向に向かってい

る 。

これまで,情報化の進展は情報通信システムの発達を通じて,一般に人の

地理的移動,直接接触の機会を少なくする効果が強調されてきているが,実

際には,情報化が,個々人や組織における広範囲情報利用,分析力強化など

行動様式の変革を伴って実質的進展をみせる段階にまで至ると,行動主体聞

の相互作用がこれまで以上の緊密度で発展し,人々の移動機会は自然に拡大

する。現在,高度情報化を支える情報通信システムの発達は,企業聞のグロー

バルなレベルを含め,直接対面のコミュニケーションに代替するだけに止ま

らず,より広範囲の人々との情報通信システムを介しての間接的な交流を通

じて,人と人との直接の交流/移動を推進する方向が顕在化しつつあり,社

(13)

進展する情報化,価格競争の下でのマーケティングの再編成

aEA AU  EEA

会の移動性を促進している。さらに,人と人との直接交流への要求は,個人 間,集団間の緊密な相互作用とそれを基盤とする革新への流れから生まれて いるものであり,今後これが社会の発展と関係する人の移動の中核部分とな る可能性が大きい。情報社会は,意思決定における信頼性の高い広範囲‑新 鮮情報利用が推進されると同時に,意思決定のための分析力と危険負担力の 高まりを基礎に,社会が創造性を高め,革新的になり,さらに人と人とのよ り強力な相互作用の機会を求めて,移動性を高めることを意味している。消 費者の選好は常に変動する状態に置かれることになり,ブランドの市場地位 は不安定となる。ブランドは生産者,流通業者,消費者の相互作用をどれだ け取り込めるかで,その成果が異なるという,ブランドの成果とブランドを 支えるシステムでの相互作用の水準とのつながりが,より鮮明になる。

企業は自由な流通・取引関係の進展により,市場との広範な接触を実現す ることと併せて,聡明さを高める消費者の自由な評価に耐える製品とサービ スの供給を通じて,市場へ対応し,社会的価値の高い革新に向けて努力を傾 けざるをえなくなりつつある。マーケティング/流通に参加するメンバ一間 での情報交流,相互作用,そして戦略創造の重要性が改めて認識される必要 がある。マーケティングにおいてブランド形成/強化を基軸として凝集する,

しかし開放性,革新性の大きい集団形成が期待される。

2 . 3   企業一市場相互作用機構の新展開

日本の産業で,継続的新製品導入と流通系列化は,相互補完的に,メーカー の基幹マーケティング戦略となってきたが,ここ数年間における情報化社会 の急速な進展の下で,分析力・判断力・行動力を強化している消費者は,こ の戦略に抵抗し,代って,供給者と消費者が相互交流する機会を与える,供 給側と消費者の聞のシステムの形成に期待をかけるようになっている。今後 は,企業ー消費者間システムの構造化が,マーケティングの基幹戦略となる。

大規模な消費者訪問は,このシステムをイメージさせるが,消費者は,自発

的に供給者,特に生産者に接近し,相互作用する消費者・企業問システムの

(14)

開発に期待をかけている。この壮大なシステムを通じて開発される,製品と 販売力が 2 1 世紀の消費者要求に応えるものとなる。ここでは,企業と消費者 の聞の取引関係を革新していく販売システムの開発が,新製品開発に匹敵す る重要性をもつことになる。

広範,かつ自由な市場接触と,インターネットのように市場と企業の間で の双方向型の'情報交換を低コストで可能にする,オープンな情報通信ネット ワークの形成に期待が寄せられるが,企業‑消費者間交流の基本システムの 形成には企業による消費者への情報開示,消費者の問題解決能力についての 正当な評価,企業一消費者間相互作用による創造的成果への期待等別個の 問題があり,情報処理・通信システムはこのような企業‑消費者聞のシステ ム形成を支援するという関係である。現状では,苦情処理など対立を伴う場 合を除いて,消費者と供給者の日頃の対話は皆無に近い。小売レベルにおけ る消費者のコンタクトは専ら販売推進の機会としてしか活用されず,広範な 消費者との対話は実現できていない。直接,または流通を介して,生産者と 消費者の対話を可能にする条件の整備が供給側に求められている。

生産者一流通企業の聞の相互作用は製造品の場合,特に流通系列化が進 んでいる業種で活発に行われているが,しかしこれらはメーカー中心の交流 となっており,必ずしも相互作用の成果が広範囲にみられるという状況には ない。一般に生鮮食品の場合,生産者と流通企業の聞の相互作用は製造品の ように活発ではなく,そのシステムは発展途上にあるとみられている。今後,

