大学生の都道府県認識
一弘前大学教養部学生の場合一
イ 彦
I は じ め ' 叩
社会科地理に対する児童・生徒の嫌厭傾向が著しく強いことは,田中
(1984)
・ 人 間 (1 9 8 6 )
などによっても報告され,すでに周知のところである。地理を培記科弓とみる額向が強く,これが 地理嫌いの大きな原国とも立る。しかし地理を学習する上で,地名や専門用語などと長暗記する
ζ
とられない。
そこで本研究では, の開として都道府県の位置や県庁所在地の名称を取り が,それらをどの程度認識し,どのようなイメージを抱いているのか,また,
これまでの研究と比較して,現在の大学生の都道府県認識というものが,どの程度ぬものなのかを じたい。
日
テスト実協につい
r1 8 9
入に謂査を行ない,177
人(男13
3.人,4 4
入〉の白容を得た。プ ン ケ ー ト 舟 容 は 高 橋 (
1 9 8 5 )
の中学生を対象にしたものと比較するため同じにした。ゆ道県庁所在地を知っているか。
(か各都道府県に対してどのようなイメージをもっているか。
ンケートに記入された り自治菌 帯都道府県の位置がわかるか。
ものでるる。
と道県庁所在地名が異なるものだけを取り上げ,その地名に対して,なじみがある かど、うかを知る手がかりと
各都道府県に対するイメージが,都道府県認識にどのよう
選択肢ア チより議び,そのほかにあれば書き加える接数回容にした。
かをみるもので,
@は,特に視覚的なものが,どのように,また, しているかを謁べる
c
I z
‑
‑ z i
y‑ El
県の認識
山 地 名
と異な いて,それらの名称者知っているかどうかを国尽した ものである。
月ぺ
U
巧ノ
﹄
(%)
1 0 0 戸 一 一
lイ 円 1 円 長
F 1 i
一円
U n u
n H d n
円u盛岡・仙台が高率を示す
、
'J'那 覇
松 山
高 松松 江
神 津 戸 大 津 名 古 屋 金 沢 甲 府 横 浜 浦 和 水 戸 前 橋宇都宮
仙 台
盛 岡1 U
恩 氾
E T R 1 '
巾山
l一
1
﹂
│
│
││﹁
│
﹂
n u n u n u n U
門 ぺ
υ
円ノι ' t g
70
一6 0 ‑ 40‑
50~
理由には,東北地方出身者
場合,都会的イメージや話
に迷う都市を知らないため 率を高めたと思われる。札
高率は,視覚的影響やほか 題性が多いところから正解
幌・名古屋・那覇に関する の人数が
107
人と多いため もあると思われる。横浜のもある。
第
1
図.道県庁所在地の認識率{
ア ン ケ ー ト よ り 作 成)
OKI l ¥ ' AWA
r ; : A♂
反対に,低い値を示す首 県庁所在地 都圏近郊には,
;
] 2
i;哉;
千(O/o!
.
lOO ~95
圏
日 口
9 5~90 90~80 80~
それ以との都
高崎,埼玉県の大宮・所沢 市が多くあるために混同し やすい。例えは,群馬県の
などが挙げられている。 ま と同規模か,
た,松江・高松・松山や津
府県と照合させた設問の認
識 率 を 図 示 し た も の で ,
5 7
人(32 . 2
%)が全問正 解であった。島・半島や日 漢字によるあいまいな記憶‑大津の場合,似かよった
が混同をもたらしたものと
入り白地図を与え,各都道 言える
ο
( 2 )
都 道 府 県 認 識 第2
図は,日本全国の県境本列島の先端部などは,視
~l・tl~;
(アンケートより作成
)
第2 図.都道府県認識
‑24‑
l l . ' .