マーケティング/流通で,ブランドの形成を基軸とする相互交流と相互作用 のシステム化の過程が進行する産業では,これまで進んでいるとされてきた 自動車や家電製品等のマーケティングで求められているシステム再編成とは 異なり,既存システムの解体の過程を伴うというより,全く新規に形成する 問題としてその実現可能性がより高いともいえる。

2 . 4   B r a n d  F o c u s e d  M a r k e t i n g と今後の課題

ブランドとは製品差別化を基礎とする,そのマーケティング/流通に参加

(15)

進展する情報化,価格競争の下でのマーケティングの再編成 1 0 3   する生産者流通業者,消費者等の聞の,安定的,継続的な関係,パートナー シップの維持である。それは単なる反復される取引関係ではなく,マーケテ ィング/流通に関わる者の聞の情報交流,相互作用,そして情報創造の関係 である。

Brand F o c u s e d  M a r k e t i n g   (ブランド形成戦略を中核とするマーケティン グ)は 1 9 8 0 年代の大量市場創造を目指す m a r k e ts e g m e n t a t i o n 中心の s o l u ‑ t i o n   (市場を特性別に分割し,標的市場を定めてそれに向けマーケティング 努力を集中する戦略)に代って消費者の自立性の高まり,情報の評価,利用 能力の拡大,環境・資源問題意識の高まりの中で追求される新しい m a r k e t ‑ i n g  s o l u t i o n である。 b r a n df o c u s e d  m a r k e t i n g は必ずしも大量生産,大量 流通を目指すものではなく,基本的には生産者と消費者の聞の相互作用の中 で m a r k e t i n gs o l u t i o n が見出されるということであり,ブランド化の水準 ( b r a n d  p e r f o r m a n c e ) はこの「相互作用の水準」とマーケティングに関わ る機関や個人がどれだけの範囲でこの相互作用に参加しているか,つまり,

「相互作用の範囲」で決まる。またブランド化は必ずしも高品質‑高価格 戦略を意味するものではなく,あらゆる品質水準の製品やサービスについて 実現され,消費者の選択リスクの負担軽減,選択の効率化をもたらすと同時 に生産者等のマーケッターにはマーケティング戦略の効果を高めて価格設定 力を付与し,将来に向けての経営展開を容易にするものである。近年,例え ば食品では消費者が庖舗で選択に充当する時間は年々短縮されており,また 予定されているショッピング・リストに従つての選択はしばしば実際のショ

ッピングに当って変更される傾向にあり,このことは消費者に対し,効率的

なショッピンク'環境の整備が商品計画の局面からより高い水準で要請されて

いるということを意味している。 b r a n df o c u s e d  m a r k e t i n g の重要性がます

ます高まっている事情を食品産業で鮮明にみることができる。

(16)

I I . 消費者行動・競争メカニズムとマーケティンゲ

1 . 製造企業を中核とする流通システムの形成・維持

流通経路は,製品が効率的に最終市場に到達するために,製品の種目別や ブランド別にマーケティング・チャネルとして構成されるものであり,製造 企業が新製品を導入する場合には新しい流通経路構成の契機となる。技術進 歩と共に,多額の開発投資を伴っている新製品の競争市場への導入は,競争 力強化と安定した売上確保のために,調整された統一性のある流通システム を必要とする。また,製品差別化と全国広告により,そのような流通経路の 構成が可能であり,新製品導入のたびに,その差別化の程度により,生産に おける集中度も関係していろいろな水準でメーカーが統制を及ぼす流通経路 システム,つまり流通系列が出現することになる。また,メーカーは,流通 系列化を基礎として最終市場に対し,販売推進を軸にマーケティング努力を 調整し,統合することにより,競争力の強化と利潤拡大を追及することが容 易になる。日本では継続的に新製品の導入が活発に行われた 1 9 6 0 年代の長期 好況期を通じて,特定の卸売商や小売商等の流通企業を流通経路要員として 選択し,最終消費需要の創造による売上機会と引き換えに流通企業の行動を メーカーが統制する経路システム,マーケティング・チャネルが生まれた。

このような流通系列化は,典型的には,競争過程を通じて生産集中度が高め

られてきた自動車や家庭電気製品でみられるようになった。メーカーは流通

経路を系列化することにより,自己のブランドについて,流通企業間での計

画しない価格競争を排除し,流通過程を通じて特別の販売努力を促進する差

別化が可能になる。一方,競争構造の面からみると流通系列化は排他性をも

ち,競争企業のエントリーを流通段階で制限することにもなる。メーカーに

よる流通支配の下では,製品・価格・コミュニケーション等,主要なマーケ

テイング政策はすべてメーカーレベルでメーカーの利益や売上の拡大を基準

(17)

進展する情報化,価格競争の下でのマーケティングの再編成 1 0 5   に決定され,流通経路に組み込まれている卸売商や小売商は,市場政策の決 定には参加できない。しかし,スーパーや量販専門庖などのように,競争ブ ランドの品揃え,セルフサービス/セルフセレクションの限定サービスとデ ィスカウント価格で販売し,メーカーのマーケティング政策とは異質の政策 で市場行動する革新的小売商の発達は,このようなメーカー支配の流通経路 が干渉されるようになったことを意味した。 1 9 5 0 年代後半から発達し始めた わが国のスーパーは,アメリカでみられる程の革新性はみられなかったが,

それでもメーカーが表示する小売価格または一般小売価格からの割引,セル フサービス/セルフセレクションと競争ブランドの品揃えによる消費者の自 由な選択の促進,便宜性の高いショッピングなどの革新的販売方法の導入に より独自の顧客動員力をもち,大規模化した。大規模化は,庖舗自体の大型 化とチェーンストア化によるが,この規模拡大は,対メーカー交渉力を高め,

製品差別化水準の低い産業領域では,小売商を政策決定者とする流通経路を

生む場合もみられた。さらに,スーパーばかりでなく,価格競争と競争ブラ

ンドの品揃えに力点を置く専門庖も, 1 9 6 5 年以降では大量市場へ浸透するこ

とにより大規模化した。家庭電気製品など業種によっては寡占メーカーも広

範囲の市場接触を達成するために,系列庖を含むフルサービ、ス系小売商の抵

抗にも関わらず,流通経路としてこれらの革新的小売商の利用を余儀なくさ

れた。メーカーによっては,供給する製品を限定サービス/デ、イスカウント

価格系のスーパーや量販専門庖と,系列庖・専門庖・百貨庖等のフルサービ

ス系の流通経路の間で差別化し,フルサービ、ス系小売商の抵抗を少なくした

り,意図しない小売価格の低下を阻止しているものも現れた。一方,このよ

うな革新的小売商がチェーンストア化するなど大規模化するに伴ない,メー

カーがその行動を系列庖のように統制することは困難になった。しかし,わ

が国では革新的小売商の発達に対応したディスカウント系卸売商の発達がみ

られず,また草新的小売商も大規模化するに伴ない,安定的供給源の確保の

ために,メーカー,特に寡占メーカーの新製品政策を軸に展開されるマーケ

(18)

ティング政策に協調し,しだいにその革新性を喪失し,全般的にみてメーカー の流通過程への影響力はなお強いまま残されることになった。さらに,わが 国の場合,スーパーや量販専門庖などの限定サービス・ディスカウント価格 系小売商は,大規模化しでも,中小企業や寡占産業の競争的周辺企業を主な 供給源として選び,これらの企業の流通経路として機能し,メーカー中心の 流通システムを基本的に変革するというほどの革新性を示すまでには至らな かった。自発的な競争展開と革新の機会が少ない日本の流通システムは主要 メーカーのマーケティング・プログラムによって形成・維持されてきた部分 が大きかったといえる。

2  .自由な消費者行動の展開と流通支配の後退

1 9 7 3 年秋の石油危機を契機とする,急速に進行したインフレを経て,わが 国でみられるようになった自主的消費者行動,つまり消費者の自主的な選択 行動への傾向は,最終市場の側からメーカーによる流通支配の後退を迫った。

スーパーなどの革新的小売商がメーカーの流通支配に与えた影響は,アメリ カで 1 9 3 0 年代に発展したスーパーマーケットや 1 9 5 0 年代に出現したディスカ ウント・ハウスの場合で典型的にみられたように,単に取引力の行使によっ てメーカーに対し直接取ヲ│と卸売価格の譲歩を迫り,メーカーが維持してき た価格からの割引販売を実現しただけでなく,消費者に対し,自由なブラン ド選択と自由な庖舗選択,つまり自主的消費者行動を促したことであった。