そ
覚的に印象が深いためか,
全体的に認識率が高い。
れ以外に,宮城と東京は,話題性
ι
富み,都会への興味・関心が認識を高めたと忠われる。新潟は,田中角栄や上越新幹線・金波島の存在が認識を高めたと思われる。高畿の調査結果からも明らかな ように,ここには居住地からの距離も関係し,居世地に近い程認識率が高いことも証明tされている。
逆に,認識率の低い県は,規堂的に印象のうすい内龍県か,日本謹誤liや四毘などで島る。特に島
・島根に関する言語義は腿給て低く,それぞれ,
5 8 . 2 . %
,5 9 . 8 5
ちと抱果とは比べものにならない値で ある。この大きな理由として,彰状の類恕した隣りあう県で,話題性にも乏しいことがあげられる。ゆイメージの選手響
各都道府県に対するイメージ内容弘<表〉にまとめてみた。これによると,大見的にみて,雪 の降る地方に対しては,
r
寒冷J . r
暗いJ
というイメージをつけたがり,西南日本にはr 温駿 J
い」というイメージが強いようである。関東・関西の大都市題近郊の地域には,
r
イメージな しJ
といった解寄に集中し,東京・大阪などの大都市ばかりに,イメージが集まる傾向にある。議事の低い黙は,
r
イメージなしJ
といっ し,またそのような東に限って,r
暗い」とかのイメージを つけたがる額向がある。
また,イメージ解答の中に は,固有名詞や特産物でささえ る場合も多くあった。 Ouえば,
宮城の伊達政宗・茨城の求戸 黄門・新潟の問中角栄・愛媛 のみかん・徳島の池田高校・
鹿児島の西部騒盛などである。
乙のようなイメージも,
形成 っているよう
ι
忠おれる。
( 4 )
高校社会での 地理選択別認識 高校の社会で地理を選択し たか, しなかったかによって,どのような差異が表われるの か恐謁べたもので,第3図‑a
•
bに闘示した。各都道府県に対するイメ…ジ内容
(アンケートよ1 ) 作成)
) : ( )は人数 複数回答で1 0 人以上を
‑25
第
3
図‑aの地理を選択した者の認識率は,第2
図の全体の認識率とほぼ同じ領向を示す。逆に.地理を選択しなかった人達の認識は,一層の内陸県や隣接県との混同を招いている。乙乙 で新しくあげるなら,奈良・京都,熊本・大分・宮崎の混同も著しい。奈良・京都に関しては,大 部分の人が修学旅行で行った乙とがあるにもかかわらず,その場所さえわからないとは,なげかわ
しい乙とである。
2 ・ J OKINAWA
J
OKINAWA
認 識 率(%)
圃 m
… 引9 5 5
口 一
亡 口 ]
恥D 8朴0
ト
. .,,..::.."1
第
3
図‑ a
は い 1 第 3図 ‑b Iいいえ│
高 校 社 会 で の 地 理 選 択 別 認 識
(
アンケートよ1 )
作成)a F ‑ Ad OKINAWA
n F ‑ A d
仏川U一一
ト 一
子 一
; ; : ;
則 一 女 一
第 4図
‑ a
男 子│
m
ハUAリ/
4円U
A
却WJ︐' A A
F p
m o o o n v
; . 1
男 女 別 認 識 ( ア ン ケ ー ト よ り 作 成
) r o
つ
ι
日 男 女 別 認
男女の性差による認識の差異を比べた場合を,第
a • b
に図示した。女子に関しては,従来から,社会科・特に地理嫌いiまよく言われ,留中
(1984)
の論文の も,女子の地理嫌いは証明されている。認識率が抵いことと地理嫌いが,即むすびっくわけではな いが,今回の私の調査からも,女子の認識が異常ι
低く,男子と泣比べものにならない{蔵省ケホしている。女子の場合, 院本を東西に分けた時,西日本の認識が樫めて低く,ほとんどは
50‑‑605
等合であ る。最も低い僅を訴す鳥取に至っては.4 7 . 7 5
彰と半分以上の人がわからないことになる。沖縄に関しでは,規覚的影響が強い地境にもかかわらず認識率が低いのは,沖縄と種子島安まちがえた人が 多いためである。アンケ…ト実施にあたり,沖縄だけは沖縄島に記入するように求めたため,この
ような誤答が多かったと思われる。
以上の結果から,高校で地理を選択せず, しかもその中の女子で認識が低く,形状の類伝した隣 接県や内陸果の間で混同が著しい。
では,島本で一番認識が弱い地域と言えよう
o
どの場合でも多く,今回のテスト
W 若干の
での謁査結果惑とまとめてみると,小学校・中学校・高等学校と続いた地理嫌露天領向は,
生に翌っても大きく尾を引き,特に女子の場合,地理への興味・関心の薄さがうかがわれる。
に対する興味。関心を高めるためには,やはり,小学校時代からの考えさせる内経よりも,児童・
主誌の興味にみった地理教材を十分に活用すべきで島る。例えば, の調査で,イメージ解答に あげられていた個人的意見などを手がかりとして,それ惑ともとにさまざまな地域へ百を向けさせる ことも勢果的であると,忠かれる。現在の地理教育の結果が,今Bの地理嫌いをと生んでいること えれば,
けでなく,
少の工夫が必喪であろう。世界でも出目されつつある日本において,自 ひいては世界名国にも目を向庁る力を養わせる
ζ
とも,まわりだ 設割の ひとつである。
V お わ け に
本研究では,大学生の都道府県認識を調べるために,アンケート 次のようなことが設える。
1. 認識には,居住地に近いという
ζ
とのほかに,視覚的ったが,その結果,
たはイメージが大 きくかかわっている。
2 .
視覚的影響によると忠わ仇るが,島・半島や日本列島の先端部地域の認識が強い。3 .
形状の懇1tI.した隣接県や内陵県または話題性に乏しい県は,認識が弱い。4 .
女子の認識が槌めて低い。5 .
中学生と比較した場合,大学生の認識禁容は多少上昇するが,同じ傾向っ
ツ ー
︐
ι
の認査では,弘前大学教養部学生だけをと対象としたため,出身地加入数i二大きく葡りがあり,
これを一般的傾向と でざれば幸いである
o
るととはできないが,一資料として,今後の地理教曹の発展iこ寅章夫
最後に,本論文を作成するにあたって,多くの御指導 e いただいた後藤雄ニ先生・水野 裕先生,アンケート実諸に島たり御協力いただいた今井敏信先生に,心から感謝いたします。
【 参 考 文 献 〕
。高矯桂子
(1985)
中学生の都道府県認識お 茶 の 水 地 理 第
26 36‑44
O
田中耕三(1984)
社会科地理学静への嫌蔵領舟とその対策に関する研究 耕地理32 3
守1‑13
。八田ニ三一