しかし,杉が国の場合はこのような効果はあまり顕著には現れなかった。

日本でも, 1 9 7 3 年秋の石油危機を契機とするインフレと低成長の下で実質

所得の伸びがあまり期待できなくなったが,このような条件下で,消費者は

生活水準の維持のために製品の実質的内容と価格への反応を強めながら特定

ブランドへの執着を止め,自由なブランド選択を行う,新しい購買行動の傾

向が生まれた。また庖舗間での製品比較や価格比較のために,特定底舗への

執着を止め,庖舗の自由な選択を行うようになった。このような消費者行動

(19)

進展する情報化,価格競争の下でのマーケティングの再編成 1 0 7   の変化が,これまでのメーカー支配の流通経路に修正を迫ることになった。

消費者の自由な庖舗選択への傾向の下で,メーカーは多様な流通経路の利 用を余儀なくされ,流通支配の基礎である限定的流通経路政策,つまり流通 経路の構成メンバーを限定し継続的取引関係を築く流通系列化政策は根木か ら否定される要因が生じることになった。消費者の自由なブランド選択への 傾向の下で,メーカーの製品差別化と大量広告による消費者支配が困難にな り,流通支配の基盤が揺らぎ始めた。メーカーは消費者の自由な評価に耐え るよう,技術進歩を基盤とする製品開発と価格競争をせざるをえない条件下 に追い込まれることになった。また,メーカーにとって,小売市場に向けて 調整し,統合されるところのマーケティング政策の実行は危険になり,マー ケティング過程の一部を小売商の創造的市場行動に依存せざるをえない場合 が生じてきた。小売商は競争プランドの品揃え,競争価格の採用,信頼性の 高い情報の提供等が必須となり,市場現場に応じた創造的行動が必要になっ

︒ た

このように,自主的消費者行動の展開も,わが国としての革新的小売商業

であるスーパーや量販専門店の発達と同様,メーカーによる流通支配の後退

を迫ったが,後述のように流通企業の,この新しい市場変化への適応がみら

れなかったため,なお流通過程におけるメーカーを中核とする支配構造が基

本的に変化するというレベルには至らなかった。これは,例えば,メーカー

が系列小売商に価格行動の自由を認めている,即ち,小売レベルでの自由な

価格競争を認めているといっても,この小売レベルでの価格競争が小売商の

利幅圧縮を伴なっている場合が多いことでも検証される。つまり,消費者が

価格に敏感になっていることと,産業の総需要の拡大があまり期待できない

という条件下でメーカーは,メーカーレベルだけでなく,小売商レベルで、の

価格競争を強いられており,この小売レベルでの価格競争が小売商の利幅圧

縮の下で行われている場合がみられるということである。つまり,小売レベ

ルでの価格競争が小売商の自由な政策の下で行われているというより,メー

(20)

カーのコントロール下での価格競争として展開されてきた。

3  .製造企業の高度差別化行動と市場地位の維持

1 9 7 0 年代後半に入つての自主的消費者行動の展開の下で,製造企業のマー ケティング政策が最終市場で効果的な影響力を失いつつあることは,逆に流 通企業にとっては,創造的な市場行動の機会が拡大しつつあることを示して いたにも関わらず,流通業のこの新しい市場機会への対応は遅れた。石油危 機後に続いたイシフレの収束,景気回復,所得上昇による消費支出拡大の下 で消費者行動は自由な行動の延長線上で個性化,多様化,高級化したが,主 要メーカーは,多様な製品機能の開発,製品バラエティの拡大,新製品の継 続的導入など製品の高度差別化を中核戦略に,技術開発の強化,製造と物流 の効率化,競争価格政策の実施等を推進し,さらに流通企業の市場対応を支 援しながら新しい消費者行動に適応することにより,メーカー中心の流通シ ステムを新しい次元で維持しつづけることになった。また,流通企業の対応 は,自立化につながる価格競争の導入よりも,庖舗差別化の強化などメーカー の政策に協調する方向で行われた。本来,日本の消費者は欧米の消費者に比 べ価格に敏感でなく,直接接触する小売商に対するよりも,供給源であるメー カーにより高い信頼を寄せていた。しかし,石油危機につづいたインフレ下 で日本の消費者も以前より価格への反応性を高め,小売商の政策に強い関心 を寄せるようになり,スーパーなどチェーンストアのプライベート・ブラン ドの消費者選択も拡大したけれども,メーカーの消費者行動変化への迅速な 対応は消費者のメーカーへの信頼性を維持する結果となった。

欧米ではメーカーと流通企業の関係が自由で,価格競争維持の条件が整っ ており,価格競争の過程で過剰な製品差別化が進むことなく,新技術に基づ

く製品開発が進展する場合がみられるのに対し,戦後の日本市場では,一貫 して企業は新しい製品差別化を継続的に導入し,この差別化競争が索引する,

製品開発と技術競争が展開されてきた。消費者は価格よりも,継続的に導入

(21)

進展する情報化,価格競争の下でのマーケティングの再編成 1 0 9   される新しい差別化に反応し,製品と流通経路における高度差別化が進んだ。

1 9 9 3 ' " " ' ‑ ' 4年度にわれわれが日本とアメリカで実施した,企業のマーケティン グとの関連での消費者行動調査でも,アメリカでは,消費者は価格競争の維 持に関心が強く,価格競争の過程で行われる製品や庖舗の差別化に対して一 定の評価を与えるという水準にあるが,日本では,企業の差別化行動への消 費者の反発が顕著にみられる状態にあった。

高度に差別化されたマーケティングの展開は,一方では,市場を不透明に し,エントリーを困難にした。石油危機を契機とするインフレ下で,消費者 は,価格製品内容に対し敏感になったが,先述のように日本のメーカーは,

これに継続的な新製品導入で迅速に対応し,流通企業の創造的市場行動の余 地を極小化しながら,計画しない価格競争の進行を回避した。製品技術,工 程技術の革新とともに製品と流通経路についての高度差別化の達成は,国際 的に高いエントリー障壁を生むことにもなった。また,日本市場と欧米市場 の間で同一ブランドについての価格差を生む市場‑流通システムを形成する

ことにもなった。

4 . 変革を迫られるマーケティンゲ戦略

1 9 8 0年代後半に入って,市場開放への世界的要請が高まる中で日本市場は

国際的レビューを受けるとともに,公的規制や,供給源と最終市場に対し反

応的でない日本の流通システムなどにより価格競争の機会が制限されてきた

ことと関連して,発生した内外価格差が明らかにされ,その情報が広範に流

された。さらに,高頻度で反復される新製品導入が深く関わる資源浪費や環

境破壊が批判されるようになった。消費者のインテリジェンスの高まりとと

もに,これまでの消費者の行動に反省を迫るものを含め,意思決定において

広範な情報を利用する消費者層が拡大した。消費者は市場において自立性を

高め,製品を高度に差別化し,消費者行動をブランド選択に収数させるため

の消費者支配型マーケティング政策の効果を減退させており,メーカーと消

(22)

費者の関係ばかりでなくメーカーと流通企業の間にも流動的な関係形成への 変化が進行した。

近年における情報化の進展は,日本型集固までも変革に導きつつある。構 成要員個々人の問題解決能力が高まり,集団は解放性を高めるとともに,集 団により程度の差はあっても基本的には革新を核として凝集し,構成員の最 大限の創造的貢献を可能にする柔軟な組織に変わるであろう。企業集団でも 同様である。マーケティング・流通システムの変化もこのような社会構造変 革の大きな流れの中にあり,自由な流通・取引関係の進展により,企業は市 場との広範な接触を実現することと併せて,情報化の進展の下で聡明さを高 める消費者の自由な評価に耐える製品とサービスの供給を通じて,市場へ対 応し,社会的価値の高い革新に向けて努力を傾けざるをえなくなりつつある。

このような革新的企業努力の中で日本の市場・流通システムは透明性・開放 性を高め,国際社会の評価に耐える経済システムが形成されることになり,

これは 2 1 世紀に向けて社会的に要請されている変革の方向に沿うことにもな る 。

5 . 販売システムの革新

革新的小売商もチェーンストア化し,庖舗を大規模化すると,その寡占的 行動の問題が生じる。特定商圏での少数の大型庖による小売市場の集中は,

これらの小売商の寡占的行動の基盤となる。大型チェーンストアは,市場割 り込みのためにメーカーのマーケティングプログラムとの比較のうえで独自 の競争価格政策と革新的販売方法をとっている。

このため,いったん市場地位を達成すると周辺小売商に対し,プライスリー ダーとなり,価格競争回避のための庖舗差別化を強化し始める。一般に流通 における集中は,流通過程における競争を制限するばかりでなく,中核企業 は大量市場をカバーし,供給源の選別を行うため製造レベルにおけるエント

リーを制限することにもなる。販売効率を高めるために,回転率の高い製品,

(23)

進展する情報化,価格競争の下でのマーケティングの再編成 1 1 1   品目を中心に品ぞろえを限定し始め,市場占領率の小さいメーカーや新規参 入を目指すメーカーは主要市場にアクセスできなくなり,流通寡占は産業へ のエントリー障壁となる。日本の食品市場では,欧米に比べ,消費者の購買 行動は小口,多頻度で庖舗選択に当たって便宜性の要求が強い。また主要消 費財では企業間競争はもっぱらメーカーレベルで行われ,流通系列化もあっ て小売集中は進行しにくい条件があった。多様な独立小売商を主要構成部分

としてもつ小売流通システムには,流通経路開拓の企業努力を必要とするも のの,あらゆる規模のメーカーにとって市場とのコンタクトの機会があった。

自動車ではメーカーによる流通系列化が最終市場まで維持されているが,

家庭電気製品では,スーパーや量販専門庖の割り込みのため,流通系列化は 年々後退している。このため,家電メーカーは,自動車以上に頻繁にモデル チェンジ・スタイルチェンジを繰り返しながら,流通過程・最終市場を通じ ての,市場の開発・維持に努めてきた。このように,継続的新製品導入と流 通系列化は,相互補完的にメーカーの基幹マーケティング戦略となってきた が,ここ数年間における情報化社会の進展の下で,分析力・判断力・行動力 を強化している消費者は,この戦略に抵抗し,代って,企業と消費者が相互 交流する機会を与える,企業と消費者の聞のシステムの形成に期待をかける ようになっている。今後は,企業ー消費者間システムの構造化が,マーケ ティングの基幹戦略となる。大規模な消費者訪問は,このシステムをイメー ジさせるが,消費者は,自発的に企業に接近し,企業と相互交流する消費者

・企業間システムの開発に期待をかけている。この壮大なシステムを通じて 開発される,製品と販売力が 2 1 世紀の消費者要求に応えるものとなる。ここ では,企業と消費者の間の取引関係を革新してゆく販売システムの開発が,

新製品開発システムに匹敵する重要性をもつことになる。ここでは,広範な

市場接触と,市場と企業の間での双方向型の情報交換を可能にし,新しい価

値を創造する情報処理・通信ネットワークの形成に期待がかけられている。

(24)

m . 情報処理・通信システムと産業社会

わが国における情報処理・情報通信システムは欧米に比べ遅れが目立って きたものの,最近における急速な市場/経営の国際化,自由化への潮流は,

これまでの生産・流通構造を効率の高い,柔軟で創造力に富むものへの変革 の必要性を高め,情報化への新しい進展がみられるようになった。また,国 際ネットワークの構築も急速に進展し始め,グローバルな調達・生産・流通 システムの形成が国際的情報通信ネットワークにより支援されるようになっ f

こ。

これまで日本における社会の情報化が欧米,特に米国に比べ格段に遅れて いることについて多くの指摘がみられたが,日本における情報化の遅れの基 盤は,社会の基本構造が欧米と異なっているところにあることについては充 分に分析されているとはいえない。

1  .日本企業の経営の国際化と国際情報通信ネッ卜ワーク

1 9 9 3 年 2 月以降の円急騰の下で輸送機械,電気機械関係では,海外調達,

生産の海外移転計画等が急増したが,このことと関連し,国際情報通信への 関心が急速に高まった。日本企業は調達について,内外を問わず,透明性の 確保に向けて努力しているが,これにもまして,円高騰期を通じて,また 1 9 9 5 年以降の円高修正にもかかわらず日本の製造業は調達を,国際競争力維 持のために一挙にグローバル化しつつある。また,ナショナルチェーンス トアの調達も,海外チェーンストアとの提携などで国際化がしだいに進みつ つあり,主要メーカー,及び同部品企業も含め,製造業は海外への生産移転 を急速に進めており,国際情報通信ネットワークの活用も進みつつある。

日本の企業聞には,長期継続的な取引関係「系列」が一般にみられ, 日本

市場の開放を求める諸外国からこの閉鎖性について批難を受けてきた。しか

し,完成品流通については,中間商の自立性の高まりとメーカーのより幅広

(25)

進展する情報化,価格競争の下でのマーケティングの再編成 1 1 3  

い市場コンタクトを求める動きのもとで系列を越える取引が拡大しつつあ る。日本企業の完成品流通ネットワークシステムの海外企業への開放により,

海外企業との新しい連結が形成され,さらに知的情報創造の機会が拡大され るきざしさえもみられる。

最近まで,日本の企業では,部品メーカーと完成品メーカーの間には,緊 密な情報交換のうえで製品の開発‑設計・製造が行われ,効率的な統合的製 品開発・製造システムが維持されていると言われてきた。そのため自由な部 品市場が成立せず,海外の企業にとり部品市場へのエントリーが完成品市場 以上に困難であると批難されることにもなってきた。しかし,最近における 市場の国際化と価格競争の進行の下で,企業は系列を越える取引を拡大しつ つあり,また通信・情報処理技術の発達は,迅速な情報交換を,大容量,か つ高い信頼性のもとで実現し,企業聞の情報系による連結,さらにその国際 的連結が生まれる機会を拡大しつつある。

資材調達,部品調達を,主要な取引については電気機械,電子機器,自動 車等でみられる EDI のように電子ネットワーク上で行い,効率化や在庫圧 縮と共に経費節約を実現している企業も現れ始めている。一方,大規模化し たネットワークとデータベースの構築は,投資量が巨大であることも関係し て,系列化が凝集性の高いシステムとしての行動原理をまだ色濃く残す日本 の産業社会で、はシステムの開放性の問題を伴っている。

日本は欧米,特にアメリカに比べ,情報ネットワーク化,情報システム関 係アウトソーシングサービス等の遅れが著しかったが,海外企業,特に欧米 企業,時に在日欧米企業との関連が拡大・緊密化するのに伴い,欧米並みの ネットワーク化とそれに伴うデータベースの整備が急速に進みつつある。企 業内での国内情報と海外情報の一体的利用については,自動車,電気機械,

事務用機械を中心に顕著な展開がみられるようになっており, 90年代に入り

米国に比べ低調であった情報化投資が,このところ経営のグローバル化と並

行してのネットワーク化との関連で急増するきざしがみえ始めている。今後,

(26)

欧米並みの情報通信インフラ整備についての必要性がこれまで以上に高まる ことになる。最近では,データ検索,多次元データベースの検索/加工等を 高速で行うシステムの開発,大規模なデータベースからの情報を相互関連の 中で検索/加工する情報システムの構築が,米国企業に比べ格段に遅れては いるものの, 日本企業において進みつつある。

2  . グ ロ ー バ ル な 生 産 シ ス テ ム と 国 際 情 報 通 信 ネ ッ ト ワ ー ク 国際情報通信のネットワーク化では,異機種開通信が必然、となるが,圏内 外を問わず,異機種間接続を可能にするシステム間インターフェースの国際 標準の整備も進みつつある。また,情報処理の多様化,高度化への高まりと 共に,マルチメディア化,データベースの整備等への要請も高まっている。

高品質,高信頼性のもとでの高速・大容量・多重での情報伝送を可能にする 通信ネットワークとこれに対応する情報処理機構は,グローバルな空間で、の 経営展開を容易にし,広範な選択機会のもとでの企業連結を生み出す。

近年における日本企業の海外進出,特に現地法人の経営活動の拡充・強化 と共に,国内企業システムの情報化と同様のレベルでの海外経営拠点を含む 情報通信ネットワーク構築が推進され,各国の情報通信ネットワークが連結 された国際ネットワークが出現しつつある。多くは資材調達からスタートし,

研究開発・生産・マーケティングをカバーし,これらの聞を相互調整し,新 しい価値を創出する統合的経営システムが,国際的情報処理・通信システム として,さらに外国企業を含むグローバルなレベルでの新しい企業連結とし て現実のものとなりつつある。このような国際ネットワークは,多くはプロ ダクト/プロジェクト単位であるが,自動車,電気機械,同部品等の業種で,

ここ数年間でみられるようになっている。

日本の大手組立産業メーカーでは,近年の円高と共に,海外市場向けばか

りでなく,日本市場向けの製品についても,生産の海外移転を推進しつつあ

り,これに伴い国際的供給体制の構築により,完成品,部品,さらに補修部

(27)

進展する情報化,価格競争の下でのマーケティングの再編成 1 1 5  

品についてもアジア諸国間,欧州諸国間で,さらに日・米・欧・アジア間で の相互融通/補完システム構築の方向に向かつており,これに対応する情報 システムの整備によって効率の高いグローバルな生産システムが構築され,

納期短縮,流通在庫圧縮,過剰生産リスク回避等の効果が現われつつある。

また部品調達では一定条件下での仕様変更をも可能とするシステムの開発も 進みつつある。

3  .日本企業の国際情報通信ネットワーク展開の

現状とその成果

1 9 9 2 年 9 月以降,特に 1 9 9 3 年 2 月以降の急激な円高のもとで,さらに 1 9 9 5 年以降の円高修正期に入っても世界的な資材・部品の調達システムの構築に 向かう企業がみられ,また海外向け製品は勿論,日本国内市場向けの製品で も低価格帯の製品に限らず,高度技術製品もまた,生産拠点の海外移転の進 行が加速されつつある。電気機械・電子機器では生産拠点ばかりでなく,設 計や開発システムの海外移転も進み,今後,高速/大容量の国際情報通信シ ステムの果たす役割が拡大する。かつて国際的企業連結は, OEM 供給など 生産関係が多かったが,近年では共同開発システムの構築も先端技術領域で 増加しつつある。先端技術製品についての日本と海外企業聞の共同開発シス テムが形成され,新製品の日・米・欧市場での同時導入なども進んでおり,

これらのシステムを支える情報システムも構築されつつある。ごのようなグ ローパルな開発システムの構築は,米国の情報処理/通信機器関係企業で進 んでおり,そこでは高精細画像を高速で送受信する電子ネットワーク上で,

日・米・欧の拠点の研究者や技術者による共同開発体制が一般的にみられる ようになっている。また,日本でもこのような国際的企業連結を可能にする,

異機種混在のネットワーク化や,データ連携などの国際的オープンシステム

の対応も進みつつある。経済のグローバル化の下で,企業によっては,開発

/製造は市場現地で効率的に行い,本社は現地での経営展開支援をする基幹

(28)

戦略形成を担当する方向に動いており,世界各地での現地経営拠点をネット ワークし,基幹戦略策定の,グローバルな知的情報システム構想へと動いて いる。

わが国では,主に企業内で CAD , CAE ,による設計の効率化/自動化,

設計情報の共有化が, CAM や FMS による製造ライン/工程の自動化,フ レキシブル化が推進され,さらに受注,設計,製造,物流をカバーし,統合 する C 1  M も構築され,製造/物流の効率化の進展がみられてきた。また P

OS や EOS の急速な普及がみられ,流通の効率化も推進されてきたが,ど ちらかというと情報化は企業内,さらに部門最適化中心に進められ,各部門 を統合する情報システム,企業間情報システムの構築は,日・米間での企業 間 EDI 電子データ交換の活用格差ので代表されるように,データ標準化の 遅れがあって,アメリカに比べ立ち遅れが目立っていた。しかし, 9 0 年代,

特に 1 9 9 3 年に入ってからの円急騰継続の下での,生産の海外移転を中心とす る経営のグローバル化への流れは,一挙に日本企業の海外部門を含めた情報 化推進の必要性を高め,情報通信インフラ整備への社会的要請を強める傾向 にある。開発・設計・生産・マーケティングの各部門聞の連携強化,効率化 を推進し,さらに企業内情報系システムと企業間情報通信ネットワークを接 続し,情報交換するための EDI へのシステム化が進みつつある。その機能 も,商取引データに加え, CAD データ,技術データの交換も可能にし,さ らに海外への展開も進みつつある。輸送機械や電気機械では,製品設計,資 材・部品調達,製造,流通等のデータを標準化し,国際企業間でデータ交換 する CALS の構築が進みつつある。

4  .日本における産業の高度情報化の遅れの要因

日本の主要製造企業は,国内,米国,欧州、

1

,東南アジアをカバーし,為替

変動に敏感に対応する調達・生産・流通システムの制御機構,グローバルな

情報システムの構築を迫られている。今後は為替変動に対してばかりでなく,

参照

関連したドキュメント

このように資本主義経済における競争の作用を二つに分けたうえで, 『資本

テキストマイニング は,大量の構 造化されていないテキスト情報を様々な観点から

「系統情報の公開」に関する留意事項

Google マップ上で誰もがその情報を閲覧することが可能となる。Google マイマップは、Google マップの情報を基に作成されるため、Google

食品 品循 循環 環資 資源 源の の再 再生 生利 利用 用等 等の の促 促進 進に に関 関す する る法 法律 律施 施行 行令 令( (抜 抜す

地球温暖化対策報告書制度 における 再エネ利用評価

省庁再編 n管理改革 一次︶によって内閣宣房の再編成がおこなわれるなど︑

能率競争の確保 競争者の競争単位としての存立の確保について︑述べる︒